JP2003226562A - 環境改善セメント組成物 - Google Patents

環境改善セメント組成物

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JP2003226562A JP2002028408A JP2002028408A JP2003226562A JP 2003226562 A JP2003226562 A JP 2003226562A JP 2002028408 A JP2002028408 A JP 2002028408A JP 2002028408 A JP2002028408 A JP 2002028408A JP 2003226562 A JP2003226562 A JP 2003226562A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重金属類、有機塩素化合物を含む環境汚染土
壌を固化封止する環境改善セメント組成物を提供する。 【解決手段】 マグネシヤ質70〜155重量部、リン
酸塩5〜30重量部(この内リン酸塩キレート剤1〜5
重量部を含む)、活性炭5〜30重量部、有機酸0.2
〜2.0重量部を必須成分とする環境改善セメント組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼却灰、汚染土
壌、汚泥、工場廃棄物、建設廃土を安定化処理する技術
に関するもので、更に詳しくは、重金属類、有機塩素化
合物を固化封止する環境改善セメント組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】環境汚
染物質として挙げられている、重金属類、有機塩素化合
物のPCB、トリクロールエチレン、パークレン、ダイ
オキシン及び環境ホルモン撹乱物質のビスフェノール
A、フタル酸エステル類、オキシ安息香酸類、有機スズ
酸エステルなどは、人類の生活環境から安全な形で排除
することが好ましいが、多量に発生し続ける環境汚染物
質を効率よく処理することは極めて困難である。
【0003】ゴミ処理焼却に伴う焼却灰、下水道から発
生する活性汚泥焼却灰なども、熔融固化により安全性が
高まった様に見られたが、酸性域での重金属溶出が見い
だされて、必ずしも熔融固化が安定でなく、更にセメン
ト固化を行うことが安全であるとされている。しかし、
セメント固化も6価クロム問題と、セメントの高アルカ
リにより鉛及びカドミウムの両者が共存する状態では同
時に溶出を押さえることが困難であるという問題があ
る。又、一時、有機キレート化合物による安定化処理が
行われていたが、長期安定性が悪く、特にセメント併用
系では、有機キレートの分解が確認されている。更に、
工場跡地などの土壌汚染は重金属類と有機塩素化合物の
複合汚染が多く、多元的な処理が可能な方法が求められ
ている。
【0004】これらを安定的に処理する方法として、固
化剤としてポルトランドセメントに代わる物質を使用す
る方法が試みられ、アルミナセメント、珪酸ソーダ、石
灰、高炉スラグ、高炉セメントなどが用いられている
が、それぞれに問題点があり、単独でなく2種類以上の
組み合わせにより行われている。また、前記有機キレー
トとして、有機硫黄化合物及びEDTA、グルコン酸、
クエン酸、キレート樹脂として、イミノ二酢酸キレート
樹脂、ポリアミン樹脂、アミドキシム樹脂、グルカミン
樹脂、ジチオカルバミン酸樹脂、チオ尿素樹脂などが検
討されているが、長期安定性に欠ける。更に、鉄塩、フ
ェライト、無機キレートも含めて検討されているが結果
は必ずしも好ましくない。例えば、リン酸塩のポリリン
酸アンモニウム、及びその他のリン酸塩、水酸アパタイ
ト、ボビーライトなどをセメントと混合する方法では、
リンがセメントの遅延剤として働き、セメントの強度発
現を阻害する問題がある。
【0005】更に、これらの安定化問題は、単一重金属
では有効でであるが、複合重金属汚染では、重金属類の
中で両性重金属類が混在すると処理を困難とする場合が
多かった。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の問題を解決する方
法として、一般的には、重金属類を水酸化合物の低い溶
解度にして、セメントのごとく水和により硬化し、凝結
時間が大幅に調整可能で、pHが11.0以下の耐水性
の高い、キレート性の水硬性セメントが要求される。こ
の条件を満足し、更に選択的に有機塩素化合物を取り込
む物質は、活性炭の類いで吸着物質の分子の大きさに対
応した空孔を有する選択可能な自由度のものが好まし
い。
【0007】又、固化物の表面硬度が6H以上と高く耐
摩耗性の良好な物性は、焼却灰等を固化した場合に表面
に露出することを防止し、酸性雨に耐え得る耐酸性をも
たらすため、好ましい。
【0008】本発明者は、これらの要求を満足する環境
改善セメント組成物について鋭意検討した結果、マグネ
シヤ質を主成分とし、これに特定の化合物を併用したも
のが極めて高い性能を有することを見出し、本発明を完
成した。
【0009】即ち、本発明はマグネシヤ質70〜155
重量部、リン酸塩5〜30重量部(この内リン酸塩キレ
ート剤1〜5重量部を含む)、活性炭5〜30重量部、
有機酸0.2〜2.0重量部を必須成分とする環境改善
セメント組成物、並びにマグネシヤ質70〜155重量
部、炭酸化合物5〜25重量部、リン酸塩キレート剤1
〜5重量部、活性炭5〜30重量部、有機酸0.2〜
2.0重量部を必須成分とする環境改善セメント組成
物、並びにマグネシヤ質70〜155重量部、リン酸塩
5〜30重量部(この内リン酸塩キレート剤1〜5重量
部を含む)、炭酸化合物5〜10重量部、活性炭5〜3
0重量部、有機酸0.2〜2.0重量部を必須成分とす
る環境改善セメント組成物である。
【0010】本発明によれば、環境汚染物質に対し、本
発明のセメント組成物3〜100重量%と水40〜17
0重量%を添加し、固化処理することにより、環境汚染
物質を効果的に処理することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるマグネシヤ質とは、若干の鉄を含む
炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、カンラン石、
滑石、蛇紋岩を800℃近くで焼成して得られる、軽焼
マグネシヤ及び軽焼ホルステライト、軽焼滑石、軽焼蛇
紋岩を200メッシュ以下に粉砕して必要により2種以
上を混合したものである。
【0012】一方、マグネシヤ質の硬化剤となり得る物
質としては、リン酸塩と炭酸塩が挙げられる。これらは
単品又は混合して使用することができ、リン酸塩として
は、リン酸肥料等に用いられている、リン酸アンモニウ
ム、ポリリン酸アンモニウム、スーパーリン酸、過リン
酸石灰、重過リン酸石灰、過リン酸マグネシウム、重過
リン酸マグネシウム、腐食酸、リクニンスルホン酸、ク
エン酸可溶の重焼リン、熔リン、トーマスリン肥などで
ある。これらは、MgO含有量に換算して100重量部
あたりP25として3〜25重量部を0.1〜1.0重
量部の腐食酸、リクニンスルホン酸、クエン酸存在下に
反応させる方法である。この時、他の水溶性ピロリン酸
塩、トリポリリン酸塩、ポリリン酸塩好ましくは、縮合
リン酸塩、ポリリン酸塩を添加しても良く、メタリン酸
ポリリン酸ソーダ、酸性ピロリン酸ソーダ、トリポリリ
ン酸ソーダ1〜5重量部をリン酸キレート剤として添加
する、更にこれらは2種以上を混合使用することができ
る。
【0013】又一方、炭酸塩もマグネシヤ質の硬化剤と
なり利用することができ、例えば無機炭酸塩として重
曹、重炭酸カリ、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモ、
炭酸グアーニジン、正炭酸マグネシウムをMgO含有量
に換算して100重量部あたりCO3として3〜25重
量部添加する、有機炭酸化合物として炭酸エチレン、炭
酸プロピレン、トリアセチン、エチレングリコールジア
セテート、γ−ブチルラクトンをMgO含有量に換算し
て100重量部あたりCO3として5〜25重量部添加
する。これらは同時に0.1〜1.0重量部の腐食酸、
リクニンスルホン酸、クエン酸存在の下に反応させると
凝結時間を調節する、又、2種以上を混合使用すること
ができる。更に上記リン酸塩と混合して2種類以上の硬
化剤として複合使用が可能で、重金属類をアルカリサイ
ドで共沈させて、吸着させることができる。
【0014】又、更に凝結遅延のみならず、上記マグネ
シヤ質及び水不溶リン酸塩の可溶化剤と炭酸塩の凝結時
間を調節する目的で用いることができ、上記腐食酸、リ
クニンスルホン酸、クエン酸以外にこれらのナトリウム
塩、アンモニウム塩を用いることができ、グルコン酸ソ
ーダ、2−ケトグルタール酸ソーダを併用しても良く2
種以上を混合使用することができる。
【0015】本発明に使用される活性炭は、各種の活性
炭中比較的空孔率の大きいものが適しており、空孔の深
さが100Å〜200Å、空孔φ5Å〜30Åであるも
のが好ましい。特に重金属類にはL/Dが4〜6:1.
0の空孔の深さが100Å〜150Å、空孔φ5Å〜2
5Åのものであり、PCB及びダイオキシン類ではL/
Dが7〜10:1.0の空孔深さ150Å〜200Å、
空孔φ15Å〜30Åのものが適している。これらは粉
末の形で添加され、重金属類又は有機塩素化合物の含有
量により5〜30重量部を使用する。活性炭の原料由来
としては、重金属類及び低分子有機塩素化合物に対して
は塩化亜鉛錻活ヤシ殻活性炭が好ましくは、PCB及び
ダイオキシン類に対しては塩化亜鉛錻活ピトモス活性炭
が好ましい。これらは、重金属類の水酸化物を吸着さ
せ、更に上記硬化物で固化することにより、より効果の
高い安定化処理を可能にすることができる。
【0016】以上にあげた、マグネシヤ質の硬化剤とし
て、リン酸塩(リン酸肥料)、各種の炭酸塩及びリン酸
塩キレート剤と可溶化剤と凝結遅延剤を含む有機酸類及
び活性炭を含む組成物を、重金属及び有機塩素化合物の
封止目的に応じて配合する。基本配合は、MgO含有量
で換算すると軽焼マグネシヤを使用する場合70〜80
重量部に対し、リン酸塩5〜30重量部、有機酸0.2
〜2.0重量部に必要によりリン酸塩キレート剤1〜5
重量部、活性炭5〜30重量部を添加する。軽焼ホルス
テライトでは103〜118重量部に対し、リン酸塩5
〜30重量部、有機酸0.2〜2.0重量部に必要によ
りリン酸塩キレート剤1〜5重量部、活性炭5〜30重
量部を添加する。軽焼滑石、軽焼蛇紋岩では、114〜
155重量部に対し、リン酸塩5〜30重量部、有機酸
0.2〜2.0重量部に必要によりリン酸塩キレート剤
1〜5重量部、活性炭5〜30重量部を添加する。この
組成物の特徴はリン酸塩の選択により凝結時間が設定で
きることと、必ずしもリン酸塩キレート剤を必要としな
い点である。ただし、軽焼ホルステライト、軽焼滑石、
軽焼蛇紋岩の反応活性が低い場合は、30重量部〜50
重量部の軽焼マグネシヤをこれらに追加して使用するこ
とができる。
【0017】又、軽焼マグネシヤ100重量部に炭酸化
合物を使用する場合は5〜25重量部を、軽焼ホルステ
ライトでは103〜118重量部に対し炭酸化合物3〜
23量部、軽焼滑石、軽焼蛇紋岩では、114〜155
重量部に対し炭酸化合物3〜20量部を使用する、好ま
しくは7〜15重量部添加する、この組成物の特徴は、
凝結時間が始発を瞬結から4時間に腐食酸、リクニンス
ルホン酸、クエン酸、グルコン酸ソーダ、2−ケトグル
タール酸ソーダの添加量で設定できる利点がある。他だ
し軽焼ホルステライト、軽焼滑石、軽焼蛇紋岩の反応活
性が低い場合は、30重量部〜50重量部の軽焼マグネ
シヤをこれらに追加して使用することができる。
【0018】更に、リン酸塩と炭酸化合物を併用する場
合において、軽焼マグネシヤ100重量部にリン酸塩5
〜30重量部(この内リン酸塩キレート剤1〜5重量部
を含む)、炭酸化合物5〜10重量部を混合添加して、
リン酸塩の長時間凝結と炭酸化合物の初期凝結の利点を
活用でき様々な現場条件に対応できる物性を発現でき
る、他だし軽焼ホルステライト、軽焼滑石、軽焼蛇紋岩
の反応活性が低い場合は、30重量部〜50重量部の軽
焼マグネシヤをこれらに追加して使用することができ
る。
【0019】本発明の組成物は、マグネシヤ質粉末、リ
ン酸塩粉末(この内リン酸塩キレート剤粉末)、炭酸化
合物粉末、活性炭粉末、有機酸粉末を任意に混合して、
水分により反応させることを特徴とする組成物である、
好ましくは、これらの粉末度が200メッシュ以下であ
り、特にマグネシヤ質粉末及び水不溶リン酸塩粉末は好
ましくは300メッシュ以下が適している。
【0020】この組成物は、マグネシヤ質粉末に対する
リン酸塩粉末及び炭酸化合物粉末の添加量が非化学量論
的配合で、理論化学当量より、極めて少なく、ボビーラ
イトとは大きく異なる。化学組成で一般式は、Mg82
(PO46・5H2Oであるとされている。又、炭酸化
合物における反応では34%以下の理論量になり、反応
生成物は塩基性炭酸マグネシウムで、リン酸塩と炭酸塩
の併用系では、非化学量論リン酸マグネシウムと非化学
量論塩基性炭酸マグネシウムの混合物である。未反応の
マグネシヤ質は水酸化マグネシウムとして存在し、最終
的には空気中の炭酸ガスと反応して、塩基性炭酸マグネ
シウムを与える。
【0021】本発明の組成物は、マグネシヤ質粉末、リ
ン酸塩粉末(この内リン酸塩キレート剤粉末)、炭酸化
合物粉末、有機酸粉末が水により反応する過程では重金
属類がリン酸塩と反応してリン酸塩キレートを形成する
ことが知られているが、この状態における錯塩の安定度
が低く、pHに左右され易く不安定な外因が多い。金属
イオン[M]とキレート剤[mZ]が反応した場合、
[M]+[mZ]≦MZmが好ましく、この反応を右に
移行させるにはリン酸塩キレート重金属をマグネシウム
塩として不溶化させることでキレート効果を高めること
ができる。一般的に重金属類の溶解度の最も低下するp
H領域は10〜11で水酸化マグネシウムのpHに近
く、リン酸塩キレートの生成領域に一致するため重金属
類の封止に適している。
【0022】本発明の組成物は、マグネシヤ質粉末、リ
ン酸塩粉末(この内リン酸塩キレート剤粉末)、炭酸化
合物粉末、有機酸粉末に活性炭を添加する組成物では重
金属類のリン酸キレートを良く吸着し、水不溶の有機塩
素溶剤及びPCB、ダイオキシン類を選択的に吸着でき
るため上記マグネシヤ質粉末、リン酸塩粉末(この内リ
ン酸塩キレート剤粉末)、炭酸化合物粉末、有機酸粉末
組成物より更に安定化に寄与することができる、重金属
類のリン酸塩キレート固化物は、長期間に酸性雨などに
より抽出を受ける場合が考えられ、化学的安定性のみな
らず活性炭吸着により物理的安定性を固化と併用する系
でより高い安定性を獲得し、酸性抽出を受けにくくな
る。又、有機塩素溶剤及びPCB、ダイオキシン類は極
性が低く親水性が小さいため、これらを水系で除去する
ことが困難で様々な物理的方法が組み合わされている
が、活性炭を含む固化が最も効率が良く約2/100.
000にPCB、ダイオキシン類を低減することができ
る。
【0023】本発明の組成物である、マグネシヤ質粉末
として軽焼マグネシヤを80重量部に対し、重過リン酸
石灰10重量部、ポリリン酸ソーダ1重量部、無水クエ
ン酸粉末0.2重量部からなる粉体組成物を、関東ロー
ム100重量部に10重量部添加して水65重量部で混
練りするとセメント系固化剤に比較して約3倍の3.5
N/mm2の一軸圧縮強度が得られる。この硬化物のp
Hは10.0で植生及び魚貝類に悪影響を与えずセメン
ト系の様な白化現象がなく、耐水性が良好である。本組
成物は、無水クエン酸を使用して凝結時間を調節し、2
0℃のニートセメントの凝結時間を始発1時間45分〜
4時間35分に調節が可能であり、本発明の市販リン酸
塩の種類を水溶性リン酸含有量で比較すると、リン酸ア
ンモニウム74〜85%、ポリリン酸アンモニウム50
〜70%、過リン酸石灰16〜20%、重過リン酸石灰
30〜48%、重過リン酸マグネシウム30〜48%、
重焼リン35%、熔リン30%、メタリン酸マグネシウ
ム70%でこの数値によりリン酸塩の配合量を調節す
る。ただし、完全可溶なリン酸アンモニウム、ポリリン
酸アンモニウムは非常にマグネシヤ質との反応が早く、
重過リン酸石灰の水溶性リン酸量より低い値で使用する
ことが好ましく、遅延剤として酸性リン酸ソーダ等をあ
らかじめ反応させた物を使用する。熔リンは凝結時間の
長い用途に適し、7日間凝結を遅延させることが可能で
ある。
【0024】本発明の組成物における炭酸化合物の用法
は、マグネシヤ質粉末として軽焼マグネシヤを80重量
部に対し、重曹15重量部、ポリリン酸ソーダ1重量
部、無水クエン酸粉末0.4重量部からなる粉体組成物
のニートセメントの凝結時間は20℃で1時間10分で
あり、無水クエン酸を無添加では、始発3分15秒終結
6分25秒と急結性で粉末塩化第一鉄を2重量部添加す
ると瞬結するようになる。これに比較して、軽焼マグネ
シヤを80重量部に対し、重炭酸アンモ15重量部、ポ
リリン酸ソーダ1重量部、無水クエン酸粉末0.4重量
部からなる粉体組成物は、ニートセメントの凝結時間が
20℃で45分で無水クエン酸無添加では、始発2分1
5秒で瞬結する。軽焼マグネシヤを80重量部に対し、
エチレンカーボネート20重量部、ポリリン酸ソーダ1
重量部、無水クエン酸粉末なしの粉体組成物は、ニート
セメントの凝結時間は20℃で1時間45分であり、粉
末塩化第一鉄を2重量部添加すると6分25秒で硬化す
る。同一添加量、同一組成、同一条件の各炭酸化合物、
炭酸プロピレンで凝結時間が1時間45分、トリアセチ
ン凝結時間が15分、エチレングリコールジアセテート
凝結時間が1時間34分、γ−ブチルラクトン凝結時間
が1時間52分と炭酸化合物の反応性により凝結時間に
違いが認められる。
【0025】本発明の組成物中、リン酸塩硬化と炭酸化
合物併用系の用法は、リン酸塩の影響により特に酸性塩
では炭酸化合物の遅延剤として作用し凝結時間が長くな
る傾向がある、例えば軽焼マグネシヤを80重量部に対
し、重過リン酸石灰10重量部、重曹5重量部、ポリリ
ン酸ソーダ1重量部、無水クエン酸粉末0.4重量部か
らなる粉体組成物のニートセメントの凝結時間は20℃
で2時間7分であり、始発のみが遅延し終結は2時間3
4分で1日強さは、重過リン酸石灰のみより35%向上
した。以上のようにマグネシヤ質に対する3種類の硬化
剤の選択と有機酸の添加量で凝結時間を自由に調節でき
る利点がある。
【0026】本発明の主たる組成物のマグネシヤ質は、
軽焼マグネシヤ及び軽焼ホルステライト、軽焼滑石、軽
焼蛇紋岩粉末であり、軽焼マグネシヤMgOとしての含
有量低い嫌いがある、しかし、これらに軽焼マグネシヤ
を10〜30重量部追加混合すると、軽焼マグネシヤの
反応活性と同等な配合が行える。軽焼ホルステライト、
軽焼滑石、軽焼蛇紋岩粉末を用いると珪酸を含有するた
め耐酸性を向上させることができるばかりか、軽焼マグ
ネシヤ資源が地域により偏在しているのに対し、軽焼ホ
ルステライト、軽焼滑石、軽焼蛇紋岩資源は、比較的広
範囲に分布するため、軽焼マグネシヤより安価に大量供
給が可能であるとされている。このため、セメントより
焼成温度が低く生産性が良い利点は、軽焼マグネシヤを
多少混合する組成物配合では用途により非常にコスト面
で有利である。軽焼ホルステライトは、焼成方法により
不活性になり易いが、塩焼き又は塩化マグネシウム焼き
により、この問題を解決することができる。原鉱石産地
により鉄分5〜10%を含有するため焼成粉末は茶褐色
になる傾向があり、軽焼マグネシヤの白色又は淡黄色と
異なるが、用途により使い分けるこど色調は問題がな
い。
【0027】本発明の組成物を使用するにあたり、セメ
ントに使用される減水剤及び流動化剤を使用すると、ス
ラリーの性質を改善することができる、上記に上げた有
機酸類の添加は、減水作用もあり、ニトロフミン酸塩、
リグニンスルホン酸塩、クエン酸はマグネシヤ質の良好
な減水作用を有する。ナフタリン系、メラミン系、ポリ
カルボン酸系も併用して利用可能であり、起泡剤、増粘
剤、消泡剤、各種の高分子エマルジョンを使用すること
ができる。
【0028】
【作用】1)本発明の環境改善セメント組成物は、主成
分にマグネシヤ質を用いるものでリン酸塩を硬化剤とす
る場合は、従来のリン酸マグネシヤセメントの反応モル
と異なり、リン酸塩量が極めて少ない非化学量論的配合
である。一方の炭酸化合物を使用する場合においても炭
酸化合物量が極めて少ない非化学量論的配合であり。両
者の併用系でも同様な非化学量論的配合である。これら
の原料組成は安全性が極めて高い、肥料成分又は食品添
加物かこれに準ずる原料を使用するため、万一自然界に
拡散しても安全性が高くpHも低く、主原料のマグネシ
ヤ質の溶解度は0.0009で石灰の0.16に比較し
て1/177であり、凝結時間が自由に調節できる利点
とセメント系に匹敵する物理的強度を有する。 2)セメント系固化剤の欠点であるCr6+の問題がな
く、ローム系土壌では少量で固化が可能であり、有機土
壌及びセメント系で固化不能な産業廃棄物、汚泥、廃石
灰、海底堆積物、温泉汚泥、硫黄含有物などを固化し、
重金属類、有機溶剤、PCB、ダイオキシンなどを安定
化することができる。特に複合土壌汚染防止や河川汚泥
などの複雑な含有物に有効で、アンモニヤ、メルカプタ
ン、硫化水素、などの臭気を固定できる消臭作用があ
る。 3)有害物質含有がなくpHが低いため、生物環境適合
し環境負荷がないため、成型物は土に直接循環させるこ
とができ、農業用途や魚礁、護岸コンクリートなどの従
来のセメントにない広範囲な再資源的用途がある。
【0029】
【実施例】以下に、本発明を実施例により更に具体的に
説明するが、本発明は、これらの例によって、限定され
るものではない。 実施例1 O市下水道活性汚泥焼却灰の環境省46号試験による原
灰100重量部と、本発明の環境改善セメント組成物
(以下本発明組成物という)である軽焼マグネシヤ(2
00メッシュ以下)85重量部、重焼リン粉末(200
メッシュ以下)15重量部、無水石膏5重量部、無水ク
エン酸0.1重量部の粉体混合物30重量部を混合し
て、これに水70重量部を添加して5分間ポバートミキ
サーで混合し、50φ×100の土質試験型枠に充填し
て硬化させた。28日間室温気中養生した成型物をJI
S A 1216に従い、圧縮試験を行った。この結果
は、36.4N/mm2であった。この破砕供試体を5
mm以下に粉砕して、篩分し環境省46号試験を行い重
金属類の検出を行った。重金属等の溶出試験の結果を表
1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】実施例2 K市焼却炉飛灰を環境省46号試験により分析し、本発
明の組成物として軽焼マグネシヤ(200メッシュ以
下)85重量部、重焼リン粉末(200メッシュ以下)
15重量部、無水石膏5重量部、無水クエン酸0.1重
量部にポリリン酸ソーダ2.0重量部、ビート活性炭
3.0重量部の粉体混合物35重量部を上記焼却炉飛灰
100重量部と混合して、これに水60重量部を添加し
て5分間ポバートミキサーで混合し、50φ×100の
土質試験型枠に充填して硬化させた。28日間室温気中
養生した成型物をJIS A 1216に従い、圧縮試
験を行った。この結果は、23.2N/mm2であっ
た。この破砕供試体を5mm以下に粉砕して、篩分し環
境省46号試験を行い重金属類の検出を行った。結果を
表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】*ダイオキシン含有飛灰固化処理物0.2
7ng/lは、180℃/10kgのオートクレーブ6時
間処理により0.01ng/l以下にすることができた。 実施例3 関東ロームに環境省46号試験基準値の10倍、100
倍量の重金属類(塩化水銀、塩化カドミウム、硝酸鉛、
重クロム酸カリ、3塩化ヒ素、塩化銅)を添加した。本
発明組成物として軽焼マグネシヤ(200メッシュ以
下)85重量部、重過リン酸石灰粉末(200メッシュ
以下)15重量部、無水石膏5重量部、無水クエン酸
0.1重量部にポリリン酸ソーダ2.0重量部、ビート
活性炭3.0重量部の粉体混合物35重量部を上記関東
ローム100重量部と混合して、これに水65重量部を
添加して5分間ポバートミキサーで混合して、50φ×
100の土質試験型枠に充填して硬化させる。28日間
室温気中養生した成型物をJIS A 1216に従
い、圧縮試験を行った。この結果、14.3N/mm2
であった。この破砕供試体を5mm以下に粉砕して、篩
分し環境省46号試験を行い重金属類の検出を行った。
表3に負荷試験の結果を示す。
【0034】
【表3】
【0035】実施例4 軽焼ホルステライト(360メッシュ全通)100重量
部に重曹15重量部、無水クエン酸0.4重量部、キー
レト剤兼硬化剤としてポリリン酸アンモニウム2重量部
を粉体混合して、本発明のセメント組成物を得た。20
℃の始発時間は1時間16分、終結時間は1時間46分
であり、無水クエン酸無添加の20℃の始発時間は4.
2分、終結時間は7.4分であった。これを含水率30
0%河川汚泥100重量部に本発明のセメント組成物5
0重量部添加して、5分間ポバートミキサーで混合し、
50φ×100の土質試験型枠に充填したところ、6時
間後には硬化した。7日間室温気中養生した成型物をJ
IS A 1216に従い、圧縮試験を行うと、0.4
3N/mm2 の強度を示した。固化物の臭気は完全に消
失して無臭であった。 実施例5 本発明の配合代表例を、表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】* 活性炭量は、適宜目的に応じて5〜2
0重量部を添加する。 * 凝結試験及び強さ試験は、JIS R 5201に
準じて試験を行った。 * 供試体pHは、5mm以下に粉砕して10倍量の純
水に7日間浸けて試験を行った。 * アオコ発生日数は、供試体pHに用いた試験に従い
室温野外放置の試験結果である。 * ポルトランドセメント供試体を上記と比較すると、
この期間内ではアオコ発生がない。 実施例6 採取河川堆積(汚泥含水率200%)100重量部に、
実施例5−配合4の本発明組成物20重量部(活性炭5
重量部を含む)を混合して固化させた。固化物の7日後
のコーン指数は5.0でpHは8.7であった。 実施例7 乾燥した関東ローム100重量部に、トリクロロエタン
2重量部及びテトラクロロエチレン2重量部を混合し
て、実施例5−配合7の本発明組成物30重量部とビー
ト活性炭10重量部及びビート活性炭15重量部を加え
て、水75重量部で混練りして固化させた。この試料を
5mm以下に粉砕して、6時間水で浸透抽出を行い、濾
過して抽出液をJIS K 01255.2に準じて試
験を行った。結果を表5に示す。
【0038】
【表5】
【0039】この負荷試験では、酒精用活性炭でも同様
な結果を得た。 実施例8 乾燥した関東ローム100重量部に、活性炭200重量
部、実施例5−配合1の本発明組成物30重量部に水7
0重量部を加えて、混合し粒径3.5mm〜5.4mm
の造粒品を得た。この造粒品を直径100mmφ、長さ
1000mmのパイプに充填して、上部より汚泥水を流
下させると、精透して臭気のない水が得られた。この水
にアンモニヤ水10mg/l及び40%リン酸10mg
/lを添加して下部から流失する水をサンプリングして
アンモニヤ及びリン酸を定量すると、アンモニヤ0.0
001mg/ l、リン酸0.00006mg/lであ
った。更に、この造粒品1kgを水10lの水槽に入れ
金魚を飼育すると28日間金魚の死亡率は0であった。 比較例1 アカメダカ100匹を水10l中に放流し、1分間20
0ccの曝気を行いつつポルトランドセメントスラリー
(セメント100g/水100g)を少量ずつ添加した
ところ、LC50に至る急性毒性は、16.5g/lであ
った。一方、本発明の環境セメント組成物は、同様の試
験の結果、LC50に至る急性毒性は、63.5g/lで
あった。 比較例2 ポルトランドセメント固化と本発明の環境セメント組成
物固化の重金属類の溶出量を図1に示す。試験方法は環
境庁13号試験及び環境庁46号試験に準じて行った。
【0040】
【発明の効果】本発明は、ポルトランドセメントに代わ
る固化剤を目指すものであり、リン酸塩のキレート作用
により重金属を補捉し、活性炭の併用で有機塩素化合物
を安定化できる複合型環境対応セメント組成物である。
本発明のセメント組成物は、環境負荷が極めて低く、直
接生物環境を犯すことがなく、廃棄する場合でも肥料成
分として循環が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポルトランドセメント固化と本発明の環境セ
メント組成物固化の重金属類の溶出量を比較するグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 18:10 C04B 22:16 A 22:16 22:10 22:10 24:04 24:04 9:04 9:04) (72)発明者 小堀 茂次 埼玉県幸手市大字幸手3826−3 東武化学 株式会社内 Fターム(参考) 4D004 AA02 AA36 AA41 AA47 CA45 CC03 CC13 DA03 DA10 4D059 AA00 BG00 DA08 DA39 DA61 DA66 DB08 EB11 4G012 PA11 PA14 PB02 PB03 PB05 PB08 PB16 PD01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネシヤ質70〜155重量部、リン
    酸塩5〜30重量部(この内リン酸塩キレート剤1〜5
    重量部を含む)、活性炭5〜30重量部、有機酸0.2
    〜2.0重量部を必須成分とする環境改善セメント組成
    物。
  2. 【請求項2】 マグネシヤ質70〜155重量部、炭酸
    化合物5〜25重量部、リン酸塩キレート剤1〜5重量
    部、活性炭5〜30重量部、有機酸0.2〜2.0重量
    部を必須成分とする環境改善セメント組成物。
  3. 【請求項3】 マグネシヤ質70〜155重量部、リン
    酸塩5〜30重量部(この内リン酸塩キレート剤1〜5
    重量部を含む)、炭酸化合物5〜10重量部、活性炭5
    〜30重量部、有機酸0.2〜2.0重量部を必須成分
    とする環境改善セメント組成物。
  4. 【請求項4】 環境汚染物質に対し、請求項1〜3の何
    れか1項記載のセメント組成物3〜100重量%と水4
    0〜170重量%を添加し、固化処理することを特徴す
    る環境汚染物質の処理方法。
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