JP2008239831A - 酸性土壌改良材 - Google Patents

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Abstract

【課題】
適切に処理された焼却灰を利用して、カルシウム及び窒素の徐放性能を有する優れた肥料効果を発揮する酸性土壌改良材を提供する。
【解決手段】
焼却灰に、塩基性アミノ酸を加えて粒状化した粒状物よりなる酸性土壌改良材。
粒状物は、平成15年環境庁告示第18号の土壌汚染対策防止法に基づく溶出試験方法で溶出させた場合のフッ素溶出量、ホウ素溶出量及び6価クロムの溶出量が基準値を超えていない。
焼却灰には、酸化カルシウム、アルミナセメント及び硫酸アルミニウムから選ばれるフッ素、ホウ素及びクロムからなる上記対策法の溶出規制対象物質を固定化する物質が添加されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、酸性土壌改良材に関する。詳細には、本発明は、焼却灰に、塩基性アミノ酸を加えて粒状化した酸性土壌改良材であって、土壌の水素イオン指数(pH)の調整だけでなく、カルシウム及び窒素の徐放性能を有することにより、優れた肥料効果を発揮する酸性土壌改良材に関する。
近年、大気中の二酸化炭素及び二酸化硫黄の存在増により雨の酸性化が進み、土壌の化学風化やカルシウムなどの塩基性イオンの溶脱が進行した結果、土壌の酸性化が拡大している。酸性土壌では、溶けにくいアルミニウムや鉄の酸化物があとに残り、リンを難溶性の形態で土壌に保持してしまう。それが農作物の生産性を低下させてしまう。また酸性土壌では、アルミニウムイオンがAl3+の形で遊離し、土壌溶液の水素イオン指数(pH)の低下に従って、Al3+の濃度が高くなる。Al3+は、植物の根の伸長を阻害する働きがあるので、酸性土壌の改良は、農業・林業生産上の課題となっている。
酸性土壌は、生石灰(酸化カルシウム)、消石灰(水酸化カルシウム)、炭酸カルシウムなどのカルシウムを含む石灰肥料で中和されることが知られている。酸性土壌の中和剤としては、石灰肥料の他に、石膏(硫酸カルシウム)、炭などが知られているが、中和のメカニズムはそれらに含まれるカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、とりわけカルシウムが塩基性陽イオンになる反応による。
農業系バイオマスを燃焼させて得られる草木灰あるいは、各工業で固体燃料(石炭など)、バイオマス固形化燃料(木質ペレットなど)、廃棄物系バイオマス(製紙汚泥など)を燃焼させて副生成する焼却灰には、カルシウムなどが多く含まれ、塩基性陽イオンを放出する作用により、前記石灰肥料の代替として用いることができる。
ところが、石灰肥料や焼却灰は、カルシウムを一過的に多量に溶出してしまい、必ずしも酸性土壌の中和剤として適切ではないため、カルシウムを徐放する性能の付加が求められている。
さらに焼却灰は、廃棄物として埋め立て処分されるかあるいは、セメント原料などにリサイクル利用される場合がほとんどで、酸性土壌改良材としての利用技術の開発はまだ十分ではない。この背景としては、焼却灰からしばしばフッ素やホウ素などの土壌汚染対策法の規制物質が基準値以上に溶出することが挙げられる。
この課題に対し、焼却灰に、酸化カルシウム類及び/又は水酸化カルシウム類、アルミナセメント、希硫酸などを加えて混合処理することにより、フッ素やホウ素の溶出を基準値以下に抑制する焼却灰の処理方法が開示されており、特許文献1、2、3などに例示される。
しかしながら、このような方法で適切に処理された焼却灰であっても、窒素やリンをほとんど含まないため、農作物の生産性を向上させる目的には、別途肥料を併用する必要があった(例えば、特許文献4)。これが農・林業上の生産コスト増になり、普及を妨げている。
さらに、日本によく見られる火山灰土壌やマサ土、亜熱帯地域に広く分布するラトゾル等の酸性土壌では、窒素肥料を施肥しても、アンモニウムイオンなどの窒素の保持力が弱いため、雨水や灌漑水によって、窒素養分が容易に流亡してしまい、農作物の生産性は持続しない欠点があった。このため、窒素養分を徐放する性能の付加が求められている。
このような不利な点を改善するため、焼却灰を原材料として、安全性が高くしかも肥料効果を有する酸性土壌改良材の開発に対する努力がなされている。例えば、リン成分濃度が高い汚泥焼却灰を調整しておき、還元剤、CaO、MgO、KO、カルシウム質廃棄物などを加えて溶融炉で加熱し、リン成分濃度が高くかつ金属成分が除かれた肥料(特許文献5、6)、SiO、CaO、MgO、P等の肥料成分の可溶性及び不溶性成分の量を増加させるように焼却灰の組成の調整を行い、次いで水熱処理を行い、さらに固液分離を行うことにより得られた湿潤状態のケーキに、同じ組成の乾粉を加えて造粒し乾燥させる方法(特許文献7)、製紙スラッジ灰に、食品系廃棄物や堆肥、肥料などを配合した造粒物(特許文献8)、等が知られている。
また、肥料成分の徐放性能を付加する目的に応用できる、焼却灰のゼオライト化技術が知られている。例えば、珪酸成分/アルミニウム成分を含有する焼却灰などとアルカリ水溶液とを混合し、所定の珪礬比で水熱合成を行って得られた反応生成物を陽イオン置換したものを粒状に成形したゼオライト系土壌改良材(特許文献9)、アンモニア性窒素を粒状ゼオライトに吸着させた下水汚泥焼却灰からの窒素含有土壌改良材(特許文献10)、焼却灰を水酸化ナトリウム水溶液と水熱反応させて生成される人工ゼオライトのナトリウムイオンをカルシウムイオンなどの陽イオンと交換させて得られる酸性硫酸塩土壌改良材(特許文献11)、等が知られている。
しかしながら、上記の従来技術をもってしても、農作物の生産性を持続的に向上させる性能の点で十分ではなく、課題を残していた。特に、焼却灰を原材料として、カルシウム及び窒素の徐放性能を同時に付加することにより、優れた肥料効果を発揮する酸性土壌改良材については、全く知られていない。
特開2005−329343号公報 特開2006−181535号公報 特開2006−198505号公報 特許第3463559号公報 特開2003−112988号公報 特開2003−112989号公報 特開2005−253313号公報 特開2005−103464号公報 実用新案登録第3077740号公報 特開平10−72213号公報 特許第3785417号公報
本発明は、適切に処理された焼却灰を酸性土壌改良材として利用するために、肥料効果を付加した酸性土壌改良材を提供することを目的とし、より詳しくは、従来の酸性土壌改良材には見られなかった、カルシウム及び窒素の徐放性能を有することにより、優れた肥料効果を発揮する酸性土壌改良材を提供することを目的とする。
上記課題を達成することができる本発明は、基本的には、焼却灰に塩基性アミノ酸を加えて粒状化した酸性土壌改良材に関する発明であり、以下の技術事項を有するものから選ばれるものである。
(1)焼却灰に、塩基性アミノ酸を加えて粒状化した粒状物からなる酸性土壌改良材。
(2)焼却灰が、平成15年環境庁告示第18号の土壌汚染対策防止法に基づく溶出試験方法で溶出させた場合のフッ素溶出量、ホウ素溶出量及び6価クロムの溶出量が基準値を超えていない(1)記載の酸性土壌改良材。
(3)塩基性アミノ酸が、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン及びグルタミンから選ばれる1種もしくは複数種である(1)又は(2)に記載の酸性土壌改良材。
(4)焼却灰に、フッ素、ホウ素及びクロムなどの土壌汚染対策法の溶出規制対象物質を固定化するための酸化カルシウム、アルミナセメント及び硫酸アルミニウムから選ばれる物質が添加されている(1)〜(3)のいずれかに記載の酸性土壌改良材。
(5)焼却灰は、燃料又は廃棄物を燃焼させて得られた焼却灰である(1)〜(4)のいずれかに記載の酸性土壌改良材。
(6)焼却灰は、カルシウム成分を酸化物換算で10質量%以上、好ましくは30〜50質量%含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の酸性土壌改良材。
(7)塩基性アミノ酸の添加割合が、焼却灰100質量部に対して塩基性アミノ酸0.2〜10質量部、好ましくは0.5〜2質量部である(1)〜(6)のいずれかに記載の酸性土壌改良材。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の酸性土壌改良材を製造する方法であって、焼却灰100質量部に対して、塩基性アミノ酸0.2〜10質量部と水を加えて粒状化することからなる酸性土壌改良材の製造方法。
(9)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の酸性土壌改良材を製造する方法であって、焼却灰に、予め酸化カルシウム、アルミナセメント及び硫酸アルミニウムから選ばれるフッ素、ホウ素及びクロムなどの土壌汚染対策法の溶出規制対象物質を固定化するための物質を添加し、水の存在下に混合処理した後、塩基性アミノ酸を加えて粒状化することからなる酸性土壌改良材の製造方法。
本発明の酸性土壌改良材は、焼却灰に含まれるカルシウムと塩基性アミノ酸に含まれる窒素とを、同時にバランス良く溶出することができるため、酸性土壌改良及び肥料効果を相乗的に発揮できる。しかも、焼却灰に含まれるカルシウムなどの金属と塩基性アミノ酸の側鎖に含まれるアミノ基(−NH)、アミド基(−CONH)、グアニジノ基〔−NH−(NH)C=NH〕、イミダゾール基とがキレート作用により結合しながら粒状化しているため、化学的にも物理的にも溶出が抑制されて、生物的な分解によりカルシウム及び窒素が徐放的に溶出する作用により、極めて優れた酸性土壌改良と肥料効果を長期間に渡り発揮できる点が、従来技術にみられなかった新規な特徴である。その結果、著しく作物の生産性を向上させることが可能になった。
以下、本発明の酸性土壌改良材について具体的に説明する。
本発明で使用される焼却灰としては、農業系バイオマスを燃焼させて得られる草木灰あるいは、石炭などの固体燃料、木材ペレット、樹皮などのバイオマス固形化燃料、RPF、RDFなどの廃棄物固形化燃料、廃紙、廃タイヤ、黒液、製紙スラッジ、活性汚泥、脱水下水汚泥などの廃棄物系バイオマスを燃焼した際に発生する灰の他に、ガス化した際に発生する灰も用いることができる。また、予め人工ゼオライト化した灰も使用可能である。灰は、1種又は複数から選ばれた燃料又は廃棄物を燃焼させて得られた焼却灰であればよく、複数の焼却灰を混合して用いることもできる。上記の酸性土壌を改良する目的からは、カルシウムの含有量が高い灰が好ましく、製紙スラッジ焼却灰には、カルシウムが酸化物換算で30%以上含まれることから特に好ましい。
本発明の最大の特徴は、焼却灰に単にアミノ酸を加えるのではなく、塩基性アミノ酸を加える点である。塩基性アミノ酸を加えることにより、カルシウム及び窒素の溶出が持続的となり、優れた酸性土壌改良効果及び肥料効果を長期間に渡り発揮することが実現可能となった。
本発明で使用される塩基性アミノ酸としては、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン、グルタミンから選ばれた1種又は複数種を用いることができる。
ヒスチジンは、側鎖にイミダゾール基という含窒素の複素芳香環を持ち、金属との結合部位となることが知られている。灰の中に含まれるカルシウムなどの金属と結合して、微生物等による分解を妨げ、徐々に崩壊してカルシウム及び窒素を徐放する効果が期待できることから特に好ましい。リシンの側鎖に含まれるアミノ基、アスパラギン、グルタミンの側鎖に含まれるアミド基、アルギニンの側鎖に含まれるグアニジノ基も、同様の作用効果があることから好ましい。粒状化した酸性土壌改良材が微生物に分解されてアミノ態窒素が徐放化し、焼却灰に全く含まれない窒素を補完して、肥料成分となることができる。
焼却灰に、塩基性アミノ酸を加えて粒状化する方法としては、水を加えた後に、人力での攪拌による方法の他に、混合攪拌装置を用いることができる。また、混練機で均一に混和した後、ディスクペレッターなどの造粒機で成型することもできる。焼却灰100質量部に対して0.2〜10質量部、好ましくは0.5〜10質量部の塩基性アミノ酸を含有する水溶液を、10〜100質量部添加して混合攪拌することが好ましく、より好ましくは水溶液の添加は20〜95質量部である。予め、焼却灰に塩基性アミノ酸を加えて攪拌しておいて、粒状化を調節する目的で水を後から添加しても良い。pHを調節する目的で希硫酸やリン酸溶液などを添加しても良い。
粒状化物の大きさには制限が無く、ハンドリングを考慮すれば平均粒径が0.1〜10mmとすることが好ましい。また、本発明の酸性土壌改良材は、粒状化物に限定されるものではなく、板状などに大型成型物としても差し支えない。
また、成型後は、風乾でもかまわないが加熱乾燥することが好ましい。成型後にアルカリ水溶液を加え、水熱処理や焼成処理を施して、人工ゼオライト化しても差し支えない。
焼却灰に、塩基性アミノ酸を加える割合としては、0.2〜10質量部(対焼却灰100質量部)が好ましく、より好ましくは0.5〜2質量部が良い。
焼却灰には、フッ素及びホウ素及びクロムなどの土壌汚染対策法の溶出規制対象物質が含まれる場合がある。このため、焼却灰に予め酸化カルシウム、アルミナセメント、硫酸アルミニウムなどを水の存在下に混合処理しておいてから、塩基性アミノ酸を加えて粒状化することが、さらに好ましい。
本発明によれば、焼却灰と塩基性アミノ酸とから、酸性土壌改良性能及び窒素徐放性能とを兼ね備えた、優れた肥料効果を発揮する粒状化した酸性土壌改良材を提供することが可能となる。本発明の酸性土壌改良材は、粒状物のため取り扱いが容易であり、農業及び林業分野で広範囲に利用できる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、その実施態様を変更することができる。
焼却灰には、主に製紙スラッジを燃料とした流動床炉のバグフィルターで捕獲した飛灰を使用した。平成15年環境庁告示第18号に基づく溶出試験方法で溶出させた場合のフッ素溶出量が1.6mg/Lと基準値(0.8mg/L)を超えている。また、全クロム溶出量が0.01mg/Lであり、6価クロムの溶出量は基準値(0.05mg/L)を超えていない。
なお、焼却灰は、酸化物換算で36.6質量%のカルシウムを含んでいた。
製紙スラッジ焼却灰(PS灰)に、塩基性アミノ酸であるリシン、ヒスチジン又は、アスパラギンのいずれかを所定量(焼却灰100質量部当たり2質量部)添加して均一に攪拌し、その後、加水しながら造粒機を使用して攪拌し、3〜4mmに粒状化した酸性土壌改良材(実施例1〜3)を作成した。
また、肥料効果比較のため、塩基性アミノ酸を含まない粒状物(比較例1)、脂肪族側鎖の疎水性アミノ酸であるロイシン(比較例2)、側鎖に水酸基を有するアミノ酸であるセリン、トレオニン、チロシン(比較例3〜5)、酸性アミノ酸であるアスパラギン酸、グルタミン酸(比較例6〜7)、側鎖に硫黄を含むアミノ酸であるシステイン、メチオニン(比較例8〜9)、をそれぞれ対焼却灰100質量部当たり2質量部含む粒状物を作成した。また、中性アミノ酸であるグリシン、アラニン(比較例10〜11)、脂肪族側鎖の疎水性アミノ酸であるバリン(比較例12)、側鎖に含窒素環を有するが塩基性アミノ酸でないプロリン(比較例13)をそれぞれ焼却灰100質量部当たり0.5質量部含む粒状物を作成した。全ての粒状物を同一条件で乾燥した。
なお、上記の実施例1〜3及び比較例1〜13の粒状物は、予め法定の(環境省告示18号による)溶出試験を行い、安全性(溶出規制物質が土壌汚染対策防止法の基準値を超過していないこと)を確認した。実施例1〜3のフッ素溶出量は0.3、0.5、0.5mg/Lであり、全クロム溶出量は、0.02、0.01、0.01mg/であった。
次に、前述の要領で作成した所定量の粒状物を、一定量(1L)の酸性試験土壌(pH 5.15、EC 0.19dS/m)にそれぞれ12g配合し、ポットに詰めてスギ苗、マツ苗及びユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)苗を植え、8〜24週間育成し、苗高、乾物質量(ΔW)を測定した。苗の初期苗高が異なるため、スギ・マツは24週間後の苗高増加量、ユーカリは8週間後の苗高増加量をΔHとした。酸性試験土壌のみで育成した場合を1とした場合の相対値を求め、比較した。
さらに、前述の要領で作成した粒状物を、一定量(1kg)の酸性試験土壌にそれぞれ12g配合したもの10gに対して25mlの水を入れ、5〜15日間緩やかに振とうし、pH(HO)、電気伝導度(EC:dS/m)、陽イオン量(10倍希釈)を測定した。
表1に、苗高及び乾物重量の結果を示す(n=12の平均値で表示)。本発明による塩基性アミノ酸を加えて粒状化した酸性土壌改良材(実施例1〜3)によれば、アミノ酸を添加しない比較例1や塩基性アミノ酸以外のアミノ酸を加えて粒状化した比較例1〜13と比べ、優れた肥料効果を発揮して、スギ・ユーカリの成長が促進(ΔH、ΔWが向上)された。特に実施例2のヒスチジンを加えて粒状化した酸性土壌改良材では、成長の遅いマツでも成長が促進された。なお、比較例10〜13ではアミノ酸の添加量を焼却灰100質量部に対して1質量部以上にすると造粒がし難くなるため0.5質量部とした。
表2に、pH、電気伝導度及び陽イオンの結果を(n=3の平均値で表示)示す。本発明による塩基性アミノ酸を加えて粒状化した酸性土壌改良材(実施例1〜3)によれば、用いた酸性試験土壌(参考例)を改良する効果(土壌のpH、ECが向上)を発揮した。
また、前述の要領で作成した粒状物2.5gを、試験土壌261.8gに配合し、土壌カラムに詰めて、カラム上部から予めpH4に調製した硫酸水(170.2g)を2日間に亘って滴下(約4mL/h)し、カラムの下から滲みだした液について各種元素の濃度を測定した。その後、硫酸水を滴下する操作を6回繰り返した。
図1にカルシウムイオンの溶出結果を、図2にアンモニウムイオンの溶出結果を示す。本発明による塩基性アミノ酸を加えて粒状化した酸性土壌改良材(実施例1〜3)によれば、塩基性アミノ酸を加えていない比較例1や参考例として示した原灰と比べ、優れたカルシウムの徐放性能を発揮するだけでなく、塩基性アミノ酸を添加しない比較例1や塩基性アミノ酸以外のアミノ酸であるシステインを加えて粒状化した比較例8などの他の比較例と比べ、優れた窒素(アンモニウムイオン)の徐放性能を発揮することが明らかとなった。
以上のことから、従来の酸性土壌改良材に見られなかった、カルシウム及び窒素の徐放性能を同時に有することにより、優れた肥料効果を発揮する酸性土壌改良材を提供することが可能になった。
本発明は、農業・林業生産上問題となっている酸性土壌での植物の生産性向上に寄与する酸性土壌改良材として、広範囲に用いることが可能である。特に酸性土壌でのユーカリ植林に有効である。
本発明による酸性土壌改良材のカルシウム徐放性能を示した図である。 本発明による酸性土壌改良材の窒素徐放性能を示した図である。

Claims (9)

  1. 焼却灰に、塩基性アミノ酸を加えて粒状化した粒状物からなる酸性土壌改良材。
  2. 平成15年環境庁告示第18号の土壌汚染対策防止法に基づく溶出試験方法で溶出させた場合のフッ素溶出量及び6価クロムの溶出量が基準値を超えていない請求項1記載の酸性土壌改良材。
  3. 焼却灰は、燃料又は廃棄物を燃焼させて得られた焼却灰である請求項1又は2に記載の酸性土壌改良材。
  4. 塩基性アミノ酸が、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン及びグルタミンから選ばれる1種もしくは複数種である請求項1〜3のいずれかに記載の酸性土壌改良材。
  5. 焼却灰が、酸化カルシウム、アルミナセメント及び硫酸アルミニウムから選ばれるフッ素、ホウ素及びクロムからなる土壌汚染対策法(平成15年環境庁告示第18号)の溶出規制対象物質を固定化する物質が添加されている焼却灰である請求項1〜4のいずれかに記載の酸性土壌改良材。
  6. 焼却灰は、カルシウム成分を酸化物換算で10質量%〜50質量%含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酸性土壌改良材。
  7. 塩基性アミノ酸の添加割合が、焼却灰100質量部に対して塩基性アミノ酸0.2〜10質量部である請求項1〜6のいずれかに記載の酸性土壌改良材。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の酸性土壌改良材を製造する方法であって、焼却灰100質量部に対して、塩基性アミノ酸0.2〜10質量部と水を加えて粒状化することからなる酸性土壌改良材の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の酸性土壌改良材を製造する方法であって、焼却灰に、予め酸化カルシウム、アルミナセメント及び硫酸アルミニウムから選ばれる、土壌汚染対策法(平成15年環境庁告示第18号)による溶出規制対象物質を固定化する物質を添加し、水の存在下に混合処理した後、塩基性アミノ酸を加えて粒状化することからなる酸性土壌改良材の製造方法。
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