JP2008094651A - 低温成形用ガラス及びガラス成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プレス成形等に適した低温成形用ガラス及びそのような低温成形用ガラスを用いたガラス成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】低温成形用ガラス及びそのような低温成形用ガラスを用いたガラス成形品の製造方法であって、ガラス原料として、P2O5と、BaOと、ZnOと、SO3と、を含む低温成形用ガラスであって、全体量に対して、P2O5の添加量を40〜60重量%の範囲内の値とし、BaOの添加量を10〜40重量%の範囲内の値とし、ZnOの添加量を1〜40重量%の範囲内の値とし、かつ、SO3の添加量を0.1〜20重量%の範囲内の値としたガラス組成物を使用する。
【選択図】図1
【解決手段】低温成形用ガラス及びそのような低温成形用ガラスを用いたガラス成形品の製造方法であって、ガラス原料として、P2O5と、BaOと、ZnOと、SO3と、を含む低温成形用ガラスであって、全体量に対して、P2O5の添加量を40〜60重量%の範囲内の値とし、BaOの添加量を10〜40重量%の範囲内の値とし、ZnOの添加量を1〜40重量%の範囲内の値とし、かつ、SO3の添加量を0.1〜20重量%の範囲内の値としたガラス組成物を使用する。
【選択図】図1
Description
本発明は、低温成形用ガラス及びガラス成形方法に関し、特に、プレス成形に適した低温成形用ガラス及びガラス成形方法に関する。
従来、ソーダガラス原料等からなるガラスは化学的に安定で、透明性に優れている一方、溶融温度が一般に1000℃以上と高いことから、ブロー成形法が多用されていた。より詳細には、第一段階として、溶融ガラスを粗型に導入した後、かかる粗型内部にプランジャーを挿入し、その先端部から噴出されるカウンターブロー用エアーによってパリソン(粗形状のガラス容器)を成形し、次いで、第二段階として、成形されたパリソンを粗型から仕上型に移動した後、ファイナルブロー用エアーによって、所望の形状のガラス容器を製造していた。
しかしながら、ブロー成形法以外に、低温成形用ガラス材料(低融点ガラス)を用いて、250〜400℃程度の低温でプレス成形することが望まれている。
そこで、P−Sn−O−F系のガラス組成物において、ガラス形成成分に加えて耐久性改善成分を含有してなり、Sn+P+O+Fの合計量が75重量%未満で、耐久性テストにおける減量率が0.2重量%以下であることを特徴とする低融点ガラスが提案されている(例えば、特許文献1)。
そこで、P−Sn−O−F系のガラス組成物において、ガラス形成成分に加えて耐久性改善成分を含有してなり、Sn+P+O+Fの合計量が75重量%未満で、耐久性テストにおける減量率が0.2重量%以下であることを特徴とする低融点ガラスが提案されている(例えば、特許文献1)。
また、更なる効率的成形や精度向上のために、所定の低温成形用ガラス材料(低融点ガラス)を用いて、射出成形することも試みられている。
例えば、このような低融点ガラスとしては、Pb化合物を実質的に含有せず、中屈折率・低分散であって、しかもTg及びTLが低く精密プレス成形に適した光学ガラスが提案されている(例えば、特許文献2)。
より具体的には、重量換算で、P2O5:40〜50%、B2O3:0.1〜5%、ZnO:1〜30%、BaO:15〜49%、SrO:0〜15%(ただし、ゼロを含む)、CaO:0〜5%(ただし、ゼロを含む)、MgO:0〜5%(ただし、ゼロを含む)、RO(R=Zn,Ba,Sr,Ca,Mg)の総量:35〜50%、Li2O:0〜0.5%(ただし、ゼロを含む)、Na2O:1〜12%、K2O:0〜10%(ただし、ゼロを含む)、R’2O(R’=Li,Na,K)の総量:2〜15%、Al2O3:1〜5%、Bi2O3:0.1〜4%の各ガラス成分を含有する光学ガラスが提案されている。
例えば、このような低融点ガラスとしては、Pb化合物を実質的に含有せず、中屈折率・低分散であって、しかもTg及びTLが低く精密プレス成形に適した光学ガラスが提案されている(例えば、特許文献2)。
より具体的には、重量換算で、P2O5:40〜50%、B2O3:0.1〜5%、ZnO:1〜30%、BaO:15〜49%、SrO:0〜15%(ただし、ゼロを含む)、CaO:0〜5%(ただし、ゼロを含む)、MgO:0〜5%(ただし、ゼロを含む)、RO(R=Zn,Ba,Sr,Ca,Mg)の総量:35〜50%、Li2O:0〜0.5%(ただし、ゼロを含む)、Na2O:1〜12%、K2O:0〜10%(ただし、ゼロを含む)、R’2O(R’=Li,Na,K)の総量:2〜15%、Al2O3:1〜5%、Bi2O3:0.1〜4%の各ガラス成分を含有する光学ガラスが提案されている。
さらに、鉛やフッ素を含まないリン酸系の低融点ガラスとしては、P2O5:15〜43モル%、SO3:0.1〜38モル%、Li2O:0〜25モル%、Na2O:0〜25モル%、K2O:0〜25モル%、CaO:0〜10モル%、SrO:0〜10モル%、BaO:0〜10モル%、B2O3:0.1〜20モル%を含むとともに、遷移金属、Mg、Al、Sn、PbおよびSbから選ばれる1種以上の元素の酸化物1〜55モル%からなる低融点ガラスが開示されている(例えば、特許文献3)。
特開2001−48574(特許請求の範囲等)
特開2004−262703(特許請求の範囲等)
特開平9−3335(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に開示されたガラス組成物の場合、フッ素材料を用いる必要があって、製造コストが高くなるばかりか、安全性に乏しいという問題があった。さらには、溶融粘度が未だ高くて、プレス成形等に使用できないという問題点が見られた。
また、特許文献2に開示された低融点ガラスは、ガラス成分として、所定量のSO3を含んでいない一方、B2O3やBi2O3を添加しなければならないことから、融点が未だ高く、成形温度を低下させることが困難であるという問題が見られた。
さらに、特許文献3に開示された燐酸系の低融点ガラスは、遷移金属、Mg、Al、Sn、PbおよびSbから選ばれる1種以上の元素の酸化物を、所定量添加しなければならず、ガラス成分の構成が複雑であるばかりか、低融点性が不十分であるという問題があった。
また、特許文献2に開示された低融点ガラスは、ガラス成分として、所定量のSO3を含んでいない一方、B2O3やBi2O3を添加しなければならないことから、融点が未だ高く、成形温度を低下させることが困難であるという問題が見られた。
さらに、特許文献3に開示された燐酸系の低融点ガラスは、遷移金属、Mg、Al、Sn、PbおよびSbから選ばれる1種以上の元素の酸化物を、所定量添加しなければならず、ガラス成分の構成が複雑であるばかりか、低融点性が不十分であるという問題があった。
そこで、本発明の発明者らは、上記の問題に鑑み鋭意検討したところ、安価でかつ安全性が高いガラス原料を用いるとともに、それらの配合割合を特定範囲に制御することによって、失透することなく、透明性や機械的特性に優れ、かつ、成形温度を著しく低下させられることを見出した。
よって、本発明の目的は、プレス装置等に好適に用いられる低温成形用ガラス及び、そのような低温成形用ガラスを用いたガラス成形品の安定的な製造方法を提供することである。
よって、本発明の目的は、プレス装置等に好適に用いられる低温成形用ガラス及び、そのような低温成形用ガラスを用いたガラス成形品の安定的な製造方法を提供することである。
本発明によれば、ガラス成分として、P2O5と、BaOと、ZnOと、SO3と、を含む低温成形用ガラスであって、全体量に対して、P2O5の添加量を40〜60重量%の範囲内の値とし、BaOの添加量を10〜40重量%の範囲内の値とし、ZnOの添加量を1〜40重量%の範囲内の値とし、かつ、SO3の添加量を0.1〜20重量%の範囲内の値とした低温成形用ガラスが提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、このように安価でかつ安全性が高いガラス原料を用いるとともに、それらの配合割合を特定範囲に制御することによって、失透することなく、透明性や機械的特性に優れ、かつ、成形温度が低い低温成形用ガラスを安定的に得ることができる。したがって、プレス装置等に好適に用いられる低温成形用ガラスを安定的に得ることができる。
すなわち、このように安価でかつ安全性が高いガラス原料を用いるとともに、それらの配合割合を特定範囲に制御することによって、失透することなく、透明性や機械的特性に優れ、かつ、成形温度が低い低温成形用ガラスを安定的に得ることができる。したがって、プレス装置等に好適に用いられる低温成形用ガラスを安定的に得ることができる。
また、本発明の低温成形用ガラスを構成するにあたり、ガラス原料として、Al2O3をさらに含むとともに、当該Al2O3の添加量を、全体量に対して、0.1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、屈折率や流動性の調整が容易になるばかりか、耐水性等を容易に調整することができる。
このように構成することにより、屈折率や流動性の調整が容易になるばかりか、耐水性等を容易に調整することができる。
また、本発明の低温成形用ガラスを構成するにあたり、ガラス原料として、Li2O、Na2O、K2Oの少なくとも一つをさらに含むとともに、当該Li2O、Na2O、K2Oの合計添加量を、全体量に対して、1〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、屈折率や流動性の調整が容易になるばかりか、転移温度等のガラス特性を容易に調整することができる。
このように構成することにより、屈折率や流動性の調整が容易になるばかりか、転移温度等のガラス特性を容易に調整することができる。
また、本発明の低温成形用ガラスを構成するにあたり、転移温度を250〜450℃の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、使用可能なガラス原料の選択範囲を狭めることなく、プレス装置等を用いて、透明性や機械的強度に優れた低温成形用ガラスを安定的に得ることができる。
このように構成することにより、使用可能なガラス原料の選択範囲を狭めることなく、プレス装置等を用いて、透明性や機械的強度に優れた低温成形用ガラスを安定的に得ることができる。
また、本発明の低温成形用ガラスを構成するにあたり、屈伏温度を250〜500℃の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、使用可能なガラス原料の選択範囲を狭めることなく、プレス装置等を用いて、透明性や機械的強度に優れた低温成形用ガラスをさらに安定的に得ることができる。
このように構成することにより、使用可能なガラス原料の選択範囲を狭めることなく、プレス装置等を用いて、透明性や機械的強度に優れた低温成形用ガラスをさらに安定的に得ることができる。
また、本発明の低温成形用ガラスを構成するにあたり、失透開始温度を500〜650℃の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、使用可能なガラス原料の選択範囲を狭めることなく、プレス装置等を用いて、透明性や機械的強度に優れた低温成形用ガラスをさらに安定的に得ることができる。
このように構成することにより、使用可能なガラス原料の選択範囲を狭めることなく、プレス装置等を用いて、透明性や機械的強度に優れた低温成形用ガラスをさらに安定的に得ることができる。
また、本発明の別の態様としては、低温成形用ガラスを用いた、成形装置によるガラス成形方法であって、低温成形用ガラスとして、ガラス原料として、P2O5と、BaOと、ZnOと、SO3と、を含む低温成形用ガラスであって、全体量に対して、P2O5の添加量を40〜60重量%の範囲内の値とし、BaOの添加量を10〜40重量%の範囲内の値とし、ZnOの添加量を1〜40重量%の範囲内の値とし、かつ、SO3の添加量を0.1〜20重量%の範囲内の値としたガラス組成物を使用するともに、成形装置として、プレス装置を用いることを特徴とするガラス成形方法である。
すなわち、このようにプレス装置を用いてガラス成形方法を実施することにより、安価でかつ安全性が高いガラス原料を用いるとともに、それらの配合割合を特定範囲に制御することによって、失透することなく、透明性や機械的特性に優れ、かつ、成形温度が低い低温成形用ガラスを安定的に得ることができる。
すなわち、このようにプレス装置を用いてガラス成形方法を実施することにより、安価でかつ安全性が高いガラス原料を用いるとともに、それらの配合割合を特定範囲に制御することによって、失透することなく、透明性や機械的特性に優れ、かつ、成形温度が低い低温成形用ガラスを安定的に得ることができる。
また、本発明のガラス成形方法を実施するにあたり、成形装置の成形温度を250〜400℃の範囲内の値とすることが好ましい。
このような温度で、プレス装置を用いてガラス成形方法を実施することにより、失透することなく、透明性や機械的特性に優れ、かつ、成形温度が低い低温成形用ガラスを安定的に得ることができる。
このような温度で、プレス装置を用いてガラス成形方法を実施することにより、失透することなく、透明性や機械的特性に優れ、かつ、成形温度が低い低温成形用ガラスを安定的に得ることができる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、ガラス原料として、P2O5と、BaOと、ZnOと、SO3と、を含む低温成形用ガラスであって、全体量に対して、P2O5の添加量を40〜60重量%の範囲内の値とし、BaOの添加量を10〜40重量%の範囲内の値とし、ZnOの添加量を1〜40重量%の範囲内の値とし、かつ、SO3の添加量を0.1〜20重量%の範囲内の値とした低温成形用ガラスである。
以下、第1の実施形態における低温成形用ガラスを、構成要件等に分けて具体的に説明する。
第1の実施形態は、ガラス原料として、P2O5と、BaOと、ZnOと、SO3と、を含む低温成形用ガラスであって、全体量に対して、P2O5の添加量を40〜60重量%の範囲内の値とし、BaOの添加量を10〜40重量%の範囲内の値とし、ZnOの添加量を1〜40重量%の範囲内の値とし、かつ、SO3の添加量を0.1〜20重量%の範囲内の値とした低温成形用ガラスである。
以下、第1の実施形態における低温成形用ガラスを、構成要件等に分けて具体的に説明する。
1.ガラス原料
(1)P2O5
P2O5は、低温成形用ガラスのガラス原料として、必須構成成分であり、基本的に網目形成酸化物としての機能を果たすが、その他、透明性改善機能にも関与する。
ここで、P2O5の含有量を、全体量に対して、40〜60重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるP2O5の含有量が40重量%未満となると、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下する場合があるためである。一方、かかるP2O5の含有量が60重量%を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの透明性等と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、P2O5の含有量を、全体量に対して、43〜58重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、45〜55重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)P2O5
P2O5は、低温成形用ガラスのガラス原料として、必須構成成分であり、基本的に網目形成酸化物としての機能を果たすが、その他、透明性改善機能にも関与する。
ここで、P2O5の含有量を、全体量に対して、40〜60重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるP2O5の含有量が40重量%未満となると、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下する場合があるためである。一方、かかるP2O5の含有量が60重量%を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの透明性等と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、P2O5の含有量を、全体量に対して、43〜58重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、45〜55重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、ガラス原料としてのP2O5は、室温(25℃)で液状である一方、安定的であることが好ましい。
したがって、全体量に対して、水分を80〜9重量%程度含むP2O5水溶液であることが好ましい。なお、このようなP2O5水溶液を用いることによって、P2O5自体の保存安定性を高めることができる一方、P2O5と、BaO及びSrOあるいはいずれか一方の酸化物との混合性が良好になって、失透することなく、透明性や機械的特性に優れ、かつ、成形温度が低い低温成形用ガラスを安定的に得ることができる。
したがって、全体量に対して、水分を80〜9重量%程度含むP2O5水溶液であることが好ましい。なお、このようなP2O5水溶液を用いることによって、P2O5自体の保存安定性を高めることができる一方、P2O5と、BaO及びSrOあるいはいずれか一方の酸化物との混合性が良好になって、失透することなく、透明性や機械的特性に優れ、かつ、成形温度が低い低温成形用ガラスを安定的に得ることができる。
(2)BaO
また、BaOは、低温成形用ガラスのガラス原料として、必須構成成分であって、それぞれガラス化するとともに、適当な耐水性や耐熱性を得る目的のために添加される。
ここで、BaOの添加量を、全体量に対して、10〜40重量%の範囲内の値とする。
この理由は、かかるBaOの添加量が10重量%未満の値になると、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下するためである。一方、かかるBaOの添加量が40重量%を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの透明性等と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、BaOの添加量を、全体量に対して、12〜35重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、15〜30重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、BaOは、低温成形用ガラスのガラス原料として、必須構成成分であって、それぞれガラス化するとともに、適当な耐水性や耐熱性を得る目的のために添加される。
ここで、BaOの添加量を、全体量に対して、10〜40重量%の範囲内の値とする。
この理由は、かかるBaOの添加量が10重量%未満の値になると、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下するためである。一方、かかるBaOの添加量が40重量%を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの透明性等と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、BaOの添加量を、全体量に対して、12〜35重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、15〜30重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、P2O5/BaOの重量比率を1〜4の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるP2O5/BaOの重量比率が1未満の値になると、成形条件によっては、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下する場合があるためである。一方、かかるP2O5/BaOの重量比率が4を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの透明性等と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、P2O5/BaOの重量比率を1.2〜3.5の範囲内の値とすることがより好ましく、1.5〜3.0の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかるP2O5/BaOの重量比率が1未満の値になると、成形条件によっては、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下する場合があるためである。一方、かかるP2O5/BaOの重量比率が4を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの透明性等と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、P2O5/BaOの重量比率を1.2〜3.5の範囲内の値とすることがより好ましく、1.5〜3.0の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)ZnO
また、ZnOは、低温成形用ガラスのガラス原料として、必須構成成分であって、それぞれガラス化するとともに、適当な耐水性や耐熱性を得る目的のために添加される。
ここで、ZnOの添加量を、全体量に対して、1〜40重量%の範囲内の値とする。
この理由は、かかるZnOの添加量が1重量%未満の値になると、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下するためである。一方、かかるZnOの添加量が40重量%を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの透明性等と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、ZnOの添加量を、全体量に対して、5〜30重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、8〜20重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、ZnOは、低温成形用ガラスのガラス原料として、必須構成成分であって、それぞれガラス化するとともに、適当な耐水性や耐熱性を得る目的のために添加される。
ここで、ZnOの添加量を、全体量に対して、1〜40重量%の範囲内の値とする。
この理由は、かかるZnOの添加量が1重量%未満の値になると、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下するためである。一方、かかるZnOの添加量が40重量%を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの透明性等と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、ZnOの添加量を、全体量に対して、5〜30重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、8〜20重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、P2O5/ZnOの重量比率を2〜8の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるP2O5/ZnOの重量比率が2未満の値になると、成形条件によっては、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下する場合があるためである。一方、かかるP2O5/ZnOの重量比率が8を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの透明性等と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、P2O5/ZnOの重量比率を2.5〜7の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかるP2O5/ZnOの重量比率が2未満の値になると、成形条件によっては、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下する場合があるためである。一方、かかるP2O5/ZnOの重量比率が8を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの透明性等と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、P2O5/ZnOの重量比率を2.5〜7の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)SO3
また、SO3は、低温成形用ガラスのガラス原料として、必須構成成分であって、それぞれガラス化するとともに、粘度を低下するために添加される。
ここで、SO3の添加量を、全体量に対して、0.1〜20重量%の範囲内の値とする。
この理由は、かかるSO3の添加量が0.1重量%未満の値になると、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの粘度が高くなるためである。一方、かかるSO3の添加量が20重量%を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの粘度と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、SO3の添加量を、全体量に対して、0.5〜15重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、SO3は、低温成形用ガラスのガラス原料として、必須構成成分であって、それぞれガラス化するとともに、粘度を低下するために添加される。
ここで、SO3の添加量を、全体量に対して、0.1〜20重量%の範囲内の値とする。
この理由は、かかるSO3の添加量が0.1重量%未満の値になると、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの粘度が高くなるためである。一方、かかるSO3の添加量が20重量%を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの粘度と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、SO3の添加量を、全体量に対して、0.5〜15重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、P2O5/SO3の重量比率を5〜20の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるP2O5/SO3の重量比率が5未満の値になると、成形条件によっては、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下する場合があるためである。一方、かかるP2O5/SO3の重量比率が20を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの透明性等と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、P2O5/SO3の重量比率を8〜18の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜15の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかるP2O5/SO3の重量比率が5未満の値になると、成形条件によっては、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下する場合があるためである。一方、かかるP2O5/SO3の重量比率が20を超えると、低温成形用ガラスが着色したり、低温成形性に乏しくなったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの透明性等と、低温成形性等とのバランスがより良好となるため、P2O5/SO3の重量比率を8〜18の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜15の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(5)Al2O3
また、ガラス原料として、Al2O3をさらに含むとともに、当該Al2O3の添加量を、全体量に対して、0.1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、屈折率や流動性の調整が容易になるばかりか、低融点ガラスの耐水性等を容易に調整することができるためである。
また、ガラス原料として、Al2O3をさらに含むとともに、当該Al2O3の添加量を、全体量に対して、0.1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、屈折率や流動性の調整が容易になるばかりか、低融点ガラスの耐水性等を容易に調整することができるためである。
(6)Li2O、Na2O、K2O
また、ガラス原料として、Li2O、Na2O、K2Oの少なくとも一つをさらに含むとともに、当該Li2O、Na2O、K2Oの合計添加量を、全体量に対して、1〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、屈折率や流動性の調整が容易になるばかりか、転移温度等のガラス特性を容易に調整することができるためである。
また、ガラス原料として、Li2O、Na2O、K2Oの少なくとも一つをさらに含むとともに、当該Li2O、Na2O、K2Oの合計添加量を、全体量に対して、1〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、屈折率や流動性の調整が容易になるばかりか、転移温度等のガラス特性を容易に調整することができるためである。
(7)着色剤
また、ガラス原料として、積極的に着色剤を添加することにより、着色低温成形用ガラスとすることができる。
そして、このような着色剤としては、CoO、CrO、Fe、Ti、EuO、NbO等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、このような着色剤の添加量は、低温成形用ガラスの用途において要求される物性等を考慮して定めることが好ましいが、具体的に、全体量に対して、0.01〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、ガラス原料として、積極的に着色剤を添加することにより、着色低温成形用ガラスとすることができる。
そして、このような着色剤としては、CoO、CrO、Fe、Ti、EuO、NbO等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、このような着色剤の添加量は、低温成形用ガラスの用途において要求される物性等を考慮して定めることが好ましいが、具体的に、全体量に対して、0.01〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
2.低温成形用ガラス
(1)転移温度
また、低温成形用ガラスの転移温度を250〜450℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる転移温度が250℃未満の値になると、使用可能なガラス原料の範囲が過度に狭くなったり、成形条件によっては、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下したりする場合があるためである。一方、かかる転移温度が450℃を超えると、プレス装置等を用いて、安定的に低温成形用ガラスを製造することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの転移温度を280〜420℃の範囲内の値とすることがより好ましく、300〜400℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)転移温度
また、低温成形用ガラスの転移温度を250〜450℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる転移温度が250℃未満の値になると、使用可能なガラス原料の範囲が過度に狭くなったり、成形条件によっては、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下したりする場合があるためである。一方、かかる転移温度が450℃を超えると、プレス装置等を用いて、安定的に低温成形用ガラスを製造することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの転移温度を280〜420℃の範囲内の値とすることがより好ましく、300〜400℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)屈伏点温度
また、低温成形用ガラスの屈伏点温度を250〜500℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈伏点温度が250℃未満の値になると、使用可能なガラス原料の範囲が過度に狭くなったり、成形条件によっては、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下したりする場合があるためである。一方、かかる屈伏点温度が500℃を超えると、プレス装置等を用いて、安定的に低温成形用ガラスを製造することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの屈伏点温度を300〜450℃の範囲内の値とすることがより好ましく、300〜420℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、低温成形用ガラスの屈伏点温度を250〜500℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈伏点温度が250℃未満の値になると、使用可能なガラス原料の範囲が過度に狭くなったり、成形条件によっては、ガラス化できなくなって、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下したりする場合があるためである。一方、かかる屈伏点温度が500℃を超えると、プレス装置等を用いて、安定的に低温成形用ガラスを製造することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの屈伏点温度を300〜450℃の範囲内の値とすることがより好ましく、300〜420℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)失透開始温度
また、低温成形用ガラスの失透開始温度を500〜650℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる失透開始温度が500℃未満の値になると、失透しやすくなって、プレス装置等を用いて、安定的に低温成形用ガラスを製造することが困難になったりする場合があるためである。一方、かかる失透開始温度が650℃を超えると、使用可能なガラス原料の範囲が過度に狭くなったり、成形条件によっては、ガラス化できなくなったり、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下したりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの屈伏点温度を300〜450℃の範囲内の値とすることがより好ましく、300〜420℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、低温成形用ガラスの失透開始温度を調整するにあたり、低温成形用ガラスの転移温度を考慮することが好ましい。すなわち、プレス装置等を用いて、安定的に低温成形用ガラスを製造するためには、かかる失透開始温度と、転移温度との差が200℃以上の値となるように、両者を調整することが好ましく、250℃以上の値となるように、両者を調整することがさらに好ましい。
また、低温成形用ガラスの失透開始温度を500〜650℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる失透開始温度が500℃未満の値になると、失透しやすくなって、プレス装置等を用いて、安定的に低温成形用ガラスを製造することが困難になったりする場合があるためである。一方、かかる失透開始温度が650℃を超えると、使用可能なガラス原料の範囲が過度に狭くなったり、成形条件によっては、ガラス化できなくなったり、低温成形用ガラスの透明性や機械的強度が低下したりする場合があるためである。
したがって、低温成形用ガラスの屈伏点温度を300〜450℃の範囲内の値とすることがより好ましく、300〜420℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、低温成形用ガラスの失透開始温度を調整するにあたり、低温成形用ガラスの転移温度を考慮することが好ましい。すなわち、プレス装置等を用いて、安定的に低温成形用ガラスを製造するためには、かかる失透開始温度と、転移温度との差が200℃以上の値となるように、両者を調整することが好ましく、250℃以上の値となるように、両者を調整することがさらに好ましい。
3.用途
また、低温成形用ガラスの用途は特に制限されるものでなく、各種ガラス成形品やガラス工芸品、あるいは各種ガラス材料、さらには、ガラス被覆材やガラス装飾材の用途に用いることができる。より具体的には、光学レンズ、光学記録媒体、ガラスプレート、窓ガラス、ガラス容器、ガラス繊維、ガラス粒子、ガラス封止材、ガラス系接着剤、ガラス系装飾材等が挙げられる。
また、低温成形用ガラスと、各種異種材料との組み合わせ用途も挙げられる。例えば、低温成形用ガラスと、各種ポリマー、各種繊維、各種フィルム、各種金属、各種セラミック、各種樹脂成形品、各種セラミック成形品、各種木製成形品との組み合わせ用途も挙げられる。特に、従来の成形用ガラス、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラス、リン酸塩ガラス、アルミノ珪酸塩ガラス等と組み合わせることにより、新規な特性を備えたガラス組成物あるいはそれからなる複合ガラス成形品とすることができる。
また、用途として、無色透明を要求されるガラス組成物に用いることも好ましいが、着色透明ガラスや着色半透明ガラスの用途に用いることも好ましい。例えば、着色透明ガラスや着色半透明ガラスを用いた場合には、光の内部反射を利用して、内容物の色を加味して、装飾性により優れたガラス容器を得ることができる。
また、低温成形用ガラスの用途は特に制限されるものでなく、各種ガラス成形品やガラス工芸品、あるいは各種ガラス材料、さらには、ガラス被覆材やガラス装飾材の用途に用いることができる。より具体的には、光学レンズ、光学記録媒体、ガラスプレート、窓ガラス、ガラス容器、ガラス繊維、ガラス粒子、ガラス封止材、ガラス系接着剤、ガラス系装飾材等が挙げられる。
また、低温成形用ガラスと、各種異種材料との組み合わせ用途も挙げられる。例えば、低温成形用ガラスと、各種ポリマー、各種繊維、各種フィルム、各種金属、各種セラミック、各種樹脂成形品、各種セラミック成形品、各種木製成形品との組み合わせ用途も挙げられる。特に、従来の成形用ガラス、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラス、リン酸塩ガラス、アルミノ珪酸塩ガラス等と組み合わせることにより、新規な特性を備えたガラス組成物あるいはそれからなる複合ガラス成形品とすることができる。
また、用途として、無色透明を要求されるガラス組成物に用いることも好ましいが、着色透明ガラスや着色半透明ガラスの用途に用いることも好ましい。例えば、着色透明ガラスや着色半透明ガラスを用いた場合には、光の内部反射を利用して、内容物の色を加味して、装飾性により優れたガラス容器を得ることができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、低温成形用ガラスを用いた、成形装置によるガラス成形方法であって、低温成形用ガラスとして、ガラス原料として、P2O5と、BaOと、ZnOと、SO3と、を含む低温成形用ガラスであって、全体量に対して、P2O5の添加量を40〜60重量%の範囲内の値とし、BaOの添加量を10〜40重量%の範囲内の値とし、ZnOの添加量を1〜40重量%の範囲内の値とし、かつ、SO3の添加量を0.1〜20重量%の範囲内の値としたガラス組成物を使用するともに、成形装置として、プレス装置を用いることを特徴とするガラス成形方法である。
第2の実施形態は、低温成形用ガラスを用いた、成形装置によるガラス成形方法であって、低温成形用ガラスとして、ガラス原料として、P2O5と、BaOと、ZnOと、SO3と、を含む低温成形用ガラスであって、全体量に対して、P2O5の添加量を40〜60重量%の範囲内の値とし、BaOの添加量を10〜40重量%の範囲内の値とし、ZnOの添加量を1〜40重量%の範囲内の値とし、かつ、SO3の添加量を0.1〜20重量%の範囲内の値としたガラス組成物を使用するともに、成形装置として、プレス装置を用いることを特徴とするガラス成形方法である。
1.低温成形用ガラス
第1の実施形態と同様の内容とすることができるため、ここでの説明を省略する。
第1の実施形態と同様の内容とすることができるため、ここでの説明を省略する。
2.成形装置
本発明に用いる成形装置の一例として、図1に示す構成のプレス装置20とすることができる。
このプレス成形装置20は、主に、上型21a及び下型21bからなる金型21と、この下型21bを上下移動させるための下軸部22と、この下軸部22と対向する位置に載置され、その端部に上型21aを備えた上軸部23と、から構成される。
また、これらの部材は、加熱装置24によりそれぞれ加熱することができ、この加熱装置24と、下軸部22の上下動作を制御している駆動部25と、下型21bの下部に取り付けられた温度センサ26と、はそれぞれ制御部27により、連動制御することができる。
また、上型21aと下型21bとは、それぞれ対向する内面に、所望の形状を型取ったキャビティ28を備えているとともに、そのキャビティ28近傍にガラス原料1を載置できる構成となっている。
すなわち、下軸部22に取り付けられた下型21a内部に、成形材料であるガラス原料を載置した後、加熱装置204によりガラス材料を溶融して、低粘度の溶融ガラスとする。次いで、下型21bを制御部25により制御しながら上方に移動させることにより、ガラス原料1が、下型21aと、上型21bとの間でプレスされる。よって、上型と、下型との内面に設けられたプレス成形用のキャビティ28に対応した所望形状のガラス成形品を精度良くかつ効率的に製造することができる。そして、成形温度を250〜400℃とすることが好ましい。
本発明に用いる成形装置の一例として、図1に示す構成のプレス装置20とすることができる。
このプレス成形装置20は、主に、上型21a及び下型21bからなる金型21と、この下型21bを上下移動させるための下軸部22と、この下軸部22と対向する位置に載置され、その端部に上型21aを備えた上軸部23と、から構成される。
また、これらの部材は、加熱装置24によりそれぞれ加熱することができ、この加熱装置24と、下軸部22の上下動作を制御している駆動部25と、下型21bの下部に取り付けられた温度センサ26と、はそれぞれ制御部27により、連動制御することができる。
また、上型21aと下型21bとは、それぞれ対向する内面に、所望の形状を型取ったキャビティ28を備えているとともに、そのキャビティ28近傍にガラス原料1を載置できる構成となっている。
すなわち、下軸部22に取り付けられた下型21a内部に、成形材料であるガラス原料を載置した後、加熱装置204によりガラス材料を溶融して、低粘度の溶融ガラスとする。次いで、下型21bを制御部25により制御しながら上方に移動させることにより、ガラス原料1が、下型21aと、上型21bとの間でプレスされる。よって、上型と、下型との内面に設けられたプレス成形用のキャビティ28に対応した所望形状のガラス成形品を精度良くかつ効率的に製造することができる。そして、成形温度を250〜400℃とすることが好ましい。
以下に実施例を掲げて、本発明の内容を更に詳しく説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、これら実施例のみの記載に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において適宜変更することができる。
[実施例1]
1.ガラス成形品の作成
表1に示すガラス成分となるように、各種ガラス原料(85%リン酸、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸バリウム、炭酸リチウム、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸バリウム)を300℃に保持されたガラス溶融炉に収容し、3時間加熱して、ガラス融液を作成した。
次いで、得られたガラス融液を一旦冷却した後、粉砕機を用いて、直径約1mmのガラス粒子を作成した。
次いで、得られたガラス粒子を、図1に示すプレス装置に投入し、プレス圧力110MPaの条件で成形し、厚さ20mm、長さ50mm、幅50mmのガラス成形品(ガラスプレ−ト)を作成した。
1.ガラス成形品の作成
表1に示すガラス成分となるように、各種ガラス原料(85%リン酸、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸バリウム、炭酸リチウム、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸バリウム)を300℃に保持されたガラス溶融炉に収容し、3時間加熱して、ガラス融液を作成した。
次いで、得られたガラス融液を一旦冷却した後、粉砕機を用いて、直径約1mmのガラス粒子を作成した。
次いで、得られたガラス粒子を、図1に示すプレス装置に投入し、プレス圧力110MPaの条件で成形し、厚さ20mm、長さ50mm、幅50mmのガラス成形品(ガラスプレ−ト)を作成した。
2.ガラス成形品の評価
(1)透明性
得られたガラス成形品を、光透過率測定装置を用いて、波長415nmにおける光透過率を測定し、以下の基準に沿って透明性を評価した。得られた結果を表2に示す。なお、ガラス成形品の用途にもよるが、通常、光透過率が80%以上であれば、透明性に関して実用上問題が無いと言える。
◎:光透過率が99%以上である。
○:光透過率が90%以上である。
△:光透過率が80%以上である。
×:光透過率が80%未満である。
(1)透明性
得られたガラス成形品を、光透過率測定装置を用いて、波長415nmにおける光透過率を測定し、以下の基準に沿って透明性を評価した。得られた結果を表2に示す。なお、ガラス成形品の用途にもよるが、通常、光透過率が80%以上であれば、透明性に関して実用上問題が無いと言える。
◎:光透過率が99%以上である。
○:光透過率が90%以上である。
△:光透過率が80%以上である。
×:光透過率が80%未満である。
(2)転移温度
得られたガラス成形品における転移温度を、示差膨張計を用いて、10℃/minの昇温条件で測定した。得られた結果を表2に示す。なお、ガラス成形品の用途にもよるが、通常、転移温度が250〜450℃の範囲であれば、プレス装置等に使用した場合において、実用上の問題が無いと言える。
得られたガラス成形品における転移温度を、示差膨張計を用いて、10℃/minの昇温条件で測定した。得られた結果を表2に示す。なお、ガラス成形品の用途にもよるが、通常、転移温度が250〜450℃の範囲であれば、プレス装置等に使用した場合において、実用上の問題が無いと言える。
(3)屈伏温度
得られたガラス成形品における屈伏温度を、転移温度と同様の条件で測定した。得られた結果を表2に示す。なお、ガラス成形品の用途にもよるが、通常、屈伏温度が250〜500℃の範囲であれば、プレス装置等に使用した場合において、実用上の問題が無いと言える。
得られたガラス成形品における屈伏温度を、転移温度と同様の条件で測定した。得られた結果を表2に示す。なお、ガラス成形品の用途にもよるが、通常、屈伏温度が250〜500℃の範囲であれば、プレス装置等に使用した場合において、実用上の問題が無いと言える。
(4)白化度
得られたガラス成形品における白化度を評価した。すなわち、得られたガラス成形品を、98℃、1時間の沸騰水に浸漬し、以下の基準に沿って評価した。得られた結果を表2に示す。
◎:全く変化無し。
○:ほとんど変化無し。
△:少々の白化が観察される。
×:顕著な白化が観察される。
得られたガラス成形品における白化度を評価した。すなわち、得られたガラス成形品を、98℃、1時間の沸騰水に浸漬し、以下の基準に沿って評価した。得られた結果を表2に示す。
◎:全く変化無し。
○:ほとんど変化無し。
△:少々の白化が観察される。
×:顕著な白化が観察される。
[実施例2〜6]
実施例2〜6では、表1に示すようにガラス組成を変更した以外は、実施例1と同様にガラス成形品をプレス成形し、評価した。
実施例2〜6では、表1に示すようにガラス組成を変更した以外は、実施例1と同様にガラス成形品をプレス成形し、評価した。
[比較例1〜4]
比較例1〜3では、表1に示すようにガラス組成を変更した以外は、実施例1と同様にガラス成形品をプレス成形し、評価した。
比較例1〜3では、表1に示すようにガラス組成を変更した以外は、実施例1と同様にガラス成形品をプレス成形し、評価した。
本発明によれば、ガラス原料として、所定量のP2O5と、BaOと、ZnOと、SO3と、をそれぞれ含むことにより、プレス成形等に適した低温成形用ガラス及びそのような低温成形用ガラスを用いたガラス成形品の製造方法を提供することができるようになった。
すなわち、安価でかつ安全性が高いガラス原料を用いるとともに、それらの配合割合を特定範囲に制御することによって、失透することなく、透明性や機械的特性に優れ、かつ、プレス成形の際の成形温度を著しく低下させられるようになった。
よって、本発明によれば、各種ガラス成形品やガラス工芸品、あるいは各種ガラス材料、さらには、ガラス被覆材やガラス装飾材の用途に適した低温成形用ガラスを経済的かつ安定的に製造できるようになった。
すなわち、安価でかつ安全性が高いガラス原料を用いるとともに、それらの配合割合を特定範囲に制御することによって、失透することなく、透明性や機械的特性に優れ、かつ、プレス成形の際の成形温度を著しく低下させられるようになった。
よって、本発明によれば、各種ガラス成形品やガラス工芸品、あるいは各種ガラス材料、さらには、ガラス被覆材やガラス装飾材の用途に適した低温成形用ガラスを経済的かつ安定的に製造できるようになった。
20:プレス成形装置、21:金型、22:下軸部、23:上軸部、24:加熱装置、25:駆動部、26:温度センサ、27:制御部、28:プレス成形用のキャビティ
Claims (8)
- ガラス原料として、P2O5と、BaOと、ZnOと、SO3と、を含む低温成形用ガラスであって、
全体量に対して、前記P2O5の添加量を40〜60重量%の範囲内の値とし、前記BaOの添加量を10〜40重量%の範囲内の値とし、前記ZnOの添加量を1〜40重量%の範囲内の値とし、かつ、前記SO3の添加量を0.1〜20重量%の範囲内の値とすることを特徴とする低温成形用ガラス。 - 前記ガラス原料として、Al2O3をさらに含むとともに、当該Al2O3の添加量を、全体量に対して、0.1〜20重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の低温成形用ガラス。
- 前記ガラス原料として、Li2O、Na2O、K2Oの少なくとも一つをさらに含むとともに、当該Li2O、Na2O、K2Oの合計添加量を、全体量に対して、1〜30重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の低温成形用ガラス。
- 転移温度を250〜450℃の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の低温成形用ガラス。
- 屈伏温度を250〜500℃の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の低温成形用ガラス。
- 失透開始温度を500〜650℃の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の低温成形用ガラス。
- 低温成形用ガラスを用いた、成形装置によるガラス成形方法であって、
前記低温成形用ガラスとして、ガラス原料として、P2O5と、BaOと、ZnOと、SO3と、を含む低温成形用ガラスであって、全体量に対して、前記P2O5の添加量を40〜60重量%の範囲内の値とし、BaOの添加量を10〜40重量%の範囲内の値とし、ZnOの添加量を1〜40重量%の範囲内の値とし、かつ、SO3の添加量を0.1〜20重量%の範囲内の値としたガラス組成物を使用するともに、
前記成形装置として、プレス装置を用いることを特徴とするガラス成形方法。 - 前記成形装置の成形温度を250〜500℃の範囲内の値とすることを特徴とする請求項7に記載のガラス成形方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006277136A JP2008094651A (ja) | 2006-10-11 | 2006-10-11 | 低温成形用ガラス及びガラス成形方法 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2008094651A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2013168579A1 (ja) * | 2012-05-07 | 2016-01-07 | 日本電気硝子株式会社 | 光学ガラス及び光学素子 |
-
2006
- 2006-10-11 JP JP2006277136A patent/JP2008094651A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPWO2013168579A1 (ja) * | 2012-05-07 | 2016-01-07 | 日本電気硝子株式会社 | 光学ガラス及び光学素子 |
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