JP2008223078A - 高純度チタンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】クロール法によるスポンジチタンに残留する金属不純物の分離を効率的に行い、Fe、Ni等の金属不純物や酸素濃度を低減させたチタン材を提供する。
【解決手段】クロール法で製造されたスポンジチタン塊から選別されたスポンジチタンを細粒化し、有機溶剤で洗浄した後、不活性雰囲気または真空雰囲気中で溶解することを特徴とする高純度チタンの製造方法である。前記有機溶剤をフッ素系溶剤にすること、それに含有される不純物が、Fe≦10ppm、かつNi≦5ppmであること、およびその沸点が、90℃〜30℃であることが望ましい。さらに、前記スポンジチタンが、内面が鉄張りの反応容器で製造され、反応容器から取り出されたスポンジチタン塊の周辺部を分離除去して中心部を採取され、さらに平均粒径10〜100mmに細粒化されることが望ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、クロール法によって得られたスポンジチタン塊から高純度スポンジチタンを製造する方法に関し、さらに詳しくは、スポンジチタンに含まれる不純物の分離を効率的に行い、Fe、Ni等の金属不純物の濃度が低減され、例えば半導体用の配線材料等に適用できる高純度スポンジチタンを製造する方法に関するものである。
半導体製造分野においては、高集積化の進捗が著しく、超LSIと称されるディバイスでは、1μm以下の微細パターンの加工が必要とされる。このような超LSI製造プロセスに使用される電極材料は、より高純度で高強度のものに移行しつつあり、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、チタン(Ti)またはそれらのシリサイド(珪化物)などの高純度高融点金属材料が注目されている。なかでも、チタンは優れた比強度、加工性および耐蝕性を発揮することから、特に有望とされている。
チタン材の製造方法として工業的に操業されているものは、いずれもルチル(TiO2)または合成ルチルなどを塩化して得られる四塩化チタン(TiCl4)を中間原料として用いる還元方法であり、マグネシウム(Mg)を還元剤として用いるクロール法、ナトリウム(Na)を還元剤とするハンター法および溶融塩電解による電解法が用いられる。これらのなかで、クロール法が生産性および省エネルギーの観点から多用されている。
クロール法によるスポンジチタンの製造方法では、先ず、密閉した鋼製の反応容器内にMgを装入し、容器内を不活性なアルゴンガスで置換した後、加熱してMgを溶融させる。反応容器の上部に設けられたノズルからTiCl4を供給すると、TiCl4がMgで還元されてTiが生成し、溶融物(溶融Mgと、副生する溶融MgCl2)の中を沈降し、堆積して多孔質のスポンジチタン塊を形成する。還元反応が終了すると反応容器の底部から溶融Mgや副生する溶融MgCl2が抜き出されるが、形成されたスポンジチタン塊の内部には多量の溶融物が残留している。
この残留溶融物を除去するため、真空分離工程を設けて溶融物を蒸発させて除去する。具体的には、反応容器を真空分離炉内に収容したのち、反応容器の内部を真空状態にするとともに、反応容器の外部から加熱して、反応容器内のスポンジチタン塊に含まれる未反応Mgおよび残留MgCl2を蒸発、分離させる。未反応Mgおよび残留MgCl2を分離されたスポンジチタンは、バッチ毎に反応容器から通常は略円柱状の塊として押し出される。
ところが、真空分離によりスポンジチタン塊に含まれる未反応Mgおよび残留MgCl2を分離させても、微量のFe、Niなどの金属不純物がスポンジチタン塊の表面や隙間(細孔)に残留することになる。すなわち、溶融物中に混入している金属不純物は、真空分離時の1000℃以上での加熱によっても、蒸気とはならず、除去されずにスポンジチタンの表面や隙間に残留する。
このため、従来から、真空分離によっても分離、除去することができず、スポンジチタン塊に残留したFe、Niなどの金属不純物を低減するため、種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1では、クロール法で製造される塊状のスポンジチタンケーキを切断して選別する工程と、選別したスポンジチタンブロックを切断手段により細粒化してスポンジチタン粒とする工程とを経ることにより、細粒化されたスポンジチタン粒表面には金属不純物が付着することから、振動を与えるか攪拌することによりスポンジチタン粒から金属不純物を分離させ、これらを微粉として除去する高純度スポンジチタン材の製造方法を提案している。
また、特許文献2では、クロール法によるスポンジチタン塊に残留した金属不純物は、解砕処理により特定粒径の顆粒状スポンジチタンとし、その後にこれを酸処理すれば、塊状スポンジチタンに残留するニッケルなどの不純物を効率よく除去できることに着目している。そして、具体的な条件として、スポンジチタン塊を解砕して平均粒径2〜50mmの顆粒状スポンジチタンに調整したのち、この顆粒状スポンジチタンを酸洗処理する高純度チタンの製造方法を開示している。
特開2005−97674号公報 特開2004−1691395号公報
従来から、スポンジチタンに残留した金属不純物を低減するため、高純度チタンの製造方法が種々提案されているが、いずれも所定の低減効果を発揮することができるものの、今後のLSI用配線材料に用いられる高純度チタンに要求されるように、充分に金属不純物を低減させることができる方法として採用できるものでなかった。
前記特許文献1で提案される製造方法では、その効果として、スポンジチタンの表面から剥離した微粉を除去すると、Fe≦5ppmを満たすスポンジチタンの歩留を10%以上にできることが示されている。しかし、スポンジチタンの歩留まりをそれ以上に向上させようとすると制限が生じることになる。
すなわち、切断機によってスポンジチタンを細分化する際に、「チタン粒の隙間」の多くは割れて付着物が現出し、その後の篩い(振動付与)で除去されることになるが、割れなかった「チタン粒の隙間」には篩い(振動付与)後も依然として付着物が残留したままの状態である。また、切断機による細分化において、「チタン粒の隙間」を密着する方向に切断力が加わる場合もあり、この場合には付着物がチタン粒内部に押し込まれ、残留したままの状態になる。残留したままの状態が増加することにより、充分に金属不純物を低減させることができない。
一方、特許文献2で開示される製造方法では、顆粒状スポンジチタンを酸洗処理することにより、Ni≦1ppm、Fe=4ppmおよび酸素≦200ppmを満たす高純度スポンジチタンを得ることができるとしている。しかしながら、酸洗処理に伴って、水洗処理が必要になる場合には、水分除去を行わなければ酸素濃度が著しく上昇するため、その後に高温で長時間加熱を要する乾燥工程が必要になる。この加熱、乾燥工程によって、スポンジチタンの酸素濃度が著しく上昇するという問題がある。
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、クロール法によるスポンジチタンに残留する不純物の分離を効率的に行い、Fe、Ni等の金属不純物濃度を低減させ、例えば半導体用の配線材料等に適用できる高純度スポンジチタンの製造方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記の課題を解決するために、スポンジチタン表面や隙間に残留する金属不純物を分離、除去する方法について検討した。その結果、これらの分離、除去には有機溶剤の洗浄性能および揮発性が有効であることに着目した。
スポンジチタンに残留する金属不純物は、有機溶剤で洗浄することにより、チタン粒の隙間に残留していても、この隙間まで浸透する有機溶剤によって流出される。また、有機溶剤は揮発性に優れるものであるから、洗浄後にはスポンジチタンに残留することがない。このため、有機溶剤で洗浄するのに伴って、水洗処理は一切必要としない。
さらに、スポンジチタンを有機溶剤で洗浄することとすれば、洗浄する前のハンドリング中に飛来または接触して付着した鉄粉、鉄錆粉および他の粉塵、並びに水分および油なども有機溶剤によって除去することができる。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであり、その要旨は、下記(1)〜(3)の高純度チタンの製造方法である。
(1)クロール法で製造されたスポンジチタン塊から選別されたスポンジチタンを細粒化し、有機溶剤で洗浄した後、不活性雰囲気または真空雰囲気中で溶解することを特徴とする高純度チタンの製造方法である。
(2)上記(1)の高純度チタンの製造方法では、有機溶剤をフッ素系溶剤にすること、それに含有される不純物が、Fe≦10ppm、かつNi≦5ppmであること、およびその沸点が、90℃〜30℃であることが望ましい。
(3)上記(1)の高純度チタンの製造方法では、前記スポンジチタンが、内面が鉄張りの反応容器で製造され、反応容器から取り出されたスポンジチタン塊の周辺部を分離除去して中心部を採取され、さらに平均粒径10〜100mmに細粒化されることが望ましい。さらに、上記(1)の高純度チタンの製造方法では、有機溶剤で洗浄する際に、当該洗浄に先行して水洗を行うことができる。
本発明の高純度チタンの製造方法によれば、真空分離後においてスポンジチタンに残留する金属不純物の分離を効率的に行うことができ、Fe、Ni等の金属不純物や酸素濃度を低減させたチタン材を、安定した品質で、かつ製造コストを増加させることなく製造できる。これにより、例えば半導体用の配線材料等に適用できる高純度高融点金属材料の素材として利用が可能になる。
本発明の高純度チタンの製造方法は、クロール法で製造されたスポンジチタン塊から選別されたスポンジチタンを細粒化し、有機溶剤で洗浄した後、不活性雰囲気または真空雰囲気中で溶解することを特徴としている。
クロール法によるスポンジチタン塊は、真空分離時の1000℃以上での加熱により溶融物(溶融Mgと溶融MgCl2)は蒸気となって分離、除去されるが、溶融物中に混入しているFe、Ni等の金属不純物は蒸気とはならず、スポンジチタンの表面に残留する。さらに、多孔質体のスポンジチタン塊は均質ではなく、その隙間となる部分も溶融物で満たされており、溶融物が加熱除去された後は隙間部の内面にも金属不純物が付着している。
それに加えて、スポンジチタン塊内部の不純物分布は均一ではない。通常、Fe、Ni等の不純物は反応容器の内面からの汚染によるものであり、酸素(O2)による汚染は、スポンジチタン塊が大気中のO2と接触することによって生ずるものであるから、いずれもスポンジチタン塊の中心部で少なくなる。
本発明の製造方法では、反応容器から押し出されたスポンジチタン塊を切断して、不純物の少ない部分を選別する。さらに、選別されたスポンジチタンは、後工程の洗浄に適した粒径に切断される。このとき、細粒化のための切断手段は切断プレスに限定され、シャーリング等の切断機やジョークラッシヤーのような面加圧による粉砕手段は採用しない。これにより、スポンジチタン塊の隙間部に残留していた金属不純物の除去が容易になるとともに、細粒化に要する破砕工程の時間が短縮でき、生産性の向上を図ることができる。
本発明の製造方法が対象とするスポンジチタンは、内面が鉄張りの反応容器で製造されたのち、反応容器から取り出されたスポンジチタン塊の周辺部を除去して中心部から採取したものであり、さらに平均粒径10〜100mmに細粒化されたチタン粒であるのが望ましい。
クロール法で用いられる「鉄張りの反応容器」は、還元反応時に高温強度が要求されるため、ステンレス鋼(オーステナイト系)製またはクラッド鋼(内側:炭素鋼)製で構成される。スポンジチタン塊に残留するFe、Ni等の金属不純物は、還元反応に伴う反応容器の内面からの汚染によるものであるから、これらの残留が少ない中心部を選別するのが望ましい。中心部の選別に際しては、具体的にはスポンジチタン塊の底面から100mm以上、全周囲(上面および外周面)から50mm以上を除去するのが望ましい。
選別されたスポンジチタンは、より微細化することにより洗浄処理で不純物を除去し易いが、平均粒径が10mm未満になると、比表面積が増加し空気との接触が増え、酸素を取り込み汚染されるおそれがある。一方、平均粒径が100mmを超えると、洗浄処理で充分に金属不純物を除去することが困難になる。このため、スポンジチタンの細粒化は、平均粒径で10〜100mmとするのが望ましい。
本発明の高純度チタンの製造方法では、細粒化されたスポンジチタンを有機溶剤を用いて洗浄する。有機溶剤は優れた洗浄性能を具備し、揮発性を有するものであるから、細粒化されたチタン粒の表面のみならず、チタン粒の隙間で残留する金属不純物を流出させることができ、同時に洗浄後においてスポンジチタンに残留することがない。このため、水洗処理が不要であることから、水洗処理に付随する乾燥工程が必要でなく、酸素濃度を上昇させることなく鉄粉等の表面や隙間に付着する金属不純物を除去できる。
有機溶剤で洗浄した後、乾燥工程は必須としない。早期に乾燥させたい場合には、加熱および真空排気としてもよく、送風だけで乾燥を促進してもよい。さらに、洗浄した後にスポンジチタンを放置し自然乾燥であってもよい。
洗浄方法としては、例えば有機溶剤に細粒化されたスポンジチタンを浸漬させ、超音波振動する方法を適用できる。また、超音波振動する方法に替えて、攪拌、または揺動させる方法が適用でき、スポンジチタンを容器に入れて浸漬させ、金属不純物を含有する微粉等を落下させるように分離するのがよい。
本発明の高純度チタンの製造方法では、有機溶剤としてフッ素系溶剤を用いることができる。洗浄に用いる有機溶剤は、スポンジチタンを汚染しないものであれば特に限定されず、フロン系溶剤を想定することもできるが、オゾン破壊係数や地球温暖化係数が低く、環境負荷や法規制を考慮して、揮発性、洗浄性能に優れる「代替フロン」としてのフッ素系溶剤を採用するのが望ましい。さらに、フッ素系溶剤は引火性がなく安全性も高い。
本発明の高純度チタンの製造方法では、有機溶剤に含有される不純物をFe≦10ppm、かつNi≦5ppmとするのが望ましい。有機溶剤による洗浄では、有機溶剤で金属不純物を洗い流した後、有機溶剤の高い揮発性を利用して溶剤を蒸発し除去させている。その際に、スポンジチタンの表面や隙間に残留した溶剤も除去可能であるが、有機溶剤自身の不純物濃度が高いと、溶剤中の不揮発性不純物(金属等)がスポンジチタン表面に残留するおそれがある。このような懸念をなくすために、高純度の有機溶剤を使用すればよく、その不純物含有量をFe≦10ppm、かつNi≦5ppmとするのが望ましい。
本発明の高純度チタンの製造方法では、有機溶剤の沸点を90℃〜30℃とするのが望ましい。前述の通り、スポンジチタン表面に水分が残留する場合には、溶解時にインゴットの酸素濃度を上昇させる原因となるが、水よりも気化し易い有機溶剤を用いるため、仮に溶解時に溶剤が残留していたとしても、溶解時に殆どが気化して排気され、インゴットの酸素濃度に影響を及ぼさない。有機溶剤で洗浄することによる効果を顕著にするため、その沸点を90℃〜30℃で管理することができる。
有機溶剤の沸点が90℃以下であれば、洗浄後の有機溶剤を低温で揮発させることが可能であり、通常、水分除去のための乾燥工程、例えば、特許文献2の乾燥工程では600℃以上に加熱する場合に比べ、より低温で蒸発分離が可能となり、高温乾燥による酸素濃度上昇を抑制できる。有機溶剤の沸点が80℃以下であれば、特に加熱による乾燥工程を設けずとも自然蒸発での分離が可能となる。
一方、有機溶剤は室温付近で液体であることが取り扱い上優れることから、その沸点は30℃以上が望ましく、45℃以上がさらに望ましい。したがって、有機溶剤の沸点を90℃〜30℃とするのが望ましく、80〜45℃で管理するのがさらに望ましい。
本発明の高純度チタンの製造方法では、有機溶剤で洗浄する前に水洗してもよい。すなわち、水洗後のスポンジチタンを有機溶剤、例えばフッ素系有機溶剤で洗浄すると、水分を除去する効果が発揮され、水分は有機溶剤で洗い流されるため、スポンジチタン表面や隙間には残留しない。このため、酸洗処理後に水洗を行い、それに引き続いて有機溶剤を用いて洗浄すれば、低温で短時間に水分を除去できることになるので、酸洗による効果を得て、酸洗に伴う水洗の問題点を解消しつつ、さらに有機溶剤を用いた洗浄の効果を得ることができる。
本発明の高純度チタンの製造方法は、クロール法で製造されたスポンジチタン塊から選別され細粒化された後、有機溶剤で洗浄されたスポンジチタンを、消耗電極材に加工して真空中でアーク溶解する方法、またはそのまま真空中で電子ビーム溶解する方法を採用して溶解する。この溶解工程を経ることにより、最終製品としての金属不純物や酸素の濃度が低い高純度チタンインゴットを製造することができる。
溶解工程は不活性雰囲気または真空雰囲気中で行われる。不活性ガス雰囲気中で行うのは、スポンジチタンと酸素その他のガスとの反応や吸収を防ぐためであり、Ar等の不活性ガス雰囲気が一般的である。真空雰囲気中で行う場合も、同様の効果がある。ここでいう「真空」とは低圧の状態であり、この場合の真空度(真空の程度)は、スポンジチタンの酸化や他のガスとの反応等が防止できる程度に適宜設定できる。
(実施例1)
クロール法で製造したスポンジチタン塊から本発明の製造方法を適用してスポンジチタンを製造し、高純度の(Fe≦5ppmを満たす)スポンジチタンの採取率(製造歩留まり)を調査した。比較例として、前記特許文献1の製造方法についても同様の調査を行った。
本発明の製造方法では、内面鉄張りの反応容器でクロール法によりスポンジチタン塊を製造し、その中心部からスポンジチタンを切断プレスで採取し、さらに切断プレスを用いて、粒径が100mm以下のスポンジチタン粒に細粒化した。供試するチタン粒は、平均粒径を5〜30mmと5〜100mmに区分した。
供試用のスポンジチタン粒をフッ素系溶剤(住友スリーエム社製、HFE7100)を用いて洗浄した。このとき、超音波振動(超音波は26kHz、1200W)を付加する場合と付加しない場合に区分した。いずれも、洗浄の浸漬時間は15分とし、自然乾燥とした。その後、高純度スポンジチタンの製造歩留まりを調査した。
比較例の製造方法では、本発明の製造方法と同様に、スポンジチタンケーキ塊の中心部からスポンジチタンを切断プレスで採取し、さらに切断プレスを用いて細粒化し、100mm以下のスポンジチタン粒に細粒化した。得られたスポンジチタン粒を篩により整粒し、平均粒径を5〜30mmと5〜100mmに区分した。さらに、スポンジチタン粒を攪拌した後、再度、篩いにより10mm以下を除去した。攪拌は、チタンを内張した小型ブレンダーで50回転実施した。同様に、高純度スポンジチタンの製造歩留まりを調査した。
高純度スポンジチタンの製造歩留まりの調査結果を表1に示す。表1において、製造歩留まりは、各々10バッチ(スポンジチタン塊10個)についての調査結果の平均値である。なお、歩留まりは、{(Fe≦5ppmを満たす高純度スポンジチタンの質量/スポンジチタン塊全体の質量)×100}により求めた値である。
Figure 2008223078
表1に示した結果から明らかなように、本発明の製造方法を適用することにより、Fe≦5ppmを満たす高純度のスポンジチタンの歩留まりを向上させることができるとともに、細粒化の破砕工程および洗浄工程における生産性を向上させることができる。
(実施例2)
クロール法で製造したスポンジチタン塊から本発明の製造方法を適用してスポンジチタンを製造し、各種条件で有機溶剤を用いて洗浄した後の不純物含有量を測定した。比較例として、酸洗処理を行った場合についても同様の調査を行った。
実施例2では、内面鉄張りの反応容器でクロール法によりスポンジチタン塊を製造し、その中心部からスポンジチタンを採取し、さらに細粒化し、平均粒径10mm(粒径範囲4〜19mm)で、不純物としてFe:6ppm、Ni:1ppmおよび酸素:190ppmを含有するスポンジチタン粒10kgを準備した。
本発明例4〜7および比較例3では、次の条件に基づいて供試用のスポンジチタン粒を洗浄して、その後のスポンジチタンに含有される不純物成分を測定した。
本発明例4:洗浄液としてフッ素系溶剤(Fe:1ppm、Ni:1ppm)を用いて洗浄(浸漬:15分)を行い、洗浄後の乾燥は加熱温度60℃で、加熱時間3時間とした。
本発明例5:純水で洗浄した後、洗浄液としてフッ素系溶剤(Fe:1ppm、Ni:1ppm)を用いて洗浄(浸漬:15分)を行い、洗浄後の乾燥は加熱温度60℃で、加熱時間3時間とした。
本発明例6:洗浄液としてフッ素系溶剤(Fe:12ppm、Ni:7ppm)を用いて洗浄(浸漬:15分)を行い、洗浄後の乾燥は加熱温度60℃で、加熱時間3時間とした。
本発明例7:0.6N硝酸で酸洗処理し、次いで純水で洗浄した後、洗浄液としてフッ素系溶剤(Fe:1ppm、Ni:1ppm)を用いて洗浄(浸漬:15分)を行い、洗浄後の乾燥は加熱温度60℃で、加熱時間3時間とした。
本発明例4〜7で使用したフッ素系溶剤は、住友スリーエム社製、HFE7100とし、未使用の状態ではFe<5ppb、Ni<5ppb(ともに検出下限未満)であるが、洗浄液に含まれる不純物はスポンジチタンを洗浄するうちにスポンジチタンから移行した。本発明例4〜7では、いずれも超音波振動を付加しなかった。
比較例3では、0.6N硝酸で酸洗処理(浸漬:180分、超音波振動を付加)した後、純水で洗浄を行い、水洗後の乾燥は加熱温度300℃で、加熱時間10時間とした。本発明例4〜7および比較例3で洗浄されたスポンジチタンに含有される不純物を測定した結果を表2に示す。
Figure 2008223078
表2に示すように、比較例3では、水洗後の乾燥が加熱温度300℃で、加熱時間10時間となるため、酸素濃度が300ppm以上と著しく汚染される結果となった。また、本発明例7では硝酸による酸洗の効果と、フッ素系溶剤による洗浄の効果により良好な結果を得ることができた。
さらに、本発明例4〜7で洗浄されたスポンジチタンを用い、消耗電極材を作製して真空中でアーク溶解する方法、およびそのまま真空中で電子ビーム溶解する方法を適用して溶解を行い、最終製品として金属不純物や酸素の濃度が極めて低い高純度チタンインゴットが得られることを確認した。
本発明の高純度チタンの製造方法によれば、真空分離後においてスポンジチタンに残留する金属不純物の分離を効率的に行うことができ、Fe、Ni等の金属不純物や酸素濃度を低減させたチタン材を、安定した品質で、かつ製造コストを増加させることなく製造できる。これにより、例えば半導体用の配線材料等に適用できる高純度高融点金属材料の素材として利用が可能になり、広く適用することができる。

Claims (6)

  1. クロール法で製造されたスポンジチタン塊から選別されたスポンジチタンを細粒化し、有機溶剤で洗浄した後、不活性雰囲気または真空雰囲気中で溶解することを特徴とする高純度チタンの製造方法。
  2. 前記有機溶剤がフッ素系溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の高純度チタンの製造方法。
  3. 前記有機溶剤に含有される不純物が、Fe≦10ppm、かつNi≦5ppmであることを特徴とする請求項1または2に記載の高純度チタンの製造方法。
  4. 前記有機溶剤の沸点が、90℃〜30℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高純度チタンの製造方法。
  5. 前記スポンジチタンが、内面が鉄張りの反応容器で製造され、反応容器から取り出されたスポンジチタン塊の周辺部を除去して中心部から採取され、さらに平均粒径が10〜100mmに細粒化されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高純度チタンの製造方法。
  6. 有機溶剤で洗浄する際に、当該洗浄に先行して水洗を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高純度チタンの製造方法。
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