JP2008221081A - 微粒子膜およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1の反応性基を有する第1の膜化合物で表面が覆われた微粒子21と、第1の反応性基と反応して結合を形成する複数の架橋反応基を有する架橋剤12とを含む混合物を基材31の表面に塗布し、第1の反応性基と架橋反応基との架橋反応により硬化することにより微粒子膜10を得る。
【選択図】図1
Description
微粒子の自律的集積力を利用する方法では、微粒子を固定化する方法が組み込まれていないため、微粒子膜の安定性に問題がある。
金属酸化物微粒子の懸濁液を基材に塗布後焼結する方法では、焼結工程を要するため微粒子膜の製造工程が複雑になるとともに、有機微粒子の製膜に用いることができない。
バインダー樹脂中に微粒子を分散させて塗布し、バインダー樹脂を硬化する方法では、微粒子本来の物性や機能が大部分損なわれるという大きな課題がある。
固体基板の表面に両親媒性分子を付着させて形成されたバインダー層の表面に微粒子凝集膜を形成固定させる方法では、バインダー層の形成工程を要するため微粒子膜の製造工程が複雑になる。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る微粒子膜10は、シリカ微粒子(微粒子の一例)21の表面がエポキシ基(第1の反応性基の一例)を有する膜化合物(第1の膜化合物)の単分子膜23で被覆されたエポキシ化シリカ微粒子(反応性微粒子の一例)11と、エポキシ基と反応して結合を形成するイミノ基およびアミノ基(架橋反応基の一例)を有する架橋剤の一例である2−メチルイミダゾール12とを含む混合物からなる膜前駆体を、エポキシ基(第2の反応性基の一例)を有する膜化合物(第2の膜化合物)の単分子膜33で覆われた板ガラス(基材の一例)31であるエポキシ化板ガラス(反応性基材の一例)13の表面に塗布し、得られた膜前駆体の塗膜14(図3参照)を、エポキシ基と架橋反応基との架橋反応により硬化することにより得られる。
工程Aでは、エポキシ基を有する膜化合物をシリカ微粒子21と接触させ、エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜で表面が覆われたエポキシ化シリカ微粒子11を製造する。
用いることのできるエポキシ基を有する膜化合物の具体例としては、下記(1)〜(12)に示したアルコキシシラン化合物が挙げられる。
(2) (CH2OCH)CH2O(CH2)7Si(OCH3)3
(3) (CH2OCH)CH2O(CH2)11Si(OCH3)3
(4) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)2Si(OCH3)3
(5) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)4Si(OCH3)3
(6) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)6Si(OCH3)3
(7) (CH2OCH)CH2O(CH2)3Si(OC2H5)3
(8) (CH2OCH)CH2O(CH2)7Si(OC2H5)3
(9) (CH2OCH)CH2O(CH2)11Si(OC2H5)3
(10) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)2Si(OC2H5)3
(11) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)4Si(OC2H5)3
(12) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)6Si(OC2H5)3
縮合触媒の添加量は、好ましくはアルコキシシラン化合物の0.2〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜1質量%である。
カルボン酸金属塩ポリマーの具体例としては、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマーが挙げられる。
カルボン酸金属塩キレートの具体例としては、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレートが挙げられる。
チタン酸エステルキレート類の具体例としては、ビス(アセチルアセトニル)ジ−プロピルチタネートが挙げられる。
縮合触媒として上述の金属塩のいずれかを用いた場合、縮合反応の完了までに要する時間は2時間程度である。
さらに、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれらの混合物を用いることもできる。
用いることのできるアミノ基を有する膜化合物の具体例としては、下記(21)〜(28)に示したアルコキシシラン化合物が挙げられる。
(22) H2N(CH2)5Si(OCH3)3
(23) H2N(CH2)7Si(OCH3)3
(24) H2N(CH2)9Si(OCH3)3
(25) H2N(CH2)5Si(OC2H5)3
(26) H2N(CH2)5Si(OC2H5)3
(27) H2N(CH2)7Si(OC2H5)3
(28) H2N(CH2)9Si(OC2H5)3
したがって、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物を用いる場合には、カルボン酸スズ塩、カルボン酸エステルスズ塩、カルボン酸スズ塩ポリマー、カルボン酸スズ塩キレートを除き、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の場合と同様の化合物を単独でまたは2種類以上を混合して縮合触媒として用いることができる。
用いることのできる助触媒の種類およびそれらの組み合わせ、溶媒の種類、アルコキシシラン化合物、縮合触媒、および助触媒の濃度、反応条件ならびに反応時間についてはエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の場合と同様であるので、説明を省略する。
無機微粒子の具体例としては、導体微粒子、半導体微粒子、絶縁体微粒子、磁気微粒子、蛍光体微粒子、光吸収微粒子、光透過微粒子、顔料微粒子が挙げられる。
有機微粒子の具体例としては、有機蛍光体微粒子、有機光吸収微粒子、有機光透過微粒子、有機顔料微粒子、薬物微粒子が挙げられる。
有機−無機ハイブリッド微粒子の具体例としては、DDS(Drug Delivery System)用薬物微粒子、化粧用微粒子、有機−無機ハイブリッド顔料微粒子が挙げられる。
(以上工程A)
なお、板ガラス31の大きさには特に制限はない。
反応後、生成したエポキシ化板ガラス13を溶媒で洗浄せずに空気中に放置すると、表面に残ったアルコキシシラン化合物の一部が空気中の水分により加水分解を受け、生成したシラノール基がアルコキシシリル基と縮合反応を起こす。その結果、エポキシ化板ガラス13の表面にポリシロキサンよりなる極薄のポリマー膜が形成される。このポリマー膜は、エポキシ化板ガラス13の表面に共有結合により固定されていないが、エポキシ基を含んでいるため、エポキシ化板ガラス13に対してエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜33と同様の反応性を有している。そのため、洗浄を行わなくても、工程C以降の製造工程に特に支障をきたすことはない。
また、本実施の形態においては工程Aと同一のアルコキシシラン化合物を用いているが、異なるアルコキシシラン化合物を用いてもよい。ただし、工程Cにおいて用いる架橋剤の架橋反応基と反応して結合を形成する反応性基を有するものでなければならない。
(以上工程B)
2−メチルイミダゾールはエポキシ基と反応するアミノ基およびイミノ基をそれぞれ1−位および3−位に有しており、下記の化6に示すような架橋反応により結合を形成する。
エポキシ化シリカ微粒子11、2−メチルイミダゾール12、および溶媒の混合は、撹拌ばね、ハンドミキサー等の任意の手段により行うことができる。
(31) 2−メチルイミダゾール(R2=Me、R4=R5=H)
(32) 2−ウンデシルイミダゾール(R2=C11H23、R4=R5=H)
(33) 2−ペンタデシルイミダゾール(R2=C15H31、R4=R5=H)
(34) 2−メチル−4−エチルイミダゾール(R2=Me、R4=Et、R5=H)
(35) 2−フェニルイミダゾール(R2=Ph、R4=R5=H)
(36) 2−フェニル−4−エチルイミダゾール(R2=Ph、R4=Et、R5=H)
(37) 2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(R2=Ph、R4=Me、R5=CH2OH)
(38) 2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール(R2=Ph、R4=R5=CH2OH)
なお、Me、Et、およびPhは、それぞれメチル基、エチル基、およびフェニル基を表す。
これらのジイソシアネート化合物の添加量は、2−メチルイミダゾールの場合と同様、エポキシ化シリカ微粒子の5〜15重量%が好ましい。この場合、膜前駆体の製造に用いることのできる溶媒としては、キシレン等の芳香族有機溶媒が挙げられる。
また、架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の2または3以上のエポキシ基を有する化合物を用いることもできる。
(以上工程C)
膜前駆体の塗布には、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー法等の任意の方法により行うことができる。
(以上工程D)
加熱温度は、100〜200℃が好ましい。加熱温度が100℃未満だと、架橋反応の進行に長時間を要し、200℃を上回ると、被膜14の表面で架橋反応が迅速に進行することにより、閉じ込められた溶媒が揮発しにくくなり均一な微粒子膜10が得られない。
加熱により形成される共有結合の具体例としては、エポキシ基とアミノ基またはイミノ基との反応(化8参照)により形成されるN−CH2CH(OH)結合、イソシアネート基とアミノ基との反応(化9参照)により形成されるNH−CONH結合等が挙げられる。
(1)エポキシ化シリカ微粒子の製造
シリカ微粒子(平均粒径100nm)を用意し、よく洗浄して乾燥した。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(化12、信越化学工業株式会社製)0.99重量部、およびジブチルスズビスアセチルアセトナート(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン溶媒に溶解し、反応液を調製した。
その後、クロロホルムで洗浄し、過剰なアルコキシシラン化合物およびジブチルスズビスアセチルアセトナートを除去した。
(1)で製造したエポキシ化シリカ微粒子100重量部と、2−メチルイミダゾール7重量部を混合し、これにイソプロピルアルコール40重量部を加えた。得られた混合物を十分混合してペースト状の膜前駆体を得た。
このようにして得られた膜前駆体を青板ガラス上に塗布し、膜厚1μmの塗膜を形成した。
室温下でイソプロピルアルコールを蒸発させた後、青板ガラスおよびその上に形成された塗膜を170℃で30分間加熱することにより、微粒子膜を形成した。
(1)エポキシ化シリカ微粒子の製造
シリカ微粒子(平均粒径1μm)を用意し、よく洗浄して乾燥した。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(化12)0.99重量部、およびジブチルスズビスアセチルアセトナート(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン溶媒に溶解し、反応液を調製した。
その後、クロロホルムで洗浄し、過剰なアルコキシシラン化合物およびジブチルスズビスアセチルアセトナートを除去した。
青板ガラスを用意し、よく洗浄して乾燥した。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(化11)0.99重量部、およびジブチルスズビスアセチルアセトナート(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン溶媒に溶解し、反応液を調製した。
その後、クロロホルムで洗浄し、過剰なアルコキシシラン化合物およびジブチルスズビスアセチルアセトナートを除去した。
(1)で製造したエポキシ化シリカ微粒子100重量部と、2−メチルイミダゾール7重量部を混合し、これにイソプロピルアルコール40重量部を加えた。得られた混合物を十分混合してペースト状の膜前駆体を得た。
(2)で製造したエポキシ化板ガラス上に膜前駆体を塗布し、膜厚10μmの塗膜を形成した。
室温下でイソプロピルアルコールを蒸発させた後、エポキシ化板ガラスおよび塗膜を170℃で30分間加熱することにより、微粒子膜を形成した。
(1)アミノ化シリカ微粒子の製造
シリカ微粒子(平均粒径300nm)を用意し、よく洗浄して乾燥した。
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(化13、信越化学工業株式会社製)0.99重量部、および酢酸(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン−ジメチルホルムアミド混合溶媒(1:1v/v)に溶解し、反応液を調製した。
その後、クロロホルムで洗浄し、過剰なアルコキシシラン化合物および酢酸を除去した。
青板ガラスを用意し、よく洗浄して乾燥した。
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(化13)0.99重量部、および酢酸(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン−ジメチルホルムアミド混合溶媒(1:1v/v)に溶解し、反応液を調製した。
その後、クロロホルムで洗浄し、過剰なアルコキシシラン化合物および酢酸を除去した。
(1)で製造したアミノ化シリカ微粒子100重量部と、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート9重量部を混合し、これにキシレン40重量部を加えた。得られた混合物を十分混合してペースト状の膜前駆体を得た。
(2)で製造したアミノ化板ガラス上に膜前駆体を塗布し、膜厚3μmの塗膜を形成した。
室温下でキシレンを蒸発させた後、アミノ化板ガラスおよび塗膜を170℃で30分間加熱することにより、微粒子膜を形成した。
微粒子として酸化鉛の微粒子を、基材として亜鉛鋼板をそれぞれ用い、実施例2と同様の方法により亜鉛鋼板の表面に酸化鉛の微粒子膜を形成した。
Claims (16)
- 第1の反応性基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で表面が覆われた微粒子と、前記第1の反応性基と反応して結合を形成する複数の架橋反応基を有する架橋剤とを含む混合物を基材の表面に塗布し、前記第1の反応性基と前記架橋反応基との架橋反応により硬化していることを特徴とする微粒子膜。
- 請求項1記載の微粒子膜において、前記第1の膜化合物の形成する被膜が単分子膜であることを特徴とする微粒子膜。
- 請求項1および2のいずれか1項に記載の微粒子膜において、前記第1の反応性基と前記架橋反応基との架橋反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CH2CH(OH)結合であることを特徴とする微粒子膜。
- 請求項1および2のいずれか1項に記載の微粒子膜において、前記第1の反応性基と前記架橋反応基との架橋反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であることを特徴とする微粒子膜。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の微粒子膜において、前記基材の表面は、前記架橋反応基と反応して結合を形成する第2の反応性基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で覆われており、前記第2の反応性基と前記架橋反応基との架橋反応により形成された結合を介して前記基材の表面に固定されていることを特徴とする微粒子膜。
- 請求項5記載の微粒子膜において、前記第1および第2の膜化合物が同一の化合物であることを特徴とする微粒子膜。
- 請求項5および6のいずれか1項に記載の微粒子膜において、前記第2の膜化合物の形成する被膜が単分子膜であることを特徴とする微粒子膜。
- 第1の反応性基および第1の結合基を分子の両端にそれぞれ有する第1の膜化合物を微粒子と接触させ、前記第1の結合基と前記微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で表面が覆われた反応性微粒子を製造する工程と、前記反応性微粒子、前記第1の反応性基と反応して結合を形成する複数の架橋反応基を有する架橋剤、および溶媒とを混合してペースト状の膜前駆体を製造する工程と、基材の表面に前記膜前駆体の塗膜を形成する工程と、前記第1の反応性基と前記架橋反応基との架橋反応により前記塗膜を硬化させる工程とを有することを特徴とする微粒子膜の製造方法。
- 請求項8記載の微粒子膜の製造方法において、前記第1の膜化合物の形成する被膜が単分子膜であることを特徴とする微粒子膜の製造方法。
- 請求項8および9のいずれか1項に記載の微粒子膜の製造方法において、前記第1の反応性基と前記架橋反応基との架橋反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CH2CH(OH)結合であることを特徴とする微粒子膜の製造方法。
- 請求項8および9のいずれか1項に記載の微粒子膜の製造方法において、前記第1の反応性基と前記架橋反応基との架橋反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であることを特徴とする微粒子膜の製造方法。
- 請求項10記載の微粒子膜の製造方法において、前記第1の反応性基がエポキシ基を有する官能基であり、前記架橋剤がイミダゾール誘導体であることを特徴とする微粒子膜の製造方法。
- 請求項10および11のいずれか1項記載の微粒子膜の製造方法において、前記第1の反応性基がアミノ基およびイミノ基のいずれか一方を含む官能基であり、前記架橋剤が2または3以上のイソシアネート基を有する化合物および2または3以上のエポキシ基を有する化合物のいずれか一方であることを特徴とする微粒子膜の製造方法。
- 請求項8〜13のいずれか1項に記載の微粒子膜の製造方法において、前記膜前駆体を前記基材に塗布する前に、該基材に、第2の結合基および前記架橋反応基と反応して結合を形成する第2の反応性基を分子の両端にそれぞれ有する第2の膜化合物を接触させ、前記第2の結合基と前記基材の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物で表面が覆われた反応性基材を製造する工程をさらに含むことを特徴とする微粒子膜の製造方法。
- 請求項14記載の微粒子膜の製造方法において、前記第1および第2の膜化合物が同一の化合物であることを特徴とする微粒子膜の製造方法。
- 請求項14および15のいずれか1項に記載の微粒子膜の製造方法において、前記第2の膜化合物の形成する被膜が単分子膜であることを特徴とする微粒子膜の製造方法。
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