JP3638538B2 - 蝋原型の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、成形用の型を形成するために使用する蝋原型の形成方法、およびその関連技術に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、合成樹脂によって人形や他の玩具等を形成する方法として、同一形状の複数の蝋原型を作成して、その蝋原型を用いて所定の量産用型を形成する方法が知られている。そして、その蝋原型を形成する方法として、図8および図9の概略図に示すような2つの方法が知られている。以下、各方法について説明する。
図8は、第1の従来技術を示している。
同図において、501は原型を表している。当該原型501は、いわゆる原型士と称される職人が、製品となる合成樹脂による成形物(人形単体若しくはその部品、その他の玩具)と同一の形状を有した成形物の基となるモチーフを、蝋や石膏等を用いて手作業で作り上げたものである。したがって、原型501は一般的に制作に多くの時間を必要とし高価なものとなっている。
次に、前記原型501を用いて、当該原型501と同一形状の内面(成形面)を有する雌型503(以下「一次型」という)を形成する。当該一次型503は、所定容積の容器の中に原型501を入れた状態で液状のシリコンを流し込み、当該シリコンを固化させたものである。このようにして固化したシリコンの塊を、カッターナイフ等で二つ割りにし(505、507)、原型501を取り出す。この後、分割された各分割型505、507の雌型となっている部位に、外部から連通する通路509、511をそれぞれの形成し、原型501を基とした一次型503が形成される。
次に、一次型503に対して溶融した蝋を流し込み、真空状態の中で気泡を除去する脱泡機等によって型内の気泡を除去し、流し込んだ蝋を固化させることで、原型501と同一形状の蝋原型513が形成される。そして、同様の手順を繰り返し、複数の蝋原型513a、513b、513c・・を得るようになっている。
このようにして形成された前記複数の蝋原型513は、量産用の型515を形成するための原型として使用される。それ以降の行程については、一般的な技術であるので、記載を省略する。
【0003】
次に、図9を用いて、第2の従来技術を説明する。
図9に示す第2の従来技術は、原型士の制作による原型601を光学的な手段によってその立体的形状を3次元データとしてコンピュータに読み込み、当該3次元データに基づいて、専用造型装置によって蝋原型を形成するというものである。
以下、順を追って説明する。603は立体物の形状を光学的手段により読みとるための形状検出装置である。当該装置としては、例えばミノルタ社のVIVD700が用いられる。当該VIVD700は、レーザー光を物体に向けて照射し、物体から反射したレーザー光を認識することで物体の形状(3次元の座標データ)が検出することができるものである。
このようにして検出された情報はコンピュータ605によって3次元データとして認識される。そして、この3次元データは、米国のSensAble Technologies社の開発した「FreeForm」のようなCRT画面上で立体物を彫る、削る、加えるといったことが可能な加工、編集ソフトによって適時修正される。なお、当該「FreeForm」は、必ずしも検出したデータの加工に用いられるのみならず、基なるデータが無い状態でも実際に彫刻等を行うイメージで立体物の3次元データを得ることもできる。
次に、前記のように取得された3次元データは、コンピュータ605によって造型装置607に送られ、蝋原型609が形成される。当該造型装置607として、3DSystems社の製造による「3次元オブジェクトオフィスプリンタThermoJet−printer」が知られている。当該造型機607は、インクジェットプリンタ方式で、インクの変わりに樹脂や蝋を吹き付けて積層させることにより、3Dオブジェクト(立体造形物)を作成(造形)する装置である。当該造型装置607を使用して、前記形状検出装置603から取得した形状に基づいて、蝋原型609を形成することができる。
このようにして形成された蝋原型609は、同一のものを複数形成することにより、量産用の型611を形成するための原型として使用される。以降の行程については、一般的な技術であるので、前記と同様にその記載を省略する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術は現在一般的に使用されている技術であるが、以下の欠点を有している。
すなわち、第1の従来例は原型501を中に入れた状態で固化したシリコンの塊(503)を二つ割りに切り分ける際、塊の中のどの位置に原型501が存在しているのかが見えないので、カッターナイフを入れる際に原型501まで切ってしまう恐れがあった。また、原型501まで切ってしまうということは、型の内面まで刃が入り込むことになるので、このような部位は成形時にきれいな仕上がりとならず、一次型503が不良型となる場合があった。
また、シリコンの塊503を二つ割りに切り分けた際、その切断面が分かれた型の接合面となる。そして、この接合面には、分かれた型が精度良く再び接合するために、互いに嵌合しあうような凹凸等を設けるようなことが行われるが、この凹凸は分割時にカッターナイフ等を用いて手作業で行われる。接合面は例えば原型501を略2等分するような位置に形成されることが好ましいが、原型501が埋まっている場所を探りながらの作業であるので、分離しながら凹凸等を設けるのはなかなか難しい作業であった。
さらに、前記のように刃を原型501まで至らないように刃を入れつつ、最後は無理矢理引き剥がすように互いを分離する必要がある。しかし、この場合には原型501を破損してしまう場合もあった。
以上のように、一次型503が不良となった場合には、再び同じ行程で型を形成する必要があり、さらに原型501を破損してしまった場合には、修理するか作り直す必要があり、作業の大きな遅れにつながっていた。
【0005】
また、第2の従来技術は、基本的にシリコン等による一次型は形成しないので、一次型の不良や原型501の破損といった事態は発生しない。
しかし、造型装置607の特性上、蝋原型609の形成時に蝋原型609を支えるための「サポート」と称されている支持部が同時に形成される。サポート613は蝋を層状に積層させる際の最下部を形成する部位と、当該部位を支持するための複数の細い棒状部とから構成されているものである。
実際の蝋原型に形成されたサポートの例を図10に示す。図10に示すように、蝋原型621(621a、621b)には、それぞれサポート623aや623bが形成される。当該サポート623a、623bは、造形のために蝋原型を支持するためのもので、蝋原型としては不要の部分である。そして、サポートは造形時に下面となる広範囲に形成されるものであるため、これを取り除くために、かなりの時間を要していた。また、サポートが形成された面は必然的に粗面となるので、蝋原型の表面をきれいに仕上げる作業も必要であった。さらに、同様の蝋原型を複数個用意するためにはその数に応じて、サポートの除去作業および仕上げを行わなければならず多大な時間を要していた。
なお、上記サポートを除去する専用装置や、サポートを除去しやすいようにサポートのみを別素材で形成する装置も存在するが、これらは何れも高価な装置であり、設備として容易に購入できるものでは無い。
【0006】
本願発明は、上記の点に鑑み発明されたものであって、前記造型装置を利用した蝋原型を形成するための方法およびその関連技術であって、一次型を不用とすることで原型を破損したり一次型作り直したりといった無駄な費用や時間が生じることなく、しかも造型装置を用いても前記のようにサポートの生成に影響されない蝋原型の形成方法等を提供することをその課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願発明に係る蝋原型の形成方法は以下の構成を有する。すなわち、
形成する蝋原型の基となる原型の形状データをコンピュータ手段によって入力若しくは取得するステップと、
前記原型の形状データに基づいて、当該原型を雄型とする2以上の分割型データをそれぞれ形成するステップと
前記分割型データを造形装置に出力し、各分割型データに基づいてそれぞれ造形型を形成するステップと
前記造形型を雄型として、対応する雌型を形成するステップと
前記各雌型同士を接合させることによって内面に成形面を備えた成形型を形成し、当該成形型に溶融した蝋を注入し、前記蝋を固化させることにより蝋原型を形成することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本願発明の一実施形態を図を用いて説明する。
図1乃至図3は、本願発明に係る成形型用蝋原型の形成方法によって蝋原型を形成する行程を表した行程概略図である。図2及び図3は、図1の要部を拡大したものである。以下、同図に従って蝋原型を形成する行程を説明する。
図1において、1は蝋原型の基(モチーフ)となる原型を表しており、蝋原型3(3a、3b、3c・・)を形成するために形成されたものである。また、当該原型1は、いわゆる原型士と称される職人が蝋や石膏等を用いて手作業で作り上げたものであり、製品となる成形物(蝋原型3を基に形成した型によって形成された合成樹脂等による成形物)と同一の形状を成したものである。すなわち、最初の行程(ステップ1)として当該原型1を形成する。
次に、ステップ2として、前記原型1の形状を形状検出装置5によって認識する。本実施の形態では、形状検出装置5としてミノルタ社の「VIVD700」を使用する。当該「VIVD700」は、レーザー光を物体に向けて照射し、物体から反射したレーザー光を認識することで、立体的な物体の形状を認識し3次元のデータとして出力することができる装置である。具体的には、原型1の検出部位を高さ方向(Z方向)に移動させながら、各高さにおける平面(X−Y平面)方向の形状データを取得することで、形状の3次元データを得ることができる。また、原型1は専用の回転台の上に載置され(図示せず)、平面方向の形状データを取得する際には回転させながら検出するようになっており、原型1に対する死角が生じないようになっている。
【0009】
次にステップ3として、形状検出装置5によって検出したデータをコンピュータ7に取り込む。なお、実際には、形状検出装置5はコンピュータ7の制御によって動作しており、形状検出装置5によって検出されたデータは順次コンピュータ7によって記憶され、データとして蓄積されるようになっている。
次にステップ4として、後述する造形装置(図示せず)に出力するためのデータ作成や、取り込んだ原型1の形状データを編集、加工する作業が行われる。本実施の形態では、形状データの編集、加工作業として、米国のSensAbleTechnologies社の開発した「FreeForm」というソフトウエアを使用する。当該ソフトウエアは、3次元データに基づいてCRT画面上に立体物の画像を表示し、当該立体物画像を彫る、削る、加えるといったイメージで加工、編集することができるものである。当該「FreeForm」を用いて、前記形状検出装置5によって取り込んだ3次元データを加工、編集する。この加工、編集には、9に示すような「FreeForm」専用の入力デバイスであって、3次元上を動かせるペンのような把持部を有したものが使用される。当該入力デバイス等を用いて、CRT画面上に表示された立体図形を加工、編集することができる。
【0010】
また、前記ステップ4の行程において、従来行われていなかった次の行程が行われる。
まず、原型1と同一形状の蝋原型3を形成することを目的として、造形型(13、21)を形成するための造形型データを作成する。この造形型(13、21)は、蝋原型3を形成するための、2つ割りの雌型である蝋原型型(31、33)を形成するための型である。
具体的なソフトウエアの操作方法についての説明は省略するが、得られた原型1の3次元データを加工、編集して原型1の前面側データと背面側データを形成し(原型1を前後2分割したデータ)、それぞれに対応した造形型を形成するためのデータとして使用する。
すなわち、前面側データを用いて、前面側データと背面側データの境となる部分を分割面(シリコン型を形成した場合の合わせ面)として有し、原型1の前面側の形状に対応した雌型の蝋原型型であるのシリコン型(31)を形成するための、造形型を形成するための造形型データを作成する。
同様に、背面側データを用いて、前記と同様に原型1の背面側の造形型データを作成する。
このようにして形成した前面側用および背面側用のそれぞれの造形型データを作成し、次に説明する造型装置11に対して出力することで、それぞれシリコン型形成用の造形型13、21を形成することができるようになっている。
【0011】
次にステップ5として、造形型の形成について説明する。
図1において、13は前記前面側データに基づいて造型装置11で形成した第1の造形型を示している。また、第1の造形型13において15で示す部分は、前面側データと背面側データの境となる分割面を表し、後に説明するシリコン型(31、33)同士の接合面を形成するための部位である。また、17は分割面15より突出した原型1の前面側形状を表した部位である。19は、第1の造形型13の底面に形成された細かい棒状の造形部であり、サポートと称している部分である。当該サポート19は前記従来技術において説明したのと同じ目的で形成されるものであるが、従来技術と異なる点はサポート19が造形された物品の必要とする部位にではなく、型の品質に影響を与えない面に形成されていることである。これは、本願発明における非常に大きな効果であり、サポート除去のための工数を多く必要としない、型の表面を粗面ではなくきれいな状態に形成できるという特徴を有しているものである。
【0012】
また、前記と同様に原型1の背面側データを用いて第2の造形型21を形成する。なお、図1においては、説明の関係で第2の造形型21の底面を上向きとした図で説明しているが、実際の造形時にはサポート27が設けられた面を下向きとして加工が行われる。
23は前記と同様に第2の造形型21における前面側データと背面側データの境となる分割面を表し、後に説明するシリコン型同士の接合面を形成するための部位である。また、25は分割面23より突出した原型1の背面側形状を表した部位であり、27は前記の通り、第2の造形型21の底面に形成されたサポートを表している。
【0013】
次に、ステップ6として、それぞれ前記造形装置11によって形成した前記第1および第2の造形型13、21から、対応するシリコン型(31、33)を形成する。
すなわち、第1の造形型13を用いて所定の型枠内で液状のシリコンを流し込み、固化させることで第1のシリコン型31を形成することが出来る。また、同様に第2の造形型21から、第2のシリコン型33を形成することが出来る。
このようにして形成した第1のシリコン型31および第2のシリコン型33を互いに会わせることで、原型1の表面形状と同一の内面形状を備えたシリコン型(蝋原型型)35を形成することが出来る。
なお、第1のシリコン型31および第2のシリコン型33には、当該シリコン型同士を合わせた際に位置がずれないように、互いに嵌合する位置合わせ用の凹凸41、43が形成され、蝋を内部に注入するための孔(湯口)37も併せて設けられる。
このようにして形成された第1のシリコン型31および第2のシリコン型33を雌型である蝋原型の形成型(35)として使用し、ステップ7として蝋原型3を多数形成することが出来るようになっている。
【0014】
以上説明したように、本願発明に係る蝋原型3の形成方法によれば、蝋原型3を形成する際に使用するシリコン型を、原型1を直接用いて形成しないので、原型1を破損したり、シリコン型自体を破損することがなく、工数および失敗の少ない蝋原型用の型を形成することが出来るものである。
また、造形装置を用いた従来技術との比較においても、造形型には当該造形型を支持するためのサポートが形成されるが、主に実際の型面には影響しない部分に形成されるものであり、その除去も簡単である。また、型面であっても所謂アンダーとなる部分にサポートが形成される場合もあるが、僅かな量であり、その除去も容易に行うことが出来る。また、蝋原型3自体にサポートが形成されることがないので、立体表面に形成されたサポート除去にともなう作業時間を必要とせず、サポート除去にともなって表面形状が粗面となることがないので、蝋原型としての品質を高めることが出来るという差異を有している。
なお、本実施の形態および以下に説明する実施形態において、「蝋原型」とは素材として蝋を使用したものに限られず、型を形成するための原型となるものを全て含むものである。従って、例えば素材としては合成樹脂であるが溶液に浸せば溶けて取り除くことができるような素材のもの等を含む。
【0015】
[第2実施形態]
次に、本願発明に係る第2実施形態を説明する。前述の実施形態では、特に説明をしなかったが、最終製品となる成形物が中実の場合、すなわち成形物の内部が詰まっている場合の例について説明した。しかし、成形物が大きくなったり、大量に製品を作る場合には不要な樹脂の量を減らしコストを下げる必要があるので、外観は必要とされる所定の形状を備え、裏面は不要な肉を取り去り、製品として最低限の肉厚を備えた部材として形成することが必要となる。本実施形態は、そのような成形品用の蝋原型を形成する場合に関するものである。
【0016】
図4は、第2実施形態の概念を説明するための説明図である。なお、原型を形成して、その原型から形状に関する3次元データを取得するまでは第1実施形態と同一であり、またコンピュータ7および「FreeForm」によって入力デバイス9を使用してデータを加工、編集する点においても同じであるので説明は省略する。
第2実施形態は、原型自体は中実の塊として形成されていても、それをモチーフにして形成される最終製品がいくつかの部品に分割されて形成されるようにデータを加工、編集し、そのデータをもとに各部品用の型を形成することを特徴としている。
【0017】
以下、原型が図1に示すような人形体である場合であって、合成樹脂によって形成された最終製品が人形を前後2分割して、前面部品、背面部品の二つの部品に分割して形成される場合について説明する。
はじめに、前面部品(65)用の型を形成する手順を説明する。原型の形状データから、前面部品65の表面形状を形成するために、凸型である前面用凸型51に関する造形型データを作成し、前述の造形装置11を用いて前面用凸型51を形成する。次に前面の表面形状データから、目的とする成形物の肉厚分の厚みを削り取った状態の前面部品65の内面形状データを形成する。このデータをもとに同様に前面用凹型53を形成する。
次に、これら前面用凸型51および前面用凹型53を用いて、それぞれシリコン型61、63を形成する。そして、このシリコン型61、63を互いに会わせて合成樹脂を流し込むことで、所定の肉厚からなる人形の前面部品65が形成される。
【0018】
同様に、背面部品85を形成する。
原型の形状データから、背面の表面形状を形成するために、凸型である背面用凸型71に関する造形型データを作成して前述の造形装置11を用いて、背面用凸型71を形成する。次に背面の表面形状データから、目的とする成形物の肉厚分の厚みを削り取った状態の背面の内面形状データを形成する。このデータをもとに背面用凹型73を形成する。
次に、これら背面用凸型71および背面用凹型73を用いて、それぞれシリコン型81、83を形成する。そして、このシリコン型81、83を互いに会わせて合成樹脂を流し込むことで、所定の肉厚からなる人形の背面部品85が形成される。
【0019】
以上のように、前面用凸型51と前面用凹型53を形成することによって原型1の前半分の外観および所定の肉厚を備えた前面部品65を形成することができ、同様に、原型の後半分(背面)の外観および所定の肉厚を備えた背面部品81を形成することができる。そして、前面部品65と背面部品81とを互いに接合させることにより、原型と同一形状であり内部が中空の合成樹脂による成形物を得ることができる。
以上説明したとおり、本願第2の実施形態では、原型の外観の形状データを取得して加工、編集し、当該加工、編集したデータを用いて型を形成する手法により、原型と同一形状であり内部が中空の合成樹脂による成形物を得ることができるという特徴を有している。
なお、上記の例は原型1を前後2分割した場合について説明したが、2分割に限る必要はなく、適時原型の形状に合わせた形状および数に分割されるものである。
【0020】
また、上記の例で説明すると、前面部品65と背面部品85の接合面にそれぞれ対向する位置に凹凸を形成し、位置合わせおよび嵌合させることも可能である。このような加工は、人間の手作業では相当困難な作業であるが、本願に係る方法を用いることで容易に行うことができ、また形状の変更もデータの修正のみで簡単に行えるという利点を有している。
【0021】
[第3実施形態]
次に本願発明に係る第3の実施形態について説明する。前記第1、第2の実施形態は、はじめに原型を形成した後に、当該原型の形状を検出して所定のデータ編集を行うことにより、所望の蝋原型を形成していた。
これに対して第3実施形態は、例えば他の用途で使用していた既存の3次元データを予め有している場合に、当該3次元データを利用して加工、編集を加えることにより、簡単に蝋原型の形成用データを得るというものである。
蝋原型を形成する際の手順については、前記の2例と同一であるが、蝋原型のデータを利用する手法として次のようなものがある。
最適な例としては、テレビ等で人気のあるキャラクタをモチーフにした製品を複数種類形成するような場合がある。この場合、一度キャラクタ形状に関する3次元データを作っておけば、キャラクタ固有のデザインに関しては手を加える必要がなく、変更部分のみ新たに作成するか、既存のデータと合成する等により簡単に他の種類の製品に作り替えができ、そのデータを用いて蝋原型を形成し所望の成形型を得ることができる。
また、上記の例とともに、3次元データの加工、編集は、製品となる成形物の大きさの拡大縮小を容易に行うことができる。このように、本願に係る蝋原型形成方法は、利用用途の広い技術ということができる。
【0022】
【実施例】
以下、本願発明に係る一実施例を図5乃至図7を用いて説明する。本実施例は、前述した実施形態の具体例を説明するものである。
図5(a)は、成形品を作るために、3次元データとして記憶された成形品に関するCG(コンピュータグラフィック)画像を示したものである。本実施例では、バイク101のデータが記憶され、表示可能となっている。当該3次元データは、前述の第1実施形態のステップ3若しくは4に相当する手法で、コンピュータ内に記憶されたものである。また、このCGの表示や加工、編集は前述の「FreeForm」等が用いられる。
図5(b)は、前記バイク101を複数の部品に分割した状態を示すCG画像である。この部品の分割および表示は前記「FreeForm」を使用して行われている。同図において、103はカウル、105は右側面ボディー、107は左側面ボディー、109はタイヤを含めた駆動部となっている。以下、本実施例として、当該分割した部品のうち、カウル103の蝋原型を形成する例について説明する。
【0023】
はじめに、前記CG画像として表示されているカウル103の3次元データから、蝋原型を形成する際に使用するシリコン型を形成するために、当該シリコン型の原型となる造形型のデータを形成する。図6において(a)は、造形型をCG画像として表示したものである。すなわち、前記カウル103の外観データを用いて、カウル103を前後で2分割し、前部の形状を造形型データ111、後部の形状を造形型データ113として形成する。
なお、最終的に形成された各型(121、123)を精度よく接合させることを目的として、各型には対向する位置に、円錐状の周側面を有する突起(125)、および前記突起(125)と嵌合するすり鉢状の内周面を有する穴127が形成されるようになっている。
この造形型111および造形型113のデータを基に形成した造形物が、図6(b)に示す造形型115、造形型117である。また、この造形型の形成には、前述の「ThermoJet−printer」等が用いられる。
【0024】
次に、前記造形型115を所定の型枠内にいれて液状のシリコンを注入し、固化させると、第1のシリコン型121が形成される(図7(a))。また同様に、造形型117を所定の型枠内にいれて液状のシリコンを注入し、固化させると、第2のシリコン型123が形成される(図7(b))。
図7(b)は、前記各シリコン型121、123を並べた状態を示しており、当該各シリコン型121、123を会わせて蝋を流し込むことにより、前記カウル103の形状に基づく蝋原型が形成される。
以下、当該蝋原型を複数使用して量産用の型を形成し、製品としての合成樹脂による成形品が形成されるようになっている。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係る蝋原型の形成方法によれば、蝋原型を形成する際に使用するシリコン型を、原型を直接用いて形成しないので、原型を破損したり、シリコン型自体を破損することがなく、工数および失敗の少ない蝋原型用の型を形成することが出来るという効果を有している。
また、造形装置を用いた従来技術との比較においても、蝋原型自体にはサポートが形成されないので、立体的な蝋原型の表面におけるサポート除去は必要なく、サポート除去に伴って表面が粗面となることがないので、蝋原型としての品質を高めることが出来るという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る蝋原型の形成方法を説明するための説明図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図1の他の要部拡大図である。
【図4】本願発明に係る他の実施形態を説明するための説明図である。
【図5】本願発明に係る他の実施例を説明するための説明図である。
【図6】本願発明に係る他の実施例を説明するための説明図である。
【図7】本願発明に係る他の実施例を説明するための説明図である。
【図8】従来技術の一例を説明するための説明図である。
【図9】従来技術である他の例を説明するための説明図である。
【図10】従来技術の特徴を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 原型
3 蝋原型
5 形状検出装置
7 コンピュータ
13 第1の造形型
21 第2の造形型
27 サポート
23 分割面
25 背面側形状
31 シリコン型
33 シリコン型
35 シリコン型
37 孔
51 前面用凸型
53 前面用凹型
61 シリコン型
63 シリコン型
65 前面部品
81 シリコン型
83 シリコン型
85 背面部品
71 背面用凸型
73 背面用凹型
101 バイク
103 カウル
105 右側面ボディー
107 左側面ボディー
109 駆動部
111 造形型データ
113 造形型データ
115 造形型
117 造形型
121 シリコン型
123 シリコン型
125 突起
127 穴
501 原型
503 一次型
509 通路
511 通路
505 割型
507 割型
513 蝋原型
515 量産用の型
601 原型
603 形状検出装置
605 コンピュータ
607 造形装置
609 蝋原型
611 量産用の型
613 サポート
621 蝋原型
623a サポート
623b サポート
Claims (1)
- 形成する蝋原型の基となる原型の形状データをコンピュータ手段によって入力若しくは取得するステップと、
前記原型の形状データに基づいて、当該原型を雄型とする2以上の分割型データをそれぞれ形成するステップと、
前記分割型データを造形装置に出力し、各分割型データに基づいてそれぞれ造形型を形成するステップと、
前記造形型を雄型として、対応する雌型を形成するステップと、
前記各雌型同士を接合させることによって内面に成形面を備えた成形型を形成し、当該成形型に溶融した蝋を注入し、前記蝋を固化させることにより蝋原型を形成することを特徴とする蝋原型の形成方法。
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Publications (2)
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