JP2019527177A - 肥料組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ゼオライト細孔内に少なくとも1種の塩基性L−アミノ酸が吸着された、少なくとも1種のゼオライトを含む肥料組成物を提供し、この肥料組成物を植物成長用培地に添加し、その培地中で植物を栽培することによって、少なくとも1種の植物の成長を促進することに関する。本発明は、植物の栽培中に、肥料組成物の窒素が植物に有利に利用される速度にて、肥料組成物から窒素が放出されるようにするものである。本発明はまた、任意で植物成長用培地と併用された成長促進材料を構成する、肥料組成物に関する。本発明は、栄養素の反復的供給及び窒素漏出が社会にとって多大なコストとなる、成長速度が遅い植物の施肥に必要な資源を節減する目的に使用するのに有利である。

Description

本発明は、肥料組成物、及び植物への窒素放出を可能にすることを目的とした同肥料組成物の使用に関する。更に具体的には、本発明は、前記植物の窒素需要に対応した速度で成長している植物に、窒素を供給する方法に関する。
土壌を改質する方法及び/または成長条件を改善する方法が適用されたのは、概ね農業ならびに園芸が開始された初期の数日目からであり、機序の理解がきわめて限られていることに始まって、牛のような家畜の排泄物が耕作物の成長を改善する可能性があるという点も認識されてきた。窒素、カリウム、リンが土壌を効率的に施肥するうえで必要な主要成分として同定されるにつれて、商用調製物が遍く出回るようになった。この原理は、多かれ少なかれ概ね数十年間にわたって適用された結果、今では周知となっている過剰施肥を引き起こした。窒素、カリウム及びリンをはじめとする調製物は、他の様々なミネラル栄養素と共に、依然として、引き続きほとんどの植物栽培における標準となっているが、最適な成長に必要なものを植物に供給する肥料組成物の改良に関して、研究が継続的に向上しつつある。所望の成長度と、施用の実現可能性と、環境に対する影響の最小化とのバランスをとるために、特定の植物を対象として特別に企図された組成物が開発されてきたと共に、調製物も同様に、液体及び乾燥などの多様な形態のものが提供されてきている。
肥料の有害な環境影響(特に、レシピエント生態系へのミネラル栄養素の損失)を低減させるには、活性成分を徐放または遅延放出させる組成物を開発するのが、1つの方法である。そのような組成物は、多くの場合、徐放製剤または放出制御型製剤と呼ばれている。
そのような放出を減速化させる1つの方法として、無機栄養塩を被覆することが提案されてきたが、被覆は、よく見られる機序として、被覆内部に封入された栄養素の放出速度を減速化するのではなく、全放出を遅延させるように作用することもしばしばある。そのため、被覆は、初期段階では栄養素の放出をすべて妨げてしまう恐れがあるが、いったん調製物が「開放」されるか、または被覆が消費されれば、全ての栄養素が一斉に利用可能となる。ゆえに、その時点で、放出された栄養素が、栽培される植物によって利用されることもあれば、あるいはその放出量が必要以上に多い場合には該環境に漏出する結果となる。したがって、被覆技術に関して一般的な課題は、時間的に放出を持続させると共に、栽培される植物のニーズに適した放出速度を実現することにある。
国際公開第2015/066691号(University of Florida Research Foundation)は、酸化グラフェンフィルムを利用して放出を遅延させる、徐放性肥料組成物に関する。更に具体的に言うと、記載された肥料組成物は、複数の肥料粒子と、各粒子の表面上に配設された還元グラフェン酸化物層とを含む。肥料粒子は、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びイオウ、ホウ素、塩素、銅、鉄、マンガン、モリブデン、亜鉛及びニッケルのうちの1種以上を含む場合があり、少なくとも1種は塩の形態であり、グラフェン酸化物を還元するように作用しうる。記載されている被覆技術は、環境に優しい作物生産用の放出制御型肥料にとって大いに有望なものであると言われている。
植物に対する栄養素の放出を最適化するために提案された代替の方法は、複合肥料を作製することである。WO 2016/035090号(Chaudhry)は、そのような肥料組成物、及びその調製プロセスに関する。更に具体的に言うと、多官能性有機バイオ複合体組成物が記載されている。この組成物は、栄養供給源(窒素、リン及びカリウムなど)と;リンペプチド類(有機酸であるリン供給源とバイオ複合錯化剤とを一体化した複合体形成剤を含んでなる、リンペプチドなど)と;を含む。バイオ複合錯化剤は、ペプチド、アミノ酸、または加水分解されたタンパク質でありうる。従来の肥料は、迅速に蒸発するものと言われる尿素由来の窒素を用いたものであるが、これとは対照的に、記載の窒素をカチオンに錯体化することによって効率の向上を図ることが提案されている。
農業分野において、ゼオライトとして知られる微孔質アルミノケイ酸塩材料は、鉱物含量が多いことから、土壌改質特性を備えることが示唆されてきている。例えば、Frederick A.Mumpton (in La roca magica:Uses of natural zeolites in agriculture and industry;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.96,pp.3463−3470,March 1999,Colloquium Paper)は標準肥料と共に天然ゼオライトであるクリノプチライトを土壌に添加することによって肥料からアンモニウムの放出を遅延させることを提案している。
ゼオライトはカチオン交換体であることから、ゼオライトを、例えば、水の浄化(特に硬水軟化)に用いるのが、有利であると考えられる。ナトリウムゼオライトが軟化する際には、カルシウム及びマグネシウムなどのスケール形成イオン含有水が樹脂床を通過し、この樹脂床において硬質イオンがナトリウムイオンと交換されるため、ナトリウムイオンがバルク水溶液中に拡散することになる。硬度を含まない水は、ボイラー給水、逆浸透系純水製造、及び様々な化学プロセスに使用可能である。
ゼオライトはまた、特にアミノ酸の製造時に抽出、合成または発酵を介してアミノ酸を分離させることを目的とした、有機イオン交換体に対する代替としても研究されてきた。
F.C.Nachod (Ion Exchange: Theory and Application,Elsevier,2 December 2012,Chapter II(塩基性アミノ酸の分離)において示されているように、中性及び酸性アミノ酸は、標準的な抽出手順及び培地を用いて、ゼオライトから効率的に抽出されるのに対して、塩基性アミノ酸(特に、アルギニン及びリシン)は、ゼオライトにきわめて強く結合していたため事実上不動であった。
更に、Nelsonらの陳述によれば、Delcaso(すなわちゼオライト)カラムに結合されたアルギニン及びリシンの効率的な抽出は、強酸(2N HCl)を用いることでのみ達成することが可能であった一方、他のアミノ酸はいずれもピリシンを用いて効率的に抽出された。
最後に取り上げるWO 2005/075602号(Balance Agri−Nutrients Ltd)は肥料組成物に関し、更に具体的には、少なくとも1種の硝化抑制剤を担持する粒状ゼオライト形態の組成物に関する。ゆえに、WO 2005/075602号は、アンモニアの亜硝酸塩及び硝酸塩に変換されるのを抑制することによって硝酸塩の環境への減損を低減することを目標としている。国際公開第2005/075602号に記載されている例証的な肥料組成物のうちの1つは、尿素などの肥料10%と、ゼオライト10〜70%と、硝化抑制剤1〜45%とを含む。
しかしながら、消費者用途以外に商業規模においても存在する多種多様な植物及び成長条件を考慮に入れたうえで、肥料組成物の環境的影響を最小限に抑えることに対する需要増大を満たすための、植物の効率的栽培を支援する代替方法及び製品のニーズが依然として存在している。
本発明の一目的は、窒素の損失を最小限に抑えながら植物を成長させるための培地を施肥する方法を、提供することにある。
本発明の更なる目的は、長期間をかけて施肥された植物に対して効果を有する、この種の方法を提供することにある。
本発明の特定の目的は、有機窒素を成長中の植物に投与するための形態を提供することにあり、この形態は窒素を、例えば微生物に利用されないように保護するものである。
本発明の更なる目的は、オンデマンドで植物に対して施肥を行うことによって、植物の活性によって肥料組成物からの窒素放出を制御することにある。
上述の目的は、添付の独立請求項に記載されているように達成可能である。更なる実施形態において、本発明の詳細及び利点は、従属請求項、ならびに下記の詳細な説明及び実験パートから明らかになるであろう。
定義
本明細書において「植物」という用語は、その最も広義の意味では植物の種または種類を意味する。
植物の成長を「促進する」という用語は、植物の一部もしくは全部の成長を実現または増強(すなわち向上)させることを含めて、本明細書において広義に用いられている。
本明細書において「アミノ酸」という用語は、その誘導体または修飾形態を含む。
「ゼオライト」という用語は、微孔性アルミノケイ酸塩鉱物を意味し、天然及び合成のそのような物質を含む。
本発明に従って使用されるゼオライトとの関連において、「吸着された」という用語は、付着を可能にする任意の化学的相互作用及び/または結合原理を含めた広義の意味で用いられる。
本明細書において「マッシュルーム」という用語は、典型的には、植物成長用の土壌または他の培地上で地上生産される、肉質で細孔を有する子実体真菌を意味するために使用される。
「野生根茎」という用語は、ポットからの泥炭プラグの外部の耕地内で成長する根茎として定義される。
本明細書において「植物成長用培地」という用語は、その最も広義な文脈にて用いられており、例えば、様々な組成物の泥炭、粘土、土壌のほか、土砂、及びこれらの任意の組み合わせであって植物の栽培に適しているかまたは望ましいと見なされるものを含むと考えられる。
本発明によるアルギニン充填ゼオライトを添加されたオオムギ(右)、及び添加されていないオオムギ(左)の成長を示す。 本発明によるアルギニン充填ゼオライトを添加されたレタス(右)、及び添加されていないレタス(左)の成長を示す。 本発明による施肥されていない対照(左)、ならびにアルギニン・ゼオライト(右)のレタス及びオオムギの成長を例証した写真である。 本発明によるアルギニン充填ゼオライト使用(右)及び不使用(左)のオウシュウアカマツの実生における苗条の成長が、それぞれバイオマス(4A)により示してある。 本発明によるアルギニン充填ゼオライト使用(右)及び不使用(左)のオウシュウアカマツの実生における苗条の成長が、それぞれ総窒素含有率(4B)により示してある。 本発明による施肥されていない対照(左)、及びアルギニンゼオライトを添加したマツの実生(右)の成長を例証した写真である。 本発明によるアルギニン充填ゼオライト(左)、または市販の肥料(右)によるマツの種子の発芽が図示されている。 本発明のアルギニンを添加したゼオライト(右)及びゼオライトを含まない対照(左)におけるマツの実生の成長を示す。 本発明によるアルギニン充填ゼオライトを用いたマツの実生の成長を、菌根あり(左)及び菌根なし(右)で例証した写真である。 図9Aは、菌根あり(右)または菌根なし(左)のアルギニン充填ゼオライトで生育されたマツの実生の成長が、それぞれ針葉中のバイオマス及び総窒素量により示してある。 図9Bは、菌根あり(右)または菌根なし(左)のアルギニン充填ゼオライトで生育されたマツの実生の成長が、それぞれ針葉中のバイオマス及び総窒素量により示してある。 図9Cは、マツの実生の写真4枚(菌根が添加されたもの(1と2)、及び菌根が添加されていないもの(3と4))である。 本発明に従い18日間にわたって成長を促した後の、抽出中の質量損失を、先行技術の肥料を用いた成長と比較して、例証したものである。 図11のAは、実施例7に記載されているトウヒ及びコントルタマツの実生における野生根茎の総バイオマスを、例証したものである。図11のBは実施例7に記載されているトウヒ及びコントルタマツの実生における野生根茎の総バイオマスを、例証したものである。図11のCは実施例7に記載されているトウヒ及びコントルタマツの実生における野生根茎の総バイオマスを、例証したものである。 下記実施例7に従って得られたアルギニン充填ゼオライト使用(右)及び不使用(左)の、トウヒならびにコントルタマツにおける苗条の生長増加を示す。 下記実施例7に従って得られたアルギニン充填ゼオライト使用(右)及び不使用(左)の、トウヒならびにコントルタマツにおける苗条の生長増加を示す。 本発明によるアルギニン装填ゼオライトで処理されたフェアウェイの芝生の草本切り粉乾燥重量を、異なる先行技術の肥料と比較して示す。 6週間の応答期間を対象とした、それぞれ異なる肥料に対するフェアウェイの芝生切り粉中の窒素(N)回収率を示す。
本発明は、環境に対する窒素漏出を最小限に抑えながら植物の施肥栽培を可能にする方法及び製品に関する。更に具体的に言うと、本発明は、施肥された植物が、その窒素代謝に必要な量の窒素を利用し、且つその窒素代謝に使用するのを可能にしうる。ゆえに、本発明は、オンデマンドでの施肥によって施肥植物の活性が肥料組成物からの窒素の放出を制御することに関するものと見なすことができる。
本発明の第1の態様は、少なくとも1種の植物の成長を促進する方法であり、この方法は、
a) ゼオライト細孔内に少なくとも1種の塩基性L−アミノ酸が吸着された、少なくとも1種のゼオライトを含む肥料組成物を提供することと;
b) 肥料組成物を、作付けに関連して植物成長用培地に添加することと;
c) 植物の以後の栽培中に、肥料組成物から窒素の放出が行われるようにすることと
を含む。
この技術分野において周知のように、肥料組成物には、任意で他の成長促進成分を含めることが可能である。
工程b)において、肥料組成物を作付けと「関連して」添加する場合、作付け前の限定された期間内に添加し、同時に、及び/または作付け後の限定された期間内に添加することを含む。これに関連して、「作付け」には、植物成長用培地に対し種子、実生または植物を添加することを含めてもよい。
工程c)において、窒素放出を可能にするためによく使用される手段及び方策は、当業者はであれば容易に決定することができるであろう。例えば、成長培地のpH調整、または単に散水による湿気供給は、工程c)の手段となりうる。いくつかの実例において、植物が既に好適な成長条件下で栽培されている場合、工程c)は、そのような条件の下で植物を好適に維持することを、単に構成しうる。
本発明によれば、施肥された植物は、有機窒素、すなわちアミノ酸由来の窒素を利用できる。この窒素利用は、先行技術において明らかにされてきたように、植物の成長に対し様々な効果を与え、多くの場合、例えばアンモニウム系肥料由来の無機窒素の効果と比べて、有利な効果をもたらす。
塩基性L−アミノ酸は、L−アルギニン;L−リシン;及びL−ヒスチジンからなる群から選択可能である。一実施形態において、塩基性L−アミノ酸はL−アルギニン及び/またはL−リシンである。これに関連して、当然のことながら、本発明に使用されるアミノ酸は、本明細書中に記載の放出特性を有し窒素を植物に供給するものであると仮定した場合に、修飾形態の塩基性L−アミノ酸を包含しうる。塩基性L−アミノ酸は、商業的供給源から入手可能である。肥料組成物に、塩基性L−アミノ酸の混合物を含めても差し支えない。
本発明によるゼオライトには、隅共有のAlO及びSiO四面体を含む三次元骨格を有する任意の天然及び/または合成の微孔質アルミノケイ酸塩鉱物を含めることができる。当業者に了解されるように、ゼオライトのアルミニウム含有率が高いほど、大きい負電荷がイオン交換プロセス用に利用可能となるため、ゼオライト当たりの塩基性L−アミノ酸含有率を増大させることが可能になる。
一実施形態において、ゼオライトは天然ゼオライトである。具体的な実施形態において、ゼオライトは、方沸石;チャバザイト;クリノプチライト;エリオナイト;ホージャサイト;フェリエライト;ヒューランダイト;ラウモンタイト;モルデナイト;フィリプサイト;リンデA;及びリンデBからなる群から選択される。有利な実施形態において、ゼオライトはクリノプチライトである。このクリノプチライトは、SiOとAlとを主成分として含み且つ少量のCaOとKOとを含むゼオライト、またはクリノプチライトをはじめとする数種のゼオライト類の混合物である。
本明細書中に利用されているカチオン交換容量を提示するという条件で、修飾ゼオライトを使用できる。
これに関連して用語「ゼオライト」は、当然のことながら、本明細書中では、同じ種類または形態の複数のゼオライト実体を示すために用いられる。
本発明による肥料組成物は、先に提示された方法に従って調製できる。例えば、上記のKrohnらを参照のこと。当業者に了解されるように、ゼオライトに対するアミノ酸の吸着には、イオン交換が含まれるが、水素結合などの追加的な機構も含まれる場合がある。ゼオライト、またはゼオライトの混合物は、顆粒状、粒状もしくは他の好適な形態で提供することが可能である。
工程aでは、アミノ酸の吸着後にゼオライトを洗浄して、潜在的な毒性を回避するのが有利である。一度に比較的多量の窒素が放出された場合には、ゼオライトの外側に緩く付着した窒素が残存する結果になる恐れがあるからである。ゆえに、窒素の放出速度が速くなりすぎる(すなわち、植物の活性に無関係になる)のを、洗浄によって防止できる。
上記の「背景技術」の節に記載されているように、植物が根茎から化学物質を滲出させることによってミネラル栄養素をより良く獲得することは周知であるが、塩基性アミノ酸をゼオライトから放出することが困難であることもまた、十分に文書化されている。F.C.Nachod and Nelson et al.を参照のこと。結果として、アルギニン及びリシンのような塩基性アミノ酸が吸着されたゼオライトから出された窒素を植物が利用するのは困難であり、不可能な場合さえあるため、植物栽培において肥料としての機能を果たさないことも予期されてきた。ゆえに、本発明において見出されるように、事実上、植物自体がゼオライト中の塩基性アミノ酸として吸着された窒素を放出する機能を有するだけでなく、窒素放出速度を制御することによって植物自体の活性に対応することを可能にしている。このことは、全く予期しないことであった。
当業者に了解されるように、本発明によれば、アミノ酸(類)の性質及び量を、特定の植物及び/または成長条件に合うように肥料組成物を最適化する際のツールとして、適切なゼオライト選択肢と共に用いることができる。
ゆえに、アミノ酸(類)の量(すなわち、ゼオライトに対するアミノ酸負荷量)の調整は、植物の種類、植物成長用培地、及び植物を生育させる湿度、ならびに予期もしくは所望される成長速度または生長期間に従って行う必要がある。この用途において、ゼオライトへの吸着は、時にはゼオライトの充填または装填と呼ばれることもある。
上述のように、本発明によるオンデマンドの作用は、任意の植物の栽培に利用可能であり、実験パートから明らかなように、植物自体が窒素の放出を導くことから、ゼオライトは任意の窒素含量を有しうる。しかしながら、後述するように、特定の状況に対応した様々な態様において最適化される特定の成長材料を設計することが可能である。
ゆえに、一実施形態において、ゼオライトは、充填ゼオライトの全重量ごとに計算して、前記塩基性L−アミノ酸由来の窒素の少なくとも1%(例えば、少なくとも2%または少なくとも3%)の電荷を有する。一実施形態において、ゼオライト(類)は、充填ゼオライトの全重量ごとに計算して、前記塩基性L−アミノ酸由来の窒素の10%までの電荷を有する。有用な範囲は、充填ゼオライトの総重量ごとに計算された前記塩基性L−アミノ酸由来の窒素の1〜3%、2〜3%、1〜10%、2〜10%、または3〜10%でありうる。これに関連して、「充填」という用語は、イオン交換及び他の任意選択的な結合機序によってゼオライトの細孔内に吸着される量を意味する。当業者は、植物を生育させる容器もしくは環境などの様々な要因に応じて、重量または体積ゼオライト当たりの適切な窒素充填量を適合させることができる。容器が小型の場合は、充填量が多い方が有利でありうるのに対し、他の状況において、土壌容積が大きい場合は、ゼオライト当たりの窒素充填量を減少させることが要求され、あるいは充填量の減少によって機能が万全になる可能性もある。
本発明は、例えば、成長速度の遅い植物の栽培において長期間にわたって肥料を必要とする場合に使用できる。本発明を使用することにより、そのような植物は、従来技術よりも少ない肥料添加量で、環境への窒素漏出を低減しながら、うまく栽培することができる。このようにして、本発明は、大量の肥料を添加することによって、成長速度の遅い植物に対し長期的且つ持続的に栄養を与えることを可能にしている。
一実施形態において、施肥対象となる植物は針葉樹、例えば、球果植物目の一種であり、これには、Cupressaceae科の一種(Cupressus spp、Juniperus spp、Sequoia spp、Sequoiadendron sppなど);Taxaceae科の一種(Taxus spp)及びPinaceae科の一種(Abies spp、Cedrus spp、Larix spp、Picea spp、Pinus spp、Pseudotsuga spp、Tsuga spp属など)が含まれる。有利な実施形態において、施肥対象となる植物は、PinusまたはPiceae属の一種、例えば、Pinus sylvestris、Pinus contortaもしくはPicea abies種である。
別の実施形態において、施肥対象となる植物は落葉樹であり、これには、アカシア(Acacia spp)、アルダー(Alnus spp)、カバノキ(Betula spp)、ホーンビーム(Carpinus spp)、ヒッコリー(Carya spp)、クリ(Castanea spp)、ブナ(Fagus spp)、クルミ(Juglans spp)、オーク(Quercus spp)、アッシュ(Fraxinus spp)、ポプラ(Populus spp)、アスペン(Populus spp)、ヤナギ(Salix spp)、ユーカリ(Eucalyptus spp)、シカモア(Platanus spp)、メープル(Acer spp)、マホガニー(Swietenia spp)及びスイートガム(Liquidambar spp)などのハイブリッドならびに栽培品種が挙げられる。
特定の実施形態において、施肥対象となる植物は葉が野菜として食べられる木本植物であり、これには、Adansonia、Aralia、Moringa、Morus、及びToona種が挙げられる。
更に別の実施形態において、施肥対象となる植物は結実植物であり、これにはリンゴ(Malus spp)、プラム(Prunus spp)、ナシ(Pyrus spp)、オレンジ(Citrus spp)、レモン(Citrus spp)、キウイフルーツ(Actinidia spp)、サクランボ(Prunus spp)、ブドウ(Vitis spp)、イチジク(Ficus spp)及びバナナ(Musa spp)などのハイブリッドならびに栽培品種が挙げられる。他の結実植物としては、ビルベリーまたはブルーベリー(Vaccimium spp)などの低木、及びパイナップルなどのブロメリアが挙げられる。
バニラまたはファレノプシス(Phalaenopsis)などのラン、サボテン(Cactaceae)及びユーフォビア(Euphorbiaceae)などの多肉植物は、比較的成長速度が遅い植物のなかでも、本発明に従って施肥できる植物の更なる例である。
本発明による方法はまた、成長速度の速い植物において、短期化された成長期間中に概して窒素需要を有する場合の栽培にも使用できる。ゆえに、一実施形態において、本植物は、一年生または二年生であり、ゼオライトは、充填ゼオライトの総重量を基準に計算して、前記塩基性L−アミノ酸由来の窒素の約1〜10%の電荷を有する。
一実施形態において、施肥対象となる植物は単子葉植物であり、これには、オオムギ(Hordeum vulgare)、トウモロコシ(Zea mays)、イネ(Oryza sativa)、ソルガム(Sorghum spp)、コムギ(Triticum)、シコクビエ(Eleusine coracana)、キツネキビ(Setaria italica)、パールミレット(Pennisetum glaucum)、プロッソキビ(Panicum miliaceum)、オートムギ(Avena sativa)、ライコムギ、コムギ、フォニオ(Digitaria)、タマネギ(Allium spp)、パイナップル(Ananas spp)、ライムギ(Secale cereale)、アマリリス、バンブー(Bambuseae)、バナナ(Musaceae)、ブルーベル(Hyacinthoides)、カンナ、スイセン(Narcissus)、ショウガ科(Zingiberaceae)、アイリス(Iris)、ユリ(Lilium)、ラン(Orchidaceae)、ヤシ(Arecaceae)、サトウキビ(Saccharum spp)及びチューリップ(Tulipa)からなる群から選択されるハイブリッドならびに栽培品種が挙げられる。
有利な実施形態において、施肥対象となる植物は草本(例えば、Poaceae科の一種であり、これには、ブルーグラス(Poa spp)、ベントグラス(Agrostis spp)、ライグラス(Lolium spp)、フェスク(Festuca spp)、フェザーリードグラス(Calamogrostis spp)、タフテッドヘアグラス(Deschampsia spp)、クラスターフェスク(Festuca paradoxa spp)、ゾイシアグラス(Zoysia spp)、バミューダグラス(Cynodon spp)、セントオーガスティングラス(Stenotaphrum secundatum)、バヒアグラス(Paspalum spp)、百日咳(Eremochloa spp)、カーペットグラス(Axonopus spp)及びバッファローグラス(Bouteloua spp)からなる群から選択されるハイブリッドならびに栽培品種が挙げられる。本発明に従って施肥するのが有利な草本は、PoaまたはFestuca属の草本である。
別の実施形態において、施肥対象となる植物は双子葉類(双子葉植物綱)植物であり、これには、アルファルファ(Medicago sativa)、メディケーゴ(Medicago truncatula)、ビーンズ(Phaseolus)、ビート(Beta vulgaris)、ソバ(Fagopyrum esculentum)、イナゴマメ(Onia siliqua)、ヒヨコマメ(Cicer arietinum)、コットン(Gossypium spp)、キュウリ(Cucumis sativus)、エンドウマメ(Pisum sativum)、ピーナッツ(Pisum sativum)、ピーナッツ(Arachis hypagaea)、コショウ(Piper spp)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、キヌア、ダイズ(Glycine max)、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)、レタス(Lactuca spp)、カボチャ(Cucurbita)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、トマト(Solanum lycopersicum)及びワイルドソイビーン(Glycine soja)からなる群から選択される植物のハイブリッドならびに栽培品種が挙げられる。更になお、ハーブ類、例えばバジル(Ocimum spp)及びオレガノ(Origanum spp);または単系統群バラ類(Geranium sppなど)に属する観賞植物は、本発明に従って施肥される植物でありうる。
上記から明らかなように、塩基性L−アミノ酸が吸着されたゼオライトを含む肥料組成物は、種子、植物もしくは実生が配置される前、後、または同じ時点に、成長培地に添加できる。本発明の1つの利点は、肥料を供給されて予め施肥された材料を調製し、この調製物を、長期化された成長期にわたって持続し且つ植物の肥料要求に対応する速度(すなわち、その成長活性に連携した植物の窒素需要に対応する速度)にて栽培された植物に供給することを可能にすることである。これに関連して、「対応する」は近似であって、余分な窒素を依然として環境に放出できることが、当業者に了解されるであろう。しかしながら、そのような放出は如何なるものも、漏出という観点から見れば無視できる程度に十分小さい。
本発明の第2の態様は、少なくとも1種のゼオライトを含む肥料組成物であって、このゼオライトの細孔内に、少なくとも1種の塩基性L−アミノ酸を任意で他の成長促進成分と共に吸着させたものである。他の増殖促進剤は、カリウム、リン、金属イオン、ビタミン、及びミネラルからなる群から選択されてもよい。更に、本発明による肥料組成物としては、好適な物理的形態を提供する目的に一般的に使用される、顆粒または粒状物質のような添加剤を挙げることができる。好適な粒径は、植物が栽培される状況に応じて決まると考えられており、当該技術分野における当業者であれば容易に特定することができる。
ゆえに、一実施形態において、本発明は、任意の従来の植物成長用培地と少なくとも1種のゼオライトとの複合物を含む成長支持材料であって、このゼオライトの細孔内に、少なくとも1種の塩基性L−アミノ酸を吸着させたものである。結果的に、ゼオライト(類)の細孔内に吸着された有機窒素の含量を鑑みれば、本実施形態を予め施肥された成長材料であると見なして差し支えない。
先に記述されている全ての詳細、実施形態及び実施例は、例えば本発明によるアミノ酸、アミノ酸量、ゼオライト(類)、植物及び成長培地に関して、この第2の態様に対しても同様に当てはまる。
任意の従来の植物成長用培地とゼオライト(類)との複合からなる成長支持材料であって、このゼオライトの細孔内にアミノ酸を吸着させたものを、任意の好適な形態で提供できる。ゆえに、この成長支持材料は、粒子もしくは顆粒として成長培地のバッグ内に提供される場合もあれば、またはジフィーポット内に提供される場合もある。本発明の材料は、民間利用に好適な形態で提供される場合もあれば、それよりも商業規模に適合した大規模な形態で提供される場合もある。本発明を含むいくつかの形態は、とりわけオートメーションに適応させることが可能である。
一実施形態において、本発明による成長支持材料は、生分解性容器内に入れて提供される。生分解性容器は、泥炭ポットとしてもよいし、あるいはそれと類似のものとしてもよい。
別の実施形態において、本発明による成長支持材料は、種子または実生の作付け用に整列配置されたパッドである。これに関連して、そのようなパッドは、圧縮して任意で乾燥させた成長培地でありうる。
本発明による成長支持材料は、例えば、家庭で、または庭園、温室、ならびに屋外における樹木作付けでの消費者用途にて、すなわち農業または園芸を目的として、栽培植物の成長に必要な窒素量に対応した速度にて窒素の放出が所望される任意の状況で使用できる。
本発明の第3の態様は、少なくとも1種のゼオライトの使用であって、このゼオライトの細孔内に、少なくとも1種の塩基性L−アミノ酸が肥料として吸着された、使用である。
本発明の第3の態様はまた、少なくとも1種の施肥された植物の栽培において、上記のような成長支持材料の使用を含む。
例えば、アミノ酸、アミノ酸量、ゼオライト(類)、植物、形態、ならびに成長培地等に関して上述されている全ての詳細、実施形態及び実施例は、この第3の態様に対しても同様に当てはまる。
本発明による使用の有利な実施形態では、植物は多年生であり、ゼオライトは、充填ゼオライトの総重量ごとに計算された前記塩基性L−アミノ酸由来の窒素の約1〜3%の電荷を有する。
本発明の特定の実施形態において、本植物は、針葉樹、例えば、Pinaceae科の一種(PinusまたはPiceaなど)である。
一実施形態において、本発明による方法;本発明による肥料組成物;または本発明による成長促進物質は、少なくとも1種の菌根植物の栽培に使用される。
一実施形態において、本植物は真菌と共生する能力を有する。真菌は、子実体(例えば、食物としてまた調理にも用いられる子実体)を形成する能力を有する。ゆえに、本発明は、食品業界において用いられる真菌子実体及びマッシュルーム類の大規模栽培に使用するのが有利な場合がある。
真菌はまた、培養植物または実生の生産力を増強しうる。ゆえに、本発明は、植物の迅速な成長を可能にしながら、1種もしくは数種の菌根菌に対して共生関係を持続化または改善する。これらの菌根菌は、以後、長期間にわたって、いったん土壌(例えば農業畑もしくは森林再生区域などの圃場環境)に植え付けられた植物または実生の生産力を改善する。
本発明による目的のうちの1つ以上を履行する組み合わせを当業者が認識する限り、上述されている特定の態様の文脈において記載の実施形態の任意の組み合わせが本発明に含まれる。
[図面の詳細な説明]
図1は、オオムギの1植物当たりのバイオマス乾燥重量(g)を示す。左側のバーはゼオライトが添加されていない対照であり、右側のバーは本発明によるアルギニン充填ゼオライトが添加された本発明による成長の結果である。更に具体的に言うと、窒素含有率はL−アルギニンの形態で2%であり、1ポット当たり総窒素量は20mgNであった。実施例3に更に詳述されているように、土壌で満たしたポットの中で植物を栽培して、8週間後に収穫した。根茎及び苗条を含めた植物全体の乾燥重量の平均値±標準誤差(n=18〜21)は、棒グラフで表してある。図1から明らかなように、本発明によるアルギニン充填ゼオライトを使用した場合に得られるバイオマスは、対照と比較してほぼ2倍である。
図2は、レタスの1植物当たりのバイオマス乾燥重量(g)を示す。左側のバーはゼオライトが添加されていない対照であり、右側のバーはアルギニン充填ゼオライトが添加された本発明による成長の結果である。更に具体的に言うと、窒素含有率はL−アルギニンの形態で2%であり、1ポット当たり総窒素量は20mgNであった。実施例3に更に詳述されているように、土壌で満たしたポットの中で植物を栽培して、8週間後に収穫した。根茎及び苗条を含めた植物全体の乾燥重量の平均値±標準誤差(n=18〜21)は、棒グラフで表してある。
図3は、実施例3に従って得られた、図1及び図2に示すバイオマス増加を例証した写真である。更に具体的に言うと、図3は、施肥されていない対照(左)、及びアルギニンゼオライト(20mgN)(右)のアルギニン充填ゼオライトで生育された、レタス(Lactuca sativa)ならびにオオムギ(Hordeum vulgare)の成長を示す。右側の植物の成長は、本発明によるアミノ酸充填ゼオライトの添加によって明らかに増強されている。
図4は、実施例4に記載されているオウシュウアカマツの実生(アルギニン充填ゼオライト(L−アルギニン形態の窒素含有率2%、1ポット当たり総窒素量40mgN)を添加したもの(右)及び添加しないもの(左))の、苗条成長、ならびに針葉中の総窒素含量を示す。植物を針葉樹の苗床で予め生育させ、アルギニン充填ゼオライトを根塊に加え、その直後に圃場に植栽した。植物を一成長季(3か月)後に収穫し、苗条の乾燥重量、及び針葉中の総窒素含量を測定した。図4Aには、苗条バイオマスにより、成長が例証されている。全植物(根茎及び苗条)の乾燥重量の平均値±標準誤差(n=25)は、棒グラフで表されている。本発明に従って使用されるアルギニン充填ゼオライトによって苗条バイオマスが実質的に増加することは、明らかであると思われる。図4Bにおいて、針葉中の総窒素含量は、ゼオライト由来の窒素がマツによって利用された証拠として示してある。
図5は、実施例5に記載されているように、野外試験においてアルギニン充填ゼオライトで被覆されたマツの実生の成長を、施肥されていない対照(左)及びアルギニンゼオライト(40mgN)(右)について例証した写真である。本発明により使用されるアルギニン充填ゼオライトが成長促進効果を有していたことは、明らかであると思われる。
図6は、本発明によるアルギニン充填ゼオライトで施肥されたマツ(Pinus sylvestris)の実生(左)の発芽が、商業的に施肥された実生(右)がまだ発芽を示さなかった時点で、ほぼ100%に達した様子を示す。後者は、アミノ酸系の非ゼオライト肥料で施肥された。
図7は、マツ(Pinus sylvestris)の実生(充填されたゼオライト(L−アルギニン形態の窒素含有率2%、1ポット当たり総窒素量20mgN)を添加したもの(右)または添加しないもの(左))の成長を示す。泥炭で満たしたポットの中で植物を栽培し、12週間後に収穫した。植物全体(根茎及び苗条)の乾燥重量の平均値、標準偏差(n=10)は、棒グラフで表されている。本発明により培養されたマツのバイオマスにおける実質的な差異を例証したことにより、本発明の効果が明らかにされている。
図8は、マツ(Pinus sylvestris)の実生の成長を示したものであり、更に具体的に言うと、菌根あり(左)または菌根なし(右)のアルギニン充填ゼオライトを用いた成長を示した写真である。菌根ありで生育された実生は、菌根なしで生育されたものよりも明らかに大きく、ここでもまた、本発明の効果が例証されている。
図9A及び図9Bは、マツ(Pinus sylvestris)の実生の成長と、菌根ありまたは菌根なしのアルギニン充填ゼオライト(L−アルギニン形態の窒素含有率2%、1ポット当たり総窒素量20mgN)で生育された針葉中の総窒素含量を示す。泥炭で満たしたポットの中で植物を栽培し、12週間後に収穫した。植物全体(根茎及び苗条)の乾燥重量の平均値、標準偏差(n=10)は、棒グラフで表されている。更に具体的に言うと、図9Aは、菌根なし(左)及び菌根あり(右)のマツのバイオマス乾燥重量を示す。一方、図9Bは、ゼオライト由来の窒素がマツによって利用されたことの証拠として、菌根なし(左)及び菌根あり(右)の針葉中の総窒素量(mgN/乾燥重量)を示す。本発明による菌根とアルギニン充填ゼオライトとの併用によって、バイオマスが実質的に増加することは、明らかであると思われる。
図9Cは、マツの実生(菌根を添加したもの及び添加しないもの)の成長を例証した写真4枚のパネルである。更に具体的には、図示されているボックス1〜4に、図示されている領域1:菌根ありで生育されたマツの実生の成長;領域2:菌根なしのカセット底面のピクチャー;領域3:菌根無添加で生育されたマツの実生の成長;及び領域4:菌根無添加のカセット底面のピクチャーを示す。1のマツ幼植物は真緑で活力旺盛であるのに対し、3領域の同幼植物は黄褐色になって窒素欠乏に陥っていることに留意すべきである。
図10は、下記実施例2に記載されている、本発明に従って促進された18日間の成長後の抽出中の質量損失を、従来技術の肥料(Osmocote)による成長と比較して示す。要約すれば、図10に示すように、アルギニンは、水(HO)(左)、50mMの塩化カルシウム(CaCl)(中央)及び50mMシュウ酸(右)で洗浄された場合でも、ゼオライトに強く結合する。
図11は、実施例7に記載されているトウヒ及びコントルタマツの実生における野生根茎の総バイオマスの増加を例証したものであり、更に具体的に言うと、図11のAは、野生根茎が発育する様子を例証した写真である(矢印を参照)。図11のB及び図11のCにおいて、野生根茎バイオマスは、植物当たりの乾燥重量(g)を示したグラフで定量化されている。対照標準の実生には窒素を導入しなかった。アルギニン装填ゼオライトを用いることにより、本発明により、野生根茎の成長が促進される。
図12A〜図12Bは、本発明によるアルギニン装填ゼオライトで処理された場合のコントルタマツ及びトウヒの、それぞれの苗条の成長増加量を示す。更に具体的に言うと、図12Aはコントルタマツの苗条乾燥重量を示し、一方、図12Bはトウヒの苗条乾燥重量を示す。下記実施例7に従い、対照標準の実生には窒素を導入しなかった。この図は、本発明に従って実生根茎に供給されたアルギニン充填ゼオライトが、野生根茎の成長(図11)及び苗条の成長(図12)に対してもたらした秀逸な長期的効果を、対照標準と比較して例証したものである。
図13は、それぞれ異なる肥料に対する6週間の応答期間にわたって、週次に砂質成長基板より上部20mmの所に採取されたフェアウェイの芝生の草本切り粉乾燥重量を示す(下表1を参照のこと)。前処理済の切り粉乾燥重量は、0週目に確立されたものである。N=4、エラーバー=標準誤差。
図14は、フェアウェイの芝生切り粉における、各粒状肥料に対する6週間の応答期間中の週次窒素(N)回収率を示す(下表1を参照のこと)。前処理済の切り粉乾燥重量は、0週目に確立されたものである。N=4、エラーバー=標準誤差。
実験パート
本実施例は、説明のみを目的に提供されたものであり、添付の特許請求の範囲によって規定された本発明を限定するものとして認識すべきではない。下記及び本出願の他の箇所に引用されている全ての参考文献は、本明細書において参照により援用されている。
L−アミノ酸充填ゼオライトの一般的な製造方法
L−アミノ酸水溶液を塩基性またはHCl形態にて調製し、pHを3〜9の範囲に調整する。吸着に先立って、ゼオライトを精製水中ですすぎ、塵粒子及び他の不純物を取り除く。すすいだゼオライトにL−アミノ酸溶液を添加し、室温にて2〜4日間かけて継続的に攪拌し続ける。次いで、ゼオライトを精製水中で十分に洗浄し、乾燥させる。
実施例1:塩基性アミノ酸充填ゼオライトの調製
実施例1(a):アルギニン充填ゼオライトの調製
アルギニン60gを精製水2500mL中に溶解して、0.14MのL−アルギニン溶液を調製した。濃HClを添加することによって、溶液のpHを3.5になるように調整した。Incal Mineral(トルコ共和国イズミル)からクリノプチライト型の天然ゼオライトを入手し、水ですすいで不純物を洗い落とした。アルギニン溶液にゼオライト600gを添加し、この溶液を室温にて回転テーブル上に載置して3日間保持した。L−アルギニン溶液を除去した後、ゼオライトを精製水中で3回洗浄し、炉内で65℃にて24時間乾燥させた。DeltaV同位体比・質量分析計及びFlash EA 2000元素分析装置(両方とも供給元はThermo Fisher Scientific)を用いて、充填されたゼオライト中の窒素濃度を測定した。
実施例1(b):リシン充填ゼオライトの調製
L−リシン塩酸塩(98%、Sigma)7.3gを精製水中に溶解することにより、0.2MのL−リシン溶液を調製した。5M水酸化ナトリウム溶液を添加することによって、結果として得られた溶液をpH8.5になるように調整した。
クリノプチライト型の天然ゼオライトは、Incal Mineral(トルコ共和国イズミル)から入手されたものである。50mLポリプロピレン試験管4本にそれぞれゼオライトを10gずつ加えた。
ゼオライトを精製水中で3回すすいで微粒子を取り除いた後、L−リシン溶液を試験管が満杯になるまで充填した。試験管を回転テーブル上に室温にて4日間載置した。L−リシン溶液を除去した後、ゼオライトを精製水中で3回洗浄し、炉内で65℃にて24時間乾燥させた。DeltaV同位体比・質量分析計及びFlash EA 2000元素分析装置(両方とも供給元はThermo Fisher Scientific)を用いて、窒素含量を測定した。
実施例2:充填ゼオライトからの窒素の抽出
先に述べたように、塩基性L−アミノ酸はゼオライト類にきわめて強く吸着される。
本発明に従って充填されたゼオライトからの窒素放出速度が、植物の非存在下ではきわめて遅いことを実証するため、一連の抽出実験を行った。本実施例は、
(a)塩基性アミノ酸、
(b)実施例1に記載のアンモニウム
が充填されたゼオライトを使用して行った。
実施例2(a)
L−アルギニンまたはL−リシンのいずれかが充填されたゼオライトを、水と0.5mMのCaCl(pH 5.8)と0.5mMのシュウ酸(pH 1.6)とからなる抽出溶媒にそれぞれ浸漬した。
アルギニンゼオライトまたはリシン・ゼオライト1g、及び各抽出溶媒10mLを、それぞれ15mLポリプロピレン試験管に添加した。
要約すると、この実施例から明らかであるように、水(HO)、塩化カルシウム、及びシュウ酸で洗浄した場合に、アルギニンがゼオライトに強く結合する(図10参照)。
実施例2(b)及び(c)
アミノ酸ゼオライトと硝酸塩とアンモニウム(Osmocote(商標)、The Scotts Miracle−Gro Company)とを含有する市販の徐放性肥料と同様な方法で調製されたアンモニウム含有ゼオライトを使用して、並行実験を行った。Incal Mineral(トルコ共和国イズミル)から入手されたクリノプチライト型の天然ゼオライトを水で洗浄し、不純物をすすぎ落とすことによって、アンモニウム充填ゼオライトを調製した。次いで、0.2M硫酸アンモニウム溶液2500mL中にゼオライト粒子を浸漬した。ゼオライトを室温(20℃)にて回転テーブル上に3日間載置した。次いで、ゼオライトを精製水中で3回すすいで、ゼオライトの表面から過剰な硫酸アンモニウムを除去した。全ての試験管を室温(20℃)にて回転テーブル上に載置した。試料を3日毎または4日毎に採取し、試料中のアミノ酸濃度(a)、アンモニウム濃度(b)及び硝酸塩濃度(c)を測定した。試料採取後に毎回、試験管内の溶液を新しい抽出溶液と交換した。
実施例2(d)
更なる並行実験では、窒素1%に相当するアルギニン充填ゼオライト20mlを土壌、泥炭または砂80mlと混合して、1日2回給水されたカセットの中に入れた。これらのポットの中には植物が存在しなかった。3か月間かけて散水した後、土壌、泥炭または砂を洗い落とし、清浄化されたゼオライトの窒素含量を分析した。驚くべきことに、無傷のアルギニンの大部分が依然としてゼオライト中に残存していた。このことは、本発明に従って持続放出が得られるという証拠になるものである。当業者に了解されるように、特定の肥料組成物の放出速度に影響しうるパラメーターの1つとして成長培地の選択肢を使用することによって、特性という観点で柔軟性を提供することが可能である。
実施例3:オオムギ及びレタスを使用した温室実験
Incal Mineral(トルコ共和国イズミル)から入手されたクリノプチライト型の天然ゼオライトにアルギニン(窒素2%)を充填したものを、80mlのポット中で、施肥されていない石灰土(Hasselfors garden)と混合して、1ポット当たり20mgN(n=20)の濃度にした。オオムギ(Hordeum vulgare)及びレタス(Lactuca sativa)の種子を1ポット毎に1つずつ播種し、散水して、種子が発芽するまで不織布で覆った。対照として、施肥されていない土壌をアルギニンゼオライトを無添加で使用した。8週間後に、オオムギ及びレタスを収穫し、すすいで、根茎から土を全て取り除いた。植物を65℃にて24時間乾燥させた後、乳棒及び乳鉢(mortal and pistil)で微粉末になるまで粉砕した。総乾燥バイオマスを測定した。炭素/窒素分析法を用い、総窒素含量を測定した(上記参照)。図1〜図3に示した結果を参照のこと。
実施例4:オウシュウアカマツの実生を使用した温室実験
A.Incal Mineral(トルコ共和国イズミル)から入手されたクリノプチライト型の天然ゼオライトにアルギニン(窒素2%)を充填したものを、80mLのポット中で砂と混合して、1ポット当たり20mgN(n=20)の濃度にした。オウシュウアカマツ(Pinus Sylvestris)の種子をポット毎に1つずつ播種して、散水する。アルギニン充填ゼオライトが添加されていない植物を、対照として使用した。12週間後に、オウシュウアカマツの実生を採り、すすいで、根茎から土を全て取り除いた。植物を65℃にて24時間乾燥させた後、乳棒及び乳鉢(pistil)で微粉末になるまで粉砕した。総バイオマスを測定した。その結果は図4にレポートされている。
B.Incal Mineral(トルコ共和国イズミル)から入手されたクリノプチライト型の天然ゼオライトにアルギニンを充填したもの(窒素2%)を、80mLのポット中で砂と混合して、1ポット当たり20mgN(n=20)の濃度にした。オウシュウアカマツ(Pinus Sylvestris)の種子をポット毎に1つずつ播種して、散水する。4週間後に、実生に菌根を添加した。菌根が添加されていない植物を、対照として使用した。12週間後に、マツの実生を採り、すすいで、根茎から土を全て取り除いた。植物を65℃にて24時間乾燥させた後、乳棒及び乳鉢(pistil)で微粉末になるまで粉砕した。総バイオマス及び総窒素量を測定し、菌根による影響を定量した。結果については図8及び図9を参照のこと。
実施例5:オウシュウアカマツの実生を使用した野外試験
標準的な方法に従って針葉樹苗床で生育されたオウシュウアカマツ(Pinus sylvestris)の実生(n=50)を、植え付け前にアルギニンを加えたゼオライト(窒素2%)を加えて処理し、1植物当たり40mgNの濃度にした。これらの実生を、松林用に用いられる標準的な方法に従って掘り起こされた皆伐地に植え付けた。鉱物土壌中に、マツの実生(アルギニンゼオライトで処理されていないもの及び処理されたもの)が並べて植栽された。一成長季(3か月)後に、植物を収穫して、水中で洗浄した。65℃にて24時間乾燥させた後、植物の乾燥重量を測定した(結果については、図4及び図5を参照のこと)。
実施例6:アルギニン充填ゼオライトで処理されたオウシュウアカマツの実生を使用した発芽試験
アルギニン充填ゼオライト(窒素2%)を、80mlのポット中で、施肥されていない石灰土(Hasselfors garden)と混合して、1ポット当たり40mgN(n=50)の濃度にし、これを、市販のアミノ酸系非ゼオライト肥料40mgを泥炭に混合したものと比較した。オウシュウアカマツ種子(Pinus sylvestris)をポット毎に1つずつ播種し、散水した。4週間後に、発芽率をスコアリングした。その結果を図6に示す。
実施例7:アルギニンゼオライトを使用した、トウヒ(Picea abies)及びコントルタパイン(Pinus contorta)の処理
オウシュウアカマツ、トウヒ及びコントルタマツの実生を、標準的な方法に従い、実生床にて成長させ、続いて、鉱物土壌内に植え付けた。実生の半数は追加の肥料を与えず、残りの実生の半数に対しては、実施例1に従って調製されたアルギニン充填ゼオライトを実生の根茎に供給して植え付けた。各実生に添加された総窒素量は約28mgNであった。実生を一成長期後に収穫し、苗条・根茎の乾燥バイオマス、及び総バイオマスを記録した。同時に、成長期に出現した根茎(「野生根茎」)のバイオマスを測定した。
驚くべきことに、本発明による実生の根茎に供給されるアルギニン充填ゼオライトが発見された。作付けの時点で、野生根茎のバイオマス(図12)及び成長(図13)に対する長期的なプラスの効果があった。
実施例8:L−アルギニン装填ゼオライトに対するフェアウェイの芝生の応答
種子から芝生が造成される確率は、L−アルギニン装填ゼオライト肥料に応答して増強される。このことは、アミノ酸装填ゼオライトを介して草本種の効率的成長を支持することが可能であることを、示唆するものである。
標準的な温室条件において、日中に20〜25℃にて16時間、夜間に15℃にて8時間人工光を照射した。有機物含有率およそ10%の砂を入れた3リットルポットの中に、温暖及び寒冷気候のゴルフフェアウェイ上に一般に使用されるFestuca rubra spp70%とPoa pratensis30%とからなる草本種子混合物(通称:「フェアウェイの芝生」)が、種子3kg/100mに相当する播種率で造成された。播種後6週間目に、全てのポット中で完全な芝生被覆率が確立されるのを支持するための液体NHNO肥料を、0.15kgN/100mの割合で施用した。引き続いて、実験期間の開始前に、4回にわたる週次の切除・再成長サイクルを実行し、草本を20mmに切り取って、切り粉を取り除いた。
アルギニン装填ゼオライトを、0.5kgN/100mに相当する速度にて1回処理した。ゴルフフェアウェイ上に使用する目的に合わせて調合された被覆アンモニウム/尿素系の市販製品、ゴルフフェアウェイに使用するために調合された非被覆メチル化尿素系の市販製品、または化学的に純粋なN−メチル尿素のいずれかを用いて、総窒素レベルに適合した標準的処理を適用した。実験期間中に粒状肥料で処理されなかった陰性(NIL)対照も同様に、確立された。処理を4回繰り返した。
草本の切り粉を砂質生長培地より上部20mmの所に集め、肥料施用前(第0週)に1回、以後の6週間(第1〜6週)は週に1回50℃のオーブンで乾燥させた。粒状肥料で処理してから7週間後に、根茎を洗浄してオーブン(50℃)で乾燥させた。本実施例の結果から明らかであるように、フェアウェイの芝生は粒状窒素の添加に応答して地上バイオマスの生産を概ね増加させる。アルギニン装填ゼオライトにおいて処理後の第1週目にバイオマス産生の有意な増加が観察されたが、他の全ての肥料処理に対する応答が有意に増強したことが、第2の切除・再成長サイクルにおいて最初に観察された。全N回の処理に応答して第2または第3の切除・再成長サイクルでは、ピークのバイオマス産生レベルが概ね達成された。切除・再成長サイクルに対する地上バイオマス産生は、第6サイクルにおける全ての肥料処理に対する前処理レベル未満に低下した。
非被覆N−メチル尿素に対する応答においては、葉の燃焼ストレス応答(俗称:「スコーチング」)が観察されたのに対して、アルギニン装填ゼオライトに対する応答においては、同燃焼ストレス応答が観察されなかった。元素分析装置(Flash EA 2000、Thermo Fisher Scientific、ドイツ・ブレーメン)を使用して窒素含量を測定し、切り粉バイオマスを調整することにより、週次の窒素回収率を評価した(図2x)。最初の遅延後、全ての窒素処理に応答して、窒素回収率が最高に達したのは、窒素を添加してから2週間後であった。ただし、L−アルギニン装填ゼオライトの場合、施用されてから3週間後に、窒素回収率が最高に達した。

Claims (20)

  1. 少なくとも1種の植物の成長を促進する方法であって、
    a) ゼオライト細孔内に少なくとも1種の塩基性L−アミノ酸が吸着された、少なくとも1種のゼオライトを含む肥料組成物を提供することと;
    b) 前記肥料組成物を、作付けに関連して植物成長用培地に添加することと;
    c) 前記植物の以後の栽培中に、前記肥料組成物から窒素の放出が行われるようにすることと
    を含む、前記方法。
  2. 前記塩基性L−アミノ酸が、L−アルギニン及びL−リシンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 1種以上の更なる成長促進成分が添加される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ゼオライトが天然ゼオライトである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記ゼオライトが、充填ゼオライトの全重量ごとに計算して、前記塩基性L−アミノ酸由来の窒素の少なくとも1%、例えば、少なくとも2%、または少なくとも3%の電荷を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記植物が樹木である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記樹木が、針葉樹、例えば、Pinaceae科の一種、PinusまたはPicea属の一種である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記植物が草本である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記草本が、Poaceae科の一種である、請求項8に記載の方法。
  10. 植物成長用培地と少なくとも1種のゼオライトとの複合物を含む成長支持材料であって、前記ゼオライトの細孔内に、少なくとも1種の塩基性L−アミノ酸を任意で他の成長促進成分と一緒に吸着したものである、前記成長支持材料。
  11. 生分解性容器中に供給される、請求項10に記載の成長支持材料。
  12. 種子の作付け用に整列配置されたパッドである、請求項10に記載の成長支持材料。
  13. 少なくとも1種のゼオライトの使用であって、前記ゼオライトの細孔内に、少なくとも1種の塩基性L−アミノ酸が任意で他の成長促進成分と一緒に肥料として吸着されている、前記使用。
  14. 請求項10〜12のいずれか一項に記載の成長支持材料を、少なくとも1種の植物と併用する、請求項13に記載の使用。
  15. 前記ゼオライトが、充填ゼオライトの全重量を基準に計算して、前記塩基性L−アミノ酸由来の窒素の少なくとも1%、例えば、少なくとも2%、または少なくとも3%の電荷を有する、請求項13または14に記載の使用。
  16. 前記植物が、針葉樹、例えば、Pinaceae科の一種、PinusまたはPicea属の一種である、請求項13〜15のいずれか一項に記載の使用。
  17. 前記植物が、草本、例えば、Poaceae科の一種である、請求項13〜15のいずれか一項に記載の使用。
  18. 少なくとも1種の菌根植物の栽培における、請求項13〜17のいずれか一項に記載の使用。
  19. 前記植物が真菌と共生的に関係できる、請求項13〜18のいずれか一項に記載の使用。
  20. 真菌が、アンズタケのような少なくとも1種の食用マッシュルームを産生する、請求項19に記載の使用。
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