JP2008229419A - 光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜及びその成膜方法 - Google Patents

光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜及びその成膜方法 Download PDF

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芳典 岩淵
Masahito Yoshikawa
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Abstract

【課題】触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜を低温プロセスで高速かつ安価に成膜する。
【解決手段】金属Tiターゲット15をバッキングプレート14にセットする。装置内のガスを排気した後、導入口11からアルゴンガスを導入すると共に、導入口18から反応性ガスを導入する。電源12をONとする。ターゲット15間に発生したプラズマによってターゲット15がスパッタリングされ、はじき飛ばされたスパッタ粒子は、アルゴンの強制流によって基板16まで輸送され、反応性ガスと反応すると共に基板16表面に堆積する。ガスフロースパッタリングでは、成膜時の圧力が高く、かつ、ターゲット表面側から基板側に不活性なキャリヤガスの強制流が流れている。従って、酸素ガスによってターゲット表面が酸化さることが防止され、メタル状態に維持されたターゲット表面をスパッタリングすることになり、高速成膜が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光触媒酸化チタン薄膜及びその成膜方法に係り、特に、窒素がドープされた光触媒酸化チタン薄膜及びその成膜方法に関する。
酸化チタンは優れた光触媒材料であり、その有機物分解機能や超親水性などの機能により、脱臭、水浄化、防汚、セルフクリーニング(自己浄化)、抗菌、抗ウィルス、抗カビ、殺菌など様々な分野への適用が試みられている。
酸化チタンを光触媒材料に適用する場合、単独で使用されることは稀であり、通常は何らかの基材表面に薄膜状に固定化されて使用される。この際、スパッタリングは、あらゆる基材表面に密着力良く酸化チタン薄膜を形成することが可能であり、また、低温プロセスが可能であるため、耐熱性の低い基材上へも薄膜形成可能で、基材の選択肢が広いといった特長を有し、酸化チタン薄膜の形成方法として優れている。
特に、酸化チタンに窒素がドープされた窒素ドープ酸化チタンは、可視光にて触媒活性を示す可視光応答性を有するため、屋外のみならず屋内での使用も期待されている。
通常のスパッタリング(DCマグネトロンスパッタリング)で窒素ドープ酸化チタンを成膜する場合、Tiターゲットを用い、酸素ガス及び窒素ガスを導入しながら、反応性スパッタリングを行う。
しかしながら、かかる通常のスパッタリングでは、Tiターゲットを用いて窒素ドープ酸化チタンを成膜する際に、酸素をある程度導入した時点でターゲット表面が酸化され、急激に金属モードから酸化物モードに変化する。このため、成膜速度が10nm/min程度と極めて低速になってしまう。このような低速での成膜は、工業的使用に耐え得るものではない。
また、通常のスパッタリングによって成膜された窒素ドープ酸化チタンは、後焼成などの処理を施さない成膜直後の状態(アズデポジッション)において、可視光応答性を示さないという問題がある。このため、可視光応答性を示す窒素ドープ酸化チタンを成膜するためには、基板を300℃程度あるいはそれ以上に加熱しながら成膜するか、または、低温で成膜した後に後焼成をする必要があり、このような高温プロセスが必須である。
さらに、通常のスパッタリングでは、真空チャンバー内を高真空状態に排気するために大掛かりな排気装置や高機能の制御機器が必要となるため、高額な設備を必要とし、成膜コストが高くなるという欠点もある。
また、通常のスパッタリングでは、ターゲット背面に磁石を設置する必要があるため、ターゲットの利用効率が20〜30%程度である。この点も、成膜コストが高くなる原因となっている。
このような通常のスパッタリングに対して、ガスフロースパッタリングが知られており、本出願人は先に、ガスフロースパッタリングを、固体高分子型燃料電池用電極の触媒層や、色素増感型太陽電池用半導体電極層の形成に応用する技術を提案している(特許文献1〜3)。
ガスフロースパッタリングは、比較的高い圧力下でスパッタリングを行い、スパッタ粒子をAr等のガスの強制流により成膜対象基材まで輸送して堆積させる方法である。このガスフロースパッタリングは、高真空排気が不要であることから、従来の通常のスパッタリングのような大掛かりな排気装置を用いることなく、メカニカルなポンプ排気で成膜することが可能であり、従って、安価な設備で実施できる。しかも、ガスフロースパッタリングは、通常のスパッタリングの10〜1000倍の高速成膜が可能である。更に、ターゲット背面に磁石を必要としないために、ターゲット背面に磁石を必要とする通常のスパッタリングではターゲットの利用効率が20〜30%程度であるのに対して、ガスフロースパッタリングではターゲットの利用効率が90%以上と非常に高い。従って、ガスフロースパッタリングによれば、設備費の低減、成膜時間の短縮、ターゲット利用効率の向上により、成膜コストを大幅に低減することが可能となる。
特開2006−130378号 特開2006−134602号 特開2006−156364号
前述の如く、光触媒材料としての窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜に当たり、従来採用されているスパッタリングでは、成膜速度が遅い;アズデポジッションで可視光応答性を示す窒素ドープ酸化チタン薄膜を形成することができず、後焼成等の高温プロセスが必要になる;高額な設備を必要とし、ターゲットの利用効率も悪く、成膜コストが高くつく;といった欠点があり、従来、低温プロセスかつ高速成膜にて可視光応答性を有する窒素ドープ酸化チタン薄膜を安価に製造する方法は提供されていなかった。
本発明は、光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜を低温プロセスで高速かつ安価に成膜することができる方法と、この方法によって成膜される光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ガスフロースパッタリングを採用することにより、光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜を低温プロセスかつ高速成膜にて安価に成膜することができること、更には成膜された窒素ドープ酸化チタン薄膜を後焼成することにより、光触媒活性をより一層向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
請求項1の光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法は、ターゲットのスパッタリングを行い、スパッタされた粒子をキャリヤガスの強制流によって基板まで輸送して堆積させるガスフロースパッタリング法によって、光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜を成膜する方法であって、該ターゲットとしてチタンを用い、酸素及び窒素を含む反応性ガスを、該キャリヤガスと共に導入し、このスパッタ粒子を該反応性ガスと反応させると共に該基板に堆積させることを特徴とする。
請求項2の光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法は、請求項1において、前記反応性ガスは、O及びNを含むことを特徴とする。
請求項3の光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法は、請求項1又は2において、前記反応性ガスは、N、NH、NO、NO及びNOよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする。
請求項4の光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記基材に前記スパッタされた粒子を堆積させるときに、該基板を非加熱とすることを特徴とする。
請求項5の光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記基材に前記スパッタされた粒子を堆積させるときに、該基板を加熱することを特徴とする。
請求項6の光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記基材に前記スパッタされた粒子を堆積させた後、該基板を加熱することを特徴とする。
請求項7の光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法は、請求項1ないし6のいずれか1項において、ガスフロースパッタリングにおける成膜圧力が5〜200Paであることを特徴とする。
請求項8の光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法は、請求項1ないし7のいずれか1項において、前記反応性ガスの導入位置が、前記キャリヤガスの導入位置よりも下流であることを特徴とする。
請求項9の光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法は、請求項1ないし8のいずれか1項において、矩形ターゲットを向き合わせる形に配置したカソード構造を有するガスフロースパッタリング装置で成膜することを特徴とする。
請求項10の光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜は、請求項1ないし9のいずれか1項の方法によって製造されたものである。
本発明によると、ターゲットとしてチタンを用い、反応性ガスとして酸素及び窒素を含むガスを用い、ガスフロースパッタリングによって成膜するため、光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜を低温プロセスで高速かつ安価に成膜することができる。
即ち、ガスフロースパッタリングは、比較的高い圧力下でスパッタリングを行い、スパッタ粒子をガスの強制流により成膜対象基板まで輸送して堆積させる方法である。このガスフロースパッタリングは、高真空排気が不要であることから、従来の通常のスパッタリングのような大掛かりな排気装置を用いることなく、メカニカルなポンプ排気で成膜することが可能であり、従って、安価な設備で実施できる。このため、光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜を安価に成膜することができる。
なお、ガスフロースパッタリングでは、ターゲット背面に磁石を配置する必要がないため、ターゲットの利用効率が90%以上と非常に高い。この点においても、光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜を安価に成膜することができる。
また、ガスフロースパッタリングでは、成膜時の圧力が通常のスパッタリングと比べて2桁程度高く、かつ、ターゲット表面側から基板側に不活性なキャリヤガスの強制流が流れている。従って、酸素ガスがターゲット表面まで拡散し、ターゲット表面を酸化させることが防止される。これにより、メタル状態に維持されたターゲット表面をスパッタリングすることができ、その結果、窒素ドープ酸化チタン薄膜の高速成膜を行うことが可能となる。このガスフロースパッタリングによると、通常のスパッタリングと比べて概ね10倍以上の成膜速度での成膜が可能となる。
さらに、この成膜方法によると、非加熱とした基板に対してスパッタされた粒子を堆積させる低温プロセスによっても、可視光応答性を有する光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜を成膜することができる。この理由については現在明らかとなっていないが、低温プロセスにおいても、X線回折分析では明確にピークが現れないようなナノ結晶が窒素ドープ酸化チタン薄膜内に形成されている可能性が考えられる。
このように低温プロセスで高速かつ安価に光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜を成膜することができるのは他に類を見ない発明であり、これにより、従来用いることができなかった耐熱性の低い基材にも光触媒薄膜を形成することが可能となり、基材によってはフレキシブル化も可能となる。
本発明は、このように低温プロセスにて光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜を形成可能であることが大きな特長であるが、耐熱性の高い基材を用いて基板加熱をしながら成膜したり、成膜後に後焼成したりしても良い。この場合、結晶性の窒素ドープ酸化チタン薄膜が得られ、可視光応答性が更に良好なものとなる。
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の実施に好適なガスフロースパッタリング装置の概略的な構成を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)のターゲット及びバックプレート構成を示す斜視図である。
このガスフロースパッタリング装置では、スパッタガス導入口11からチャンバー20内にアルゴン等の希ガス等を導入し、DC電源等の電源12に接続されたアノード13及びカソードとなるターゲット15間での放電で発生したプラズマによりターゲット15をスパッタリングし、はじき飛ばされたスパッタ粒子をアルゴン等の希ガス等の強制流にて基板16まで輸送し堆積させる。なお、図示例において、基板16は、ホルダー17に支持されており、基板16の近傍には、反応性ガスの導入口18が配置されており、反応性スパッタリングリングを行うことが可能である。14は水冷バッキングプレートである。
本発明においては、このようなガスフロースパッタリング装置を用いて、窒素ドープ酸化チタン薄膜を以下のようにして成膜する。
まず、ターゲット15として、金属Tiターゲットをバッキングプレート14にセットする。装置内のガスを図示しないポンプで排気した後、導入口11からアルゴンガスを導入すると共に、導入口18から反応性ガスを導入する。次いで、電源12をONとする。これにより、ターゲット15間にプラズマが発生し、このプラズマによってターゲット15がスパッタリングされる。スパッタによってはじき飛ばされたスパッタ粒子は、アルゴンの強制流によって基板16まで輸送され、反応性ガスと反応すると共に基板16表面に堆積する。このようにして、窒素ドープ酸化チタン薄膜が成膜される。
反応性ガスとしては、O及びNを含む混合ガスであってもよく、この混合ガスに加えて、又はこの混合ガスに代えて、N、NH、NO、NO及びNOよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであってもよい。
ガスフロースパッタリング時の成膜圧力は、高過ぎると成膜速度が低下し、またアークが起きやすく不安定になり、低過ぎると放電電圧が高くなり、放電維持が困難であることから、5〜200Pa、特に10〜120Paであることが好ましい。
本実施の形態では、基材を非加熱としてガスフロースパッタリングしているため、基材としては、耐熱性の基材の他、耐熱性の低い基材を使用することもできる。
耐熱性基材としては、ガラス板、金属板、金属箔、又はセラミックス板等を用いることができる。ここで、金属板、金属箔の金属としては、Al,Cu,Au,Fe,Ni等、或いはこれらを含む合金(例えばSUS)等が挙げられる。また、セラミックスとしてはジルコニア、アルミナ、イットリア、炭化珪素、窒化珪素等が挙げられる。
耐熱性の低い基材としては、高分子フィルム、プラスチックレンズ等のプラスチック基材、自動車用などの曲がりガラス、紙、織布、不織布などの耐熱性の低い基材も用いることができる。
なお、成膜に用いる基材には、必要に応じて珪素(Si)の酸化物、窒化物、酸窒化物等の下地層を形成しても良い。
その他のガスフロースパッタリング条件、例えば反応性ガス流量やアルゴンガス流量、投入電力、ターゲット基材間距離等は装置型式により異なるため、一概に数値を挙げることはできないが、図1のような型式の装置であれば、通常
電力密度:1〜25W/cm
アルゴンガス流量:0.5〜30SLM
酸素ガス流量:5〜120sccm
窒素ガス流量:5〜120sccm
ターゲット基材間距離:5〜15cm
といった条件を採用することができる。
これらの条件は、成膜速度が高く、放電安定性に優れ、かつ要求される可視光応答性を備えた窒素ドープ酸化チタン薄膜が得られるように、適宜設定される。
本発明によれば、高い成膜速度にて窒素ドープ酸化チタン薄膜を成膜することができる。例えば、成膜速度90nm/min以上の高速成膜が可能である。なお、ここで成膜速度とは1分間に成長する膜の厚みの値である。
このようにして得られる窒素ドープ酸化チタン薄膜は、基材非加熱成膜後のアズデポジッションの状態で、高い可視光応答性を有する。
上記の実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、成膜時に基材を加熱してもよく、あるいは、非加熱基材又は加熱基材に成膜した後、成膜された薄膜を焼成してもよい。上記実施の形態のように、低温プロセスのみによっても、可視光応答性を有する窒素ドープ酸化チタン薄膜を成膜することが可能であるが、このような基材の加熱ないし後焼成といった高温プロセスを実施することにより、より一層可視光応答性を高めることができる。なお、かかる高温プロセスを実施する場合、基材として上記の耐熱基材を使用する。
成膜時に基材加熱を行う場合、その加熱温度は、基材の耐熱性よりも低い温度であれば良く、特に制限はないが、通常200〜500℃である。
また、成膜された薄膜を焼成する場合、焼成条件は200〜500℃で0.2〜2時間であることが好ましい。この範囲より焼成温度が高過ぎると結晶相にルチル相が出現して活性が低下し、低過ぎると焼成を行ったことによるアナターゼの結晶化による光触媒活性の向上効果を十分に得ることができない。
また、用いるターゲットの形状には特に制限はなく、円筒形のターゲットや矩形板状のターゲットなど任意の形状のターゲットを用いることができるが、加工費が安いことから、矩形板状のターゲットを用い、これらを図1のように向かい合わせた方式とすることが好ましい。
また、ガスフロースパッタリングは、図1に示す如く、反応性ガスの導入口18がターゲット15及びアルゴンガスの導入口11よりも下流側にあることが好ましい。この場合、反応性ガスがアルゴンガスの強制流に逆らってターゲット15まで拡散し、ターゲット15表面を酸化させることが防止される。これにより、金属モードでの高速成膜及び安定放電をより確実に行うことができる。
また、基材を搬送しながら連続的に成膜したり、シート状基材を一方のロールから送り出して他方のロールに巻き取るようにして成膜したりしてもよい。これらにより、ターゲット長さを長くすることができ、容易に成膜効率を高めることができる。
このような本発明の光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜は、その優れた光触媒活性に基く有機物分解や超親水性などの機能により、脱臭、水浄化、防汚、セルフクリーニング(自己浄化)、抗菌、抗ウィルス、抗カビ、殺菌など様々な分野への適用が可能である。また、窒素ドープ酸化チタン薄膜は可視光応答性を有するため、屋内での適用にも有望である。さらに、基材非加熱でも可視光応答性を付与することができるため、耐熱性の低い基板を用いることも可能である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
比較例1
[窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜]
通常のDCマグネトロンパルススパッタ装置を用い、真空チャンバーに、基板として5cm角のアルカリフリーガラスをセットし、荒引きポンプ(ロータリーポンプ+メカニカルブースターポンプ)で1×10−1Paまで排気した後、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気し、次いで以下の条件で酸化物モードでの窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜を行った。
・ターゲット:φ75mmのTiターゲット
・カソード形状:プレーナ型マグネトロン、基板と平行に対面して設置
・基板位置:ターゲットと基板との距離100mm
成膜圧力:0.5Pa
酸素ガス流量:20sccm
窒素ガス流量:20sccm
Arガス流量:100sccm
投入電力密度:4W/cm
膜厚:300nm
この窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜に要した時間は100分間であり、成膜速度は3nm/minと超低速であった。
[アセトアルデヒドの分解活性評価]
密閉された容積400ccの石英ガラス容器中に、上記の窒素ドープ酸化チタン薄膜(5cm角)を設置し、石英ガラス容器に濃度約60ppmとなるようにアセトアルデヒドを充填した。この薄膜が設置された石英ガラス容器を1時間ほど暗所に設置し、アセトアルデヒド濃度の変化を計測して内容物の漏れが無いことを確認した。その後、可視光を照射し、照射時間に対するアセトアルデヒド濃度の変化を計測した。なお、可視光照射には、中心波長450nmのキセノンランプ(HAYASHI社製「LA−250Xeキセノンランプ」)を用い、1.0mW/cmの光強度でサンプルに照射した。アセトアルデヒド濃度は、容器内の気相をマイクロシリンジで1ml抜き取り、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製「GC−14B」)を用いて計測した。その結果を表1及び図2に示す。
Figure 2008229419
実施例1
[窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜]
図1に示すガスフロースパッタ装置を用い、チャンバー内に、基板としてアルカリフリーガラスをセットし、荒引きポンプ(ロータリーポンプ+メカニカルブースターポンプ)で1×10−1Paまで排気した後、以下の条件で酸化チタン薄膜を成膜した。
・ターゲット:80mm×160mm×6mmtのTiターゲット
・カソード形状:平行平板対向型(上記ターゲットを2枚使用、距離30mm)
・基板位置:カソード端部と基材間距離105mm
成膜圧力:45Pa
酸素ガス流量:20sccm
窒素ガス流量:30sccm
Arガス(強制流)流量:3SLM
投入電力密度:10W/cm
膜厚:300nm
この窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜に要した時間は2分間であり、成膜速度は150nm/minと超高速であった。
[アセトアルデヒドの分解活性評価]
得られた窒素ドープ酸化チタン薄膜について、比較例1と同様の方法でアセトアルデヒドの分解活性評価を行った。その結果を表1及び図2に示す。
実施例2
基板温度を300℃に加熱して成膜したこと以外は実施例1と同様にして、窒素ドープ酸化チタン薄膜を成膜した。成膜に要した時間は2分間であり、成膜速度は150nm/minと超高速であった。
得られた窒素ドープ酸化チタン薄膜について、比較例1と同様の方法でアセトアルデヒドの分解活性評価を行った。その結果を表1及び図2に示す。
実施例3
実施例1と同様の方法で成膜した窒素ドープ酸化チタン薄膜について、大気中、300℃で1時間の後焼成を行った。
この後焼成後の窒素ドープ酸化チタン薄膜について、比較例1と同様の方法でアセトアルデヒドの分解活性評価を行った。その結果を表1及び図2に示す。
以上の比較例1及び実施例1〜3の結果から、本発明のガスフロースパッタリングによる窒素ドープ酸化チタン薄膜方法によると、従来のDCスパッタリング法と比べて、大幅な高速成膜を行うことができると共に、成膜された窒素ドープ酸化チタン薄膜は、基板非加熱成膜、基板加熱成膜及び後焼成のいずれによっても可視光応答性(アセトアルデヒドの分解活性)を有することが明らかとなった。
図1(a)は、本発明の実施に好適なガスフロースパッタリング装置の概略的な構成を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)のターゲット及びバックプレート構成を示す斜視図である。 比較例1及び実施例1〜3で成膜された窒素ドープ酸化チタン薄膜のアセトアルデヒド分解活性の測定結果を示す図である。
符号の説明
11 アルゴンガスの導入口
12 DC電源
13 アノード
14 バッキングプレート
15 ターゲット
16 基板
17 ホルダー
18 反応性ガスの導入口
20 チャンバー

Claims (10)

  1. ターゲットのスパッタリングを行い、スパッタされた粒子をキャリヤガスの強制流によって基板まで輸送して堆積させるガスフロースパッタリング法によって、光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜を成膜する方法であって、
    該ターゲットとしてチタンを用い、
    酸素及び窒素を含む反応性ガスを、該キャリヤガスと共に導入し、このスパッタ粒子を該反応性ガスと反応させると共に該基板に堆積させることを特徴とする光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法。
  2. 請求項1において、前記反応性ガスは、O及びNを含むことを特徴とする光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法。
  3. 請求項1又は2において、前記反応性ガスは、N、NH、NO、NO及びNOよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記基材に前記スパッタされた粒子を堆積させるときに、該基板を非加熱とすることを特徴とする光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法。
  5. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記基材に前記スパッタされた粒子を堆積させるときに、該基板を加熱することを特徴とする光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記基材に前記スパッタされた粒子を堆積させた後、該基板を加熱することを特徴とする光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、ガスフロースパッタリングにおける成膜圧力が5〜200Paであることを特徴とする光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、前記反応性ガスの導入位置が、前記キャリヤガスの導入位置よりも下流であることを特徴とする光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項において、矩形ターゲットを向き合わせる形に配置したカソード構造を有するガスフロースパッタリング装置で成膜することを特徴とする光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜の成膜方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項の方法によって製造された光触媒窒素ドープ酸化チタン薄膜。
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