JP2008237391A - 使い捨ておむつ - Google Patents

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Abstract

【課題】吸収パッドの使用に適する使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】前身頃及び後身頃の少なくとも一方の使用面に幅方向に延在するフラップ部を有し、フラップ部と表面構成シートとで形成されるポケットを有し、前記フラップ部のポケット内面側又は表面構成シートのフラップ部対面位置の少なくとも何れか一方に、補助吸収性物品を止着するための止着部を有し、この止着部と対面する位置に、止着部と着脱自在に仮接着する仮止部を有する使い捨ておむつにより解決される。
【選択図】図1

Description

本発明は、使い捨ておむつに関する。特に、吸収パッド等の補助吸収性物品の併用に適した使い捨ておむつに関する。
紙おむつを使用するにあたって、軽い尿漏れなど少量の排尿時における、紙おむつ全体の取替え回数を減じ、利便性を向上させる目的で、吸収パッドや失禁パッド等の補助吸収性物品を併用することが多々ある(特許文献1〜3参照)。
従来、このような補助吸収性物品と紙おむつとの止着機構は、補助吸収性物品の肌非当接面等に設けられた粘着手段、メカニカルファスナー等の係合手段を、紙おむつの肌当接面に止着することにより行われていた(例えば、下記特許文献1〜2)。
特開2004−261332 特開2002−200105 特開平9−75390
しかしながら、従来の構成では、
1.補助吸収性物品の交換を繰り返すと、紙おむつの肌当接面に毛羽立ちが生じ、着用感や吸収性が低下することがある、
2.補助吸収性物品が所望の位置に適切に止着できない場合がある、
3.補助吸収性物品の止着部が、紙おむつの意図しない部位に止着してしまうおそれがある。
4.止着後に補助吸収性物品がずれることがある、といった欠点があった。
上記特許文献3には、紙おむつの前後領域に吊持片を設けてこれに補助吸収性物品を止着することで、肌当接面に直接に接着しないようにしたものが開示されているが、特許文献3のものは、補助吸収性物品を使用しない際に吊持片が自由な状態となり、吊持片に形成された止着部によって、肌当接面が毛羽立たされるおそれや、肌に直接触れて装着感を悪化させるおそれがあり、根本的な解決に至っていなかった。
そこで、本発明の主たる課題は、上記従来製品の問題点を解決した紙おむつ等の吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決した本発明及びその作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
前身頃と後身頃とが股間部を介して連接されている使い捨ておむつであって、
前身頃及び後身頃の少なくとも一方の使用面に幅方向に延在するフラップ部を有し、
フラップ部と表面構成シートとで形成されるポケットを有し、
前記フラップ部のポケット内面側又は表面構成シートのフラップ部対面位置の少なくとも何れか一方に、補助吸収性物品を止着するための止着部を有し、
この止着部と対面する位置に、止着部と着脱自在に仮接着する仮止部を有する、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
(作用効果)
本発明は、使い捨ておむつのポケット内に補助吸収性物品の止着部があるため、対象とする補助吸収性物品の裏面に止着部を形成したり、補助吸収性物品裏面の止着部を用いたりする必要がなくなる。
そして、この止着部は、肌当接面に直接的に露出していない。従って、補助吸収性物品不使用時に、止着部が肌にあたって不快に感じることがないし、また、補助吸収性物品の複数回の着脱によって、止着部に毛羽立ちが生じることがあっても、本発明ではかかる毛羽立ちが肌に当たることがない。本発明の使い捨ておむつは、補助吸収性物品の不使用、複数回使用による肌触り感の低下がない。
一方、肌当接面側にフラップ部が明確に存在するため、補助吸収性物品を確実に適当位置に止着することができる。また、ポケット内に補助吸収性物品の一部が収まる態様となるため、補助吸収性物品のズレも防止される。
仮止部と止着部とを仮接着することでポケット部の封をすることができ、フラップ部の動きを制限することができる。フラップ部が不要にめくれたりすることがなく、ハンドリング性に優れる。
さらには、特に、止着部を表面構成シートのみに配した場合には、止着部がフラップシートで被覆されて肌に直接触れないうえに、肌から遠い位置となるため、止着部材の硬さ、段差、粘着剤や接着剤等の化学物質による肌への影響が小さくなり、肌に優しい効果がより顕著なものとなる。
また、特に、止着部をフラップ部のポケット内面側のみに設けた場合には、吸収パッドが体の動きに追随し易くなる効果を奏する。従来の吸収パッドの裏面に止着部を設けた構成では、使い捨ておむつと吸収パッドのズレは防止できても、装着者と吸収パッドのズレが防止できずモレの原因となっていた。しかし、本構成では、肌に近い部分で止着できるとともに、フラップ部の動きの自由性により、吸収パッドが体の動きに追随し易く、特に、おむつ長手方向への力に追随し易くなり、仰臥位から座位又は座位から仰臥位への体位変化時や、歩行持等の動作が大きいとき発止し易くなる鼠径部からの漏れを、より効果的に防止できるようになる。
<請求項2記載の発明>
使い捨ておむつは、幅方向両側部に長手方向に沿って配される一対の起立カフスを有し、
この起立カフスの前後方向両端部が、フラップ部と重なる位置にあるか、又はフラップ部と一体となっている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
起立カフスとフラップ部とが一体となっているので、前後左右が囲まれたカフスが肌当接面に形成されるため漏れ防止効果が高まる。
<請求項3記載の発明>
フラップ部のポケット開口側縁は、ポケット部底側に向かって円弧状に湾曲している請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
補助吸収性物品の縁部を挿入しやすくなり、補助吸収性物品の取り付けが容易となる。
<請求項4記載の発明>
フラップ部の開口縁の長さは、ポケット部の幅よりも長い、請求項1〜3の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
仮接着解除時に開口縁が表面構成シートから離間するため、補助吸収性物品の縁部を挿入しやすくなり、補助吸収性物品の取り付けが容易となる。
<請求項5記載の発明>
フラップ部は、幅方向に延在する弾性伸縮部材が開口縁近傍に配されている、請求項1〜4の何れか1項の使い捨ておむつ。
(作用効果)
弾性伸縮部材の作用により、開口縁が表面構成シートから離間しやすくなり、もって補助吸収性物品の縁部を挿入しやすくなり、補助吸収性物品の脱着が容易となる。
<請求項6記載の発明>
前記止着部と仮止部とが、雄雌一対のメカニカルファスナーで構成されている、請求項1〜5の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
製造が容易となるとともに、仮接着、再剥離の繰り返しによる仮接着力の低下がない。
<請求項7記載の発明>
前記止着部が粘着性を有するものであり、仮止部が止着部の粘着性に対して剥離性をもって接着可能な離型処理部又はフィルムシート部である、請求項1〜6の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
製造が容易となるとともに、仮接着、再剥離の繰り返しによる仮接着力の低下がない。また、開口縁が表面構成シートから離間しやすくなり、もって補助吸収性物品の縁部を挿入しやすくなり、補助吸収性物品の脱着が容易となる。
本発明によれば、補助吸収性物品の交換の繰り返しによる、紙おむつの肌当接面に毛羽立ち、着用感や吸収性の低下、補助吸収性物品が所望の位置に適切に止着できないおそれ、補助吸収性物品の止着部が紙おむつの意図しない部位に止着してしまうおそれ、止着後の補助吸収性物品のずれ、といった従来欠点が改善された使い捨ておむつが提供される。
次いで、本発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に詳述する。
『第1の実施の形態』
第1の実施の形態に係る使い捨ておむつX1を図1〜5に示す。なお、図1〜3が本形態の基本例であり、図4〜5は、フラップ部のバリエーション例である。以下、基本例を主に説明しつつ、フラップ部のバリエーションについても言及する。
(基本例)
本形態の使い捨ておむつX1は、図1に示されるとおり、着用時に着用者の腹側に位置する前見頃F、背側に位置する後身頃B、及び前身頃Fと後身頃Bとの間に位置する股間部Mを有するおむつ本体Z、及びおむつ本体Zの後身頃Bの左右両側縁部に連設された左右一対の係止片4,4を備えるいわゆるテープ式の使い捨ておむつX1である。
本形態では、前記係止片4,4は、不織布シートにメカニカルファスナーの雄材シート41,41を接着して形成され、これら係止片4,4が係止される係止部(図示しない)は、前身頃Fの外面側に接着されたメカニカルファスナーの雌材シートにより形成されている。
なお、係止片4,4及びこれが係止される係止部の構成は、既知のテープ式使い捨ておむつに用いられる構成を適宜選択し得る。
おむつ本体Zは、表面を構成する透液性表面シート1と、裏面を構成する不透液性裏面シート2との間に、吸収体3が介在された層構造を有し、前記透液性表面シート1及び不透液裏面シート2の前後端部及び両側部が前記吸収体3よりも外方に延出されているとともに、これら延出した部位において両シートが接合されて形成されている。接合の方法は、特に限定されない。既知の方法による。例えば、ホットメルト接着、超音波シール、ヒートシール(熱融着)、ヒートプレス(熱圧着)又はこれらの組み合わせによることができる。
他方、おむつ本体Zの平面外形は、図示されるとおり、両側の前後方向中央部が凹欠されて幅方向中央に湾曲する脚周り縁EL,ELが形成されているとともに、この脚周り縁EL,ELより前後方向縁側に、両側脚周り縁EL,EL間よりも幅広の腹側胴回り部、背側胴回り部が形成された略砂時計型の平面外形をなす。
本形態では、吸収体3もまたおむつ本体Zと同様に、両側の前後方向中央部が凹欠された平面外形をなしており、脚周り部へのフィット性が高められている。
おむつ本体Zの幅方向両側部には、前後方向に沿って、脚周り弾性伸縮部材6,6…が伸張状態で固定されている。本形態では、脚周り弾性伸縮部材6,6…は、表裏面シート間に配されており、いわゆる平面ギャザーを構成するように配されている。脚周り弾性伸縮部材の固定は、隣接する適宜のシートに対してホットメルト接着剤などを用いて行うことができる。
脚周り弾性伸縮部材6,6…は、脚周り縁EL,ELに沿って、若干、おむつ本体Zの幅方向中心側に向かって湾曲した形状となるように配されており、各端は脚周り縁EL,ELよりも概ね0〜50mm程度前後方向縁側に位置している。
図からも明らかなとおり、脚周り弾性伸縮部材6,6…は複数本配することができ、その場合の本数は2〜8本程度とするのがよい。また、隣接する脚周り弾性伸縮部材の間隔は4〜10mmとするのがよい。
脚周り弾性伸縮部材6,6…の存在によって、装着時に脚周り縁部が肌当接面側に弾性伸縮性をもって押し上げられ、効果的に装着者の脚周りにフィットする。
他方、おむつ本体Zは、前身頃F及び後身頃Bの各身頃において、股間部M側を開口させた三方閉塞の状態で、略長方形状のフラップシート5が透液性表面シート1に接合されており(フラップシートの接合部は図中5cと表す)、前後各身頃F,Bの肌当接面側に、前記フラップシート5の自由部分(フラップ部5F)と透液性表面シート1とで、補助吸収性物品の縁部が挿入されるポケットPが形成されている。
フラップシート5は透液性であっても不透液性であってもよいが、好適には透液性を示すものである。
フラップシート5の透液性表面シート1への接合は、既知の方法による。例えば、上記掲げたホットメルト接着、超音波シール、ヒートシール(熱融着)、ヒートプレス(熱圧着)又はこれらの組み合わせによることができる。
フラップ部5Fにより形成されるポケットPの位置は、おむつ本体Zの大きさによらず、おむつ本体Zの長手方向縁Eからポケット底側縁までの距離L1が0〜40cmの範囲とするのがよい。また、ポケットの幅L3は、おむつ本体幅の20%以上程度とするのがよく、深さL2は2〜10%程度とするのがよい。ただし、前後身頃で同一距離にする必要はない。このような位置、及び大きさとすると、吸収パッド等の補助吸収性物品の一部を確実にポケットP内に収めやすいものとなり、また補助吸収性物品不使用時に、背漏れ防止、腹漏れ防止の効果が得られる。
一方、フラップ部5Fの内面側(ポケット部側)には、補助吸収性物品に対して止着性を有する止着部7が設けられている。
止着部7は、フラップ部5Fの当該位置に補助吸収性物品を交換可能に止着し得る、機械的係合性、粘着性、接着性等を有する部分であり、具体的構成は、対象とする補助吸収性物品の外装素材等に応じて適当に設計することができる。一般的な補助吸収性物品に対して、広く汎用的に用いることが可能であることから、粘着剤塗布・塗工、メカニカルファスナーの雄材・雌材シート、粘着シートの配設などにより形成するのがよい。
この止着部7は、フラップ部5F内面の全体に形成してもよいし、点在的に形成してもよいし、開口縁に沿って線状に形成してもよい。止着部の形状については特に限定されない。
他方、透液性表面シート1の少なくとも前記止着部7と対面する部位には、前記止着部7と着脱自在に仮接着する仮止部8が設けられている。
仮止部8の具体的構成は、止着部7との関係で適宜定められる。例えば、止着部7を、メカニカルファスナーの雄材シートを配して構成されたものであれば、当該雄材に着脱自在に係合し得るメカニカルファスナーの雌材シートを配して構成される。止着部7が粘着剤の塗布・塗工や粘着シートの配設により構成されたものであれば、当該粘着剤に対する離型性を有する離型処理剤の塗布・塗工、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シリコンフィルム等のフィルムシートの配設によって構成される。
該当位置に離型処理剤を塗布・塗工する等して行う場合、用いる離型処理剤は、止着部を構成する粘着剤との関係を考慮しつつ、吸収性物品用途に用いられている既知の離型処理剤の中から適宜選択して用いればよい。シリコン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素化合物等を主成分とするものが例示できる。
止着部7と仮止部8との剥離強度は、0.5〜5N/25mm程度に設計するのが望ましい。
(バリエーション例)
ここで、フラップ部5F等の構成について基本例以外のいくつかのバリエーションを例示する。まず、止着部7と仮止部8の位置は基本例と逆の構成であってもよい。すなわち、基本例では、フラップ部5F内面に止着部7、これに対向する部位に仮止部8を配しているが、透液性表面シート1のポケットP内面に止着部7、これに対面するフラップ部5Fの適当部位に仮止部8を配する構成とすることができる。フラップ部5F、透液性表面シート1のどちらに止着部7、仮止部8を設けるかは適宜の設計事項である。
また、フラップ部5Fと透液性表面シート1の双方が、それぞれ止着部7と仮止部とを有する構成とするこができる。すなわち、フラップ部5Fの内面の異なる位置に、止着部7と仮止部8とを配し、それらに対面する透液性表面シート1の位置に、対応する仮止部8と止着部7とを配する構成とすることもできる。
透液性表面シート1側に粘着性の止着部7を設ける場合には、これに離型性を示す各種フィルムシートをフラップシート5として用いることで、フラップシート5自体に仮止性を発揮させるように構成することができる。この場合は、フラップシート5のポケット内面全体が仮止部8となる。
フラップ部5Fの開口縁5eの形状は、基本例ではおむつ本体部Zの幅方向に対して平行となるように直線的な形状としているが、図4に、そのフラップ部5Fの形状が示される例のように、ポケット部底Pb側に向かって円弧状に湾曲するような開口縁形状とすることができる。このフラップ部5Fの例では、基本例よりも補助吸収性物品の一部をポケットP内により挿入しやすくなる。
フラップ部5Fの開口縁5e近傍には、図5に示される例のように、フラップ部起ち上げ用の弾性伸縮部材5gを伸長状態で配することができる。フラップ部起ち上げ用の弾性伸縮部材5gは、図示例のように1本に限らず、複数本とすることができ、長さも適宜の長さとすることができる。また、フラップ部5Fの開口縁5eの長さは、ポケット部の幅よりも長く構成することができる。これらの例では、フラップ部5Fの開口縁5eが透液性表面シート1から離間しやすくなる。従って、補助吸収性物品の脱着操作がよりしやすくなるほか、例えば、透液性表面シート1側に止着部を形成した場合、補助吸収性物品止着時においても、その補助吸収性物品の肌当接面からフラップ部が離間して浮きやすく、もって補助吸収性物品使用時における背漏れ、腹漏れ防止効果が得られる。
他方、基本例では、透液性表面シート1に対して別体のフラップシート5を接合してフラップ部5Fを形成しているが、例えば、図6に後身頃側の一部縦断面図が示される例のように、透液性トップシート1の縁部を折り返してフラップ部5F及びポケットPを形成することができる。
(構成素材)
次いで、本形態の使い捨ておむつを構成する素材等にも説明する。
まず、前記透液性表面シート1は、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等の糸を平織り等したネット状のシート素材、多数の透孔を形成したフィルムシート材、ポリエチレンやポリプロピレン等のフィルムシート材、透液性を有する織布、不織布が適し、特に不織布が適する。不織布としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を繊維素材として、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって加工したものを用い得る。
SMS不織布、ポイントボンド不織布あるいは、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムや、プラスチックフィルムと不織布とをラミネートしたラミネート不織布など層構造の不織布も用い得る。
不透液性裏面シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等の既知の樹脂シート、特には、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂中に無機充填剤を混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性の樹脂シートが好適に用いられる。不透液性裏面シート2は、肌触り性向上のために樹脂性シートの外面に不織布等からなる外装シートを積層したものが特に好適である。外装シートに用いうる不織布シートは、上記透液性表面シート1に用いられるのと同様である。
フラップシート5は、上記透液性表面シート1又は不透液性裏面シート2のシート素材として掲げたものの中から適宜選択して用いることができる。透液性にするか不透液性にするかは、適宜の設計事項である。
吸収体3は、積繊パルプ、不織布などの繊維内に吸収性ポリマーを散在させた吸収コアをクレープ紙、不織布シート、孔開きシート等の透液性シートによって包皮して構成することができる。
高吸収性ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸およびその塩類、アクリル酸塩重合体架橋物、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリオキシエチレン架橋物、カルボキシメチルセルロース架橋物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水膨欄性ポリマーを部分架橋したもの、あるいはイソブチレンとマレイン酸との共重合体等が好適に用いられる。製品の吸湿によるブロッキング性を抑制するためにブロッキング防止剤が添加されたものも用いることができる。また高吸収性ポリマーとしては、粉体状、粒子状、顆粒状、ペレット状、ゾル状、サスペンジョン状、ゲル状、フィルム状、不織布状等のさまざまな形態をもったものがあるが、これらはいずれも本発明において使用可能であり、特に粒子状のものが好適に使用される。
脚周り弾性伸縮部材6、フラップ部持ち上げ用弾性伸縮部材5gは、代表的に糸ゴムが用いられる。糸ゴムとしては、合成ゴム又は天然ゴムからなるもの、天然ゴムを主成分とするものが適する。糸ゴム以外に、一般的によく知られたエラストマー樹脂を含む、糸状、紐状、帯状、網状、フォーム状等に成形(成型)された、ゴム弾性を有する材料を用いることができる。
弾性伸縮部材6,5gの固定、各シート1,2,5の接合に用いるホットメルト接着剤は、この種の使い捨ておむつに用いられている既知のものが使用可能である。例えば、スチレン系ブロック共重合体やポリウレタン系ブロック共重合体、ポリエステル系ブロック共重合体、ポリアミド系ブロック共重合体、共重合体ブレンドのベースポリマーと、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、キシレン樹脂およびエラストマー等の常温時固体の接着性付与成分と、ワックス類などの可塑剤成分と、酸化防止剤を構成成分として少なくとも含むものが好適である。
『第2の実施の形態』
次いで、第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態の使い捨ておむつX2は、図7〜8に示されるとおり、着用時に着用者の肌側に起立する起立カフス14,14を有するテープ式の使い捨ておむつX2である。
起立カフス14,14及び起立カフス14,14とフラップ部5Fとの関係以外の構成については、バリエーション例、構成素材も含め第1の実施の形態X1と同様の構成とすることができる。
この使い捨ておむつX2の起立カフス14,14は、起立カフス用シート40,40と起立用弾性伸縮部材23,23とにより主に構成されている。
起立カフス用シート40,40は、透液性表面シート1の所定位置に固着始端14sを有し、この固着始端14sから不透液性シート2との接合縁方向に向かって、幅方向外方部分が適宜非剥離性の接着剤などによって固着されている。この固着始端14sが起立カフス14の起端線14sを形成する。
一方の先端側は、内面側に短く折り重ねて2重にされ、二本の持ち上げ用弾性伸縮部材23,23が接着剤などにより固着した状態で包まれて先端部を形成している。
起立カフス用シート40の前後端部は、自由部分の先端が物品の幅方向中央側に向かう状態で透液性表面シート1表面に固定されている。
起立カフス14を形成する起立カフス用シート40は、透液性でなく不透液性もしくは疎水性であるのが望ましい。また、透液性シートに対してシリコン処理などにより液体をはじく性質となるようにしてもよい。積層シートを採用することもできる。なお、起立カフス用シートの具体的な素材は、前述の透液性表面シート1又は不透液性裏面シート2の素材と同様のものを用いることができる。
持ち上げ用弾性伸縮部材23の素材は、脚周り弾性伸縮部材として掲げた糸ゴム等を用いることができる。ただし、持ち上げ用弾性伸縮部材は、太さが400dtex以上、特に好適には500〜1200dtexのものであり。150〜300%、特に好適には200〜250%の伸張状態で起立シートに固定するのがよい。
なお、起立カフス14,14の具体的構成や配設形態は、限定されることなく、本発明を妨げない範囲で既知の起立カフスの構成を適宜採用しうる。
一方、使い捨ておむつX2は、前身頃F及び後身頃Bの各身頃それぞれに、フラップシート5が股間部側を開口させた三方閉塞の状態で接合され、前後各身頃にフラップシートの自由部分(フラップ部5F)によりポケットPが形成されている。
本形態の使い捨ておむつX2では、少なくともフラップシート5の幅方向縁部が、起立カフス14の起立線14sを超えた位置で起立カフス用シート40に対して固着されており、フラップシート5の自由部分(フラップ部5F)が、少なくとも起立カフス14の起立可能部分を被覆している。すなわち、フラップ部5Fと起立カフス14とは一部重なる部分を有する。
この重なる部分においては、フラップシート5と起立カフス用シート40とが接着されているか否かは特に限定されない。いずれの構成も採りうる。
本形態の使い捨ておむつX2では、起立カフス14,14の持ち上げ用弾性伸縮部材23,23の作用による起立カフス14,14の起ち上がりにともなって、フラップ部5Fも透液性表面シート1から離間するように浮くように作用する。従って、補助吸収性物品の装着が容易となる。
本形態のバリエーション例として、例えば、フラップ部と起立カフスの積層関係が上記例と逆の例が挙げられる。すなわち、起立カフスの前後端部がポケット部よりも肌当接面側に位置して重なる構造を有する例である。また、図9のように、起立カフス14,14とフラップ部5Fとが一体のシート45により構成した例が挙げられる。
『第3の実施の形態』
次いで、第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態の使い捨ておむつX3は、図10又は図11に示されるとおり、前身頃F、後身頃Bの何れか一方にのみ、ポケットPが形成されているテープ式の使い捨ておむつである。
本形態においても、第1の実施の形態で述べたような、フラップ部5Fのバリエーション例を採用することができ、また、図示はしないが第2の実施の形態のように起立カフスを有するものとすることができる。本形態のその他の構成、素材については、第1の実施の形態と同様とすることができる。
『第4の実施の形態』
次いで、第4の実施の形態を説明する。第4の実施の形態の使い捨ておむつX4は、パンツ型の使い捨ておむつの形態である。
このパンツ型使い捨ておむつX4は、図12及び13からも理解されるように、不透液性の外装シート10と、この外装シート10内面に固定され、長手方向の中間から縦方向(前後方向)に延在する吸収要素30と、フラップシート5とから主に構成されている。
外装シート10上に吸収要素30を重ね合わせて取り付けた後の製造工程の最終段階で、前身頃Fと後身頃Bとの両側縁部の長手方向全体を超音波シールや熱溶融などの手段により接合され(この接合部を符号10Eとしてある)、特に図13に示すようにウエスト開口部WOおよび左右一対のレッグ開口部LOが形成されたおむつ形状とされている。
前記外装シート10は2枚(または3枚以上でも良い)の通気・撥水性の不織布を積層固定してなる。適宜、胴回り弾性伸縮部材9,9等が配されていてもよい。フィット性を高めるための外装シート10への弾性伸縮部材の配設は、既知の技術を用いることができる。
吸収要素30は、透液性トップシート11と不透液性バックシート12との間に吸収体3が介在された構造をなしている。
透液性トップシート11、不透液性バックシート12は、それぞれ第1の実施の形態における透液性表面シート1、不透液性裏面シート2に利用可能な素材として挙げた素材が利用できる。
吸収体3も第1の実施の形態における吸収体3と同様の素材を利用できる。
本形態の使い捨ておむつX4も、前後各身頃の肌当接面側にフラップシート5が配され、このフラップシート5の自由部(フラップ部5F)により、ポケットPが形成されているが、本形態のおむつX4では、フラップシート5が吸収要素30の長手方向縁部を被覆するように配され、吸収要素30の幅方向及び前後方向の縁を超えた位置で外装シート10に対して固定されている。
止着部7及び仮止部8はフラップ部5F及びこれに対抗する吸収要素30のそれぞれに配されている。止着部7と仮止部8をいずれに配するかは適宜の設計事項である。
フラップ部5Fの構成については、第1の実施の形態で述べた例をバリエーション例として採用することができる。また、本形態においても、第2の実施の形態のように起立カフスを設ける構成をとってもよいし、第3の実施の形態のように前身頃の何れかのみにフラップシートを配する構成をとることができる。
止着部7や仮止部8の具体的構成等、パンツ型構造とするにあたっての相違以外の点、例えば構成素材等については、第1の実施の形態と同様の構成とすることができる。
『第5の実施の形態』
次いで、第5の実施の形態を説明する。第5の実施の形態は、フラップ部5Fが吸収要素30に一体的に設けられている、使い捨ておむつX5である。
本形態の使い捨ておむつX5は、図14及び15に示されるように、不透液性の外装シート10と、この外装シート10内面に固定され、股間下を中心として縦方向(前後方向)に延在する吸収要素30とから主に構成されている。
本形態の吸収要素30は、透液性トップシート11と不透液性バックシート12との間に吸収体3が介在されているとともに、さらに不透液性バックシート12にフラップシート5が積層され、そのフラップシート5が長手方向前後端縁で透液性トップシート11上に折り返され、幅方向側部が透液性トップシート11上に接着されてなる、フラップ部5Fを有する。
図示はしないが、透液性トップシート11よりも幅広のフラップシート5を用いているのであれば、折り返し部においてフラップシート5の重なった部分で接合してもよい。
吸収要素30及びフラップシート5の配設形態以外のその他の構成については、第4の実施の形態と同様に構成することができる。例えば、透液性トップシート11に粘着性止着部を配するとともに、フラップシート5を当該粘着性に対して剥離性を有するシートにより形成することも可能である。
以上説明の本発明は、テープ式、パンツ型の使い捨ておむつの他、補助吸収性物品を止着して使用する吸収性物品に利用可能である。
第1の実施の形態のテープ式使い捨ておむつの平面図である。 そのII−II断面図である。 図1のIII−III断面図である。 フラップ縁の形状例を示す平面図である。 フラップ部の他の例を示す平面図である。 フラップ部の別の例を示す断面図である。 第2の実施の形態のテープ式使い捨ておむつの平面図である。 そのIIIV−IIIV断面図である。 第2の実施の形態の別の例のテープ式使い捨ておむつの平面図である。 第3の実施の形態のテープ式使い捨ておむつの平面図である。 第3の実施の形態の別の例のテープ式使い捨ておむつの平面図である。 第4の実施の形態のパンツ型使い捨ておむつの展開図である。 第4の実施の形態のパンツ型使い捨ておむつの斜視図である。 第5の実施の形態のパンツ型おむつの展開図である。 第5の実施の形態のパンツ型おむつの一部断面図である。
符号の説明
1…透液性表面シート、2…不透液性裏面シート、3…吸収体、4…係止片、5…フラップシート、5F…フラップ部、5e…フラップ部開口縁、5g…フラップ部持ち上げ用弾性伸縮部材、P…ポケット、6…脚周り弾性伸縮部材、7…止着部、8…仮止部、10…外装シート、30…吸収要素、14…起立カフス、14s…固着始端(起立線)、23…起立カフス持ち上げ用弾性伸縮部材、40…起立カフス用シート、45…起立カフス兼フラップ部形成用シート、41…メカニカルファスナー雄材シート、F…前身頃、B…後身頃、M…股間部、EL…脚周り縁、Z…おむつ本体、E…おむつ本体Zの長手方向縁、LO…レッグ開口部、WO…ウエスト開口部、X1〜X3…テープ式使い捨ておむつ、X4,X5…パンツ型使い捨ておむつ。

Claims (7)

  1. 前身頃と後身頃とが股間部を介して連接されている使い捨ておむつであって、
    前身頃及び後身頃の少なくとも一方の使用面に幅方向に延在するフラップ部を有し、
    フラップ部と表面構成シートとで形成されるポケットを有し、
    前記フラップ部のポケット内面側又は表面構成シートのフラップ部対面位置の少なくとも何れか一方に、補助吸収性物品を止着するための止着部を有し、
    この止着部と対面する位置に、止着部と着脱自在に仮接着する仮止部を有する、
    ことを特徴とする使い捨ておむつ。
  2. 使い捨ておむつは、幅方向両側部に長手方向に沿って配される一対の起立カフスを有し、
    この起立カフスの前後方向両端部が、フラップ部と重なる位置にあるか、又はフラップ部と一体となっている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
  3. フラップ部のポケット開口側縁は、ポケット部底側に向かって円弧状に湾曲している請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
  4. フラップ部の開口縁の長さは、ポケット部の幅よりも長い、請求項1〜3の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
  5. フラップ部は、幅方向に延在する弾性伸縮部材が開口縁近傍に配されている、請求項1〜4の何れか1項の使い捨ておむつ。
  6. 前記止着部と仮止部とが、雄雌一対のメカニカルファスナーで構成されている、請求項1〜5の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
  7. 前記止着部が粘着性を有するものであり、仮止部が止着部の粘着性に対して剥離性をもって接着可能な離型処理部又はフィルムシート部である、請求項1〜6の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
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