JP2008227462A - 有機電界発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対向する一対の電極間に少なくとも1層の発光層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層は少なくとも1種の発光材料と少なくとも2種のホスト材料を含有し、第一のホスト材料のIp値(イオン化ポテンシャル)が第二のホスト材料のIp値より大きく、かつ前記第一のホスト材料のホール移動度が第二のホスト材料のホール移動度より大きく、前記第二のホスト材料の含有量が全ホスト材料量の1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
発光層として、多芳香環炭化水素化合物と蛍光色素を含む発光材料とホスト材料を用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。多芳香環炭化水素化合物は、ホール移動度がホスト材料より速く、発光層中にホールの蓄積を抑制することを目的として用いられた。しかしながら、このような組成では、発光効率および駆動耐久性にいづれの点に置いても十分な改良効果を得ることはできない。
<1> 対向する一対の電極間に少なくとも1層の発光層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層は少なくとも1種の発光材料と少なくとも2種のホスト材料を含有し、第一のホスト材料のIp値(イオン化ポテンシャル)が第二のホスト材料のIp値より大きく、かつ前記第一のホスト材料のホール移動度が第二のホスト材料のホール移動度より大きく、前記第二のホスト材料の含有量が全ホスト材料量の1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする有機電界発光素子。
<2> 前記第一のホスト材料のIp値と前記第二のホスト材料のIp値の差(△Ip)が0.2eV以上1.0eV以下であることを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子。
<3> 前記第一ホスト材料のホール移動度と前記第二ホスト材料の移動度の比が2倍以上10000倍以下であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の有機電界発光素子。
<4> 前記発光層の電場1×106V/cmにおけるホール移動度が1×10−7cm2・V−1・sec−1以上1×10−4cm2・V−1・sec−1以下であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の有機電界発光素子。
<5> 前記少なくとも1種の発光材料が燐光発光材料であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の有機電界発光素子。
<6> 前記2種のホスト材料の三重項最低励起準位(T1)が、前記燐光発光材料のT1より高いことを特徴とする<5>に記載の有機電界発光素子。
<7> 前記第一のホスト材料がカルバゾール化合物であり、前記第二のホスト材料がカルバゾール化合物またはアゼピン化合物、もしくはカルベン錯体化合物であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の有機電界発光素子。
<8> 前記第一のホスト材料のIp値と前記第二のホスト材料のIp値の差(△Ip)が0.2eV以上1.0eV以下であることを特徴とする<7>に記載の有機電界発光素子。
本発明の有機電界発光素子は、一対の電極(陽極と陰極)間に少なくとも発光層を含む有機化合物層を有し、更に、好ましくは、陽極と該発光層との間に正孔輸送層を、また陰極と該発光層との間に電子輸送層を有する。
発光素子の性質上、前記一対の電極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
また、上記電子輸送性中間層は、発光層への電子注入を促進する機能及び正孔をブロックする機能の少なくとも一方を有することが好ましい。
更に、上記正孔輸送性中間層及び上記電子輸送性中間層の少なくとも一方は、発光層で生成する励起子をブロックする機能を有することが好ましい。
上記の正孔注入促進、電子注入促進、正孔ブロック、電子ブロック、励起子ブロックといった機能を有効に発現させるためには、該正孔輸送性中間層および該電子輸送性中間層は、発光層に隣接していることが好ましい。
尚、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
本発明の有機電界発光素子は、少なくとも一層の発光層を含む有機化合物層を有しており、発光層以外の他の有機化合物層としては、前述したごとく、正孔注入層、正孔輸送層、正孔輸送性中間層、発光層、電子輸送性中間層、電子輸送層、電子注入層等の各層が挙げられる。
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層または正孔輸送性中間層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、電子輸送層または電子輸送性中間層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
本発明における発光層は、少なくとも一種の発光材料(発光性ドーパント)と複数のホスト化合物とを含む。
また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。発光層が複数の場合であっても、発光層の各層に、少なくとも一種の発光性ドーパントと複数のホスト化合物とを含有することが好ましい。
本発明における発光層は、色純度を向上させるためや発光波長領域を広げるために2種類以上の発光性ドーパントを含有することができる。
本発明における発光性ドーパントとしては、燐光発光材料、蛍光発光材料等いずれもドーパントとして用いることができる。好ましくは、燐光発光材料である。
本発明における発光性ドーパントは、更に前記ホスト化合物との間で、1.2eV>△Ip>0.2eV、及び/又は1.2eV>△Ea>0.2eVの関係を満たすドーパントであることが駆動耐久性の観点で好ましい。
前記燐光性の発光性ドーパントとしては、一般に、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体を挙げることができる。
例えば、該遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金であり、更に好ましくはイリジウム、白金である。
ランタノイド原子としては、例えばランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
Photophysics of Coordination Compounds」
Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、芳香族炭素環配位子(例えば、シクロペンタジエニルアニオン、ベンゼンアニオン、またはナフチルアニオンなど)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、またはフェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、アルコラト配位子(例えば、フェノラト配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。
上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
前記蛍光性の発光性ドーパントとしては、一般には、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、縮合多環芳香族化合物(アントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、ペンタセンなど)、8−キノリノールの金属錯体、ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、およびこれらの誘導体などを挙げることができる。
本発明においては、発光層に少なくとも2種のホスト材料を含有する。2種のホスト材料はいずれも正孔輸送性ホストであり、第一のホスト材料のIp値が第二のホスト材料のIp値より大きく、かつ前記第一のホスト材料のホール移動度が第二のホスト材料のホール移動度より大きい。さらに、前記第二のホスト材料の含有量が全ホスト材料量の1質量%以上20質量%以下である。
好ましくは、前記第一のホスト材料のIp値と前記第二のホスト材料のIp値の差(△Ip)が0.2eV以上1.0eV以下である。より好ましくは、△Ipが0.3eV以上0.9eV以下、さらに好ましくは△Ipが0.3eV以上0.7eV以下である。
本発明における前記第一のホスト材料のホール移動度は前記第二のホスト材料のホール移動度より大きい。
△Ip = Ip(第一のホスト材料)−Ip(第二のホスト材料)。
本発明における前記第一のホスト材料のホール移動度は、前記第二のホスト材料のホール移動度より大きい。
好ましくは、前記第一ホスト材料のホール移動度と前記第二ホスト材料の移動度の比が2倍以上10000倍以下である。より好ましくは、2倍以上1000倍以下であり、さらに好ましくは2倍以上100倍以下である。
このようにホスト材料を組み合わせる事により、発光層内のホール移動度をホスト材料が1種の時に比べ小さくする事ができ、発光領域を発光層全体に広げる事ができて発光効率の向上、耐久性の向上を実現する事ができる。
本発明の発光層のホール移動度は、好ましくは、前記発光層の電場1×106V/cmにおけるホール移動度が1×10−7cm2・V−1・sec−1以上1×10−4cm2・V−1・sec−1以下である。該ホール移動度は、TIME OF FLIGHT法にて測定されるものである。
また、好ましくは、前記2種のホスト材料の三重項最低励起準位(T1)が、前記燐光発光材料のT1より高い。
本発明に用いられる2種のホスト材料は、下記の正孔輸送性ホストで説明する材料より上記条件を満足する組合せを選択して用いることが出来る。
本発明の有機層に用いられる正孔輸送性ホストとしては、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、Ipが5.1eV以上6.3eV以下であることが好ましく、5.4eV以上6.1eV以下であることがより好ましく、5.6eV以上5.8eV以下であることが更に好ましい。また、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、電子親和力Eaが1.2eV以上3.1eV以下であることが好ましく、1.4eV以上3.0eV以下であることがより好ましく、1.8eV以上2.8eV以下であることが更に好ましい。
ピロール、カルバゾール、アゼピン、カルベン、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
本発明に用いられるホスト材料としては、正孔輸送性に優れる正孔輸送性ホスト材料と共に電子輸送性に優れる電子輸送性ホスト化合物(電子輸送性ホストと記載する場合がある)を用いることができる。
本発明に用いられる発光層内の電子輸送性ホストとしては、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、電子親和力Eaが2.5eV以上3.5eV以下であることが好ましく、2.6eV以上3.2eV以下であることがより好ましく、2.8eV以上3.1eV以下であることが更に好ましい。また、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、イオン化ポテンシャルIpが5.7eV以上7.5eV以下であることが好ましく、5.8eV以上7.0eV以下であることがより好ましく、5.9eV以上6.5eV以下であることが更に好ましい。
ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、およびそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等を挙げることができる。
金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、錫イオン、白金イオン、またはパラジウムイオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、白金イオン、またはパラジウムイオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、亜鉛イオン、またはパラジウムイオンである。
配位子としては、例えばアジン配位子(例えば、ピリジン配位子、ビピリジル配位子、ターピリジン配位子などが挙げられる。)、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(例えば、ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾピリジン配位子などが挙げられる。)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
具体的にはヘキサシアノブタジエン、ヘキサシアノベンゼン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、p−フルオラニル、p−クロラニル、p−ブロマニル、p−ベンゾキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、テトラメチルベンゾキノン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン、o−ジシアノベンゼン、p−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノテトラフルオロベンゼン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、p−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、o−ジニトロベンゼン、p−シアノニトロベンゼン、m−シアノニトロベンゼン、o−シアノニトロベンゼン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1−ニトロナフタレン、2−ニトロナフタレン、1,3−ジニトロナフタレン、1,5−ジニトロナフタレン、9−シアノアントラセン、9−ニトロアントラセン、9,10−アントラキノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,3,5,6−テトラシアノピリジン、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、C60、およびC70などが挙げられる。
電子受容性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、正孔注入層材料に対して0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.05質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。該使用量が、正孔注入材料に対して0.01質量%未満のときには、本発明の効果が不十分であるため好ましくなく、50質量%を超えると正孔注入能力が損なわれるため好ましくない。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
該キャリア移動度は、前記発光層のキャリア移動度の測定方法と同様の方法により測定した値を採用する。
電子注入層、電子輸送層は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入され得た正孔を障壁する機能のいずれかを有している層である。
特に仕事関数が4.2eV以下の金属が好適に使用でき、具体的には、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Cs、La、Sm、Gd、およびYbなどが挙げられる。
電子供与性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、電子輸送層材料に対して0.1質量%〜99質量%であることが好ましく、1.0質量%〜80質量%であることが更に好ましく、2.0質量%〜70質量%であることが特に好ましい。該使用量が、電子輸送層材料に対して0.1質量%未満のときには、本発明の効果が不十分であるため好ましくなく、99質量%を超えると電子輸送能力が損なわれるため好ましくない。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明においては、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層は、特に限定されるものではないが、具体的には、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、ピラザボール誘導体等を含有することができる。
また、正孔ブロック層の厚さは、駆動電圧を下げるため、一般的に50nm以下であることが好ましく、1nm〜50nmであることが好ましく、5nm〜40nmであることが更に好ましい。
陽極は、通常、有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
陰極は、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記した陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
また、陰極と前記有機化合物層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1nm〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレーティング法等により形成することができる。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1nm〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
本発明においては基板を用いることができる。用いられる基板としては、有機化合物層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、およびポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
例えば、基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、またはNi等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、またはTiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxOy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、またはCaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
さらに、本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、および酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
本発明における有機電界発光素子の駆動耐久性は、特定の輝度における、ある輝度まで減少する時間により測定することができる。例えば、KEITHLEY製ソ−スメジャ−ユニット2400型を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し発光させ、初期輝度500cd/m2の条件で連続駆動試験をおこない、輝度が200cd/m2になった時間を輝度減少時間として、該輝度減少時間を従来発光素子と比較することにより求めることができる。本発明においてはこの数値を用いた。
この有機電界発光素子の重要な特性値として、外部量子効率がある。外部量子効率は、「外部量子効率φ=素子から放出されたフォトン数/素子に注入された電子数」で算出され、この値が大きいほど消費電力の点で有利な素子と言える。
本発明においては、東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社製輝度計BM−8を用いて測定し、200cd/m2における外部量子効率を算出した値を用いる。
本発明の有機電界発光素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、または光通信等に好適に利用できる。
1.有機EL素子の作製
0.5mm厚み、2.5cm角のITOガラス基板(ジオマテック(株)製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極上に真空蒸着法にて以下の層を蒸着した。本発明の実施例における蒸着速度は特に断りのない場合は0.2nm/秒である。蒸着速度は水晶振動子を用いて測定した。以下に記載の膜厚も水晶振動子を用いて測定したものである。
2−TNATAに対してF4−TCNQを1.0質量%ドープして、膜厚140nmに蒸着した。
−正孔輸送層−
正孔注入層の上に、α−NPDを蒸着した。膜厚は10nmであった。
−正孔輸送中間層−
正孔輸送層の上に、化合物(A)を膜厚3nmに蒸着した。
発光材料として化合物(B)を用いて、各種ホスト材料を発光材料:トータルホスト材料=15:85質量比で厚み60nmに共蒸着した。
表1に用いたホスト材料、およびそのIp値、ホール移動度、および発光層のホール移動度をまとめて示した。
発光層の上にBalqを膜厚39nmに蒸着した。
−電子注入層−
BCPを膜厚1nmに蒸着した。
−陰極−
この上にパタ−ニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、フッ化リチウムを0.5nm蒸着し、更に金属アルミニウムを100nm蒸着し、陰極とした。
(評価項目)
(1)発光効率
発光素子の外部量子効率は、発光輝度、発光スペクトル、電流密度を測定し、その結果と比視感度曲線から算出した。外部量子効率(%)は、「(発光したフォトン数/素子に入力した電子数)×100」で計算を行った。
(2)駆動電圧
照度360cd/m2における駆動電圧を測定した。
(3)駆動耐久性
初期輝度360cd/m2の条件で連続駆動試験をおこない、輝度が半減した時間を耐久時間として求めた。
得られた結果を表2に示した。
本発明の素子は、比較例の素子に比べて、外部量子効率が高く、特に駆動耐久性を長寿命化することができた。
中でも、実施例2,3,および9の素子が駆動耐久性に優れ、第2ホスト材料の含有率が5質量%および10質量%と極めて少量含有する領域が特に優れた効果を示した。2種のホスト材料のIp値の差△Ipは0.2〜0.3eVがより好ましく、実施例10、11、および13〜15に見られるように0.6eVおよび0.7eVと大きすぎると効果が僅かに低下した。
Claims (7)
- 対向する一対の電極間に少なくとも1層の発光層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層は少なくとも1種の発光材料と少なくとも2種のホスト材料を含有し、第一のホスト材料のIp値(イオン化ポテンシャル)が第二のホスト材料のIp値より大きく、かつ前記第一のホスト材料のホール移動度が第二のホスト材料のホール移動度より大きく、前記第二のホスト材料の含有量が全ホスト材料量の1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする有機電界発光素子。
- 前記第一のホスト材料のIp値と前記第二のホスト材料のIp値の差(△Ip)が0.2eV以上1.0eV以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記第一ホスト材料のホール移動度と前記第二ホスト材料の移動度の比が2倍以上10000倍以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機電界発光素子。
- 前記発光層の電場1×106V/cmにおけるホール移動度が1×10−7cm2・V−1・sec−1以上1×10−4cm2・V−1・sec−1以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
- 前記少なくとも1種の発光材料が燐光発光材料であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
- 前記2種のホスト材料の三重項最低励起準位(T1)が、前記燐光発光材料のT1より高いことを特徴とする請求項5に記載の有機電界発光素子。
- 前記第一のホスト材料がカルバゾール化合物であり、前記第二のホスト材料がカルバゾール化合物またはアゼピン化合物、もしくはカルベン錯体化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
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