JP2008221605A - 樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性に優れた樹脂成形品を効率よく成形できる樹脂成形品の製造方法を提供すること。
【解決手段】樹脂成形品を成形するための固定側金型と、可動側金型との間に形成されたキャビティに成形材料を射出して成形する樹脂成形品の製造方法において、樹脂成分と、該樹脂成分との屈折率の差が0.001以下であるガラスフィラーとが配合された成形材料を、前記固定側金型及び/又は前記可動側金型のキャビティ表面に、フィルムを配した状態で、該キャビティ内に射出して成形する。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明性に優れた樹脂成形品の製造方法に関する。
透明性を有する樹脂は、自動車部品、照明機器、電気部品等、通常の透明性が要求される成形体の材料として用いられており、特に最近においては、光学的性質が重視される光学材料としての応用が進みつつある。
例えば、ポリカーボネート樹脂は、その優れた透明性、耐熱性から、工業用の透明材料として、電気、機械、自動車分野等に広く用いられており、更には、光学材料用のプラスチックとしてレンズや光学ディスク等にも使用されつつある。また、環状ポリオレフィン樹脂であるポリノルボルネン系樹脂やポリシクロヘキセン系樹脂は非晶性であり、複屈折率が小さく、透明性に優れ光学用途に適した性質を有することから、光学材料等の透明樹脂として好適に用いられている。そして、ガラスフィラーを添加して、得られる樹脂成形品の剛性を向上させる試みが行われている。
ところで、理論的には、樹脂の屈折率と、この樹脂の補強に用いるガラスフィラーの屈折率を一致させれば、得られる樹脂成形品の透明性が損なわれにくくなるはずである。しかしながら、成形加工時に、ガラスフィラーが成形品の表面に露出しやすく、表面が粗くなって乱反射が生じ、樹脂とガラスフィラーの屈折率を近づけさせたとしても、透明な成形品が得られない場合があった。
このようなガラスフィラーを含有する樹脂組成物を成形する際におけるガラスフィラーの表面への露出を抑制するにあたり、例えば、下記特許文献1には、樹脂成分と、該樹脂成分と屈折率が実質的に一致するガラス繊維とが配合された成形材料を用い、金型のキャビティ表面の温度を前記樹脂成分の熱変形温度以上に加熱した状態で、前記成形材料を前記キャビティ内に射出し、所定量の前記成形材料の射出が完了したら前記金型のキャビティ表面を冷却させることを特徴とする樹脂成形品の製造方法が開示されている。
特開2006−82267号公報
特許文献1に開示された成形方法に用いる金型は、加熱媒体や冷却媒体を供給する必要があることから金型形状が複雑になる。このため、金型の作製に手間がかかり、製造コストが増加する傾向にあった。また、成形時に、加熱・冷却のサイクルがあるため、成形サイクルが長くなり、生産性が劣る問題があった。
したがって、本発明の目的は、透明性に優れた樹脂成形品を効率よく成形できる樹脂成形品の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の樹脂成形品の製造方法は、樹脂成形品を成形するための固定側金型と、可動側金型との間に形成されたキャビティに成形材料を射出して成形する樹脂成形品の製造方法において、樹脂成分と、該樹脂成分との屈折率の差が0.001以下であるガラスフィラーとが配合された成形材料を、前記固定側金型及び/又は前記可動側金型のキャビティ表面に、フィルムを配した状態で、該キャビティ内に射出して成形することを特徴とする。
上記発明によれば、キャビティ内に成形材料が射出されたときに、キャビティ表面に予め配置されたフィルムが配置されているので、金属のキャビティ表面に直接接触する場合に比べて、射出された成形材料を緩やかに冷却することが可能となる。このため、成形材料が冷却固化されるまでの間に成形品表面に樹脂が回り込み、ガラスフィラーが表面に浮き出て成形品表面から露出することを防止することができ、表面の凹凸が少ない樹脂成形品が得られる。
更に、本発明においては、上記のように表面の凹凸を少なくし、乱反射等の透明性を阻害する要因が少なくなるように成形されているのに加えて、成形材料として、樹脂成分と、該樹脂成分との屈折率の差が0.001以下であるガラスフィラーとが配合されたものを用いるようにしたので、透明性がより高い樹脂成形品を製造することができる。
また、キャビティ表面にフィルムを配置するだけで、成形サイクルに合わせて金型を加熱・冷却したりする必要がないので、金型形状を比較簡単にして製造コストを低減できると共に、加熱・冷却サイクルも不要となるので、成形速度を向上させることができる。
本発明の樹脂成形品の製造方法においては、前記フィルムが、印刷層、ハードコート層、防曇層、帯電防止層、反射防止層及び樹脂成分との接着層から選ばれる機能層を備え、該機能層を前記樹脂成形品の表面に転写させて、前記機能層によるスキン層を形成させることもできる。この態様によれば、フィルムが、印刷層、ハードコート層等から選ばれる機能層を備え、キャビティ内に成形材料を射出したときに、機能層がフィルムから剥離されて、樹脂成形品の表面に転写されるので、樹脂成形品の表面に各種機能層が被覆された成形品を容易に得ることができる。
また、フィルムは樹脂成分と金型との間に配置されることから、フィルムは射出された樹脂成分が直接金型表面に接して急速に冷却しないようにする断熱機能を発揮して、樹脂成形品の表面収縮を小さくして、表面外観をよくすることができる。また、樹脂成形品を金型から取り出す際の離型性を向上させることもできる。
また、本発明の樹脂成形品の製造方法においては、前記フィルムが、前記成形材料の樹脂成分と同一材料であり、該フィルムを前記樹脂成形品の表面にラミネートさせて、前記フィルムによるスキン層を形成させることもできる。この態様によれば、キャビティ内に成形材料を射出したときに、成形材料の樹脂成分と同一材料からなるフィルムが溶着して、樹脂成形品の表面にラミネートされ、樹脂成形品の表面に一体化されたスキン層となるので、凹凸が少なく透明性がより高い樹脂成形品が得られる。
また、本発明の樹脂成形品の製造方法においては、前記フィルムが、前記成形材料の樹脂成分と異なる樹脂成分からなる材料であり、該フィルムを前記樹脂成形品の表面にラミネートさせて、前記フィルムによるスキン層を形成させることもできる。この態様によれば、前記フィルムが前記成形材料よりも硬度が高い場合には、ハードコート層の機能を付与することができ、また、前記フィルムが前記成形材料よりも耐油性が高い場合には、耐油性の機能を付与することができる。
本発明の樹脂成形品の製造方法は、前記樹脂成分がポリカーボネート樹脂であり、前記ガラスフィラーが、無機成分として、二酸化ケイ素(SiO)50〜60質量%、酸化アルミニウム(Al)7〜15質量%、酸化カルシウム(CaO)10〜20質量%、酸化マグネシウム(MgO)0〜5質量%、酸化ジルコニウム(ZrO)2〜8質量%、酸化亜鉛(ZnO)0〜10質量%、酸化ストロンチウム(SrO)0〜10質量%、酸化バリウム(BaO)0〜18質量%、酸化リチウム(LiO)0〜2質量%、酸化ナトリウム(NaO)0〜2質量%、酸化カリウム(KO)0〜2質量%を含有し、かつ、前記酸化リチウム(LiO)と前記酸化ナトリウム(NaO)と前記酸化カリウム(KO)との合計含有量が、前記ガラスフィラーに対して0〜2質量%であるガラスフィラーであることが好ましい。この態様によれば、より透明性に優れた樹脂成形品を得ることができる。
本発明の樹脂成形品の製造方法によれば、キャビティ表面に配置されたフィルムによって、キャビティ内に射出された成形材料が急冷固化されるのを抑制し、成形品表面に樹脂が回りこんで、ガラスフィラーが表面に露出するのを防止して、表面粗さが小さい樹脂成形品が得られる。それに加えて、成形材料として、樹脂成分と、該樹脂成分との屈折率の差が0.001以下であるガラスフィラーとが配合されたものを用いるようにしたので、透明性が高い樹脂成形品を製造することができる。また、金型の加熱・冷却を特に必要とすることなく、キャビティ内にフィルムを配置するだけでよいので、金型形状を簡単にして製造コストを低減でき、かつ、成形速度を向上させることができる。
本発明の樹脂成形品の製造方法においては、樹脂成分と、該樹脂成分との屈折率の差が0.001以下であるガラスフィラーとが配合された成形材料を用いる。まず、この成形材料について説明する。
本発明において用いる樹脂成分としては、透明性の高い樹脂であれば特に限定はない。例えば、1)ポリカーボネート樹脂(例えば、日本ジーイープラスチックス社から市販されている「レキサン121R」、三菱エンジニアリングプラスチックス社から市販されている「ユーピロンS−2000」等)、2)ノルボルネン系樹脂、変性ノルボルネン系樹脂、環状ポリオレフィン共重合体等の環状ポリオレフィン樹脂、3)メタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリメチルメタクリレート樹脂、メタクリル樹脂等のアクリル樹脂(例えば、住友化学工業株式会社から市販されている「スミペックス」、三菱レイヨン株式会社から市販されている「アクリライト」等)、4)非晶性ナイロンからなる透明ナイロン樹脂(例えば、エムスケミー・ジャパン株式会社から市販されている「グリルアミド」、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社から市販されている「レニー」等)、5)ポリアリレート樹脂(例えば、ユニチカ株式会社から市販されている「Uポリマー」等)、6)透明ABS樹脂、7)メタクリレート−スチレン共重合体(例えば、電気化学工業株式会社から市販されている「TXポリマー」等)が一例として挙げられる。
上記樹脂成分のうち、この実施形態においては、ポリカーボネート樹脂が好ましく用いられる。このポリカーボネート樹脂としては特に限定されず、例えばビスフェノールAとホスゲンを反応させて得られるものが使用できる。その粘度平均分子量としては、12,000〜35,000であることが好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂は、波長589nmの光に対する屈折率(nD)が、例えば、1.580〜1.588の範囲にあることが好ましい。上記屈折率を備えるポリカーボネート樹脂は、市販されているものを用いてもよく、例えば、日本ジーイープラスチックス社から市販されている「レキサン121R」(屈折率:1.585)、三菱エンジニアリングプラスチックス社から市販されている「ユーピロンS−2000」(屈折率:1.583)等が挙げられる。
次に、上記樹脂成分に配合されるガラスフィラーについて説明する。なお、以下に説明するガラスフィラーのガラス組成においては、特に説明のない限り、「%」は「質量%」を意味する。また、含有成分は、各成分の酸化物の形態で表しているが、必ずしも各成分は酸化物の形態で含有されていなくてもよい。
本発明におけるガラスフィラーは、上記樹脂成分の屈折率と、同ガラスフィラーの屈折率との差が0.001以下であれば、その組成は特に限定されるものではない。
例えば、樹脂成分がポリカーボネート樹脂である場合には、無機成分として、二酸化ケイ素(SiO)50〜60%、酸化アルミニウム(Al)7〜15%、酸化カルシウム(CaO)10〜20%、酸化マグネシウム(MgO)0〜5%、酸化ジルコニウム(ZrO)2〜8%、酸化亜鉛(ZnO)0〜10%、酸化ストロンチウム(SrO)0〜10%、酸化バリウム(BaO)0〜18%、酸化リチウム(LiO)0〜2%、酸化ナトリウム(NaO)0〜2%、酸化カリウム(KO)0〜2%を含有し、かつ、前記酸化リチウム(LiO)と前記酸化ナトリウム(NaO)と前記酸化カリウム(KO)との合計含有量が、前記ガラスフィラーに対して0〜2%であるガラスフィラーが好ましく用いることができる。
上記のガラスフィラーの組成において、SiOの含有量は、50〜60%であることが必要である。SiOの含有量が50%未満であると、ガラスフィラーの強度が低下する傾向にあり、60%を超えるとガラスとしての溶融性が低下する傾向にある。
Alの含有量は、7〜15%であることが必要である。Alの含有量が7%未満であると、耐水性等の化学的耐久性が低下する傾向にあり、15%を超えるとガラスとしての溶融性が低下し、ガラスが不均質になり易くなる傾向にある。
そして、SiOとAlとの合計含有量は、57〜70%であることが好ましく、57〜67%がより好ましい。上記合計含有量が57%未満であると、ガラスフィラーの強度が低下する傾向にあり、67%を超えるとガラスとしての溶融性が低下する傾向にある。
CaOの含有量は、10〜20%であることが必要であり、15〜20%が好ましい。CaOの含有量が10%未満であると、ガラスとしての溶融性が低下する傾向にあり、20%を超えると失透し易くなる傾向にある。
MgOは任意成分であり、0〜5%含有でき、0.1〜5.0%が好ましい。MgOを含有させることにより、上記のCaOのCaの一部をMgに置き換えることができ、ガラスフィラーの強度等の機械的物性を向上できる。MgOの含有量が5%を超えるとガラスとしての溶融性が低下する傾向にある。
ZrOの含有量は、2〜8%であることが必要であり、3〜6%が好ましい。ZrOは、ガラスの屈折率を上げる成分であり、また、ガラスフィラーの化学的耐久性を向上させることができる。ZrOの含有量が2%未満であると、屈折率を上げることが不充分であり、8%を超えるとガラスとしての溶融性が低下し、また、失透し易くなる。
ZnO、BaO及びSrOは任意の成分であり、ZnOは0〜10%、BaOは0〜18%、SrOは0〜10%それぞれ含有できる。ZnO、BaO及びSrOを含有することにより、ガラスフィラーの屈折率を上げることができ、また、失透を抑制することができる。そして、ZnO、BaO及びSrOは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、BaOは、ガラスの溶融粘度を下げる効果が顕著であり、その含有量を増加させることで溶解性は良好になるものの、ガラスの失透温度は変わらないので、含有量が15%を超えると成形時の温度と失透温度との差が小さくなりやすく、成形時に失透しやすくなることがあるので、BaOの含有量は、0〜15%がより好ましく、繊維の形態に成形する場合には7〜14%が最も好ましい。
また、ZnOと、BaOと、SrOとの合計含有量は、ガラスフィラー全体に対して5〜20%であることが好ましい。上記合計含有量の範囲を外れると失透しやすくなる傾向にあり、更に、上記合計含有量が5%未満であると、屈折率を上げることが困難となる。ZnO、BaO及びSrOの合計含有量を上記範囲にすることにより、ポリカーボネート樹脂の屈折率との差を小さくできる。
また、CaOと、ZnOと、BaOと、SrOとの合計含有量は、ガラスフィラー全体に対して25〜35%であることが好ましい。上記合計含有量が25%未満であると、屈折率を上げることが困難となり、35%を超えると、失透し易くなるため、フィラー成形しにくくなる。
LiO、NaO、KO(以下、「アルカリ成分」とも示す)は、それぞれ0〜2%含有でき、これらアルカリ成分の合計含有量は、ガラスフィラー全体に対して0〜2%であることが必要である。上記アルカリ成分の合計含有量が2%を超えると、ガラスの耐水性が低下して、アルカリが溶出し易くなる。また、成形中にガラス表面のアルカリ成分によってポリカーボネート樹脂の分子量が低下して、成形品の物性低下の要因となる。そして、上記アルカリ成分の合計含有量は、0〜1.5%が好ましく、ガラス組成物の溶融性を向上できるという点から、0.1〜1.5%であることがより好ましい。
このようにアルカリ成分の合計含有量が低くても、上記のようにZrOを2〜8%含有することにより、ガラスフィラーの屈折率を充分に向上でき、ポリカーボネート樹脂の屈折率に近づけることができる。そして、アルカリ成分が少ないことで、ポリカーボネート樹脂の分解による分子量低下を抑えることができ、成形品の強度等の物性低下を防止できる。
また、このガラスフィラーは、酸化チタン(以下TiOとする)を実質的に含有しないことが好ましい。TiOは屈折率を高くする成分であるが、TiOを含有させることにより、ガラスフィラーが黄色に着色してしまう。したがって、TiOを実質的に含有しないようにすることで、黄色の着色を抑えた無色に近いガラスフィラーを得ることができる。なお、上記のTiOを実質的に含有しないとは、TiOの含有量が0.1%以下であることを意味する。
更にまた、このガラスフィラーは、酸化ホウ素(以下Bとする)を実質的に含有しないことが好ましい。ガラス溶融物中のホウ素は揮発しやすいため、Bを実質的に含有しないようにすることで、環境負荷の低減を図ることができる。なお、上記のBを実質的に含有しないとは、Bの含有量が0.1%以下であることを意味する。
ここで、上述したように、ZrO、BaO、CaO、SrOは、ガラスの屈折率を上昇させることのできる成分であり、SiO、Alは、ガラスの屈折率を低下させることのできる成分である。また、上記以外のガラスの屈折率を上昇させることのできる成分としては、TiO、Ta、La等があり、上記以外のガラスの屈折率を低下させることのできる成分としては、P、F等がある。
したがって、ガラスの屈折率が所望する屈折率、すなわち、ポリカーボネート樹脂の屈折率よりも小さい場合には、例えば、SiO含有量の一部を、ZrOに置換することで、屈折率を上昇させることができる。具体的には、例えば、SiOの0.4%を、ZrOの0.4%に置換すると、ガラスの屈折率は約0.002上昇する。
また、ガラスの屈折率が所望する屈折率、すなわち、ポリカーボネート樹脂の屈折率よりも大きい場合には、例えば、BaO含有量の一部を、MgOやSrOに置換することで屈折率を低下させることができる。具体的には、例えば、BaOの1.0%を、MgOの1.0%に置換するとガラスの屈折率は約0.002低下する。また、BaOの1.5%を、SrOの1.5%に置換するとガラスの屈折率は約0.002低下する。
このように、上記ガラスの屈折率を上昇させることのできる成分と、ガラスの屈折率を低下させることのできる成分とを、それぞれ上述した範囲内で適宜置換して調整することで、ガラスの屈折率を適宜調整でき、所望の屈折率を有するガラスフィラーを得ることができる。
そして、上記組成からなるガラスフィラーは、波長589nmの光に対する屈折率が、1.581〜1.587であることが好ましく、1.583〜1.586がより好ましく用いることができる。また、上記組成からなるガラスフィラーは、該ガラスフィラーを板厚3mmのガラス板とし、JIS‐K‐7105方法に準じて透過法によって測定したYI値が、0〜3であることが好ましい。ガラス原料としてTiを実質的に含まないようにすることで黄色の着色を抑えることができ、YI値を上記範囲内にすることができる。
また、このガラスフィラーは、上記のガラス成分以外に、屈折率等の光学特性、耐水性、ガラス溶融性、成形速度、機械的物性等に悪影響を及ぼさない範囲で、下記成分を含んでもよい。例えば、ガラスの屈折率を上げる成分として、ランタン(La)、Y(イットリウム)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、タンタル(Ta)、又はタングステン(W)等の元素を含む酸化物を含んでもよい。そして、これらの成分を含有する場合、その含有量はガラスフィラー全体の3%未満であることが原料コストを抑える上で好ましい。なお、上記成分のうち、Pbを含む酸化物は、環境への負荷低減の観点から、実質的に含有しないことが好ましい。
このガラスフィラーを得るのに必要なガラス原料には、ガラスの着色を抑えることから、原料中の不純物として、鉄(Fe)及び/又はクロム(Cr)を含む成分の含有量が、ガラス全体に対して、Fe及び/又はCrの酸化物基準で0.01%未満であることが好ましい。また、ガラス原料には、ガラスの着色を抑え、ガラスの溶融性を向上させることから、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩を含む原料を用いることが好ましい。
本発明で用いるガラスフィラーは、ガラス繊維、ガラスパウダー、ガラスフレーク、ミルドファイバー又はガラスビーズとしての形態で用いることが好ましい。なかでも、ガラス繊維は、紡糸性、機械的強度等に優れ、更には、ポリカーボネート樹脂等の補強効果が高いことから、ガラス繊維として用いることがより好ましい。
前記ガラス繊維は、従来公知のガラス長繊維の紡糸方法を用いて得ることができる。例えば、溶融炉でガラス原料を連続的にガラス化してフォアハースに導き、フォアハースの底部にブッシングを取り付けて紡糸するダイレクトメルト(DM)法又は溶融したガラスをマーブル、カレット、棒状に加工してから再溶融して紡糸する再溶融法等の各種の方法を用いてガラスを繊維化することができる。なお、ガラス繊維の形成時の紡糸温度と、ガラスの失透温度との差が小さい場合、ガラス繊維の紡糸時にガラスが失透し易く、繊維の生産性が低下する、このため、前記紡糸温度は、失透温度よりも十分高い温度にするようにガラスの組成を設計する必要がある。例えば、ガラスの溶融粘度が10の3.0乗ポイズの温度を紡糸温度とした場合、前記紡糸温度とガラスの失透温度との差は、50℃以上が好ましい。
ガラス繊維の径は特に限定されないが、3〜25μmのものが好ましく用いられる。3μmよりも細い場合には、ガラス繊維と樹脂との接触面積が増大して乱反射の原因となり、成形品の透明性が低下する場合がある。25μmよりも太い場合には、ガラス繊維の強度が弱くなり、結果として成形品の強度が低下する場合がある。
そして、ガラス繊維の形態は、成形方法や成形品に求められる特性に応じて、適宜選択可能であり特に限定されない。例えば、チョップドストランド、ロービング、マット、クロス、ミルドファイバー等が挙げられる。
ガラスパウダーは、従来公知の製造方法で得られる。例えば、溶融炉でガラス原料を溶融し、この融液を水中に投入して水砕したり、冷却ロールでシート状に成形して、そのシートを粉砕したりして、所望する粒径のパウダーにすることができる。ガラスパウダーの粒径は特に限定されないが、1〜100μmのものが好ましく用いられる。
ガラスフレークは、従来公知の製造方法で得られる。例えば、溶融炉でガラス原料を溶融し、この融液をチューブ状に引き出し、ガラスの膜厚を一定にした後、ロールで粉砕することにより、特定の膜厚のフリットを得て、そのフリットを粉砕して所望するアスペクト比を有するフレークにすることができる。ガラスフレークの厚み及びアスペクト比は特に限定されないが、厚み0.1〜10μmでアスペクト比が5〜150のものが好ましく用いられる。
ミルドファイバーは、従来公知のミルドファイバーの製造方法を用いて得ることができる。例えば、ガラス繊維のストランドをハンマーミルやボールミルで粉砕することにより、ミルドファイバーにすることができる。ミルドファイバーの繊維径及びアスペクト比は特に限定されないが、繊維径は5〜50μm、アスペクト比は2〜150のものが好ましく用いられる。
ガラスビーズは、従来公知の製造方法で得られる。例えば、溶融炉でガラス原料を溶融し、この融液をバーナーで噴霧して、所望する粒径のガラスビーズにすることができる。ガラスビーズの粒径は特に限定されないが、5〜300μmのものが好ましく用いられる。
また、本発明においては、ポリカーボネート樹脂とガラスフィラーとの親和性を増し密着性を増大して空隙形成による成形品の透明性低下を抑制するために、ガラスフィラーを、カップリング剤を含む処理剤で表面処理することが好ましい。このようなカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、ボラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤又はチタネート系カップリング剤等を使用することができる。特に、ポリカーボネート系樹脂とガラスとの接着性が良好である点からシラン系カップリング剤を用いるのが好ましい。上記シラン系カップリング剤としては、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、アクリルシラン系カップリング剤等を使用することができる。それらのシラン系カップリング剤の中でも、アミノシラン系カップリング剤を用いるのが最も好ましい。
また、処理剤に含まれるカップリング剤以外の成分としては、フィルムフォーマー、潤滑剤及び帯電防止剤等が挙げられ、これらを単独で用いても複数の成分を併用してもよい。
前記フィルムフォーマーとしては、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂もしくはポリオレフィン樹脂等のポリマー又はそれらの変性物を使用することができ、ウレタン樹脂が好ましい。ウレタン樹脂を使用することで、特に透明性に優れたポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。その理由は明確ではないが、ポリカーボネート樹脂とガラスフィラーとの界面において、前記樹脂とガラスとの熱膨張の差によるひずみを緩和することができるためであると考えられる。また、ウレタン樹脂としては、耐熱変色性の少ないウレタン樹脂が好ましい。このようなウレタン樹脂を使用することで着色のより少ないポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。そして、上記耐熱変色性の少ないウレタン樹脂としては、例えば、ポリエステル系無黄変タイプのウレタン樹脂等が好ましく挙げられる。
前記潤滑剤としては、脂肪族エステル系、脂肪族エーテル系、芳香族エステル系又は芳香族エーテル系の界面活性剤を使用することができる。前記帯電防止剤としては、塩化リチウムもしくはヨウ化カリウム等の無機塩又はアンモニウムクロライド型もしくはアンモニウムエトサルフェート型等の4級アンモニウム塩を使用できる。
以上、成形材料について説明したが、本発明の樹脂成形品の製造方法は、上記成分からなる成形材料を、金型内のキャビティ内に所定材料からなるフィルムを配置した状態で、前記成形材料を射出成形して、樹脂成形品を製造することを特徴としている。以下、本発明の樹脂成形品の製造方法の一実施形態について、図1〜3を参照して説明する。この実施形態においては、主として樹脂成形品の表面に良好な透明性を付与することを目的としている。
前記フィルム15としては、従来公知のものを適宜選択して用いることができるが、この実施形態においては、溶融した成形材料に触れても溶融しない樹脂材料が選択され、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリフルオロカーボン等の樹脂からなるフィルムを用いることができる。一例として、成形材料の樹脂成分として、ポリカーボネート樹脂を選択し、射出成形時の樹脂温度が295℃の場合にPETフィルムを用いることができる。これは、PETフィルムの溶融温度が258℃であっても、接触する金型表面の温度が90℃の場合には、295℃の溶融した成形材料に接してもPETフィルムは溶融することがないためである。フィルムを金型と溶融した成形材料との間に配置することにより、金型のキャビティ表面に溶融した樹脂を直接接触させることを防止できる。
また、該フィルムは断熱機能をも有しており、それによって射出された樹脂成分が直接金型表面に接して急速に冷却しないため、樹脂成形品の表面収縮を小さくして、樹脂成形品の表面平滑性を向上させることができる。また、樹脂成形品を金型から取り出す際の離型性を向上させることもできる。
フィルムがキャビティの片側に配置される場合であっても、フィルムを配置した側の樹脂成形品面は、平滑であり、意匠性が優れているので、意匠性や表面平滑性などが樹脂成形品の片面に要求される用途には好適に用いることができる。また、フィルム15の表面に種々の機能層を形成しておき、射出成形時にこの機能層が成形品表面に転写されて、同機能層によるスキン層が形成されるようにすることもできる。このような機能層としては、例えば、印刷層、ハードコート層、防曇層、帯電防止層、反射防止層、接着層などが挙げられる。なお、上記フィルム15の厚さとしては、10〜500μmが好ましく、フィルムが破れ難く、成形品表面への追従性がよい点で、20〜200μmであることがより好ましい。
図1〜3に示すように、この樹脂成形品の製造方法では、固定側金型20と、これに対向して配置されると共に、図示しない駆動手段によって固定側金型20に対して近接離反するように可動する可動側金型10とを備える樹脂成形機が用いられる。
可動側金型10には、成形すべき樹脂成形品の形状に対応して、キャビティ12が形成されている。なお、本発明におけるキャビティとは、固定側金型と可動側金型との間に形成される空間であって、得られる成形品とほぼ同一形状を有し、溶融した樹脂材料が流れこむ空間のことを意味している。また、可動側金型10の上下両側には、フィルム15が巻回された一対のロール13,13が配置されており、これにより可動側金型10のキャビティ内面側にフィルム15が張設されて配置されるようになっている。なお、前記ロール13の少なくとも一方は回動可能となっており、成形サイクルに合わせてフィルム15を所定寸法ずつ下方に繰り出すようになっている。また、可動側金型10のフィルム15の更に内面側には、可動側金型10に対して近接離反可能とされた保持プレート17が配置されており、射出成形時に、可動側金型10のキャビティ12の周縁部との間で、フィルム15を挟み付けて保持できるようになっている。一方、前記可動側金型10に対向配置された固定側金型20は、その中央部にゲート21が貫通して形成されており、これにより前記キャビティ12内に成形材料を射出可能となっている。
そして、本発明の樹脂成形品の製造方法の一実施形態においては、上記各金型10,20よりなる樹脂成形機及びフィルム15を用い、次のような工程によって樹脂成形品を製造することができる。
すなわち、図1に示すように、固定側金型20に対して可動側金型10を開き、その状態で上下一対のロール13,13により、可動側金型10の内面側にフィルム15が張設されて、同フィルム15がキャビティ12の内面に配設される。
この状態で、保持プレート17を可動側金型10側に移動させて、フィルム15を挟み込んで保持すると共に、同じく可動側金型10を固定側金型20側へ移動させて、一対の金型10,20を閉じる。その状態で、図示しない射出成型機の射出ノズルが、ゲート21内に挿入されて、前述した成分からなる溶融した成形材料が射出される。すると、溶融した成形材料がゲート21を通ってキャビティ12内に流入し、キャビティ12の表面に配置されたフィルム15を押圧して、キャビティ12の底面に密着させつつ、キャビティ12内に成形材料が充填される。このとき、フィルム15が配置されているため、溶融した成形材料はキャビティ12に直接接触することなく、フィルム15により覆われた状態で冷却されて固化して、所定形状の樹脂成形品Pが形成される(図2参照)。
また、このとき、フィルム15の一側面に印刷層、ハードコート層等からなる機能層を形成してある場合には、機能層がフィルム15から剥離して、樹脂成形品Pの表面に転写されるので、樹脂成形品Pの表面に各種機能層よりなるスキン層が形成される。このように、フィルム15に予め印刷層等からなる機能層を形成しておくことにより、成形材料の射出と同時に機能層からなるスキン層を簡単に形成することができる。
その後、図3に示すように、固定側金型20に対して可動側金型10を離れる方向に移動させて、金型10,20を開き、吸着バンド等の図示しない取出手段により、樹脂成形品Pが抜型されて取り出される。
以上のように、本発明の樹脂成形品の製造方法によれば、キャビティ12の表面に予めフィルム15が配置されているため、キャビティ12内に成形材料が射出されたときに、溶融した成形材料が可動側金型10のキャビティ12底面に直接接触せず、フィルム15を介して接触するので、成形材料が急冷固化されることがなく、樹脂が成形品表面まで回り込んで固化することにより、ガラスフィラーが浮き出て、成形品表面から露出することを防止することができる。その結果、凹凸が少なく表面粗さが小さい、良好な外観の樹脂成形品Pを得ることができる。
更に、本発明の樹脂成形品の製造方法においては、上記のようにして樹脂成形品Pが形成される結果、該樹脂成形品Pは良好な表面平滑性を有し、乱反射等の透明性を阻害する要因が少なくなるように成形されているのに加えて、成形材料として、樹脂成分と、該樹脂成分との屈折率の差が0.001以下であるガラスフィラーとが配合されたものを用いるようにしたので、透明性がより高い樹脂成形品を製造することができる。
また、金型を加熱・冷却する必要なく、キャビティ12の表面にフィルム15を配置するだけで、成形材料の急冷を抑制するようにしたので、金型形状を比較簡単にして製造コストを低減できると共に、樹脂成形品Pの成形速度を向上させることができる。
本発明の両面にフィルムを配置して得られる樹脂成形品は、特に透明性の高い成形品を得ることができる。例えば、ポリカーボネート樹脂成形品中のガラス繊維の含有量が20%であって、該成形品の厚さが2mmとしたときの光学物性については、平行線透過率は67%以上が好ましく、Hazeは23%以下が好ましい。また、環状ポリオレフィン樹脂成形品中のガラス繊維の含有量が20%であって、該成形品の厚さが2mmとしたときには、平行線透過率は70%以上が好ましく、Hazeは15%以下が好ましい。
なお、この実施形態においては、フィルム15として、成形材料の樹脂成分と異なる樹脂材料であるポリエチレンテレフタレート樹脂製フィルムを用いたが、成形材料の樹脂成分と接着性のある樹脂材料、より好ましくは同一の樹脂材料からなるフィルム15を用い、射出成形時にこのフィルム15を成形品表面に溶着させてもよい。この場合には、フィルム15が樹脂成形品Pの表面にラミネートされるので、フィルム15よりなるスキン層を、樹脂成形品Pの表面に一体成形することができる。
図4〜7には、本発明の樹脂成形品の製造方法の他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略することにする。
前記実施形態の製造方法では、樹脂成形品Pの表面のみに透明性を付与したが、この実施形態の製造方法においては、樹脂成形品Pの表裏両面に良好な透明性を付与することを目的とするものである。
すなわち、この製造方法に用いられる樹脂成形機は、可動側金型10aの内面側のみにフィルム15が配置されるのではなく、これに対向して配置される固定側金型20aの内面側にもフィルム15が配置される点が、前記実施形態と異なっている(図4参照)。
また、可動側金型10aの前記キャビティ12の上方には、キャビティ12よりも幅狭の溝状をなし、かつ、キャビティ12に連通するランナー14が形成されており、これらキャビティ12及びランナー14の表面に、図示しない上下一対のロールにより上下方向に張設されたフィルム15が配置されている。なお、このフィルム15は、図4の矢印A方向に所定長さずつ繰り出し可能となっている。
一方、固定側金型20aの左右両側の、高さ方向中間よりもやや下方位置には、図示しない一対のロールが配置され、これにより可動側金型10aのフィルム15に対し直交して、固定側金型20aの左右方向にもう一つのフィルム15が張設され、このフィルム15がキャビティ22の表面に配置されている。このもう一つのフィルム15は、図4の矢印B方向に所定長さずつ繰り出し可能となっている。
そして、図5に示すように、各金型10a,20aを開いて、各キャビティ12,22の表面に2つのフィルム15をそれぞれ配置し、その状態で図6に示すように、各金型10a,20aを閉じる。その状態で、図示しない射出ノズルがゲート21内に挿入されて、上述した成形材料が射出される。すると、ランナー14を通って、2つのフィルム15を各キャビティ12,22の底面に向けて押圧しつつ、キャビティ12,22内に溶融した成形材料が充填され、その結果、表裏両面が覆われた状態で、成形材料が冷却固化されて、樹脂成形品Pが形成される(図6参照)。その後、図7に示すように、各金型10a,20aを開き、図示しない取出手段により抜型して、不要なランナー等を除去することにより、所望の樹脂成形品Pが得られる。
以上のように、この製造方法によれば、キャビティ12,22の各表面にフィルム15をそれぞれ配置したので、成形材料が射出されたときに、両フィルム15によって成形材料の表裏両面が覆われるため、前記実施形態と同様に、ガラスフィラーの露出が防止され、表裏両面に良好な透明性が付与された樹脂成形品Pを製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
下記に示す条件により、実施例1〜6、比較例1〜6の樹脂成形品を製造し、それらの各光学物性を求めた。
各例による成形材料のコンパウンド及び射出成形の条件は、以下の通りである。また、ガラス繊維としては、下記表1に示す組成のガラス繊維を用いた。
・コンパウンド条件
ポリカーボネート樹脂:レキサン121R(日本ジーイープラスチック社製、分子量21000、nD=1.585)
ガラス繊維:13μm径、3mm長のチョップトストランド、集束本数400本(旭ファイバーグラス株式会社製)
ガラス繊維含有率:10質量%
押し出し機:2軸押し出し機
押し出し温度:280℃
・射出成形条件
成形機:IS−80G(東芝機械社製)
シリンダー温度:300℃
金型温度:60〜140℃
Figure 2008221605
なお、実施例1〜4に用いられるフィルムは、厚さ50μmのポリエチレンテレフタート樹脂製フィルム(PETフィルム)に印刷層のないクリアーフィルムを使用した。また、実施例1,3の場合は金型の一方にフィルムをセットし、実施例2,4の場合は、金型の両方にフィムルをセットした。実施例5、6に用いられるフィルムは、厚さ200μmのポリカーボネート樹脂製フィルム(PCフィルム)に印刷層のないクリアーフィルムを使用し、予めキャビティの形状にあわせて賦形して、金型の一方にフィルムをセットした。また、実施例1〜6、比較例1、2、4、5は、オイル温調定温式の金型を用い、定温で射出成形を行った。また、比較例3、6は蒸気加熱・水冷式の金型を用い、射出時の金型温度を140℃とし、射出終了後、蒸気過熱バルブを切り替え、水冷して金型温度を60℃に下げ脱型した。
上記の樹脂成形品の光学物性及び表面平滑性の結果をあわせて表2に示す。ここで、光学物性である全光線透過率、平行線透過率およびHaze(ヘイズ)値は、日本電色株式会社製NDHセンサーを用い、以下規格に準じて厚さ2mmのサンプルを測定した値である。
全光線透過率:JIS−K−7361
平行線透過率:JIS−K−7105
Haze値:JIS−K−7136
表面平滑性については、フィルムを配置した樹脂成形品の面を目視で観察して、以下の通りにランク分け評価を行なった。「○」印:ガラス繊維の浮き出しが判別できず、極めて平滑である、「△」印:ガラス繊維の浮き出しが表面の1/4程度にある、「×」印:ガラス繊維の浮き出しが表面全体にある。
Figure 2008221605
上記表2より、実施例1〜6の樹脂成形品は、金型を高温に長時間保持したり(比較例1,4)、加熱冷却サイクル(比較例3,6)を行ったりしなくとも、Haze値を比較的低く維持でき、平行線透過率及び全光線透過率を高くできることが分かる。
本発明の樹脂成形品の製造方法の一実施形態における第1工程を示す説明図である。 同第2工程を示す説明図である。 同第3工程を示す説明図である。 本発明の樹脂成形品の製造方法の他の実施形態における第1工程を示す説明図である。 同第2工程を示す説明図である。 同第3工程を示す説明図である。 同第4工程を示す説明図である。
符号の説明
10,10a 可動側金型
12,12a,22,22a キャビティ
15 フィルム
20,20a 固定側金型

Claims (5)

  1. 樹脂成形品を成形するための固定側金型と、可動側金型との間に形成されたキャビティに成形材料を射出して成形する樹脂成形品の製造方法において、
    樹脂成分と、該樹脂成分との屈折率の差が0.001以下であるガラスフィラーとが配合された成形材料を、前記固定側金型及び/又は前記可動側金型のキャビティ表面に、フィルムを配した状態で、該キャビティ内に射出して成形することを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記フィルムが、印刷層、ハードコート層、防曇層、帯電防止層、反射防止層及び樹脂成分との接着層から選ばれる機能層を備え、該機能層を前記樹脂成形品の表面に転写させて、前記機能層によるスキン層を形成させる、請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
  3. 前記フィルムが、前記成形材料の樹脂成分と同一材料であり、該フィルムを前記樹脂成形品の表面にラミネートさせて、前記フィルムによるスキン層を形成させる、請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
  4. 前記フィルムが、前記成形材料の樹脂成分と異なる樹脂成分からなる材料であり、該フィルムを前記樹脂成形品の表面にラミネートさせて、前記フィルムによるスキン層を形成させる、請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
  5. 前記樹脂成分がポリカーボネート樹脂であり、前記ガラスフィラーが、無機成分として、二酸化ケイ素(SiO)50〜60質量%、酸化アルミニウム(Al)7〜15質量%、酸化カルシウム(CaO)10〜20質量%、酸化マグネシウム(MgO)0〜5質量%、酸化ジルコニウム(ZrO)2〜8質量%、酸化亜鉛(ZnO)0〜10質量%、酸化ストロンチウム(SrO)0〜10質量%、酸化バリウム(BaO)0〜18質量%、酸化リチウム(LiO)0〜2質量%、酸化ナトリウム(NaO)0〜2質量%、酸化カリウム(KO)0〜2質量%を含有し、かつ、前記酸化リチウム(LiO)と前記酸化ナトリウム(NaO)と前記酸化カリウム(KO)との合計含有量が、前記ガラスフィラーに対して0〜2質量%であるガラスフィラーである、請求項1〜4のいずれか一つに記載の樹脂成形品の製造方法。
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