JP2008229548A - 透光性アルミナ原料微粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】純度99.9%以上のアルミナ粒子を、ジェットミル1を用いて粉砕する製造方法において、ジェットミル1における、分級板6を、その高さが、粉砕室14の底面14A(底壁16の上面)から分級板6の上面6Aまでの高さ(図2ではh1)/分級板6の上面6Aから鉛直方向において上面6Aと対向する粉砕室14の天面14B(蓋12の湾曲面)までの高さ(図2ではh2)が0.9〜1.2の範囲となるように形成する。
【選択図】図2
Description
一般的に、透光性アルミナ焼結体は、高純度のアルミナ粒子を粉砕し、得られた透光性アルミナ原料微粉末を成形後、焼結させることにより得られる。
また、透光性アルミナ原料微粉末の粒度分布が狭ければ(シャープであれば)、これを焼結する際、焼結速度が均一となり、結晶中の気孔(ポア)を減らすことができるので、透光性アルミナ原料微粉末中に含まれる粗粒の割合が少ないほど、高透光性を示すアルミナ焼結体を得ることができる。そのため、現在まで、透光性アルミナ原料微粉末中の粗粒の割合を小さくするアルミナ粒子の粉砕方法が種々提案されている。
そして、このような粒度分布を有する透光性アルミナ原料微粉末を成形し、焼結することによって、結晶が緻密化された高透光性のアルミナ焼結体を得ることができる。
粉接部がアルミナセラミックスを用いて形成されていれば、純度99.9%以上のアルミナ粒子が粉接部に衝突し、その衝撃により粉接部の一部がアルミナ粒子に混入しても、アルミナ粒子の純度が低下することを抑制することができる。
図1および図2を参照して、ジェットミル1は、水平旋回流を発生させてアルミナ粒子を粉砕する水平旋回流型ジェットミルであって、その外殻を構成するケーシング2を備えている。
ライナー8は、ケーシング2の中空部分の内径と同じ大きさの外径を有する略円環形状に形成されている。このライナー8は、ケーシング2の内周面に沿って取り付けられ、その上部がケーシング2の上方へ突出している。ジェットミル1では、ケーシング2におけるライナー8の内側部分が、アルミナ粒子を粉砕するための粉砕室14とされている。また、ライナー8は、本発明の粉接部に相当し、ライナー8を形成する材料としては、例えば、アルミナセラミックス、ジルコニアセラミックス、窒化ケイ素セラミックス等、耐摩耗性を有する材料が挙げられ、好ましくは、アルミナセラミックスが挙げられる。ライナー8がアルミナセラミックスを用いて形成されていれば、粉砕室14でアルミナ粒子を粉砕する場合において、耐摩耗性を有することに加え、アルミナ粒子がライナー8に衝突し、その衝撃によりライナー8の一部がアルミナ粒子に混入しても、アルミナ粒子の純度が低下することを抑制することができる。ライナー8の他、本発明の粉接部に相当する要素(供給ノズル3、粉砕ノズル4、蓋12および分級部15)を後述するが、これらの中でも、とりわけライナー8は、アルミナ粒子との衝突面積が大きいので、上記した効果が顕著に現われる。なお、この実施形態では、ライナー8、蓋12および粉砕室14が本発明の粉砕室に相当する。
固気混合管35は、蓋12の上面から斜め上方に突出するように、蓋12と一体的に形成された管であって、その内部に、高圧ヘッダー(図示せず)から送られる高圧ガスとアルミナ粒子とを混合するための固気混合室32を備えている。また、固気混合管35の後端には、エアホース10の一端が接続されており、エアホース10の他端は、高圧ガスを送るための高圧ヘッダー(図示せず)に接続されている。エアホース10と高圧ヘッダー(図示せず)との間には、固気混合管35への高圧ガスの供給量を調節するためのバルブ(図示せず)が設けられている。そして、固気混合管35における高圧ガスの噴射方向の終端は、粉砕室14に臨んでいる。
粉砕ノズル4(粉接部)は、高圧ガスを噴射して粉砕室14に水平旋回流を発生させるためのノズルであって、ケーシング2の周方向沿って互いに間隔を隔てて複数(この実施形態では8つ)設けられている。より具体的には、各粉砕ノズル4は、例えば、隣接する2つの粉砕ノズル4の各中心軸4Cにより形成される狭角Aが30〜50度となるように設けられている。粉砕ノズル4がこのような角度で設けられることにより、粉砕室14に反時計回りの旋回流を発生させることができる。また、各粉砕ノズル4の後端には、エアホース11の一端が接続されており、エアホース11の他端は、エアホース10と接続された高圧ヘッダー(図示せず)に接続されている。そして、エアホース11と高圧ヘッダー(図示せず)との間には、粉砕ノズル4への高圧ガスの供給量を調節するためのバルブ(図示せず)が設けられている。なお、粉砕ノズル4は、ライナー8と同様の材料を用いて形成されていることが好ましい。
排出管9は、排出口7との接続部から下方に向かって延びており、その終端には、排出される透光性アルミナ原料微粉末を捕獲するためのバグフィルタ(図示せず)が取り付けられている。排出管9としては、好ましくは、ポリウレタンコーティング、テフロン(登録商標)によるコーティング等が施された鉄製の鉄管等が用いられている。排出管9が、これらのコーティングの施された鉄管であれば、排出される透光性アルミナ原料微粉末に排出管9の鉄成分が混入することを防止できるので、透光性アルミナ原料微粉末を原料とする透光性アルミナ焼結体の透光性の低下を防止することができる。
戻り流路5は、粉砕室14を旋回するアルミナ粒子を粉砕ノズル4に戻すための流路であって、ケーシング2の周方向沿って各粉砕ノズル4に対応して複数(この実施形態では8つ)設けられている。より具体的には、各戻り流路5は、例えば、戻り流路5の中心軸5Cおよび戻り流路5に隣接(旋回流の上流側に隣接)する粉砕ノズル4の中心軸4Cにより形成される狭角Bが40〜60度となるように形成されている。戻り流路5がこのような角度で設けられることにより、旋回するアルミナ粒子が戻り流路5に進入しやすくなる。
分級板6は、その高さが、粉砕室14の底面14A(底壁16の上面)から分級板6の上面6Aまでの高さ(図2ではh1)/分級板6の上面6Aから鉛直方向において上面6Aと対向する粉砕室14の天面14B(蓋12の湾曲面)までの高さ(図2ではh2)が0.9〜1.2の範囲となるように形成されている(以下、図2におけるh1/h2を単に「分級板の高さ比率」とする。)。なお、この実施形態では、分級部15は、ケーシング2本体とは別体として着脱可能に設けられているので、分級部15を取り替えることにより、分級板6の高さを適宜変更することが可能である。
この方法では、エアホース10およびエアホース11に設けられたバルブ(図示せず)を開けて、高圧ヘッダー(図示せず)から固気混合管35および粉砕ノズル4へ高圧ガスを供給するとともに、砕料導入部34にアルミナ粒子を投入する。
砕料導入部34に投入するアルミナ粒子としては、例えば、精製したアンモニウム明礬、擬ベーマイト等を焼成して得られるアルミナ粒子が挙げられ、好ましくは、擬ベーマイトを焼成して得られるアルミナ粒子が挙げられる。
アルミナ粒子の平均粒径は、例えば、5μm〜15μmであり、好ましくは、7μm〜9μmである。
その結果、粗粒の割合が小さい(平均粒径の小さい)シャープな粒度分布の透光性アルミナ原料微粉末を得ることができる。また、このような透光性アルミナ原料微粉末の製造を、ジェットミル1を用いた1つの連続粉砕工程で行なえるので、例えば、ジェットミルによる粉砕工程および振動ミルによる粉砕工程からなる2つの粉砕工程を行なう、従来の製造方法に比べて、製造コストを低減することもできる。
なお、上述の実施形態において、分級部15は、ケーシング2本体と別体として形成されているとしたが、例えば、ケーシング2本体と一体的に形成されていてもよい。
実施例1〜2および比較例1〜3
擬ベーマイトを焼成することにより得られた、下記の表1に示すBET比表面積を有するα―アルミナを、供給量20kg/hで、表1に示す分級板の高さ比率を有するジェットミルに供給し、高圧ガス圧力0.74MPaで粉砕してアルミナ微粉末を得た。得られたアルミナ微粉末100重量部に、イオン交換水98.5重量部、分散剤0.5重量部および硝酸マグネシウムを酸化マグネシウム換算で0.05重量部加え、超音波を照射して分散させた。その後、酢酸ビニル1.5重量部、ポリビニルアルコール0.3重量部、ステアリン酸0.5重量部および硫酸アルミニウム(16水塩)0.4重量部を添加後、混合してアルミナスラリーを得た。得られたアルミナスラリーを噴霧乾燥して、アルミナ顆粒を得た。
評価実験
各実施例および各比較例で得られたアルミナ微粉末の平均粒径およびFe含有量を測定した。その結果を表1に示す。
1)焼結密度
得られたアルミナ焼結体について、下記式を用いて、乾燥重量(W1)、水中重量(W2)および飽水重量(W3)から焼結密度を求めた。
W1×0.9978/W3−W2
なお、上記した各重量(W1〜W3)の定義は下記の通りである。
水中重量(W2):アルミナ焼結体の水中での重量
飽水重量(W3):飽水状態になって濡れているアルミナ焼結体の表面を、固く絞ったガーゼで拭った後に測定したアルミナ焼結体の重量
2)試験サンプルの作製
各実施例および各比較例によって得られたアルミナ焼結体を両面ラッピングし、厚み0.85mmに調整して、試験サンプルを得た。
3)直線透過率測定
2)で得られた試験サンプルを、スペクトロメータ(株式会社日立製作所製 U−2000 光源−ヨウ素タングステンランプ 検出器−シリコンフォトダイオード)において、光源スポット径5.5mmφ、波長600nmの光を入射し、そのときの直線透過率を測定した。
2 ケーシング
3 供給ノズル
4 粉砕ノズル
5 戻り流路
6 分級板
7 排出口
8 ライナー
12 蓋
14 粉砕室
15 分級部
Claims (2)
- 純度99.9%以上のアルミナ粒子を、水平旋回流型のジェットミルを用いて粉砕する透光性アルミナ原料微粉末の製造方法であって、
前記ジェットミルは、
前記アルミナ粒子を粉砕するための粉砕室と、
前記アルミナ粒子を前記粉砕室に噴射するための供給ノズルと、
高圧ガスを噴射して前記粉砕室に水平旋回流を発生させるための粉砕ノズルと、を備え、
前記粉砕室は、旋回する前記アルミナ粒子を前記粉砕ノズルへと戻すために前記粉砕室の周壁に形成された戻り流路、粉砕された透光性アルミナ原料微粉末を排出するために前記粉砕室の底壁に形成された排出口および、旋回する前記アルミナ粒子を分級するために前記底壁における前記排出口の周囲から上方へ突出した分級板を含み、
前記分級板は、前記粉砕室の底面から前記分級板の上面までの高さ/前記分級板の上面から前記粉砕室の天面までの高さが0.9〜1.2の範囲となるように形成されていることを特徴とする、透光性アルミナ原料微粉末の製造方法。 - 前記粉砕室の周壁は、旋回する前記アルミナ粒子が衝突する粉接部を含み、
前記粉接部は、アルミナセラミックスを用いて形成されていることを特徴とする、請求項1記載の透光性アルミナ原料微粉末の製造方法。
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