JP2008230064A - 液体収容容器及び記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウェットワイピングを行うためのユニットを搭載したインクジェット記録装置において、ウェット液のもれを防止する。
【解決手段】ウェットワイピングに用いられる液体を収容する液体収容容器であって、前記液体を一部に保持する吸収体20を有し、該吸収体20の前記液体の非保持部には、水溶性の不揮発性溶剤が付着している。
【選択図】図4

Description

本発明は、インクを吐出する吐出口を備えた記録ヘッドの回復装置を備えたインクジェット記録装置に用いられる液体主要容器に関する。詳しくは、吐出口が形成されている吐出口面を払拭して記録ヘッド性能とプリント品質を維持させるために、ワイパーを用いて吐出口面のインク等を除去する払拭装置を備えたインクジェット記録装置に用いられる液体主要容器に関する。
記録装置として、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する記録装置、或いはコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置等が用いられている。これらの記録装置は、記録情報に基づいて紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の記録媒体に画像(文字や記号等を含む)を記録するものである。そのうち、インクジェット式の記録装置(以下、単に記録装置とも言う)は、記録手段としての記録ヘッドから記録媒体へインクを吐出して記録を行うものである。このインクジェット式の記録装置は、記録手段のコンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で記録することができ、普通紙に特別の処理を必要とせずに記録することができ、ランニングコストが安く、ノンインパクト方式であるため騒音が少ない。しかも、多種類のインク(例えばカラーインク)を使用してカラー画像を記録するのが容易であるなどの利点を有している。
記録ヘッドの吐出口からインクを吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子としてピエゾ素子等の電気機械変換体を用いるインクジェット記録装置がある。また、レーザー等の電磁波を照射して発熱させ、この発熱作用によってインク滴を吐出させるもの、あるいは発熱抵抗体を有する電気熱変換体によって液体を加熱するものなどがある。その中でも、熱エネルギーを利用してインクを滴として吐出する方式の記録ヘッドは、吐出口を高密度に配列することができるため高解像度の記録をすることが可能である。特に、その中でも、電気熱変換体をエネルギー発生素子として用いる記録ヘッドは、小型化が容易であり、かつ最近の半導体分野における技術の進歩と信頼性の向上性が著しいIC技術やマイクロ加工技術の長所を十分に活用できる。このため、この方式の記録ヘッドは、高密度実装化が容易で製造コストも安価である。
また、記録媒体の材質に対する要求も様々なものがある。近年では、これらの要求に対する開発が進み、通常の記録媒体である紙(薄紙や加工紙を含む)や樹脂薄板(OHP等)などの他に、布、皮革、不織布、さらには金属等を記録媒体として用いる記録装置も使用されるようになっている。
インクジェット記録装置には、記録媒体の搬送方向と交差する方向に記録ヘッドを走査しながら記録していくシリアル型の記録装置がある。また、記録媒体の幅方向の所定幅(全幅を含む)の範囲をカバーするように定位置に保持された所定長さの記録ヘッドを用いて記録していくライン型の記録装置がある。本発明はこれらの記録方式を含むいずれの記録方式の記録装置においても適用可能なものである。上記シリアル型の記録装置は、通常、記録媒体を所定の記録位置に搬送し、この搬送方向と交差する方向に走査するキャリッジ上に搭載した記録ヘッドによる記録と所定量の紙送りとを繰り返すことにより記録媒体に画像(文字や記号等を含む)を形成する。
上記のようなインクジェット記録装置においては、記録動作によって記録ヘッドの吐出口面(以下、フェイス面とも言う)にインク滴、ごみ、ほこり、紙粉等の異物が付着することがある。このため、これらの異物を除去するためにクリーニング部材によりフェイス面をクリーニング(例えば摺擦による拭き取り)することが行われている。前記クリーニング部材としては、通常、ゴム状弾性材から成るゴムブレード等の可撓性部材が使用される。また、記録ヘッドの吐出口近傍のインクが乾燥し、インクの増粘、固着、堆積により吐出口の目詰まりが生じることがある。さらに、吐出口内部に発生した気泡やゴミ等によっても吐出口の目詰まりが生じることがある。これらの目詰まりを回復する方法として、例えば、キャッピング部材を用いてインクの吐出口部に密閉空間を形成し、ポンプを用いてこの密閉空間に所定の負圧吸引力を発生させることにより吐出口からインクを強制的に排出する吸引回復方法が採られている。また、吸引回復を行ったことによってフェイス面に付着したインクを除去するために、クリーニング部材により該フェイス面をクリーニング(拭き取り)することも行われている。
また、これらのインクジェット記録装置に用いるインクとしては、従来は水性染料インクを用いたものが主流であった。しかし、染料インクはそもそも染料の分子が小さいがゆえに耐光性、耐ガス性といったいわゆる耐候性が不十分となる場合があり、記録物の色味が経時的に変化してしまうという問題があった。そこで近年、水性染料インクに代わり水性顔料インクが実用化されてきている。現在用いられている顔料インクは、顔料の粒径がおよそ100nm程度と染料分子に比較してはるかに大きいため、光やオゾンの影響を受けたとしても色材の退色が顕著ではなく、一般的に耐候性は染料インクに比較してはるかに良好である。
図6及び図7を用いて、このようなインクジェット記録装置における、従来の記録ヘッド回復装置及び記録ヘッド回復方法について説明する。図6は従来のインクジェット記録装置の記録ヘッド回復装置を前面方向から見て示す模式的正面図であり、図7は図6の記録ヘッド回復装置を側面から見て示す模式的側面図である。図6及び図7において、1Aは普通紙に好適な、いわゆる上乗せタイプの表面張力の高いブラック(Bk)顔料インクを吐出するBkヘッドである。1Bはインクジェット光沢紙や写真用紙等に好適な、いわゆる浸透タイプの表面張力の低いカラー顔料インク(ここではシアン、マゼンタ、イエローの3色である)を吐出するカラーヘッドである。なおヘッド1Bのこれらのインクはインクジェット記録媒体上でのインクの定着のために樹脂を添加することが多い。2はBk ヘッド1A及びカラーヘッド1Bを位置決め保持する主走査キャリッジであり、3は記録走査方向である矢印A及びF方向に往復移動可能な状態でキャリッジ2を案内保持する走査レールである。
さらに、4AはBkヘッド1Aの吐出口部1Aaをキャッピングすることにより密閉空間を形成するゴム状弾性材のキャップ(Bk ヘッド用のキャップ)である。また、4Bはカラーヘッド1Bの吐出口部1Baをキャッピングすることにより密閉空間を形成するゴム状弾性材のキャップ(カラーヘッド用のキャップ)である。これらのキャップ4A、4Bは、不図示の駆動源によりキャッピング方向(矢印B方向)及び非キャッピング方向(矢印C方向)に移動可能に不図示のホルダ部材に位置決め保持されている。そして、これらによって顔料インク用記録ヘッドのキャッピング手段が構成されている。
図6及び図7において、前記キャップ4A、4Bのそれぞれの内部には、インクを吸収保持するためのインク吸収部材9A、9Bが設けられている。また、吐出口部1Aa、1Baにインクが増粘して固着堆積することを防止するために、記録(プリント)中でも、これらの吐出口から所定の時間間隔でインク吸収部材9A、9Bに対して吐出が行われる。5AはBkヘッド用の吸引手段としての吸引ポンプであり、5Bはカラーヘッド用の吸引ポンプである。これらの吸引ポンプにより、キャッピング状態で吐出口部1Aa、1Baに所定の吸引圧(負圧)を発生させ、第1チューブ6A、6Bを介して吐出口部1Aa、1Baから強制的にインクを吸引する。そして、吸引したインクを第2チューブ7A、7Bを介して廃インク処理部材8へ排出する。このように吸引回復(回復処理)が行われている。10AはBkヘッド用のワイパーであり、10Bはカラーヘッド用のワイパーである。ワイパー10A、10Bは、不図示の駆動源により図7中、矢印D及び矢印Eの方向に移動可能であり、矢印D方向の移動により吐出口部1Aa、1Baを含むフェイス面を摺擦して([1]→[2]→[3]点線部)クリーニングを行う。クリーニングが終了した後さらに矢印D方向に移動すると、ワイパー10A、10Bはクリーナ11A、11Bに当接する([4]点線部)。この当接により、フェイス面から掻きとられてワイパー10A、10Bに付着したインク滴、ごみ、ほこり、紙粉等は、対応するクリーナ11A、11Bに転写される(移行する)ことで回収される。この時、キャッピング手段のキャップ4A、4Bは、不図示の駆動源により矢印C方向に移動し、クリーニング手段のワイパー10A、10Bと干渉しない位置(不図示)まで移動している。
ここで従来の記録ヘッド回復装置及び記録ヘッド回復方法並びに記録ヘッド回復を実施するインクジェット記録装置においては、染料インクを用いる場合より顔料インクを用いる場合のほうが、インクが増粘・固着するまでの時間が短い傾向にある。また、一般的に、ワイパーによる掻き取り性(又は拭き取り性)も顔料インクを用いる場合のほうが低下する。そのため、記録ヘッドのフェイス面にワイパーを摺擦させて掻き取っても、該フェイス面にインクが薄膜状に堆積し、固着してしまう場合がある。その結果、クリーニング動作では記録ヘッド回復を行うことができないか、きわめて困難となる場合があった。
通常、水性の染料インクでは染料そのものをそのまま水溶液中に分散(溶解)しているが、水性の顔料インクで一般的に使用される顔料粒子は疎水性であるためにそのままでは水には分散しない。そのため、顔料粒子に樹脂や活性剤等を吸着させて顔料を親水性とし、水溶液中に分散させている。あるいは顔料粒子の表面に親水性の官能基を持たせることで水溶液中に自己分散させている。
そして顔料粒子そのものが疎水性であるため、染料インクを使用した場合と比較して、記録ヘッドから顔料インクを吐出させたときは、フェイス面が顔料インクでヌレやすくなってしまう性質を持っている。また前述した樹脂を用いて顔料を分散させている、いわゆる樹脂分散顔料インクでは、顔料だけでなく樹脂もフェイス面を濡らし易いため、フェイス面のヌレが一層顕著である。また顔料粒子がフェイス面に存在する状態で前述したワイピング動作を行うことによるフェイス面へのダメージ(削れ)等もフェイス面をヌレやすくする一因である。
このようにしてフェイス面にヌレが生じた場合、インクの吐出する方向性が安定しなくなり、インクが記録媒体上に着弾する位置精度が低下し、画像品位が低下する。
上記の問題に対して、記録ヘッドのフェイス面に顔料インクを弾くいわゆる撥水処理を施した記録ヘッドを用いれば、初期は吐出の方向性は安定する。しかし、顔料インク等のヌレやすいインクを用いた場合、徐々に撥水性が劣化するため吐出の方向性は不安定となる。一方、記録ヘッドの吐出特性維持のために行なわれるワイピングによって、ヌレやすい顔料インクをフェイス面の広い範囲に広げてしまう場合がある。そのためフェイス面の撥水性は劣化し、画像品位の劣化を生じてしまう。
一方、顔料インク用の記録ヘッドとして、吐出口周辺のみを最初から親水化したような記録ヘッドも提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、吐出口面の撥水性又は親水性等の性質は、長期間維持できるものではなく、経時的に劣化していく。比較的知られているUVオゾン処理等でも、処理直後は親水性を有するが時間と共にその親水の程度が変化してしまうことがある。
このようなフェイス面の撥水性能若しくは親水性能の変化を低減するために、いわゆるウェットワイピングと言う技術が知られている(特許文献2参照)。これはフェイス面を払拭するワイパーに、例えばグリセリンやポリエチレングリコール等の揮発性が極めて低くかつ吸湿性のある溶剤等を含む液体(ウェット液)を付着させてフェイス面を払拭する技術である。このウェットワイピングにより、フェイス面のクリーニングとフェイス面の撥水性低下の防止とを両立するものである。ウェット液はその作用として、フェイス面に蓄積されたインク増粘物や増膜物を溶解する作用、ワイパーとフェイス面との間に介在することによる潤滑材としての作用、フェイス面にウェット液を付着させることでフェイス面保護のための膜を形成する作用がある。詳細な説明は後述するとして、以下にウェットワイピングの構成の一例を記す。
図7にウェットワイピングの構成を示す。クリーナ11A、11Bよりも図中右側のワイパー折り返し位置近傍にウェットワイピングのユニットは設けられている。22はユニット外装部である。20はウェット液保持部で繊維状の吸収体である。21はウェット液の伝達部であり、ワイパー10A、10Bへとウェット液を付着させるためにウェット液保持部20からウェット液を伝達する。21aはワイパー10A、10Bが当接しウェット液をこれらワイパーに付着させる当接部である。ウェット液は湿度の上昇により吸湿するため、ウェット液保持部20及び当接部21aの体積は吸湿後の増量したウェット液を保持するのに十分な体積を有している。
ワイパー10A、10Bは図中左側から11A、11Bのクリーナにて清掃された後、清掃部材を通過してウェットワイピングのユニットに達する([4]→[5]→[6]の動作)。ワイパー10A、10Bは矢印D及び矢印E方向に往復移動するが、折り返し位置にてワイパー10A、10Bが図の[6]のように当接部21aに当たるよう配置されている。そして当接部21aにて所定のニップ幅分に応じてウェット液が付着する(以下、当接部からワイパーへのウェット液の移動、ワイパーへの付着のことを「ウェット液の転写」と言う)ようにしたものである。
しかしながら、ウェット液保持部20の吸収体がウェット液の吸湿後の体積を保持できる体積を有していたとしても、吸収体の濡れ性によっては吸湿による体積増加時にウェット液が吸収体に吸収されにくい。このため、ウェットワイピングのユニットからウェット液が漏れてしまうという問題があった。また、濡れ性のよい吸収体を用いること、若しくは吸収体に表面処理を行うことにより濡れ性を向上させることもできるが、これらの場合吸収体の選択性が狭まり、高コストとなってしまうという問題があった。

特開平11−334074号公報 特開平10−138502号公報
上記のようにウェットワイピングを行うためのユニットを搭載したインクジェット記録装置においては、ウェット液の吸湿によってウェット液のもれが発生してしまうという問題があった。
そこで本発明の目的は、上記に鑑みウェットワイピングを行うためのユニットを搭載したインクジェット記録装置で用いられる液体収容容器であって、低コストでウェット液の吸湿によるウェット液のもれを防止した液体収容容器を提供することにある。また、この液体収容容器に収容されたウェット液を用いてインクジェット記録ヘッドの吐出口面を払拭する手段を備えている記録装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、吸湿性のある不揮発性溶剤を含有し、インクジェット記録ヘッドの吐出口面を払拭するために用いられる液体を収容する液体収容容器であって、
開放部を有し、前記液体を収容する液室と、
前記液室の少なくとも一部の空間に備えられ、前記液体を一部に保持する第1の吸収体と、
前記第1の吸収体よりも毛管力が強く前記開放部に備えられる第2の吸収体とを有し、
前記第1の吸収体における前記液体の非保持部には、水溶性の不揮発性溶剤が付着していることを特徴とする液体収容容器である。
また、上記課題を解決するための別の本発明は、前記液体収容容器を用いてインクジェット記録ヘッドの吐出口面を払拭する手段を備えていることを特徴とする記録装置である。
本発明によれば、ウェットワイピングを行うためのユニット(ウェットワイピングユニット)を搭載したインクジェット記録装置で用いられる液体収容容器であって、低コストでウェット液の吸湿によるウェット液のもれを防止した液体収容容器を提供できる。また、この液体収容容器に収容されたウェット液を用いてインクジェット記録ヘッドの吐出口面を払拭する手段を備えている記録装置を提供できる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」とも称する)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も表すものとする。また、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
また、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成又は記録媒体の加工、或いはインクの処理に供され得る液体を表すものとする。インクの処理としては、例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固又は不溶化させることが挙げられる。
図1は本発明のウェットワイピング機構を採用したインクジェット記録装置(以下、単に記録装置とも言う)の概略図である。図1中、35はウェットワイピングを行うためのユニットを含む回復装置である。
以下、[1]本体の概略動作説明、[2]回復装置の概要、[3]記録ヘッドの概要、[4]ウェットワイピングユニットを含む回復装置の詳細な動作説明、[5]ウェットワイピングに関する重要部分の説明、[6]ウェット液のもれ発生の説明をする。この順に本発明に用いられるウェットワイピング機構に関して説明し、その後に吸収体の濡れ性向上に関する実施例を記す。
[1]本体の概略動作説明
図1にて記録用紙等の記録媒体30は、給紙ローラ31によって装置本体内に搬送され、紙送りローラ32上でピンチローラ(不図示)及び紙押え板33により挟持される。そして、該紙送りローラ32の回転を制御することにより前記Bkヘッド1A及び前記カラーヘッド1Bで構成される記録手段としての記録ヘッド1の吐出口面(図中の下面)から所定の隙間をおいた位置を通して搬送される。そして、その間に記録情報に基づいて記録ヘッド1を駆動することにより画像が記録される。キャリッジ2の移動範囲内であって、記録領域を外れた位置(図中の右側端部)には、該キャリッジ2のホームポジションHPが設定されている。
[2]回復装置の概要
前記ホームポジションHPの近傍には、記録ヘッド1の回復装置35が配設されている。回復装置35は、Bkヘッド1A及びカラーヘッド1Bの吐出口面(以下、フェイス面とも言う)に当接して吐出口を密封することが可能なゴム状弾性材のキャップを有するキャッピング手段を備えている。また、キャッピング状態で該キャップを介して前記吐出口に負圧吸引力を発生させ得る吸引ポンプを含む吸引手段を備えている。さらに、前記Bkヘッド1A及びカラーヘッド1Bのヘッド面に摺擦してインクやほこり等の付着物を掻き取る(拭き取る)ためのワイパーを含むクリーニング手段などを備えている。この回復装置35は、記録ヘッド1の吐出口部をキャッピングした状態で吸引ポンプによりキャップ内に負圧を発生させる。そして、この負圧により吐出口からインクとともに増粘インク、気泡、固着インク、ほこり等の異物を吸い出して排出除去することにより、記録ヘッド1のインク吐出性能を回復させる回復動作を実行する。
図8は図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
図8に示すように、コントローラ600は、MPU601、後述するウェットワイピングにおける制御シーケンスに対応したプログラム等のプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納したROM602を有する。また、キャリッジモータ650の制御、搬送モータ651の制御、及び、記録ヘッド1の制御のための制御信号を生成する特殊用途集積回路(ASIC)603を有する。また、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等を設けたRAM604、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行うシステムバス605を有する。さらに、以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU601に供給するA/D変換器606などで構成される。
また、図8において、610は画像データの供給源となるコンピュータ等でありホスト装置と総称される。ホスト装置610と記録装置との間ではインタフェース(I/F)611を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等を送受信する。
また、620はスイッチ群であり、電源スイッチ621、プリント開始を指令するためのプリントスイッチ622、及び回復処理の起動を指示するための回復スイッチ623など、操作者による指令入力を受けるためのスイッチなどから構成される。630はフォトカプラなどの位置センサ631、温度センサ210等から構成されるセンサ群である。
また、640はキャリッジモータ650を駆動させるキャリッジモータドライバ、642は搬送モータ651を駆動させる搬送モータドライバである。また、644は、記録ヘッド1を駆動させるヘッドドライバである。
さらに、35は前述のとおり記録ヘッド1の回復装置であり、ウェットワイピングを行うためのワイパー及びウェットワイプユニット等を備えている。
[3]記録ヘッドの概要
記録手段(記録ヘッド)としての前記Bkヘッド1A及び前記カラーヘッド1Bは、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録ヘッドであって、熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたものである。また、Bkヘッド1A及びカラーヘッド1Bはそれぞれ、前記電気熱変換体により印加される熱エネルギーによってインク内に膜沸騰を生じさせ、その時に生じる気泡の成長、収縮による圧力変化を利用して吐出口よりインクを吐出させ、記録を行うものである。
[4]ウェットワイピングユニットを含む回復装置の詳細な動作説明
図1の回復装置35はウェットワイピングユニットを含むが、これに関しては後述する回復装置の説明で詳細に説明する。回復装置35及びこれを用いたウェットワイピングの基本的なメカ構成やシーケンス動作は従来例で説明したものと同じであるので図6及び図7を用いて説明する。
図6はキャップクローズ状態での回復装置35の模式的正面図である。図6は記録装置の電源Off時又はスタンバイ時の回復装置の状態を示している。また、Bkヘッド1A(インク吐出口1Aa)をBkヘッド用のキャップ4Aに対向させ、かつ、カラーヘッド1B(インク吐出口1Ba)をカラーヘッド用のキャップ4Bに対向させたキャッピング状態を示している。
通常、記録装置の電源Off時やスタンバイ時は、キャップはこのように記録ヘッドを保護するポジションにあって、記録ヘッドの吐出口へのゴミ等の付着や、吐出口からの水分蒸発を抑制している。記録信号を受信するとBkヘッド用のキャップ4A及び、カラーヘッド用キャップ4Bは図6中矢印C方向に下降し、キャップオープン状態となりキャリッジが走査可能な記録可能状態となる。
図7はキャップオープン状態での回復装置35の模式的側面図である。
記録は走査レール3に沿ってキャリッジ2を走査して行うが、記録中の回復動作としてキャップ上へ予備吐出することがあげられる。9A、9Bは前述のキャップ4A、4B内に設けられたインク吸収部材であり、これらのインク吸収部材9A、9Bは、インクを吸収、保持することができる多孔質材料又はスポンジ状材料などで形成されている。記録中のキャップオープン状態では、キャップ4A、4Bを記録ヘッド1A、1Bから離間した位置に位置決め保持し、記録ヘッド1A、1Bの吐出口1Aa、1Baから前記インク吸収部材9A、9Bに向けてインクを吐出する予備吐出が行われる。
この予備吐出は、記録途中で吐出口部1Aa、1Baにおけるインクが増粘、固着することを防止するための操作であり、通常所定の時間間隔で行われる。なお、この予備吐出は不図示の予備吐出受け手段に向けて行ってもよい。この予備吐出受け手段は、例えば、容器やインク吸収部材などで構成することができる。
次に図6、図7を用いて通常の記録ヘッド回復動作について説明する。図6に示すようにキャップ4A、4Bを記録ヘッド1A、1Bに当接させたキャッピング状態において、記録ヘッド1A、1Bの吐出口1Aa、1Baに所定の吸引負圧を発生させる。このことで、第1チューブ6A、6Bを介して吐出口部1Aa、1Baよりインクを強制的に吸引するとともに、吸引したインクを第2チューブ7A、7Bを介して廃インク処理部材8へ排出するという吸引回復が行われる。前記吸引ポンプ5A、5Bはこのような吸引回復を行うためのものである。また、この吸引回復は、記録開始直前や、記録中の所定時間毎に又は記録動作毎に、或いは記録ヘッドの回復動作が必要になったことを検知したときなどに、必要に応じて実行されるものである。
Bkヘッド用のワイパー10A及びカラーヘッド用のワイパー10Bは、ウレタン、ブチル、シリコン等のゴム状部材、多孔質状部材、スポンジ状部材で形成されている。ワイパー10A、10Bは不図示の駆動源により矢印D及び矢印E方向に移動可能であり、矢印D方向の移動により吐出口部1Aa、1Baを含むフェイス面を払拭し(図7中の[1]→[2]→[3]の動作)、該フェイス面のワイピングを行う。ワイピングが終了しさらに矢印D方向に移動すると、ワイパー10A、10Bはクリーナ11A、11Bに当接する(図7中の[4]の位置)。つまり、ワイパー10A、10Bがクリーナ11A、11Bに当接することにより、フェイス面から掻きとられたインク滴、ごみ、ほこり、紙粉はワイパー10A、10Bからクリーナ11A、11Bへ移行し回収される。この時、キャップ4A、4Bは不図示の駆動源により矢印C方向に移動させられ、ワイパー10A、10Bと干渉しない位置(不図示)まで移動している。
図7にウェットワイピングを行うための構成を示す。クリーナ11A、11Bよりも右側のワイパー折り返し位置近傍に、本発明のウェットワイピングのユニットでありウェット液を収容する液体収容容器が設けられている。20はウェット液保持部であり、その一部にウェット液を保持している。21はウェット液の伝達部であり、21aはワイパーが当接しウェット液をワイパーに付着させる当接部である。22はウェット液保持部20及びウェット液の伝達部21を保持している液室としてのウェットワイプユニット外装であり、その一部に開放部を有し、伝達部21をこの開放部に備えている。
ワイパー10A、10Bは図中左側からクリーナ11A、11Bにて清掃された後、これらクリーナを通過してウェットワイピングのユニットに達する(図7中の[4]→[5]→[6]の動作)。ワイパー10A、10Bは矢印D及び矢印E方向に往復移動するが、折り返し位置にてワイパー10A、10Bが図7中の[6]のように当接部に当たるよう配置されている。そして当接部にて所定のニップ幅分に応じてウェット液を転写する。
ウェット液の転写の後に、ワイパー10A、10Bは再び図7中の[6]の位置から[1]の位置へと戻りワイパー10A、10Bの待機位置にて停止する。ただしこのときはクリーナ11A、11Bは、図示しない機構によって退避するように設けられている。またキャリッジ2もワイピング位置から移動して、ワイパー10A、10Bのワイピング面とは反対側の面で記録ヘッドのフェイス面を払拭することがないようにしている。すなわち図7中の[6]→[5]→[3]→[1]のような動作にて、ワイパー10A、10Bは停止位置[1]に戻ることになる。
上記のような構成の回復装置では初回のワイピング時は、ウェット液がワイパー10A、10Bに転写していない状態でワイピング(ドライワイピング)することになる。そして、初回のワイピング時における一連の動作によりワイパー10A、10Bに転写したウェット液を用いて、次回はウェットワイピングを行うことになる。ここで、ウェット液はグリセリンやポリエチレングリコール等の水溶性で非常に蒸発しにくい(不揮発性)溶剤等を主成分としたものとした。こうすることで、次回のワイピング時にも蒸発して消失していることはなくなる。また、ウェット液を通常のインクジェットプリンタに用いられるインクよりはるかに高い粘度とした。こうすることで、ワイパー10A、10Bに付着した後に流失してしまうこともなくなる。なお、初回1回のみのドライワイピングによるフェイス面の状態変化は、インクジェットプリンタの本体寿命までの間に行われるワイピング回数後のフェイス面の状態変化に比較すると無視できるものである。
なお本発明は上記のような構成に限るものではなく、前述の特許文献2に示されるような、回転ワイパーを用いたウェットワイピングの機構を有するインクジェットプリンタに対しても有効である。或いは上記のようなワイパーがスライド移動するタイプの他の構成に対しても有効である。具体的には、例えば、図7中の[5]と[6]の間に折り返し位置を設け、そこから[1]の停止位置に戻ることも可能な構成である。即ち、ウェット液の転写工程を含むワイピング工程(図7中の[6]の位置まで移動してから[1]へ戻る工程)と、ウェット液の転写工程を含まないワイピング工程(図7中の[5]と[6]の間の位置にて折り返し[1]へ戻る)とを有する。このような構成においても本発明は有効である。
[5]ウェットワイピングに関する重要部分の説明
以上のような回復装置の構成において、特にウェットワイピングの構成に関する重要な要素について、すなわちウェット液やその保持部及び伝達部、記録ヘッドのフェイス面の状態、使用するインクについて説明する。
図7中、20はウェット液保持部であり、ここではポリプロピレン繊維(以下、PP繊維と称す)を所定の配向方向に幾重にも重ねてスポンジ状にしたものでウェット液を保持している。PP繊維の繊維径、繊維密度、繊維の配向方向、スポンジ状のPP繊維を装置内に組み込むときの圧縮率等は適宜選択して良い。また、PP繊維以外にもポリエチレン繊維等他の材質の繊維を使用することもでき、さらに、ウレタンスポンジ等、繊維状の材質を加工して形成されたもの以外を使用することもできる。
21はウェット液保持部20から、ウェット液を伝達し21aのワイパー当接部にウェット液を伝達する伝達部であり、当接部21aを含む。ここでは伝達部21としてはサンファインAQ900(旭化成製)を用いている。ここでウェット液保持部20と伝達部21の間で確実にウェット液の供給が行われるようにするためには、毛管力に関してウェット液保持部20の毛管力よりも、伝達部21の毛管力のほうが強くなければならない。この関係を維持しつつ、伝達部21の構成材料の平均気孔径、見かけ密度、毛管力等を適宜選択してよい。
また、ここでは、ワイパー10A、10Bの材質はポリエーテルウレタンであり、記録ヘッドはフェイス面に撥水材をコートした撥水ヘッドを用いている。
ウェット液としてはここではグリセリン80重量%、水20重量%からなるものを用いている。グリセリンそのものは蒸発しにくいが、空気中の水分を吸湿しやすく、また一旦吸湿した場合でも低湿度環境下では乾燥する特性がある。その為、図7中のウェット液保持部20や、伝達部21等は吸湿、乾燥の影響を受けにくいように、ウェットワイプユニット外装22は水蒸気透過性の低い材料で構成されている。しかしながら、ウェット液保持部20に存在するエアーの膨張収縮に耐えられるように、不図示の大気連通の細孔を設けており、この細孔を通して吸湿や蒸発が行われる。また当接部21aも空気に触れるため、当接部21aからも吸湿や蒸発が行われる。
用いるインクは、従来例と同様である。ここではBkヘッド1Aには自己分散性のBk顔料インクを用いている。これは顔料粒子の表面に親水基を持たせることで顔料粒子を分散剤を用いずに水溶液中に自己分散させたインクである。一方カラーヘッド1Bにはカラー(シアン、マゼンタ、イエロー)顔料インクを用いているが、これらは界面活性剤的な作用を持つ樹脂を用いて顔料粒子を水中に分散させているインクである。
またウェット液保持部20として必要な大きさ、すなわちウェット液の必要量から逆算されるウェット液保持部20として必要な容積については、次のように算出できる。まず、搭載する記録装置の記録可能枚数相当分の記録を行った際に行われる回数のウェットワイピングを行ったとしてもフェイス面の撥水状態に大きな変化がなく吐出液滴の着弾位置精度が許容範囲内となるのに必要なウェット液の転写量を実験等で求める。そして、この転写量に記録可能枚数相当分の記録を行った際に行われるワイピング回数を乗じた量のウェット液を少なくとも保持可能な容積とする。
例えば上記の構成を有する記録装置において、記録可能枚数は10000枚であるとする。ここで、1回のウェットワイプに1mgのウェット液をワイパーに転写した上で上記撥水ヘッドのフェイス面に塗布した場合に、記録可能枚数10000枚の記録を、フェイス面の撥水状態に大きな変化をさせることなく行うことができたとする。この場合、必要なウェット液量は10gとなる。
これに、ウェット液の密度、ウェット液保持部20のウェット液保持量、伝達部21のウェット液保持量、ウェット液使いきり時の残量等を考慮すると、必要ウェット液体積は24ccとなり少なくともこの量のウェット液を注入しておく必要がある。ウェット液保持部20の容積は、ウェット液24ccが吸湿し、例えば3倍の体積に増加しても吸湿後のウェット液を保持できる90ccの容積を持っている。
もちろんこれらの条件、すなわち1回のワイピングで必要なウェット液の量、記録可能枚数、ウェット液保持部20の容積に関しては、各記録装置の要件に応じて異なるものなので適宜設定されるべきものである。
[6]ウェット液のもれ発生の説明
上記のようにウェット液保持部が十分な保持量に相当する容積を有している場合でも、本発明の課題であるウェット液のもれが発生する過程について説明する。
図2はウェット液の吸湿や蒸発が行われる前のウェットタンクユニットとウェット液の液面を示す概略図である。図2において203はウェット液の液面を表す。
図2においてウェット液保持部20に注入されたウェット液は、伝達部21との毛管力の差から伝達部21に異動する。伝達部21が保持可能な量までウェット液の移動が行われると、それ以上の移動は行われず、残りのウェット液はウェット液保持部20に保持される。この時にウェット液保持部20に残されたウェット液の液面を203で示す。
ウェット液はその吸湿性から高湿環境に置かれると大気中の水分を吸収し、体積を増す。湿度90%の環境下で1週間経過した後は約3倍の体積にまで吸湿し、飽和することが確認できた。圧力注入等の手段でウェット液をウェットタンクユニットに注入した場合であれば、ウェット液保持部20は吸湿後のウェット液の体積(吸湿前の約3倍の体積)を保持できる容量を有してはいる。しかしながら、ウェット液保持部20を構成するPP繊維とウェット液の濡れ性から、吸湿による体積増加分はウェット液保持部20が有するウェット液の非保持部(ウェット液非充填部)に吸収されない。このため、当接部21a、又は当接部21aとウェットタンクユニット外装との隙間からウェット液があふれ出てしまう。
また、上記ウェット液の表面張力は約65dyn/cm程度であるが、吸湿後は水(表面張力:約73dyn/cm)を多く含む為、吸湿後はウェット液の表面張力が高くなり、よりウェット液保持部20に吸収されにくくなっている。
以下、本発明の特徴的な構成であるウェット液のもれを防止する種々の実施例を説明してゆく。
実施例1は、上述したウェット液保持部20を構成するPP繊維に予めウェット液を付着させることでPP繊維の濡れ性を向上させ、吸湿による体積増加分のウェット液をウェット液保持部20に吸収させるものである。
図3は従来例としてウェット液がPP繊維に付着していないウェット液保持部の拡大部を示している。また、図4は本実施例におけるウェット液保持部の拡大部を示している。
図3と図4において、ウェット液保持部20の拡大部はウェット液の液面203よりも上方のウェット液を保持していない部分の拡大図である。
図3において301はウェット液保持部を構成するPP繊維である。図3での拡大部はウェット液注入時にウェット液と接触していないため、PP繊維表面にはウェット液の付着がない。そのため、この部分のPP繊維の濡れ性はPP繊維そのものの濡れ性を有しており、ウェット液に対しての濡れ性は低い。
図4において402は該PP繊維に付着したウェット液である。図4での拡大部はウェット液注入前に予めウェット液に浸漬させている。その為、PP繊維表面にはウェット液402が残存、付着している。ウェット液402が付着したPP繊維はウェット液との濡れ性が向上しているため、ウェット液保持部はウェット液が吸湿により体積増加した場合においても付着したウェット液をつたって吸収させることによりもれを生じることなく吸収させることができる。
ウェット液を予め繊維に付着させる方法の例として、製造工程において吸収体をウェット液に浸漬させた後、吸収体を圧縮させてウェット液の抜き取りを行う方法がある。圧縮での抜き取りによって繊維間のウェット液は吸収体から排出され、繊維に付着したウェット液は残存することができる。なお、本実施例では、ウェット液としてグリセリン80重量%と水20重量%とからなる水溶液を使用した。
また、付着させる液はウェット液でなくても、ウェット液に含まれる不揮発性成分、例えば本実施例の場合ではグリセリンであっても同様の効果が得られる。
ウェット液の抜き取り方法に関しては圧縮排出以外にも、ポンプ等により負圧又は加圧排出を行っても同様の効果が得られる。また排出方法は上記の方法に限られるものではない。また、付着したウェット液は不揮発性成分を含むため、蒸発等により消失することはない。
以上のようにウェット液保持部を構成する繊維に予めウェット液を付着させて、繊維の見かけ上の濡れ性を向上させることによって吸湿による体積増加分のウェット液を吸収させることができる。
実施例2は、ウェット液保持部20を構成するPP繊維に予めウェット液と相溶性があるウェット液成分以外の不揮発性溶剤又は該不揮発性溶剤の水溶液を付着させて、PP繊維の濡れ性を向上させ、吸湿による体積増加分のウェット液を吸収させるものである。
本実施例におけるウェット液は実施例1と同じグリセリン80重量%と水20重量%とからなる水溶液である。付着させる不揮発性溶剤にはグリセリン及び水と相溶性のある分子量200〜600のポリエチレングリコールを用いた。
また、分子量200〜600のポリエチレングリコールに水を添加した水溶液であってもよい。
また、その他の付着させる不揮発性溶剤としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコール等もウェット液と相溶性がある不揮発性溶剤として用いることができる。
なお、付着の効果、及び付着方法は実施例1と同様である。
実施例3は、ウェット液に使用される不揮発性溶剤の最大吸湿量と想定される量の水を予め含有したウェット液を用いるものである。
実施例1及び実施例2ではウェット液としてグリセリン80重量%と水20重量%とからなる水溶液をもちいた。実施例3ではグリセリンと水を4:11の比率で混合したものをウェット液としてもちいる場合について説明する。
前述したようにグリセリンを湿度90%の環境下で1週間置いた場合、吸湿により約3倍にまで体積が増加した。つまり、吸湿前はグリセリン:水が4:1の水溶液であったものが、吸湿により水分のみが増加することによってグリセリン:水が4:11の水溶液になった。また、その後の時間経過による体積の増加はなかった。すなわち湿度90%以下の環境下では、グリセリン80重量%と水20重量%とからなる水溶液は、その体積の約2倍となる水分量が最大吸湿量である。本実施例で用いるウェット液も、前記水溶液の吸湿前の体積に対して約2倍の体積となる量の水分を予めさらに有している。その為、湿度90%の環境下においても吸湿による体積増加はない。別の表現をすると、このウェットタンクユニット(液体収容容器)の使用環境において、ウェット液をその成分である不揮発性溶剤が吸湿可能と想定される量の水を含有するものとすることで、吸湿による体積増加を防止し、漏れを防止する。
本実施例で用いるウェット液保持部は、実施例1と異なり予めウェット液保持部のPP繊維にウェット液を付着させておかなくてもよい。
図5は、本実施例におけるウェット液の吸湿や蒸発が行われる前のウェットタンクユニットとウェット液の液面を示す概略図である。
図5において、実施例1と同様にウェット液保持部20は90ccの体積であるが、本実施例においては実施例1の3倍の量、72ccのウェット液を注入してある。そのため、液面は図2のウェットタンクユニットよりも高い液面となっている。本実施例のウェット液は吸湿による体積増加はないため、ウェット液保持部が保持できる最大の体積を注入してもよい。
しかしながら本実施例のウェット液においては、水分蒸発による体積減少がおこる場合がある。水分蒸発によるウェット液の液面低下によりウェット液充填部分からウェット液非充填部分となった部分のPP繊維には、図4の場合と同様にウェット液が付着、残存している。すなわち、水分蒸発によりウェット液の液面が低下しても、不揮発性溶剤であるグリセリンはPP繊維に付着、残存する。実施例1と同様にウェット液若しくはウェット液成分の溶剤が付着したPP繊維は、ウェット液との濡れ性が向上している。その為、再び吸湿によりウェット液の体積が増加した時においても付着したウェット液をつたい、この体積増加分を吸収することができる。
上記各実施例では、液体収容容器の液室を構成するウェットタンクユニット外装の全ての空間に、ウェット液を保持する吸収体としてのウェット液保持部を備えた構成とした。しかし、ウェットタンクユニット外装の一部の空間にウェット液保持部を備えた構成でも良い。
以上のようにウェット液として最大吸湿量と想定される量の水を予め含有したウェット液を用いることによって吸湿させない、若しくは水分蒸発により体積が減少した後に吸湿することによって体積が増加した場合でもウェット液を吸収させることができる。
以上説明してきたように本発明によれば、ウェット液保持部のウェット液非充填部分にウェット液を付着させることにより、PP繊維等によりなるウェット液保持部の濡れ性を向上することができる。そしてこのことにより、低コストでウェット液の吸湿によるウェット液のもれを防止することが可能なインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録装置の概略構成図である。 ウェットタンクユニットとウェット液の液面を示す概略図である。 ウェット液が付着していないウェット液保持部を示す図である。 実施例1におけるウェット液保持部を示す図である。 実施例3におけるウェットタンクとウェット液の液面を示す概略図である。 従来のインクジェット記録装置の回復装置の模式的正面図である。 従来のインクジェット記録装置の回復装置の模式的側面図である。 本発明に適用可能なインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。
符号の説明
1A Bkヘッド
1B カラーヘッド
2 キャリッジ
10A Bkヘッド用のワイパー
10B カラーヘッド用のワイパー
11A、11B クリーナ
1Aa、1Ba 吐出口部(吐出口)
20 ウェット液保持部
21 伝達部
301 ポリプロピレン繊維

Claims (7)

  1. 吸湿性のある不揮発性溶剤を含有し、インクジェット記録ヘッドの吐出口面を払拭するために用いられる液体を収容する液体収容容器であって、
    開放部を有し、前記液体を収容する液室と、
    前記液室の少なくとも一部の空間に備えられ、前記液体を一部に保持する第1の吸収体と、
    前記第1の吸収体よりも毛管力が強く前記開放部に備えられる第2の吸収体とを有し、
    前記第1の吸収体における前記液体の非保持部には、水溶性の不揮発性溶剤が付着していることを特徴とする液体収容容器。
  2. 前記非保持部に付着している不揮発性溶剤は、前記液体に含有される不揮発性溶剤と相溶性のある不揮発性溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の液体収容容器。
  3. 前記非保持部に付着している不揮発性溶剤は、前記液体に含有される不揮発性溶剤であることを特徴とする請求項2に記載の液体収容容器。
  4. 前記非保持部に付着している不揮発性溶剤は、水溶液として付着していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体収容容器。
  5. 吸湿性のある不揮発性溶剤を含有し、インクジェット記録ヘッドの吐出口面を払拭するために用いられる液体を収容する液体収容容器であって、
    開放部を有し、前記液体を収容する液室と、
    前記液室の少なくとも一部の空間に備えられ、前記液体を保持する第1の吸収体と、
    前記第1の吸収体よりも毛管力が強く前記開放部に備えられる第2の吸収体とを有し、
    前記液体は、水溶性の不揮発性溶剤と、前記液体収容容器の使用環境において前記不揮発性溶剤が吸湿可能と想定される量の水とを含有していることを特徴とする液体収容容器。
  6. 前記第1の吸収体は、ポリプロピレン繊維よりなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液体収容容器。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項の液体収容容器を搭載し、前記液体収容容器に収容された液体を用いてインクジェット記録ヘッドの吐出口面を払拭する手段を備えることを特徴とする記録装置。
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