JP2008222793A - 高速軸受用グリースおよびスピンドル用転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】dmN値が 170 万以上という高速回転に十分に対応でき、工作機械のコンパクト化や運転経費の削減を可能にする高速転がり軸受用グリースおよびスピンドル用転がり軸受を提供する。
【解決手段】基油とウレア系増ちょう剤とを含み、上記基油は 40℃における動粘度が 15〜30 mm2/sec であり、上記ウレア系増ちょう剤は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られ、該モノアミン成分が芳香族モノアミンをモノアミン全体に対して 50〜80 モル%含有するモノアミン成分であり、グリース全体に対して、上記ウレア系増ちょう剤を 15 重量%以上含有するグリースであり、スピンドル用転がり軸受1は内輪2および外輪3と、この内輪2および外輪3間に介在する複数の転動体4と、シール部材6とを備え、この転動体4の周囲に上記グリースを封入する。
【選択図】図1

Description

この発明は、工作機械主軸(スピンドル)などの高速回転軸を支持する転がり軸受に用いられる高速転がり軸受用グリースおよびこのグリースを封入したスピンドル用転がり軸受に関する。
工作機械の主軸は、加工能率を上げるために高速で回転するものが好ましく、その軸受には種々の潤滑技術が適用されている。高速回転する主軸に適した潤滑方法としては、例えば、オイルミスト潤滑、エアオイル潤滑、ジェット潤滑などの方法が知られている。
しかし、このような潤滑方法は、圧縮空気や給油装置などの付帯設備が必要なものであり、工作機械のイニシャルコストおよびランニングコストを高める原因の一つであり、これらに対してグリース潤滑は、メンテナンスの必要が少なくて好ましい潤滑方法であるといえる。例えば、2000〜8000 rpm またはそれ以上の高速で回転する回転軸を支持する高速転がり軸受としては、工作機械主軸(スピンドル)などを支持するアンギュラ玉軸受や円筒ころ軸受などが挙げられる。
図2に示すようにアンギュラ玉軸受11は、ラジアル荷重のほかに一方向からのアキシャル荷重を負荷することができるものであり、鋼球14と内輪12および外輪13との接触点を結ぶ直線がラジアル方向に対して角度(接触角)αをもっている。内輪12と外輪13と鋼球14とで形成される軸受空間に、グリースが封入されている。
アンギュラ玉軸受や円筒ころ軸受などからなる高速転がり軸受に使用される潤滑剤としては、給油などのメンテナンスが必要でなく、周囲の環境を汚染しないちょう度に調整された潤滑グリースを採用することが好ましい。
以下に、スピンドル用転がり軸受などの高速転がり軸受用グリースに要求される潤滑特性と問題点をまとめて示す。
(a)長寿命性転がり軸受の潤滑寿命を可及的に延長するためには、以下の(i) 〜(iii) に説明するように、転がり軸受から潤滑剤(グリースまたはその基油)が漏れにくいこと、グリースの耐熱性に優れること、潤滑に必要な油膜厚さを形成できることが必要である。
(i) 転がり軸受を高速運転するとき、遠心力によって転がり軸受内のグリースまたはグリースが軸受外部へ流出するか、またはグリース中の基油が分離流出して、潤滑への寄与が大きい転走面近傍に留まり難く、潤滑不良になりやすい。そのような事態を防止するために、シールド板などのシール部材を転がり軸受に装着する対応がなされるが、軸受の構造によっては装着できない場合があり、またシール部材を装着しても潤滑剤や潤滑油を完全に密封できない場合もある。
高速運転されない転がり軸受の場合、転動体や保持器の運動により摩擦部分から押し出されてしまう余分なグリースは、回転条件によっては軸受内部をある程度還流して再び潤滑に寄与することが考えられる。しかし、高速で回転する工作機械などの回転軸支持用転がり軸受では、軸受内部に発生する風圧がこの還流を妨げるため潤滑不良を起こしやすくなる。このため、高速で回転する転がり軸受では、僅かな量のグリースしか潤滑に寄与しておらず、グリースの性状は特に重要となる。また、高速転がり軸受用グリースは、少量のグリースでも潤滑性能を維持する必要がある。
(ii) 運転条件が高速化すると軸受の転がり面は局部的に発熱して高温度になり、このとき耐熱性の乏しいグリースは熱劣化し、グリースの寿命は著しく縮まる。このような問題に対しては、耐熱性のある増ちょう剤や基油を使用したり、酸化防止剤を添加したりする試みがなされた。しかし、これらの試みは、耐久性の十分な向上には至らなかった。
(iii) 潤滑性(油膜厚さ)を向上させた従来のグリースは、基油粘度を高くすると剪断摩擦抵抗が上昇して回転トルクが増加し、発熱量が増大するので、これらを抑制するために基油粘度は低く抑えている。そのため、高速に伴う温度上昇で低粘度となった潤滑油の油膜は薄くなって摺動摩耗を起こす場合があった。
(b)低トルク性(温度上昇の抑制性)について既存の高速軸受用のグリースは、前述のように基油粘度を低く抑えているが、軸受が高速度で回転すると、温度上昇により粘度が著しく低下し、潤滑に必要な厚さの油膜を形成できなくなるという問題がある。
(c)低振動性グリースについては、増ちょう剤の種類によって軸受の振動を増大させる場合がある。すなわち、大きくて硬い凝集体を形成する増ちょう剤を含有するグリースでは潤滑する転がり軸受の振動は大きくなる。
このように従来のグリースは、高速転がり軸受に用いた場合に軸受の長寿命性、低トルク性および低振動性といった所要物性を満足させることができないという問題点があった。対策として、ウレア化合物を配合したグリースが提案されている(特許文献1〜特許文献3参照)が、より高速性能を得るためには不十分である。
また、近年ますます転がり軸受の使用状態が過酷になり、ピッチ円径dm( mm )と回転数N( rpm )との積であるdmN値が 170 万以上という高速回転で使用されるスピンドル用転がり軸受なども多くなってきている。このような軸受の回転速度の高速化に伴って、既存のグリースで軸受に要求される性能を全て満足させることは困難である。
特開2000−169872号公報 特開2003−83341号公報 特開2006−29473号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、例えばピッチ円径dm( mm )と回転数N( rpm )との積であるdmN値が 170 万以上という高速回転に十分に対応でき、工作機械のコンパクト化や運転経費の削減を可能にする転がり軸受に使用できるグリースおよびこのグリースが封入されたスピンドル用転がり軸受の提供を目的とする。
本発明の高速転がり軸受用グリースは、基油とウレア系増ちょう剤とを含み、上記基油は 40℃における動粘度が 15〜30 mm2/sec であり、上記ウレア系増ちょう剤は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られ、該モノアミン成分が芳香族モノアミンをモノアミン全体に対して 50〜80 モル%含有するモノアミン成分であり、グリース全体に対して、上記ウレア系増ちょう剤を 15 重量%以上配合することを特徴とする。
また、上記基油は合成炭化水素油、エステル油およびアルキルジフェニルエーテル油から選ばれた少なくとも1つの油であることを特徴とする。
本発明のスピンドル用転がり軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、上記内輪および外輪間の隙間の開口を覆うシール部材とを備え、上記転動体の周囲に上記本発明のグリースを封入してなることを特徴とする。
また、上記内輪および外輪と上記シール部材とに囲まれ、転動体が内設された空隙部内に封入されるグリースの封入量は、該空隙部の容積の 30 体積%以上であることを特徴とする。
また、上記スピンドル用転がり軸受がアンギュラ玉軸受または円筒ころ軸受であることを特徴とする。
本発明の高速転がり軸受用グリースは、40℃における動粘度が 15〜30 mm2/sec である基油に、所定のウレア系増ちょう剤を 15 重量%以上配合するので、このグリースを封入した転がり軸受の耐荷重性を保ちつつ高速回転下で軌道面への油の供給能力に優れ、工作機械のコンパクト化や運転経費の削減を可能にする転がり軸受に使用できる。
特に、ウレア系増ちょう剤が、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られ、該モノアミン成分が芳香族モノアミンをモノアミン全体に対して 50〜80 モル%含有するモノアミン成分であるので、100℃未満の温度条件下においても、高速回転に伴う局部発熱によりグリースからの基油の抽出が促進され、軌道面への油の供給が安定し、軸受を長寿命化できる。
本発明のスピンドル用転がり軸受は、上記グリースを特に軸受空隙部の容積に対して 30 体積%以上封入するので、高遠心力が負荷された状態で、局部発熱によりグリースから軸受潤滑に必要な油量が長期間安定して供給され、高速で摺接する軌道面に対して潤滑に所要の厚さの油膜を形成する。このため、高速回転下での軸受耐久寿命が向上するとともに、工作機械のコンパクト化や運転経費の削減を可能にする。
本発明のスピンドル用転がり軸受は構造的には特に制限されるものではなく、例えば図1に示されるアンギュラ玉軸受1を例示することができる。図1はグリース封入アンギュラ玉軸受を示す縦断面図である。
このアンギュラ軸受1は、図1に示すように、内輪2と外輪3との間に転動体4が保持器5に保持された軸受空間を、外輪3の内周面に設けられた係止溝に固定したシール部材6で密封したアンギュラ玉軸受である。少なくとも転動体4の周囲にグリースが封入され、外輪3の内径面に周溝状のグリースポケット7を形成して、グリースの漏洩を物理的に防止している。転動体4と、内輪2および外輪3との接触点を結ぶ直線がラジアル方向に対して接触角βを有しており、ラジアル荷重と一方向のアキシャル荷重を負荷することができる。また、転動体4は、窒化珪素や炭化珪素等のセラミック製とすることもできる。本発明においては、内輪2と外輪3と転動体4とで形成される軸受空間に、下記に示す本発明の高速転がり軸受用グリース(チャーニングタイプ)が封入される。
本発明のスピンドル用転がり軸受は、軸受空隙部の容積の 30 体積%以上、40 体積%以下のグリースが封入される。30 体積%未満であると、撹拌による摩擦熱が小さく、発熱によるグリースからの離油が不足し、必要な油量を供給するのに不十分であり、40 体積%以上だと摩擦熱が大きすぎて油分離する量が多くなり枯渇する。また、油の絶対量が少なく十分な耐久性を満足しない。
本発明のスピンドル用転がり軸受としては、図1に示すアンギュラ玉軸受のほか、深溝玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受等も使用できる。これらの中で高速回転での回転精度と耐荷重性が必要であることから、アンギュラ玉軸受または円筒ころ軸受を用いることが好ましい。
本発明に使用できる基油は、40℃における動粘度(以下、単に動粘度と記す)が 15〜30 mm2/sec の潤滑油を用いることができる。特に、動粘度が 15〜25 mm2/sec の潤滑油が好ましい。動粘度が 15 mm2/sec 未満の場合、粘度が低すぎて十分な耐荷重性が得られない。また、動粘度が 30 mm2/sec をこえる場合、高速回転に伴って軌道面への油の供給が不足し、早期に軸受寿命に至るようになる。
上記潤滑油の種類としては、合成炭化水素油、エステル油、アルキルジフェニルエーテル油、またはこれらの混合油が好ましい。
また、合成炭化水素油、エステル油、アルキルジフェニルエーテル油、それぞれの動粘度が 15〜30 mm2/sec であることが好ましい。この範囲であると混合油とした場合であっても、動粘度の範囲を 15〜30 mm2/sec とすることができる。
混合油とする場合、合成炭化水素油およびエステル油の混合油とすることが好ましい。混合比率としては、合成炭化水素油/エステル油(重量比)=8/2〜2/8が好ましく、特に合成炭化水素油はエステル油よりも重量割合で同量以上であることが好ましい。
また、アルキルジフェニルエーテル油は単独でも使用できる。
合成炭化水素系油としては、例えばノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1-デセンオリゴマー、1-デセンとエチレンコオリゴマー等のポリ-α-オレフィン等が挙げられる。
エステル油としては、例えばジブチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステル油、トリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンベラルゴネート、ペンタエリスリトール-2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート等のポリオールエステル油、炭酸エステル油等が挙げられる。エステル油の中でも、基油粘度が低く転走面への油の移動性に優れていることから、ジエステル油が好ましい。
アルキルジフェニルエーテル油としては、モノアルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリアルキルジフェニルエーテル等が挙げられる。
本発明に使用できるウレア系増ちょう剤は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られる。
ポリイソシアネート成分としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜等が挙げられる。これらの中でも芳香族ジイソシアネートが好ましい。
また、ジアミンと該ジアミンに対してモル比で過剰のジイソシアネートとの反応で得られるポリイソシアネートを使用することができる。ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
モノアミン成分は、芳香族モノアミンをモノアミン全体に対して 50〜80 モル%、好ましくは 50〜70 モル%含有するモノアミン成分である。芳香族モノアミンを 50〜80 モル%含むことにより、高速回転に伴いグリースが発熱しやすくなりグリースからの基油の抽出が促進され、軌道面への油の供給が安定し、軸受耐久寿命が長くなる。50 モル%未満であると、高速回転に伴うグリースの発熱量が不足し、軌道面への油の供給が不安定となる。一方、80モル%をこえると、発熱量が多くなり過ぎ、離油性が高くなりすぎて軸受耐久寿命が短くなる。
芳香族モノアミンとしては、アニリン、p-トルイジンが挙げられ、これらの中でp-トルイジンが好ましい。芳香族モノアミン以外のモノアミンとしては脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンが挙げられる。
脂肪族モノアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンが挙げられ、これらの中でもオクチルアミンが好ましい。
脂環式モノアミンとしては、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
本発明においてウレア系増ちょう剤は、グリース全体に対して 15 重量%以上の割合で配合する。特に、15〜30 重量%の配合量とすることが好ましい。配合量が 15 重量%未満では基油が増ちょう剤から分離するのに発熱量が不十分で、油の供給性が劣り、軸受耐久寿命が短くなる。また、配合量が 30 重量%をこえると、相対的に基油の量が少なくなり、油供給性が不十分で、早期に潤滑不足に陥って同様に軸受耐久寿命が短くなるおそれがある。
また、グリースには、必要に応じて公知のグリース用添加剤を含有させることができる。この添加剤として、例えば、有機亜鉛化合物、アミン系、フェノール系化合物等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、金属スルホネート、多価アルコールエステルなどの防錆剤、有機モリブデンなどの摩擦低減剤、エステル、アルコールなどの油性剤、りん系化合物などの摩耗防止剤等が挙げられる。これらを単独または 2 種類以上組み合せて添加できる。これらの添加剤の配合量は、グリース全体に対して添加剤毎には 0.05 重量%以上、添加剤毎の合計量では 0.15〜10 重量%の範囲となることが好ましい。特に、合計量で 10 重量%をこえる場合は、配合量の増加に見合う効果が頭打ちになるだけでなく、相対的に他の成分の配合量が少なくなり、その成分の配合効果が低下する。またこれら添加剤がグリース中で凝集し、潤滑不良やトルク上昇等の好ましくない現象を招くこともある。
以下に試験例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例2および比較例5〜比較例8
表1に示した基油の半量に、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、以下、MDIと記す)を表1に示す割合で溶解し、残りの半量の基油にMDIの2倍当量となるモノアミンを溶解した。それぞれの配合割合および種類は表1のとおりである。
MDIを溶解した溶液を撹拌しながら、これにモノアミンを溶解した溶液を加えた後、100℃〜120℃で 30 分間撹拌を続けて反応させて、ジウレア化合物を基油中に生成させグリース試料を得た。用いた基油の動粘度測定結果を表1に示す。また、得られたグリース試料のちょう度および遠心離油度を測定するとともに、以下に示す常温高速グリース試験に供し、常温高速グリース寿命時間を測定した。測定結果を表1に併記する。なお、ちょう度はJISK2220 5.3に基づき測定した 60 回混和ちょう度である。
<遠心油分離試験>
遠心分離機を用い、50 g のグリース試料を遠心分離管に入れ、40℃で 23000 G の加速度を 7 時間かけたときの遠心離油度を次式により求めた。
(遠心離油度、%)=(1−試験前の増ちょう剤濃度/試験後の増ちょう剤濃度)×100
<常温高速グリース試験−深溝玉軸受(6204)>
深溝玉軸受(6204)に、グリース試料を転走面狙いで 0.14 g (軸受全空間容積の約 3 体積%)封入し、非接触シールして試験軸受を作成した。試験軸受に、アキシャル荷重 670 N とラジアル荷重 67 N とを負荷し、常温環境下で 15000 rpm の回転速度で回転させ、焼き付きに至るまでの時間をグリース寿命時間として測定した。この耐久試験における軸受のピッチ円径( mm )と回転数(rpm )との積であるdmN値は 52 万である。
比較例3および比較例4
基油と、ステアリン酸リチウムとを表1に示す割合で配合させてグリース試料を得た。用いた基油とグリース試料について実施例1と同様の項目を測定した。結果を表1に併記する。
<常温高速グリース試験−アンギュラ玉軸受>
アンギュラ玉軸受(外径 150 mm×内径 100 mm、内外輪SUJ2、転動体 13/32インチ窒化珪素球)に、実施例1、実施例4、実施例5、比較例1〜比較例3、比較例5および比較例8のグリース試料を転走面狙いで 3.0 g (軸受全空間容積の約 10 体積%)封入し、非接触シールして試験軸受を作成した。試験軸受を、1.8 GPa 定圧予圧下で、外筒冷却により軸受を冷却し、軸受外輪を 50℃以下に保ちつつ 14500 rpm の回転速度で回転させ、焼き付きに至るまでの時間をグリース寿命時間として測定した。この耐久試験における軸受のピッチ円径( mm )と回転数(rpm )との積であるdmN値は 185 万である。測定結果を表1に併記する。
また、同じアンギュラ玉軸受を用いて、実施例2、実施例5、比較例2、比較例6、比較例7のグリース試料を転走面狙いで 9.5g(軸受全空間容積の約 32 体積%)封入し、非接触シールして試験軸受を作成した。試験軸受を、1.8 GPa 定圧予圧下で、外筒冷却により軸受を冷却し、軸受外輪を 50℃以下に保ちつつ 15000 rpm の回転速度で回転させ、焼き付きに至るまでの時間をグリース寿命時間として測定した。この耐久試験における軸受のピッチ円径( mm )と回転数(rpm )との積であるdmN値は 190 万である。測定結果を表1に併記する。
Figure 2008222793
表1に示すように、本発明に使用されるグリースでは、(1)40℃における動粘度が 15〜30 mm2/sec の基油に、ウレア系増ちょう剤の配合割合が 15 重量%以上であること、(2)ウレア系増ちょう剤に占める芳香族ウレアの配合割合が 50 モル%以上であること、(3)基油が、合成炭化水素油、エステル油またはアルキルジフェニルエーテル油、これらの混合油であることが好ましいことがわかる。また、上記グリースを軸受空隙部に 30 体積%以上充填することが好ましいことがわかる。
本発明の高速転がり軸受用グリースを封入したスピンドル用転がり軸受は、所定の動粘度を有する基油に芳香族成分を所定量含むウレア化合物を増ちょう剤として所定量配合してなるグリースを封入した転がり軸受であるので、高速回転下での軸受耐久寿命が向上する。このため、旋盤、ボール盤、中ぐり盤、フライス盤、研削盤、ホーニング盤、超仕上盤、ラップ盤等の高速で摺動、回転する工作機械の主軸支持部に組み込まれる転がり軸受として好適に利用できる。
本発明に係る転がり軸受の一実施形態であるアンギュラ玉軸受を示す断面図である。 アンギュラ玉軸受を示す断面図である。
符号の説明
1、11 アンギュラ玉軸受
2、12 内輪
3、13 外輪
4、14 転動体(鋼球)
5 保持器
6 シール部材
7 グリースポケット

Claims (5)

  1. 基油とウレア系増ちょう剤とを含む高速転がり軸受用グリースであって、
    前記基油は 40℃における動粘度が 15〜30 mm2/sec であり、
    前記ウレア系増ちょう剤は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られ、該モノアミン成分が芳香族モノアミンをモノアミン全体に対して 50〜80 モル%含有するモノアミン成分であり、
    グリース全体に対して、前記ウレア系増ちょう剤を 15 重量%以上配合することを特徴とする高速転がり軸受用グリース。
  2. 前記基油は合成炭化水素油、エステル油およびアルキルジフェニルエーテル油から選ばれた少なくとも1つの油であることを特徴とする請求項1記載の高速転がり軸受用グリース。
  3. 内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、前記内輪および外輪間の隙間の開口を覆うシール部材とを備え、前記転動体の周囲にグリースを封入してなるスピンドル用転がり軸受であって、
    前記グリースは、請求項1または請求項2記載のグリースであることを特徴とするスピンドル用転がり軸受。
  4. 前記内輪および外輪と前記シール部材とに囲まれ、前記転動体が内設された空隙部内に封入されるグリースの封入量は、前記空隙部の容積の 30 体積%以上であることを特徴とする請求項3記載のスピンドル用転がり軸受。
  5. 前記スピンドル用転がり軸受がアンギュラ玉軸受または円筒ころ軸受であることを特徴とする請求項3または請求項4記載のスピンドル用転がり軸受。
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