JP2008240110A - 金属とチタン酸化物の混合膜の成膜方法及び同膜の成膜装置 - Google Patents

金属とチタン酸化物の混合膜の成膜方法及び同膜の成膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の金属−チタン酸化物の焼結体ターゲットを用いたRFスパッタリングよりも、高速、且つ、安定して金属とチタン酸化物の混合膜を形成する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 真空チャンバ内に、金属ターゲットをスパッタリングするための第1の成膜領域と、チタン酸化物をスパッタリングするための第2の成膜領域とを設け、各領域において、金属とチタン酸化物とをスパッタリングして金属とチタン酸化物の混合膜を形成することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、金属とチタン酸化物との混合膜を形成する方法及び同膜の成膜装置に関するものである。
現在、フラットパネルディスプレイの普及と共に透明導電膜の普及が高まり、SnドープIn(ITO)の資源枯渇が危惧されている。ITOの代替材料として期待されているものとしてニオブ添加チタン酸化物(Nb−チタン酸化物)がある(例えば、非特許文献1参照)。
Nb−チタン酸化物の形成する方法として、一般的に、PLD法(パルスレーザー蒸着法)やNb−チタン酸化物焼結体ターゲットを用いたRF反応性スパッタリングが用いられている。
スパッタリングは蒸着に比べ、一般的に高速、且つ、安定な成膜が可能であるため、大型基材であっても、膜厚、膜質分布の確保に有利である。
しかしながら、一般的な金属ターゲットのDCマグネトロンスパッタリングでは、高速、且つ、安定な成膜が可能であるが、誘電体を含む焼結体ターゲットの場合、電荷蓄積を起こし、異常放電を発生するリスクがある。また、Oを含む反応性スパッタリングの場合、非エロージョン部に誘電膜が着膜し、電荷の蓄積が発生し、異常放電を発生させるリスクがある。
このため、RFスパッタリングが利用されているが、パワー効率が悪いために成膜速度が低いことが問題となっていた。
Yutaka Furubayashi et al., "Atransparent metal:Nb-doped anatase チタン酸化物", APPLIED PHYSICS LETTERS 86(2005), 252101-1〜252101-3
そこで、本発明は、従来の金属−チタン酸化物の焼結体ターゲットを用いたRFスパッタリングよりも、高速、且つ、安定して金属とチタン酸化物の混合膜を形成する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者等は鋭意検討の結果、次の解決手段を見いだした。
本発明の混合膜の成膜方法は、請求項1に記載の通り、真空チャンバ内に、金属ターゲットをスパッタリングするための第1の成膜領域と、チタン酸化物をスパッタリングするための第2の成膜領域とを設け、基材に各領域において、金属とチタン酸化物とをスパッタリングして金属とチタン酸化物の混合膜を形成することを特徴とする。
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の混合膜の成膜方法において、第2の成膜領域において、Ti又はTiOと酸素ガスを含有する反応ガスとの反応性スパッタリングを行うことを特徴とする。
また、請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の混合膜の成膜方法において、第2の成膜領域において、TiOターゲットに対してDCスパッタリングを行うことを特徴とする
また、請求項4に記載の本発明は、請求項1に記載の混合膜の成膜方法において、第2の成膜領域において、カソードに13.56MHzの高周波を印加し、TiOターゲットに対してRFスパッタリングを行うことを特徴とする。
また、請求項5に記載の本発明は、請求項1に記載の混合膜の成膜方法において、第2の成膜領域において、2台の電極からなるカソード間に20〜100kHzの交流を印加し、TiOターゲットに対してACスパッタリングを行うことを特徴とする。
また、請求項6に記載の本発明は、請求項3乃至5の何れかに記載の混合膜の成膜方法において、第2の成膜領域により成膜されたTiOを酸化源により酸化することを特徴とする。
また、請求項7に記載の本発明は、請求項1に記載の金属とチタン酸化物の混合膜の成膜方法において、第2の成膜領域において、カソードに13.56MHzの高周波を印加し、TiOターゲットに対してRFスパッタリングを行うことを特徴とする。
また、請求項8に記載の本発明は、請求項1に記載の金属とチタン酸化物の混合膜の成膜方法において、第2の成膜領域において、2台の電極からなるカソード間に20〜100kHzの交流を印加し、TiOターゲットに対してACスパッタリングを行うことを特徴とする。
また、請求項9に記載の本発明は、請求項1乃至8の何れかに記載の金属とチタン酸化物の混合膜の成膜方法において、前記金属のターゲットは、Nb、Ta、V、Cr、Mo、W、Zr、Ti、Hf及びFeの遷移金属から選択された少なくとも1種の元素を含有すること特徴とする。
また、請求項10に記載の本発明は、請求項1乃至9の何れかに記載の金属とチタン酸化物の混合膜の成膜方法において、前記混合膜を形成した基材に、アニール処理することを特徴とする。
また、本発明の金属とチタン酸化物の混合膜の成膜装置は、請求項11に記載の通り、真空チャンバと、前記真空チャンバ内の内周面に対向するようにして基材を移動させることができるように構成した基材回動手段と、前記真空チャンバの内周面側に配置された複数の成膜手段とを備え、前記成膜手段を、少なくとも、金属のターゲットをスパッタリングするための第1の成膜手段及びチタン酸化物をスパッタリングするための第2の成膜手段により構成し、前記真空チャンバは、前記基材をアニール処理するための加熱室に連通されていることを特徴とする。
本発明によれば、従来の金属−チタン酸化物の焼結体ターゲットを用いたRFスパッタリングよりも、高速、且つ、安定して金属とチタン酸化物の混合膜を形成することができる。
上記の通り、本発明は、真空チャンバ内に、金属ターゲットをスパッタリングするための第1の成膜領域と、チタン酸化物をスパッタリングするための第2の成膜領域とを設け、基材に各領域において、金属とチタン酸化物とをスパッタリングして金属とチタン酸化物の混合膜を形成するものである。
第1の成膜領域においては、金属ターゲットをスパッタリングできるものであれば特にスパッタリングの方式を限定するものではない。
また、第2の成膜領域においては、チタン酸化物をスパッタリングするものであるが、その方式についても、Ti又はTiOと酸素ガスを含有する反応ガスとの反応性スパッタリングを含み、以下に説明するスパッタリングを採用することができる。
尚、本明細書において、「領域」とは、明確に区画されたものを意味するものではなく、任意の処理を行うことができる空間を意味するものとする。
次に、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1に示す装置30では、真空チャンバ1の略中央部には、基材回動手段として、回転自在の円筒ドラム2が配置され、その周面には、図示しないが、基材を支持するための基材ホルダが設けられている。円筒ドラム2の回転方向には、金属ターゲットをスパッタリングする領域として第1の成膜領域3、チタンやチタン酸化物(TiO)をスパッタリングするための第2の成膜領域4及び酸化プラズマ源5を備えた酸化領域6が形成されている。
第1の成膜領域3は、成膜手段として、2台の電極からなるスパッタリングカソード7,7、AC電源8、ポンプ等を備えたAr等の反応ガス導入系9及びターゲット10,10と円筒ドラム2の間を遮断するためのシャッター11を備えている。
第1の成膜領域3において使用するターゲット10,10としては、Nb等の金属を挙げることができる。
第2の成膜領域4は、成膜手段として、スパッタリングカソード12、DC電源14、ガス導入系15及び及びターゲット13と円筒ドラム2の間を遮断するためのシャッター16を備えている。また、ターゲット13としてはTiOを使用する。
上記装置の構成において、ガス導入系からArを反応ガス導入系15から真空チャンバ1内に導入し、シャッター11及び12を閉じた状態で円筒ドラム2を回転させて第1の成膜領域3内において金属ターゲット10,10をスパッタリングし、第2の成膜領域4内においてTiOターゲット13をDCスパッタリングし、酸化領域5においてOプラズマ放電を行う。その後、シャッタ11及び12を開けて、円筒ドラム本体2に固定された基材が各領域を通過することにより、基材上に金属とチタン酸化物の混合膜が成膜することができる。
このように、本実施の形態によれば、金属を添加したチタン酸化物の焼結体をターゲットとして用いる場合に較べて、金属とチタン酸化物とを別々にスパッタリングするため、高速、且つ、安定して金属とチタン酸化物の混合膜を形成することができる。また、基材を回転させて成膜を行うことにより、混合膜中の組成を任意に調整することができる。
また、本実施の形態では、ターゲットとして、導電性を有する、TiOよりも酸素欠損させたTiOxターゲットを使用しているために、抵抗値の高いターゲットを使用した場合における電荷蓄積を抑えることができ、安定したDC放電が可能となる。従って、成膜速度を上げることができる。
また、本実施の形態では、第2の成膜領域4に加えて、酸化領域6を設けているため、第2の成膜領域においてTiOをスパッタリングし、酸化領域6においてTiO膜の酸化をするため、酸化しながら成膜する場合に比べて、高速、且つ、安定した成膜ができる。尚、酸化領域6を設けない場合には、反応ガス導入系15から、Oを含有する反応ガスを導入すれば、TiO膜の酸化を行うことができる。
図2に示す装置では、図1の第2の成膜領域4に、AC電源17に接続された2台のスパッタリングカソード18,18を配置し、ターゲット19,19を配置した以外は、図1に示す装置と同じ構成とした。
上記構成において、スパッタリングカソード18,18間に20〜100kHzの交流電力を印加し、ターゲット19,19をスパッタリングするようにすれば、DCスパッタリングの場合に、非エロージョン部にTiOやTiOが再付着した部分への電荷蓄積が起こり異常放電が発生するが、そのようなことがなく成膜することができる。
図3に示す装置では、図2の真空チャンバ2の第1の成膜領域3と第2の成膜領域4との間に、ヒータを備えた加熱領域20を設けた以外は、図2に示す装置と同じ構成とした。
この装置構成により、基材上の金属とチタン酸化物の混合膜は、大気開放することなく連続的に、加熱領域20にてアニール処理を行うことができる。
これにより、形成された混合膜の抵抗を下げることができる。
図4に示す成膜装置は、図1により説明した装置30に、基材ホルダにより保持された基材を搬送するための搬送室21を介して、基材を加熱することが可能なヒータを搭載した加熱室22を接続したものである。尚、加熱室22には、基材を少なくとも200〜600℃の範囲で加熱できるヒータ等の手段が備えられる。また、装置30への基材の出し入れは、仕込み取り出し室23を介して行われる。そして、上記構成において、装置30、搬送室21、加熱室22及び仕込み取り出し室23は、大気との接触が遮断された状態で、基材の搬送等の処理ができるようになっている。
この装置構成により、仕込み取り出し室23から基材を入れ、搬送室21から装置30にまで基材を運び、基材上に金属とチタン酸化物の混合膜を成膜した後、成膜された基材を搬送室21を介して加熱室22まで運び、アニール処理を行う。処理された基材は、搬送室21を介して仕込取出室23まで搬送される。
これにより、成膜された基材は、大気に曝されることなく、アニール処理を行うことができる。
上記説明において、金属のターゲットは、Nb、Ta、V、Cr、Mo、W、Zr、Ti、Hf及びFeの遷移金属から選択された少なくとも1種の元素を含有させるようにすれば、得られた混合膜の抵抗を下げることができる。
次に、上記実施の形態における混合膜の成膜時の条件を例示すると、真空チャンバ内の真空度は、1×10-5Pa〜1×10-3Pa、円筒ドラム2の回転速度は、任意に設定できるが均一な膜とするために、101rpm〜250rpmとすることが好ましい。
また、以下の条件に関しても、特に制限をするものではないが、一例を挙げるとすると下記の通りとなる。
第1の成膜領域3におけるスパッタリングの条件は、電圧を300V〜1000V程度とし、周波数を20kHz〜100kHz程度とすることができる。また、第2の成膜領域4におけるスパッタリングの条件は、RFスパッタリングの場合、電圧を50V〜500V程度とすることができる。また、ACスパッタリングの場合、電圧を300V〜1000V程度とすることができる。また、DCスパッタリングの場合、電圧は200V〜800V程度とすることができる。
また、酸化領域6において、酸化プラズマ源の電力は2000W以下程度、圧力は0.5Pa程度とすることができる。
(実施例1)
上記図1に示す構成の装置により、Nbとチタン酸化物とをスパッタリングして薄膜を形成した。
成膜条件は、下記の通りとした。
基材は、100mm×300mm×0.7mmのガラス板を使用し、真空チャンバ2内の真空度を1.0×10-5Paとし、円筒ドラム2の回転速度を200rpmとした。第1の成膜領域3においては、放電電圧を500〜600V、周波数40kHzとして、NbターゲットをACスパッタリングした。第2の成膜領域においては、電圧を350V〜500V程度として、TiO(X=1.986)をDCスパッタリングした。酸化領域においては、圧力を0.5Pa程度として電力1400Wとして酸化プラズマ源による酸化を行った。
成膜されたTiO膜のシート抵抗分布は図5に示す通りとなった。基材の長手方向において、膜厚分布及びシート抵抗は均一であることが確認できた。
(比較例1)
組成比Nb6.0%−TiOターゲットを、従来のRFスパッタリングによりスパッタリングしてNb6.0%−TiO膜を形成した。
同膜のシート抵抗分布は図6に示す通りとなった。基材の長手方向において、比較的均一な膜厚分布であるにもかかわらず、グラフの両端部においてシート抵抗の増加が確認されている。また、膜組成や比抵抗は、Ar+O圧力や残留不純物ガスレベルの変動により顕著に変化するため、再現性よく常に均一な面抵抗及び面抵抗分布を確保することはできなかった。
尚、比較例1では、RFスパッタリングを行っているため、実施例1のDCスパッタリングの場合と比べてパワー効率が悪く、成膜速度が遅いという欠点があった。
本発明の成膜装置の一実施の形態を説明するための平面断面図 本発明の成膜装置の他の実施の形態を説明するための平面断面図 本発明の成膜装置の他の実施の形態を説明するための平面断面図 本発明の成膜装置の他の実施の形態を説明するための平面断面図 実施例1の薄膜の膜厚分布 比較例1の薄膜の膜厚分布
符号の説明
1 真空チャンバ
2 円筒ドラム
3 第1の成膜領域
4 第2の成膜領域
5 酸化プラズマ源
6 酸化領域
7 スパッタリングカソード(第1の成膜領域)
8 AC電源
9 Arガス導入系(第1の成膜領域)
10 ターゲット(第1の成膜領域)
11 シャッター(第1の成膜領域)
12 スパッタリングカソード(第2の成膜領域)
13 ターゲット(第2の成膜領域)
14 DC電源
15 Arガス導入系(第2の成膜領域)
16 シャッター(第2の成膜領域)
17 AC電源
18 スパッタリングカソード
19 ターゲット
20 加熱領域
21 搬送室
22 加熱室
23 仕込取出室
30 装置

Claims (11)

  1. 真空チャンバ内に、金属ターゲットをスパッタリングするための第1の成膜領域と、チタン酸化物をスパッタリングするための第2の成膜領域とを設け、基材に各領域において、金属とチタン酸化物とをスパッタリングして金属とチタン酸化物の混合膜を形成することを特徴とする混合膜の成膜方法。
  2. 第2の成膜領域において、Ti又はTiO(xは2未満とする。以下同じ。)と酸素ガスを含有する反応ガスとの反応性スパッタリングを行うことを特徴とする請求項1に記載の混合膜の成膜方法。
  3. 第2の成膜領域において、TiOターゲットに対してDCスパッタリングを行うことを特徴とする請求項1に記載の混合膜の成膜方法。
  4. 第2の成膜領域において、カソードに13.56MHzの高周波を印加し、TiOターゲットに対してRFスパッタリングを行うことを特徴とする請求項1に記載の混合膜の成膜方法。
  5. 第2の成膜領域において、2台の電極からなるカソード間に20〜100kHzの交流を印加し、TiOターゲットに対してACスパッタリングを行うことを特徴とする請求項1に記載の混合膜の成膜方法。
  6. 第2の成膜領域により成膜されたTiOを酸化源により酸化することを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の金属とチタン酸化物の混合膜の成膜方法。
  7. 第2の成膜領域において、カソードに13.56MHzの高周波を印加し、TiOターゲットに対してRFスパッタリングを行うことを特徴とする請求項1に記載の金属とチタン酸化物の混合膜の成膜方法。
  8. 第2の成膜領域において、2台の電極からなるカソード間に20〜100kHzの交流を印加し、TiOターゲットに対してACスパッタリングを行うことを特徴とする請求項1に記載の金属とチタン酸化物の混合膜の成膜方法。
  9. 前記金属のターゲットは、Nb、Ta、V、Cr、Mo、W、Zr、Ti、Hf及びFeの遷移金属から選択された少なくとも1種の元素を含有すること特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の金属とチタン酸化物の混合膜の成膜方法。
  10. 前記混合膜を形成した基材に、アニール処理することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の金属とチタン酸化物の混合膜の成膜方法。
  11. 真空チャンバと、前記真空チャンバ内の内周面に対向するようにして基材を移動させることができるように構成した基材回動手段と、前記真空チャンバの内周面側に配置された複数の成膜手段とを備え、前記成膜手段を、少なくとも、金属のターゲットをスパッタリングするための第1の成膜手段及びチタン酸化物をスパッタリングするための第2の成膜手段により構成し、前記真空チャンバは、前記基材をアニール処理するための加熱室に連通されていることを特徴とする金属とチタン酸化物の混合膜の成膜装置。
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