JP2008222033A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ターボチャージャーの焼き付きなどを防止して、EV走行から適切にエンジンを始動させることが可能な内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の制御装置は、ターボチャージャーを有するハイブリッド車両に対して制御を行う。内燃機関の制御装置は、内燃機関の始動要求が発せられた際に、内燃機関の要求出力が過給圧を必要とする出力であるか否かに基づいて、内燃機関の始動制御を行う。具体的には、要求出力が過給圧を必要とするような高出力である場合、内燃機関から発生される出力を要求出力に維持しつつ、内燃機関の回転数を高くして、過給圧を低くして始動を行う。これにより、過給圧不足に起因する内燃機関の出力低下を防止することができる。また、油圧不足の状態での急激なターボ回転数の上昇を抑制することができ、ターボチャージャーの焼き付きを防止することが可能となる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ハイブリッド車両に対して制御を行う内燃機関の制御装置に関する。
従来から、ハイブリッド車両において、モータを用いた電気走行(以下、「EV走行」と呼ぶ。)からエンジン走行への切り替え時に行うエンジンの始動技術が提案されている。例えば、特許文献1には、ハイブリッド車両において、駆動力の急増によりエンジンが始動可能な回転数となるまでクラッチを繋ぎ、始動中にクラッチを開放し、エンジン回転数が上昇後に再度クラッチを契合させることで、始動後のエンジン慣性トルクを車両の駆動へ伝達する技術が記載されている。
特開2005−162081号公報
しかしながら、上記した特許文献1に記載された技術では、ターボチャージャーを有するハイブリッド車両において、過給圧を必要とするような高出力領域でエンジンの出力要求が発せられた場合については考慮されていない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ターボチャージャーを有するハイブリッド車両において、ターボチャージャーの焼き付きなどを防止して、EV走行から適切にエンジンを始動させることが可能な内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの観点では、ターボチャージャーを有するハイブリッド車両に対して制御を行う内燃機関の制御装置は、内燃機関の始動要求が発せられた際に、前記内燃機関における要求出力が過給圧を必要とする出力であるか否かを判定する要求出力判定手段と、前記要求出力判定手段が前記内燃機関の要求出力が過給圧を必要とする出力であると判定した場合に、前記内燃機関から発生される出力を前記要求出力に維持しつつ、前記過給圧を用いて前記要求出力を発生させる場合に設定される回転数よりも前記内燃機関の回転数を高く設定して、前記要求出力を発生させるために必要とされる過給圧よりも過給圧を低くして、前記内燃機関を始動させる制御を行う始動制御手段と、を備える。
上記の内燃機関の制御装置は、ターボチャージャーを有するハイブリッド車両に対して制御を行うために好適に利用される。内燃機関の制御装置は、内燃機関の始動要求が発せられた際に、内燃機関における要求出力が過給圧を必要とする出力であるか否かに基づいて、内燃機関を始動させるための制御を実行する。具体的には、要求出力が過給圧を必要とするような高出力である場合、内燃機関から発生される出力を要求出力に維持しつつ、過給圧を用いて要求出力を発生させる場合に設定される回転数よりも内燃機関の回転数を高く設定して、要求出力を発生させるために必要とされる過給圧よりも過給圧を低くして内燃機関を始動させる。これにより、高回転且つ低負荷で内燃機関を始動させることができるため、過給圧不足(立ち上がり応答遅れ)に起因する内燃機関の出力低下を適切に防止することができる。また、低空気量で内燃機関を始動させることができるため、油圧不足の状態での急激なターボチャージャーの回転数の上昇を抑制することができる。そのため、ターボチャージャーの焼き付きを防止することが可能となる。更に、上記の内燃機関の制御装置によれば、内燃機関を比較的高回転に設定して始動させるので、内燃機関の油圧の立ち上がりを促進することができ、ターボチャージャーの焼き付きを効果的に防止することが可能となる。
上記の内燃機関の制御装置の一態様では、前記始動制御手段は、前記ターボチャージャーの回転数が所定回転数以下となるように、前記内燃機関の回転数の制御を行うことができる。これにより、ターボチャージャーの焼き付きをより効果的に防止することが可能となる。
上記の内燃機関の制御装置の一態様では、前記始動制御手段は、前記内燃機関を始動させる際に、前記ターボチャージャーのタービンをバイパスする通路上に設けられたウエストゲートバルブを開く制御を更に行う。これにより、排気ガスの一部をターボチャージャーをバイパスさせることができるため、ターボチャージャーの回転数の急激な上昇を効果的に抑制することができる。また、ターボチャージャーをバイパスさせない場合などと比較して、内燃機関の起動位置を高トルク側にすることができ、燃費悪化影響を低減することが可能となる。更に、上記の内燃機関の制御装置によれば、始動時にウエストゲートバルブを開くため、ターボチャージャーの下流側の排気通路上に設けられた触媒の暖機を促進することが可能となる。
上記の内燃機関の制御装置の他の一態様では、前記内燃機関における油圧が所定圧以上となったか否かに基づいて、前記内燃機関の始動が完了したか否かを判定する始動完了判定手段と、前記始動完了判定手段が前記内燃機関の始動が完了したと判定した際に、前記内燃機関の回転数を、前記内燃機関の燃費が最適となる回転数にまで低下させる制御を行う始動完了後制御手段と、を備える。これにより、内燃機関の始動の完了後、内燃機関の燃費を最適にして運転させることが可能となる。
上記の内燃機関の制御装置において好適には、前記始動完了後制御手段は、前記始動完了判定手段が前記内燃機関の始動が完了したと判定した際に、前記ウエストゲートバルブを閉じる制御を行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[車両の構成]
まず、本実施形態に係る内燃機関の制御装置を適用した車両について、図1を参照して説明する。
図1は、車両100の概略構成を示す図である。車両100は、主に、エンジン(内燃機関)10と、ECU(Electronic Control Unit)20と、モータMG1、MG2と、プラネタリギヤ30と、インバータ40と、バッテリ50と、車軸61と、車輪62と、を備える。なお、車両100は、ハイブリッド車両として構成されている。
車軸61は、エンジン10及びモータMG2の動力を車輪62に伝達する動力伝達系の一部である。車輪62は、車両100の車輪であり、説明の簡略化のため、図1では特に左右前輪のみが表示されている。エンジン10は、ガソリンエンジンなどによって構成され、車両100の主たる動力源として機能する。具体的には、エンジン10の出力は、エンジン走行時に車両100の動力として用いられる。なお、エンジン10の詳細な構成については、後述する。
モータMG1は、主としてバッテリ50を充電するための発電機、或いはモータMG2に電力を供給するための発電機として機能するように構成されている。また、モータMG2は、主としてエンジン10の出力をアシストする電動機として機能するように構成されている。モータMG2の出力は、EV走行時に車両100の動力として用いられる。これらのモータMG1及びモータMG2は、例えば同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える。プラネタリギヤ(遊星歯車機構)30は、エンジン10の出力をモータMG1及び車軸61へ分配することが可能に構成され、動力分割機構として機能する。
インバータ40は、バッテリ50と、モータMG1及びモータMG2との間の電力の入出力を制御する直流交流変換機である。例えば、インバータ40は、バッテリ50から取り出した直流電力を交流電力に変換して、或いはモータMG1によって発電された交流電力をそれぞれモータMG2に供給すると共に、モータMG1によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ50に供給することが可能に構成されている。バッテリ50は、モータMG1及びモータMG2を駆動するための電源として機能することが可能に構成された充電可能な蓄電池である。なお、バッテリ50は、比較的大容量に構成されている。
ECU20は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備え、車両100の動作全体を制御する電子制御ユニットである。本実施形態では、ECU20は、エンジン10の始動要求が発せられた際に(つまりEV走行からエンジンを始動させる際に)、エンジン10における要求出力が過給圧を必要とするような出力であるか否かを考慮に入れて、エンジン10を始動させる制御を行う。このように、ECU20は、本発明における内燃機関の制御装置に相当する。詳しくは、ECU20は、要求出力判定手段、始動制御手段、始動完了判定手段、及び始動完了後制御手段として動作する(詳細は後述する)。
[エンジンの構成]
次に、前述したエンジン10の具体的な構成について、図2を参照して説明する。
図2は、エンジン10を有するシステムの概略構成を示す図である。なお、図2では、実線矢印はガスの流れを示し、破線矢印は信号の入出力を示している。また、図2中の太線は、ガスが通過する通路(配管)を示している。
エンジン10は、吸気通路3及び吸気マニホールド(不図示)を介して供給された空気と燃料との混合気を燃焼することによって、動力を発生する。エンジン10は、ECU20から供給される制御信号S10によって、回転数などの制御が実行される。なお、上記のエンジン10を有するシステムは、過給ダウンサイズエンジン若しくは過給リーンバーンエンジンによって構成される。
エンジン10へ吸気を導くための吸気通路3には、ターボチャージャー4のコンプレッサ4aや、インタークーラー(IC)5や、スロットルバルブ6などが設けられている。ターボチャージャー4は排気ガスのエネルギーを利用して吸気を過給する装置であり、インタークーラー5は吸気を冷却する装置であり、スロットルバルブ6はエンジン10に供給する吸気量を調整する装置である。スロットルバルブ6は、ECU20から供給される制御信号S6に基づいてスロットル開度が制御される。
エンジン10からの排気ガスは、排気通路11に排出される。排気通路11中には、ターボチャージャー4のタービン4bや、排気ガスを浄化可能な触媒12などが設けられている。また、排気通路11中には、タービン4bをバイパスするバイパス通路13が接続されている。バイパス通路13上にはウエストゲートバルブ(以下、「W/Gバルブ」と呼ぶ。)14が設けられており、バイパス通路13を通過する排気ガスの流量を調整可能に構成されている。W/Gバルブ14は、ECU20から供給される制御信号S14によって開度が制御される。
ECU20は、各種センサの検出信号に基づいて、エンジン10などの制御を行う。具体的には、ECU20は、油圧センサ17、アクセル開度センサ18、及び車速センサ19から検出信号S17、S18、S19を取得し、これらに基づいて制御を行う。この場合、油圧センサ17は、エンジン10の油圧を検出して検出信号S17を出力し、アクセル開度センサ18は、ドライバーによるアクセル開度を検出して検出信号S18を出力し、車速センサ19は、車両100の速度を検出して検出信号S19を出力する。ECU20は、上記した検出信号S17、S18、S19に基づいて、主に、スロットルバルブ6、エンジン10、及びW/Gバルブ14の制御を行う。
本実施形態では、ECU20は、エンジン10の始動要求が発せられた際に(言い換えると、EV走行時においてエンジンを起動させる際に)、エンジン10における要求出力が過給圧を必要とするような出力であるか否かを考慮に入れて、エンジン10を始動させる制御(以下、「始動制御」と呼ぶ。)を行う。具体的には、ECU20は、要求出力が過給圧を必要とするような高出力である場合、エンジン10から発生される出力を要求出力に維持しつつ、エンジン10の回転数を高く設定すると共に、過給圧(吸気管圧力)を低くしてエンジン10の始動制御を実行する。
なお、エンジン10に対する制御、及びモータMG1、MG2などに対する制御の両方をECU20が実行することに限定はされず、エンジン10に対する制御を行うECUと、モータMG1、MG2などに対する制御を行うECUとが別個に存在する場合には、これらのECUが協調して、前述したような制御などを実行することができる。
[始動制御方法]
以下で、ECU20が行うエンジン10の始動制御方法について説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る始動制御方法について説明する。第1実施形態では、EV走行時にエンジン10の始動要求が発せられた際に、要求出力が過給圧を必要とするような出力であるか否かに基づいて、エンジン10に対して始動制御を行う。具体的には、ECU20は、要求出力が過給圧を必要とするような高出力である場合、エンジン10から発生される出力を要求出力に維持しつつ、エンジン10の回転数を高く設定すると共に、過給圧(吸気管圧力)を低くしてエンジン10を始動させる。詳しくは、ECU20は、エンジン10から要求出力が発生されるように、過給圧を用いて要求出力を発生させる場合に設定される回転数よりもエンジン10の回転数を高く設定すると共に、要求出力を発生させるために必要とされる過給圧よりも過給圧を低くしてエンジン10を始動させる。
より詳しくは、通常はエンジン10の燃費が最適となるような動作線(以下、「通常エンジン動作線」と呼ぶ。)でエンジン10の運転が行われるが、要求出力が過給圧を必要とするような高出力である場合には、ECU20は、通常エンジン動作線上に位置しない動作点でエンジン10を始動させる。具体的には、要求出力に対応する通常エンジン動作線上の動作点が過給域に位置する場合には、ECU20は、要求出力に対応する等出力ライン上に位置する動作点であって、過給圧を必要としない動作点で、エンジン10を始動させる。
上記した第1実施形態に係る始動制御によれば、通常エンジン動作線においてエンジン10を始動させる場合よりも、高回転且つ低負荷でエンジン10を始動させることができるため、過給圧不足(立ち上がり応答遅れ)によるエンジン出力低下を適切に防止することができる。また、低空気量でエンジン10を始動させることができるため、油圧不足の状態での急激なターボチャージャー4の回転数の上昇を抑制することができる。そのため、ターボチャージャー4の焼き付き(例えばターボベアリングの油膜切れによる焼き付きなど)を防止することが可能となる。更に、第1実施形態によれば、エンジン10を比較的高回転に設定して始動させるので、エンジン油圧の立ち上がりを促進することができるため、上記したターボチャージャー4の焼き付きを効果的に防止することが可能となる。
ここで、図3を参照して、第1実施形態に係る始動制御方法について具体的に説明する。図3は、横軸にエンジン10の回転数を示し、縦軸にエンジントルクを示している。また、図3において、太線A1は前述した通常エンジン動作線を示し、破線領域A2はEV走行出力範囲を示している。
エンジン10の始動要求は、エンジン10の要求出力がEV走行出力範囲A2を超えたときに(つまり要求出力がEV走行可能出力以上となった際に)発せられる。このようにエンジン10の始動要求が発せられた場合、ECU20は、要求出力が過給圧を必要とするような出力であるか否かに基づいて、エンジン10に対して始動制御を行う。具体的には、ECU20は、要求出力が過給圧を必要とするような出力でない場合には、通常エンジン動作線A1上の動作点(以下、「通常エンジン起動位置」とも呼ぶ。)でエンジン10を始動させる。
これに対して、ECU20は、要求出力が過給圧を必要とするような高出力である場合には、過給圧不足によるエンジン出力低下やターボチャージャー4の焼き付きなどを防止して、エンジン10を適切に始動させるための制御を行う。具体的には、ECU20は、要求出力に対応する等出力ライン上に位置する動作点であって、過給圧を必要としない動作点(以下、「高出力要求時エンジン起動位置」とも呼ぶ。)でエンジン10を始動させる。例えば、ECU20は、要求出力が等出力ラインA3に対応する場合、通常エンジン動作線A1上の動作点B1(図3において白丸で示す)でエンジン10を始動させずに、等出力ラインA3上の過給圧を必要としない動作点B2(図3において黒丸で示す)で、エンジン10を始動させる。つまり、ECU20は、通常エンジン動作線A1上の動作点B1における回転数よりも回転数が高い動作点B2で、エンジン10を始動させる制御を行う。この場合、ECU20は、ターボチャージャー4の回転数が所定回転数以下となるように、エンジン10の回転数の制御を行う。
更に、ECU20は、エンジン10の始動が完了した際に、エンジン10の回転数を、通常エンジン動作線A1上における回転数まで低下させる制御を行う。つまり、エンジン10の回転数を、エンジン10の燃費が最適となるような回転数(過給圧を用いて要求出力を発生させる場合に設定される回転数に相当する)まで低下させる制御を行う。こうするのは、エンジン10の始動が完了した後は、燃費を優先してエンジン10を運転させるためである。
詳しくは、ECU20は、エンジン10の油圧などに基づいて、エンジン10の始動が完了したか否かの判定(以下、「始動完了判定」とも呼ぶ。)を行う。そして、エンジン10の始動が完了したと判定された際に(例えばエンジン10の油圧が十分に確保された際に)、ECU20は、エンジン10における動作点を等出力ライン上に維持しつつ、動作点が通常エンジン動作線A1上に位置するように、エンジン10の動作点を移動させる制御を行う。具体的には、ECU20は、回転数、空気量、及び過給圧を変化させることによって、エンジン10の動作点を移動させる。例えば図3中の矢印C1で示すように、ECU20は、エンジン10の動作点が、等出力ラインA3上に維持されつつ、動作点B2から通常エンジン動作線A1上の動作点B1へ移動するように制御を行う。
次に、図4を参照して、上記した始動制御において行われる処理について説明する。図4は、第1実施形態に係る始動制御処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU20によって実行される。
まず、ステップS101では、ECU20は、アクセル開度及び車速に基づいて、エンジン10の要求出力を算出する。具体的には、ECU20は、アクセル開度センサ18からアクセル開度に対応する検出信号S18を取得すると共に、車速センサ19から車速に対応する検出信号S19を取得して、要求出力を算出する。そして、処理はステップS102に進む。
ステップS102では、ECU20は、ステップS101で算出された要求出力がEV走行可能出力以上か否かを判定する。つまり、エンジン10を始動させるべきか否か、言い換えると始動要求を発するべきか否かを判定する。要求出力がEV走行可能出力以上である場合(ステップS102;Yes)、処理はステップS104に進む。これに対して、要求出力がEV走行可能出力未満である場合(ステップS102;No)、処理はステップS103に進む。この場合には、エンジン10を始動させる必要がないため(言い換えると、始動要求が発せられていないため)、ECU20は、EV走行を継続する(ステップS103)。ステップS103の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
ステップS104では、ECU20は、ステップS101で算出された要求出力が、過給圧が必要な出力以上か否かを判定する。つまり、要求出力が過給圧を必要とするような高出力であるか否かを判定する。この場合、ECU20は、要求出力と所定値とを比較することによって、要求出力が過給圧を必要とするような高出力であるか否かを判定する。なお、このような比較に用いる所定値は、ステップS102の判定で用いたEV走行可能出力よりも大きな値であるものとする。
要求出力が過給圧が必要な出力以上である場合(ステップS104;Yes)、処理はステップS106に進む。これに対して、要求出力が過給圧が必要な出力未満である場合(ステップS104;No)、処理はステップS105に進む。この場合、要求出力が過給圧を必要とするような出力でないため、ECU20は、通常エンジン起動位置でエンジン10を始動させる(ステップS105)。つまり、ECU20は、前述した通常エンジン動作線上の動作点でエンジン10を始動させる。ステップS105の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
ステップS106では、ECU20は、高出力要求時エンジン起動位置でエンジン10を始動させる。この場合には、要求出力が過給圧を必要とするような高出力である、言い換えると、要求出力に対応する通常エンジン動作線上の動作点が過給域に位置する。したがって、ECU20は、過給圧不足によるエンジン出力低下やターボチャージャー4の焼き付きなどを防止して、エンジン10を適切に始動させるための制御を行う。具体的には、ECU20は、通常エンジン動作線上の動作点でエンジン10を始動させずに、要求出力に対応する等出力ライン上に位置する動作点であって、過給圧を必要としない動作点でエンジン10を始動させる。つまり、通常エンジン動作線上の動作点における回転数よりも回転数が高い動作点で、エンジン10を始動させる。
この場合、ECU20は、予め設定されたマップなどを参照して高出力要求時エンジン起動位置を取得し、取得された高出力要求時エンジン起動位置でエンジン10を始動させる。なお、このようなマップは、ターボチャージャー4の回転数が所定回転数以下となるように制御した場合における、エンジン10の回転数などに基づいて設定される。ここで、ターボチャージャー4の回転数における所定回転数としては、例えば、ターボチャージャー4の焼き付きなどの発生が確実に抑制されるような回転数に設定される。以上のステップS106の処理が終了すると、処理はステップS107に進む。
ステップS107では、ECU20は、エンジン10の始動完了判定を行うと共に、始動完了判定後にエンジン10の動作点を変更する処理を行う。この場合、ECU20は、エンジン10の油圧(油圧センサ17から供給される検出信号S17に対応する)に基づいて、エンジン10の始動完了判定を行う。具体的には、エンジン10の油圧が所定圧以上となった際に、エンジン10の始動が完了したと判定する。そして、ECU20は、エンジン10の始動が完了したと判定された際に、燃費が最適となるような制御を行う。具体的には、ECU20は、エンジン10における動作点を等出力ライン上に維持しつつ、動作点が通常エンジン動作線上に位置するように、エンジン10の動作点を移動させる制御を行う。この場合、ECU20は、回転数、空気量、及び過給圧を変化させることによって、エンジン10の動作点を移動させる。例えば、ECU20は、ミッション側で回転を落としつつ、スロットバルブ6を開いていく制御などを実行する。以上のステップS107の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
なお、上記のステップS107では、エンジン10の油圧のみに基づいてエンジン10の始動完了判定を行う例を示したが、これに限定はされない。他の例では、エンジン10の油圧、及び/又はエンジン10の起動時間(始動させてからの経過時間)に基づいて、エンジン10の始動完了判定を行っても良い。
以上説明した第1実施形態に係る始動制御処理によれば、要求出力が過給圧を必要とするような高出力である場合に、高回転且つ低負荷でエンジン10を始動させることができるため、過給圧不足によるエンジン出力低下を適切に防止することができる。また、低空気量でエンジン10を始動させることができるため、油圧不足の状態での急激なターボチャージャー4の回転数の上昇を抑制することができる。そのため、ターボチャージャー4の焼き付きを防止することが可能となる。更に、第1実施形態によれば、エンジン10を比較的高回転に設定して始動させるので、エンジン油圧の立ち上がりを促進することができるため、ターボチャージャー4の焼き付きを効果的に防止することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る始動制御方法について説明する。第2実施形態では、エンジン10を始動させる際に、ターボチャージャー4のタービン4bにおけるバイパス通路13上に設けられたW/Gバルブ14を開く制御を実行する点で、前述した第1実施形態と異なる。具体的には、第2実施形態では、要求出力が過給圧を必要とするような高出力である場合に、エンジン10から発生される出力を要求出力に維持しつつ、エンジン10の回転数を高く設定して、過給圧を低くしてエンジン10を始動させる点で第1実施形態と同様であるが、このような制御を実行する際に、W/Gバルブ14を開く制御を更に実行する点で第1実施形態と異なる。より詳しくは、ECU20は、要求出力に対応する等出力ライン上に位置する動作点であって、W/Gバルブ14を開いた状態で最大の出力が得られるような動作点でエンジン10を始動させる始動制御を行う。
第2実施形態に係る始動制御によれば、始動時にW/Gバルブ14を開くことによって、排気ガス量の一部がターボチャージャー4をバイパスすることとなるため、ターボチャージャー4の回転数の急激な上昇を効果的に抑制することができる。また、ターボチャージャー4をバイパスさせない場合(例えばW/Gバルブ14を全閉にした場合)などと比較して、エンジン10の起動位置が高トルク側となる(即ち通常エンジン起動位置に近くなる)傾向にあるため、燃費悪化影響を低減することが可能となる。更に、第2実施形態によれば、始動時にW/Gバルブ14を開くため、排気ガスのエネルギーがターボチャージャー4で消費されてしまうことを抑制することができ、比較的高温の排気ガスを触媒12に供給することができる。そのため、触媒12の暖機を促進することが可能となる。
ここで、図5を参照して、第2実施形態に係る始動制御方法について具体的に説明する。図5は、横軸にエンジン10の回転数を示し、縦軸にエンジントルクを示している。なお、図5において、図3と同一の符号を付しているものは同様の意味を有するものとして、その詳細な説明は省略する。
ECU20は、エンジン10の始動要求が発せられた場合、要求出力が過給圧を必要とするような出力であるか否かに基づいて、エンジン10に対して始動制御を行う。具体的には、ECU20は、要求出力が過給圧を必要とするような出力でない場合には、通常エンジン動作線A1上の通常エンジン起動位置でエンジン10を始動させる。これに対して、ECU20は、要求出力が過給圧を必要とするような高出力である場合には、過給圧不足によるエンジン出力低下やターボチャージャー4の焼き付きなどを防止して、エンジン10を適切に始動させるための制御を行う。具体的には、ECU20は、要求出力に対応する等出力ライン上に位置する動作点であって、W/Gバルブ14を開いた状態で最大の出力が得られる動作点でエンジン10を始動させる。例えば、ECU20は、要求出力が等出力ラインA3に対応する場合、通常エンジン動作線A1上の動作点B1(図5において白丸で示す)でエンジン10を始動させずに、W/Gバルブ14を開いた状態で最大の出力が得られる動作点B3(図5において星印で示す)で、エンジン10を始動させる。つまり、ECU20は、通常エンジン動作線A1上の動作点B1における回転数よりも回転数が高い動作点B3で、エンジン10を始動させる制御を行う。なお、図5より、第2実施形態において始動を行う動作点B3(図5において星印で示す)は、第1実施形態において始動を行う動作点B2(図5において黒丸で示す)よりも、通常エンジン起動位置に近いことがわかる。
更に、第2実施形態においても、ECU20は、エンジン10の始動が完了した際に(例えばエンジン10の油圧が十分に確保された際に)、エンジン10の燃費が最適となるように制御を行う。具体的には、ECU20は、エンジン10における動作点を等出力ライン上に維持しつつ、動作点が通常エンジン動作線A1上に位置するように、エンジン10の動作点を移動させる制御を行う。第2実施形態では、このように動作点を移動させる制御を行う際に、ECU20は、W/Gバルブ14を閉じる制御を行う。例えば図5中の矢印C2で示すように、ECU20は、W/Gバルブ14を閉じる制御などを行って、動作点B3から通常エンジン動作線A1上の動作点B1へ、エンジン10の動作点を移動させる。
次に、図6を参照して、上記した始動制御において行われる処理について説明する。図6は、第2実施形態に係る始動制御処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU20によって実行される。なお、ステップS201〜S205の処理は、前述したステップS101〜S105の処理(図4参照)と同一であるため、その説明を省略する。ここでは、ステップS206〜S208の処理を説明する。
ステップS206では、ECU20は、W/Gバルブ14の開度調整を行う。つまり、この場合には要求出力が過給圧を必要とするような高出力であるため、ECU20は、過給圧不足によるエンジン出力低下やターボチャージャー4の焼き付きなどを防止して、エンジン10を適切に始動させるための制御を行う。具体的には、ECU20は、W/Gバルブ14を開き側に制御する。例えば、ECU20は、W/Gバルブ14を全開にする。以上の処理が終了すると、処理はステップS207に進む。
ステップS207では、ECU20は、要求出力に対応する等出力ライン上に位置する動作点であって、W/Gバルブ14を開いた状態で最大の出力が得られる動作点でエンジン10を始動させる。この場合にも、ECU20は、予め設定されたマップなどを参照してエンジン10を始動させる動作点を取得し、取得された動作点でエンジン10を始動させる。以上の処理が終了すると、処理はステップS208に進む。
ステップS208では、ECU20は、エンジン10の始動完了判定を行うと共に、始動完了判定後に、W/Gバルブ14を閉じる制御、及びエンジン10の動作点を変更する制御を行う。この場合にも、ECU20は、エンジン10の油圧(油圧センサ17から供給される検出信号S17に対応する)に基づいて、エンジン10の始動完了判定を行う。具体的には、エンジン10の油圧が所定圧以上となった際に、エンジン10の始動が完了したと判定する。そして、ECU20は、エンジン10の始動が完了したと判定された際に、エンジン10の燃費が最適となるような制御を行う。具体的には、ECU20は、エンジン10における動作点を等出力ライン上に維持しつつ、動作点が通常エンジン動作線上に位置するように、エンジン10の動作点を移動させる。この場合、ECU20は、スロットルバルブ6における開度調整と連動させて、W/Gバルブ14を閉じていく制御を行う。以上のステップS208の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
なお、上記したステップS208では、エンジン10の油圧のみに基づいてエンジン10の始動完了判定を行う例を示したが、これに限定はされない。他の例では、エンジン10の油圧、エンジン10の起動時間(始動させてからの経過時間)、及び触媒12の温度の少なくとも1つ以上に基づいて、エンジン10の始動完了判定を行っても良い。触媒12の温度を用いる場合には、触媒12の温度に基づいて触媒12が暖機したか否かを判定することによって、始動完了判定を行うことができる。つまり、ECU20は、触媒12が暖機している場合に、エンジン10の始動が完了したと判定することができる。
以上説明した第2実施形態に係る始動制御処理によれば、始動時にW/Gバルブ14を開くことによって、ターボチャージャー4の回転数の急激な上昇を効果的に抑制することができる。また、比較的高トルク側で(即ち通常エンジン起動位置に近い状態で)エンジン10を始動させることができるため、燃費悪化影響を低減することが可能となる。更に、第2実施形態によれば、始動時にW/Gバルブ14を開くため、触媒12の暖機を促進することが可能となる。
本実施形態に係る内燃機関の制御装置を適用した車両の概略構成を示す。 本実施形態に係るエンジンの概略構成を示す。 第1実施形態に係る始動制御方法を説明するための図である。 第1実施形態に係る始動制御処理を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る始動制御方法を説明するための図である。 第2実施形態に係る始動制御処理を示すフローチャートである。
符号の説明
3 吸気通路
4 ターボチャージャー
6 スロットルバルブ
10 エンジン(内燃機関)
11 排気通路
12 触媒
13 バイパス通路
14 ウエストゲートバルブ(W/Gバルブ)
20 ECU
100 車両

Claims (5)

  1. ターボチャージャーを有するハイブリッド車両に対して制御を行う内燃機関の制御装置であって、
    内燃機関の始動要求が発せられた際に、前記内燃機関における要求出力が過給圧を必要とする出力であるか否かを判定する要求出力判定手段と、
    前記要求出力判定手段が前記内燃機関の要求出力が過給圧を必要とする出力であると判定した場合に、前記内燃機関から発生される出力を前記要求出力に維持しつつ、前記過給圧を用いて前記要求出力を発生させる場合に設定される回転数よりも前記内燃機関の回転数を高く設定して、前記要求出力を発生させるために必要とされる過給圧よりも過給圧を低くして、前記内燃機関を始動させる制御を行う始動制御手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記始動制御手段は、前記ターボチャージャーの回転数が所定回転数以下となるように、前記内燃機関の回転数の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記始動制御手段は、前記内燃機関を始動させる際に、前記ターボチャージャーのタービンをバイパスする通路上に設けられたウエストゲートバルブを開く制御を更に行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記内燃機関における油圧が所定圧以上となったか否かに基づいて、前記内燃機関の始動が完了したか否かを判定する始動完了判定手段と、
    前記始動完了判定手段が前記内燃機関の始動が完了したと判定した際に、前記内燃機関の回転数を、前記内燃機関の燃費が最適となる回転数にまで低下させる制御を行う始動完了後制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記始動完了後制御手段は、前記始動完了判定手段が前記内燃機関の始動が完了したと判定した際に、前記ウエストゲートバルブを閉じる制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
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