JP2012129370A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、低電圧で駆動でき、発光効率が高く、劣化の少ない有機エレクトロルミネッセンス素子及びこれを用いた表示装置を低コストで提供することを目的とする。
【解決手段】対向した電極20、70間に発光層50を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記発光層は、金属錯体と、燐光材料と、有機材料とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】対向した電極20、70間に発光層50を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記発光層は、金属錯体と、燐光材料と、有機材料とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子及びこれを用いた表示装置に関し、特に、対向した電極間に発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子及びこれを用いた表示装置に関する。
従来から、対向した電極間に発光層を有する有機発光素子において、発光層の主構成材料が金属錯体であり、かつ副構成材料が燐光発光性発光材料である発光素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかる特許文献1においては、燐光発光材料を用いた発光素子において、低電圧駆動が可能で、発光劣化が少ない高効率な発光素子を得ることを目的としている。
徳丸克己著、「Ir(ppy)3の励起状態の特徴的なふるまい」、現代化学、p.63−69、2007年1月
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、主構成材料の金属錯体が希少金属から構成されるため、材料のコストが高くなるという問題があった。
また、主構成材の濃度が非常に高くなることが避けられないため、発光層の主構成材料同士の消光現象が生じる(例えば、非特許文献1参照)。この発光層は、主構成材料から副構成材料へのエネルギー移動により発光するため、主構成材料の消光現象が発生した場合には、発光効率が低下してしまうという問題があった。
そこで、本発明は、低電圧で駆動でき、発光効率が高く、劣化の少ない有機エレクトロルミネッセンス素子及びこれを用いた表示装置を低コストで提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、対向した電極間に発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記発光層は、金属錯体と、燐光材料と、有機材料とを含むことを特徴とする。
前記発光層は、金属錯体と、燐光材料と、有機材料とを含むことを特徴とする。
これにより、発光層に安価な有機材料を含めて構成することにより、低コスト化を図ることができるとともに、金属錯体の発光層中の含有比率を低減させることができ、主構成材料同士の消光現象を低減させることができる。
第2の発明は、第1の発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記金属錯体と前記有機材料がホスト材料を構成し、前記燐光材料はゲスト材料を構成することを特徴とする。
前記金属錯体と前記有機材料がホスト材料を構成し、前記燐光材料はゲスト材料を構成することを特徴とする。
これにより、ホスト材料中の金属錯体の一部を有機材料で置き換えることができ、低コスト化を図れるとともに、金属錯体同士の消光現象の発生を防止することができる。
第3の発明は、第2の発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記ホスト材料は、前記有機材料の方が前記金属錯体よりも混合比率が高いことを特徴とする。
前記ホスト材料は、前記有機材料の方が前記金属錯体よりも混合比率が高いことを特徴とする。
これにより、金属錯体の割合を大幅に減少させつつ、低電圧駆動及び高発光効率を実現することができ、低コスト化を図りつつ性能を向上させることができる。
第4の発明は、第2又は第3の発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記金属錯体は、前記ゲスト材料よりも波長の短い光を発光する性質を有する燐光材料から構成されることを特徴とする。
前記金属錯体は、前記ゲスト材料よりも波長の短い光を発光する性質を有する燐光材料から構成されることを特徴とする。
これにより、金属錯体に燐光材料を用いても、ゲスト材料の発光を優先させることができ、所望のカラー発光を行うことができる。
第5の発明は、第1〜4のいずれかの発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記有機材料は、金属錯体が結合した有機金属錯体を含むことを特徴とする。
前記有機材料は、金属錯体が結合した有機金属錯体を含むことを特徴とする。
第6の発明は、第5の発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記有機材料に結合した金属錯体は、希少金属以外の金属から構成されることを特徴とする。
前記有機材料に結合した金属錯体は、希少金属以外の金属から構成されることを特徴とする。
これにより、有機材料の方は安価に構成することができ、コスト低減に寄与することができる。
第7の発明は、第1〜6のいずれかの発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記有機材料は、TPBI(2,2',2"−(1,3,5−ベンゼントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンゾイミダゾール))、TCTA(4,4',4"−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン)、BAlq((1,1'−ビスフェニル)−4−オレート)ビス(2−メチル−8−キノリノレート−N1,O8)アルミニウム)又はTAZ(3−(4−ビフェニルイル)−4フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール)のいずれかであることを特徴とする。
前記有機材料は、TPBI(2,2',2"−(1,3,5−ベンゼントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンゾイミダゾール))、TCTA(4,4',4"−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン)、BAlq((1,1'−ビスフェニル)−4−オレート)ビス(2−メチル−8−キノリノレート−N1,O8)アルミニウム)又はTAZ(3−(4−ビフェニルイル)−4フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール)のいずれかであることを特徴とする。
これにより、種々の有機材料を選択することができ、用途に応じて適切な有機材料を選択しつつ高効率の素子を実現することができる。
第8の発明に係る表示装置は、第1〜7のいずれかの発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示パネルと、
該表示パネルを駆動する駆動回路と、を有することを特徴とする。
該表示パネルを駆動する駆動回路と、を有することを特徴とする。
これにより、低電圧駆動が可能であり、発光効率が高く、寿命の長い表示装置を実現することができる。
本発明によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子及びこれを用いた表示装置の発光効率を向上させることができる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
図1は、本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子(Organic Electro-Luminescence、以下、「有機EL素子」と呼ぶ。)の一例を示した断面構成図である。図1において、本実施形態に係る有機EL素子は、基板10と、ITO(Indium Tin Oxide、酸化インジウム錫)電極20と、正孔注入層30と、正孔輸送層40と、発光層50と、電子輸送層60と、電極層70とを有する。
本実施形態に係る有機EL素子は、基板10の表面上に、ITO電極20、正孔注入層30、正孔輸送層40、発光層50、電子輸送層60及び電極層70が順に積層された構成を有している。正孔注入層30、正孔輸送層40、発光層50、電子輸送層60は、総て有機材料からなる有機層として構成されているので、正孔注入層30を第1の有機層30、正孔輸送層40を第2の有機層40、発光層50を第3の有機層50、電子輸送層60を第4の有機層60と呼んでもよい。つまり、本実施形態に係る有機EL素子は、第1〜第4の有機層30〜60がITO電極20と電極層70でサンドイッチ状に挟まれた構成を有している。
基板10は、光を透過する透明な基板が用いられ、例えば、ガラス基板やプラスチック基板が利用されてよい。基板10は、透明な材料であれば、用途に応じて種々の材料から構成され得る。
ITO電極20は、光を透過する透明な金属薄膜からなり、透明な電極として構成される。ITO電極20は陽極として機能し、駆動時には正電圧が印加され、正孔が注入される。なお、本実施形態においては、陽極としてITO電極20を用いた例を挙げているが、透明電極を構成できれば、他の材料を用いてもよい。
正孔注入層30は、ITO電極20と正孔輸送層40の中間の仕事関数を有し、ITO電極20に注入される正孔を正孔輸送層40に注入する橋渡しを行うバッファ層である。上述のように、正孔注入層30は、有機材料で構成される。正孔注入層30は、ITO電極20で注入された正孔を、正孔輸送層40に橋渡しできる機能を有する種々の有機材料から構成されてよいが、例えば、下記の式(1)に示す化合物(以下、「PEDOT:PSS」と呼ぶ。)から構成されてもよい。
電子輸送層60は、電極層70から注入された電子を発光層50に輸送するための層である。電子輸送層60は、有機材料から構成されてよい。有機材料は、電子を輸送する機能を果たすことができれば、種々の有機材料を用いることができるが、例えば、2,2',2"−(1,3,5−ベンゼントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンゾイミダール)(又は2, 2',2"-(1, 3, 5-benzenetriyl)-tris(1-phenyl-1-H-benzimidazole))(以下、「TPBI」と呼ぶ。)を用いてもよい。なお、TPBIの化学式を、下記の式(3)に示す。
発光層50は、金属錯体と、燐光材料と、有機材料とから構成される。金属錯体と有機材料は、発光層50の主成分であるホスト材料を構成する。一方、燐光材料は、発光層50の少量成分であるゲスト材料を構成する。発光層50において、発光の役割を担うのは、ゲスト材料である。よって、燐光材料が発光の役割を担う。
ホスト材料中の金属錯体は、種々の金属錯体を用いることができるが、例えば、イリジウム錯体等の燐光材料を用いるようにしてもよい。金属錯体に燐光材料を用いる場合には、ゲスト材料に用いられる燐光材料よりも短い波長の光を発光する燐光材料を用いる。これにより、波長の長いゲスト材料の燐光材料からの発光が優先され、ゲスト材料の発光色で発光層50から光を発生させることができる。例えば、ホスト材料中の金属錯体に緑色に発光する燐光材料を用い、ゲスト材料の燐光材料に赤色に発光する燐光材料を用いるようにすれば、緑色の波長領域500〜560nmよりも、赤色の波長領域610〜750nmの発光が優先され、発光層50は赤色に発光する。この場合、ホスト材料の緑色の燐光材料は、例えば、下記の式(4)で表される化合物(以下、「Ir(ppy)2acac」という。)を用いるようにしてもよい。また、ゲスト材料の赤色の燐光材料は、例えば、下記の式(5)で表される化合物(以下、「Ir(piq)3」という。)を用いるようにしてもよい。
波長は、青色<緑色<黄色<赤色であるので、ホスト材料の金属錯体に燐光材料を用いる場合には、ゲスト材料に用いられる燐光材料の発光色よりも短い波長の燐光材料を選択するようにすれば、ゲスト材料の燐光材料の発光色で発光層50を発光させることができ、所望のカラー表示を行うことができる。
本実施形態に係る有機EL素子のホスト材料は、金属錯体のみならず、有機材料を含有している。ホスト材料を、高濃度の金属錯体のみで構成すると、消光現象が発生するが、有機材料との混合膜とすることにより、消光現象を低減させることができ、高効率で発光させることができる。また、ホスト材料の金属錯体には希少金属が使用されている場合が多く、高コストとなる場合が多いが、この一部を有機材料で置き換えることにより、希少金属の使用量を減少させ、低コストで有機EL素子を構成することができる。
ホスト材料中の有機材料には、種々の有機材料を利用することができるが、例えば、上述の式(3)に示したTPBIを用いるようにしてもよい。
その他、有機材料として、例えば、((1,1'−ビスフェニル)−4−オレート)ビス(2−メチル−8−キノリノレート−N1,O8)アルミニウム(又はBis(2-methyl-8-quinolinolato-N1, O8)-(1, 1'-Biphenyl-4-olato)aluminum)(以下、「BAlq」と呼ぶ。)や、4,4',4"−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(又は4, 4', 4"-Tris(carbazol-9-yl)triphenylamine1)(以下、「TCTA」と呼ぶ。)や、3−(4−ビフェニルイル)−4フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(又は3-(4-Biphenylel-4-phenyl-5-(4-tert-butylpenyl)-1, 2, 4-triazole) (以下、「TAZ」という。)を用いるようにしてもよい。
また、Balqの化学式は下記の式(6)で表され、TCTAの化学式は式(7)で表され、TAZの化学式は下記の式(8)で表される。
このように、有機材料は、金属錯体とともにホスト材料の一部を担うことができれば、用途に応じて種々の有機材料を用いることができる。
なお、本実施形態に係る有機EL素子は、印刷法(例えばグラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷)やコーティング法(例えばスリットコーティング、キャップコーティング、マイクログラビア印刷、スピンコーティング)、真空蒸着法等の成膜方法を用いて製造することができる。
次に、具体的な実施例を用いて本発明の有機EL素子について説明する。
本発明の実施例に係る有機EL素子は、図1において説明した本実施形態に係る有機EL素子と同様に構成した。具体的には、以下のようにして実施例に係る有機EL素子を作製した。なお、今まで説明した構成要素に対応する構成要素には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
まず、ITO電極20の薄膜が形成された基板10上に、正孔注入層30となるPEDOT:PPSをスピンコート法により成膜した。次いで、正孔輸送層40、発光層50、電子輸送層60となる有機層と、電極層70とを、10−4Paの真空チャンバ内で抵抗加熱により真空蒸着し、連続的に成膜した。具体的には、以下の材料及び厚さで成膜を行い、実施例1に係る有機EL素子を構成した。
正孔注入層30 (35nm):PEDOT:PSS
正孔輸送層40 (40nm):α−NPD
発光層50 (35nm):所定のホスト(2種類)/所定のゲスト
電子輸送層60 (40nm):TPBI
電極層70(0.5nm/100nm):LiF/Al
なお、発光層50の構成は、具体的な実施例に応じて材料が変化するため、所定のホストと所定のゲストとしている。
正孔輸送層40 (40nm):α−NPD
発光層50 (35nm):所定のホスト(2種類)/所定のゲスト
電子輸送層60 (40nm):TPBI
電極層70(0.5nm/100nm):LiF/Al
なお、発光層50の構成は、具体的な実施例に応じて材料が変化するため、所定のホストと所定のゲストとしている。
このようにして作製された実施例に係る有機EL素子のITO電極20側を陽極とし、電極層70側を陰極として電圧を印加し、電流、輝度及び発光スペクトルの測定を行った。このような測定は、酸素や水が素子劣化の原因として問題となるので、その要因を除去するために真空チャンバからドライボックスに、空気に触れないようにして取り出し、ガラスキャップで封止を行った後に測定を行った。
次に、具体的な比較例及び実施例について説明する。
〔比較例〕
式(3)で表される化合物(Ir(pig)3)をゲスト材料として、ホスト材料(Ir(ppy)2acac)中に1重量%、共蒸着によるドーピングを行って、発光層50を形成し、比較例1に係る有機EL素子を構成した。
式(3)で表される化合物(Ir(pig)3)をゲスト材料として、ホスト材料(Ir(ppy)2acac)中に1重量%、共蒸着によるドーピングを行って、発光層50を形成し、比較例1に係る有機EL素子を構成した。
図2は、比較例に係る有機EL素子の測定結果と、実施例1に係る有機EL素子の測定結果を比較して示した表である。図2の表の最上段にデータに示すように、比較例に係る有機EL素子の100cd/m2時の駆動電圧は、3.6Vであった。また、100cd/m2時のCIE色度(x,y)と発光ピークの波長λは、x=0.649、y=0.350、λ=614nmであった。100cd/m2での外部量子効率(EQE、External Quantum Efficiency)は11.8%、パワー効率9.8lm/Wであった。この特性は、上述の特許文献1に記載の特性と同程度であった。
〔実施例1〕
式(3)で表される化合物(Ir(pig)3)をゲスト材料として、2種類のホスト材料(Ir(ppy)2acac・TPBI)中に1重量%、共蒸着によるドーピングを行って、発光層50を形成し、実施例1に係る有機EL素子を構成した。
式(3)で表される化合物(Ir(pig)3)をゲスト材料として、2種類のホスト材料(Ir(ppy)2acac・TPBI)中に1重量%、共蒸着によるドーピングを行って、発光層50を形成し、実施例1に係る有機EL素子を構成した。
図2は、実施例1に係る有機EL素子を、ホスト材料中の混合比を変えて作製した場合の特性を示した表である。図2において、実施例1AがTPBI:Ir(ppy)2acac=10:89(≒1:9)、実施例1BがTPBI:Ir(ppy)2acac=20:79(≒2:8)、実施例1CがTPBI:Ir(ppy)2acac=40:59(≒4:6)、実施例1DがTPBI:Ir(ppy)2acac=60:39(≒6:4)、実施例1EがTPBI:Ir(ppy)2acac=80:19(≒8:2)の混合比のホスト材料の測定結果を各々示している。
図2の表において、実施例1A〜1Eは、比較例1と比較して、TPBIを挿入しても駆動電圧はそれほど変化していないものの、外部量子効率が上昇しており、高い電力効率が実現できている。これは、発光層中のホスト材料のIr(ppy)2acacの濃度が低下し、Ir(ppy)2acacの消光が抑制されたためであると考えられる。実際、図2において、TPBIの濃度上昇とともに内部量子効率が向上している。内部量子収率に関して言えば、ホスト材料中のIr(ppy)2acacの混合比率よりもTPBIの混合比率が多い方が高い内部量子収率を示している。よって、例えば、金属錯体であるIr(ppy)2acacと有機材料であるTPBIとのホスト材料中の混合比率は、有機材料の方を金属錯体よりも高く構成してもよい。
図3は、実施例1に係る有機EL素子の輝度半減寿命を、比較例に係る有機EL素子との比較において示した表である。図3において、ホスト材料の金属錯体Ir(ppy)2acacと有機材料TPBIの混合比を変化させて作製した比較例及び実施例1A〜1Eについて、輝度半減寿命の測定結果が示されている。なお、初期輝度は1000cd/m2として評価を行った。
図3に示すように、比較例の輝度半減寿命は103時間であるのに対し、実施例1A〜1Cは、それよりも3倍以上の高い輝度半減寿命を示している。この結果から、実施例1に係る有機EL素子は、式(3)で表される化合物(Ir(pig)3)をゲスト材料として、Ir錯体のみからホスト材料を構成して発光層を形成した比較例に係る有機EL素子と比較して、寿命が長くなることが明らかとなった。
〔実施例2乃至4〕
図4は、本発明の実施例2乃至4に係る有機EL素子の測定結果を示した表である。実施例2乃至4においては、式(3)で表される化合物(Ir(pig)3)をゲスト材料として、2種類のホスト材料のうちIr錯体(金属錯体)ではない方の有機材料の方を変え、1重量%共蒸着によるドーピングを行って、発光層を形成した。ホスト材料の組み合わせを変えて作製した有機EL素子の特性・寿命をまとめたものが、図4の表に示されている。
図4は、本発明の実施例2乃至4に係る有機EL素子の測定結果を示した表である。実施例2乃至4においては、式(3)で表される化合物(Ir(pig)3)をゲスト材料として、2種類のホスト材料のうちIr錯体(金属錯体)ではない方の有機材料の方を変え、1重量%共蒸着によるドーピングを行って、発光層を形成した。ホスト材料の組み合わせを変えて作製した有機EL素子の特性・寿命をまとめたものが、図4の表に示されている。
図4に示すように、実施例2における発光層50のホスト材料は、Ir(ppy)2acacと式(7)で表される化合物TCTAから構成したものであり、その混合比率は、Ir(ppy)2acac:TCTA=89:10(≒9:1)である。
また、実施例3における発光層50のホスト材料は、Ir(ppy)2acacと式(6)で表される化合物BAlqから構成したものであり、その混合比率は、Ir(ppy)2acac:BAlq=79:20(≒8:2)である。
また、実施例4における発光層50のホスト材料は、Ir(ppy)2acacと式(8)で表される化合物TAZから構成したものであり、その混合比率は、Ir(ppy)2acac:TAZ=89:10(≒9:1)である。
図4においては、実施例2乃至4に係る有機EL素子の100cd/cm2での外部量子効率、100cd/cm2での電力効率、100cd/cm2での電圧及び輝度半減寿命が示されている。また、図4において比較例は示されていないが、図2及び図3に、TPBIの混合比率が零の場合の比較例が示されている。
図4に示す測定結果から、実施例2乃至4に係る有機EL素子は、式(3)で表される化合物(Ir(pig)3)をゲスト材料として、Ir錯体のみからホスト材料を構成して発光層を形成した比較例に係る有機EL素子と比較して、寿命が長くなることが明らかとなった。つまり、図3に示すように、比較例において寿命は103時間であったが、実施例2では370時間、実施例3では1300時間、実施例4では520時間というように、いずれの実施例も寿命が長くなっている。
また、外部量子効率についても、図2に示すように、比較例に係る有機EL素子では11.8であったのが、実施例2では13.3、実施例3では14.2、実施例4では13.1と、いずれも向上している。
このように、発光層50のホスト材料を構成する有機材料は、用途に応じて種々の材料を用いることができることが分かる。ここで、実施例1で示したTBPI、実施例3のBAlq及び実施例4のTAZは電子輸送性の材料であるが、実施例2のTCTAは正孔輸送性の材料である。したがって、Ir錯体以外にホスト材料として用いる有機材料の選択性は非常に広いことが分かる。
また、本実施形態及び本実施例に係る有機EL素子は、多様な分野に応用が可能である。例えば、本実施形態及び本実施例に係る有機EL素子を用いて表示パネルを構成し、表示パネルを駆動する駆動回路を備えることにより、有機ELディスプレイの表示装置を構成することが可能となる。その他、液晶のバックライト等にも利用が可能である。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
本発明は、有機EL素子及びこれを用いた表示装置に利用することができる。
10 基板
20 ITO電極
30 正孔注入層
40 正孔輸送層
50 発光層
60 電子輸送層
70 電極層
20 ITO電極
30 正孔注入層
40 正孔輸送層
50 発光層
60 電子輸送層
70 電極層
Claims (8)
- 対向した電極間に発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記発光層は、金属錯体と、燐光材料と、有機材料とを含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 前記金属錯体と前記有機材料がホスト材料を構成し、前記燐光材料はゲスト材料を構成することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記ホスト材料は、前記有機材料の方が前記金属錯体よりも混合比率が高いことを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記金属錯体は、前記ゲスト材料よりも波長の短い光を発光する性質を有する燐光材料から構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記有機材料は、金属錯体が結合した有機金属錯体を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記有機材料に結合した金属錯体は、希少金属以外の金属から構成されることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記有機材料は、TPBI(2,2',2"−(1,3,5−ベンゼントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンゾイミダゾール))、TCTA(4,4',4"−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン)、BAlq((1,1'−ビスフェニル)−4−オレート)ビス(2−メチル−8−キノリノレート−N1,O8)アルミニウム)又はTAZ(3−(4−ビフェニルイル)−4フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール)のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示パネルと、
該表示パネルを駆動する駆動回路と、を有することを特徴とする表示装置。
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JP2018120846A (ja) * | 2016-11-30 | 2018-08-02 | 株式会社半導体エネルギー研究所 | 発光素子、発光装置、電子機器、表示装置及び照明装置 |
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