JP2007313382A - フッ素及びクロム含有燃焼灰の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 焼却灰中のフッ素及びクロムの溶出を抑えることにより、土壌汚染、水質汚染を起こす恐れのない土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土等、種々の用途に燃焼灰を有効利用できるようにすることを目的とする。
【解決手段】 石炭、RPF及び製紙スラッジなどを燃焼した際の排ガスを電気集塵器やバグフィルターなどで処理して得られるフッ素及びクロム含有燃焼灰に水を10〜100%(対灰)混合し、加熱して乾燥することにより、その燃焼灰中に含まれるフッ素及びクロムを、平成15年環境庁告示第18号に基づく溶出試験方法で溶出させた場合のフッ素溶出量が0.8mg/L以下、クロム溶出量0.05mg/L以下となるように不溶化することよりなるフッ素含有燃焼灰の処理方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 石炭、RPF及び製紙スラッジなどを燃焼した際の排ガスを電気集塵器やバグフィルターなどで処理して得られるフッ素及びクロム含有燃焼灰に水を10〜100%(対灰)混合し、加熱して乾燥することにより、その燃焼灰中に含まれるフッ素及びクロムを、平成15年環境庁告示第18号に基づく溶出試験方法で溶出させた場合のフッ素溶出量が0.8mg/L以下、クロム溶出量0.05mg/L以下となるように不溶化することよりなるフッ素含有燃焼灰の処理方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、フッ素及びクロムを含有する燃焼灰中のフッ素及びクロムの溶出を抑制する燃焼灰の処理方法に関する。更に詳しくは、本発明は、2003年2月に施行された土壌汚染対策法の規制対象物質であるフッ素の溶出を基準値に適合させるため、フッ素含有燃焼灰中に含まれるフッ素の溶出量を0.8mg/L以下、クロムの溶出量を0.05mg/L以下にするフッ素含有燃焼灰の処理方法に関する。
フッ素は、虫歯予防に有効とされてきたが、その過剰摂取は斑状歯に留まらず、骨や関節が変形し、骨硬化症を起こし、神経系に影響を与えるフッ素症といわれる病気の原因となることが知られてきている。このフッ素症には現在治療法がなく、その回避のための唯一の対応策は予防であるため、フッ素を含有する土壌を持つ地域では、これらの不溶化技術が重要な役割を果たすようになると考えられる。
フッ素は、家庭ゴミ焼却灰、火力発電所からの石炭燃焼灰(石炭灰)、下水汚泥焼却灰、各種産業廃棄物などの燃焼灰の中にも含まれており、中でも、石炭灰には、元来石炭にフッ素が数mg/kg〜数百mg/kg含まれているため、フッ素あるいはフッ素化合物の含有量が高い。また、その燃焼灰の多くは土壌改良材や埋戻し材として使用されるので、これらからフッ素あるいはフッ素化合物が雨などで溶出して地下水汚染を起こすことが心配される。また、燃焼灰を埋め立てる処分場も不足しているので、燃焼灰中のフッ素を不溶出化して有効利用を図ることが望まれている。
燃焼灰中の有害物質を無害化する方法として、溶融固化法、セメント固化法、薬剤による処理法、酸又はその他の溶媒による抽出処理法等が提案されている。
溶融固化法は、廃棄物を1400〜1600℃の高温になるまで加熱することによって有機物を分解し、フッ素や重金属類を生成するスラグに封じ込めて固定化するものである。この方式は、安全性は最も高いとされているが、新たに発生するより高濃度の有害物質を含有する飛灰処理の問題等があり、また、処理コストが最も高いことも問題となっている。
燃焼灰を高炉セメントや普通セメントで固化する処理方法(例えば、特許文献1)は
灰の性状によって、一旦固化しても、その固化物に耐久性がない場合があり、例えば、セメントとして利用した場合にコンクリートが風化して灰の成分が溶出することによる汚染が懸念される。
灰の性状によって、一旦固化しても、その固化物に耐久性がない場合があり、例えば、セメントとして利用した場合にコンクリートが風化して灰の成分が溶出することによる汚染が懸念される。
また、普通セメントによって固化する時に無機薬剤あるいは有機薬剤等から成る処理剤を加えて固化及び不溶化させる方法(例えば 特許文献2)もあるが、処理に数段の工程が必要であるためコストが高く、処理段階で使用される薬剤の後処理まで考慮することも必要となる。
フッ素含有廃棄物にリン酸化合物とカルシウム化合物を添加して混錬するといった処理方法(例えば 特許文献3)では、リン酸化合物の価格は、塩酸や硫酸などの10〜15倍以上と非常に高いことと、フッ素の土壌環境基準値の0.8mg/L以下にするにはリン酸化合物の添加率を5%以上とすることが必要であるため、処理費がかかり過ぎて実用的ではない。
燃焼灰100質量部に対してカルシウムアルミネート20〜80質量部と石膏10〜80質量部を添加して、製鋼スラグ中のフッ素溶出を抑制させる方法(特許文献4)は、製鉄プロセスで使用する螢石由来のフッ素含有量が非常に高く、このため環境基準値以下にするための処理剤の添加率が非常に高く、燃焼灰の処理にかかる薬品費のみならず輸送費が増量分上乗せされることになり、得策ではない。
さらにフッ素又はホウ素を含有する汚泥中のそれら元素の溶出を抑制する方法(特許文献5)は、石灰、石炭燃焼灰、石膏のいずれかを添加して水の存在下で混練して固化する必要があり、かつ固化物の比表面積を増加させるために経日的な水分維持のための養生ないしは蒸気雰囲気での養生を必要とするため、設備負担が大きい。なお、この方法では上記養生を施した後水分を下げることが重要とされており、乾燥器の使用、不使用(自然乾燥)のいずれによっても実施されている。
また、最近、過熱水蒸気を用いるいわゆる水熱反応の利用が有望視され、その酸化効果が注目されている(非特許文献1)。すなわち、元来有機化合物に適用されており、500℃を超える過熱水蒸気によって80%以上分解する効果があることから、汚染土壌の修復用に期待されているが、 重金属の溶出抑制への効果は未だ明確ではなく、また数百℃にも及ぶ高温加熱水蒸気を用いなければならないので実用的とは言えない。
特開2003−119057号公報
特開平6−15248号公報
特開2002−331272号公報
特開2001−259570号公報
特開2002−346595号公報
『加熱水蒸気技術集成』エヌティーエス133−141、199−203(2005)
本発明は、石炭ボイラやRPF(Refused Paper & Plastics Fuel)を燃料としたRPFボイラから排出される灰からフッ素の溶出を抑制する方法として従来知られていた、上記のようなセメント固化や溶融、処理剤の高添加といった複雑で、手間のかかる方法に替わる簡便でかつ安価な方法を提供することを目的とするものであり、焼却灰中のフッ素の溶出を抑えることにより、その燃焼灰を土壌汚染、水質汚染を起こす恐れのない土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土等、種々の用途に有効利用できるようにすることを目的とするものである。
上記目的を達成することができる本発明は、基本的には、石炭やRPF、製紙スラッジなどを燃焼した排ガスを電気集塵器やバグフィルターなどで処理した際に得られる燃焼灰に水を加えた後加熱するか、あるいは水を加えて粒状化した後加熱することにより、その燃焼灰中に含まれるフッ素を平成15年環境庁告示第18号に基づく溶出試験方法で溶出させた場合の溶出量を0.8mg/L以下に、また、6価クロムの溶出量を0.05mg/L以下とすることよりなるフッ素及びクロム含有燃焼灰の処理方法であり、以下の各発明を包含する。
(1)フッ素及びクロムを含有する燃焼灰100質量部に対して水を10〜100質量部添加して均一混合した後、40〜200℃の温度で加熱乾燥する処理を施すことにより、平成15年環境庁告示第18号に基づく溶出試験方法によるフッ素溶出量が0.8mg/L以下で、かつ、6価クロムの溶出量が0.05mg/L以下となるように溶出抑制することを特徴とするフッ素及びクロムを含有する燃焼灰の処理方法。
(2)フッ素及びクロムを含有する燃焼灰100質量部に対して水を10〜100質量部添加して均一混合し粒状化した後、加熱乾燥する処理を施す(1)記載のフッ素及びクロムを含有する燃焼灰の処理方法。
(3)前記加熱乾燥する処理が、水を均一混合した燃焼灰中の水分含有量を20質量%以下に低減する加熱乾燥処理である(1)又は(2)に記載のフッ素及びクロムを含有する燃焼灰の処理方法。
(4)前記加熱乾燥する処理が、前記水を均一混合した燃焼灰中のCaO成分の実質的な量が加熱温度条件下における雰囲気中のCO2との反応で不活性化されることのない時間内で施される処理である(1)〜(3)のいずれか1項に記載のフッ素及びクロムを含有する燃焼灰の処理方法。
(5)前記フッ素及びクロムを含有する燃焼灰が、石炭、RPF(Refused Paper and Plasutics Fuel)及び製紙スラッジの少なくとも1種の燃焼排ガスを電器集塵器及び/又はバグフィルターで処理して得られる燃焼灰である(1)〜(4)のいずれか1項に記載のフッ素及びクロムを含有する燃焼灰の処理方法。
本発明の方法によれば 石炭ボイラやRPFボイラ、焼却炉等から発生するフッ素及びクロムを含有する燃焼灰に水を加えた後加熱するか、あるいは水を加えて粒状化した後加熱するという簡単な方法により、燃焼灰に含まれるフッ素及びクロムの溶出を抑制することができ、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土などとして環境への悪影響もなく利用することが可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明者らは、水の存在下で石炭ボイラやRPFボイラ、焼却炉等から発生するフッ素及びクロムを含有する燃焼灰を加熱処理すると、処理後わずか数時間でフッ素の溶出が顕著に減少する効果があることを見出した。この機構については、まだ十分には解明されてはいないが、燃焼灰中でエトリンガイトと呼ばれる水和物結晶(3CaO.Al2O3.3CaSO4.32H2O)が形成され、フッ素及びクロムがこの結晶中に取り込まれ、固定化が達成されるものと考えている。
本発明者らは、水の存在下で石炭ボイラやRPFボイラ、焼却炉等から発生するフッ素及びクロムを含有する燃焼灰を加熱処理すると、処理後わずか数時間でフッ素の溶出が顕著に減少する効果があることを見出した。この機構については、まだ十分には解明されてはいないが、燃焼灰中でエトリンガイトと呼ばれる水和物結晶(3CaO.Al2O3.3CaSO4.32H2O)が形成され、フッ素及びクロムがこの結晶中に取り込まれ、固定化が達成されるものと考えている。
石炭ボイラやRPFボイラ、焼却炉等から発生するフッ素及びクロムを含有する燃焼灰中のフッ素及びクロムを固定化するためには、焼却灰を加熱処理するのみでは効果は出ず、水の存在が不可欠である。 水の存在のみでの常温(25℃)乾燥でもフッ素の固定は可能ではあるが、クロムが新たに溶出する問題が生ずるので、水を配合して加熱(40〜200℃)することが必要である。水を添加した後の灰の常温乾燥品と加熱乾燥品の違いを調査検討した結果、常温乾燥では灰の乾燥に時間がかかるため、クロムの溶出を抑える力のある燃焼灰中のCaOがCaCO3に変化するためクロムの溶出抑制力を損ねてしまうと考えられる。
本発明者らは、石炭ボイラやRPFボイラ、焼却炉等から発生するフッ素及びクロムを含有する燃焼灰中のフッ素及びクロムを固定化するための最良の方法を鋭意探索した結果、水の配合率は燃焼灰に対して10〜100%、好ましくは30〜70%であること、加熱温度は40〜200℃、好ましくは80〜120℃であること、水を10〜100%(対灰)添加して調製されている燃焼灰中の水分含有量を上記温度で加熱乾燥することによって20%以下、好ましくは10%以下に低減させることが有効であることを見い出した。さらに、水の量を加減して粒状化した後加熱乾燥処理すると、灰の状態に比べて比表面積が小さくなるので、フッ素及びクロムの溶出抑制がさらに進むことも確認された。
また、水の配合率が10%未満の場合には水和物結晶の形成が進まず、灰のままの状態であるので加熱乾燥処理効果が不十分となるし、一方100%(対灰)を超える水の添加量では灰が塊になるので土壌用途には利用できない。
また、水の配合率が10%未満の場合には水和物結晶の形成が進まず、灰のままの状態であるので加熱乾燥処理効果が不十分となるし、一方100%(対灰)を超える水の添加量では灰が塊になるので土壌用途には利用できない。
加熱温度については、40℃未満では、水を添加して調製した燃焼灰中の水含有量を20%以下に低減するための乾燥処理時間が、自然乾燥する場合と同様の長時間となり、処理時間中に水が添加されている燃焼灰がCO2ガスを吸収して燃焼灰中でクロムの溶出抑制に寄与するCaOがCaCO3となって不活性化されるためにクロムの溶出がを抑えられない。また、200℃以上では、設備費用が高価になるため現実的でない。
また、加熱温度を高く設定したも乾燥時間が短くて水分を20%以下に下げられない場合は、粘性が残るため、自然乾燥で脱水を補う必要があるが、その場合も、自然乾燥中にやはりCO2ガスを吸収するためクロムの溶出を抑えられない。
また、加熱温度を高く設定したも乾燥時間が短くて水分を20%以下に下げられない場合は、粘性が残るため、自然乾燥で脱水を補う必要があるが、その場合も、自然乾燥中にやはりCO2ガスを吸収するためクロムの溶出を抑えられない。
以上のように、水和物結晶形成に要する水量と、乾燥の過程でCO2がスを吸収しない程度の加熱乾燥条件(加熱温度及び加熱処理時間)さえ確保できれば本発明の目的を達成できる。それ故、150℃を超えるような加熱水蒸気を噴射する、いわゆる水熱反応を必要としない本発明は、水熱反応を利用する方法に比べて設備費が安価であり、実用化が容易である。また、燃焼灰を粒状化して処理することでフッ素及びクロムの溶出抑制が促進されるのみならず、取り扱いも容易となるので、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土等、種々の用途への利用拡大に好都合である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、その実施態様を変更することができる。
なお、以下の実施例及び比較例でフッ素の溶出抑制処理のための試料として用いた燃焼灰は、主にペーパースラッジを燃料とした流動床炉のバグフィルターで捕集した飛灰であり、平成15年環境庁告示第18号に基づく溶出試験方法で溶出させた場合のフッ素溶出量が1.6mg/Lと規制値(0.8mg/L)を超えている。また、同じく、6価クロムの溶出量は0.01mg/Lと規制値を超えていないが、水を加えて常温で風乾すると0.1mg/L程度の値となり、規制値(0.05mg/L)を超えている。
1)フッ素及びクロムの溶出方法
以下に示す各実施例及び比較例について、平成15年環境庁告示第18号に準じて以下のように行なった。
試料を、粒状品は破砕した後、非金属製である目開き2mmの篩を通過させたもの50gを1000mlの蓋つきのポリエチレン容器に取り、純水(pH5.8〜6.3)を500ml加える。このように調製した試料液を常温、大気圧下で、産廃溶出振とう機(タイテック社製)を用いて6時間連続して振とうした(振とう幅4〜5cm、振動数 200回/分)。この液を30分静置した後、毎分約3000回転で20分間遠心分離した。上澄み液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、濾液をとり、定量に必要な量を正確に計り取り、これを検液とした。
以下に示す各実施例及び比較例について、平成15年環境庁告示第18号に準じて以下のように行なった。
試料を、粒状品は破砕した後、非金属製である目開き2mmの篩を通過させたもの50gを1000mlの蓋つきのポリエチレン容器に取り、純水(pH5.8〜6.3)を500ml加える。このように調製した試料液を常温、大気圧下で、産廃溶出振とう機(タイテック社製)を用いて6時間連続して振とうした(振とう幅4〜5cm、振動数 200回/分)。この液を30分静置した後、毎分約3000回転で20分間遠心分離した。上澄み液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、濾液をとり、定量に必要な量を正確に計り取り、これを検液とした。
2)フッ素の測定方法
検液をイオンクロマトグラフ(DX−120/DIONEX社製)で分析し、溶出したフッ素を定量した。
3)6価クロムの測定方法
検液をジフェニルカルバミド吸光光度法にて分析した。
検液をイオンクロマトグラフ(DX−120/DIONEX社製)で分析し、溶出したフッ素を定量した。
3)6価クロムの測定方法
検液をジフェニルカルバミド吸光光度法にて分析した。
実施例1
製紙スラッジ燃焼用流動床炉の煙道に設置されたバグフィルターで集塵された飛灰で、中小礫、木片などを除いた後、造粒機アイリッヒミキサーを使用して水を配合して均一分散を図った。すなわち、造粒機の容器に上記飛灰2kgを入れ、攪拌しながら水(蒸留水)を1kg(対灰50%)を入れ3分間攪拌後、処理灰を採取した。その後、再度攪拌しながら水を徐々に添加して粒状化した。最終的に水の配合量は計1.1kg(対灰55%)であった。この処理灰、粒状品ともに105℃で2時間乾燥し、水分約8%にした。これらの試料を上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素とクロムの溶出量を求めた。その結果を表1に示す。表1に示すように、原料灰のフッ素1.6mg/ml、クロム0.01 mg/mlに対して、処理灰はフッ素0.5 mg/ml、全クロム0.02 mg/ml、粒状品はフッ素0.4 mg/ml、全クロム0.01 mg/mlと良好であった。
製紙スラッジ燃焼用流動床炉の煙道に設置されたバグフィルターで集塵された飛灰で、中小礫、木片などを除いた後、造粒機アイリッヒミキサーを使用して水を配合して均一分散を図った。すなわち、造粒機の容器に上記飛灰2kgを入れ、攪拌しながら水(蒸留水)を1kg(対灰50%)を入れ3分間攪拌後、処理灰を採取した。その後、再度攪拌しながら水を徐々に添加して粒状化した。最終的に水の配合量は計1.1kg(対灰55%)であった。この処理灰、粒状品ともに105℃で2時間乾燥し、水分約8%にした。これらの試料を上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素とクロムの溶出量を求めた。その結果を表1に示す。表1に示すように、原料灰のフッ素1.6mg/ml、クロム0.01 mg/mlに対して、処理灰はフッ素0.5 mg/ml、全クロム0.02 mg/ml、粒状品はフッ素0.4 mg/ml、全クロム0.01 mg/mlと良好であった。
比較例1
実施例1において造粒機に灰2kgを入れ、攪拌しながら水(蒸留水)を100g(対灰5%)を入れ3分攪拌後処理灰を採取し、105℃で2時間乾燥させた。この試料を上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素とクロムの溶出量を求めた。その結果を表1に示す。すなわち、フッ素が環境庁告示第18号に基づく溶出基準値0.8 mg/mlを超えていた。
実施例1において造粒機に灰2kgを入れ、攪拌しながら水(蒸留水)を100g(対灰5%)を入れ3分攪拌後処理灰を採取し、105℃で2時間乾燥させた。この試料を上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素とクロムの溶出量を求めた。その結果を表1に示す。すなわち、フッ素が環境庁告示第18号に基づく溶出基準値0.8 mg/mlを超えていた。
比較例2
実施例1の造粒機にて水を配合処理して得られた処理灰と粒状品について、双方とも25℃にて約1日自然乾燥させたものを上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素とクロムの溶出量を求めた。その結果を表1に示す。すなわち、処理灰、粒状品ともに実施例1と比べ6価クロムの溶出が多く、環境庁告示第18号に基づく溶出基準値0.05 mg/mlを超えていた。
実施例1の造粒機にて水を配合処理して得られた処理灰と粒状品について、双方とも25℃にて約1日自然乾燥させたものを上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素とクロムの溶出量を求めた。その結果を表1に示す。すなわち、処理灰、粒状品ともに実施例1と比べ6価クロムの溶出が多く、環境庁告示第18号に基づく溶出基準値0.05 mg/mlを超えていた。
比較例3
実施例1の造粒機にて水を配合処理して得られた処理灰と粒状品について、双方ともに35℃で12時間乾燥させ、水分約10%になったものを上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素とクロムの溶出量を求めた。その結果を表1に示す。すなわち、処理灰、粒状品ともに6価クロムの溶出抑制が不十分で実施例1には及ばなかった。
実施例1の造粒機にて水を配合処理して得られた処理灰と粒状品について、双方ともに35℃で12時間乾燥させ、水分約10%になったものを上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素とクロムの溶出量を求めた。その結果を表1に示す。すなわち、処理灰、粒状品ともに6価クロムの溶出抑制が不十分で実施例1には及ばなかった。
比較例4
実施例1の乾燥条件を60℃で40分として水分約25%になった後、さらに6時間自然乾燥して最終水分10%とした試料について、上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素とクロムの溶出量を求めた。その結果を表1に示す。すなわち、処理灰、粒状品ともに比較例2と比べれば6価クロムの溶出は改善しているが、不十分で実施例1には及ばなかった。
実施例1の乾燥条件を60℃で40分として水分約25%になった後、さらに6時間自然乾燥して最終水分10%とした試料について、上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素とクロムの溶出量を求めた。その結果を表1に示す。すなわち、処理灰、粒状品ともに比較例2と比べれば6価クロムの溶出は改善しているが、不十分で実施例1には及ばなかった。
表1から、比較例1のように、水和物結晶の形成に必要な水量が不足している灰のままでは所望の効果は得られない。また、十分な水を配合して処理して得られた処理灰と粒状品については、乾燥条件の影響が大きく、比較例2の自然乾燥(25℃)ではクロムの溶出が多く6価クロムの許容基準値0.05mg/lを超えており、比較例3の加熱乾燥でも35℃では乾燥に長時間(12時間)を要した分、その間のCO2の吸収によりCaOの減失を防げず、クロムの溶出抑制が不足することがわかる。また、比較例4のように乾燥温度は十分でも乾燥時間が短か過ぎる(40分)と、残水分が多いため、さらに自然乾燥で放出させるのに要する時間(6時間)中にやはりCO2を吸収するため、CaOが減失し、クロムの溶出を抑え切れないことが明らかである。
本発明の方法は、石炭ボイラやRPFを燃料としたRPFボイラから排出される灰を、煙道や排出口の近傍で処理することが可能であり、得られた処理灰は固化していないので、また粒状品は飛散しにくいなど作業性が優れているので、広範囲な用途例えば土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土等としてそのまま有効利用することができるものである。
Claims (5)
- フッ素及びクロムを含有する燃焼灰に対して水を10〜100%(対灰)添加して均一混合した後、40〜200℃の温度で加熱乾燥する処理を施すことにより、平成15年環境庁告示第18号に基づく溶出試験方法によるフッ素溶出量が0.8mg/L以下で、かつ、6価クロムの溶出量が0.05mg/L以下に溶出抑制することを特徴とするフッ素及びクロムを含有する燃焼灰の処理方法。
- フッ素及びクロムを含有する燃焼灰に対して水を10〜100%(対灰)添加して均一混合し粒状化した後、加熱乾燥する処理を施す請求項1記載のフッ素及びクロムを含有する燃焼灰の処理方法。
- 前記加熱乾燥する処理が、水を均一混合した燃焼灰中の水分含有量を20質量%以下に低減する加熱乾燥処理である請求項1又は2に記載のフッ素及びクロムを含有する燃焼灰の処理方法。
- 前記加熱乾燥する処理が、前記水を均一混合した燃焼灰中のCaO成分の実質的な量が雰囲気中のCO2との反応で不活性化されることのない時間内で施される請求項1〜3のいずれか1項に記載のフッ素及びクロムを含有する燃焼灰の処理方法。
- 前記フッ素及びクロムを含有する燃焼灰が、石炭、RPF(Refused Paper and Plasutics Fuel)及び製紙スラッジの少なくとも1種の燃焼排ガスを電器集塵器及び/又はバグフィルターで処理して得られる燃焼灰である請求項1〜4のいずれか1項に記載のフッ素及びクロムを含有する燃焼灰の処理方法。
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2009195791A (ja) * | 2008-02-20 | 2009-09-03 | Oji Paper Co Ltd | 焼却灰の処理方法 |
JP2011255269A (ja) * | 2010-06-07 | 2011-12-22 | Kajima Corp | 六価クロムの不溶化方法及び無害化方法 |
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