JP2008221484A - 電気鋳造金型の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より容易に電気鋳造金型を製造する方法を得る。
【解決手段】電気鋳造金型を製造する方法は、マスター型の素材の表面を加工することにより微細な表面凹凸形状を有するマスター型を得る工程(ステップS11)と、マスター型の表面上に電着層を形成し、当該電着層をマスター型から剥離してネガティブ型としての電気鋳造金型を得る工程(ステップS12)と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気鋳造金型の製造方法に関する。
従来、樹脂成形品を製造するにあたり、電気鋳造金型を用いる場合がある。電気鋳造金型とは、電気めっきを応用して得られる金型であって、金属溶液の電気分解を利用してマスター型(マンドレル)の表面上に所定の厚さで金属を析出させ電着させた後、この電着層をマスター型から剥離することで得られるもの(ネガティブ型)で、マスター型とは全く逆の表面形状を有するものである。このネガティブ型すなわち電気鋳造金型を用いて成形することで、樹脂成形品にマスター型の表面形状を転写することが可能となる。かかる電気鋳造金型は、マスター型の表面上に金属を析出させることで、微細な表面形状を精度良く形成(転写)できるという利点がある。
このため、電気鋳造金型は、車両のインストルメントパネルなど、皮しぼ(皺)等の微細な表面形状を有する樹脂成形品を製造する際にしばしば用いられるのであるが(例えば、特許文献1)、この皮しぼを複製するのに、従来は皮革(本革)を用いる場合があった。
具体的には、図6に示すように、まず基礎となる外形状を有するモデル1を作成し(図6(a))、当該モデル1の表面に皮革2を張ったものをベースとしてシリコン型(凹型)3を作成し(図6(b),(c))、この凹型3を用いてマスター型としてのマンドレル4を成形し(図6(d))、このマンドレル4を用いて電気鋳造金型5を得ていた(図6(e),(f))。
特開2002−172625号公報
しかしながら、上記従来の手法では、マスター型を得るまでに、上述したように、モデルを作成し、その表面に皮革を張り、皮革が張られたモデルからシリコン型を作成し、このシリコン型からマスター型を得るという多くの工程を経るため、手間がかかる上に、マスター型を得るまでにモデルや、皮革、シリコン型等、部品を多く使用することもあって、製造コストが嵩むという問題があった。また、モデルの表面に皮革を張る際には、皮革同士の継ぎ目となる部分の処理が難しく、手間がかかる上、美観を損ねやすくなるという問題もあった。
そこで、本発明は、より容易に電気鋳造金型を製造する方法を得ることを目的とする。
請求項1の発明にあっては、マスター型の素材(4M)の表面(4a)を加工することにより微細な表面凹凸形状を有するマスター型(4)を得る工程(S11)と、前記マスター型(4)の表面上に電着層を形成し、当該電着層をマスター型(4)から剥離してネガティブ型としての電気鋳造金型(5)を得る工程(S12)と、を有することを特徴とする。
請求項2の発明にあっては、前記マスター型(4)を得る工程(S11)において、前記電気鋳造金型(5)の型抜き方向(P)に対応したアンダーカット処理がなされた前記微細な凹凸形状を得ることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、従来のようにモデルの表面に皮革を張って当該皮革の凹凸形状を転写する方式に比べて、電気鋳造金型の製造工程を簡略化でき、製造コストを低減することが可能となる。
請求項2の発明によれば、素材の表面を加工(例えば切削加工等)してマスター型を得る際にアンダーカット処理を施すことができるので、電気鋳造金型の型抜きをより確実に行うことを可能とするマスター型を、より容易に得ることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態にかかる電気鋳造金型の製造方法で用いるマスター型製造システムの概略構成図、図2は、電気鋳造金型の製造方法を示すフローチャート、図3は、電気鋳造金型の製造方法の各工程を(a)〜(c)の順に示す模式図、図4は、アンダーカット処理の説明図、図5は、表面形状データの作成方法を示すフローチャートである。
本実施形態にかかるマスター型製造システムは、図1に示すように、マスター型の表面形状データを作成する表面形状データ作成装置20と、作成された表面形状データに基づいてマスター型の素材4Mを加工してマスター型4を得るマスター型製造装置10と、を備えている。
表面形状データ作成装置20は、例えば、演算部、記憶部、入出力部等を備えたコンピュータとして構成される。この場合、表面形状データ作成装置20は、インストールされた所定のプログラムにしたがって演算処理を行い、マスター型製造装置10に入力される表面形状データを得る。
マスター型製造装置10は、例えば、入力されたデータにしたがって3次元的に素材の加工を行う数値制御装置(NC,マシニングセンタ等)として構成される。この場合、マスター型製造装置10は、入力された表面形状データ(3次元データ)に基づいて、工具(例えばエンドミル、バイト、ドリル等)11を3次元的に移動させつつ駆動させて切削、研削、研磨等の加工を行い、表面形状データにしたがった凹凸を有するマスター型4を得る。
なお、マスター型製造装置10において、加工に使用される工具11は、一つあるいは一種類には限定されず、複数の工具11を同時に使用してもよいし、自動交換装置(ATC:Automatic Tool Changer)等によって自動的に交換するようにしてもよい。さらに、工具11を用いることなく、レーザ光線(CO2,YAG,エキシマレーザ等)、電子線ビーム、電子線描画などによって加工が行われるようにしてもよいし、工具11が用いられる加工と用いられない加工など、複数の加工工程が組み合わせられてもよい。
ここで、電気鋳造金型5を得るまでの工程の詳細について、図2および図3を参照して説明する。
まずは、マスター型の素材4Mが製作される(ステップS10)。このステップS10では、マスター型製造装置10で加工することが可能な形態の素材4Mが準備される。なお、この素材4Mは、マスター型4よりもある程度大きく、大雑把な凹凸形状を備えたものとして構成してもよい。この場合、素材4M(マスター型4)の材質は、例えば、合成樹脂、金属部材等とすることができ、特に、エポキシ樹脂、ロストワックス、真鍮、りん青銅等とすれば、切削加工に要する時間が短くなって、工期短縮に寄与する。
次に、マスター型製造装置10を用いて、マスター型の素材4Mに対して所定の加工を施すことで、マスター型4が製作される(ステップS11、図3の(a))。このステップS11では、マスター型製造装置10において、可動する工具11を用いて、素材4Mに対して切削、研削、研磨等の加工が行われ、特に、素材4Mの表面4aに対しては微細な凹凸が形成される。具体的には、例えば、皮革(本革)を模擬するため、皮絞(皺)を再現する際には、50〜数百[μm]程度の凹凸形状が形成されるとともに、さらに、毛穴の再現あるいは艶消し(光沢低減)の目的で、250[nm]〜200[μm]程度の多数のディンプルが形成される。
次に、ステップS11で形成されたマスター型4を用いて、電気鋳造金型(ネガティブ型)5が製作される(ステップS12)。具体的には、図3の(b)に示すように、まずは、通電処理(例えば、無電解銀鏡処理、スパッタリング、静電蒸着等)を行い、電気メッキ処理(例えば、ニッケル厚付けメッキ、ニッケル+リン、銅+リン、銅等)によって、金属溶液の電気分解を利用してマスター型4の表面4a上に所定の厚さで金属(例えばニッケル(厚付け)、ニッケル+リン、銅+リン、銅等)が析出され電着された後、図3の(c)に示すように、この電着層がマスター型4から剥離されることで電気鋳造金型5が得られる。なお、電気鋳造金型5の厚みは、例えば2.5〜6[mm]程度に設定される。
ところで、マスター型4の表面4a上には、微細な絞、模様、文字等の凹凸が形成されているわけであるが、ステップS12におけるマスター型4と電気鋳造金型5との剥離に際して、当該微細な凹凸による型抜き時の抵抗が減るように、マスター型4にはアンダーカット処理が施されている。なお、アンダーカット処理を施しても電気鋳造金型5をマスター型4から剥離するのが困難となる場合や、アンダーカット処理を施すのが適当でない場合等には、マスター型4を溶解する材質(例えば、ロストワックス、低融点合金等)としたり、破壊したり、予め分割しておいたりすればよい。
具体的には、上記ステップS10において、マスター型の素材4Mの表面4aには、工具11によって微細な凹凸(凸部6、凹部7)が形成されるが、このとき、図4に示すように、型抜き方向(P方向)に相対的に引き抜かれる電気鋳造金型5(図4では図示せず)にマスター型4の凸部6が引っ掛からないように、P方向の先方側からP方向の逆方向に光を当てたときに影を生じさせる部分Uが除去される(アンダーカット処理)。
このアンダーカット処理において除去される部分Uは、表面形状データ作成装置20で予め演算されており、マスター型製造装置10に入力される表面形状データに反映させておくのが好適である。
すなわち、図5に示すように、表面形状データ作成装置20では、まず、所期の外形状および表面の微細な凹凸形状を比較的忠実に反映させた基礎表面形状データが作成される(ステップS20)。次いで、上記型抜き方向Pの逆方向に光を当てたときに影を生じさせる部分(図4のUに相当する部分)が幾何学的な演算処理によって算出され、上記基礎表面形状データから削除されて、表面形状データが作成される(ステップS21)。
以上の本実施形態によれば、従来のようにモデルの表面に皮革を張って当該皮革の凹凸形状を転写する方式に比べて、電気鋳造金型5の製造工程を簡略化でき、製造コストを大幅に低減することが可能となる。
また、従来の方法で、マスター型を得るためだけに用いていた部品は、廃棄処分することになるが、本実施形態にかかる製造方法によれば、廃棄処分する部品数が減る分、環境に対する影響を低減することができる。
また本実施形態によれば、素材4Mの表面4aを加工(例えば切削加工等)してマスター型4を得る際にアンダーカット処理を施すことができるので、電気鋳造金型5の型抜きをより確実に行うことを可能とするマスター型4を、より容易に得ることができる。
従来、射出成形用金型、ブロー成形用の合成樹脂の成形加工用金型の絞加工は、主としてエッチングによって行われており、有機溶剤や薬品を使用するため、耐環境に優れない。また、このエッチング方式の場合、荒堀加工からカッター目の加工までを略一定にマシニングセンタで加工し、約100μm以下の凹凸にしてマシニングセンタより金型を取り外した後、別工程でエッチング方式による絞加工を行っているが、このときアンダーカットになる部分では、エッチング工程の時間によって絞深さを浅くしているので、型抜き勾配を気にしない面、すなわちアンダーカットを施さない面と比べて、見栄えが劣る。また、エッチング方式の加工では、3工程前後の加工が必要で、各工程毎に、エッチング液の温度やエッチング時間の管理が必要であり、職人の感覚に依存する部分も大きく、絞深さにバラツキが生じるばかりか時間と手間が掛かり、また、左右の部品との合わせ、組付けで絞深さが異なり、合わせる部品のいずれか一方の金型の絞を掛け直す等の無駄が発生するおそれがあって、いずれにせよ日程とコストが嵩むことになる。
これに対し、本発明は、機械加工によって絞深さを一定にできるので、増し型を作成したり、部品を左右で合わせるような場合でも、特段の困難が生じない。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、射出成形、射出圧縮、射出プレス、ブロー成形金型、真空成形金型、等の各種成形型の意匠面、絞加工、艶消し微細形状(マイクロマット)の同時加工に応用することができる。
また、マシニングセンタで、荒切削から微細絞、凹凸形状までの加工が可能となるため、本革縫製の地縫い合わせ溝、ステッチ縫製の糸形状、マーク、エンブレム、文字形状の彫刻形状、艶消し微細ディンプル(マイクロマット)形状を含め、金型表面に直接的に加工が可能となる。いずれの場合も、金型製作の期間短縮、コスト削減に資する。
本発明の実施形態にかかる電気鋳造金型の製造方法で用いるマスター型製造システムの概略構成図である。 本発明の実施形態にかかる電気鋳造金型の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施形態にかかる電気鋳造金型の製造方法の各工程を(a)〜(c)の順に示す模式図である。 本発明の実施形態にかかる電気鋳造金型の製造方法におけるアンダーカット処理の説明図である。 本発明の実施形態にかかる電気鋳造金型の製造方法における表面形状データの作成方法を示すフローチャートである。 従来の電気鋳造金型の製造方法の各工程を(a)〜(f)の順に示す模式図である。
符号の説明
4 マスター型
4M (マスター型の)素材
4a 表面
5 電気鋳造金型
6 (微細な表面凹凸形状の)凸部
7 (微細な表面凹凸形状の)凹部
U アンダーカット処理によって取り除かれた部分
P 型抜き方向

Claims (2)

  1. マスター型の素材(4M)の表面(4a)を加工することにより微細な表面凹凸形状を有するマスター型(4)を得る工程(S11)と、
    前記マスター型(4)の表面上に電着層を形成し、当該電着層をマスター型(4)から剥離してネガティブ型としての電気鋳造金型(5)を得る工程(S12)と、
    を有することを特徴とする電気鋳造金型の製造方法。
  2. 前記マスター型(4)を得る工程(S11)において、前記電気鋳造金型(5)の型抜き方向(P)に対応したアンダーカット処理がなされた前記微細な凹凸形状を得ることを特徴とする請求項1に記載の電気鋳造金型の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015098141A (ja) * 2013-11-20 2015-05-28 南条装備工業株式会社 樹脂製表皮材の製造方法

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