JP2008238183A - マグネシウム合金の製造方法およびマグネシウム合金 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストかつ簡単な工程で、結晶粒を微細化し、機械的性質を向上させることができるマグネシウム合金の製造方法およびマグネシウム合金を提供する。
【解決手段】マグネシウムを主成分とした合金、例えば、Mg−Al合金,Mg−RE(ミッシュメタル)合金またはMg−Al−Ti合金の溶湯中に、酸化ホウ素(B2 O3 )を添加したのち、酸化ホウ素が添加された溶湯を冷却し凝固させる。溶湯中で酸化ホウ素が還元されホウ素単体となり合金中の元素と化合物を形成しこの化合物が凝固時の核発生点を形成する。これにより、凝固したマグネシウム合金の結晶粒が微細化される。
【選択図】なし
【解決手段】マグネシウムを主成分とした合金、例えば、Mg−Al合金,Mg−RE(ミッシュメタル)合金またはMg−Al−Ti合金の溶湯中に、酸化ホウ素(B2 O3 )を添加したのち、酸化ホウ素が添加された溶湯を冷却し凝固させる。溶湯中で酸化ホウ素が還元されホウ素単体となり合金中の元素と化合物を形成しこの化合物が凝固時の核発生点を形成する。これにより、凝固したマグネシウム合金の結晶粒が微細化される。
【選択図】なし
Description
本発明は、主成分であるマグネシウム(Mg)と共にアルミニウム(Al),チタン(Ti)またはRE(ミッシュメタル)などを含むマグネシウム合金の製造方法およびマグネシウム合金に関する。
近年、環境・エネルギー問題から高強度で軽量、そしてリサイクル可能な実用金属材料の開発が求められている。この種の金属材料としてマグネシウム合金があり、その結晶粒の微細化は、マグネシウム合金の機械的性質の向上に極めて有効である。このような結晶粒の微細化としては、ジルコニウムを添加する方法が効果的であることが知られている。しかし、ジルコニウムは融点が高いため、これをマグネシウム合金に添加する場合には溶湯を高温に加熱する必要があるなど、プロセス上困難な点があり、ジルコニウムが高価であるという問題がある。そのため添加が容易で、かつ安価な材料を用いたマグネシウム合金の微細化が望まれていた。ジルコニウム以外の添加剤としてはホウ素が知られており、特許文献1にはこのホウ素とマンガンを共存させ、ジルコニウムを含まないことを特徴とした微細化したマグネシウム合金およびその製造方法が開示されている。
特開2000−104136号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、マグネシウム合金中にホウ素とチタン(Ti)とが含まれると逆にマグネシウム合金の結晶粒を粗大化させ、また、マンガンの含有量が1重量%を超えてしまうと逆にマンガンがホウ素を取り込み結晶粒微細化の効果を低減させてしまう、という問題があった。また、微細化の程度も50μmが限界であった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、低コストかつ簡単な工程で、結晶粒を微細化し、機械的性質を向上させることができるマグネシウム合金の製造方法およびマグネシウム合金を提供することにある。
本発明のマグネシウム合金の製造方法は、マグネシウムを主成分とした合金の溶湯中に酸化ホウ素(B2 O3 )を添加する工程と、酸化ホウ素が添加された溶湯を冷却し凝固させる工程とを含むものである。
ここに、本発明のマグネシウム合金とは、マグネシウムを主成分とし、アルミニウム(Al),チタン(Ti)およびRE(ミッシュメタル)からなる群のうち少なくとも1種を含むものであり、マグネシウムの含有量は82質量%〜94質量%の範囲のものをいう。
この製造方法では、溶湯中で酸化ホウ素が還元されホウ素単体となり合金中の元素と化合物を形成しこの化合物が凝固時の核発生点を形成する。これにより、凝固したマグネシウム合金の組織(結晶粒)が微細化される。
酸化ホウ素の添加割合は、例えば、3質量%以上6質量%以下とすることが好ましい。
また、本発明のマグネシウム合金の製造方法は、更に、凝固したマグネシウム合金を熱間押出加工する工程を含むことが好ましい。機械的強度を更に高めることができるからである。
マグネシウムを主成分とした合金としては、例えば、ミッシュメタルを含むもの、または、アルミニウムおよびチタンのうち少なくとも一方を含むものが好ましい。結晶粒微細化の効果を高めることができるからである。
本発明のマグネシウム合金は、マグネシウムを主成分とすると共に、アルミニウム,チタンおよびミッシュメタルからなる群のうちの少なくとも1種と、ホウ素とを含むものである。
このマグネシウム合金では、マグネシウムを主成分とすると共に、アルミニウム,チタンおよびミッシュメタルからなる群のうちの少なくとも1種と、ホウ素とを含むので、結晶粒が微細化され、機械的強度が向上する。
このマグネシウム合金は、例えば、マグネシウムを主成分とし、アルミニウム,チタンおよびミッシュメタルからなる群のうちの少なくとも1種を含む合金の溶湯中に酸化ホウ素を添加したのち、酸化ホウ素が添加された溶湯を冷却し凝固させることにより形成されたものであることが好ましい。
特に、マグネシウムを主成分とすると共に、アルミニウム,チタンおよびおよびホウ素を含むようにすれば、通常はマグネシウムに溶解せずマグネシウム母相に混入している状態のチタンが、マグネシウムに溶解されており、マグネシウム合金の結晶粒が微細化される。
本発明のマグネシウム合金の製造方法によれば、マグネシウム合金の溶湯中に酸化ホウ素を添加するようにしたので、低コストな酸化ホウ素を用いて、簡単な工程により、マグネシウム合金の結晶粒を微細化し、機械的性質を向上させることができる。
特に、凝固したマグネシウム合金を熱間押出加工する工程を含むようにすれば、機械的強度を更に向上させることができる。
本発明のマグネシウム合金によれば、マグネシウムを主成分とすると共に、アルミニウム,チタンおよびミッシュメタルからなる群のうちの少なくとも1種と、ホウ素とを含むようにしたので、マグネシウム合金の結晶粒を微細化し、機械的性質を向上させることができる。
特に、マグネシウムを主成分とすると共に、アルミニウム,チタンおよびおよびホウ素を含むようにしたので、通常はマグネシウム合金の添加元素として使用されないチタンをマグネシウムに溶解させ、結晶粒が微細化され機械的強度に優れたマグネシウム合金を実現することができる。また、チタンの特性である軽量性・強度・耐食性などを活かし、広範な用途への応用を可能とすることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明の一実施の形態に係るマグネシウム合金について説明する。このマグネシウム合金は、例えば、オートバイや自転車のパイプフレームなどに用いられるものであり、マグネシウムを主成分とすると共に、アルミニウム,チタンおよびミッシュメタルからなる群のうちの少なくとも1種と、ホウ素とを含んでいる。これにより、このマグネシウム合金では、結晶粒を微細化し、機械的性質を向上させることができるようになっている。
このマグネシウム合金は、後述するように、マグネシウムを主成分とし、アルミニウム,チタンおよびミッシュメタルからなる群のうちの少なくとも1種を含む合金の溶湯中に酸化ホウ素を添加したのち、酸化ホウ素が添加された溶湯を冷却し凝固させることにより形成されたものである。
特に、マグネシウムを主成分とすると共に、アルミニウム,チタンおよびおよびホウ素を含むことが好ましい。チタンおよびホウ素は、例えば、Ti3 B4 などの化合物として含有される。これにより、本実施の形態では、通常はマグネシウム合金の添加元素として使用されないチタンをマグネシウムに溶解させ、結晶粒が微細化され機械的強度に優れたマグネシウム合金を実現することができるからである。また、チタンの特性である軽量性・強度・耐食性などを活かし、広範な用途への応用を可能とすることができる。
このマグネシウム合金は、例えば、次のようにして製造することができる。
(酸化ホウ素添加)
まず、マグネシウムを主成分とした合金の溶湯中に、酸化ホウ素(B2 O3 )を添加する。具体的には、マグネシウムを主成分とした合金(合金素材)を坩堝等に挿入し、例えば953K〜1053K程度の温度まで加熱することにより合金素材を溶解させる。合金素材が溶解したのち、酸化ホウ素(B2 O3 )の粉末を添加し、攪拌子によって溶湯を攪拌する。その際、例えば、溶湯を953K〜1123K程度の温度まで加熱し、20分間から60分間、500rpmから800rpmで攪拌する。
まず、マグネシウムを主成分とした合金の溶湯中に、酸化ホウ素(B2 O3 )を添加する。具体的には、マグネシウムを主成分とした合金(合金素材)を坩堝等に挿入し、例えば953K〜1053K程度の温度まで加熱することにより合金素材を溶解させる。合金素材が溶解したのち、酸化ホウ素(B2 O3 )の粉末を添加し、攪拌子によって溶湯を攪拌する。その際、例えば、溶湯を953K〜1123K程度の温度まで加熱し、20分間から60分間、500rpmから800rpmで攪拌する。
マグネシウムを主成分とした合金としては、例えば、マグネシウムを主成分とし、アルミニウム(Al),チタン(Ti)およびRE(ミッシュメタル)からなる群のうち少なくとも1種を含むものであり、マグネシウムの含有量は82質量%〜94質量%の範囲のものをいう。具体的には、Mg−Al合金,Mg−RE合金,Mg−Al−Ti合金,Mg−Al−Zn合金が挙げられる。アルミニウム(Al)は固溶強化・硬化のために添加されるものであり、REは析出時効硬化および耐熱強度を上げるために添加されるものである。
酸化ホウ素の添加割合は、例えば、3質量%以上6質量%以下とすることが好ましい。より高い効果を得ることができるからである。
(冷却・凝固)
次いで、この酸化ホウ素が添加された溶湯を冷却し凝固させ、室温の金型に鋳造する。これにより、本実施の形態の製造方法では、マグネシウム合金の結晶粒を微細化し、機械的強度が向上させることができる。
次いで、この酸化ホウ素が添加された溶湯を冷却し凝固させ、室温の金型に鋳造する。これにより、本実施の形態の製造方法では、マグネシウム合金の結晶粒を微細化し、機械的強度が向上させることができる。
この製造方法によるマグネシウム合金の組織微細化のメカニズムは次のように推測される。すなわち、マグネシウムは、酸化物標準生成自由エネルギーが低いので、他の金属酸化物を還元する可能性が十分にある。酸化ホウ素は融点がマグネシウムよりも低く、次式のようにマグネシウム溶湯中で容易に還元されホウ素単体となる。
B2 O3 +3Mg→2B+3MgO
このホウ素がマグネシウム合金中の元素(Mg,Al,RE,Tiなど)と化合物を形成し、これが凝固時の核発生点となるため、凝固したマグネシウム合金の組織の微細化が進行する。
B2 O3 +3Mg→2B+3MgO
このホウ素がマグネシウム合金中の元素(Mg,Al,RE,Tiなど)と化合物を形成し、これが凝固時の核発生点となるため、凝固したマグネシウム合金の組織の微細化が進行する。
(熱間押出加工)
続いて、凝固したマグネシウム合金に対して熱間押出加工を行う。すなわち、マグネシウム合金を熱間にて強圧を加えて、隙間から押し出し、所定の形状に成形する。これにより、マグネシウム合金の共晶組織を破壊し、結晶粒を更に微細化させるとともに、化合物相を均一に分散させることができる。また、マトリクスの強化も考えられる。よって、引っ張り強度等の機械的強度を向上させることができる。
続いて、凝固したマグネシウム合金に対して熱間押出加工を行う。すなわち、マグネシウム合金を熱間にて強圧を加えて、隙間から押し出し、所定の形状に成形する。これにより、マグネシウム合金の共晶組織を破壊し、結晶粒を更に微細化させるとともに、化合物相を均一に分散させることができる。また、マトリクスの強化も考えられる。よって、引っ張り強度等の機械的強度を向上させることができる。
このように本実施の形態のマグネシウム合金の製造方法では、マグネシウム合金の溶湯中に酸化ホウ素を添加するようにしたので、低コストな酸化ホウ素を用いて、簡単な工程により、マグネシウム合金の結晶粒を微細化し、機械的性質を向上させることができる
特に、凝固したマグネシウム合金を熱間押出加工する工程を含むようにしたので、機械的強度を更に向上させることができる。
本実施の形態のマグネシウム合金では、マグネシウムを主成分とすると共に、アルミニウム,チタンおよびホウ素を含むようにしたので、通常はマグネシウム合金の添加元素として使用されないチタンをマグネシウムに溶解させ、結晶粒が微細化され機械的強度に優れたマグネシウム合金を実現することができる。また、チタンの特性である軽量性・強度・耐食性などを活かし、広範な用途への応用を可能とすることができる。
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1,2)
上記実施の形態と同様にしてマグネシウム合金を作製した。その際、マグネシウムを主成分とした合金として、マグネシウムに6%のアルミニウムが含まれるMg−6Al合金を用いた。また、酸化ホウ素の添加割合は、実施例1では3%、実施例2では6%と異ならせた。
上記実施の形態と同様にしてマグネシウム合金を作製した。その際、マグネシウムを主成分とした合金として、マグネシウムに6%のアルミニウムが含まれるMg−6Al合金を用いた。また、酸化ホウ素の添加割合は、実施例1では3%、実施例2では6%と異ならせた。
(比較例1)
比較例1として、酸化ホウ素を添加しないことを除いては実施例1と同様にして、Mg−6Al合金を溶融・冷却および凝固させて鋳造組織を得た。
比較例1として、酸化ホウ素を添加しないことを除いては実施例1と同様にして、Mg−6Al合金を溶融・冷却および凝固させて鋳造組織を得た。
実施例1,2で得られたマグネシウム合金および比較例1で得られた鋳造組織を、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察した。図1、図2、図3はそれぞれ実施例1、実施例2、比較例1の光学顕微鏡による写真である。白色の相がMg17Al12金属化合物(以下、β相という。)である。図1〜図3から分かるように、比較例1ではAl添加だけで結晶粒子は60μmまで微細化したが、実施例1,2では酸化ホウ素(B2 O3 )を添加することでさらに微細化が進行した。
図4、図5、図6はそれぞれ実施例1、実施例2、比較例1の走査型電子顕微鏡による写真である。図4から分かるように、実施例1では粒内にβ相が析出していた。これに対して、酸化ホウ素を添加していない比較例1では粒内析出が起こっておらず、酸化ホウ素を添加することによって粒内に析出核発生サイトが形成されるのではないかと推測される。なお、実施例1,2で得られたマグネシウム合金および比較例1で得られた鋳造組織について、X線による分析およびEDX(Energy Dispersive X-ray Spectrometer;エネルギー分散型X線分析)を行ったところ、X線による分析(図示せず)ではホウ化物MgB2 やAlB2 と思われるピークは観察されず、EDXでも同ホウ化物は検出されていなかった。ただし、粒内析出が起こっていることから何らかのホウ化物があると推測される。
(比較例2〜4)
純粋なマグネシウムに酸化ホウ素を添加したことを除いては、実施例1と同様にして鋳造組織を得た。その際、酸化ホウ素の添加割合を、比較例2では3%、比較例3では6%、比較例4では12%と異ならせた。
純粋なマグネシウムに酸化ホウ素を添加したことを除いては、実施例1と同様にして鋳造組織を得た。その際、酸化ホウ素の添加割合を、比較例2では3%、比較例3では6%、比較例4では12%と異ならせた。
比較例2〜4で得られた鋳造組織を光学顕微鏡で観察した。図7、図8、図9はそれぞれ比較例2、比較例3、比較例4の光学顕微鏡による写真である。いずれの組織写真においても黒い部分は気孔であり、また直線的な線は変形双晶境界である。図7〜図9から、純粋なマグネシウムの鋳造後の結晶粒径は酸化ホウ素(B2 O3 )を添加しても100μmから300μmの範囲に分布し、酸化ホウ素(B2 O3 )添加による結晶微細化効果は全く無いことが分かった。また、X線による分析(図示せず)を行ったところ、ホウ素やホウ化物は全く検出されなかった。
すなわち、マグネシウムを主成分とするMg−Al合金の溶湯中に酸化ホウ素を添加したのち、溶湯を冷却・凝固させることにより、マグネシウム合金の結晶粒を微細化することができることが分かった。
(実施例3,4)
上記実施の形態と同様にしてマグネシウム合金を作製した。その際、マグネシウムを主成分とした合金として、マグネシウムに6%のミッシュメタル(RE:52%Ce、26%La、17%Nd、5%Pr)が含まれるMg−6RE合金を用いた。酸化ホウ素の添加割合は、実施例3では3%、実施例4では6%と異ならせた。
上記実施の形態と同様にしてマグネシウム合金を作製した。その際、マグネシウムを主成分とした合金として、マグネシウムに6%のミッシュメタル(RE:52%Ce、26%La、17%Nd、5%Pr)が含まれるMg−6RE合金を用いた。酸化ホウ素の添加割合は、実施例3では3%、実施例4では6%と異ならせた。
(比較例5)
比較例5として、酸化ホウ素を添加しないことを除いては実施例3と同様にして、Mg−6RE合金を溶融・冷却および凝固させて鋳造組織を得た。
比較例5として、酸化ホウ素を添加しないことを除いては実施例3と同様にして、Mg−6RE合金を溶融・冷却および凝固させて鋳造組織を得た。
実施例3,4で得られたマグネシウム合金および比較例5で得られた鋳造組織を、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察した。図10、図11、図12は実施例3、実施例4、比較例5の光学顕微鏡による写真である。図12から、比較例5では、Mgに6%のREを含んだだけの合金でもかなりの結晶粒微細化を生じ、REもまたAl同様に結晶粒微細化効果が顕著であることが分かった。図10、図11から、実施例3,4では、酸化ホウ素(B2 O3 )の添加量を増加させることにより微細化効果が進行することが分かった。
図13、図14、図15は実施例3、実施例4、比較例5の走査型電子顕微鏡による写真である。図14はデンドライト間の共晶組織を倍率を上げて観測したものである。デンドライト間の組織は共晶組織になっていることが分かった。この相はMgとCe相の中のCeサイトの一部がLaやNdあるいはPrと置換した相との共晶組織であると考えられる。なお、X線による分析(図示せず)およびEDXを行ったところ、ホウ化物の生成を観測することはできなかった。
すなわち、マグネシウムを主成分とするMg−RE合金の溶湯中に酸化ホウ素を添加したのち、溶湯を冷却・凝固させることにより、マグネシウム合金の結晶粒を微細化することができることが分かった。
(実施例5,6)
上記実施の形態と同様にしてマグネシウム合金を作製した。その際、マグネシウムを主成分とした合金として、マグネシウムに9%のアルミニウム、6%のチタンが含まれるMg−9Al−6Ti合金を用いた。酸化ホウ素の添加割合は、実施例5では3%、実施例6では6%と異ならせた。
上記実施の形態と同様にしてマグネシウム合金を作製した。その際、マグネシウムを主成分とした合金として、マグネシウムに9%のアルミニウム、6%のチタンが含まれるMg−9Al−6Ti合金を用いた。酸化ホウ素の添加割合は、実施例5では3%、実施例6では6%と異ならせた。
(比較例6)
比較例6として、酸化ホウ素を添加しないことを除いては実施例5と同様にして、Mg−9Al−6Ti合金を溶融・冷却および凝固させて鋳造組織を得た。
比較例6として、酸化ホウ素を添加しないことを除いては実施例5と同様にして、Mg−9Al−6Ti合金を溶融・冷却および凝固させて鋳造組織を得た。
実施例5,6で得られたマグネシウム合金および比較例6で得られた鋳造組織を、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察した。図16、図17、図18は実施例5、実施例6、比較例6の光学顕微鏡による写真である。図18から分かるように、比較例6ではTi粉末が溶解せずに、Mg母相の中に混入している状態となっていた。これに対して、図16、図17から分かるように、酸化ホウ素(B2 O3 )を添加するとTi粉末は消えてしまっていた。このことから、Ti粉末の表面に存在するTiO2 の酸化物被膜が酸化ホウ素(B2 O3 )によって除去され、Alを含むMg溶湯とTiが原子状態で接触し、TiはまずAlと金属間化合物粒子を生成し、この粒子はMg溶湯中に巻き込まれて行ったことが推測される。なお、X線分析を行ったところ、酸化ホウ素(B2 O3 )を添加した合金ではTi3 B4 、Al3 Tiに関するピークが観測されていることから(図示せず)、これらの相が生成されていると考えられる。また、EDXを行ったところ、Tiのスペクトルが観察された(図示せず)。
すなわち、マグネシウムを主成分とするMg−Al−Ti合金の溶湯中に酸化ホウ素を添加したのち、溶湯を冷却・凝固させることにより、マグネシウム合金の結晶粒を微細化することができることが分かった。
(結晶粒径)
各実施例および比較例で得られたマグネシウム合金および鋳造組織の結晶粒径を調べた。まず、それぞれのインゴットの上部および下部からサンプルを切り出し、サンプル毎に結晶粒径を測定した。図19は結晶粒径の変化をまとめて示したものである。マグネシウム合金の結晶粒微細化にはAl−Ti複合、RE、Alの順で効果が大きいことがわかる。また、これらの合金では酸化ホウ素(B2 O3 )の添加は結晶粒微細化を促進することがわかる。しかし、純粋なマグネシウムに対しては酸化ホウ素(B2 O3 )の添加は効果がなかった。微細化の効果がもっとも大きかったのは、酸化ホウ素(B2 O3 )を添加したAl−Ti複合物であり結晶粒径は15μm程度まで微細化することがわかった。
各実施例および比較例で得られたマグネシウム合金および鋳造組織の結晶粒径を調べた。まず、それぞれのインゴットの上部および下部からサンプルを切り出し、サンプル毎に結晶粒径を測定した。図19は結晶粒径の変化をまとめて示したものである。マグネシウム合金の結晶粒微細化にはAl−Ti複合、RE、Alの順で効果が大きいことがわかる。また、これらの合金では酸化ホウ素(B2 O3 )の添加は結晶粒微細化を促進することがわかる。しかし、純粋なマグネシウムに対しては酸化ホウ素(B2 O3 )の添加は効果がなかった。微細化の効果がもっとも大きかったのは、酸化ホウ素(B2 O3 )を添加したAl−Ti複合物であり結晶粒径は15μm程度まで微細化することがわかった。
(熱間押出加工)
実施例3,5で得られたマグネシウム合金について、上記実施の形態と同様にして熱間押出加工を行った。その際の押出処理としては、押出し比を9.4とし、押出し速度を1mm/sとした。押出し温度は473Kおよび623Kとした。押出処理前および後には、走査型電子顕微鏡による観察を行った。また、押出処理後には、引張試験を行った。
実施例3,5で得られたマグネシウム合金について、上記実施の形態と同様にして熱間押出加工を行った。その際の押出処理としては、押出し比を9.4とし、押出し速度を1mm/sとした。押出し温度は473Kおよび623Kとした。押出処理前および後には、走査型電子顕微鏡による観察を行った。また、押出処理後には、引張試験を行った。
図20は実施例3の押出処理前、図21は実施例3の押出処理後の走査型電子顕微鏡で観察した写真である。観察面は押出し方向に垂直な面である。押出しすることにより、結晶粒径が約1/2以下になり、典型的な共晶組織が破壊され白い相が均一に分散されている。共晶を構成する相はMgとMg12Ce相である。
図22は実施例3の鋳造のままのものおよび押出加工(押出温度473K、623K)をしたものの引張試験の結果である。鋳造のままでの引張り強さは140Mpaであったが、623Kでの押出し後は410MPaまで上昇した。押出温度を473Kに下げると540MPaを示した。工業用材料の中で最高の引張り強さを示す、押出し加工後T5処理したAX80A(実用合金)の340MPaを大幅に上回った。降伏応力では、鋳造のままで約105MPa、623Kでの押出しによって約250MPaに上昇した。また、押出し温度を473Kに下げると270MPaまで増加した。これは、工業用材料の中で最高の降伏応力を示す、押出加工後T5処理したZK60Aの250MPaと同等以上の応力であった。伸びにおいては押出加工により前記AZ80A、ZK60Aの4%と匹敵する5%の伸びを示した。
図23は実施例5の押出処理前、図24は実施例5の押出処理後の走査型電子顕微鏡で観察した写真である。図24から分かるように、押出しすることによりMg−RE合金と同様に、結晶粒径が約1/2以下になり、典型的な共晶組織が破壊され、1μm以下のβ相である白い相が均一に分散されている。
図25は実施例5の鋳造のままのものおよび押出加工(押出温度473K、573K)をしたものの引張試験の結果である。鋳造のままでの引張り強さは170Mpaであるが、573Kでの押出しは340MPaまで上昇した。押出し温度を473Kに下げると460MPaを示した。Mg−RE合金と比較すると、引張り強さは若干小さかった。降伏応力では鋳造のままで約105MPa、523Kでの押出しによって約280MPaに上昇した。また、押出し温度を473Kに下げると270MPaとなりやや低下した。降伏応力はMg−RE合金と比較すると、若干大きくなった。伸びは約5%であり、Mg−RE合金と同程度であった。ホウ素添加のMg−Al−Ti合金も押出加工により、上述の実用合金AZ80A、ZK60Aと同等以上の機械的性質が示された。
押出加工により強度が上昇した理由は、詳しくは解明されていないが、結晶粒が微細化したことで共晶中の化合物相が均一に分散したためだと推測される。
すなわち、凝固したマグネシウム合金を熱間押出加工する工程を含むようにすれば、機械的強度を更に向上させることができることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形することができる。
Claims (8)
- マグネシウムを主成分とした合金の溶湯中に酸化ホウ素(B2 O3 )を添加する工程と、
前記酸化ホウ素が添加された溶湯を冷却し凝固させる工程と
を含むことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。 - 前記酸化ホウ素の添加割合を3質量%以上6質量%以下とする
ことを特徴とする請求項1記載のマグネシウム合金の製造方法。 - 前記凝固したマグネシウム合金を熱間押出加工する工程を含む
ことを特徴とする請求項1または2記載のマグネシウム合金の製造方法。 - 前記マグネシウムを主成分とした合金は、ミッシュメタルを含む
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金の製造方法。 - 前記マグネシウムを主成分とした合金は、アルミニウムおよびチタンを含む
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金の製造方法。 - マグネシウムを主成分とすると共に、アルミニウム,チタンおよびミッシュメタルからなる群のうちの少なくとも1種と、ホウ素とを含む
ことを特徴とするマグネシウム合金。 - マグネシウムを主成分とし、アルミニウム,チタンおよびミッシュメタルからなる群のうちの少なくとも1種を含む合金の溶湯中に酸化ホウ素を添加したのち、前記酸化ホウ素が添加された溶湯を冷却し凝固させることにより形成された
ことを特徴とする請求項6記載のマグネシウム合金。 - マグネシウムを主成分とすると共に、アルミニウム,チタンおよびホウ素を含む
ことを特徴とする請求項6または7記載のマグネシウム合金。
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