JP2009034611A - フッ素含有燃焼灰の処理方法 - Google Patents

フッ素含有燃焼灰の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
燃焼灰中のフッ素の溶出を抑えることにより、土壌汚染、水質汚染を起こす虞のない土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材又は盛土等の種々の用途に燃焼灰を有効利用できるようにすることを目的とする。
【解決手段】
フッ素含有燃焼灰に、硫酸アルミニウム類、硫酸から選ばれた少なくとも1種の化合物0.1〜40質量%および硫黄の酸化数が+2価以下の硫黄化合物0.005〜10質量%を加えて混合処理することによって、平成15年環境省告示第18号に基づく溶出試験方法で溶出させた場合のフッ素溶出量が0.8mg/L以下に抑制することよりなるフッ素含有燃焼灰の処理方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フッ素を含有する燃焼灰中のフッ素の溶出を抑制する燃焼灰の処理方法に関する。更に詳しくは、本発明は2003年2月に施行された土壌汚染対策法の規制対象物質であるフッ素の溶出を規制値に適合させるため、フッ素を含む燃焼灰に硫酸アルミニウム類、硫酸から選ばれる少なくとも1種の化合物および硫黄の酸化数が+2以下の硫黄化合物を配合して混合処理することによってフッ素含有燃焼灰中に含まれるフッ素の溶出量を0.8mg/L以下に抑制する処理方法に関する。
フッ素は虫歯予防に有効とされてきたが、フッ素の過剰摂取は斑状歯に留まらず、骨や関節が変形し、骨硬化症を起こし、神経系に影響を与えるフッ素症といわれる病気の原因となることが知られてきている。ところでフッ素症には現在治療法がなく、その回避のための唯一の対応策は予防である。そのため、フッ素を含有する土壌を持つ地域では、フッ素及びフッ素化合物の不溶化技術が重要な役割を果たすと考えられる。
フッ素は、家庭ゴミ燃焼灰、火力発電所からの石炭燃焼灰(石炭灰)、下水汚泥燃焼灰、各種産業廃棄物などの燃焼灰の中にも含まれており、中でも、石炭灰には、元来石炭にフッ素が数mg/kg〜数百mg/kg含まれているため、フッ素あるいはフッ素化合物の含有量が高い。また、上記燃焼灰の多くは土壌改良材や埋め戻し材として使用されるので、これらからフッ素あるいはフッ素化合物が雨水などに溶出して地下水汚染を起こすことが懸念される。また、燃焼灰を埋め立てる処分場も不足しているので、燃焼灰中のフッ素を不溶化して有効利用を図ることが望まれている。
燃焼灰中の有害物質を無害化する方法として、溶融固化法、セメント固化法、薬剤による処理法、酸又はその他の溶媒による抽出処理法等が提案されている。
溶融固化法は、廃棄物を1400〜1600℃の高温になるまで加熱することによって有機物を分解し、フッ素や重金属類を生成するスラグに封じ込めて固定化するものである。この方法は、安全性が最も高いとされているが、加熱分解によって新たに生成した有害物質が、溶融スラグ中に高濃度で存在してしまうことや処理コストが高価であること等も問題となっている。
燃焼灰の固化方法として、燃焼灰を高炉セメントや普通セメントで固化する方法が開示されている(例えば、特許文献1)。しかし、この方法で固化処理をしても、固化物に含まれる灰の性状によっては耐久性に劣る場合がある。例えば、セメントとして利用した場合にコンクリートが風化して灰の成分が溶出することによる汚染が懸念される。
燃焼灰を固化する他の方法として、普通セメントによって固化する際に無機薬剤あるいは有機薬剤等から成る処理剤を加えて固化及び不溶化させる方法が開示されている(例えば、特許文献2)。しかし、この方法は処理に数段の工程を必要とするためコスト高であり、処理段階で使用される薬剤の後処理も必要となってしまう。
フッ素の不溶化処理方法として、フッ素含有廃棄物にリン酸化合物とカルシウム化合物とを添加して混錬する方法が開示されている(例えば、特許文献3)。しかし、この方法では、リン酸化合物の価格が塩酸又は硫酸等に比べて10〜15倍以上であることおよびフッ素の土壌環境基準値の0.8mg/L以下にするためには、リン酸化合物の添加率を5%以上にする必要があること等から、処理費が嵩み、実用的ではない。
産業廃棄物中からフッ素の溶出を抑制する方法として、製鋼スラグ100質量部に対してカルシウムアルミネート20〜80質量部と石膏10〜80質量部を添加して処理する方法が開示されている(例えば、特許文献4)。しかし、この方法は製鉄プロセスで螢石を使用することから、製鋼スラグ中のフッ素含有量が非常に高く、そのため、環境基準値以下にするには処理剤の添加率が非常に高くなる。その結果、薬品費及び輸送費等の処理費用が嵩み、経済的でない。
さらに、汚泥中のフッ素の溶出を抑制する方法として、石灰、石炭燃焼灰又は石膏のいずれかを添加して水の存在下で混練し、生成物の水分濃度を一定値に維持する方法が開示されている(例えば、特許文献5)。この方法では、蒸気雰囲気での養生を必要としなければならず、設備負担が大きくなってしまう。さらに上記養生を施した後水分を下げることが重要とされており、乾燥機の使用、不使用(自然乾燥)のいずれによっても実施されている。
また、最近過熱水蒸気を用いる、いわゆる水熱反応の利用が有望視され、その酸化効果が注目されている(例えば、非特許文献1)。すなわち、元来水熱反応は有機化合物の分解に適用されており、500℃を超える過熱水蒸気を用いると80%以上の有機化合物を分解できる効果があることから、汚染土壌の修復分野への応用が期待されている。しかし、水熱反応は重金属の溶出抑制に効果があるか否かは未だ明確ではなく、また数百℃にも及ぶ高温加熱水蒸気を用いなければならないので実用的とは言えない。
ところで、本発明者らはカルシウム化合物と硫酸アルミニウムを共存させ、水の存在下で燃焼灰と混合処理することにより、燃焼灰に含まれるフッ素を固定化できる処理方法を既に見出している(特許文献6)。この処理方法においては、燃焼灰中でエトリンガイト結晶と呼ばれるカルシウムサルホアルミネート水和物(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)が形成されフッ素がこの結晶中に取り込まれる結果、フッ素の固定化が可能になると推測されている。しかしながら、この処理方法はカルシウム化合物と硫酸アルミニウムを共存させて行う際に、それらの添加率バランスが適正でないと6価クロムが溶出してしまうという問題がある。
特開2003−119057号公報 特開平6−15248号公報 特開2002−331272号公報 特開2001−259570号公報 特開2002−346595号公報 特開2005−313147号公報 「過熱水蒸気技術集成」、エヌ・ティー・エス、2005年9月発行、p.133−141、p.199−203
本発明は、石炭ボイラやRPF(Refused Paper & Plastics Fuel)を燃料としたRPFボイラから排出される燃焼灰からフッ素の溶出を抑制する処理方法として従来から知られていた、上記のようなセメント固化や溶融、各種処理剤の高添加といった複雑で、煩雑な方法に替わる簡便、かつ、安価な処理方法を提供することを目的とするものである。また、燃焼灰中のフッ素の溶出を抑制することにより、その燃焼灰を土壌汚染や水質汚染を起こすおそれのない、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材又は盛土等の種々の用途に有効利用できるようにすることを目的とするものである。
上記目的を達成することができる本発明は、基本的には、石炭やRPF、製紙スラッジなどを燃焼した排ガスを電気集塵器やバグフィルターなどで処理した際に得られる燃焼灰に、硫酸アルミニウム類、硫酸から選ばれた少なくとも1種の化合物および硫黄の酸化数が+2以下の硫黄化合物を加えて混合処理することにより、その燃焼灰中に含まれるフッ素を平成15年環境庁告示第18号に基づく溶出試験方法で溶出させた場合の溶出量を0.8mg/L以下に抑制するフッ素含有燃焼灰の処理方法であり、以下の各発明を包含する。
(1)フッ素含有燃焼灰に、硫酸アルミニウム類、硫酸から選ばれた少なくとも1種の化合物0.1〜40質量%および硫黄の酸化数が+2以下の硫黄化合物0.005〜10質量%加えて混合処理することにより、平成15年環境省告示第18号に基づく溶出試験方法で溶出させた場合のフッ素溶出量が0.8mg/L以下に抑制するフッ素含有燃焼灰の処理方法。
(2)フッ素含有燃焼灰に硫酸アルミニウム類、硫酸から選ばれた少なくとも1種の化合物と硫黄の酸化数が+2以下の硫黄化合物を加えて均一に攪拌する(1)に記載のフッ素含有燃焼灰の処理方法。
(3)平成15年環境省告示第18号に基づく溶出試験方法で溶出させた6価クロムの溶出量が0.05mg/L以下となるように抑制する(1)又は(2)に記載のフッ素含有燃焼灰の処理方法。
(4)前期混合処理された燃焼灰に水を添加して均一混合し粒状化した後、加熱乾燥する処理を施す(1)〜(3)のいずれか1項に記載のフッ素含有燃焼灰の処理方法。
本発明の方法によれば石炭ボイラ、RPFボイラ又は燃焼炉等から発生するフッ素含有燃焼灰に硫酸アルミニウム類、硫酸から選ばれる少なくとも1種の化合物と特定の硫黄化合物を特定量加えて均一に混合処理することにより、フッ素含有燃焼灰に含まれるフッ素の溶出を抑制することができる。さらに水を添加して均一混合処理した後に粒状化すれば、飛散しにくくなるため取り扱いが容易になり、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材又は盛土等として、環境への悪影響もなく利用することが可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明で使用されるフッ素含有燃焼灰としては、農業系バイオマスを燃焼させて得られる草木灰あるいは石炭などの固体燃料、木材ペレット、樹皮などのバイオマス固形化燃料、RPF、RDFなどの廃棄物固形化燃料、廃紙、廃タイヤ、黒液、製紙スラッジ、活性汚泥、脱水下水汚泥などの廃棄物系バイオマスを燃焼した際の排ガスを電気集塵機やバグフィルターなどで処理して得られる灰の他に、ガス化した際に発生する灰も用いることができる。また、予め人工ゼオライト化した灰も使用可能である。灰は、1種または複数から選ばれた燃料または廃棄物を燃焼させて得られた灰であればよく、複数の燃焼灰を混合して用いることもできる。
通常、燃焼灰などに含まれるフッ素は燃焼灰中でエトリンガイト結晶と呼ばれるカルシウムサルホアルミネート水和物を形成させるとフッ素がこの結晶中に取り込まれ、固定化が達成される。そこで本発明者らは燃焼灰などに含まれるフッ素を効率的に固定化するための処理剤について鋭意検討した結果、処理剤として硫酸アルミニウム類、硫酸から選ばれる少なくとも1種の化合物と硫黄の酸化数+2以下の硫黄化合物を特定量共存させて燃焼灰と混合処理すると速やかにエトリンガイト結晶を形成し、驚くべきことに処理後わずか数時間でこの結晶構造にフッ素を取り込んで不溶化する効果があることを見出した。さらに、本発明の処理方法によれば、フッ素の溶出を抑制し同時に6価クロムの溶出も抑制されることを見出した。
すなわち、本発明はフッ素含有燃焼灰に硫酸アルミニウム類、硫酸から選ばれる少なくとも1種の化合物と硫黄の酸化数+2以下の硫黄化合物を特定量添加して均一に混合処理するところに大きな特徴を有する。
本発明において使用される硫酸アルミニウム類としては、無水硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウム14〜18水和物、硫酸アルミニウム12水和物、硫酸アルミニウムカリウム12水和物、硫酸アルミニウムナトリウム12水和物、硫酸アンモニウムアルミニウム12水和物などが挙げられるが、これらのうちいずれでも良く、2種類以上を組合せて使用しても良い。とりわけ無水硫酸アルミニウムおよび硫酸アルミニウム14〜18水和物が好ましい。なお、フッ素を固定化するためにフッ素を取り込むエトリンガイトの生成に硫酸根が必要で、硫酸、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸鉄などで多少の効果を発揮するが、硫酸根含有化合物の中でも硫酸アルミニウム類を使用することにより、さらに大きなかつ安定的なフッ素溶出抑制効果がより迅速に発現される。また、硫酸も硫酸アルミニウム類に準じて効果的である。これは燃焼灰中に既にアルミニウムが含まれているので、硫酸の使用でもエトリンガイト結晶を形成し、フッ素を固定化できるためと考えられる。ここで、本発明において使用される硫酸としては濃硫酸(濃度75〜99%)が好ましい。
硫酸アルミニウム、硫酸から選ばれた少なくとも1種の化合物の添加率は燃焼灰に対して0.1〜40質量%、好ましくは1〜40質量%の範囲である。該化合物の添加率が0.1質量%未満であるとフッ素の溶出抑制効果に乏しくなるおそれがある。逆に、40質量%を超えると6価クロムの溶出が多くなり、6価クロムを3価クロムに還元させるために要する硫黄化合物も多量に要することになり、経済的にも必要性に乏しい。
なお硫酸アルミニウム類と硫酸を併用する場合も、それらの総量が上記の適正添加率範囲内であれば、効果面、コスト面で実用的である。
本発明で使用される硫黄化合物としては硫黄の酸化数が+2以下の例えばチオ硫酸塩(S 2−)、硫化塩(S )、水硫化塩(SH )のいずれでも良いが、中でも酸化数が最も低い硫化塩、水硫化塩は6価クロムの溶出抑制効果に優れるため好ましい。逆に硫黄の酸化数が+2を超える、例えば次亜硫酸塩(S 2−)、ピロ亜硫酸塩(S 5−)は6価クロムの溶出抑制効果に乏しく、本発明の使用には適さない。硫黄の酸化数が+2を超える硫黄化合物の場合、還元力が酸化数+2以下の硫黄化合物に比べ劣るため、燃焼灰から溶出した6価クロムを3価クロムに還元できないからと考えられる。
硫黄の酸化数が+2以下の硫黄化合物の添加率は燃焼灰に対して0.005〜10質量%、好ましくは0.05〜10質量%の範囲である。例えば添加率が0.2質量%の場合、6価から3価に還元されたクロムが不溶化する。これは、水酸化クロム(Cr(OH))が生成したためと考えられる。硫黄の酸化数が+2以下の硫黄化合物の添加率が0.005質量%未満であると6価クロムの溶出抑制効果に乏しくなるおそれがある。逆に該硫黄化合物の添加率が10質量%を超えると、水酸化クロムが溶解する(3価クロムとして溶解する)のみならず、薬剤コストがかさむので必要性に乏しい。
燃焼灰に硫酸アルミニウム類、硫酸から選ばれた少なくとも1種の化合物、硫黄の酸化数が+2以下の硫黄化合物を添加した後は均一に攪拌することが重要である。攪拌する事により添加物がより均一に燃焼灰中に分散し、上記薬剤の最小限の量でフッ素の固定化が行われる。上記薬品の添加順序は特に限定はなく、順次添加しても、同時に添加しても問題はない。なお攪拌に際して水を添加することも可能である。水溶液として添加する場合は、20〜40質量%程度である。攪拌機としては、特に限定されるものではなく、リボンミキサー、ニーダー、カウレス分散機、アイリッヒインテンシブミキサー、ペレガイアミキサー等が使用できるが、簡便に均一な攪拌ができるリボンミキサー、ニーダーが好ましい。
本発明の処理方法で得られた処理灰を、公知の造粒装置を用いて、粒状化することが好ましい。粒状化する方法としては、水を添加した後に、人力での攪拌による方法の他に、公知の混合攪拌装置を用いることができる。また、混練機で均一に混和した後、ディスクペレッターなどの造粒機で成型することもできる。
粒状化物の大きさには制限はなく、ハンドリングの容易さを考慮すれば平均粒子径が0.1〜10mmとすることが好ましい。また、本発明では粒状化物に限定されるものではなく、板状などに大型成型物としても差し支えない。
この場合、造粒の過程で水の添加を要するので、粒状品は風乾でもかまわないが加熱乾燥するのが好ましい。
このようにして製造された粒状品は飛散しにくいので取り扱いが容易であり、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材又は盛土等の種々の用途に利用でき便利である。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、その実施態様を変更することができる。
なお、実施例及び比較例における各種薬剤の添加率はいずれも質量比であり、用いた原灰は、主に製紙スラッジを燃料とした流動床炉のバグフィルターで捕獲した飛灰である。飛灰からのフッ素及び6価クロムの溶出量を平成15年環境省告示第18号に基づく溶出試験方法に準じて行った。この結果、フッ素の溶出量は1.6mg/Lと溶出規制値(0.8mg/L)を超えているが、6価クロムの溶出量は0.02mg/Lと溶出規制値(0.05mg/L)を超えていないことが分かった。
1)フッ素および6価クロムの溶出方法
平成15年環境省告示第18号に準じて行なった。すなわち、試料を、粒状品は破砕した後、非金属製である目開き2mmの篩を通過させたもの50gを1000mlの蓋つきのポリエチレン容器に取り、純水(pH5.8〜6.3)を500ml加えて試料液を調製した。この調製した試料液を、常温、大気圧下で、産廃溶出振とう機(タイテック社製)を用いて6時間連続振とうした(振とう幅4〜5cm、振動数 200回/分)。ついで、振とう後の試料液を、30分間静置した後、毎分約3000回転で20分間遠心分離した。上澄み液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、濾液をとり、定量に必要な量を正確に計り取り、これを検液とした。
2)フッ素の測定方法
検液をイオンクロマトグラフ(DX−120/DIONEX社製)で分析し、溶出したフッ素を定量した(JIS K 0102の34.2)。
3)6価クロムの測定方法
検液をジフェニルカルバミド吸光光度法にて分析した(JIS K 0102の65.2.1)。
実施例1
製紙スラッジ燃焼用流動床炉の煙道に設置されたバグフィルターで集塵した飛灰中から、中小礫及び木片等を除いた後、造粒機アイリッヒインテンシブミキサーに投入し、硫酸アルミニウム、水硫化ナトリウム(硫黄の酸化数:−2)の順に添加し均一分散を図った。すなわち、造粒機の容器に上記飛灰2kgを入れ、攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液(硫酸アルミニウム濃度28質量%)を357g(純分対灰5質量%)入れ3分攪拌し、その後水硫化ナトリウム水溶液(水硫化ナトリウム濃度25質量%)を4g(純分対灰0.05質量%)入れ3分攪拌し処理灰(粒状化なし)を作製した(実施例1(1))。次いで、この処理灰の1800gに、水を攪拌しながら徐々に添加して粒状化した後、105℃で2時間乾燥し、粒状品を作成した。この時添加した水の量は、990g(対灰55質量%)であった(実施例1(2))。この処理灰及び粒状品について、上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムとの溶出量を求めた。その結果を表1に示す。飛灰のフッ素1.6mg/L、6価クロム0.02mg/Lに対して、処理灰及び粒状品ともに、フッ素0.1mg/L、6価クロム0.01未満mg/Lと溶出規制値(フッ素0.8mg/L、6価クロム0.05mg/L)を満足していた。また、粒状品は飛散し難く、取り扱いが容易であり、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土などとして有用であった。
実施例2
硫酸アルミニウム水溶液(硫酸アルミニウム濃度28質量%)の添加量を7.1g(純分対灰0.1質量%)とした以外は、実施例1と同様の処理を行った。得られた処理灰(実施例2(1))及び粒状品(実施例2(2))を上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムとの溶出量を求めた。その結果、処理灰及び粒状品ともに、フッ素0.7mg/L、6価クロム0.01未満mg/Lと溶出規制値を満足していた。また、粒状品は飛散し難く、取り扱いが容易であり、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土などとして有用であった。
実施例3
水硫化ナトリウム水溶液(水硫化ナトリウム濃度25質量%)を0.4g(純分対灰0.005質量%)とした以外は、実施例1と同様の処理を行った。得られた処理灰及び粒状品を上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムとの溶出量を求めた。その結果、処理灰(実施例3(1))及び粒状品(実施例3(2))ともに、フッ素0.1mg/L、6価クロム0.04mg/Lと溶出規制値を満足していた。また、粒状品は飛散し難く、取り扱いが容易であり、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土などとして有用であった。
実施例4
硫酸アルミニウムの代わりに硫酸(硫酸濃度98質量%)を102g(純分対灰5質量%)添加し、水硫化ナトリウムのかわりに、硫化ナトリウム(硫黄の酸化数:−2)水溶液(硫化ナトリウム濃度25質量%)を4g(純分対灰0.05質量%)添加し、かつ、粒状化処理をしなかった以外は、実施例1と同様の処理を行った。得られた処理灰を上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムの溶出量を求めた。その結果、フッ素0.1mg/L、6価クロム0.01未満mg/Lと溶出規制値を満足していた。
実施例5
硫酸(硫酸濃度98質量%)を2g(純分対灰0.1質量%)添加した以外は実施例4と同様の処理を行った。得られた処理灰を上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムの溶出量を求めた。その結果、フッ素0.7mg/L、6価クロム0.01未満mg/Lと溶出規制値を満足していた。
実施例6
水硫化ナトリウムの代わりにチオ硫酸ナトリウム(硫黄の酸化数:+2)水溶液(チオ硫酸ナトリウム濃度25質量%)を4g(純分対灰0.05質量%)添加し、かつ、粒状化処理をしなかった以外は、実施例1と同様の処理を行った。得られた処理灰を上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムの溶出量を求めた。その結果、フッ素0.1mg/L、6価クロム0.02mg/Lと溶出規制値を満足していた。
実施例7
硫酸アルミニウム水溶液(硫酸アルミニウム濃度28質量%)の添加量を2857g(純分対灰40質量%)、チオ硫酸ナトリウム水溶液(チオ硫酸ナトリウム濃度25質量%)の添加量を800g(純分対灰10質量%)とした以外は実施例6と同様の処理を行った。得られた処理灰を上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムの溶出量を求めた。その結果、フッ素0.1mg/L未満、6価クロム0.01mg/L未満であり、溶出規制値を満足していた。
実施例8
灰2kgに対して硫酸アルミニウム14〜18水和物を硫酸アルミニウムとして5質量%、水硫化ナトリウムを0.05質量%添加した後、十分に攪拌し、次いで水400mLをスプレーで均一になるように噴霧、攪拌した。得られた処理灰を上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムの溶出量を求めた。その結果、フッ素0.1mg/L、6価クロム0.01mg/L未満と溶出規制値を満足していた。
比較例1
硫酸アルミニウム水溶液(硫酸アルミニウム濃度28質量%)の添加量を3.6g(純分対灰0.05質量%)とし、かつ、粒状化処理をしなかった以外は、実施例1と同様の処理を行った。得られた処理灰を上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムの溶出量を求めた。その結果を表1に示す。実施例1と比べてフッ素の溶出量が多く、溶出規制値(0.8mg/L)を超えていた。
比較例2
硫酸アルミニウムのかわりに、硫酸(硫酸濃度98質量%)を1g(純分対灰0.05質量%)添加した以外は比較例1と同様の処理を行った。得られた処理灰を上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムの溶出量を求めた。その結果フッ素が溶出規制値を超えていた。
比較例3
水硫化ナトリウムの代わりに次亜硫酸ナトリウム(硫黄の酸化数:+3)水溶液(次亜硫酸ナトリウム濃度25質量%)を4g(純分対灰0.05質量%)添加し、かつ、粒状化処理をしなかった以外は、実施例1と同様の処理を行った。得られた処理灰を上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムの溶出量を求めた。その結果、6価クロムが溶出規制値(0.05mg/L)を超えていた。
比較例4
水硫化ナトリウムの代わりにピロ亜硫酸ナトリウム(硫黄の酸化数:+4)水溶液(ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液25質量%)を4g(純分対灰0.05質量%)添加し、かつ、粒状化処理をしなかった以外は、実施例1と同様の処理を行った。得られた処理灰を上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムの溶出量を求めた。その結果、6価クロムが溶出規制値を超えていた。
比較例5
硫酸アルミニウム水溶液(硫酸アルミニウム濃度28質量%)のみを357g(純分対灰5質量%)添加した以外は比較例1と同様の処理を行った。得られた処理灰を上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムの溶出量を求めた。その結果、6価クロムが溶出規制値を超えていた。
比較例6
水硫化ナトリウム(水硫化ナトリウム濃度25質量%)のみを400g(純分対灰5質量%)添加した以外は比較例1と同様の処理を行った。得られた処理灰を上記の溶出方法と測定方法で分析し、フッ素と6価クロムの溶出量を求めた。その結果、フッ素が溶出規制値を超えていた。
Figure 2009034611
表1から明らかなように、実施例1では、硫酸アルミニウムの添加率が適正であり、硫黄化合物中の硫黄の酸化数が適正かつ添加率が適正であるので、フッ素、6価クロムともに溶出量が規制値を満足している。実施例2からはフッ素の溶出量が、規制値を満足しているが、上限付近にあることから、硫酸アルミニウムの添加率は0.1質量%以上必要であること、実施例3からは6価クロムの溶出量が、規制値を満足しているが、上限付近にあることから、硫黄化合物の添加率は0.005質量%以上必要であることがわかる。また実施例4と5では、硫酸アルミニウムのかわりに硫酸を用いたが、適正な添加率であるので、本発明の効果が得られ、実施例6では、実施例1〜5とは酸化数が異なる硫黄化合物を用いたが、その酸化数、添加率とも適正であるので、やはり本発明の効果が得られた。実施例7では薬品の添加量が上限となっており、フッ素や6価クロムの溶出抑制効果は良好であるが、該薬品のこれ以上の添加は経済的な理由により必要性に乏しい。実施例8では硫酸アルミニウム類として硫酸アルミニウム14〜18水和物を用いたが、フッ素および6価クロムの溶出抑制効果を示した。一方、比較例1と2に示すように、硫酸アルミニウム類の添加率が適正域に達していないと、フッ素の溶出量が規制値を超えること、比較例3と4に示すように硫黄化合物の酸化数が適正でないと、6価クロムの溶出量が規制値を超えることがわかる。また、比較例5に示すように、硫酸アルミニウム類のみの添加、比較例6に示すように、酸化数が適正な硫黄化合物のみの添加では所望の効果が得られず、両者を併用しなければならないことがわかる。
本発明の方法は、石炭ボイラやRPFを燃料としたRPFボイラから排出されるフッ素を含有する燃焼灰を、煙道や排出口の近傍で処理することが可能であり、得られた処理灰は固化していないので利用先を制限されず、また、粒状品は飛散しにくいなど作業性が優れているので、広範囲な用途、例えば、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材又は盛土等としてそのまま有効利用することができるものである。

Claims (4)

  1. フッ素含有燃焼灰に、硫酸アルミニウム類、硫酸から選ばれた少なくとも1種の化合物0.1〜40質量%および硫黄の酸化数が+2以下の硫黄化合物0.005〜10質量%を加えて混合処理することにより、平成15年環境省告示第18号に基づく溶出試験方法で溶出させた場合のフッ素溶出量が0.8mg/L以下となるように抑制することを特徴とするフッ素含有燃焼灰の処理方法。
  2. フッ素含有燃焼灰に硫酸アルミニウム類、硫酸から選ばれた少なくとも1種の化合物と硫黄の酸化数が+2以下の硫黄化合物を加えて均一に攪拌することを特徴とする請求項1記載のフッ素含有燃焼灰の処理方法。
  3. 平成15年環境省告示第18号に基づく溶出試験方法で溶出させた場合の6価クロムの溶出量が0.05mg/L以下となるように抑制することを特徴とする請求項1又は2に記載のフッ素含有燃焼灰の処理方法。
  4. 前記混合処理された燃焼灰に水を添加して均一混合し粒状化した後、加熱乾燥する処理を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフッ素含有燃焼灰の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013202477A (ja) * 2012-03-28 2013-10-07 Nippon Paper Industries Co Ltd ペーパースラッジ燃焼灰の処理方法
JP2020000968A (ja) * 2018-06-26 2020-01-09 花王株式会社 燃焼灰の処理方法

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