JP2008223746A - 真空ポンプ用フィルター - Google Patents

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Masato Kasahara
昌人 笠原
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Nisshinbo Industries Inc
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Abstract

【課題】 真空ポンプのメンテナンス周期を伸ばすことができる真空ポンプ用フィルターを提供する。
【解決手段】 真空ポンプが吸引した気体が通過するフィルター本体11内に、通気性の冷却手段15を設け、該冷却手段の下流側に通気性で多孔性の素材からなるフィルター16を設け、その下流側にガス吸着素材からなるフィルター17を設けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は真空ポンプが吸引する空気の吸引経路内に設けられる真空ポンプ用フィルターに関し、特に、太陽電池パネルの製造に使用されるラミネート装置で使用する真空ポンプに適したフィルターに関する。
太陽電池モジュールを製造するためのラミネート装置としては、特許文献1(特開平9−141743)が知られている。これは、下方に向かって膨張自在なダイヤフラムを備える上チャンバと、ヒータ盤を備えた下チャンバとを有するものである。搬送ベルトで搬送された被加工物をヒータ盤の上に載せ、上チャンバを下チャンバに押圧し、上下のチャンバ内を真空ポンプで減圧する。また、ヒータ盤を加熱し、搬送ベルトを通して被加工物を加熱する。上下のチャンバ内が所定の真空度に達したら、上チャンバ内に大気を導入する。すると、ダイヤフラムは下方に膨らみ、被加工物をヒータ盤に強く押しつける。被加工物はヒータ盤により加熱され、被加工物内の充填材が溶融して架橋反応を起こし、透明になって硬化する。
上下のチャンバ内を真空にするには、一般的にポンプが使用され、この真空ポンプによって、ラミネート装置の上下のチャンバ内の空気を吸引する。被加工物内の充填材としては、EVAが使用されるが、EVAは加熱されることによって、酢酸性のガスを発生する。この酢酸性ガスが真空ポンプ内に入り、オイルと化学反応を起こし、オイルを酸化させる。オイルは酸化されると、粘性が高くなるので、真空度が上がらなくなったり、真空ポンプの騒音が増大したり、故障を起こしたりする原因となっていた。
そのため、従来は、頻繁にオーバーホールを行ったり、1、2週間に1回ごとにオイルを交換していたが、これではメンテナンスとオイル代に手間と費用が掛かり、ラミネート装置の稼働率も低下してしまう。
そこで、このようなことから、真空ポンプのオイルタンクにフィルターを設け、オイルタンク内のオイルをこのフィルターに通して不純物を除去したり、真空ポンプの吸気側に不織布などによるフィルターを設けて不純物を除去するなどの方法が使用されてきた。
しかし、フィルターでは固形の不純物を取り除くことはできても、オイルを酸化させるガスの除去はできず、根本的な解決にはならなかった。
そこで、この問題に対し、特許文献2(特開2003−65269)では、オイルに比重の大きい不活性オイルを使用することを提案している。不活性オイルなので、酢酸性ガスが混入しても酸化することがない。
しかし、不活性オイルは通常のオイルに比べて数倍の価格となり、非常に高価である。また、EVAのガス化もしくは液化したものがオイルに混入した後、冷却されて固化するが、固化したEVAが徐々に増加し、ベアリングなどに混入するなどして、内部の摺動を阻害し、しいては真空度の劣化およびポンプの破損につながる。不活性オイルによる改善は、メンテナンス期間やオイル交換頻度の改善の効果は見られるものの、根本的な対策とはならなかった。
オイルを使用しないドライタイプの真空ポンプを使用する方法もある。しかし、このドライタイプの真空ポンプは、油回転式真空ポンプの何倍も高価なものである。これについてもポンプ内で固化したEVAにより上記と同様な問題が発生し、例えば半年程度でオーバーホールが必要になるなど、費用対効果という点では、満足のいくものとはなっていない。
特開平9−141743 特開2003−65269
本発明は、このような事実から考えられたもので、真空ポンプにおいてはオイル交換の周期を伸ばすなど、さまざまな真空ポンプにおいて、そのメンテナンス周期を延長することができる真空ポンプ用フィルターを提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために本発明の真空ポンプ用フィルターは、真空ポンプが吸引する気体が通過するフィルター本体内に、通気性の冷却手段と、通気性で多孔性の素材からなるフィルターと、ガス吸着素材からなるフィルターとの3つから任意の2つを空気の流れに沿って並べて配置したことを特徴としている。
又は、真空ポンプが吸引する気体が通過するフィルター本体内に、通気性の冷却手段と、通気性で多孔性の素材からなるフィルターと、ガス吸着素材からなるフィルターとを設けたことを特徴としている。
前記冷却手段が、金属製の多孔板である構成としたり、前記多孔板の穴径が、多孔板の中央部分で大きく、周辺部分で小さい構成としたりすることができる。
本発明の真空ポンプ用フィルターは、通気性の冷却手段と、通気性で多孔性の素材からなるフィルターと、ガス吸着素材からなるフィルターとの3つから任意の2つを空気の流れに沿って並べて配置したので、真空ポンプが吸引した空気内に含まれる不純物をそれぞれ異なる手段で捕捉できるという優れた効果を奏する。特に、冷却手段を設けることで、気化および液化しているEVAなどの不純物を固化することができ、除去し易くなるという格別の効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の真空ポンプ用フィルターの縦断面図である。真空ポンプ用フィルター10は、中空の箱型で、直方体の本体11の一方にラミネート装置のチャンバ側と接続する入口12があり、他方には真空ポンプと接続する出口13を備えている。
本体11の入口12近くに、冷却ブロック21を介してペルチェクーラー14を設けている。本体11内には、L型のアルミニウム製の冷却板15を設け、その短辺を冷却ブロック21にネジなどで固定している。ペルチェクーラー14が冷えると、冷却ブロック21が冷却されて冷却板15の熱が奪われ、冷却板15の温度が低下する。
本体11内には、さらに、中央に通気性で多孔性の素材からなるフィルター16を設けて、出口側には、ガス吸着素材からなるフィルター17を設けている。この実施例では、通気性で多孔性の素材からなるフィルター16としては、不織布を使用しており、ガス吸着素材からなるフィルター17には活性炭が混入した不織布を使用している。
これらのフィルター16、フィルター17は、本体11に形成された上下のホルダー18の溝内に取り付けられている。本体11は上部の天井の冷却板15、フィルター16、フィルター17のそれぞれと対応する位置に窓11aがあり、この上に透明素材からなる蓋体19がボルト20等で取外し可能に取り付けられている。すなわち、ボルト20を外して蓋体19を取り去ると、窓11aから手を入れてフィルター16、フィルター17を直接掴むことができ、フィルターを引き上げれて取り外し、新しいものと交換することができる。また、通常は、透明な蓋体19と窓11aから冷却板15やフィルター16、17を見ることができるようになっている。
なお、蓋19は、本実施例においては一体構造となっているが、冷却板15、フィルター16、フィルター17に対応する窓11aを個別に蓋をする構成とすることもできる。
図2は、冷却板15の図で、(a)は図1の入口12側から見た図で(b)は図1と同じ方向から見た図である。冷却板15はアルミニウム板の多孔板で、多くの孔が空けられているが、中央の孔15aと周囲の孔15bとを比較すると、周囲の孔15bの方が径が小さくなっている。
次ぎに、本発明の真空ポンプ用フィルター10の作用を説明する。
ラミネート装置から吸引された空気は、100℃程度の温度になっており、ガス化したEVAを含んでいる。この空気が、真空ポンプ用フィルター10の入口12から入り、冷却板15を通過するとき冷やされ、EVAが析出して固化する。固化したEVAは、一部が冷却板15に付着し、残りは冷却板15を通過して次の不織布からなるフィルター16で捕捉される。固化しなかったEVAは、次の活性炭のフィルター17で吸着され、出口13からは、EVA等の混入していない空気が流出することになる。この空気が真空ポンプに吸引されるが、酢酸性のガスが殆どなくなっているので、真空ポンプのオイルを酸化させることが殆どない。そのため、オイルの交換周期を伸ばすことができる。
ガス化もしくは液化したEVAは、その比重が重いため、吸引時には流路の外周部に集まる傾向があり、固化したEVAは、本体11の周辺に付着し易い傾向がある。そこで、図2に示すように、冷却板15の中央の孔15aより、周囲の孔15bの径を小さくして、本体11の周囲のEVAを効果的に捕捉することができるようにしている。また、中央の孔15aを大きくすることで、ラミネート装置に必要な空気の流量を確保することができる。さらに、EVAの捕捉状態を見ながら、冷却板15の穴位置を変更したり、冷却板15を二重化したり、ペルチェクーラー14の冷却能力を上げるなどの工夫も可能な構造となっている。
本発明の真空ポンプ用フィルター10は、使用時間の経過とともに、フィルター16が目詰まりを起こし、フィルター17の吸着力も低下していく。そこで、窓11aで冷却板15、フィルター16、フィルター17の汚れ状態を見て、必要に応じて冷却板15を洗浄したり、フィルター16、フィルター17を交換する。フィルターが安価な材料からできていることと、フィルターの交換が短時間で可能であること、オイル交換の周期が延びること等で、トータルとして大幅なコストダウンが可能となる。
本発明では、冷却手段としてペルチェクーラー14を使用したが、これに限定されるものではなく、例えば冷却ブロック21に冷媒を流すなど、他の冷却手段を使用することができる。ただし、ペルチェクーラー14にすることで、構成を小型で単純化することができる。
また、本発明の真空ポンプ用フィルター10は、冷却手段としての冷却板15、通気性で多孔性の素材からなるフィルター16、ガス吸着素材からなるフィルター17の全てが揃わなくてもよく、これら3つの中からいずれか2つを選んで、空気の流れに沿って配置してもよい。ただし、冷却板15を使用する場合は、これを上流側に配置することが望ましい。
また、本発明の真空ポンプ用フィルターは、太陽電池パネルのラミネート装置の真空ポンプに限定されず、合わせガラスの製造装置をはじめ、各種のラミネート装置にも使用できる。さらには、他の目的に使用される真空ポンプ全体にも適用可能である。
本発明の真空ポンプ用フィルターの縦断面図である。 冷却板の図で、(a)は図1の左側面から見た図、(b)は図1と同じ方向からみた図である。
符号の説明
10 真空ポンプ用フィルター
11 本体
11a 窓
12 入口
13 出口
14 ペルチェクーラー
15 冷却板
15a 中央の孔
15b 周囲の孔
16 (通気性で多孔性の素材からなる)フィルター
17 (ガス吸着素材からなる)フィルター
18 ホルダー
19 蓋体
20 ボルト
21 冷却ブロック

Claims (4)

  1. 真空ポンプが吸引する気体が通過するフィルター本体内に、通気性の冷却手段と、通気性で多孔性の素材からなるフィルターと、ガス吸着素材からなるフィルターとの3つから任意の2つを空気の流れに沿って並べて配置したことを特徴とする真空ポンプ用フィルター。
  2. 真空ポンプが吸引する気体が通過するフィルター本体内に、通気性の冷却手段と、通気性で多孔性の素材からなるフィルターと、ガス吸着素材からなるフィルターとを設けたことを特徴とする真空ポンプ用フィルター。
  3. 前記冷却手段が、金属製の多孔板であることを特徴とする請求項1又は2記載の真空ポンプ用フィルター。
  4. 前記多孔板の穴径が、多孔板の中央部分で大きく、周辺部分で小さいことを特徴とする請求項3記載の真空ポンプ用フィルター。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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