JP2008215299A - 手動変速機付き車両用エンジンの自動停止始動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】手動変速機付き車両において、エンジン1の再始動の際の車両の後退を確実に防止する。
【解決手段】始動モータ54を用いてエンジン1を始動させるスタータ始動手段41と、停止中のエンジン1において圧縮行程にある気筒12内に燃料を噴射して点火することにより、エンジン1を一旦、逆転作動させると共に、これに伴い圧縮される膨張行程にある気筒12内に燃料を噴射すると共に、前記の逆転作動後に点火することによりエンジン1を始動させる燃焼始動手段42と、を備える。自動停止始動手段2は、エンジン1の停止中にクラッチ機構51を開放するクラッチオン条件を含む、所定の始動条件が成立したときに手動変速機52がニュートラル状態にあるときには、燃焼始動手段42によりエンジン1を始動させ、手動変速機52がギヤイン状態にあるときには、スタータ始動手段41によりエンジン1を始動させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、所定の始動条件が成立したときに、自動停止させたエンジンを再始動させる手動変速機付き車両用エンジンの自動停止始動装置に関する。
従来より、燃費やエミッション性の向上を目的として、車速が零になることを含む所定の停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させると共に、エンジンの停止中に所定の始動条件が成立したときに、当該エンジンを自動的に始動させる、いわゆるアイドルストップを行うシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に開示されたシステムでは、エンジンに対しクラッチ機構を介して手動変速機が接続された構成を有しており、このように手動変速機を組み合わせたアイドルストップシステムにおいては、クラッチペダルを踏み込み操作してクラッチ機構を開放する(クラッチオン)ことが、エンジンの始動条件の1つとして設定されていることが一般的である。
また、エンジンの始動を、停止状態で膨張行程にある気筒内に燃焼を噴射して点火することによって行う、いわゆる燃焼始動と呼ばれる始動方法が知られている。この燃焼始動は、詳細には、停止状態で圧縮行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することによりエンジンを一旦、逆転作動させ、それによって圧縮される膨張行程にある気筒内に燃料を噴射して点火を行うことにより、エンジンを始動させる。このようにエンジンを一旦、逆転作動させることによって、始動トルクを増大させてエンジンの始動性を向上させることができる。
特許第2929740号公報
ところが、前記の燃焼始動を行うエンジンと手動変速機との組み合わたアイドルストップシステムでは、クラッチオンでエンジンを再始動しようとしたときに、手動変速機がギヤイン状態でかつそのクラッチ操作が素早く行われてしまうと、エンジンが逆転作動している最中にクラッチが締結されることになって、車両が後退してしまうという不都合がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、手動変速機付き車両において、エンジンの再始動の際の車両の後退を確実に防止することにある。
本発明の一側面によると、手動変速機付き車両用エンジンの自動停止始動装置は、車両に搭載されたエンジンと、シフト操作に応じてギヤイン状態とニュートラル状態とに切り替えられる手動変速機と、前記エンジンと手動変速機との間に介設されかつ、クラッチ操作に応じて締結・開放されることにより、前記エンジンから前記手動変速機側へのトルクの伝達・遮断を切り替えるクラッチ機構と、始動モータを用いて前記エンジンを始動させるスタータ始動手段と、停止中の前記エンジンにおいて圧縮行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することにより、前記エンジンを一旦、逆転作動させると共に、これに伴い圧縮される膨張行程にある気筒内に燃料を噴射すると共に、前記の逆転作動後に点火することにより前記エンジンを始動させる燃焼始動手段と、所定の停止条件が成立したときに前記エンジンを自動的に停止させると共に、前記エンジンの停止中に前記クラッチ機構を開放するクラッチオン条件を含む、所定の始動条件が成立したときに前記エンジンを自動的に始動させる自動停止始動手段と、を備え、前記自動停止始動手段は、前記所定の始動条件が成立したときに前記手動変速機がニュートラル状態にあるときには前記燃焼始動手段により前記エンジンを始動させ、前記所定の始動条件が成立したときに前記手動変速機がギヤイン状態にあるときには前記スタータ始動手段により前記エンジンを始動させる。
この構成によると、自動停止始動手段は、クラッチ機構を開放するクラッチオン条件を含む所定の始動条件が成立したときに、手動変速機がニュートラル状態にあるときには、燃焼始動手段によりエンジンを始動させる。この場合、エンジンが逆転作動している最中にクラッチが仮に締結されたとしても、手動変速機がニュートラル状態であるため、車両は後退しない。
一方、手動変速機がギヤイン状態にあるときには、燃焼始動手段によりエンジンを始動させる代わりに、スタータ始動手段によりエンジンを始動させる。これにより、エンジンの逆転作動はないため、始動モータによるエンジンの始動の最中にクラッチが仮に締結されたとしても、車両は後退しない。
従ってこの構成では、燃焼始動が可能なエンジンと手動変速機とを組み合わせたシステムにおいて、エンジンの再始動時における車両の後退が確実に回避される。
本発明の他の側面によると、手動変速機付き車両用エンジンの自動停止始動装置は、車両に搭載されたエンジンと、シフト操作に応じてギヤイン状態とニュートラル状態とに切り替えられる手動変速機と、前記エンジンと手動変速機との間に介設されかつ、クラッチ操作に応じて締結・開放されることにより、前記エンジンから前記手動変速機側へのトルクの伝達・遮断を切り替えるクラッチ機構と、停止中の前記エンジンにおいて圧縮行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することにより、前記エンジンを一旦、逆転作動させると共に、これに伴い圧縮される膨張行程にある気筒内に燃料を噴射すると共に、前記の逆転作動後に点火することにより前記エンジンを始動させる燃焼始動手段と、所定の停止条件が成立したときに前記エンジンを自動的に停止させると共に、前記エンジンの停止中に前記クラッチ機構を開放するクラッチオン条件を含む、所定の始動条件が成立したときに前記エンジンを自動的に始動させる自動停止始動手段と、を備え、前記自動停止始動手段は、前記所定の始動条件が成立したときに前記手動変速機がニュートラル状態にあるときには前記燃焼始動手段により前記エンジンを始動させ、前記所定の始動条件が成立したときに前記手動変速機がギヤイン状態にあるときには前記エンジンの始動を禁止する。
この構成によると、自動停止始動手段は、所定の始動条件が成立したときに、手動変速機がニュートラル状態にあるときには、燃焼始動手段により前記エンジンを始動させる。エンジンが逆転作動している最中にクラッチが仮に締結されたとしても、手動変速機がニュートラル状態であるため、車両は後退しない。
一方、手動変速機がギヤイン状態にあるときには、エンジンを始動自体を禁止する。これにより、エンジンの再始動に伴う車両の後退は防止される。尚、この場合は、例えばエンジンストールの状態にして、運転者のイグニッション操作によりエンジンを再始動させるようにしてもよい。
従ってこの構成では、燃焼始動が可能なエンジンと手動変速機とを組み合わせたシステムにおいて、車両の後退が確実に回避される。
以上説明したように、本発明によると、始動条件が成立したときに、手動変速機がニュートラル状態にあるときには、燃焼始動手段によってエンジンを再始動させる一方、手動変速機がギヤイン状態にあるときには、燃焼始動手段によるエンジンの再始動を禁止することで、エンジンの再始動時に車両が後退することを確実に防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
−アイドルストップシステムの概略構成−
図1及び図2は、本実施形態に係るエンジンの自動停止始動装置を含むアイドルストップシステムの実施形態を示し、このシステムEは、シリンダヘッド10及びシリンダブロック11を備えたエンジン1と、該エンジン1を制御するためのECU2(エンジンコントローラ)とを備えている。前記エンジン1には、図2に示すように4つの気筒12A〜12Dが設けられていて、該各気筒12A〜12Dの内部には、図1に示すように、クランク軸3に連結されるピストン13がそれぞれ嵌挿され、これにより、前記各気筒12A〜12D内部でピストン13の上方には燃焼室14が形成されている。
ここで、一般的に、多気筒4サイクルエンジンにおいては、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなる燃焼サイクルを行うようになっており、この実施形態の4気筒エンジンの場合、気筒列方向一端側から1番気筒12A、2番気筒12B、3番気筒12C、4番気筒12Dと呼ぶと、1番気筒(#1)、3番気筒(#3)、4番気筒(#4)、2番気筒(#2)の順にクランク角で180度ずつの位相差をもって燃焼が行われるようになっている。そうして、エンジン1の駆動に伴う出力トルクは、クランク軸3に対しクラッチ機構51を介して連結された手動変速機52を通じて駆動輪53に伝達されることになる。尚、図示は省略するが、クラッチ機構51には、運転者が踏み込み操作をするクラッチペダル及び、クラッチペダルの踏み込み操作時(クラッチ機構51の開放時)にオンとなるクラッチスイッチが含まれ、手動変速機52には、運転者が手動で操作するシフトレバー及び、シフトレバーがニュートラル位置にある(手動変速機52がニュートラル状態にあってギヤイン状態ではない)ときにオンとなるニュートラルスイッチが含まれる。クラッチスイッチ及びニュートラルスイッチの出力はそれぞれ、後述するようにECU2に入力される。
前記各気筒12A〜12Dのそれぞれの燃焼室14の頂部には、該燃焼室14内の混合気に点火して燃焼させるための点火プラグ15が設けられていて、それらの各点火プラグ15先端の電極が前記燃焼室14を臨むように配置されている。また、前記燃焼室14の側方(図1の右方向)には、先端の噴孔を燃焼室14に臨ませて燃料噴射弁16が配設されている。この燃料噴射弁16は、図示しないニードル弁及びソレノイドを内蔵し、前記ECU2からのパルス信号の入力によりそのパルス幅に対応する時間だけ開弁駆動されて、その駆動時間に応じた量の燃料を各気筒12A〜12D内に直接、噴射するように構成されている。そして、その燃料の噴射方向が前記点火プラグ15の電極付近に向かうように調整されている。
また、前記燃料噴射弁16には、図示しないが、燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給されるようになっており、その燃料供給圧は、各気筒12A〜12Dの圧縮行程中期以降で高圧の気筒内燃焼室14に燃料を噴射できるように、その燃焼室14の圧力よりも高い値に設定されている。
前記各気筒12A〜12Dの燃焼室14の上部には、該燃焼室14に向かって開口する吸気ポート17及び排気ポート18が設けられていて、これらのポート17,18に吸気弁19及び排気弁20がそれぞれ配設されている。これらの吸気弁19及び排気弁20は、図示省略のカムシャフト等からなる動弁機構により駆動され、上述のとおり、各気筒12A〜12Dが所定の位相差をもって燃焼サイクルを行うように、該各気筒毎の吸・排気弁19,20の開閉タイミングが設定されている。
また、前記吸気ポート17及び排気ポート18にそれぞれ連通するように吸気通路21及び排気通路22が設けられており、図2に示すように、前記吸気ポート17に近い吸気通路21の下流側は各気筒12A〜12D毎に独立の分岐吸気通路21aとされ、この各分岐吸気通路21aの上流端がそれぞれサージタンク21bに連通している。このサージタンク21bよりも上流の吸気通路21は各気筒12A〜12Dに共通の共通吸気通路21cであり、この通路21cには例えばバタフライ弁により通路断面積を調節して吸気流を絞るスロットル弁23と、これを駆動するアクチュエータ24とが配設され、さらに、図2にのみ示すが、スロットル弁23の上流側には吸気量を検出するためのエアフローセンサ25が配設されている。
一方、前記各気筒12A〜12Dからの排気が集合する排気通路22の集合部下流には、排気を浄化するための触媒29が配設されている。この触媒29は、いわゆる三元触媒とすればよいが、これに限るものではなく、例えば、いわゆるリーンNOx触媒であってもよい。
また、前記エンジン1には、ベルト等によりクランク軸3に駆動連結されたオルタネータ28が付設されており、このオルタネータ28によって発電された電力は、図示省略のバッテリに蓄電されるようになっている。
さらに、前記エンジンシステムEには、前記クランク軸3の回転角を検出する2つのクランク角センサ30,31が設けられており、主に一方のクランク角センサ30からの信号に基づいてエンジン回転速度を求めるとともに、それら2つのクランク角センサ30,31から出力される互いに位相のずれたクランク角信号によって、前記クランク軸3の回転方向及び回転角度を検出するようになっている。加えて、このエンジンシステムEには、カムシャフトの特定の回転位置を検出して気筒識別信号として出力するカム角センサ32、エンジン1の運転・停止を手動で切替えるオンオフ操作が行われるイグニッションスイッチ33(IGスイッチ)、アクセル操作量を検出するアクセル開度センサ34等が配設されている。また、符号56は、運転者に対する各種の警告を行うための、ワーニングランプやワーニングブザー等を含む警告装置であり、警告装置56は、ECU2によって作動される。
前記ECU2は、前記各センサ及びスイッチ25,30〜34並びに、前記のクラッチスイッチ及びニュートラルスイッチからの信号を受け、前記燃料噴射弁16に対して燃料噴射量及びその噴射時期を制御する信号を出力するとともに、点火プラグ15の点火装置27に対して点火時期を制御する信号を出力し、さらに、前記スロットル弁23のアクチュエータ24に対してスロットル開度を制御する信号を出力する。そして、以下に詳述するが、前記ECU2は、アイドル時において所定のエンジン停止条件が成立したときに、各気筒12A〜12Dへの燃料供給を停止して(燃料カット)自動的にエンジン1を停止させるとともに、その後、運転者のアクセル操作等により所定のエンジン再始動条件が成立したときには、自動的にエンジン1を再始動させるようになっている。
ここで、本実施形態に係るエンジン1は、その再始動に際し、後述する始動モータ54の力を借りることなく、エンジン1を自力で始動させることが可能にされている。すなわち、まず、ピストン13が圧縮行程の途中で停止している気筒12で最初の燃焼を行わせて、ピストン13を押し下げることにより、クランク軸3を少しだけ逆転させ、これにより、膨張行程にある気筒12のピストン13を上昇させて、この気筒12内の混合気を圧縮する。そして、そのようにして圧縮されて温度及び圧力の高くなった膨張行程気筒12内の混合気に点火して、燃焼させることにより、クランク軸3に正転方向のトルクを与えて、エンジン1を始動するようにしている(いわゆる燃焼始動)。
そのようにエンジン1を自力で始動させるためには、停止時に膨張行程にある気筒12の燃焼によってクランク軸3にできるだけ大きな正転方向のトルクを与え、これにより、続いて圧縮上死点(以下、TDCと略称)を迎える気筒12が、その圧縮反力(圧縮圧力)に打ち勝ってTDCを越えるようにしなければならない。従って、エンジン1の確実な始動のためには前記停止時膨張行程気筒12内に燃焼のための空気を十分に確保しておく必要がある。
それと共に、エンジンの始動性を高める上では、膨張行程にある気筒12のピストン13の停止位置を、再始動に好適な所定範囲内に収めるようにする必要がある。
そのために、前記のエンジン1は、その自動停止時に、スロットル弁23の開度調整による停止時圧縮行程気筒12や膨張行程気筒12内への吸入空気量を調整したり、オルタネータ28の発電量の調整によるエンジン1の外部負荷の調整を行ったりする。
但し、そのような自動停止時の制御を行っても、種々の要因により、膨張行程にある気筒12のピストン13の停止位置が所定範囲内に収まらない場合があり、その場合には、燃焼始動によるエンジン1の再始動を行わずに、始動モータ54による始動を行うことが望ましい。
前記エンジン1には、エンジン1を最初に始動するときや、前述した燃焼始動によるエンジン1の再始動が不可能なときにエンジンを始動するために、始動モータ54が設けられている。この始動モータ54は、前記クランク軸3に固定されたリングギヤ55に噛み合うピニオンギヤを備えており、このピニオンギヤは、リングギヤに噛み合う噛合位置と、リングギヤから離れた退避位置との間を往復移動可能にされている。始動モータ54によってエンジン1を再始動する際には、ECU2による制御に従って、ピニオンギヤを移動させてリングギヤ55に噛み合わせると共に始動モータ54を駆動させることによって、クランク軸3を回転駆動させることになる。
−エンジンの自動停止始動制御−
次に、前記ECU2によりエンジン1を自動で停止及び再始動する制御について、図3を参照しながら説明する。なお、図3は自動停止始動制御の手順を示すフローチャート図である。
先ずステップS1においては、エンジン停止条件が成立したか否かを判定する。ここでエンジン停止条件としては、例えば車速が所定速度よりも小さいこと、ブレーキが作動していること、エンジン水温が所定温度以上であること等が挙げられる。エンジン停止条件が成立していないのNOのときには、このステップS1を繰り返すのに対し、エンジン停止条件が成立したのYESのときには、ステップS2に移行する。
ステップS2では、エンジン1の自動停止を行うべく燃料カットを開始し、続くステップS3でエンジン1が停止したか否かを判定する。エンジン1が停止していないのNOのときにはステップS3を繰り返して燃料カットの状態を継続する一方、エンジン1が停止したのYESのときにはステップS4に移行する。尚、エンジン1を停止させている最中には、前述したように、スロットル弁23の開度調整制御及びオルタネータ28の発電量調整制御が行われ、それによって、エンジン1の停止時に膨張行程にある気筒12のピストン13の停止位置が所定範囲内に収まるようにする。
ステップS4以降の各ステップは、エンジン1の再始動制御に係り、先ずステップS4ではクラッチオン以外の再始動条件が成立したか否かを判定する。つまり、運転者がクラッチペダルの踏み込み操作を行って車両を発進させようとする条件以外で、エンジン1を再始動させる必要が生じたか否かを判定する。ここでの条件としては、バッテリ電圧が所定値以下になって、エンジン1及びオルタネータ28の作動によりバッテリを充電する必要があるという条件、空調装置を作動させるべく、エンジン1及び空調用コンプレッサ(図示省略)を作動させる必要があるという条件、エンジン1の吸気負圧を利用したブレーキブースタ(図示省略)のブレーキ負圧が所定値以下に低下したため、エンジン1の駆動させてブレーキ負圧を回復させる必要があるという条件、等が挙げられる。ステップS4の判定でYESのときには、ステップS5に移行する一方、ステップS4の判定でNOのときには、ステップS11に移行する。
ステップS5では、手動変速機52のニュートラルスイッチからの信号に基づいて、ニュートラルスイッチがONであるか否かを判定し、ニュートラルスイッチがONでない、つまり手動変速機52がギヤイン状態であるのNOのときにはステップS6に移行して、ワーニングブザー及びワーニングランプを含む警告装置56を作動させると共に、ステップS7でエンジンストール状態とする。つまり、ギヤイン状態でエンジン1を再始動した場合は車両の飛び出しや後退等が生じる虞があるため、エンジン1の再始動そのものを禁止する。この場合、運転者はIGスイッチ33の操作によって、エンジン1を再始動することになる。
一方、ステップS5の判定で、ニュートラルスイッチがONである、つまり手動変速機52がニュートラル状態であるのYESのときにはステップS8に移行して、膨張行程にある気筒12のピストン13の停止位置が所定範囲内に収まっているか否かを判定する。つまり、燃焼始動が可能か否かを判定し、ピストン13の停止位置が所定範囲内に収まっており、燃焼始動が可能であるのYESのときにはステップS9に移行して、前述したように、燃焼始動によりエンジン1を再始動させる。これに対し、ピストン13の停止位置が所定範囲内に収まっておらず、燃焼始動が不可能であるのNOのときにはステップS10に移行して、前述したように、始動モータ54を用いてエンジン1を再始動させる。
前記ステップS4の判定でNOであるとして移行したステップS11では、クラッチオンによって再始動条件が成立したか否かを判定する。運転者のクラッチペダルの踏み込み操作がされておらず再始動条件が成立していないのNOのときにはステップS4に戻る一方、クラッチペダルの踏み込み操作がされて(クラッチオン)再始動条件が成立したのYESのときにはステップS12に移行する。
ステップS12では、手動変速機52のニュートラルスイッチからの信号に基づいて、ニュートラルスイッチがONか否かを判定する。ニュートラルスイッチがONである、つまり手動変速機52がニュートラル状態であるのYESのときにはステップS13に移行して、停止時に膨張行程にある気筒12のピストン13が所定範囲内に停止しているか否かを判定する。ピストン13が所定範囲内に停止していて、燃焼始動が可能であるのYESのときにはステップS14に移行し、燃焼始動によりエンジン1を再始動させる一方、所定範囲内に停止しておらず、燃焼始動が不可能であるのNOのときにはステップS15に移行し、始動モータ54を用いてエンジン1を再始動させる。
一方、ステップS12でニュートラルスイッチがONでない、つまり手動変速機52がギヤイン状態であるのNOのときには、ステップS16に移行し、始動モータ54を用いてエンジン1を再始動させる。つまりこの場合は、燃焼始動によるエンジン1の再始動は禁止する。
従って、ステップS10、15,16によりスタータ始動手段41が構成され、ステップS9,14により燃焼始動手段42が構成される。
このように、前記のアイドルストップシステムでは、運転者のクラッチペダルの踏み込み操作に応じてエンジン1の再始動を行う際に、手動変速機52がニュートラル状態にあるときには、燃焼始動によりエンジン1の再始動を行う(ステップS14)一方で、ギヤイン状態にあるときには、始動モータ54によりエンジンの再始動を行う(ステップS16)。
前述したように、燃焼始動によりエンジン1を再始動するときには、エンジン1を一旦逆転作動させるため、その逆転作動の最中に、ギヤイン状態の手動変速機52がクラッチ締結されてしまうと、車両が後退してしまうことになる。
しかしながら、前記のアイドルストップシステムでは、手動変速機52がギヤイン状態にあるときには燃焼始動によるエンジン1の再始動を禁止して、始動モータ54によりエンジン1を再始動させるため、クラッチペダルが素早く操作されて、エンジン1の再始動中にクラッチが締結されたとしても、車両は後退しない。
一方、手動変速機52がニュートラル状態にあるときには、燃焼始動によるエンジン1の再始動が行われる。この場合に、クラッチペダルが素早く操作されて、エンジン1の再始動中にクラッチが締結されたとしても、手動変速機52がニュートラル状態であるためトルクは伝達されず、車両は後退しない。
尚、図3におけるステップS16を、例えば図4に示すステップS17,S18に置き換えてもよい。つまり、手動変速機52がギヤイン状態にあるときには、警告装置56による警告を行う(ステップS17)と共に、エンジンストール状態にする(ステップS18)。この場合も、燃焼始動によるエンジン1の再始動が禁止されるため、車両の後退が確実に回避される。尚、この場合、運転者はIGスイッチ33を操作することによって、エンジン1を再始動させることになる。
以上説明したように、本発明は、車両の後退を回避しつつエンジンを再始動することができるから、手動変速機付き車両用エンジンの自動停止始動装置として有用である。
本発明の実施形態に係るアイドルストップシステムの概略構成図である。 エンジンの吸気系及び排気系の構成を示す模式図である。 エンジンの自動停止始動に係る制御を示すフローチャートである。 他の実施形態に係るエンジンの自動停止始動に係る制御のフローチャートの一部である。
符号の説明
1 エンジン
12 気筒
2 ECU(自動停止始動手段)
41 スタータ始動手段
42 燃焼始動手段
54 始動モータ

Claims (2)

  1. 車両に搭載されたエンジンと、
    シフト操作に応じてギヤイン状態とニュートラル状態とに切り替えられる手動変速機と、
    前記エンジンと手動変速機との間に介設されかつ、クラッチ操作に応じて締結・開放されることにより、前記エンジンから前記手動変速機側へのトルクの伝達・遮断を切り替えるクラッチ機構と、
    始動モータを用いて前記エンジンを始動させるスタータ始動手段と、
    停止中の前記エンジンにおいて圧縮行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することにより、前記エンジンを一旦、逆転作動させると共に、これに伴い圧縮される膨張行程にある気筒内に燃料を噴射すると共に、前記の逆転作動後に点火することにより前記エンジンを始動させる燃焼始動手段と、
    所定の停止条件が成立したときに前記エンジンを自動的に停止させると共に、前記エンジンの停止中に前記クラッチ機構を開放するクラッチオン条件を含む、所定の始動条件が成立したときに前記エンジンを自動的に始動させる自動停止始動手段と、を備え、
    前記自動停止始動手段は、前記所定の始動条件が成立したときに前記手動変速機がニュートラル状態にあるときには前記燃焼始動手段により前記エンジンを始動させ、前記所定の始動条件が成立したときに前記手動変速機がギヤイン状態にあるときには前記スタータ始動手段により前記エンジンを始動させるエンジンの自動停止始動装置。
  2. 車両に搭載されたエンジンと、
    シフト操作に応じてギヤイン状態とニュートラル状態とに切り替えられる手動変速機と、
    前記エンジンと手動変速機との間に介設されかつ、クラッチ操作に応じて締結・開放されることにより、前記エンジンから前記手動変速機側へのトルクの伝達・遮断を切り替えるクラッチ機構と、
    停止中の前記エンジンにおいて圧縮行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することにより、前記エンジンを一旦、逆転作動させると共に、これに伴い圧縮される膨張行程にある気筒内に燃料を噴射すると共に、前記の逆転作動後に点火することにより前記エンジンを始動させる燃焼始動手段と、
    所定の停止条件が成立したときに前記エンジンを自動的に停止させると共に、前記エンジンの停止中に前記クラッチ機構を開放するクラッチオン条件を含む、所定の始動条件が成立したときに前記エンジンを自動的に始動させる自動停止始動手段と、を備え、
    前記自動停止始動手段は、前記所定の始動条件が成立したときに前記手動変速機がニュートラル状態にあるときには前記燃焼始動手段により前記エンジンを始動させ、前記所定の始動条件が成立したときに前記手動変速機がギヤイン状態にあるときには前記エンジンの始動を禁止するエンジンの自動停止始動装置。
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CN101749125A (zh) * 2008-12-09 2010-06-23 福特环球技术公司 用于控制车辆发动机的自动起动和停止的方法和设备
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