JP2008230510A - 車両およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関が振動やこもり音を生じる運転状態にあるときに電動機から変速機の入力軸に出力されるトルクが反転しないようにしてトルクの反転による駆動系のガタ詰めの際の異音の発生を抑制する。
【解決手段】エンジンの目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域範囲内となるときには、変速機の変速段をアップシフトして(S210)、こもり音領域にあるが仮トルクTm2tmpを所定領域範囲外として要求トルクTd*が駆動軸に出力されるようモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する。これにより、エンジンがこもり音領域で運転されているときにモータMG2のトルクが反転することによって生じ得るガタ詰めによる異音の発生を抑制することができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、車両およびその制御方法に関する。
従来、この種の車両としては、エンジンと、エンジンの出力軸にキャリアが接続されると共にリングギヤが車軸側に接続されたプラネタリギヤと、プラネタリギヤのサンギヤに接続された第1のモータジェネレータと、車軸側に接続された第2のモータジェネレータと、プラネタリギヤのリングギヤの回転数に対してキャリアの回転数を固定比とするようキャリアにギヤを介して取り付けられたブレーキとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、エンジンの回転変動によって生じる振動やこもり音が生じる状態のときには、ブレーキをオンオフすることにより、変速モードを切り替えることにより振動やこもり音が生じる状態を回避している。
特開2005−24071号公報
内燃機関と、車軸側に取り付けられた変速機と、内燃機関の出力軸と変速機の入力軸と発電機の回転軸とに3つの回転要素が接続された作動機構と、変速機の入力軸に接続された電動機とを備える車両では、内燃機関が振動やこもり音を生じる運転状態にあるときに電動機から出力するトルクが値0近傍であると、振動による異音やこもり音に加えて電動機から変速機の入力軸に出力されるトルクが反転することによって生じる駆動系のガタ詰めによる異音も生じ、騒音が増加してしまう。
本発明の車両およびその制御方法は、内燃機関が振動やこもり音を生じる運転状態にあるときに電動機から変速機の入力軸に出力されるトルクが反転しないようにすることを目的の一つとする。また、本発明の車両およびその制御方法は、こうしたトルクの反転による駆動系のガタ詰めの際の異音の発生を抑制することを目的の一つとする。
本発明の車両およびその制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
内燃機関と、
動力を入出力可能な発電機と、
前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸と前記出力軸および前記回転軸とは異なる軸である動力軸の3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
前記動力軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
車軸に連結された駆動軸と前記動力軸との間で変速比の変更を伴って動力を伝達する変速伝達手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記設定された要求駆動力と前記検出された車速とに基づいて前記変速伝達手段の目標とする目標変速比を設定する目標変速比設定手段と、
前記設定された要求駆動力と所定の制約とに基づいて前記内燃機関を運転すべき目標運転ポイントを設定する目標運転ポイント設定手段と、
前記設定された目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記変速伝達手段が前記設定された目標変速比で動力の伝達を行なって前記設定された要求駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する通常制御を実行すると前記内燃機関が振動やこもり音を生じる所定運転領域で運転されると共に前記電動機から出力するトルクが値0を含む所定トルク範囲内となる特定運転状態となるときには、前記設定された目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記変速伝達手段が前記設定された目標変速比とは異なる変速比で動力の伝達を行なって前記設定された要求駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する特定運転状態用制御を実行する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、走行に要求される要求駆動力と所定の制約とに基づいて設定された目標運転ポイントで内燃機関が運転されると共に変速伝達手段が要求駆動力と車速とに基づいて設定された目標変速比で動力の伝達を行なって要求駆動力によって走行するよう内燃機関と発電機と電動機と変速伝達手段とを制御する通常制御を実行すると内燃機関が振動やこもり音を生じる所定運転領域で運転されると共に電動機から出力するトルクが値0を含む所定トルク範囲内となる特定運転状態となるときには、目標運転ポイントで内燃機関が運転されると共に変速伝達手段が目標変速比とは異なる変速比で動力の伝達を行なって要求駆動力によって走行するよう内燃機関と発電機と電動機と変速伝達手段とを制御する特定運転状態用制御を実行する。即ち、変速伝達手段の変速比を目標変速比から変更することにより、電動機から出力するトルクが値0を含む所定トルク範囲内とならないようにするのである。これにより、内燃機関が振動やこもり音を生じる所定運転領域で運転されているときに電動機から出力するトルクが値0を含む所定トルク範囲内となるのを抑制することができ、電動機からの出力トルクが反転することによるガタ詰めの際の異音の発生を抑制することができる。
こうした本発明の車両において、前記制御手段は、前記特定運転状態用制御として、前記変速伝達手段が、前記電動機から出力するトルクが前記所定トルク範囲外となる変速比で動力の伝達を行なうよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する手段であるものとすることもできる。また、前記制御手段は、前記特定運転状態用制御として、前記変速伝達手段が前記設定された目標変速比より前記動力軸の動力を前記駆動軸に伝達する際の減速比としたときに小さな減速比となる変速比で動力の伝達を行なうよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する手段であるものとすることもできる。
また、本発明の車両において、前記変速伝達手段は有段変速機であり、前記目標変速比設定手段は前記変速伝達手段の変速段を設定する手段であり、前記制御手段は、前記特定運転状態用制御として、前記変速伝達手段が前記目標変速比として設定された変速段より1段だけアップシフト側の変速段で動力の伝達を行なうよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する手段である、ものとすることもできる。
さらに、本発明の車両において、前記所定の制約は、同一のパワーを出力するときに最も効率のよい運転ポイントで運転する制約であるものとすることもできる。こうすれば、燃費を向上させることができる。
本発明の車両の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸と前記出力軸および前記回転軸とは異なる軸である動力軸の3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記動力軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、車軸に連結された駆動軸と前記動力軸との間で変速比の変更を伴って動力を伝達する変速伝達手段と、を備える車両の制御方法であって、
(a)走行に要求される要求駆動力と車速とに基づいて前記変速伝達手段の目標とする目標変速比を設定すると共に前記要求駆動力と所定の制約とに基づいて前記内燃機関を運転すべき目標運転ポイントを設定し、
(b)前記設定した目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記変速伝達手段が前記設定した目標変速比で動力の伝達を行なって走行に要求される要求駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する通常制御を実行すると前記内燃機関が振動やこもり音を生じる所定運転領域で運転されると共に前記電動機から出力するトルクが値0を含む所定トルク範囲内となる特定運転状態となるときには、前記設定した目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記変速伝達手段が前記設定した目標変速比とは異なる変速比で動力の伝達を行なって前記要求駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する特定運転状態用制御を実行する、
ことを特徴とする。
この本発明の車両の制御方法では、走行に要求される要求駆動力と所定の制約とに基づいて設定された目標運転ポイントで内燃機関が運転されると共に変速伝達手段が要求駆動力と車速とに基づいて設定された目標変速比で動力の伝達を行なって要求駆動力によって走行するよう内燃機関と発電機と電動機と変速伝達手段とを制御する通常制御を実行すると内燃機関が振動やこもり音を生じる所定運転領域で運転されると共に電動機から出力するトルクが値0を含む所定トルク範囲内となる特定運転状態となるときには、目標運転ポイントで内燃機関が運転されると共に変速伝達手段が目標変速比とは異なる変速比で動力の伝達を行なって要求駆動力によって走行するよう内燃機関と発電機と電動機と変速伝達手段とを制御する特定運転状態用制御を実行する。即ち、変速伝達手段の変速比を目標変速比から変更することにより、電動機から出力するトルクが値0を含む所定トルク範囲内とならないようにするのである。これにより、内燃機関が振動やこもり音を生じる所定運転領域で運転されているときに電動機から出力するトルクが値0を含む所定トルク範囲内となるのを抑制することができ、電動機からの出力トルクが反転することによるガタ詰めの際の異音の発生を抑制することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された動力軸としてのリングギヤ軸32aに接続されたモータMG2と、リングギヤ軸32aの動力を変速して駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36に出力する変速機60と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な内燃機関として構成されており、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共に燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃料室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化装置(三元触媒)134を介して外気へ排出される。
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室内に取り付けられた圧力センサ143からの筒内圧力Pin,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からのエアフローメータ信号AF,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温,空燃比センサ135aからの空燃比AF,酸素センサ135bからの酸素信号などが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。なお、エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32には回転軸としてのリングギヤ軸32aがそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aから変速機60,駆動軸36,デファレンシャルギヤ38を介して、最終的には車両の駆動輪39a,39bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG
2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
変速機60は、動力軸としてのリングギヤ軸32aと駆動軸36との間の変速段の変更を伴う動力の伝達およびリングギヤ軸32aと駆動軸36との接続の解除を行なうことができるように構成されている。変速機60の構成の一例を図3に示す。図示するように、変速機60は、シングルピニオンの遊星歯車機構62,64,66と二つのクラッチC1,C2と三つのブレーキB1,B2,B3とにより構成されている。遊星歯車機構62は、外歯歯車のサンギヤ62sと、このサンギヤ62sと同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ62rと、サンギヤ62sに噛合すると共にリングギヤ62rに噛合する複数のピニオンギヤ62pと、複数のピニオンギヤ62pを自転かつ公転自在に保持するキャリア62cとを備えており、サンギヤ62sはクラッチC2のオンオフによりリングギヤ軸32aに接続または接続の解除ができるようになっていると共にブレーキB1のオンオフによりその回転を停止または自由にできるようになっており、キャリア62cはブレーキB2のオンオフによりその回転を停止または自由にできるようになっている。遊星歯車機構64は、外歯歯車のサンギヤ64sと、このサンギヤ64sと同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ64rと、サンギヤ64sに噛合すると共にリングギヤ64rに噛合する複数のピニオンギヤ64pと、複数のピニオンギヤ64pを自転かつ公転自在に保持するキャリア64cとを備えており、サンギヤ64sは遊星歯車機構62のサンギヤ62sに接続され、リングギヤ64rはクラッチC1のオンオフによりリングギヤ軸32aに接続またはその解除ができるようになっており、キャリア64cは遊星歯車機構62のリングギヤ62rに接続されている。遊星歯車機構66は、外歯歯車のサンギヤ66sと、このサンギヤ66sと同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ66rと、サンギヤ66sに噛合すると共にリングギヤ66rに噛合する複数のピニオンギヤ66pと、複数のピニオンギヤ66pを自転かつ公転自在に保持するキャリア66cとを備えており、サンギヤ66sは遊星歯車機構64のリングギヤ64rに接続され、リングギヤ66rはブレーキB3のオンオフによりその回転を停止または自由にできるようになっており、キャリア66cは遊星歯車機構62のリングギヤ62rと遊星歯車機構64のキャリア64cと駆動軸36とに接続されている。変速機60は、クラッチC1,C2とブレーキB1,B2,B3とを全てオフにすることによりリングギヤ軸32aと駆動軸36とを切り離すことができ、クラッチC1とブレーキB3とをオンとすると共にクラッチC2とブレーキB1,B2とをオフとすることによりリングギヤ軸32aの回転を比較的大きな減速比で減速して駆動軸36に伝達し(以下、この状態を1速の状態という)、クラッチC1とブレーキB2とをオンとすると共にクラッチC2とブレーキB1,B3とをオフとすることによりリングギヤ軸32aの回転を1速より小さな減速比で減速して駆動軸36に伝達し(以下、この状態を2速の状態という)、クラッチC1とブレーキB1とをオンとすると共にクラッチC2とブレーキB2,B3とをオフとすることによりリングギヤ軸32aの回転を2速より小さな減速比で減速して駆動軸36に伝達し(以下、この状態を3速の状態という)、クラッチC1,C2をオンとすると共にブレーキB1,B2,B3をオフとすることによりリングギヤ軸32aの回転をそのまま駆動軸36に伝達する(以下、この状態を4速の状態という)。また、この変速機60は、クラッチC2とブレーキB3とをオンとすると共にクラッチC1とブレーキB1,B2とをオフとすることによりリングギヤ軸32aの回転を反転かつ減速して駆動軸36に伝達する(以下、この状態をリバースの状態という)。
クラッチC1,C2やブレーキB1,B2,B3のオンオフは、図1に示すように、油圧式のアクチュエータ100の駆動によりクラッチC1,C2やブレーキB1,B2,B3に対して作用させる油圧を調節することより行なわれる。この油圧式のアクチュエータ100は、オイルを圧送するオイルポンプ102と、オイルポンプ102から圧送されたオイルの圧力(ライン圧)をクラッチC1,C2やブレーキB1,B2,B3側に調整可能な圧力をもって個別に供給可能な油圧供給部104と、を備える。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。図4に電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示し、図5にバッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,アクチュエータ100の油圧供給部104のライン圧を検出する油圧センサ106からの油圧Poil,駆動軸36に取り付けられた回転数センサ37からの駆動軸回転数Ndなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、変速機60のクラッチC1,C2やブレーキB1,B2,B3の油圧式のアクチュエータ100への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
なお、実施例のハイブリッド自動車20では、シフトポジションセンサ82により検出するシフトレバー81のポジションとしては、駐車ポジション(Pポジション)や中立ポジション(Nポジション),ドライブポジション(Dポジション),リバースポジション(Rポジション)などがある。シフトポジションSPがDポジションやRポジションのときには、変速機60は、1速〜4速の状態,リバースの状態となるようクラッチC1,C2やブレーキB1,B2,B3のうち1速〜4速の状態,リバースの状態に対応するクラッチやブレーキを係合するものとし、シフトポジションSPがNポジションやPポジションのときには、変速機60のクラッチC1,C2やブレーキB1,B2,B3は全て開放するものとした。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクを計算し、要求トルクTd*と車速Vとに応じた変速段となるよう変速機60が制御され、要求トルクと変速機60の変速段とに応じたトルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力され
る動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にエンジン22が所謂こもり音領域で運転されると共にモータMG2の出力トルクが値0近傍となるときの動作について説明する。図6はエンジン22を運転しているときに実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図7は変速機60の変速段を変速するためにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される変速制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。これらのルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に実行される。まず、車両の駆動制御について説明し、その後、変速機60の変速制御について説明する。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,回転数センサ37からの駆動軸回転数Nd,変速機60bの変速比G,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて演算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、温度センサ51により検出されたバッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。なお、変速機60の変速比Gは、変速機60の状態に基づいて得られるものを入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動軸36に出力すべき要求トルクTd*を設定すると共に(ステップS110)、設定した要求トルクTd*に基づいてエンジン22に要求される要求パワーPe*を設定する(ステップS120)。要求トルクTd*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTd*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTd*を導出して設定するものとした。図8に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求パワーPe*は、設定した要求トルクTd*に駆動軸36の回転数Ndを乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として計算することができる。
次に、設定した要求パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS130)。この設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて行なわれる。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図9に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
続いて、エンジン22の目標回転数Ne*と駆動軸回転数Ndに変速機60の変速比Gを乗じた値と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に(ステップS140)、計算した目標回転数Nm1*と入力したモータMG1の回転数Nm1とに基づいて式(2)によりモータMG1のトルクTm1tmpを計算する(ステップS150)。ここで、式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。動力分配統合機構30および変速機60の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を図10に示す。なお、図10は変速機60が2速の状態のときを示している。図中左側は動力分配統合機構30の共線図であり、左の31軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、34軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、32軸はモータMG2の回転数Nm2であるリングギヤ32(リングギヤ軸32a)の回転数を示す。図中右側は変速機60の共線図であり、64r,66s軸は遊星歯車機構64のリングギヤ64rおよび遊星歯車機構66のサンギヤ66sの回転数を示し、62r,64c,66c軸は駆動軸36の回転数Noである遊星歯車機構62のリングギヤ62rおよび遊星歯車機構64のキャリア64cおよび遊星歯車機構66のキャリア66cの回転数を示し、62c軸は遊星歯車機構62のキャリア62cの回転数を示し、66r軸は遊星歯車機構66のリングギヤ66rの回転数を示し、62s,64s軸は遊星歯車機構62のサンギヤ62sおよび遊星歯車機構64のサンギヤ64sの回転数を示す。図中左右の共線図を結ぶ点線は、シフトポジションSPがDポジションのときに接続される回転要素(32軸と64r,66s軸)を示す。なお、32軸上の2つの太線矢印はモータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクとモータMG2から出力されるトルクTm2とを示し、62r,64c,66c軸の2つの太線矢印は、R軸に出力されるこれらのトルクが変速機60を介して駆動軸36に出力されるトルクを示す。式(1)は、図10の共線図から容易に導くことができる。式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-G・Nd/ρ (1)
Tm1tmp=ρ・Te*/(1+ρ)+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (2)
そして、式(3)および式(4)を共に満たすモータトルクTm1tmpの上下限としてのトルク制限Tm1min,Tm1maxを設定すると共に(ステップS160)、式(5)により設定したトルク制限Tm1min,Tm1maxで仮トルクTm1tmpを制限してモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS170)。ここで、式(3)はモータMG1やモータMG2によりリングギヤ軸32aに出力されるトルクの総和が値0から要求トルクTd*を予想ギヤ比Gestで除した値までの範囲内となる関係であり、式(4)はモータMG1とモータMG2とにより入出力される電力の総和が入出力制限Win,Woutの範囲内となる関係である。なお、式(4)では、モータMG2の回転数Nm2として、変速機60の変速比Gに駆動軸回転数Ndを乗じたものを用いた。トルク制限Tm1min,Tm1maxの一例を図11に示す。トルク制限Tm1min,Tm1maxは、図中斜線で示した領域内のトルク指令Tm1*の最大値と最小値として求めることができる。
0≦−Tm1tmp/ρ+Tm2tmp≦Td*/G (3)
Win≦Tm1tmp・Nm1+Tm2tmp・G・Nd≦Wout (4)
Tm1*=max(min(Tm1tmp,Tm1max),Tm1min) (5)
次に、要求トルクTd*を変速機60のギヤ比Gで除したものにモータMG1のトルク指令Tm1*を動力分配統合機構30のギヤ比ρで除したものを加えてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮トルクTm2tmpを次式(6)により計算し(ステップS180)、エンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあるか否かを判定すると共に(ステップS190)、設定した仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域(−Tref<Tm2tmp<Tref)の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS200)。ここで、式(6)は図10の共線図から容易に導くことができる。また、こもり音領域は、エンジン22を比較的低回転で且つ高トルクで運転する領域であり、図9には斜線によりハッチングした領域として示した。閾値Trefは、仮トルクTm2tmpが値0を含んで値0近傍にあるか否かを判定するために用いられるものであり、比較的小さな値を用いることができる。ここで、仮トルクTm2tmpは、後述するようにバッテリ50の入出力制限Win,Woutによって制限されなければモータMG2から出力すべきトルクとしてトルク指令Tm2*に設定されるものとなるから、通常はモータMG2から出力される出力トルクとなる。したがって、仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内にあるか否かの判定は、モータMG2からの出力トルクがその領域の範囲内にあるか否かの判定と同意となる。
Tm2tmp=Td*/G+Tm1*/ρ (6)
エンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にないときやエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあるときでも仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲外となるときには、バッテリ50の入出力制限Win,Woutと設定したトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2(G・Nd)で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tm2min,Tm2maxを次式(7)および式(8)により計算すると共に(ステップS230)、設定した仮トルクTm2tmpを式(9)によりトルク制限Tm2min,Tm2maxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS240)。
Tm2min=(Win-Tm1*・Nm1)/(G・Nd) (7)
Tm2max=(Wout-Tm1*・Nm1)/(G・Nd) (8)
Tm2*=max(min(Tm2tmp,Tm2max),Tm2min) (9)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信し(ステップS250)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
一方、ステップS190,S200でエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内となるときには、変速機60をアップシフトすると共に(ステップS210)、変速比Gをアップシフト後の変速比とし(ステップS220)、ステップS140に戻り、アップシフト後の変速比Gを用いて上述した式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算し、アップシフト後の変速比Gを用いて上述したステップS150〜S170によりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にアップシフト後の変速比Gを用いて式(6)によりモータMG2の仮トルクTm2tmpを設定する(ステップS180)。いま、変速機60が2速の状態のときにエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内となった場合を考える。この場合、アップシフトにより変速機60は3速の状態とされる。図12にバッテリ50の充放電がないときに変速機60が2速の状態でエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内となった際の共線図とこの状態からアップシフトして変速機60を3速の状態としたときの共線図の一例を示す。エンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあるときはエンジン22が比較的低回転高トルクの領域で運転されている状態であり、バッテリ50の充放電がないときに仮トルクTm2tmpが値0となるときにはモータMG1の回転数Nm1は値0となる。図12中の実線はこの状態を示している。この状態からブレーキB2をオフとしてブレーキB1をオンとして変速機60を3速の状態にアップシフトするとすると、車速Vに変化がないことから駆動軸36の回転数は変化せず、エンジン22の運転ポイントを変更しないものとすれば、図12中の破線に示すように、モータMG2の回転数Nm2は小さくなり、モータMG1の回転数Nm1は大きくなる。このとき、モータMG1からの出力トルクは、定常状態を考えれば、変速機60のアップシフトの前後では変化しない。いま、バッテリ50を充放電しない状態を考えているから、変速によりモータMG1の出力トルクはそのままに回転数Nm1を大きくすることによりモータMG1により得られる回生電力をモータMG2で消費することになり、モータMG2からトルクを出力することになる。これにより、動力軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクは、モータMG1から出力されて動力分配統合機構30を介して出力されるトルクとモータMG2から出力されるトルクとの和となり、大きくなるが、アップシフトにより変速比Gが小さくなることにより、駆動軸36にはアップシフトの前後で変化しない要求トルクTr*が出力されることになる。モータMG2からの出力トルクに着目すると、アップシフトの前は値0であったものがアップシフトの後ではモータMG1の回生電力を消費する値となる。この結果、エンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内となるときにモータMG2のトルクが反転することによって生じ得るガタ詰めによる異音の発生を抑制することができる。
アップシフト後の変速比Gを用いて計算されたモータMG2の仮トルクTm2tmpは、上述したように、閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲外となるから、ステップS190,S200では、エンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあるが仮トルクTm2tmpは閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲外となると判定され、アップシフト後の変速比Gを用いてトルク制限Tm2min,Tm2maxを計算すると共に(ステップS230)、計算したトルク制限Tm2min,Tm2maxにより仮トルクTm2tmpを制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS240)、設定したエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信し(ステップS250)、駆動制御ルーチンを終了する。
次に、変速機60の変速制御について説明する。図7の変速制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセル開度Accと車速Vと変速機60の変速段Sとを入力し(ステップS300)、入力したアクセル開度Accと車速Vと変速マップとに基づいて目標変速段S*を設定する(ステップS310)。変速マップの一例を図13に例示する。そして、設定した目標変速段S*と入力した変速機60の変速段Sとを比較し(ステップS320)、同一であるときには、変速機60の変速段を変速する必要はないと判断して変速制御ルーチンを終了する。
一方、目標変速段S*と変速機60の変速段Sとが異なるときには、エンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内となったことによるアップシフトが行なわれたか否かを判定し(ステップS330)、こうしたアップシフトが行なわれていないときには、変速機60の変速段を変速する必要があると判断して変速機60の変速段を目標変速段S*に変速して(ステップS360)、変速制御ルーチンを終了する。変速機60の変速段の変速は、油圧式のアクチュエータ100の駆動によりクラッチC1,C2やブレーキB1,B2,B3に対して作用させる油圧を調節することにより行なわれる。
ステップS320で目標変速段S*が変速機60の変速段Sと異なると判定され、ステップS330でエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内となったことによるアップシフトが行なわれたと判定されたときには、アクセル開度Accの変化量ΔAccが閾値Aref未満であるか否かを判定し(ステップS340)、アクセル開度Accの変化量ΔAccが閾値Aref以上のときにはアップシフトが行なわれてもその後に運転者がアクセルペダル83を操作したことにより変速機60の変速段を変速する必要があると判断して変速機60の変速段を目標変速段S*に変速して(ステップS360)、変速制御ルーチンを終了する。ここで、閾値Arefは、エンジン22の目標回転数Ne*がある程度変更される程度の値としてを用いることができる。一方、アクセル開度Accの変化量ΔAccが閾値Aref未満のときにはアップシフトが行なわれて所定時間経過するのを待って(ステップS350)、変速機60の変速段を目標変速段S*に変速して(ステップS360)、変速制御ルーチンを終了する。このように、アップシフトが行なわれて所定時間経過するのを待つのは、変速機60の変速段の変速により、再びエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内となるのを回避するためである。このため、所定時間は、例えば数秒程度を用いることができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内となるときには、変速機60の変速段をアップシフトしてモータMG2の出力トルクを値0を含む所定領域の範囲外することにより、エンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内となるときにモータMG2のトルクが反転することによって生じ得るガタ詰めによる異音の発生を抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、4段の変速段をもって変速可能な変速機60を用いるものとしたが、変速段は4段に限られるものではなく、2段以上の変速段をもって変速可能な変速機であればよい。また、変速機60は無段変速機であってもよい。この場合、エンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内となるときには、仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲外となるよう無段変速機の変速比を変更すればよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、上述した式(4),(5)を満たす範囲内でモータトルクTm1tmpを制限するトルク制限Tm1min,Tm1maxを求めてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共に式(7),(8)によりトルク制限Tm2min,Tm2maxを求めてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定したが、式(4),(5)を満たす範囲内によるトルク制限Tm1min,Tm1maxの制限を受けることなくモータトルクTm1tmpをそのままモータMG1のトルク指令Tm1*として設定すると共にこのトルク指令Tm1*を用いて式(7),(8)によりトルク制限Tm2min,Tm2maxを求めてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定するものとしても構わない。この他、モータMG2の回転数Nm2や予想モータ回転数Nm2estを用いてバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*Tm2*を設定するものであれば、如何なる手法を用いるものとしても構わない。
実施例では、本発明の最良の形態としてハイブリッド自動車20として説明したが、こうした自動車に限定されるものではなく、自動車以外の車両の形態としてもよいし、車両の制御方法の形態としても構わない。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、変速機60が「変速伝達手段」に相当し、車速センサ88が「車速検出手段」に相当し、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に要求される要求トルクTd*を設定する図6の駆動制御ルーチンのステップS110の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「要求駆動力設定手段」に相当し、アクセル開度Accと車速Vと変速マップとに基づいて目標変速段S*を設定する図7の変速制御ルーチンのステップS310の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「目標変速比設定手段」に相当し、要求トルクTd*に駆動軸36の回転数Ndを乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として要求パワーPe*を設定すると共に設定した要求パワーPe*とエンジン22を効率よく動作させる動作ラインとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する図6の駆動制御ルーチンのステップS120,S130の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「目標運転ポイント設定手段」に相当し、そのときの変速機60の変速段でエンジン22を目標回転数Ne*,目標トルクTe*で運転すると共に要求トルクTd*が駆動軸36に出力されるようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にモータMG2から出力すべき仮トルクTm2tmpを設定するとエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内となるときには、変速機60の変速段をアップシフトしてエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*はこもり音領域にあるがモータMG2の出力トルクを値0を含む所定領域の範囲外として要求トルクTd*が駆動軸36に出力されるようモータMG1のトルク指令Tm1*とモータMG2のトルク指令Tm2*とを設定して送信する図6の駆動制御ルーチンのステップS140〜S250の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてエンジン22を制御するエンジンECU24とトルク指令Tm1*,Tm2*とに基づいてモータMG1,MG2を制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機であっても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる作動作用を有するものなど、内燃機関の出力軸と発電機の回転軸と出力軸および回転軸とは異なる軸である動力軸の3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「蓄電手段」としては、二次電池としてのバッテリ50に限定されるものではなく、キャパシタなど、発電機および電動機と電力のやりとりが可能であれば如何なるものとしても構わない。「変速伝達手段」としては、4段変速の変速機60に限定されるものではなく、2段以上の変速機としたり、無段変速機とするなど、車軸に連結された駆動軸と動力軸との間で変速比の変更を伴って動力を伝達するものであれば如何なるものとしても構わない。「車速検出手段」としては、車速センサ88に限定されるものではなく、駆動輪や従動輪に取り付けられた車輪速センサからの信号に基づいて演算するものなど、車速を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「要求駆動力設定手段」としては、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定するものに限定されるものではなく、アクセル開度Accだけに基づいて要求トルクを設定するものや走行経路が予め設定されているものにあっては走行経路における走行位置に基づいて要求トルクを設定するものなど、走行に要求される要求駆動力を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「目標変速比設定手段」としては、アクセル開度Accと車速Vと変速マップとに基づいて目標変速段S*を設定するものに限定されるものではなく、要求駆動力と車速とに基づいて変速伝達手段の目標とする目標変速比を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「目標運転ポイント設定手段」としては、要求トルクTd*に駆動軸36の回転数Ndを乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として要求パワーPe*を設定すると共に設定した要求パワーPe*とエンジン22を効率よく動作させる動作ラインとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定するものに限定されるものではなく、要求パワーPe*とエンジン22から大きなトルクを出力する動作ラインとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定するものとしたり、要求パワーPe*とある程度のこもり音領域を避けながらエンジン22を効率よく動作させる動作ラインとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定するものとしたりするなど、要求駆動力と所定の制約とに基づいて内燃機関を運転すべき目標運転ポイントを設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、そのときの変速機60の変速段でエンジン22を目標回転数Ne*,目標トルクTe*で運転すると共に要求トルクTd*が駆動軸36に出力されるようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にモータMG2から出力すべき仮トルクTm2tmpを設定するとエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内となるときには、変速機60の変速段をアップシフトしてエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*はこもり音領域にあるがモータMG2の出力トルクを値0を含む所定領域の範囲外として要求トルクTd*が駆動軸36に出力されるようモータMG1のトルク指令Tm1*とモータMG2のトルク指令Tm2*とを設定してエンジン22やモータMG1,MG2,変速機60を制御するものに限定されるものではなく、設定された目標運転ポイントで内燃機関が運転されると共に変速伝達手段が設定された目標変速比で動力の伝達を行なって設定された要求駆動力によって走行するよう内燃機関と発電機と電動機と変速伝達手段とを制御する通常制御を実行すると内燃機関が振動やこもり音を生じる所定運転領域で運転されると共に電動機から出力するトルクが値0を含む所定トルク範囲内となる特定運転状態となるときには、設定された目標運転ポイントで内燃機関が運転されると共に変速伝達手段が設定された目標変速比とは異なる変速比で動力の伝達を行なって設定された要求駆動力によって走行するよう内燃機関と発電機と電動機と変速伝達手段とを制御する特定運転状態用制御を実行するものであれば如何なるものとしても構わない。例えば、設定された目標運転ポイントで内燃機関が運転されると共に変速伝達手段が設定された目標変速比で動力の伝達を行なって設定された要求駆動力によって走行するよう内燃機関と発電機と電動機と変速伝達手段とを制御する通常制御を実行すると内燃機関が振動やこもり音を生じる所定運転領域で運転されると共に電動機から出力するトルクが値0を含む所定トルク範囲内となる特定運転状態とはならないときには、通常制御を実行するものとしてもよいし、通常制御とは異なる制御を実行してもよい。即ち、特定運転状態とはならないときには、基本的には通常制御を実行するが、特定運転状態とはならないときでも通常制御とは異なる制御を実行するものとしてもよいのである。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、動力出力装置や車両、駆動装置の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 エンジン22の構成の概略を示す構成図である。 変速機60の構成の概略を示す構成図である。 バッテリ50における電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す説明図である。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される変速制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する様子を示す説明図である。 変速機60が2速の状態のときの動力分配統合機構30および変速機60の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を示す説明図である。 トルク制限Tm1min,Tm1maxの一例を示す説明図である。 変速機60が2速の状態でエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*がこもり音領域にあり且つ仮トルクTm2tmpが閾値Trefにより値0を含む所定領域の範囲内となった際の共線図とこの状態からアップシフトして変速機60を3速の状態としたときの共線図の一例を示す説明図である。 変速マップの一例を示す説明図である。
符号の説明
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、36 駆動軸、37 回転数センサ、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 変速機、62,64,66 遊星歯車機構、62s,64s,66s サンギヤ、62c,64c,66c キャリア、62r,64r,66r リングギヤ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、24a,72 CPU、24b,74 ROM、24c,76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、100 アクチュエータ、102 オイルポンプ、104 油圧供給部、106 油圧センサ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、135a 空燃比センサ、135b 酸素センサ、136,スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、143 圧力センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、150 可変バルブタイミング機構、MG1,MG2 モータ、C1,C2 クラッチ、B1,B2,B3 ブレーキ。

Claims (6)

  1. 内燃機関と、
    動力を入出力可能な発電機と、
    前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸と前記出力軸および前記回転軸とは異なる軸である動力軸の3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
    前記動力軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
    車軸に連結された駆動軸と前記動力軸との間で変速比の変更を伴って動力を伝達する変速伝達手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、
    走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
    前記設定された要求駆動力と前記検出された車速とに基づいて前記変速伝達手段の目標とする目標変速比を設定する目標変速比設定手段と、
    前記設定された要求駆動力と所定の制約とに基づいて前記内燃機関を運転すべき目標運転ポイントを設定する目標運転ポイント設定手段と、
    前記設定された目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記変速伝達手段が前記設定された目標変速比で動力の伝達を行なって前記設定された要求駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する通常制御を実行すると前記内燃機関が振動やこもり音を生じる所定運転領域で運転されると共に前記電動機から出力するトルクが値0を含む所定トルク範囲内となる特定運転状態となるときには、前記設定された目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記変速伝達手段が前記設定された目標変速比とは異なる変速比で動力の伝達を行なって前記設定された要求駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する特定運転状態用制御を実行する制御手段と、
    を備える車両。
  2. 前記制御手段は、前記特定運転状態用制御として、前記変速伝達手段が、前記電動機から出力するトルクが前記所定トルク範囲外となる変速比で動力の伝達を行なうよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する手段である請求項1記載の車両。
  3. 前記制御手段は、前記特定運転状態用制御として、前記変速伝達手段が前記設定された目標変速比より前記動力軸の動力を前記駆動軸に伝達する際の減速比としたときに小さな減速比となる変速比で動力の伝達を行なうよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する手段である請求項1または2記載の車両。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載の車両であって、
    前記変速伝達手段は、有段変速機であり、
    前記目標変速比設定手段は、前記変速伝達手段の変速段を設定する手段であり、
    前記制御手段は、前記特定運転状態用制御として、前記変速伝達手段が前記目標変速比として設定された変速段より1段だけアップシフト側の変速段で動力の伝達を行なうよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する手段である、
    車両。
  5. 前記所定の制約は、同一のパワーを出力するときに最も効率のよい運転ポイントで運転する制約である請求項1ないし4いずれか記載の車両。
  6. 内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸と前記出力軸および前記回転軸とは異なる軸である動力軸の3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記動力軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、車軸に連結された駆動軸と前記動力軸との間で変速比の変更を伴って動力を伝達する変速伝達手段と、を備える車両の制御方法であって、
    (a)走行に要求される要求駆動力と車速とに基づいて前記変速伝達手段の目標とする目標変速比を設定すると共に前記要求駆動力と所定の制約とに基づいて前記内燃機関を運転すべき目標運転ポイントを設定し、
    (b)前記設定した目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記変速伝達手段が前記設定した目標変速比で動力の伝達を行なって走行に要求される要求駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する通常制御を実行すると前記内燃機関が振動やこもり音を生じる所定運転領域で運転されると共に前記電動機から出力するトルクが値0を含む所定トルク範囲内となる特定運転状態となるときには、前記設定した目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記変速伝達手段が前記設定した目標変速比とは異なる変速比で動力の伝達を行なって前記要求駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する特定運転状態用制御を実行する、
    ことを特徴とする車両の制御方法。
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