JP2008232655A - マイクロチャネルアレイ - Google Patents

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Takeshi Tazaki
剛 田崎
Hidetaka Tamura
英孝 田村
Takenori Kitani
剛典 木谷
Hitoshi Tsuruta
仁志 鶴田
Motohiro Fukuda
始弘 福田
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Abstract

【課題】貫通孔への気泡の付着を抑制し、測定精度に優れるマイクロチャネルアレイ。
【解決手段】本発明に係るマイクロチャネルアレイは、一端部に流入口11が形成された本体部131と他端部に向かって本体部131から複数分岐して形成された分岐部132とを有する第1の窪み13と、他端部に流出口12が形成された本体部141と一端部に向かって本体部141から複数分岐して形成された分岐部142とを有しかつ分岐部142が第1の窪みの分岐部132と交互に配置された第2の窪み14と、第1の窪みの分岐部132と第2の窪みの分岐部142とを区画する壁部15と、壁部15上に形成され第1の窪みの分岐部132と第2の窪みの分岐部142とを連通する微小溝16と、が基板10の前面側に形成されたマイクロチャネルアレイ。基板10を貫通する流入口11の開口径が、少なくとも所定の深さから基板10の前面に至るまで連続的に増加している。
【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロチャネルアレイに関し、特に、健康管理、疾患の診断と治療に適した樹脂製マイクロチャネルアレイに関する。
血液中の有形成分である赤血球、白血球、血小板の機能を測定、評価することは、健康管理、疾患の診断と治療に極めて重要である。特許文献1には、上記血液成分の測定、評価に用いるマイクロチャネルアレイが開示されている。
具体的には、フォトリソグラフ法によってシリコン基板上にパターンニングを行い、ウェット又はドライエッチング法によりシリコン基板上に流路を微細加工する。これは、半導体微細加工技術を応用することにより基板上に赤血球、白血球ないし血小板の形状にそれぞれ適合した種々の形状、大きさの微細流路(マイクロチャネル)を高精度に作成したものである。この技術によって、微細流路の幅と深さの比、間隔等を目的に合わせてデザインでき、また、透明板を介して流路内の実際の流れを直接観察することが可能になった。
他方、半導体微細加工技術により製造されたシリコン製マイクロチャネルアレイでは、シリコン基板の材料コストが高価である、1枚毎にフォトリソグラフを行うために加工費が高価となる、1枚毎の微細流路の寸法精度にバラツキを生じる、焼却処理ができない等の問題が存在していた。これらの問題を解決するため、発明者らによる特許文献2には、樹脂製のマイクロチャネルアレイが開示されている。
特開平3−257366 特開2005−265634
ところで、特許文献1及び2に記載のマイクロチャネルアレイは、測定、評価する血液を流入及び流出するため、マイクロチャネルアレイ基板の背面から微細流路を有する前面に至る2つの貫通孔を有する。このうち流入貫通孔の前面側の出口近傍に気泡の付着が生じ、これが測定誤差を招来する問題があった。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、貫通孔への気泡の付着を抑制し、測定精度に優れるマイクロチャネルアレイを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係るマイクロチャネルアレイは、一端部に流入口が形成された本体部と、他端部に向かって当該本体部から複数分岐して形成された分岐部とを有する第1の窪みと、前記他端部に流出口が形成された本体部と、前記一端部に向かって当該本体部から複数分岐して形成された分岐部とを有し、かつ、当該分岐部が前記第1の窪みの分岐部と交互に配置された第2の窪みと、前記第1の窪み及び第2の窪みの分岐部同士を区画する壁部と、前記壁部上に形成され、前記第1の窪み及び第2の窪みの分岐部同士を連通する微小溝とが基板の前面側に形成されたマイクロチャネルアレイであって、前記基板を貫通する前記流入口の開口径が、少なくとも所定の深さから前記基板の前面に至るまで連続的に増加しているものである。これにより、貫通孔への気泡の付着を抑制し、測定精度に優れるマイクロチャネルアレイを提供することができる。
本発明の第2の態様に係るマイクロチャネルアレイは、上記のマイクロチャネルアレイにおいて、前記基板を貫通する前記流出口の開口径が、少なくとも所定の深さから前記基板の前面に至るまで連続的に増加していることを特徴とするものである。これにより、流入口と流出口を区別することなく利用可能であって、貫通孔への気泡の付着を抑制したマイクロチャネルアレイを提供することができる。
本発明の第3の態様に係るマイクロチャネルアレイは、上記のマイクロチャネルアレイにおいて、前記第1の窪みの本体部は、頂角部に前記流入口が形成された略二等辺三角形領域を備えることを特徴とするものである。これにより、さらに滞留も抑制し、測定精度により優れるマイクロチャネルアレイを提供することができる。
本発明の第4の態様に係るマイクロチャネルアレイは、上記のマイクロチャネルアレイにおいて、前記第2の窪みの本体部は、頂角部に前記流入口が形成された略二等辺三角形領域を備えることを特徴とするものである。これにより、流入口と流出口を区別することなく利用可能であって、滞留も抑制したマイクロチャネルアレイを提供することができる。
本発明の第5の態様に係るマイクロチャネルアレイは、上記のマイクロチャネルアレイにおいて、前記流入口及び流出口の最小開口径が1.0〜3.0mmであることを特徴とするものである。これにより、さらに血液の活性化も抑制し、測定精度に優れるマイクロチャネルアレイを提供することができる。
本発明の第6の態様に係るマイクロチャネルアレイは、上記のマイクロチャネルアレイにおいて、前記基板の前面の水に対する接触角が、0.5°以上70°以下であることを特徴とするものである。これにより、さらに血液の付着も抑制し、測定精度に優れるマイクロチャネルアレイを提供することができる。
本発明の第7の態様に係るマイクロチャネルアレイは、上記のマイクロチャネルアレイにおいて、前記基板が樹脂製であることを特徴とするものである。これにより、低コストのマイクロチャネルアレイを提供することができる。
本発明によれば、貫通孔への気泡の付着を抑制し、測定精度に優れるマイクロチャネルアレイを提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
図1を用いて、本発明の実施の形態に係る樹脂製マイクロチャネルアレイについて説明する。図1(a)は樹脂製マイクロチャネルアレイの平面図、図1(b)は図1(a)のX−X'断面図、図1(c)は図1(b)の点線円内の拡大図である。マイクロチャネルアレイは、第1の基板10と第2の基板20が重ね合わされて構成される。第1の基板10には、流入口11、流出口12、第一の窪み13、第2の窪み14、壁部15、微小溝16が形成されている。
図1(a)に示すように、流入口11は第1の基板10の一端に、流出口12は第1の基板10の他端に形成されている。流入口11及び流出口12は、第1の基板10の背面から微細流路を有する前面に至る貫通孔である。生理食塩水、血液試料や試薬を、流入口11から導入し、流出口12から排出する。
図1(b)に示すように、流入口11及び流出口12の開口径は一定ではなく、少なくとも所定の深さから第1の基板10の前面に至るまで連続的に増加しているものである。換言すれば、流入口11及び流出口12は、第1の基板10の前面において皿もみ加工されたような形状を有している。これにより、貫通孔である流入口11の出口(第1の基板10の前面側)への気泡の付着を抑制し、測定精度に優れるマイクロチャネルアレイを提供することができる。ここで、流入口11だけでなく、流出口12も同形状を有することにより、流入口と流出口を区別することなく利用可能であり、利便性に優れる。
また、流入口11及び流出口12の内径で最も細い部分の径すなわち最小開口径は、1.0〜3.0mmが好ましい。これより小さいと、血液が活性化する。また、上限は特に制限されないが、マイクロチャネルアレイ全体の寸法から考えて、直径3.0mm以下が好ましい。
ここで、図1(b)に示すように、流入口11のテーパー面の第1の基板10の主面に対する傾斜角を、テーパー面の傾斜角θと定義する。テーパー面の傾斜角θは、10〜80°が好ましく、20〜70°がさらに好ましい。80°より大きくても、10°より小さくても、効果的に泡の付着を抑制することができない。なお、当該テーパー形状は、上述の通り、少なくとも所定の深さから第1の基板10の前面に至るまで連続的に増加していればよいため、図1(b)に示すような面取り加工形状のものに限定されるわけではない。R加工形状や、楕円加工形状などであってもよい。さらに、図2に示すように、流入口11及び流出口12の深さ方向全体に亘り、テーパー形状であってもよい。
また、流入口11を備える第1の窪み13及び流出口12を備える第2の窪み14が、第1の基板10に形成されている。
第1の窪み13は、1つの本体部131と複数の分岐部132とからなる。本体部131は、第1の基板10の端部に形成されている。そして、本体部131には、流入口11が形成されている。具体的には、本体部131は、頂角部に流入口11が形成された略二等辺三角形領域となっている。このような形状により、血液の滞留を防止することができる。また、この血液滞留箇所に気泡が付着することを防止することができる。他方、分岐部132は、本体部131から第1の基板10の中央部に向かって延設され、櫛歯状に分岐して形成されている。なお、図2に示すように、本体部131の一部に、頂角部に流入口11が形成された略二等辺三角形領域を備えた構成であってもよい。
同様に、第2の窪み14は、1つの本体部141と複数の分岐部142とからなる。本体部141は、第1の基板10において、第1の窪み13と反対側の端部に形成されている。そして、本体部141には、流出口12が形成されている。具体的には、本体部141は、頂角部に流出口12が形成された略二等辺三角形領域となっている。このような形状により、血液の滞留を防止することができる。また、この血液滞留箇所に気泡が付着することを防止することができる。ここで、第1の窪み13だけでなく、第2の窪み14も同形状を有することにより、流入口と流出口を区別することなく利用可能であり、利便性に優れる。他方、分岐部142は、本体部141から第1の基板10の中央部に向かって延設され、櫛歯状に分岐して形成されている。
ここで、第1の窪みの分岐部132と第2の窪みの分岐部142とは交互に配置されている。従って、隣接する第1の窪みの分岐部132と第2の窪みの分岐部142との間には、壁部15が形成されることになる。壁部15は、隣接する第1の窪みの分岐部132と第2の窪みの分岐部142との間を、完全に区切るものではない。図1(c)に示すように、この壁部15上には、第1の窪みの分岐部132と第2の窪みの分岐部142とを連通する多数の微小溝16すなわち微細流路が設けられている。この例では、1つの壁部15当たり340本の微小溝16が設けられている。
図1(b)に示すように、第1の基板10の第1及び第2の窪み13設けられた側の面には、第2の基板20が重ね合わされ、第1及び第2の窪み13及び微小溝16と第2の基板20との間に空間が形成される。この空間内に、血液試料等を導入し、観察する。
ここで、樹脂製マイクロチャネルアレイに導入された血液試料等の流れについて説明する。まず、血液試料等は、流入口11から導入され、第1の窪み13の本体部131から分岐部132に向けて流れる。次に、血液試料等は、壁部15上に設けられた微小溝16を通過し、第2の窪みの分岐部142へと流入する。そして、血液試料等は、第2の窪み14の分岐部142から本体部141へ向けて流れ、流出口12から排出される。ここで、微小溝16を通過する血液試料等に含まれる白血球や血小板等を観察する。
流路の幅、深さは、測定対象とする血球成分に応じて、それぞれ1〜50μmの範囲から選択することが好ましく、1〜20μmの範囲内であることがより好ましい。該流路の幅と深さの比は、対象とする血球成分の形状、変形能に応じて、1:10〜10:1の範囲内から選択することが好ましい。なお、血液は、血球(有形)成分と、血漿(液体)成分とに大別され、血球成分の割合が約40〜45%、血漿成分が約55〜60%である。血球成分において、赤血球が約96%を占め、約4%が白血球と血小板である。サイズは、赤血球が直径約7〜8μm、白血球が約12〜14μm、血小板が約3μmである。
樹脂製マイクロチャネルアレイの窪み及び溝によって形成される空間が、流路として機能するには、樹脂製マイクロチャネルアレイと、使用する生理食塩水、血液試料、試薬等の水系液体との濡れ性の差が小さいことが好ましい。濡れ性の差が大きいと、水系液体が流路を流れなくなる可能性が高くなる。また、血液測定を行う前に、例えば、流路内を生理食塩水で満たそうとしても、気泡が混入することにより、対象とする血球成分の通過時間の計測値が再現しない恐れがある。
樹脂前面の濡れ性を改質する技術は、化学的処理技術、物理的処理技術に大別される。化学的処理技術としては、薬品処理、溶剤処理、カップリング剤処理、モノマーコーティング、ポリマーコーティング、蒸気処理、前面グラフト化、電気化学的処理、陽極酸化等があげられる。物理的処理技術としては、紫外線照射処理、プラズマ接触処理、プラズマジェット処理、プラズマ重合処理、イオンビーム処理、機械的処理等があげられる。
また、一般に細胞は疎水前面に固定化しやすい性質を持つことから、血球細胞においても流路に血球成分が付着し、流れなくなる等、血液測定に大きな支障をきたす可能性がある。そこで、樹脂製マイクロチャネルアレイ前面の水に対する接触角を小さくすることが必要となる。ポリメチルメタクリレートに代表される一般に使用される熱可塑性樹脂においては、通常水に対する接触角が比較的大きい(例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂は約68°、ポリカーボネート樹脂は約70°、ポリスチレン樹脂は84°)ため、接触角を小さく、0.5°以上70°以下とすることが必要となる。さらに、1°以上50°以下がより好ましい。0.5°未満又は70°を超えると、微細な流路への血液試料の導入が難しく、血球細胞の付着による凝集塊の発生によって、血球細胞の通過時間測定等の安定したデータが得られない。
血液測定にて、光学系の検出方式等を採用する場合、CCDカメラ等を用いた実態観察を行う場合等において、樹脂製マイクロチャネルアレイ、及び重ね合わせ基板のいずれか、又は両方を、例えば、反射光、又は透過光測定に応じて、透明とすることが必要である。反射光観察では、光学系の側の基板を透明板とし、反対側の基板を不透明にすればよい。不透明な基板とするには、材料選択の段階にて不透明グレードを選択する、又は透明基板の前面、又は背面に、例えば、蒸着法にて、アルミニウム等の無機膜を堆積する方法があげられる。
透明板を通して流路を直接観察することができ、流速の調節、停止等の適切な処置がとれる。透明性を規定する光学物性としては、厚さ1mm板において、全光線透過率80%以上、ヘイズ値10%以下が好ましい。また、光学系の検出方式を採用する場合、使用する光の波長に応じて、例えば、紫外線吸収剤の添加されていない材料を使用する、分子構造に環構造を有していない材料を使用する等、適宜選択することが好ましい。
本発明に係るマイクロチャネルアレイを構成する樹脂材料は、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル・スチレン系共重合体、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、オレフィン系・スチレン系・ウレタン系等の熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系樹脂、フッソ系樹脂、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等の熱硬化性樹脂、多官能アクリル系樹脂等の光硬化性樹脂を挙げることができる。
これらの樹脂は必要に応じて滑剤、光安定剤、熱安定剤、防曇剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの1種又は2種以上を含有することができる。
次に、本発明の実施様態を具体的な実施例で説明する。実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法を説明する。まず、ガラス基板上に、有機材料(東京応化工業製「PMER N−CA3000PM」をベースとするレジスト塗布を行った。次に、ガラス基板と所望のマスクパターンに加工したマスクを位置合わせした。次にUV露光装置(キヤノン製「PLA−501F」、波長365nm)を用いて、レジスト層をUV光により露光を行った後、ホットプレートを用いてレジスト層の熱処理を行った。さらに必要に応じ、得られたレジストパターン上へのレジスト塗布、マスク位置合わせ、UV光による露光、熱処理の一連の工程を繰り返した。そして、レジスト層を有する基板を、現像液(東京応化工業製「PMER現像液P−7G」)により現像し、ガラス基板上にレジストパターンを形成した
得られたレジストパターンを有するガラス基板前面に、スパッタリングにより、Agをめっきシード層として堆積させた。次に、このレジストパターンを有する基板をNiめっき液に浸け、電気めっきを行い、金属構造体(以下、ニッケル構造体)を形成した。このNi構造体を金型とし、クラレ社製アクリル樹脂(パラペットGH−S)を射出成形して、樹脂製マイクロチャネルアレイを作製した。
樹脂製マイクロチャネルアレイを構成する第1の基板10の外形は、横16mm×縦8mm×厚さ1mmである。第1の窪み13及び第2の窪み14の深さは85μmとし、微細流路は窪み相互を区画する壁部15を15本、高さ80μmとし、1本の壁部15に幅10μm、深さ5μmの微小溝16を340本、合計5100本有する形状とした。ここで、壁部15の高さと微小溝16の深さとを加算したものが、第1の窪み13及び第1の窪み14の深さに相当する。
この第1の基板10と透明な平板である第2の基板20を接合し、第1の基板10に形成された流入口11から血液を導入し、流出口12から排出を行った。血液の測定は10μlの気泡を血液に混入させ、20cmの水による落差圧を印加して気泡の付着の有無と付着箇所を確認し、100μlの血液の通過時間の測定と、血液の活性化、血液の滞留の状態を光学顕微鏡で観察した。
[実施例1]
図1に示すように、流入口11及び流出口12の開口径が、第1の基板10の前面側で拡大した樹脂製マイクロチャネルアレイを作製した。背面側での開口径が1.6mm、前面側での開口径が3.0mm、テーパー面の傾斜角θが30°である。10μlの気泡を含む血液を導入した結果、10枚中すべてにおいて気泡付着は観察されなかった。また、100μlの血液通過時間は10枚の測定で平均37.5秒、標準偏差2.3秒で、血液の滞留は見られなかった。
[実施例2]
図1に示すように、流入口11及び流出口12の開口径が、第1の基板10の前面側で拡大した樹脂製マイクロチャネルアレイを作製した。背面側での開口径が2.0mm、前面側での開口径が3.0mm、テーパー面の傾斜角θが60°である。10μlの気泡を含む血液を導入した結果、10枚中すべてにおいて気泡付着は観察されなかった。また、100μlの血液通過時間は10枚の測定で平均35.5秒、標準偏差1.8秒で、血液の滞留は見られなかった。
[実施例3]
図3に示すように、流入口11及び流出口12の開口径が、第1の基板10の前面側で拡大した樹脂製マイクロチャネルアレイを作製した。背面側での開口径が1.6mm、前面側での開口径が2.8mmである。テーパーの断面形状は、第1の基板10の主面の垂直方向を長軸方向、第1の基板10の主面と平行な方向を短軸方向とした楕円形状である。ここで、長軸半径600μm、短軸半径460μmとした。10μlの気泡を含む血液を導入した結果、10枚中すべてにおいて気泡付着は観察されなかった。また、100μlの血液通過時間は10枚の測定で平均36.5秒、標準偏差1.7秒で、血液の滞留は見られなかった。
[実施例4]
図4に示すように、流入口11及び流出口12の開口径が、第1の基板10の前面側で拡大した樹脂製マイクロチャネルアレイを作製した。背面側での開口径が1.6mm、前面側での開口径が3.0mm、テーパー面の傾斜角θが30°である。また、第1及び第2の窪みの本体部131、141が、長方形状である。10μlの気泡を含む血液を導入した結果、10枚中3枚において第1の窪みの本体部131で気泡付着が観察されが、流入口11の出口では気泡の付着は観察されなかった。また、100μlの血液通過時間は10枚の測定で平均40.2秒、標準偏差4.9秒で、滞留が第1の窪みの本体部131で観察された。
[比較例1]
図5に示すように、流入口11及び流出口12の開口径が、1.6mmで一定である樹脂製マイクロチャネルアレイを作製した。10μlの気泡を含む血液を導入した結果、10枚中2枚において流入口11の出口で気泡付着が見られ、血液の通過時間を測定することができなかった。図5(b)に流入口11の出口における気泡17の付着の様子の一例を示した。また、10枚中3枚において第1の窪みの本体部131で気泡の付着が観察された。また、100μlの血液通過時間は流入口11に気泡付着した2枚を除き8枚の測定で平均40.5秒、標準偏差5.1秒で、滞留が第1の窪みの本体部131の端部で観察された。この血液滞留箇所では、図5(a)に示すように、気泡17の付着が確認された。
[比較例2]
図5に示すように、流入口11及び流出口12の開口径が、0.5mmで一定である樹脂製マイクロチャネルアレイを作製した。10μlの気泡を含む血液を導入した結果、10枚中1枚において流入口11の出口で気泡付着が見られ、血液の通過時間を測定することができなかった。また、10枚中2枚において第1の窪みの本体部131で気泡の付着が観察された。また、100μlの血液通過時間は、流入口11に気泡付着した1枚を除き9枚の測定で平均43.5秒、標準偏差5.7秒で、滞留が第1の窪みの本体部131の端部で観察された。
[比較例3]
図5に示すように、流入口11及び流出口12の開口径が、1.6mmで一定である樹脂製マイクロチャネルアレイを作製した。10μlの気泡を含む血液を導入した結果、10枚中1枚において流入口11の出口で気泡付着が見られ、血液の通過時間を測定することができなかった。なお、第1の窪みの本体部131では気泡の付着は観察されなかった。また、100μlの血液通過時間は、流入口11に気泡付着した1枚を除き9枚の測定で平均38.5秒、標準偏差3.3秒で、血液の滞留は見られなかった。
[比較例4]
図7に示すように、流入口11及び流出口12の開口径が、背面から前面からの深さが0.3mmの位置までにおいて1.6mmで一定で、その位置から前面までにおいて3.0mmで一定である樹脂製マイクロチャネルアレイを作製した。10μlの気泡を含む血液を導入した結果、10枚中2枚において流入口11の出口で気泡付着が観察された。なお、第1の窪みの本体部131では気泡の付着は観察されなかった。また、100μlの血液通過時間は流入口11に気泡付着した2枚を除き8枚の測定で平均37.8秒、標準偏差3.9秒で、滞留は見られなかった。
実施例1及び2に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの模式図である。 実施の形態に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの模式図である。 実施例3に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの模式図である。 実施例4に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの模式図である。 比較例1に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの模式図である。 比較例2に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの模式図である。 比較例3に係る樹脂製マイクロチャネルアレイの模式図である。
符号の説明
10 第1の基板
11 流入口
12 流出口
13 第1の窪み
131 本体部
132 分岐部
14 第2の窪み
141 本体部
142 分岐部
15 壁部
16 微小溝
17 気泡
20 第2の基板

Claims (7)

  1. 一端部に流入口が形成された本体部と、他端部に向かって当該本体部から複数分岐して形成された分岐部とを有する第1の窪みと、
    前記他端部に流出口が形成された本体部と、前記一端部に向かって当該本体部から複数分岐して形成された分岐部とを有し、かつ、当該分岐部が前記第1の窪みの分岐部と交互に配置された第2の窪みと、
    前記第1の窪み及び第2の窪みの分岐部同士を区画する壁部と、
    前記壁部上に形成され、前記第1の窪み及び第2の窪みの分岐部同士を連通する微小溝とが基板の前面側に形成されたマイクロチャネルアレイであって、
    前記基板を貫通する前記流入口の開口径が、少なくとも所定の深さから前記基板の前面に至るまで連続的に増加しているマイクロチャネルアレイ。
  2. 前記基板を貫通する前記流出口の開口径が、少なくとも所定の深さから前記基板の前面に至るまで連続的に増加していることを特徴とする請求項1に記載のマイクロチャネルアレイ。
  3. 前記第1の窪みの本体部は、頂角部に前記流入口が形成された略二等辺三角形領域を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロチャネルアレイ。
  4. 前記第2の窪みの本体部は、頂角部に前記流入口が形成された略二等辺三角形領域を備えることを特徴とする請求項3に記載の樹脂製マイクロチャネルアレイ。
  5. 前記流入口及び流出口の最小開口径が1.0〜3.0mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロチャネルアレイ。
  6. 前記基板の前面の水に対する接触角が、0.5°以上70°以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロチャネルアレイ。
  7. 前記基板が樹脂製であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロチャネルアレイ。
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