JP2008240856A - 自動変速機付き車両用エンジンの自動停止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動式オイルポンプやそのドライバの小容量化と信頼性確保とを両立させつつ、自動変速機への適正な油圧供給を行うことができる自動変速機付き車両用エンジンの自動停止装置を提供する。
【解決手段】エンジンを自動停止させた後に自動的に再始動させる自動停止制御手段100と、自動変速機60と、自動変速機に作動油圧を供給する機械式オイルポンプ61および電動式オイルポンプ62と、自動停止中、電動式オイルポンプ62からの作動油圧を第1油圧P1に制御するとともに、再始動条件が成立した後の所定期間は第1油圧P1よりも高い第2油圧P2に維持するように制御する油圧制御手段104とを備え、自動停止制御手段100は、燃焼再始動とスタータ再始動とを使い分けるものであって、油圧制御手段104は、再始動の開始後、エンジンの燃焼が確認された時点で作動油圧を第1油圧P1から第2油圧P2に切換える。
【選択図】図4
【解決手段】エンジンを自動停止させた後に自動的に再始動させる自動停止制御手段100と、自動変速機60と、自動変速機に作動油圧を供給する機械式オイルポンプ61および電動式オイルポンプ62と、自動停止中、電動式オイルポンプ62からの作動油圧を第1油圧P1に制御するとともに、再始動条件が成立した後の所定期間は第1油圧P1よりも高い第2油圧P2に維持するように制御する油圧制御手段104とを備え、自動停止制御手段100は、燃焼再始動とスタータ再始動とを使い分けるものであって、油圧制御手段104は、再始動の開始後、エンジンの燃焼が確認された時点で作動油圧を第1油圧P1から第2油圧P2に切換える。
【選択図】図4
Description
本発明は、所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させ、その後自動的に再始動させるエンジンの自動停止装置に関し、特に機械式オイルポンプに加え電動式オイルポンプを備えた自動変速機が搭載された車両に適用されるものに関する。
近年、燃費向上や地球環境への配慮等を目的として、所定の自動停止条件が成立したとき(例えばアイドル運転時)にエンジンを自動的に停止させ、その後エンジンの再始動が必要となったとき(例えば再発進時)には再始動を行うエンジンの自動停止装置が開発されている。
このような車両において、エンジン自動停止後の再始動は速やかに行われることが要求される。これが遅れると運転者に発進時のもたつき感を与える等、再発進性の低下を招くからである。さらに自動変速機を備えた車両の場合、自動変速機も速やかに動力伝達可能状態となることが必要である。
従来の一般的な自動変速機は油圧クラッチ等の油圧機構を備え、その作動油圧はエンジンで駆動される機械式オイルポンプから供給される。このような機構では、エンジンの自動停止中は機械式オイルポンプも停止するので油圧が発生せず、油圧機構も停止状態となる。つまり自動変速機は動力伝達不可状態となる。そして再始動時にはエンジンの始動とともに機械式オイルポンプも始動する。オイルポンプが始動してから油圧が適正値まで上昇し、自動変速機が動力伝達可能状態になるまでには一定の時間を要するから、その遅れによる上記再発進性の低下が懸念される。
そこで近年、補助的に電動式オイルポンプを備えた自動変速機が研究されつつある。電動式オイルポンプを用いれば、エンジン自動停止中にも自動変速機に油圧を供給し、これを動力伝達可能状態に維持しておくことができる。従って、エンジン再始動後、速やかに再発進を行うことができる。
例えば特許文献1には、このような電動式オイルポンプを備えたものが開示されている。特許文献1に記載されている装置によれば、エンジン停止中に電動式オイルポンプが駆動され、そのときの自動変速機の作動油圧は比較的低油圧とされる。そしてエンジンの再始動条件が成立するに伴って同作動油圧が所定期間高油圧とされる。その後、機械式オイルポンプによる油圧が必要充分となるに伴い、電動式オイルポンプが停止させられる。
このようにエンジン停止中の作動油圧を低減することにより、電動式オイルポンプを小型、小容量化することができる。そしてエンジン始動時に作動油圧を増大させることにより、自動変速機でのクラッチ容量が確保され、適正な動力伝達がなされる。
なお特許文献1に示される装置は、再始動を行わせる手段として、エンジン外部から駆動力を付与するモータジェネレータが用いられている。
特許第3704283号公報
しかしながら特許文献1のように、エンジンの自動停止中には比較的低油圧(以下第1油圧という)とし、再始動条件成立時に比較的高油圧(以下第2油圧という)に切換える場合、次のような問題があった。
それは、再始動条件が成立してから実際にエンジンが始動して機械式オイルポンプによる油圧が必要充分となるまでの時間(以下これを始動時間という)にばらつきが大きい場合、第2油圧の維持期間が不適切になる虞があるという問題である。
エンジン停止中の作動油圧を低減すると、上述のように電動式オイルポンプを小型、小容量化することができるが、少なくとも第2油圧を所定期間維持し得る信頼性が求められる。換言すれば、電動式オイルポンプの小型、小容量化を促進するためには、第2油圧の維持期間を可及的に短く設定すれば良い。
しかし一方では、第2油圧の維持時間が短すぎて機械式オイルポンプによる油圧が必要充分となるまでに終了してしまうと、自動変速機の油圧クラッチが滑ったり、その後の機械式オイルポンプによる油圧回復時に油圧クラッチの再締結ショックが発生したりする。従って、第2油圧の維持時間は、始動時間のばらつきを考慮して、このような事態が発生しない程度に長くする必要がある。
結局、始動時間のばらつきが大きいと、電動式オイルポンプの小型、小容量化の効果を目減りさせてしまうこととなる。
本発明は上記事情に鑑み、電動式オイルポンプやそのドライバの小容量化と信頼性確保とを両立させつつ、自動変速機への適正な油圧供給を行うことができる自動変速機付き車両用エンジンの自動停止装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1は、所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させ、停止後、所定の再始動条件が成立したときに、上記エンジンを自動的に再始動させる自動停止制御を行う自動停止制御手段と、上記エンジンに外部から駆動力を付与して始動させるスタータと、自動変速機と、上記エンジンで駆動され、上記自動変速機に作動油圧を供給する機械式オイルポンプと、上記機械式オイルポンプと併用または単独で用いられ、上記自動変速機に作動油圧を供給する電動式オイルポンプと、上記自動停止中、上記電動式オイルポンプからの作動油圧を所定の第1油圧に制御するとともに、上記再始動条件が成立した後の所定期間は上記第1油圧よりも高い第2油圧に維持するように制御する油圧制御手段とを備え、上記自動停止制御手段は、停止中のエンジンで燃焼を行わせてその燃焼エネルギーで再始動させる燃焼再始動と、上記スタータを用いるスタータ再始動とを使い分けるものであって、上記油圧制御手段は、上記再始動の開始後、エンジンの燃焼が確認された時点で上記作動油圧を上記第1油圧から上記第2油圧に切換えることを特徴とする自動変速機付き車両用エンジンの自動停止装置である。
請求項2の発明は、請求項1記載の自動変速機付き車両用エンジンの自動停止装置において、上記燃焼再始動は第1始動形態を含むとともに、上記スタータ再始動は第2始動形態を含み、上記第1始動形態は、自動停止中のエンジンのピストン停止位置が所定の適正範囲内にあるとき、停止時に圧縮行程にある気筒で燃焼を行わせて一旦逆転させた後、停止時に膨張行程にある気筒で燃焼を行わせるものであり、上記第2始動形態は、自動停止中のエンジンのピストン停止位置が上記適正範囲内にないとき、上記逆転を行わせることなく停止時に膨張行程にある気筒で燃焼を行わせるとともに上記スタータを併用するものであることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2記載の自動変速機付き車両用エンジンの自動停止装置において、上記スタータ再始動は第3始動形態を含み、該第3始動形態は、一旦上記燃焼再始動を試みた結果それに失敗した場合に上記スタータを駆動させるものであることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2または3記載の自動変速機付き車両用エンジンの自動停止装置において、上記油圧制御手段は、上記第1始動形態において、再始動の開始後、全気筒を対象とした2番目の圧縮上死点を超えたことが検出された時点をもって、上記エンジンの燃焼が確認された時点とすることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の自動変速機付き車両用エンジンの自動停止装置において、上記油圧制御手段は、上記スタータ再始動において、スタータ駆動開始後の最初の燃焼後の、全気筒を対象とした最初の圧縮上死点を超えたことが検出された時点をもって、上記エンジンの燃焼が確認された時点とすることを特徴とする。
請求項1の発明によると、以下説明するように、電動式オイルポンプやそのドライバの小容量化と信頼性確保とを両立させつつ、自動変速機への適正な油圧供給を行うことができる。
まず本発明によれば、自動停止制御手段は、停止中のエンジンで燃焼を行わせてその燃焼エネルギーで再始動させる燃焼再始動と、スタータを用いるスタータ再始動とを使い分ける。こうすることにより、常にスタータ再始動を行うものに比べ、スタータの使用頻度を削減することができるので、スタータの耐久性を向上させることができる。
また油圧制御手段は、自動停止中、電動式オイルポンプからの作動油圧を第1油圧に制御するとともに、再始動条件が成立した後の所定期間は第1油圧よりも高い第2油圧に維持するように制御する。こうすることにより、電動式オイルポンプやそのドライバの小容量化と信頼性確保とを両立させることができる。
しかしながら、燃焼再始動とスタータ再始動という異なる始動形態の併用(選択使用)は始動時間のばらつきを増大させるものとなる。自動変速機への適正な油圧供給を行うには、そのばらつきを吸収し得る程度に第2油圧の維持時間を延長する必要が生じ、これは電動式オイルポンプやそのドライバの小容量化又は信頼性確保を妨げるものとなる。
そこで本発明では、上記第1油圧から上記第2油圧に切換える時期を、エンジンの燃焼が確認された時点としている。このようにすると、同切換え時期を再始動条件成立時とする従来技術に比べ、全体的に第2油圧の維持時間を短縮することができるとともに、必要な維持時間のばらつきも削減することができる。始動時間が長くなる場合にはエンジンの燃焼が確認される時点も遅れ、その分が相殺されるからである。
こうして、始動時間のばらつきが比較的大きくても第2油圧の維持時間を可及的に短くすることができるので、電動式オイルポンプやそのドライバの小容量化と信頼性確保とを両立させつつ、自動変速機への適正な油圧供給を行うことができるのである。
請求項2の発明によると、より顕著に上記効果を奏することができる。
第1始動形態では、一旦エンジンを逆転させた後に正転させる。一方第2始動形態では最初からエンジンを正転方向に駆動させる。このため、第1始動形態は第2始動形態よりも始動時間が長くなる。
一方、第1始動形態では第2始動形態よりも、エンジンの燃焼が確認される時点が遅れる。このため、第1始動形態と第2始動形態とに要求される第2油圧の維持時間の差は、始動時間の差ほどには長くならない。つまりばらつきを考慮した場合の第2油圧の維持時間の延長幅を効果的に削減することができる。
請求項3の発明によると、一旦上記第1始動形態を試みた結果それに失敗した場合に上記スタータを駆動させる第3始動形態を選択することができる。この第3始動形態により、より再始動の確実性を高めることができる。
そしてこの第3始動形態は、第1始動形態や第2始動形態よりもさらに始動時間が長くなる。しかしこのような場合でも、燃焼が確認されるのはスタータ駆動後となるので、油圧の切換え時期も大きく遅らされる。従って第2油圧維持期間をそれほど延長させなくても自動変速機への適正な油圧供給を行うことができる。
請求項4の発明によると、第1始動形態において、より確実な燃焼確認を行うことができ、短い第2油圧維持期間でも自動変速機への適正な油圧供給を行うことができる。
第1実施形態では、停止時に膨張行程にある気筒(停止時膨張行程気筒)での最初の燃焼エネルギーが、エンジンを正転させるとともに、停止時に圧縮行程にある気筒(停止時圧縮行程気筒)の最初の圧縮上死点(第1TDC)を超えるエネルギーとして消費される。この停止時圧縮行程気筒では既に最初にエンジンを逆転させるための燃焼が行われているので、ここでの燃焼は行われない。従って、正転後2番目に圧縮上死点を超える気筒(停止時吸気行程気筒)が圧縮上死点を超えるためのエネルギーは、停止時膨張行程気筒における最初の燃焼エネルギーで賄われなければならない。そのため、この2番目の圧縮上死点(第2TDC)を超えられるか否かが、第1始動形態の成否を分ける重要なポイントとなる。
換言すれば2TDを超えると、第1始動形態の成功確率が格段に高くなる。そこでこの時点を燃焼が確認された時点とするのがより妥当となる。
請求項5の発明によると、スタータ再始動において、より確実な燃焼確認を行うことができ、短い第2油圧維持期間でも自動変速機への適正な油圧供給を行うことができる。
スタータ再始動では燃焼再始動の場合よりも始動時間が短い。そこでスタータの駆動後、第1TDCを超えた早い時点をもって燃焼が確認された時点とするのがより妥当となる。
なお、本発明のスタータ再始動は、第2始動形態(請求項2)や第3始動形態(請求項3)を含むが、その何れにも適用し得るものである。第3始動形態の場合、第1TDCを定義するための起点は、スタータ駆動の開始時点となる。例えば第3始動形態として、一旦第1始動形態が試みられ、第1TDCは超えたものの、第2TDCを超えることができずに再始動に失敗し、スタータを駆動するような場合を想定することができる。その場合第1TDCに相当するのは停止時圧縮行程気筒ではなくて停止時吸気行程気筒における最初の圧縮上死点となる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1および図2は本発明に係る車両用エンジン1の概略構成を示す。エンジン1は4サイクル火花点火式エンジンであって、4つの気筒12A〜12D(図2参照)が設けられている。また、各気筒12A〜12Dの内部には、図略のコネクティングロッドによってクランクシャフト3に連結されたピストン13が嵌挿されることにより、当該ピストン13の上方に燃焼室14が形成されている。各気筒12A〜12Dに設けられたピストン13は、所定の位相差をもってクランクシャフト3の回転に伴い上下運動を行うように構成されている。ここで、4気筒4サイクルエンジンであるエンジン1では、各気筒12A〜12Dが所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっており、各サイクルが1番気筒(図示の例では気筒12A)、3番気筒(図示の例では気筒12C)、4番気筒(図示の例では気筒12D)、2番気筒(図示の例では気筒12B)の順にクランク角で180°(180°CA)の位相差をもって行われるように構成されている。
各気筒12A〜12Dの燃焼室14の頂部には、プラグ先端が燃焼室14内に臨むように点火プラグ15が設置されている。また、当該燃焼室14の側方には、燃焼室14内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁16が設けられている。この燃料噴射弁16は、図外のニードル弁およびソレノイドを内蔵し、PT制御ユニット100の燃焼制御部102(図4参照)から入力されたパルス信号のパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を上記点火プラグ15の電極付近に向けて噴射するように構成されている。
また、各気筒12A〜12Dの上部には、燃焼室14に向かって開口する吸気ポート17および排気ポート18が設けられている。そして、これらのポート17、18と燃焼室14との連結部分には、吸気バルブ19および排気バルブ20がそれぞれ装備されている。この吸気ポート17および排気ポート18には、吸気通路21および排気通路22が接続されている。吸気ポート17に近い吸気通路21の下流側は、図2に示すように、各気筒12A〜12Dに対応して独立した分岐吸気通路21aに分岐しており、この各分岐吸気通路21aの上流端がそれぞれサージタンク21bに連通している。このサージタンク21bよりも上流側には共通吸気通路21cが設けられている。この共通吸気通路21cには、スロットルボディ24が設けられている。スロットルボディ24には、各気筒12A〜12Dに流入する空気量を調整可能なスロットル弁24aとこのスロットル弁24aを駆動するアクチュエータ24bと、アイドリング回転速度制御装置(ISC:Idling Speed Control device)24cとが設けられている。図示の実施形態において、ISC24cは、上記燃焼制御部102によって開弁量を変更可能な電磁駆動式のものである。スロットル弁24aの上流側および下流側には、それぞれ吸気流量を検出するエアフローセンサ25と、吸気圧力を検出する吸気圧センサ26とが設置されている。
また、エンジン1には、図1に示すように、タイミングベルト等によりクランクシャフト3に連結されたオルタネータ28が付設されている。このオルタネータ28は、図略のフィールドコイルの電流を制御して出力電圧を調節することにより発電量を調整するレギュレータ回路28aを内蔵し、このレギュレータ回路28aに入力されるPT制御ユニット100(図4参照)からの制御信号に基づき、車両の電気負荷82(図3参照)および車載されたバッテリ80(図3参照)の電圧等に対応した発電量の制御が実行されるように構成されている。
またエンジン1には、エンジンに外部から駆動力を付与して始動させるスタータ36が設けられている。このスタータ36は、モータ36a(電気モータ)とピニオンギア36dとを有している。ピニオンギア36dの回転軸は、モータ36aの出力軸と同軸で、その回転軸に沿って往復移動する。またクランクシャフト3には、図略のフライホイールと、このフライホイールに固定されたリングギア35が、回転中心に対して同心に設けられている。そして、このスタータ36を用いてエンジンを始動する場合には、ピニオンギア36dが所定の噛合位置に移動して、リングギア35に噛合することにより、クランクシャフト3が回転駆動されるようになっている(クランキング)。
スタータ36によってエンジンを始動させる形態には、運転者がイグニションキースイッチ(IGキーSW38、図4参照)を回してスタータ36を駆動させ、それによってエンジン1を始動させるもの(いわゆるキー始動)と、エンジンの自動停止後の再始動時に、PT制御ユニット100のスタータ制御部108(図4参照)が自動的にスタータ36を駆動させ、それによってエンジン1を始動させるものとがある。
またエンジン1には、クランクシャフト3の回転角を検出する2つのクランク角センサ30、31が設けられている。一方のクランク角センサ30から出力される検出信号(パルス信号)に基づいてエンジン回転速度Neが検出されるとともに、この両クランク角センサ30、31から出力される位相のずれた検出信号に基づいてクランクシャフト3の回転角度が検出されるようになっている。さらに、エンジン1には、吸気側カムシャフトの回転位置を検出するカム角センサ32と、冷却水温度を検出する水温センサ33と、運転者のアクセル操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサ34とが設けられている。
図3は、エンジン1を搭載する車両の電力供給システムの概略構成図である。図3に示すように、当該車両にはエンジン1に隣接して自動変速機60(以下ATとも略称する)が搭載されている。自動変速機60は、エンジン1からクランクシャフト3を介して入力された動力を、適宜回転数および適宜トルクに自動的に変換(運転者の選択によって手動も可能)して駆動輪に伝達する装置である。自動変速機60は、図略のトルクコンバータや油圧機構66を備える。油圧機構66は、図略の油圧クラッチ、油圧ブレーキ及びそれらを断続させるためのバルブアセンブリ等を含む。
油圧機構66のバルブアセンブリは複数のソレノイドバルブやスプール弁等からなる。ソレノイドバルブにはPT制御ユニット100のAT制御部104(図4参照)から制御信号が送られ、それに基いて油圧クラッチ等に供給される作動油圧(ライン圧)の大きさが調整されたり、締結される油圧クラッチが切換えられ変速が行われたりする。
油圧機構66の油圧源として、機械式オイルポンプ61及び電動式オイルポンプ62が設けられている。機械式オイルポンプ61は、従来の自動変速機に一般的に用いられているものと同様であって、そのロータはエンジン1のクランクシャフト3と直結されている。従って機械式オイルポンプ61はエンジン1と連動して駆動される。機械式オイルポンプ61の駆動により、油圧機構66が有効に作動する。つまり自動変速機60が動力伝達可能状態となる。当実施形態では、エンジン1の通常の運転時には原則として機械式オイルポンプ61が用いられる。
電動式オイルポンプ62は、機械式オイルポンプ61に付加的に設けられ、これと併用または単独で用いられる。電動式オイルポンプ62はATポンプドライバ64によって駆動される。ATポンプドライバ64は図略の電気モータ等を内蔵し、バッテリ80(第1バッテリ80a)からの電力によって電動式オイルポンプ62のロータを駆動する。従って電動式オイルポンプ62はエンジン1が停止中にも油圧を発生させ、それを油圧機構66に供給することができる。当実施形態では、電動式オイルポンプ62は主にエンジン1の自動停止中またはその再始動開始直後において自動変速機60を動力伝達可能状態にするために用いられる。このような使用条件では油圧機構66のライン圧が比較的低いので、電動式オイルポンプ62にかかる負荷が小さい。そのため電動式オイルポンプ62やATポンプドライバ64は小型、小容量対応のものが採用されている。
図3に示すように当該車両の電力供給システムは、第1バッテリ80aと第2バッテリ80b(総称するときはバッテリ80という)とを含むものである(2バッテリシステム)。
第1バッテリ80aは電気負荷82(エアコン、パワーステアリング、オーディオ等)に常時接続され、これに電力供給が可能である。また第1バッテリ80aはパワーリレー85を介してスタータ36に接続されている。従って、パワーリレー85がオフのときにはスタータ36への電力供給がなされず、パワーリレー85がオンのときにはスタータ36への電力供給が可能となる(矢印A1で示す)。また第1バッテリ80aはATポンプリレー89を介してATポンプドライバ64に接続されている。従って、ATポンプリレー89がオフのときにはATポンプドライバ64への電力供給がなされず、ATポンプリレー89がオンのときにはスタータ36への電力供給が可能となる(矢印A3で示す)。さらに第1バッテリ80aはオルタネータ28に常時接続され、オルタネータ28で発電された電気が充電される。
第2バッテリ80bは第1バッテリ80aよりも小容量で、スタータ駆動専用のバッテリである。第2バッテリ80bはスタータ36に常時接続され、電力供給が可能となっている。また第2バッテリ80bはチャージリレー87を介してオルタネータ28と接続されている。これにより、チャージリレー87がオンのとき、オルタネータ28で発電された電気が第2バッテリ80bに充電される(矢印A2で示す)。
このような2バッテリシステムには自動停止制御において次のような利点がある。後述するように、当実施形態ではエンジン自動停止からの再始動時にスタータ36を駆動させる場合がある。スタータ36の駆動には比較的大きな電流が必要なので、バッテリ電圧が一時的に低下する。電気負荷82の中には、各種ライトやデフォッガ等のように、そのような電圧低下が殆ど問題にならないものもあるが、エアバッグコントロールユニット、EHPAS(電子油圧式パワーステアリング)コントロールユニット、ナビゲーションシステム、オーディオ、各種メータ類等、一時的な電圧低下が望ましくないものも多い。
そこで当実施形態では、電気負荷82には第1バッテリ80aから安定電圧で電力を供給し、スタータ36には専用の第2バッテリ80bから電力を供給する。こうすることにより、再始動時にスタータ駆動を行って第2バッテリ80bの電圧が一時的に低下しても、その影響が電気負荷82に及ばないようにすることができる。
なお当実施形態では、第2バッテリ80bの充電状態が不充分な場合には、パワーリレー85をオンにして第1バッテリ80aからも併せて電力を供給させる。こうすることにより、供給電力不足によるスタータ36の作動不良を可及的に回避することができる。
図4は、当該車両のPT制御ユニット100を中心とする制御ブロック図である。図4では、特に当実施形態の説明に必要な部分のみを抽出して示している。
PT制御ユニット100は、エンジン1及び自動変速機60(これらを合わせてPT:パワートレインという)並びに車両の電気負荷82を総合的に制御するユニットである。PT制御ユニット100には、上述した各種のセンサやスイッチ類、すなわちエアフローセンサ25、吸気圧センサ26、クランク角センサ30,31、カム角センサ32、水温センサ33、アクセル開度センサ34及びIGキースイッチ38からの信号が入力される。
またPT制御ユニット100にはブレーキセンサ39からの信号が入力される。ブレーキセンサ39はブレーキの状態を検出するセンサである。例えばブレーキ油圧を検出する油圧センサが用いられる。この場合、ブレーキ油圧が所定値以上のときブレーキオンと判定される。或いは、ブレーキペダルが踏み込まれたか否かを検出するブレーキスイッチのようなものでも良い。
これらの入力信号を受けたPT制御ユニット100は、その制御対象である燃料噴射弁16、スロットル弁24a、点火装置27、オルタネータ28、スタータ36、自動変速機60の油圧機構66、ATポンプドライバ64、電気負荷82、パワーリレー85、チャージリレー87及びATポンプリレー89に対して制御信号を出力する。
また当該車両にはワーニング報知部90が設けられている。これは、オイル切れ等、各種のワーニング(警告)を運転者に報知するものであり、一般的にはインスツルメントパネル内に列設されたワーニングランプ等である。PT制御ユニット100は、このワーニング報知部90に対しても必要に応じて制御信号を出力する。
PT制御ユニット100は、CPU、メモリ、カウンタタイマ群、インターフェース及びこれらを接続するバスを有するマイクロプロセッサで構成されている。そしてPT制御ユニット100は、燃焼制御部102、AT制御部104、ATポンプドライバ制御部105、バッテリ状態検出部106、スタータ制御部108、リレー制御部110、電気負荷制御部112及びエンジン停止処理部114を機能的に含む。
燃焼制御部102は、エアフローセンサ25、吸気圧センサ26、クランク角センサ30,31、カム角センサ32、水温センサ33及びアクセル開度センサ34からのセンサ信号に基き、エンジン1の適正なスロットル開度(吸気量)、燃料噴射量とその噴射タイミング、及び適正点火時期を設定し、その制御信号を燃料噴射弁16、スロットル弁24a(のアクチュエータ24b)、点火装置27に出力する。
AT制御部104は、自動変速機60(AT)の油圧機構66に対する制御を行う油圧制御手段である。具体的には、油圧機構66内の各種ソレノイドバルブに制御信号を送る。例えばAT制御部104は、予め設定された自動変速パターンに基いて、或いは運転者による図略のシフトレバー操作に基いて、ソレノイドバルブ(オン/オフバルブ)に変速信号を送って変速させる。また、走行状態またはエンジン負荷(例えばアクセル開度で検出)に応じたライン圧とするために、DUTYソレノイドバルブに調圧信号を送り、機械式オイルポンプ61または電動式オイルポンプ62の吐出圧を適正な作動油圧(ライン圧)に調圧する。
図5は、ライン圧を調圧するDUTYソレノイドバルブの調圧特性図である。横軸にDuty率(%)、縦軸に油圧(MPa)を示す。この特性図に示すように、油圧(ライン圧)はDuty率が大きいほど高くなるように設定されている。一般的に、車速など他の条件が同じであれば、エンジン負荷が大きいほど伝達トルクが高くなるのでライン圧も高くする側に、すなわちDuty率を高くする側に設定される。
なおエンジン自動停止中のライン圧(電動式オイルポンプ62の吐出圧)は、比較的低い第1油圧P1(Duty率=30%相当)に設定されている。但し再始動条件が成立した後の所定期間、詳しくは燃焼が確認された時点から0.5s間は、より高い第2油圧P2(Duty率=100%相当、1〜2MPa程度)に設定される。こうすることにより油圧クラッチ等のトルク容量が充分確保されるので、その後にエンジントルクが増大しても適正な動力伝達を行うことができる。
図4に戻って説明を続ける。ATポンプドライバ制御部105は、ATポンプドライバ64の動作を制御する。具体的には、エンジン1が通常運転中にはATポンプドライバ64を停止させる。そしてエンジン1が自動停止中にはATポンプドライバ64に電動式オイルポンプ62を通常駆動させる。このときのライン圧は上述のように第1油圧P1である。通常駆動でライン圧が第1油圧P1であれば電動式オイルポンプ62は連続駆動可能である。
一方上述のように再始動後の所定期間、ライン圧が第2油圧P2とされる。このとき、そのような高圧のライン圧を実現するため、ATポンプドライバ制御部105はATポンプドライバ64に電動式オイルポンプ62をフル駆動(最大出力で駆動)させる。上述のようにATポンプドライバ64は小容量タイプなので、ライン圧を第2油圧とした状態で連続フル駆動させるとその駆動回路に支障をきたす。しかし実際には第2油圧P2とする期間がごく短時間(0.5s)なので、その範囲においてATポンプドライバ64の信頼性に問題はない。
バッテリ状態検出部106は、バッテリ80、特に第2バッテリ80bの充電状態を検出する。第2バッテリ80bの充電状態を検出するために、例えば別途電源電圧センサ等を設けても良いが、当実施形態では、スタータ36によるクランキング時のエンジン回転速度(クランキング回転速度)によって判定を行っている。すなわちクランキング回転速度が所定回転速度N4(例えばN4=50rpm)よりも高い場合に第2バッテリ80bの充電状態が充分であると判定され、そうでないときに第2バッテリ80bの充電状態が不充分であると判定される。
スタータ制御部108は、キー始動時及びエンジン自動停止制御における再始動においてスタータ36駆動が必要とされたときにスタータ36に駆動信号を送りスタータ36を駆動させる。
リレー制御部110は、図3に示すパワーリレー85、チャージリレー87およびATポンプリレー89を必要に応じてオン/オフさせる。
電気負荷制御部112は、運転者や搭乗者のスイッチ操作に基き、或いは自動的に、電気負荷82を作動させたりその作動状態を変化させたりする。
エンジン停止処理部114は、通常のエンスト時に所定のエンスト処理を行う。エンスト処理とは、通常運転中のエンストが起こったときに実行される所定の処理である。当実施形態のエンスト処理は、ワーニング報知部90に一定の動作を行わせる。例えばワーニング報知部90がインスツルメントパネル内に列設されたワーニングランプであれば、それらを一斉に点灯させる。なお後述するように、このエンスト処理は、エンジン自動停止制御において所定のエンジン停止状態となったときにも実行される。
そしてPT制御ユニット100は、それ全体として、所定の自動停止条件が成立したときにエンジン1を自動停止させ、停止後、所定の再始動条件が成立したときにエンジン1を自動的に再始動させる自動停止制御を行う自動停止制御手段となっている。
次にPT制御ユニット100によって行われる自動停止制御について説明する。まずPT制御ユニット100は、予め設定されたエンジンの自動停止条件が成立したとき、各気筒12A〜12Dへの燃料噴射を所定のタイミングで停止(燃料カット)して自動的にエンジンを停止させるとともに、自動停止時のピストン13の停止位置を後述する適正範囲Aに停止させるよう各種制御を実行する。当実施形態におけるエンジンの自動停止条件は、エンジン1がアイドル運転状態、車速が所定値以下(停止を含む)、ブレーキオン(例えばブレーキ油圧が所定値以上)、水温が所定温度(例えば80℃)以上、エアコンオフ等を含み、これらが全て成立したときに自動停止条件が成立したと判定される。
ピストン13を適正範囲Aに停止させるのは、後の再始動時に燃焼再始動(第1始動形態)を行わせるためであるが、その点について以下説明する。
第1始動形態では、まずエンジン1の自動停止時に圧縮行程にあった停止時圧縮行程気筒に燃料を噴射し点火することで初回の燃焼を行わせ、次にエンジン1の自動停止時に膨張行程にあった停止時膨張行程気筒に燃料を噴射し点火することで2回目の燃焼を行わせてエンジンを再始動させる。この燃焼再始動では、初回の燃焼によりエンジンが少しだけ逆回転して上記停止時圧縮行程気筒のピストン13が押し下げられ、停止時膨張行程気筒のピストン13が上昇する。これにより停止時膨張行程気筒内の空気は圧縮される。従って、この圧縮された空気に燃料を噴射し点火することで2回目の燃焼が実現されて、クランクシャフト3に正回転の駆動トルクが与えられる結果、エンジンが自動的に再始動する。
第1始動形態で適正に再始動させるには、停止時膨張行程気筒で得られる燃焼エネルギーを充分に確保することにより、これに続いて圧縮上死点を迎える気筒がその圧縮反力に打ち勝って圧縮上死点を超えるようにしなければならない。そのためには停止時膨張行程気筒内に充分な空気量を確保しておく必要がある。またその空気を圧縮するために必要なエンジン逆回転エネルギーを得るためには、停止時圧縮行程気筒内にも一定量以上の空気量を確保しておく必要がある。
図6は、エンジン1の停止時圧縮行程気筒および停止時膨張行程気筒の各空気量とクランク角度の関係を示す説明図である。横軸にクランク角度(deg.)、上段縦軸に停止時圧縮行程気筒の空気量、下段縦軸に停止時膨張行程気筒の空気量を示す。この図に示すように、あるクランク角度において停止時圧縮行程気筒の空気量と停止時膨張行程気筒の空気量とは相反する関係にある。従って上述のように停止時圧縮行程気筒にも停止時膨張行程気筒にも一定量以上の空気量を確保するためには、ピストン13を上死点(TDC)と下死点(BDC)との中間付近に停止させれば良いことになる。必要空気量のバランスをより詳細に研究した結果、ピストン13を適正範囲A内に停止させるのが最適である。適正範囲Aは、停止時圧縮行程気筒から見れば上死点前(BTDC)80〜60°CA(クランク角)、停止時膨張行程気筒から見れば上死点後(ATDC)100〜120°CAである。
PT制御ユニット100は、エンジン1を自動停止させる際、ピストン13を適正範囲Aに停止させるべく、スロットル弁制御とオルタネータ制御とを実行する。スロットル弁制御は、スロットル弁24aを制御して、エンジン1が完全に停止するまでに各気筒12A〜12Dに流入する吸入空気量を調整する制御である。具体的には、まず燃料噴射の停止時点でスロットル弁24aの開度を大きな値に設定して掃気を促進させ、停止時膨張行程気筒および停止時圧縮行程気筒に多くの新気を吸入させる。そして停止時圧縮行程気筒よりも停止時膨張行程気筒の方にやや多くの新気が吸入される所定のタイミングでスロットル弁24aの開度を低減する。
なお、エンジン1が完全に停止するまでは、気筒12A〜気筒12Dのうち、何れが停止時圧縮行程気筒で何れが停止時膨張行程気筒なのか不確定である(一方が確定すれば他方は点火順序から自動的に確定する)。しかし燃料噴射を停止してからエンジン1が完全に停止するまでのエンジン回転速度Neの変化を監視し、それに応じた制御を行うことにより、上記のスロットル弁制御を適正に行うことができる。
具体的には、燃料噴射を停止させるエンジン回転速度N1を予め設定しておき(例えばN1=760rpm)、どのタイミング(エンジン回転速度Ne=N2)でスロットル弁24aを閉じればピストン13が適正範囲Aにある状態で停止するのかを予め策定、記憶しておく(例えばN2=500rpm)。そして実際の自動停止制御において、エンジン回転速度Neが設定値N2まで低下した時点でスロットル弁24aを閉じるようにすれば良い。
オルタネータ制御は、オルタネータ28の発電量(エンジン負荷)を制御することにより燃料噴射停止後のエンジン回転速度Neの落ち込み具合を調整して、ピストン13の停止位置をより精度良く調整する制御である。燃料噴射を停止すると、エンジン回転速度Neは振動(波打ち)しながら低下して行く。この振動の谷となるタイミングは、気筒12A〜12Dの何れかが圧縮上死点を通過するタイミングと一致する。エンジンの特性にもよるが、エンジン1は、燃料カットから10回程度の振動の谷を経過した後、完全停止する。そこで、ピストン13が適正範囲Aで停止するような理想的な停止パターン(具体的には各振動の谷に相当するエンジン回転速度Ne)を予め策定して記憶しておき、そのパターンを辿るようにエンジン1を停止させれば、ピストン13を適正範囲Aに停止させる精度を高めることができる。
そこでオルタネータ制御では、エンジン回転速度Neが燃料噴射停止回転速度N1から低下する過程で、180°CA毎(各気筒12A〜12Dの何れかが圧縮上死点を通過するタイミング)のエンジン回転速度Neを検出し、この検出結果と予め設定した所定の落ち込み具合(振動の谷)とを比較して、エンジン回転速度Neの落ち込み具合がこの所定の落ち込み具合となるようにオルタネータ28の発電量(エンジン負荷)を制御する。
スロットル弁制御とオルタネータ制御とを用いれば、ピストン13をかなりの高精度で適正範囲A内に停止させることができる。しかしながら、エンジンの個体差や大気状態によっては、ピストン13が適正範囲A外で停止することもあり得る。そこでPT制御ユニット100は、次のようにして自動停止時のピストン停止位置を検出し、それが適正範囲A内にあるか否かを判定する。
図7は、ピストン停止位置の検出制御動作を示すフローチャートである。この検出制御がスタートすると、第1クランク角信号CA1(クランク角センサ30からの信号)および第2クランク角信号CA2(クランク角センサ31からの信号)に基づき、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLowであるか否か、または第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighであるか否かを判定する(ステップS1)。これにより、エンジン1の停止動作時における上記信号CA1,CA2の位相の関係が、図8(a)のようになるか、それとも図8(b)のようになるかを判定してエンジンが正転状態にあるか逆転状態にあるかを判別する。
すなわち、エンジンの正転時には、図8(a)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相遅れをもって生じることにより、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLow、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなる。一方、エンジンの逆転時には、図8(b)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相の進みをもって生じることにより、エンジンの正転時とは逆に第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がHigh、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がLowとなる。
そこで、ステップS1の判定がYESであれば、エンジンの正転方向のクランク角変化を計測するためのCAカウンタをアップし(ステップS2)、ステップS1の判定がNOの場合は、上記CAカウンタをダウンする(ステップS3)。そして、エンジンが完全に停止した後に上記CAカウンタの計測値を調べることでピストン停止位置を求める(ステップS4)。
図9は、PT制御ユニット100による制御、特に自動停止制御を中心とするフローチャートの前半(エンジン1が完全に停止するまで)である。
PT制御ユニット100は、上述したエンジン停止条件が成立するまでは通常の運転制御を実行する(ステップS10でNO)。ステップS10の判定でYESであれば、PT制御ユニット100は以下のようなエンジン自動停止のための一連の制御を行う。
まずPT制御ユニット100は、上述したオルタネータ制御を含むエンジン回転速度調整制御を開始する(ステップS11)。具体的には、エンジン回転速度Neを停止前回転速度N1(例えば760rpm)に調節する。そして、エンジン回転速度NeがこのN1になった後(ステップS12でYES)、燃料噴射弁16からの燃料供給を停止する(ステップS13)。
続いてPT制御ユニット100はATポンプドライバ64に電動式オイルポンプ62を通常駆動させる(ステップS14)。従って、燃料供給停止に伴いエンジン回転速度Ne(=機械式オイルポンプ61のロータ回転数)が低下しても電動式オイルポンプ62から自動変速機60に油圧が供給される。AT制御部104はそのときのライン圧を第1油圧P1に設定する。これにより、自動変速機60の油圧機構66の動作(油圧クラッチ等の締結)が維持、継続される。
続いてPT制御ユニット100は上述したスロットル弁制御として、スロットル弁24aを開弁する(ステップS15)。そしてPT制御ユニット100は、エンジン回転速度Neが所定の回転速度N2(例えば約500rpm)よりも低くなったか否かを判定し(ステップS16)、YESの場合にはスロットル弁24aを閉弁する(ステップS17)。その後もPT制御ユニット100はオルタネータ制御を継続してピストン13の停止位置調整を実行し続け、クランク角センサ30,31の検出値に基いてエンジン1が完全に停止するのを待機する(ステップS18)。エンジン1が完全するまで、PT制御ユニット100は、ピストン13の停止位置調整を制御し続けるとともに、エンジン1が完全した場合には、オルタネータ制御を終了し(ステップS19)、クランク角センサ30,31によって検出されるピストン13の停止位置を記憶する(ステップS20)。
こうしてエンジン1が自動停止した後、所定の再始動条件が成立したらPT制御ユニット100はエンジンを再始動させる。再始動条件は、上記自動停止条件のうち1つでも不成立となった場合、例えば運転者が(再発進の目的で)ブレーキオフとした場合に成立する。
ピストン13が適正範囲A内にあるとき、再始動の形態として上述の第1始動形態が選択される。図10は第1始動形態を行った場合のタイムチャートである。横軸に時間(s)、縦軸にエンジン回転速度Ne(rpm)と各気筒12A〜12Dの筒内圧と図示トルクを示す。ここでは説明の都合上、停止時膨張行程気筒が気筒12Aであった場合について説明している。従って停止時圧縮行程気筒、停止時吸気行程気筒および停止時排気行程気筒は、点火順序から一義的にそれぞれ気筒12C、12D、12Bとなる。但し実際には何れの気筒が停止時膨張行程気筒となっても良い。
まず再始動条件が成立すると、停止時圧縮行程気筒12Cにおいて1回目の燃料噴射J2が行われ、それに対する点火によって燃焼が行われる。この燃焼による燃焼圧(図10中のa部分)で、停止時圧縮行程気筒12Cのピストン13が下死点側に押し下げられてエンジンが逆転方向に駆動される。
上記エンジンの逆転作動に伴って停止時膨張行程気筒12Aのピストン13が上死点方向に動き始める。そして、停止時膨張行程気筒12Aのピストン13が上死点側(望ましくは行程中央より上死点寄り)に移動し、停止時膨張行程気筒12A内の空気が圧縮された時点で燃料噴射J1が行われる。この噴射燃料の気化潜熱によって圧縮圧力が低減し、ピストン13がより上死点に近づくので圧縮空気(混合気)の密度が増大する(図10中のb部分)。
停止時膨張行程気筒12Aのピストン13が上死点に充分に近づいた時点で当該気筒12Aに対する点火が行われて、上記噴射燃料(J1)が燃焼し、その燃焼圧(図10中のc部分)によりエンジン1が正転方向に駆動される。
また、停止時圧縮行程気筒12Cに対して適当なタイミングで可燃空燃比よりもリッチな燃料が噴射(J3)されることにより、この停止時圧縮行程気筒12Cでは燃焼させないものの、燃料噴射による気化潜熱によって当該気筒12Cの圧縮圧力が低減され(図10中のd部分)、これに応じて当該圧縮上死点(始動開始から最初の圧縮上死点:第1TDC)を超えるために消費される停止時膨張行程気筒12Aの最初の燃焼エネルギーが低減されることになる。
時点t1で停止時圧縮行程気筒12Cが圧縮上死点(第1TDC)を超えると、次は停止時吸気行程気筒12Dが圧縮行程となる。この停止時吸気行程気筒12Dが次に燃焼が行われる気筒である。PT制御ユニット100は、吸気行程気筒12Dにおける燃料噴射(J4)の時期を、燃料の気化潜熱によって気筒内の温度、および圧縮圧力を低下させる適正なタイミング(例えば圧縮行程の中期以降)に設定しているため、停止時吸気行程気筒12Dの圧縮行程で圧縮上死点前に自着火することが防止される。また、停止時吸気行程気筒12Dの点火時期が圧縮上死点以降に設定されていることも相俟って、圧縮上死点前での燃焼が防止される(図10中のe部分)。つまり燃料噴射(J4)による圧縮圧力の低減と圧縮上死点前の燃焼を行わないことにより、停止時膨張行程気筒12Aにおける初回燃焼のエネルギーが上記圧縮上死点(エンジン始動開始時点から2番目の圧縮上死点:第2TDC)を超えるために消費されるのを抑制することができる。
このようにして停止時膨張行程気筒12Aにおける初回燃焼のエネルギーにより、再始動開始後の最初の圧縮上死点(第1TDC)と2番目の圧縮上死点(第2TDC)とを超えることが可能となり、円滑で確実な始動性を確保することができる。
第1始動形態では、この時点t2における2番目の圧縮上死点(第2TDC)を超えられるか否かが、再始動の成否を分ける重要なポイントとなる。換言すれば2TDを超えると再始動の確実性が格段に高くなる。そこでPT制御ユニット100は、その時点t2をもって燃料噴射(J1)の燃焼が確認されたと判定する。そして電動式オイルポンプ62をフル駆動させるとともに油圧機構66のライン圧を第1油圧P1から第2油圧P2に切換える。このように第1始動形態に適したライン圧の上昇を図ることにより、第2油圧P2の維持期間が0.5sという短時間であっても、自動変速機60が適正な動力伝達を行うことができる。
当実施形態では、自動停止時にピストン13が適正範囲A内で停止する確度を高めるような制御(上述のスロットル弁制御やオルタネータ制御など)を採用していることもあって、殆どの場合第1始動形態が選択される。第1始動形態(燃焼再始動)を行うことにより、全ての再始動においてスタータ36を駆動させる場合に比べ、スタータ36やリングギア35にかかる負担を格段に低減させ、その耐久性を高めることができる。
但し必ずしもピストン13が適正範囲A内で停止するとは限らず、また第1始動形態を試みた結果、それが失敗する可能性もある。そこでそれらの場合に備えて、当実施形態では第2始動形態および第3始動形態を用意している。
第2始動形態は、ピストン13が適正範囲A外で停止した場合に採用される。第2始動形態では、一旦エンジン1を逆転させることなく、最初から正転駆動させる。具体的には、停止時膨張行程気筒での燃焼を行わせるとともに、スタータ36によっても駆動力を付与し、確実な始動を図る(スタータアシスト)。
なお第2始動形態では、エンジン1を一旦逆転させることがないので、その分、第1始動形態よりも始動時間は短くなる。そこでPT制御ユニット100は、第1始動形態よりも早いタイミング、具体的には最初の圧縮上死点第1TDCを越えた時点で燃焼が確認されたと判定し、ライン圧を第1油圧P1から第2油圧P2に切換える。こうすることにより、第2始動形態に適したライン圧の上昇を図ることができる。
次に第3始動形態は、一旦上記第1始動形態が試みられ、それが失敗した場合に採用される。具体的には、第1始動形態が失敗したことが確認されたとき、続けてスタータ36を駆動させ、確実な始動を図る(スタータバックアップ)。第3始動形態により、始動の確実性はより向上する。また始動時間は第1始動形態や第2始動形態よりも長くなる。そこでPT制御ユニット100は、スタータ駆動を開始した時点からの最初の圧縮上死点第1TDCを越えた時点で燃焼が確認されたと判定し、ライン圧を第1油圧P1から第2油圧P2に切換える。こうすることにより、第3始動形態に適したライン圧の上昇を図ることができる。
なお上述したように、スタータ36を駆動するにあたり、その電力は通常は第2バッテリ80bから供給される。そして第2バッテリ80bの充電状態が不充分な場合はパワーリレー85がオンとされ、第1バッテリ80aからもスタータ36に電力が供給される。しかしながら、第1バッテリ80aの充電状態も不充分であった場合、かなり稀なケースではあるがスタータ36が適正に駆動せず、結果的にエンジン1が始動しない可能性がある。そのような場合、制御手段100のエンジン停止処理部114は上述のエンスト処理を行う。エンスト処理が実行されると、通常運転中のエンストが起こったときと同様の状態となる。それによって運転者に、「バッテリ上がりによって始動できない一般的な状態である」と違和感なく認識させることができる。換言すれば、「バッテリ上がりの状態であるにもかかわらず、運転者がそれを認識せずに自動的に再始動されるものと思って待ち、待っても再始動されないので違和感や始動性不良感を抱く」という事態を回避することができる。
図11は、図9に示すフローチャートの後半(再始動部分)である。エンジン1が停止した後、再始動制御が成立したら(ステップS31でYES)、PT制御ユニット100はピストン13が適正範囲A内に停止しているか否かを判定する(ステップS35)。
ステップS35でYESであれば第1始動形態が実行される。すなわちまず停止時圧縮行程気筒12Cでの燃焼が行われる(ステップS36)。次に、その燃焼による始動が不良であったか否かが判定される(ステップS37)。具体的には、エンジンが狙い通り逆転しなかった場合に始動不良と判定される。この判定には、ピストン停止位置算出方法と同様の演算が適用される。すなわち図8(b)に示すような逆転時のエッジ波形が検出されれば狙い通りにエンジンが逆転したと判定される。
ステップS37でNO、つまり狙い通りにエンジンが逆転したことが確認されると、続いて停止時膨張行程気筒12Aでの燃焼が行われる(ステップS40)。その後停止時圧縮行程気筒12Cや吸気行程気筒12Dでの燃料噴射(図10に示すJ3、J4)を経て第2TDCを通過したことが確認されると(ステップS41)、確実な燃焼が行われたと確認され、電動式オイルポンプ62がフル駆動され、ライン圧が第2油圧P2に設定される。それと同時にこれを継続する期間を計測するためのタイマーTfulがスタートされる(ステップS45)。
その後は、エンジンの温間ロックを防止するために圧縮行程噴射での燃焼制御が行われ(ステップS47)、エンジン回転速度Ne>N6(=500rpm)となった時点(ステップS49でYES)で吸気行程噴射に切替えられ、通常の燃焼制御に移行される(ステップS50)。
そしてタイマーTful>0.5sとなった時点(ステップS52でYES)で電動式オイルポンプ62が停止され(ステップS53)、リターンされる。その後の自動変速機60への油圧供給は機械式オイルポンプ61によってなされる。また油圧機構66のライン圧は通常運転時の設定とされる。
遡って、ステップS35でNOと判定された場合にはステップS55に移行して第2始動形態が実行される。またステップS37でYES(始動不良)の場合や、ステップS40の後に第2TDCを通過する前にエンジン1が停止したり逆転したりした場合(ステップS43でYES)には、ステップS57に移行して第3始動形態が実行される。
図12は、第2始動形態(スタータアシスト制御)及び第3始動形態(スタータバックアップ制御)のサブルーチンである。まず第2始動形態から説明する。このサブルーチンがスタートすると、スタータ36が駆動される(ステップS61)とともに停止時膨張行程気筒12Aでの燃焼が行われる(ステップS63)。そして第1TDCを通過したことが確認されると(ステップS67でYES)、燃焼が確認されたと判定され、電動式オイルポンプ62がフル駆動され、ライン圧が第2油圧P2に設定される。それと同時にこれを継続する期間を計測するためのタイマーTfulがスタートされる(ステップS71)。
その後は、エンジンの温間ロックを防止するために圧縮行程噴射での燃焼制御が行われ(ステップS73)、エンジン回転速度Ne>N5(=400rpm)となった時点(ステップS75でYES)でスタータ36の駆動が停止される(ステップS77)。なおステップS77で、パワーリレー85がオンとなっている場合にはこれをオフにする。その後はリターンされ、図11のステップS49に移行する。
ところで、ステップS67でYESとなる前に、エンジン回転速度Ne(クランキング回転速度)≦N4(=50rpm)であるか否かの判定が行われる(ステップS81)。ステップS81でYESと判定された場合、第2バッテリ80bの充電状態が不充分であることを意味する。その場合にはパワーリレー85がオンとされ(ステップS83)、第1バッテリ80aからもスタータ36に電力供給される。そして、それにもかかわらずエンジンが停止した場合(ステップS85でYES)、燃焼が未確認であり、第2油圧P2への切換えは行われない。そしてPT制御ユニット100は噴射・点火制御を停止し(ステップS87)、スタータ駆動も停止し(ステップS89)、さらに電動式オイルポンプ62も停止させる(ステップS91)。そしてエンスト処理を実行し(ステップS93)、運転者にバッテリ上がり状態であることを報知する。
次に同図12を参照して第3始動形態を説明する。このサブルーチンがスタートすると、スタータ36が駆動され(ステップS65)、その後はステップS67に移行して第2始動形態と同様の制御が実行される。但しこの場合のステップS67における第1TDCとは、ステップS65でスタータ36を駆動した時点からの最初の圧縮上死点である。
以上のように当実施形態によれば、AT制御部104(油圧制御手段)が、再始動の開始後、エンジンの燃焼が確認された時点でライン圧を第1油圧P1から第2油圧P2に切換えるので、各始動形態に適した第2油圧P2の維持期間とすることができる。結果的に第2油圧P2の維持期間が0.5sという短時間を実現することができ、電動式オイルポンプ62やATポンプドライバ64の小容量化と信頼性確保とを両立させつつ、自動変速機60への適正な油圧供給を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定するものではなく、特許請求の範囲内で適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、第2油圧を維持する期間を0.5sとしたが、必ずしもこれに限定するものではない。
また第1、第2油圧は、第1油圧P1<第2油圧P2の関係であればその大きさは問わないが、その差が大きいほど本発明の効果が顕著になる。
第1、第2油圧P1、P2に対応するDuty率は、必ずしも30%、100%でなくても良い。また図5に示す油圧(ライン圧)特性は、必ずしもこのような特性でなくても良く、例えばDuty率が大きいほどライン圧が低下するような特性であっても良い。その場合の第1、第2油圧P1、P2に対応するDuty率は、その油圧特性に応じて適宜設定すれば良い。
燃焼再始動は、必ずしも第1始動形態に限定するものではなく、例えば最初から停止時膨張行程気筒12Aでの燃焼を行わせるタイプの燃焼再始動であっても良い。但し第1始動形態の方が一旦停止時膨張行程気筒12Aの混合気を圧縮する分始動性に優れ、また第2始動形態との始動時間の差が大きくなるので本発明の効果をより顕著に奏することができる。
第3始動形態は必ずしも必要ではない。また必要に応じてさらなる別の始動形態を設けても良い。
上記実施形態では、バッテリ80として第1バッテリ80aと第2バッテリ80bとの2個を備える2バッテリシステムを採用しているが、1個のバッテリを備えるもの、或いは3個以上のバッテリを備えるものであっても良い。
1 エンジン
12A 停止時膨張行程気筒(停止時に膨張行程にある気筒)
12C 停止時圧縮行程気筒(停止時に圧縮行程にある気筒)
36 スタータ
60 自動変速機
61 機械式オイルポンプ
62 電動式オイルポンプ
100 PT制御ユニット(自動停止制御手段)
104 AT制御部(油圧制御手段)
A 適正範囲
12A 停止時膨張行程気筒(停止時に膨張行程にある気筒)
12C 停止時圧縮行程気筒(停止時に圧縮行程にある気筒)
36 スタータ
60 自動変速機
61 機械式オイルポンプ
62 電動式オイルポンプ
100 PT制御ユニット(自動停止制御手段)
104 AT制御部(油圧制御手段)
A 適正範囲
Claims (5)
- 所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させ、停止後、所定の再始動条件が成立したときに、上記エンジンを自動的に再始動させる自動停止制御を行う自動停止制御手段と、
上記エンジンに外部から駆動力を付与して始動させるスタータと、
自動変速機と、
上記エンジンで駆動され、上記自動変速機に作動油圧を供給する機械式オイルポンプと、
上記機械式オイルポンプと併用または単独で用いられ、上記自動変速機に作動油圧を供給する電動式オイルポンプと、
上記自動停止中、上記電動式オイルポンプからの作動油圧を所定の第1油圧に制御するとともに、上記再始動条件が成立した後の所定期間は上記第1油圧よりも高い第2油圧に維持するように制御する油圧制御手段とを備え、
上記自動停止制御手段は、停止中のエンジンで燃焼を行わせてその燃焼エネルギーで再始動させる燃焼再始動と、上記スタータを用いるスタータ再始動とを使い分けるものであって、
上記油圧制御手段は、上記再始動の開始後、エンジンの燃焼が確認された時点で上記作動油圧を上記第1油圧から上記第2油圧に切換えることを特徴とする自動変速機付き車両用エンジンの自動停止装置。 - 上記燃焼再始動は第1始動形態を含むとともに、上記スタータ再始動は第2始動形態を含み、
上記第1始動形態は、自動停止中のエンジンのピストン停止位置が所定の適正範囲内にあるとき、停止時に圧縮行程にある気筒で燃焼を行わせて一旦逆転させた後、停止時に膨張行程にある気筒で燃焼を行わせるものであり、
上記第2始動形態は、自動停止中のエンジンのピストン停止位置が上記適正範囲内にないとき、上記逆転を行わせることなく停止時に膨張行程にある気筒で燃焼を行わせるとともに上記スタータを併用するものであることを特徴とする請求項1記載の自動変速機付き車両用エンジンの自動停止装置。 - 上記スタータ再始動は第3始動形態を含み、
該第3始動形態は、一旦上記燃焼再始動を試みた結果それに失敗した場合に上記スタータを駆動させるものであることを特徴とする請求項1または2記載の自動変速機付き車両用エンジンの自動停止装置。 - 上記油圧制御手段は、上記第1始動形態において、再始動の開始後、全気筒を対象とした2番目の圧縮上死点を超えたことが検出された時点をもって、上記エンジンの燃焼が確認された時点とすることを特徴とする請求項2または3記載の自動変速機付き車両用エンジンの自動停止装置。
- 上記油圧制御手段は、上記スタータ再始動において、スタータ駆動開始後の最初の燃焼後の、全気筒を対象とした最初の圧縮上死点を超えたことが検出された時点をもって、上記エンジンの燃焼が確認された時点とすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の自動変速機付き車両用エンジンの自動停止装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2007
- 2007-03-27 JP JP2007080999A patent/JP2008240856A/ja active Pending
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