JP2008239668A - 環状オレフィン重合体フィルム及びその作成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】分子量が大きく、ガラス転移温度の高い重合体の場合であっても、残留溶媒量が少なく、アニール後の熱収縮率が小さい環状オレフィン重合体フィルムを簡便に作成し得る方法及びこの方法によって得られる環状オレフィン重合体フィルムを提供する。
【解決手段】残留溶媒量が100ppm未満であり、アニール後の熱収縮率が500ppm以下である環状オレフィン重合体フィルム。環状オレフィン重合体、及び、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸と炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であるアルコール等とから誘導される脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステルを含有してなる溶液を基材に流延し、次いで、これを乾燥することを特徴とする環状オレフィン重合体フィルムの作成方法。
【選択図】なし
【解決手段】残留溶媒量が100ppm未満であり、アニール後の熱収縮率が500ppm以下である環状オレフィン重合体フィルム。環状オレフィン重合体、及び、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸と炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であるアルコール等とから誘導される脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステルを含有してなる溶液を基材に流延し、次いで、これを乾燥することを特徴とする環状オレフィン重合体フィルムの作成方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、環状オレフィン重合体フィルム及びその作成方法に関する。更に詳しくは、分子量が大きく、ガラス転移温度の高い環状オレフィン重合体の場合であっても、残留溶媒量が少なく、アニール後の熱収縮率が小さい環状オレフィン重合体フィルム及びこのようなフィルムを簡便に製造することができるフィルム作成方法に関する。
液晶表示装置や光ディスクなどに用いられる光学用フィルムには、無色透明であること、複屈折が小さいこと、高耐熱性であること、低吸湿性であること等が要求される。
これまで、光学用フィルムには、ポリカーボネートやポリメタクリル酸メチル系ポリマーなどの透明プラスチックが使用されてきた。しかしながら、ポリカーボネートフィルムには、耐熱性は高いものの、レターデーションが大きいという問題があり、他方、ポリメタクリル酸メチル系ポリマーには、透明性がよく低複屈折であるものの、低耐熱性で、高吸水性であるので耐久性に問題があった。
これまで、光学用フィルムには、ポリカーボネートやポリメタクリル酸メチル系ポリマーなどの透明プラスチックが使用されてきた。しかしながら、ポリカーボネートフィルムには、耐熱性は高いものの、レターデーションが大きいという問題があり、他方、ポリメタクリル酸メチル系ポリマーには、透明性がよく低複屈折であるものの、低耐熱性で、高吸水性であるので耐久性に問題があった。
このため、近年では、光学用フィルムには、環状オレフィン重合体、特にノルボルネン化合物重合体が賞用されている。ノルボルネン化合物重合体から得られるフィルムは、耐熱性、透明性及び低吸湿性に優れるほか、レターデーションの均一性にも優れており、更に、他の光学フィルム用重合体に比べて比重が小さいという利点をも有している。
このノルボルネン化合物重合体からなる光学用フィルムの成形方法としては、これまで、主に溶融押出法や溶融射出法等の溶融法が用いられてきた。しかしながら、これらの方法には、高温を必要とすること、成形中の応力の影響により得られるフィルムの光学特性がばらつきやすいこと等の問題点がある。
一方、フィルム成形法としては、溶液流延法がある。この溶液流延法は、重合体を溶媒に溶解又は分散させ、得られる溶液又は分散液を基材(支持体)上に流延して、乾燥した後、生成したフィルムを基材から剥離する方法である。流延に代えて塗布を行なうことも可能である。
この方法は、特に分子量が大きく、ガラス転移温度の高いノルボルネン化合物付加重合体のフィルムを形成するのに適している。
溶液流延法によるノルボルネン化合物重合体フィルムは、ノルボルネン化合物重合体固有の優れた耐熱性、透明性及び低吸湿性に加えて、レターデーション等の光学特性のばらつきが少なく、しかも平滑性に優れ、厚みムラも小さいという利点を有している。
この方法は、特に分子量が大きく、ガラス転移温度の高いノルボルネン化合物付加重合体のフィルムを形成するのに適している。
溶液流延法によるノルボルネン化合物重合体フィルムは、ノルボルネン化合物重合体固有の優れた耐熱性、透明性及び低吸湿性に加えて、レターデーション等の光学特性のばらつきが少なく、しかも平滑性に優れ、厚みムラも小さいという利点を有している。
しかしながら、この溶液流延法でフィルムを作成するには、均一なフィルムを得るために溶媒を徐々に揮散させる必要があることから長時間を要する。また、この溶液流延法で作成したフィルムには、使用した溶媒が残存し、これが揮散するに従ってフィルムが収縮するため、寸法安定性が劣り、また、耐熱性にも劣るため、光学フィルムとして使用する上で問題が生じていた。
特許文献1には、80〜99重量部の環状ポリオレフィン系樹脂と20〜1重量部の一次可塑剤とを主成分とする環状ポリオレフィン系樹脂シートを、環状ポリオレフィン系樹脂と液状で沸点200℃以上のフタル酸エステル又は脂肪族二塩基酸エステルからなる一次可塑剤との有機溶媒溶液から、乾式成形法又は流延法によって作成する方法が提案されている。この方法によれば、ヘイズ、濡れ性、耐屈曲性及び残留溶媒量が改善されるとされている。
特許文献1には、エチレン−テトラシクロドデセン共重合体100重量部とジオクチルアジペート11重量部強との混合物を二軸押出機で200℃前後の温度で加熱混練してペレットとし、これを200℃前後のバレル温度のスクリュー式押出機から0.24mmのシートに成形する例が記載されている。
しかしながら、この方法では、上記程度の厚さのシートを得るのがせいぜいであり、また、エチレンやα―オレフィンを含まない付加重合体のように、分子量が大きく、ガラス転移温度が200℃以上のものからは、フィルムを形成することが難しい。
しかしながら、この方法では、上記程度の厚さのシートを得るのがせいぜいであり、また、エチレンやα―オレフィンを含まない付加重合体のように、分子量が大きく、ガラス転移温度が200℃以上のものからは、フィルムを形成することが難しい。
また、同特許文献には、溶液流延法の例として、エチレン−ノルボルネン共重合体100重量部とジオクチルフタレート14重量部強とのキシレン/シクロヘキサン溶液を金属ベルト上に流延して、これを加熱することによって、フィルムを作成している。
この方法によれば、46μm前後の厚さのフィルムを得ることができることが示されている。
この方法によれば、46μm前後の厚さのフィルムを得ることができることが示されている。
しかしながら、上記いずれの方法においても、多量の可塑剤の使用が必要であり、作業環境上や生産コスト上、好ましいものではない。また、フィルムに残存する可塑剤の量も多いと考えられ、実施例で得られたフィルムの寸法安定性は0.20%以上と決して良好なものではない。
本発明者らが、上記溶液流延法によるフィルムの作成を追試したところ、エチレン−ノルボルネン類共重合体に比較して分子量が大きく、ガラス転移温度が200℃を超えるエチレンやα−オレフィンを含まない環状オレフィン付加重合体の場合には、上記可塑剤の残留量が大きく、また、フィルムの収縮が著しいことが分かった。
本発明者らが、上記溶液流延法によるフィルムの作成を追試したところ、エチレン−ノルボルネン類共重合体に比較して分子量が大きく、ガラス転移温度が200℃を超えるエチレンやα−オレフィンを含まない環状オレフィン付加重合体の場合には、上記可塑剤の残留量が大きく、また、フィルムの収縮が著しいことが分かった。
従って、本発明の目的は、分子量が大きく、ガラス転移温度の高い環状オレフィン重合体の場合であっても、多量の可塑剤を要することなく、残留溶媒量が少なく、アニール後の熱収縮率が小さい環状オレフィン重合体フィルムを簡便に作成し得る方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、残留溶媒量が少なく、アニール後の熱収縮率が小さい、環状オレフィン重合体フィルムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、残留溶媒量が少なく、アニール後の熱収縮率が小さい、環状オレフィン重合体フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記目的の達成のために鋭意研究を進めた結果、溶液流延法において、特定の構造を有するエステル化合物を環状オレフィン重合体の有機溶媒溶液に添加することにより、上記目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、残留溶媒量が100ppm未満であり、アニール後の熱収縮率が500ppm以下である環状オレフィン重合体フィルムが提供される。
本発明のフィルムにおいて、環状オレフィン重合体が環状オレフィン付加重合体であることが好ましい。
本発明のフィルムにおいて、環状オレフィン重合体が環状オレフィン付加重合体であることが好ましい。
また、本発明によれば、環状オレフィン重合体100重量部、及び、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸と炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であるアルコールとから誘導される脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステル0.1〜10重量部を含有してなる溶液を基材に流延し、次いで、これを乾燥することを特徴とする上記環状オレフィン重合体フィルムの作成方法が提供される。
更に、本発明によれば、環状オレフィン重合体100重量部、及び、芳香族多価カルボン酸と炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であり、全炭素数が9以下であるアルコールとから誘導される芳香族多価カルボン酸エステル0.1〜10重量部を含有してなる溶液を基材に流延し、次いで、これを乾燥することを特徴とする上記環状オレフィン重合体フィルムの作成方法が提供される。
また、本発明の環状オレフィン重合体フィルムの作成方法において、環状オレフィン重合体が環状オレフィン付加重合体であることが好ましい。
更に、本発明によれば、環状オレフィン重合体100重量部、及び、芳香族多価カルボン酸と炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であり、全炭素数が9以下であるアルコールとから誘導される芳香族多価カルボン酸エステル0.1〜10重量部を含有してなる溶液を基材に流延し、次いで、これを乾燥することを特徴とする上記環状オレフィン重合体フィルムの作成方法が提供される。
また、本発明の環状オレフィン重合体フィルムの作成方法において、環状オレフィン重合体が環状オレフィン付加重合体であることが好ましい。
本発明によれば、残留溶媒量が少なく、アニール後の熱収縮率が小さい環状オレフィン重合体フィルムを簡便に作成することができる。このようにして得られた残留溶媒量が少なく、アニール後の熱収縮率が小さい環状オレフィン重合体フィルムは、光学特性、機械的特性、電気・電子的特性、化学的特性等に優れているので、各種用途に好適に使用することができる。
本発明の環状オレフィン重合体フィルムは、環状オレフィン重合体からなる。
環状オレフィン重合体は、環状オレフィンの単独重合体若しくは共重合体又は環状オレフィンとこれと共重合可能な単量体との共重合体である。
環状オレフィン重合体は、環状オレフィンの単独重合体若しくは共重合体又は環状オレフィンとこれと共重合可能な単量体との共重合体である。
本発明で用いうる環状オレフィン重合体としては、ノルボルネン化合物重合体が好ましい。
ノルボルネン化合物は、ノルボルネン環構造含有環状オレフィンであれば、特に限定されない。
その具体例としては、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン);5−メチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン等の炭化水素置換基を有するビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン誘導体;
ノルボルネン化合物は、ノルボルネン環構造含有環状オレフィンであれば、特に限定されない。
その具体例としては、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン);5−メチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン等の炭化水素置換基を有するビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン誘導体;
5−メトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−シアノ−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド等の官能基を有するビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン誘導体;
トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)等の3環以上のノルボルネン誘導体;
8−メチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン等の炭化水素置換基を有する3環以上のノルボルネン誘導体;
8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、8−カルボキシ−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン等の、官能基を有する3環以上のノルボルネン誘導体;等を挙げることができる。
ノルボルネン化合物以外の環状オレフィンとしては、例えば、シクロブテン、1−メチルシクロペンテン、3−メチルシクロブテン、3,4−ジイソプロペニルシクロブテン、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、シクロオクテン、1−メチルシクロオクテン、5−メチルシクロオクテン、シクロオクタテトラエン、1,5−シクロオクタジエン、シクロドデセン等の単環シクロオレフィン等を挙げることができる。
また、環状オレフィンと共重合可能な単量体としては、エチレン;プロピレン等のα−オレフィン;アセチレンや、プロピン、1−ブチン等の置換アセチレンであるアセチレン化合物;スチレン等の芳香族ビニル化合物;1,6−ヘプタジエン等の両端部分に二重結合をもつジエン化合物;等を挙げることができる。
また、環状オレフィンと共重合可能な単量体としては、エチレン;プロピレン等のα−オレフィン;アセチレンや、プロピン、1−ブチン等の置換アセチレンであるアセチレン化合物;スチレン等の芳香族ビニル化合物;1,6−ヘプタジエン等の両端部分に二重結合をもつジエン化合物;等を挙げることができる。
ノルボルネン化合物重合体としては、ノルボルネン化合物の開環(共)重合体、ノルボルネン化合物の付加(共)重合体、ノルボルネン化合物とα―オレフィンとの付加共重合体が挙げられる。
本発明のフィルム作成方法は、特に、ノルボルネン化合物の付加(共)重合体に適している。
本発明のフィルム作成方法は、特に、ノルボルネン化合物の付加(共)重合体に適している。
ノルボルネン化合物付加共重合体において、共重合体中のノルボルネン化合物の組成比は、通常、50モル%、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
本発明において、ノルボルネン化合物付加(共)重合体は、ノルボルネン化合物単独付加重合体(1種類のノルボルネン化合物のみの付加重合体)又は2種以上のノルボルネン化合物のみの付加共重合体であることが好ましい。
本発明において、ノルボルネン化合物付加(共)重合体は、ノルボルネン化合物単独付加重合体(1種類のノルボルネン化合物のみの付加重合体)又は2種以上のノルボルネン化合物のみの付加共重合体であることが好ましい。
本発明において使用する環状オレフィン重合体のガラス転移温度は、200℃以上であることが好ましく、より好ましくは230℃以上、特に好ましくは250℃以上である。
本発明において使用する環状オレフィン重合体のガラス転移温度が上記範囲内にあるときに、これから得られるフィルムは、優れた耐熱性を示す。
本発明において使用する環状オレフィン重合体のガラス転移温度が上記範囲内にあるときに、これから得られるフィルムは、優れた耐熱性を示す。
本発明において使用する環状オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で、100,000以上且つ1,000,000以下であることが好ましく、より好ましくは150,000以上且つ900,000以下、特に好ましくは、200,000以上且つ800,000以下である。重量平均分子量(Mw)が低すぎると機械的強度が弱くなるおそれがあり、高すぎると、溶液粘度が高くてフィルムの成形が困難となる場合がある。
本発明において使用する環状オレフィン重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。分子量分布がこの範囲内にあるときに、環状オレフィン重合体からなるフィルムの機械強度が更に良好なものとなる。
環状オレフィン重合体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ノルボルネン化合物の付加(共)重合体の場合、特表平11−505880号公報、国際公開第00/20472号パンフレット及び特開2001−980359号公報に記載されているニッケル、パラジウム等の周期表第10族遷移金属触媒とアルミニウム化合物やホウ素化合物等の助触媒との組み合わせからなる重合触媒を用いてノルボルネン化合物を重合する方法を示すことができる。
また、ノルボルネン化合物とα―オレフィンとの付加共重合体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特開平3−45612号公報、特開2004−107442号公報及び特開2004−269728号公報に記載されているチタニウム、ジルコニウム等の周期表第4族遷移金属触媒とアルミニウム化合物やホウ素化合物等の助触媒との組み合わせからなる重合触媒を用いてノルボルネン化合物とα−オレフィンとを共重合する方法等を示すことができる。
ノルボルネン化合物開環(共)重合体の製造方法は、格別限定されないが、例えば、ノルボルネン化合物をメタセシス触媒の存在下で開環重合することによって得ることができる。
ノルボルネン化合物のメタセシス重合触媒による開環重合は、公知の方法に従って行なうことができる。
使用するメタセシス重合触媒には、特に限定はなく、公知のものでよい。具体的には、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等から選ばれる金属のハロゲン化物、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系;チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン及びモリブデンから選ばれる金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒系;又は特開平7−179575号公報等に開示されている公知のシュロック型やグラブス型のリビング開環メタセシス触媒等を用いることができる。これらの触媒は、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。触媒の使用量は、重合条件等により適宜選択すればよいが、全ノルボルネン化合物量に対するモル比で、通常1/1,000,000〜1/10、好ましくは、1/100,000〜1/100である。
使用するメタセシス重合触媒には、特に限定はなく、公知のものでよい。具体的には、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等から選ばれる金属のハロゲン化物、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系;チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン及びモリブデンから選ばれる金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒系;又は特開平7−179575号公報等に開示されている公知のシュロック型やグラブス型のリビング開環メタセシス触媒等を用いることができる。これらの触媒は、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。触媒の使用量は、重合条件等により適宜選択すればよいが、全ノルボルネン化合物量に対するモル比で、通常1/1,000,000〜1/10、好ましくは、1/100,000〜1/100である。
本発明においては、上記触媒系に、更に極性化合物を加えて、重合活性や開環重合の選択性を高めることができる。極性化合物としては、例えば、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸等が挙げられる。含窒素化合物としては、脂肪族又は芳香族第三級アミンが好ましく、具体例としては、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、α−ピコリン等が挙げられる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いられ、その使用量は、適宜選択されるが、上記触媒中の金属との比、すなわち、極性化合物/金属の比(モル比)で、通常、1〜100,000、好ましくは5〜10,000の範囲である。
重合反応は、溶媒を用いずに塊状重合で行ってもよいし、有機溶媒等の溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、重合反応に不活性なものであれば格別な制限はないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素;スチレンジクロリド、ジクロルエタン、ジクロルエチレン、テトラクロルエタン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、ベンゾニトリル等の含窒素炭化水素類;等が挙げられる。重合温度は、通常、−50℃〜+100℃、好ましくは−30℃〜+80℃、より好ましくは−20℃〜+70℃の範囲であり、重合圧力は、通常、0〜50kg/cm2、好ましくは0〜20kg/cm2の範囲である。重合時間は、重合条件により適宜選択されるが、通常、30分〜20時間、好ましくは1〜10時間の範囲である。
環状オレフィン重合体は、重合によって得られた環状オレフィン重合体に炭素−炭素不飽和結合が存在する場合に、この炭素−炭素不飽和結合を水素添加したものであってもよい。
環状オレフィン重合体の水素化反応は、一般的に知られている方法、即ち、水素化触媒存在下で水素と接触させて行なえばよい。水素化触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロジウム等の第8〜10族遷移金属又はその化合物をカーボン、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、珪藻土等の多孔性担体に担持した固体触媒或いは、コバルト、ニッケル、パラジウム等の4族〜10族の有機カルボン酸塩、β−ジケトン化合物と有機アルミニウム又は有機リチウムとの組み合わせやルテニウム、ロジウム、イリジウム等の錯体等の均一触媒が用いられる。
環状オレフィン重合体の水素化反応は、一般的に知られている方法、即ち、水素化触媒存在下で水素と接触させて行なえばよい。水素化触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロジウム等の第8〜10族遷移金属又はその化合物をカーボン、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、珪藻土等の多孔性担体に担持した固体触媒或いは、コバルト、ニッケル、パラジウム等の4族〜10族の有機カルボン酸塩、β−ジケトン化合物と有機アルミニウム又は有機リチウムとの組み合わせやルテニウム、ロジウム、イリジウム等の錯体等の均一触媒が用いられる。
また、本発明において、環状オレフィン重合体は、必要に応じて、公知の方法により、α,β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体、スチレン系炭化水素、オレフィン系不飽和結合と加水分解可能な基を持つ有機ケイ素化合物、又は不飽和エポキシ単量体等を用いて変性したものであってもよい。
本発明の環状オレフィン重合体フィルムは、環状オレフィン重合体、及び、芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸と炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であるアルコールとから誘導される芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステルとを含有してなる溶液を基材に流延し、次いで、これを乾燥することによって得ることができる。
本発明で用いる芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステルは、芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸と炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であるアルコールとから誘導されるものである。
芳香族多価カルボン酸は、2以上のカルボキシ基を有する芳香族カルボン酸であれば特に限定されないが、重合体との相溶性の面からカルボキシ基が2つのものが好ましい。
その具体例としては、フタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−アントラセンジカルボン酸、9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロ−2,3−アントラセンジカルボン酸等を挙げることができるが、重合体との相溶性の面からフタル酸が好ましい。
その具体例としては、フタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−アントラセンジカルボン酸、9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロ−2,3−アントラセンジカルボン酸等を挙げることができるが、重合体との相溶性の面からフタル酸が好ましい。
脂肪族多価カルボン酸は、2以上のカルボキシ基を有する脂肪族カルボン酸であれば特に限定されず、飽和酸であっても不飽和酸であってもよいが、飽和酸のものが好ましく、全炭素数が、12以下のものが好ましい。
その具体例としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イソプロピルマロン酸、2−メチルグルタル酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等を挙げることができる。
その具体例としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イソプロピルマロン酸、2−メチルグルタル酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等を挙げることができる。
脂環族多価カルボン酸の具体例としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ノルボルナンジカルボン酸、2,3−ノルボルネンジカルボン酸等を挙げることができる。
本発明において、上記芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸とエステルを形成するためのアルコールとして、炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であるアルコールを使用することが必須である。
アルコールは、上記要件を満たす限り、1級アルコール〜第3級アルコールのいずれであってもよく、飽和アルコールでも不飽和アルコールでもよい。また、2種類以上の相異なるアルコールを併用してもよい。
アルコールは、上記要件を満たす限り、1級アルコール〜第3級アルコールのいずれであってもよく、飽和アルコールでも不飽和アルコールでもよい。また、2種類以上の相異なるアルコールを併用してもよい。
本発明において、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステルを用いる場合は、その合成に用いるアルコールは、炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であるものであればよい。
他方、芳香族多価カルボン酸エステルの場合は、その合成に用いるアルコールは、炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であることに加えて、更に、その合成に用いるアルコールの全炭素数が、9以下であることが必要である。この全炭素数は6以下であることが好ましい。
他方、芳香族多価カルボン酸エステルの場合は、その合成に用いるアルコールは、炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であることに加えて、更に、その合成に用いるアルコールの全炭素数が、9以下であることが必要である。この全炭素数は6以下であることが好ましい。
上記芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸とエステルを形成するためのアルコールとして、上述の要件を満足しないものを使用しても、残留溶媒が多く、熱収縮率が大きくなるため、本発明の目的を達成することができない。
例えば、第2級又は第3級炭素原子を1つも有しない直鎖アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−デカノール等)、直鎖のエーテルアルコール(n−ブトキシエタノール等)、第2級又は第3級炭素原子を有するが、その炭素原子に結合している分岐基が2以上の炭素原子を有するもの(エチル基を分岐鎖として有する2−エチルブタノール、エチル基を分岐鎖として有する2−エチルヘキサノール等)の芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸とのエステル、又は芳香族多価カルボン酸と炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級若しくは第3級炭素原子を有し、該第2級若しくは第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下ではあるが全炭素数が9を超えるアルコールとのエステルを用いると、残留溶媒が多く、熱収縮率の大きいフィルムしか得ることができない。
例えば、第2級又は第3級炭素原子を1つも有しない直鎖アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−デカノール等)、直鎖のエーテルアルコール(n−ブトキシエタノール等)、第2級又は第3級炭素原子を有するが、その炭素原子に結合している分岐基が2以上の炭素原子を有するもの(エチル基を分岐鎖として有する2−エチルブタノール、エチル基を分岐鎖として有する2−エチルヘキサノール等)の芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸とのエステル、又は芳香族多価カルボン酸と炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級若しくは第3級炭素原子を有し、該第2級若しくは第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下ではあるが全炭素数が9を超えるアルコールとのエステルを用いると、残留溶媒が多く、熱収縮率の大きいフィルムしか得ることができない。
本発明者らは、本発明において残留溶媒が減少する機構として、環状オレフィン重合体鎖間の自由体積に存在する残留溶媒と多価カルボン酸エステルとの間で置換が起こり、これによって環状オレフィン重合体鎖から抜け出した残留溶媒が揮散しやすくなることを推定している。
多価カルボン酸エステルの分子サイズが環状オレフィン重合体鎖間の自由体積よりも極端に小さいと、環状オレフィン重合体鎖間の残留溶媒が多価カルボン酸エステルと置換されても、再度、環状オレフィン重合体鎖間の自由体積内のエステルと溶媒とが置換してしまうので、残留溶媒が減少しにくくなり、また、逆に、多価カルボン酸エステルの分子サイズが環状オレフィン重合体鎖間の自由体積よりも大きいと、環状オレフィン重合体鎖間の残留溶媒と多価カルボン酸エステルとの置換が起こらないので、やはり、残留溶媒が減少しにくくなると考えられる。
また、熱収縮率については、多価カルボン酸エステルの分子鎖が長ければ、多価カルボン酸エステルの分子運動量が大きくなり、これに伴って環状オレフィン重合体鎖の分子運動量も大きくなるため、多価カルボン酸エステルによる環状オレフィン重合体可塑化効果が大きくなって、その結果、環状オレフィン重合体の熱収縮も大きくなるものと考えられる。
多価カルボン酸エステルの分子サイズが環状オレフィン重合体鎖間の自由体積よりも極端に小さいと、環状オレフィン重合体鎖間の残留溶媒が多価カルボン酸エステルと置換されても、再度、環状オレフィン重合体鎖間の自由体積内のエステルと溶媒とが置換してしまうので、残留溶媒が減少しにくくなり、また、逆に、多価カルボン酸エステルの分子サイズが環状オレフィン重合体鎖間の自由体積よりも大きいと、環状オレフィン重合体鎖間の残留溶媒と多価カルボン酸エステルとの置換が起こらないので、やはり、残留溶媒が減少しにくくなると考えられる。
また、熱収縮率については、多価カルボン酸エステルの分子鎖が長ければ、多価カルボン酸エステルの分子運動量が大きくなり、これに伴って環状オレフィン重合体鎖の分子運動量も大きくなるため、多価カルボン酸エステルによる環状オレフィン重合体可塑化効果が大きくなって、その結果、環状オレフィン重合体の熱収縮も大きくなるものと考えられる。
本発明において特に好適に用いうるアルコールの具体例としては、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール(イソアミルアルコール)、3−メチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール(ネオペンチルアルコール)、4−メチル−2−ペンタノール等の炭素数6以下の飽和アルコール;3−ブテン−2−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール等の炭素数6以下の不飽和アルコールを挙げることができる。
多価カルボン酸が脂肪族又は脂環族多価カルボン酸である場合には、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−3−ヘプタノール、3−メチル−4−ヘプタノール、4−メチル−3−ヘプタノール、3、4,4−トリメチル−3−ペンタノール、8−メチル−1−ノナノール、2−メチル−2−ノナノール、2−メチル−2−デカノール等の炭素数がより多いアルコールも好適に使用することができる。
多価カルボン酸が脂肪族又は脂環族多価カルボン酸である場合には、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−3−ヘプタノール、3−メチル−4−ヘプタノール、4−メチル−3−ヘプタノール、3、4,4−トリメチル−3−ペンタノール、8−メチル−1−ノナノール、2−メチル−2−ノナノール、2−メチル−2−デカノール等の炭素数がより多いアルコールも好適に使用することができる。
本発明において好適に用いうる芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステルの具体例としては、フタル酸ジイソブチル、コハク酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル及びマロン酸ジイソプロピルを挙げることができる。
本発明において、芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステルの量は、環状オレフィン重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが必要であり、好ましくは1〜7重量部である。
芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステルの量が上記下限より少ないと、フィルム中の残留溶媒量が多くなり、また、アニール後のフィルムの熱収縮率が大きくなってしまう。
芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステルの量が上記下限より少ないと、フィルム中の残留溶媒量が多くなり、また、アニール後のフィルムの熱収縮率が大きくなってしまう。
本発明において、環状オレフィンと芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステルとを含有してなる溶液を調製するための溶媒は、上述した本発明で用いる芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステル以外の有機化合物であって、両者を溶解するものである限り、特に限定されないが、環状オレフィンの良溶媒であることが好ましい。
その具体例としては、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素;シクロペンタン及びシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;塩化メチレン及びクロロホルム等のハロゲン含有炭化水素;が好ましい。
これらの溶媒のうち、沸点が低いものが好ましく、沸点が200℃以下のものがより好ましく、沸点が170℃以下のものが特に好ましい。また、溶媒としては、融点が25℃未満のものが好ましく、0℃未満のものが特に好ましい。
これらの溶媒は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
その具体例としては、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素;シクロペンタン及びシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;塩化メチレン及びクロロホルム等のハロゲン含有炭化水素;が好ましい。
これらの溶媒のうち、沸点が低いものが好ましく、沸点が200℃以下のものがより好ましく、沸点が170℃以下のものが特に好ましい。また、溶媒としては、融点が25℃未満のものが好ましく、0℃未満のものが特に好ましい。
これらの溶媒は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、環状オレフィン重合体の濃度が0.1〜40重量%となる範囲である。溶媒の量が多すぎると、フィルムの形成に長時間を要し、溶媒の量が少なすぎると、均一なフィルムを形成することが困難となる。
環状オレフィン重合体と芳香族、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステルとの溶液の調製法は特に限定されず、これらを任意の順序で混合すればよい。
混合に用いる機器や、混合の方法も特に限定されない。
混合に用いる機器や、混合の方法も特に限定されない。
本発明において、溶液を流延するための基材は、表面が平滑なものであれば特に限定されない。
その具体例としては、鏡面仕上げした金属製ベルト、樹脂フィルム等を挙げることができる。
溶液を流延するための方法も特に限定されず、溶液をそれ自体の流動性で基材上に展開させる方法や、コンマコーター、ロールコーター、ダイコーター等、通常の塗工用コーターを用いて塗工する方法が挙げられる。これらの方法は、塗工厚や、粘度等の塗工溶液の性状に合わせて適宜選択すればよい。
その具体例としては、鏡面仕上げした金属製ベルト、樹脂フィルム等を挙げることができる。
溶液を流延するための方法も特に限定されず、溶液をそれ自体の流動性で基材上に展開させる方法や、コンマコーター、ロールコーター、ダイコーター等、通常の塗工用コーターを用いて塗工する方法が挙げられる。これらの方法は、塗工厚や、粘度等の塗工溶液の性状に合わせて適宜選択すればよい。
基材上に流延した溶液から、溶媒を揮散させることによりキャストフィルムが形成される。
溶媒の揮散は、自然蒸発に任せてもよいが、適宜、加熱手段を用いてもよい。加熱手段としては、遠赤外線ヒーター、セラミックヒーター、熱風、誘導加熱等が挙げられる。基材に流延した溶液を、気流下において、揮散した溶媒を除去することも好ましい。
加熱の温度も特に限定されないが、通常、40〜250℃であることが好ましい。この温度が高すぎると、均一なフィルムが得られないことがあり、低すぎると、フィルム形成に長時間を要するので好ましくない。
乾燥時間は、通常、1分〜6時間、好ましくは、1分〜1時間である。
溶媒の揮散は、自然蒸発に任せてもよいが、適宜、加熱手段を用いてもよい。加熱手段としては、遠赤外線ヒーター、セラミックヒーター、熱風、誘導加熱等が挙げられる。基材に流延した溶液を、気流下において、揮散した溶媒を除去することも好ましい。
加熱の温度も特に限定されないが、通常、40〜250℃であることが好ましい。この温度が高すぎると、均一なフィルムが得られないことがあり、低すぎると、フィルム形成に長時間を要するので好ましくない。
乾燥時間は、通常、1分〜6時間、好ましくは、1分〜1時間である。
溶液から溶媒が揮散して形成されたフィルムの残留溶媒量が好ましくは3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%となった後、フィルムを基材から剥離する。本発明において、この状態のフィルムを「キャストフィルム」という。なお、キャストフィルムを非加熱で減圧下に置いて、更に溶媒を除去することができる。なお、フィルムを基材から剥離する前に非加熱減圧下に置いて溶媒を揮散させてもよい。
本発明においては、キャストフィルムを窒素気流下、好ましくは100〜300℃、より好ましくは150〜200℃、特に好ましくは170℃で一定時間(20分ないし30分)乾燥させたものを「環状オレフィン重合体フィルム」と記載する。
このようにして得られる環状オレフィン重合体フィルムは、フィルム中の残留溶媒量が100ppm未満である。
このようにして得られる環状オレフィン重合体フィルムは、フィルム中の残留溶媒量が100ppm未満である。
このようにして得られる本発明のフィルムは、種々の成形体の成形材料として有用である。
特に、環状オレフィン重合体としてノルボルネン化合物の付加(共)重合体を用いた場合には、ノルボルネン化合物重合体が本来有する、優れた透明性、耐湿性、耐衝撃性、機械強度、ガスバリアー性、耐薬品性、低吸水性等を維持しつつ、耐熱性、寸法安定性、成形性にも優れたフィルムを得ることができる。
特に、環状オレフィン重合体としてノルボルネン化合物の付加(共)重合体を用いた場合には、ノルボルネン化合物重合体が本来有する、優れた透明性、耐湿性、耐衝撃性、機械強度、ガスバリアー性、耐薬品性、低吸水性等を維持しつつ、耐熱性、寸法安定性、成形性にも優れたフィルムを得ることができる。
本発明のフィルムは、光学材料をはじめとして、各種成形品として広範な分野において有用である。例えば、光ディスク、光ファイバー、光カード、光学レンズ、光学ミラー、導光板、光拡散板、偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散シート、プリズムシート、カラーフィルター用基板、タッチパネル、透明電極基板、CD、MD、DVD等の光学記録基板、TFT用基板、液晶表示基板、有機EL表示基板等や光伝送用導波路、光学レンズ類、封止材等の光学材料;医療用器材;電気絶縁材料;電子部品処理用器材;受光素子用窓透の電子部品用途;窓、機器部品、ハウジング等の構造材料や建材;バンパー、ルームミラー、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、インストルメントパネル等の自動車用器材;スピーカーコーン材、スピーカー用振動素子、電子レンジ容器等の電気用器材;ボトル、リターナブルボトル、哺乳瓶等の食品用容器;ラップ等の包装材料;フィルム、シート等の種々の用途に利用できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、ノルボルネン化合物重合体の特性は、以下の試験法により測定した。
なお、「部」、「%」及び「ppm」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」及び「重量ppm」を表す。
なお、「部」、「%」及び「ppm」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」及び「重量ppm」を表す。
(1)重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)
テトラヒドロフラン又はクロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定する。
(2)重合体の共重合比
1H−NMR測定により求める。
(3)ガラス転移温度(Tg)
アニール後のフィルム(BF)について、動的粘弾性で測定される貯蔵弾性率E’の屈曲点の温度で測定する。動的粘弾性の測定は、粘弾性スペクトロメーター(セイコーインスツルメント社製、商品名「EXSTAR DMS6100」)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が5℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が5.0μmのものを用いて貯蔵弾性率E’の屈曲点の温度を測定する。
(4)ノルボルネン化合物重合体フィルム及びキャストフィルム中の残留溶媒量
ノルボルネン化合物重合体の溶媒溶液を平坦なポリテトラフルオロエチレンシート上に流延し、40℃で15分、空気気流下において溶媒を蒸発させ、膜厚50μmのキャストフィルム(f)を得る。このキャストフィルムを、窒素気流下、170℃で20分乾燥させて、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF)を得る。
このノルボルネン化合物重合体フィルム(AF)を、その作成に使用した溶媒以外の溶媒で溶解した後、ガスクロマトグラフィを用いて定量する。
また、上記キャストフィルムの残留溶媒量も、その作成に使用した溶媒以外の溶媒で溶解した後、ガスクロマトグラフィを用いて定量する。
テトラヒドロフラン又はクロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定する。
(2)重合体の共重合比
1H−NMR測定により求める。
(3)ガラス転移温度(Tg)
アニール後のフィルム(BF)について、動的粘弾性で測定される貯蔵弾性率E’の屈曲点の温度で測定する。動的粘弾性の測定は、粘弾性スペクトロメーター(セイコーインスツルメント社製、商品名「EXSTAR DMS6100」)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が5℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が5.0μmのものを用いて貯蔵弾性率E’の屈曲点の温度を測定する。
(4)ノルボルネン化合物重合体フィルム及びキャストフィルム中の残留溶媒量
ノルボルネン化合物重合体の溶媒溶液を平坦なポリテトラフルオロエチレンシート上に流延し、40℃で15分、空気気流下において溶媒を蒸発させ、膜厚50μmのキャストフィルム(f)を得る。このキャストフィルムを、窒素気流下、170℃で20分乾燥させて、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF)を得る。
このノルボルネン化合物重合体フィルム(AF)を、その作成に使用した溶媒以外の溶媒で溶解した後、ガスクロマトグラフィを用いて定量する。
また、上記キャストフィルムの残留溶媒量も、その作成に使用した溶媒以外の溶媒で溶解した後、ガスクロマトグラフィを用いて定量する。
(5)アニール後のノルボルネン化合物付加重合体フィルム(BF)の熱収縮率
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF)を窒素気流下、240℃で1時間、次いで、大気中、220℃で10分加熱処理(アニール)して、アニール後のノルボルネン化合物付加重合体フィルム(BF)を得る。
このアニール後のフィルム(BF)を縦横100mmのサイズに裁断して試料とする。
25℃において、フィルム(BF)のフィルム端から2mm以上内側の所に、約90mm間隔の2本の標線を描く。この各標線間の距離を測定してX1とする。次に、このアニール後のフィルム(BF)を、大気中、220℃で1時間加熱する。加熱後のフィルムについて、25℃において上記標線間の距離を再び測定してX2とする。
熱収縮率を下式により求める。
熱収縮率(ppm)={(X1−X2)/X1}×1,000,000
なお、上記標線は、10対とし、熱収縮率は、その平均として求める。
(6)ノルボルネン化合物重合体フィルム(BF)の全光線透過率
アニール後のフィルム(BF)について(但し、膜厚は100μmとした)、紫外・可視分光計(JASCO社製、商品名「V−550」)を用いて、波長400〜700nmの範囲で測定する。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF)を窒素気流下、240℃で1時間、次いで、大気中、220℃で10分加熱処理(アニール)して、アニール後のノルボルネン化合物付加重合体フィルム(BF)を得る。
このアニール後のフィルム(BF)を縦横100mmのサイズに裁断して試料とする。
25℃において、フィルム(BF)のフィルム端から2mm以上内側の所に、約90mm間隔の2本の標線を描く。この各標線間の距離を測定してX1とする。次に、このアニール後のフィルム(BF)を、大気中、220℃で1時間加熱する。加熱後のフィルムについて、25℃において上記標線間の距離を再び測定してX2とする。
熱収縮率を下式により求める。
熱収縮率(ppm)={(X1−X2)/X1}×1,000,000
なお、上記標線は、10対とし、熱収縮率は、その平均として求める。
(6)ノルボルネン化合物重合体フィルム(BF)の全光線透過率
アニール後のフィルム(BF)について(但し、膜厚は100μmとした)、紫外・可視分光計(JASCO社製、商品名「V−550」)を用いて、波長400〜700nmの範囲で測定する。
〔参考例1〕
(ノルボルネン化合物付加共重合体(1)の合成)
窒素置換したガラス反応器に、(アリル)パラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド0.77部及びリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート1.14部を入れ、続けてトルエン2部を加え触媒液を調製した。
次いで、窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB;分子量=94)1,650部、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(EtNB;分子量=122)915部、分子量調整剤としてスチレン1,300部及び重合溶媒としてトルエン7,200部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。45℃で4.5時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して共重合体(1)2,462部を得た。
共重合体(1)の数平均分子量(以下、「Mn」と略称することがある。)は140,000、重量平均分子量(以下、「Mw」と略称することがある。)は502,000、共重合体(1)中のNB単位/EtNB単位組成比は71/29(モル/モル)で、ガラス転移温度(Tg)は281℃であった。
(ノルボルネン化合物付加共重合体(1)の合成)
窒素置換したガラス反応器に、(アリル)パラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド0.77部及びリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート1.14部を入れ、続けてトルエン2部を加え触媒液を調製した。
次いで、窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB;分子量=94)1,650部、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(EtNB;分子量=122)915部、分子量調整剤としてスチレン1,300部及び重合溶媒としてトルエン7,200部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。45℃で4.5時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して共重合体(1)2,462部を得た。
共重合体(1)の数平均分子量(以下、「Mn」と略称することがある。)は140,000、重量平均分子量(以下、「Mw」と略称することがある。)は502,000、共重合体(1)中のNB単位/EtNB単位組成比は71/29(モル/モル)で、ガラス転移温度(Tg)は281℃であった。
〔実施例1〕
共重合体(1)の10%トルエン溶液を調製し、酸化防止剤として、それぞれ共重合体に対する比率で、0.5%のオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1.0%のトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、0.3%の3−ヒドロキシ−5,7−ジ−t−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物を、共重合体に添加して溶解させて溶液(a1)を得た。溶液(a1)に、脂肪族ジカルボン酸エステルとして、共重合体に対して5%のコハク酸ジイソプロピルを添加して溶解させた。得られた溶液を平坦なポリテトラフルオロエチレンシート上に流延し、40℃で15分、空気気流下においてトルエンを蒸発させ、膜厚50μmキャストフィルム(f1)を得た。得られたキャストフィルム(f1)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(f1)を、窒素気流下、170℃で20分乾燥させ、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF1)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF1)の残留トルエン量を測定した。結果を表1に示す。
更に、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF1)を、窒素雰囲気下240℃で1時間、更に、空気中220℃で10分間アニール処理を行なった。得られたアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF1)を、空気中220℃で1時間加熱処理し、アニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF1)の熱収縮率を測定した。
また、アニール後のフィルム(BF)の全光線透過率及びガラス転移温度を測定した。結果を表1に示す。
なお、表1中、「<100」は、「100ppm未満」を意味する。
共重合体(1)の10%トルエン溶液を調製し、酸化防止剤として、それぞれ共重合体に対する比率で、0.5%のオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1.0%のトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、0.3%の3−ヒドロキシ−5,7−ジ−t−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物を、共重合体に添加して溶解させて溶液(a1)を得た。溶液(a1)に、脂肪族ジカルボン酸エステルとして、共重合体に対して5%のコハク酸ジイソプロピルを添加して溶解させた。得られた溶液を平坦なポリテトラフルオロエチレンシート上に流延し、40℃で15分、空気気流下においてトルエンを蒸発させ、膜厚50μmキャストフィルム(f1)を得た。得られたキャストフィルム(f1)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(f1)を、窒素気流下、170℃で20分乾燥させ、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF1)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF1)の残留トルエン量を測定した。結果を表1に示す。
更に、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF1)を、窒素雰囲気下240℃で1時間、更に、空気中220℃で10分間アニール処理を行なった。得られたアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF1)を、空気中220℃で1時間加熱処理し、アニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF1)の熱収縮率を測定した。
また、アニール後のフィルム(BF)の全光線透過率及びガラス転移温度を測定した。結果を表1に示す。
なお、表1中、「<100」は、「100ppm未満」を意味する。
〔実施例2〕
コハク酸ジイソプロピルに代えてアジピン酸ジイソプロピルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(f2)を得た。得られたキャストフィルム(f2)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(f2)から、実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF2)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AF2)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF2)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF2)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF2)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
コハク酸ジイソプロピルに代えてアジピン酸ジイソプロピルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(f2)を得た。得られたキャストフィルム(f2)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(f2)から、実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF2)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AF2)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF2)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF2)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF2)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
コハク酸ジイソプロピルに代えてマロン酸ジイソプロピルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(f3)を得た。得られたキャストフィルム(f3)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(f3)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF3)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AF3)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF3)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF3)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF3)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
コハク酸ジイソプロピルに代えてマロン酸ジイソプロピルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(f3)を得た。得られたキャストフィルム(f3)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(f3)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF3)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AF3)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF3)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF3)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF3)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
コハク酸ジイソプロピルに代えてフタル酸ジイソブチルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(f4)を得た。得られたキャストフィルム(f4)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(f4)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF4)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AF4)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF4)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF4)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF4)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
コハク酸ジイソプロピルに代えてフタル酸ジイソブチルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(f4)を得た。得られたキャストフィルム(f4)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(f4)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF4)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AF4)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF4)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AF4)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BF4)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
コハク酸ジイソプロピルに代えてコハク酸ジ−n−ブチルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(fC1)を得た。得られたキャストフィルム(fC1)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(fC1)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC1)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC1)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC1)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC1)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC1)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
コハク酸ジイソプロピルに代えてコハク酸ジ−n−ブチルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(fC1)を得た。得られたキャストフィルム(fC1)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(fC1)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC1)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC1)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC1)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC1)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC1)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
コハク酸ジイソプロピルに代えてアジピン酸ジ−n−ブチルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(fC2)を得た。得られたキャストフィルム(fC2)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(fC2)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC2)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC2)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC2)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC2)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC2)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
コハク酸ジイソプロピルに代えてアジピン酸ジ−n−ブチルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(fC2)を得た。得られたキャストフィルム(fC2)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(fC2)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC2)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC2)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC2)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC2)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC2)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
コハク酸ジイソプロピルに代えてフタル酸ジ−n−オクチルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(fC3)を得た。得られたキャストフィルム(fC3)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(fC3)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC3)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC3)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC3)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC3)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC3)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
コハク酸ジイソプロピルに代えてフタル酸ジ−n−オクチルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(fC3)を得た。得られたキャストフィルム(fC3)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(fC3)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC3)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC3)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC3)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC3)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC3)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
コハク酸ジイソプロピルに代えてアジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)を用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(fC4)を得た。得られたキャストフィルム(fC4)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(fC4)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC4)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC4)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC4)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC4)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC4)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
コハク酸ジイソプロピルに代えてアジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)を用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(fC4)を得た。得られたキャストフィルム(fC4)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(fC4)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC4)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC4)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC4)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC4)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC4)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
〔比較例5〕
コハク酸ジイソプロピルに代えてセバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)を用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(fC5)を得た。得られたキャストフィルム(fC5)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(fC5)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC5)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC5)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC5)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC5)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC5)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
コハク酸ジイソプロピルに代えてセバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)を用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(fC5)を得た。得られたキャストフィルム(fC5)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(fC5)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC5)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC5)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC5)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC5)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC5)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
〔比較例6〕
コハク酸ジイソプロピルに代えてフタル酸ジイソデシルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(fC6)を得た。得られたキャストフィルム(fC6)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(fC6)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC6)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC6)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC6)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC6)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC6)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
コハク酸ジイソプロピルに代えてフタル酸ジイソデシルを用いるほかは、実施例1と同様にして、膜厚50μmのキャストフィルム(fC6)を得た。得られたキャストフィルム(fC6)中の残留トルエン量は約10%であった。
次に、キャストフィルム(fC6)から、窒素気流下170℃での乾燥時間を30分とするほかは実施例1と同様にして、ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC6)を得た。更に、このノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC6)から、実施例1と同様にしてアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC6)を得た。
ノルボルネン化合物重合体フィルム(AFC6)及びアニール後のノルボルネン化合物重合体フィルム(BFC6)について、実施例1と同様の評価をした。結果を表1に示す。
表1より、以下のことが分かる。
炭素主鎖中に第2級又は第3級炭素原子を有さないアルコールから誘導される芳香族又は脂肪族ジカルボン酸エステルを添加した溶液から得られたキャストフィルムを窒素気流下170℃で30分加熱乾燥して得たノルボルネン化合物重合体フィルムは、残留溶媒量が多く、アニール後の熱収縮率も大きいことが分かる(比較例1〜3)。
また、炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有するアルコールではあるが、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が2以上であるアルコールから誘導された芳香族又は脂肪族ジカルボン酸エステルを添加した溶液から得られたキャストフィルムを窒素気流下170℃で30分加熱乾燥して得たノルボルネン化合物重合体フィルムも、残留溶媒量が多く、アニール後の熱収縮率も大きいことが分かる(比較例4〜5)。更に、炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であるアルコールではあるが、全炭素数が9以上のアルコールから誘導された芳香族ジカルボン酸エステルを添加した溶液から得られたキャストフィルムを窒素気流下170℃で30分加熱乾燥して得たノルボルネン化合物重合体フィルムも、残留溶媒量が多く、アニール後の熱収縮率も大きいことが分かる(比較例6)。
これに対して、本発明の要件を満足する多価カルボン酸エステルを添加した溶液から得られたキャストフィルムを窒素気流下170℃で30分加熱乾燥して得たノルボルネン化合物重合体フィルムは、残留溶媒量が100ppm以下と低く、アニール後の加熱時収縮率も500ppm以下と小さい値を示すことが分かる(実施例1〜4)。特に、コハク酸ジイソプロピル又はアジピン酸ジイソプロピルを用いた場合は、窒素気流下170℃での加熱乾燥が20分でも良好な結果が得られることが分かる(実施例1〜2)。
炭素主鎖中に第2級又は第3級炭素原子を有さないアルコールから誘導される芳香族又は脂肪族ジカルボン酸エステルを添加した溶液から得られたキャストフィルムを窒素気流下170℃で30分加熱乾燥して得たノルボルネン化合物重合体フィルムは、残留溶媒量が多く、アニール後の熱収縮率も大きいことが分かる(比較例1〜3)。
また、炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有するアルコールではあるが、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が2以上であるアルコールから誘導された芳香族又は脂肪族ジカルボン酸エステルを添加した溶液から得られたキャストフィルムを窒素気流下170℃で30分加熱乾燥して得たノルボルネン化合物重合体フィルムも、残留溶媒量が多く、アニール後の熱収縮率も大きいことが分かる(比較例4〜5)。更に、炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であるアルコールではあるが、全炭素数が9以上のアルコールから誘導された芳香族ジカルボン酸エステルを添加した溶液から得られたキャストフィルムを窒素気流下170℃で30分加熱乾燥して得たノルボルネン化合物重合体フィルムも、残留溶媒量が多く、アニール後の熱収縮率も大きいことが分かる(比較例6)。
これに対して、本発明の要件を満足する多価カルボン酸エステルを添加した溶液から得られたキャストフィルムを窒素気流下170℃で30分加熱乾燥して得たノルボルネン化合物重合体フィルムは、残留溶媒量が100ppm以下と低く、アニール後の加熱時収縮率も500ppm以下と小さい値を示すことが分かる(実施例1〜4)。特に、コハク酸ジイソプロピル又はアジピン酸ジイソプロピルを用いた場合は、窒素気流下170℃での加熱乾燥が20分でも良好な結果が得られることが分かる(実施例1〜2)。
Claims (5)
- 残留溶媒量が100ppm未満であり、アニール後の熱収縮率が500ppm以下である環状オレフィン重合体フィルム。
- 環状オレフィン重合体が環状オレフィン付加重合体である請求項1に記載の環状オレフィン重合体フィルム。
- 環状オレフィン重合体100重量部、及び、脂肪族又は脂環族多価カルボン酸と炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であるアルコールとから誘導される脂肪族又は脂環族多価カルボン酸エステル0.1〜10重量部を含有してなる溶液を基材に流延し、次いで、これを乾燥することを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン重合体フィルムの作成方法。
- 環状オレフィン重合体100重量部、及び、芳香族多価カルボン酸と炭素主鎖中に少なくとも1つの第2級又は第3級炭素原子を有し、該第2級又は第3級炭素原子に結合している一つの分岐基に含まれる炭素原子の数が1以下であり、全炭素数が9以下であるアルコールとから誘導される芳香族多価カルボン酸エステル0.1〜10重量部を含有してなる溶液を基材に流延し、次いで、これを乾燥することを特徴とする請求項1又は2に記載の環状オレフィン重合体フィルムの作成方法。
- 環状オレフィン重合体が環状オレフィン付加重合体である請求項3又は4に記載の環状オレフィン重合体フィルムの作成方法。
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Cited By (2)
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JP2009138129A (ja) * | 2007-12-07 | 2009-06-25 | Jsr Corp | 環状オレフィン系付加(共)重合体フィルムの製造方法およびそのフィルム |
WO2021132040A1 (ja) * | 2019-12-25 | 2021-07-01 | 日本ゼオン株式会社 | 樹脂組成物及びこれを成形して成る成形物、並びに、樹脂組成物の製造方法 |
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2007
- 2007-03-26 JP JP2007078541A patent/JP2008239668A/ja active Pending
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