JP2008220242A - スノキ属植物の育苗方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】マイクロプロパゲーション手法を用いたスノキ属植物の効率的な育苗方法を提供する。
【解決手段】スノキ属植物の茎頂点組織片を植物成長調節物質添加培地に着床し、密閉状態で組織培養して、多芽体を得る。得られた多芽体を気密状態から開放状態へと容器の換気を制御しながら、無菌または減菌下で増殖と健苗化を行う。健苗化された多芽体シュートから、一定長の挿し穂を採取、セルトレーに移植して、培養室環境で発根を誘導する。発根した苗木は、外気環境で本格的に順化する。本発明では、基本的に多芽体増殖工程の後段で無菌または減菌下開放環境に移行し、健苗化を行う。これにより、発根誘導工程までの効率化と健全な苗の育成をはかり、発根、順化工程への移行を容易にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、スノキ属植物の育苗方法、特にマイクロプロパゲーションによるスノキ属植物の育苗方法に関するものである。
マイクロプロパゲーションによるスノキ属植物の育苗方法に関しては、特許文献1が知られている。特許文献1には、スノキ属植物としてブルーベリーを対象としている。特許文献1では、ブルーベリーの腋芽(葉腋に分化している芽)を植物成長調節物質(以下「PGR」という)添加培地で無菌培養して多芽体を誘導し、同一組成培地に分割移植して無菌下増殖を繰り返し、増殖した多芽体を無添加培地に移植して無菌下で芽の伸張を誘導し、伸張したシュートをセルトレーに挿し木して非無菌下で発根誘導し、発根後引き続き培養室内環境で順化し、次いで外気環境で順化する育苗方法が開示されている。一方、特許文献2は、植物の組織培養において、増殖から順化への移行を効率的に行い、成苗を得るための好適な支持体(培養土)が開示されているとともに、この過程で使用する容器に通気口を設け、この通気口を減菌処理したガス透過性多孔膜で封止して換気を制御することによって、植物の健全な生育が可能になることが記載されている。また、非特許文献1には、対象植物がメロンではあるが、組織培養した細胞から再分化個体を順化する際の歩留まりを上げるために、再分化容器に通気口を設け、この通気孔を無菌ガス通気膜(日本ミリポア社製、商品名「ミリシール」)で封止して換気することにより、メロンに起こりがちなガラス化現象(Vitrification)を抑制する技術が開示されている。また、非特許文献2には、ゼアチンを含む培地で生成したシュートから発根誘導培養土に直接的に移植することが記載されている。
特許文献1のブルーベリーの育苗方法は、多芽体の誘導後、多芽体を増殖し、次いで多芽体をPGR無添加培地に移植し、芽の伸長誘導を行い、挿し穂の収穫増を図る方法である。ここでは、セルトレーによる発根誘導後の順化を2段階で行い、第1段階では予備的な順化として、非無菌化条件下での培養室内環境で順化しており、第2段階で本来的な外気中での順化を実施している。このため、多芽体の誘導、増殖、伸張、発根、第1順化、および第2順化と、育苗全体の工程が多く、複雑で長期間を要する。特許文献2及び非特許文献1は、組織培養における順化を効率化するために、容器に通気口を設け、この通気口を無菌ガス通気膜で封止し、換気する技術を開示している。しかし、特許文献2で容器に通気性をもたせるのは、発根の促進と発根時の植物体の成長促進を示すに過ぎない。非特許文献1はメロン苗の主としてガラス化防止に関する技術である。また非特許文献2には、ゼアチン含有培地で生成したシュートを発根誘導培養土に移植する技術が開示されているが、多芽体の増殖後によるシュートの育成をPGR含有培地または非含有培地で選択的に行うことは慣用技術である。
特開2003-304765 特開2001-352850 本間義之 et al. 「びん内馴化法によるメロン不定胚由来個体Vitrificationの克服と育苗期間の短縮」Bull. Shizuoka Agr. Exp. Stn. [36] 75-85 (1991) Lisa J. Rowland et al. "Use of a Cytokinin Conjugate for Efficient Shoot Regeneration from Leaf Sections of Highbush Blueberry" HortScience 27 [10] 1127-1129 (1992)
本発明は、上記従来技術における問題、特に育苗工程が複雑で長期間を要するという問題を解決することを目的とする。すなわち本発明は、より効率的なスノキ属植物のマイクロプロパゲーションによる育苗方法を提供することを目的としている。
本発明のスノキ属植物の育苗方法は、下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴としている。
項1:(1)スノキ属植物の茎頂部の組織片を閉鎖系内で、糖類、植物成長調節物質、及び支持体を含む培地で組織培養し、多芽体を誘導する工程、
(2)工程(1)で誘導された多芽体を、糖類、植物成長調節物質、及び支持体を含む培地に分割移植し、無菌または減菌下で、換気を制御しながら培養して、多芽体の増殖と健苗化を行う工程、
(3)工程(2)で健苗化された多芽体のシュートから挿し穂を採取し、これを培養土に挿し木し、培養室内環境で培養して、発根を誘導する工程、および
(4)工程(3)で発根した苗を、外気環境で培養して順化する工程、
を含むスノキ属植物の育苗方法。
なお、当該本発明のスノキ属植物の育苗方法には、下記の具体的な実施態様が含まれる:
項2.スノキ属植物がブルーベリーである項1に記載する育苗方法。
項3.工程(1)において、糖類、植物成長調節物質、支持体および抗生物質を含む培地で組織培養を行うことを特徴とする項1または2に記載する育苗方法。
項4.工程(1)において、組織培養を、糖類として蔗糖を1〜10重量%、植物成長調節物質としてゼアチンを1〜10mg/L、支持体として寒天を0.8〜2重量%、及び抗生物質を0.1〜0.5重量%の割合で含むMW培地を用いて行う、項3に記載する育苗方法。
項5.工程(2)において、培養を、糖類として蔗糖、グルコース、フルクトース、マルトース、ガラクトース、マンニトール、ラクトース、及びソルビトールからなる群から選ばれた少なくとも1種を1〜10重量%、植物成長調節物質としてゼアチン、カイネチン、2−イソペンテニルアデニン、及びベンジルアデニンからなる群から選ばれた少なくとも1種を0.1〜10mg/L、及び支持体として寒天を0.8〜2重量%の割合で含むMW培地を用いて行う、項1乃至4のいずれかに記載する育苗方法。
項6.工程(2)において、換気の制御を、培養容器に通気孔を設け、当該通気孔を介して行うことを特徴とする項1乃至5のいずれかに記載する育苗方法。
項7.工程(2)における換気の制御を、培養容器に設けた通気孔に、それを覆うように通気性無菌または滅菌フィルムを貼付することで行う項6に記載する育苗方法。
項8.工程(2)において、換気を換気回数0〜15回/時の範囲で換気回数が段階的または連続的に増加するように制御する、項1乃至6のいずれかに記載する育苗方法。
項9.工程(3)及び工程(4)において、シラスを含む培養土を用いて培養する、項1乃至8のいずれかに記載する育苗方法。
本発明におけるスノキ属植物のマイクロプロパゲーションによる育苗方法には、下記の効果または利点がある。
(1)多芽体誘導工程後、PGR添加培地収容容器の換気を制御し、増殖と健苗化を一段階で行うことにより、発根誘導工程前の工程が短縮される。
(2)発根誘導工程前における多芽体の健苗化により、順化工程が効率化され、植物の生育が促進される。
本発明の育苗方法が対象とする植物は、ツツジ科( Ericaceae )スノキ属( Vaccinium )植物である。スノキ属植物は、さらに10の節に分類される。このうち、果実が利用されているのは、ビルベリー、クランベリー、コケモモ、及びブルーベリー等を含むサイアノコカス節、ミルティルス節、オキゾコカス節、ビテスーイディア節、バクシニウム節の5つの節である。
ブルーベリーは、このスノキ属、サイアノコカス節( Cyanococcus )に属するアメリカ原産の落葉性もしくは常緑性の低木または半高木果樹である。ブルーベリーには多くの種があり、大別して6種からなるが、果樹園芸上重要なのは下記の三種である。
(1)ハイブッシュブルーベリー(Highbush blueberry, Vaccinium corymbosum L.):オニール、シャープブルー、ジョージアジェム、フローダブルー、レベレイ、スパルタン、ダロウ、デューク、バークレイ、ハリソン等、
(2)ラビットアイブルーベリー(Rabbiteye blueberry, V. ashei Reade ):ウッダード、ガーデンブルー、ティフブルー、ホームベル、マイヤー等、
(3)ローブッシュブルーベリー( Lowbush blueberry, V. angustifolium Aiton; V. myrtilloidesMichaux ):チグネクト、ブロンズウィック、ブロミドン等。
ブルーベリーは、もともと20世紀の初頭以降、アメリカ農務省あるいは州立大学によって野生種から改良されたものである。品種改良の方向は、栽培が容易であり、果実が大きくて甘いなどの観点から良品種とされる主に生果生産を目標として進められ、今日では世界各国で栽培されている。本発明に使用するブルーベリーは、その種類、由来、原産地等、特に制限するものではない。また、特開2007-22929号公報の方法によって得られるブルーベリーも使用することができる。
次に図面に従って、本発明の好適な実施の形態を詳述する。図1は、本発明のマイクロプロパゲーションによる育苗方法の流れ(S1→S2→S3→S4)を示す。
(1)多芽体誘導工程(S1):
当該工程は、スノキ属植物について多芽体を誘導する工程である。なお、「多芽体」とは、芽数が概ね10以上のものをいう。
当該工程は、具体的には、スノキ属植物の茎頂部の組織片を、糖類、植物成長調節物質(PGR)、及び支持体を含む培地で組織培養(茎頂培養)することによって実施することができる。
ここで上記の茎頂培養に使用する基本培地としては、植物の組織培養に広く用いられるWoodyPlant培地(WP培地)、Murashige&Skoog培地(MS培地)、あるいはこれらの培地の組み合わせ、またはその組成を改変した培地を挙げることができる。好適にはMS培地とWP培地とを組み合わせたMW培地(1/2MS培地+1/2WP培地)を挙げることができる。
本発明の多芽体誘導工程では、かかる基本培地に、糖類、PGR、及び支持体を添加した培地が用いられる。ここで糖類としては、蔗糖、グルコース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、及びソルビトールなどの糖;ならびにマルトースやマンニトール等の糖アルコールを挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくは蔗糖である。
PGRとしては、ナフタレン酢酸(NAA)、インドール−3−酢酸(IAA)、インドール−3−酪酸(IBA)、2,4−シクロフェノキシ酢酸(2,4−DPA)、インドール−3−プロピオン酸(IPA)、ベンゾフラン−3−酢酸(BFA)、及びこれらの誘導体等のオーキシン類;並びに、ベンジルアデニン(BA)、カイネチン、ゼアチン、2−イソペンテニルアデニン(2iP)、(2−クロル−4−ピリジル)−3−フェニル尿素(4PU)等のサイトカイニン類を挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくは、実験例1に示すようにゼアチンであり、特にゼアチン単独使用が好適である。
ここで支持体は、培地を固相化する上で必要な成分であり、通常の固形培地に使用される基剤、例えば寒天やゲランガムなどのゲル化剤を用いることができる。好ましくは寒天の使用が実用的である。
これらの成分の培地中の濃度は、スノキ属植物の種によっても異なるので一概に特定できないが、例えば、基本培地としてMW培地を用いる場合は、糖類(好ましくは蔗糖)の濃度として1〜10重量%、好ましくは2〜3重量%;PGR(好ましくはゼアチン)の濃度として1〜10mg/L、好ましくは2〜5mg/L;支持体(好ましくは寒天)の濃度として0.8〜2重量%、好ましくは0.8〜1.0重量%を挙げることができる。なお、かかる割合は、糖類、PGRまたは支持体をそれぞれ2種以上組み合わせて使用する場合には、それらの総量を意味する。
なお、これらの培地には、他の成分として、カビの発生を防止するため、PPM(Plant Preservative Mixture、ナカライテスク株式会社製、商標名)のごとき抗生物質を配合することもできる。当該PPMを用いる場合、その培地における総濃度としては、通常0.1〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%を挙げることができる。
これらの成分を含有する培地は、使用に際して常法に従って滅菌処理され、無菌状態で使用される。
茎頂培養は、閉鎖系(気密状態)でしかも無菌条件下で行われることが好ましい。具体的には、容器内に滅菌状態で調製された前述の培地に、スノキ属植物の茎頂部の組織片を植えつけて蓋をして密閉し、無菌的に培養して多芽体を誘導する。
茎頂部の組織片には、制限はされないが、圃場で生育したスノキ属植物の例えば1年生枝から採取し、滅菌処理したものが用いられる。ここで滅菌処理は、特に制限されず常法に従って行うことができるが、一例を挙げれば、流水と超純水で洗浄後、5%程度の次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬し、次いで滅菌蒸留水で洗浄するする方法を挙げることができる。茎頂培養は、温度20〜25℃、相対湿度は100%、明期12〜16時間、暗期8〜12時間の範囲で実施するのが望ましい。なお、明期において用いる照明の光量子数は特に制限されないが、通常5〜20μmol/m2/sの範囲で調整されることが好ましい。かかる培養は芽数が概ね10程度になるまで行うことができる。その期間は植物種によって様々であるので特定できないが、通常2〜5ヶ月程度を挙げることができる。
(2)多芽体の増殖・健苗化工程(S2):
本工程は、上記工程(S1)で得られた多芽体を増殖し、次いで健苗化する工程である。なお、「健苗化」とは、植物の組織、その他を外気環境下で生育したものに近い状態にすることを意味する。
当該工程は、具体的には、上記工程(S1)で得られた多芽体を培地に分割移植し、換気を制御しながら培養することによって実施することができる。なお、分割移植は、多芽体を0.5〜0.2gになるように2〜10個程度に株分けし、これを培地上に置床することによって行う。
本工程における培養には、上記工程(S1)で用いた培地と同一の培地を用いて行うことが効率的であるが、抗生物質を含まない培地を用いることが好ましい。また、糖類は必ずしも必要ではなく、0(無添加)〜10重量%の範囲で用いることができるが、蔗糖などの糖類を添加して用いることが好ましい。PGRとしては、工程(S1)で用いられるものを同様に使用することができるが、好ましくはゼアチン、カイネチン、2iP、及びBAからなる群から選ばれる少なくとも1種を、総量として0.1〜10mg/Lの割合で用いることが実用的である。より好ましくは、実験例2で示すように、ゼアチンの単独使用、特に2〜5mg/Lの割合での使用が効果的である。支持体としても、工程(S1)で用いられるものを同様に使用することができるが、実用的には寒天を、添加量は0.8〜2重量%程度の割合で用いることが好ましい。
本工程(S2)において、分割移植された株は、移植当初、工程(S1)と同様に、閉鎖系(気密状態)でしかも無菌条件下で培養されるが、培養初期から終期にわたり、容器内の空気の置換が、気密状態から一定の開放状態へと、段階的あるいは連続的に増加するように換気を制御しながら培養することが好ましい。より具体的には、分割移植による増殖を繰り返すことにより、多芽体が培養環境になれて一定の速度で増殖するようになる段階までは無菌の気密状態とし、増殖最終段階で換気を開始し、次いで一定期間、通常約1ヶ月程度換気条件下で培養して、多芽体を健苗化する。
すなわち、S2の多芽体増殖・健苗化工程は、分割移植による増殖を2〜3回程度繰り返す「増殖段階」、最後の分割移植から健苗化段階に移行する「増殖→健苗化移行段階」、および増殖した多芽体を健苗化する「健苗化段階」の大略3段階に分けることができる。
「増殖段階」における培養は、前述する多芽体誘導工程(S1)と同様に、無菌条件下、気密状態で行われることが望ましい。
「増殖→健苗化移行段階」および「健苗化段階」における換気制御は、制限されないが、簡便には、培地を収容する容器の本体及び/または蓋に開放部となる通気孔を設けておき、当該通気孔における空気の出入りを制御することによって行うことができる。ここで通気孔における空気の出入りの制御は、例えば、当該通気孔を、微細な多孔を有する通気性の無菌または減菌シール、例えばミリシール(日本ミリポア社製;商品名)で封止することによって行うことができる。なお、容器あたりの通気孔の数及び全開口面積は特に制限されないが、容器が300ml程度の場合、直径約6mmφの通気孔を1〜5個の範囲内で設けるのが望ましい。
なお、閉鎖系(気密状態)で培養される「増殖段階」では、培養容器の通気孔に貼付された上記通気性の無菌または減菌シール上面に、気密性フィルム、例えばポリエステルフィルム(ダイヤホイル社製、商品名「ダイヤホイル」)などの非通気性のプラスチックフィルムを貼着した状態で培養を行うことが好ましい。次いで「増殖段階」が終了後、それを剥離して気密状態を解除して次の「増殖→健苗化移行段階」および「健苗化段階」を実施する。斯くして、一連の培養工程を同じ培養容器で実施することが可能となる。
「増殖→健苗化移行段階」は、多芽体の増殖状態に応じて、換気条件を適宜調整することが好ましく、換気回数を段階的あるいは連続的に増加させることができる。また一定期間中、無菌気密状態を維持してもよい。この段階における換気条件としては、単位時間あたりの換気回数(培養容器内の空気が置きかわる回数)が0〜2.5回/時程度、好ましくは0.6〜2.4回/時程度を挙げることができる。
また、「健苗化段階」での換気回数は2.5〜15回/時程度を挙げることができる。なお、ここで換気回数は、次式で算出することができる。
Figure 2008220242
本工程の一連の段階(「増殖段階」、「増殖→健苗化移行段階」および「健苗化段階」)における培養は、換気条件を除いて、ほぼ同一の条件で行うことができる。具体的には、温度条件として20〜25℃、照明条件として光量子数5〜20μmol/m2/sで12〜16時間の範囲を挙げることができる。なお、制限されないが、「増殖段階」およびは「増殖→健苗化移行段階」には、多芽体を増殖させ、次いで増殖した培養環境になれて一定の速度で増殖するようになるまでの期間を要する。かかる期間としては、制限されないが、通常約2ヶ月程度を挙げることができる。また「健苗化段階」には、植物が外気環境下で生育したものに近い状態になるまでの期間を要する。かかる期間としては、制限されないが、通常1ヶ月程度を挙げることができる。
斯くして得られる健苗化多芽体は、図2に示すように、気密無菌状態で増殖しただけの多芽体に比べて、全体が大きく、かつ葉の色も濃い。例えば、ブルーベリーの葉を取る場合は、この健苗化段階で、紫外線照射して葉の機能性を高め、健苗化された多芽体自体を機能性材料として収穫することができる。ブルーベリー葉の工場生産化には、引き続き水耕栽培なども考えられる。いずれにしろ、成木からの葉の採取に比べて、著しく効率的である。
(3)発根誘導工程(S3):
本工程(S3)は、上記の多芽体増殖・健苗化工程(S2)で健苗化された多芽体から調整した挿し穂を培養土に挿し木して、発根を誘導する工程である。
当該工程は、具体的には、上記の多芽体増殖・健苗化工程(S2)で健苗化された多芽体のシュートから、挿し穂を調整し、これをセルトレーに充填した培養土に挿し木し、室内環境で培養することによって実施することができる。シュートから調整する挿し穂の長さは、少なくとも10mm、望ましくは20〜50mmである。
培養土としては、当業界で使用される一般の培養土を用いることができる。例えば、一般に培養土としてピートモスを挙げることができるが、これとゼオライト、鹿沼土、ボラ土、軽石、バーミキュライトまたはパーライト等の多孔性物質を適宜組み合わせて用いてもよい。さらに、木粉、おがくず、腐葉土、または特許文献2に示す繊維状組成物と粘土鉱物を配合することもできる。好ましい培養土としては、実験例6に示すように、ピートモスとシラスの混合物を挙げることができる。かかる培養土の混合比は、シラスを全量の10〜70容量%程度混合するのが好適である。また、発根を促進するためにインドール酪酸(IBA),またはナフタレン酢酸(NAA)等のオーキシン類を、シュートの基部に塗布してもよい。濃度は、100〜1000mg/Lが望ましい。
当該工程の培養は、室内で管理された環境下で行われる。この場合の培養条件としては温度条件として20〜25℃、湿度条件として90〜100%RH、照明条件として光量子数20〜50μmol/m2/sで12〜16時間の範囲を挙げることができる。通常、2週間程度で発根が始まり、1〜2ヶ月程度で根がブラグトレーの穴の中で回った状態になり、所望の苗(セル苗)を得ることができる。
斯くして発根誘導して得られるセル苗を、ブルーベリーと例として、図3に示す。また発根の状態を図4に示す。
(4)順化工程(S4);
当該工程(S4)は、上記の発根誘導工程(S3)で得られた根付きの苗を順化する工程である。なお、「順化」とは植物を外の環境にならすことを意味する。
具体的には、上記の発根誘導工程(S3)で得られた根付きの苗をセルトレーから、例えばプラスチック製ポットの培養土に移植し、外気環境下(温室環境を含む)で培養することによって実施することができる。ここで培養土としては、上記発根誘導工程において説明した培養土を同様に用いることができ、発根誘導工程で用いた培養土と同じ組成の培養土を用いてもよい。また、ここでも、ピートモスとシラスの混合土が好適である。当該順化工程は、外気環境ではあるが、弱光下が望ましい。順化工程は、通常1〜2週間程度行なわれるが、実際に使用する(例えば路地に植える)までは、この状態で育てることも可能である。
なお、実採取用のブルーベリーの植え付けは、通常2〜3m間隔であるが、これでは葉の採取に多大の労力を要する。葉の収穫用ブルーベリー苗木は、図5に示すように高密度に植え付けて密集栽培し、茶葉の刈取機のような機械的手段で収穫するのが効率的である。このためには、大量の苗木が必要となる。本発明のマイクロプロパゲーションによるブルーベリーの育苗方法は、略均一の苗を多量に生産できるところから、育苗から作付けまでの一貫した生産体制の構築に適している。
以下、実験例および実施例を挙げて本発明を説明する。ただし、本発明はこれらの実験例などに限定されるものではない。なお、特に記載のない限り、「%」とは「重量%」を、「部」とは「重量部」を意味するものとする。
実験例1 多芽体誘導に用いるPGR添加培地の検討
被検対象植物として、ハイブッシュブルーベリーのバークレイ、ラビットアイブルーベリーのホームベル、及び在来野生種ナツハゼを用いた。
圃場で採取された各植物新梢の腋芽を、流水及び超純水で洗浄した後、Triton-X(最終濃度 約1mL/100mL)を添加した5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に15分浸漬して滅菌処理を行い、次いで滅菌蒸留水で3回洗浄した。これを供試腋芽として用いた。被検培地には、WP(WoodyPlant)培地とMS(Murashige&Skoog)培地を等量づつ組み合わせたMW培地に、蔗糖(最終濃度 20g/L)、寒天(最終濃度 8g/L)、および植物成長調節物質(PGR)を添加した固形培地(pH4.8)を用いた。なお、PGRとしては、表1に示すように、ゼアチン(最終濃度:0mg/L、2mg/L、5mg/L)と、ナフタレン酢酸(NAA)(最終濃度:0mg/L, 0.5mg/L, 1mg/L)とをそれぞれ組み合わせて用いた。斯くして調製後、滅菌処理(オートクレーブ、121℃、15分間)した被検培地(培養容器入り)上に、無菌条件下で上記の各供試腋芽を置床して蓋をし、25℃、光量子数10〜15μmol/m/sの24時間連続照明の条件で培養し、2ヶ月後の多芽体誘導率(%)を調べた。多芽体誘導率(%)は下式から求めた。
Figure 2008220242
結果を表1に示す。
Figure 2008220242
表1に示すように、いずれの植物も、多芽体誘導率はゼアチン5mg/L単独添加区が最も高く、バークレイで10.0%、ホームベルで5.0%、ナツハゼで30.0%であった。このことから、多芽体誘導時には、PGRとしてゼアチン単独を5mg/L濃度で使用することが最適であることがわかる。
実験例2 多芽体増殖に及ぼすPGR添加培地の検討
実験例1の最適条件(ゼアチン5mg/L単独添加)で得られたバークレイ及びナツハゼの多芽体(基部を含む約0.2g)をそれぞれ採取して供試した。
各多芽体を、PGRとして、表2に示すように、ゼアチン(最終濃度:2mg/L、5mg/L)、ベンジルアデニン(BA)5mg/L、カイネチン5mg/L、または2−イソペンテニルアデニン(2iP)5mg/Lを各々添加したMW培地(滅菌処理済)、または無添加滅菌MW培地(滅菌処理済)上にそれぞれ移植し、25℃、光量子数10〜15μmol/m/sの24時間連続照明条件下、閉鎖系の無菌状態で培養して、1ヶ月及び2ヶ月後における多芽体新鮮重(多芽体全体の湿重量)(g)、および20mm以上のシュート(枝)の採取可能数(シュート数)を調べた。結果を表2に示す。
Figure 2008220242
表2からわかるように、バークレイの多芽体新鮮重は、ゼアチン5mg/L単独添加区で0.71gと最も高く、次いでゼアチン2mg/L単独添加区(0.67g)、および2iP 5mg/L単独添加区(0.61g)であった。ナツハゼの多芽体新鮮重は、ゼアチン2mg/L単独添加区で1.18gと最も高く、次いでゼアチン5mg/L単独添加区(1.12g)、および2iP 5mg/L単独添加区(0.96g)であった。挿し木できる20mm以上のシュート数に関しても、ゼアチン添加区で最も高く、その数はバークレイのゼアチン5mg/L単独添加区で10.3本、ナツハゼのゼアチン2mg/L単独添加区で12本であった。このことから、多芽体増殖時には、PGRとしてゼアチン、特にこれを2〜5mg/L濃度で培地に添加して使用することが、多芽体の増殖に有効であることがわかる。
実験例3 増殖段階における糖類の種類の検討
上記実験例2の最適条件で増殖したバークレイ及びナツハゼの基部を含む約0.2gの多芽体を供試した。被検培地として、糖類と、PGRとしてゼアチンを最終濃度5mg/Lとなるように添加したMW培地(滅菌処理済)を用いた。ここで糖類としては、表3に示すように、蔗糖、グルコースおよびフルクトースを用い(各添加量:0.058mol/L)、また比較対照例として糖類無添加の試験区を設定した。得られた各試験区に、上記の多芽体を植え付け、25℃、光量子数5〜20μmol/m/sの16時間照明条件下、閉鎖系の無菌状態で培養して、1ヶ月培養後の多芽体の生育状況を、多芽体新鮮重(g)、および10mm以上のシュートの採取可能数(シュート数)を調べた。結果を表3に示す。
Figure 2008220242
表3の結果から、糖類は、無添加よりも添加が望ましいが、糖類の種類による差異はなく、目的に応じて適宜選択可能であることがわかる。
実験例4 健苗化段階における換気回数の検討
実験例2の最適条件で増殖したバークレイ及びナツハゼの基部を含む約0.2gの多芽体を供試した。被検培地として、表5に示すように、PGRとしてゼアチン(最終濃度:5mg/L)を、また糖類として蔗糖(最終濃度:20g/L)を添加したMW培地を用いた。また、比較対照例として糖類無添加の試験区を設定した。
被検培地は、60mm×60mm×100mmのポリカーボネート容器「プラントボックス」(IWAKI製;商品名)(蓋付き)に調製し、これに上記各多芽体を約0.2gずつ植え付け、蓋をした状態で1ヶ月間培養を行った。なお、培養温度は25℃、容器内の相対湿度を100%、培養室(容器外)の相対湿度を50%に設定した。
培地を収容する容器として、蓋に直径約6mm程度の通気孔を1個設けたものと設けないものを使用した。なお、この通気孔は、通気性無菌シール「ミリシール」(日本ミリポア社製;商品名)で封止した。培養容器内外の換気の度合いを評価するため、容器全体の培養期間中の減少重量(mg)と、容器と培養室の相対湿度の差をもとにして、下記の式に従って換気回数を推定した(本間義之 et al. Bull. Shizuoka Agr. Exp. Stn. [36] 75-85 (1991)参照)。なお、ここで換気回数は、1時間に容器内の空気が総入れ替えする回数を意味する。
Figure 2008220242
推定結果を表4に示す。
Figure 2008220242
表4から、換気回数は通気孔なしの密閉状態で0.5回/時、通気孔1個を設けたもので2.4回/時と推定することができた。各植物について1ヶ月間培養した後のシュート数(10mm以上のシュートが採取可能な数)を数え、換気回数が健苗化に及ぼす影響を調べた結果を表5に示す。
Figure 2008220242
表5から、10mm以上のシュートが採取可能な数は、換気回数を多くするほど少なくなる傾向が観察された。しかし、換気回数を多くすることによって、図2に示すように、長さは短いものの、茎葉がしっかりとしたシュートが形成される傾向が観察された。この結果から、増殖段階では換気回数を少なく、健苗化段階では換気回数を多くするのが望ましいことがわかる。
実験例5 発根誘導工程における挿し穂の長さの検討
実験例2の最適条件で増殖したレッドパール、バークレイ及びナツハゼの多芽体から挿し穂を採取した。その挿し穂の長さが、非無菌条件下での発根誘導工程における発根率に及ぼす影響を調べた。
挿し穂の長さは、各植物の多芽体について10mm、20mm及び30mmに調整した。これを、ピートモスとボラ土を1:1で混合し、十分に水を含ませた培養土(PGR無添加)を充填したセルトレーに直接挿し木した。培養は、温度25℃、相対湿度90〜100%、光量子数20〜50μmol/m/sの12時間照明条件下で行った。培養から4週間後に発根した数を数え、下式から発根率を求めた。なお、発根は1mmでもまた1本でも発根していれば「発根あり」と判断した。結果を表6に示す。
Figure 2008220242
Figure 2008220242
表6に示すように、レッドパールでは挿し穂の長さが20mm以上の場合に91.7%以上の高い発根率が得られた。一方、バークレイでは、挿し穂の長さが10mmと30mmである場合に同レベルの発根率が得られた。このように、挿し穂の長さと発根率の間には一定の傾向が認められず、種間差異があることが示唆された。
実験例6 発根誘導工程における培養土の検討
表7に示すように、ピートモスにシラスまたはボラ土をそれぞれ0、30、50、70、100容量%となるように添加した培養土を調整し、これに直接レッドパール、バークレイまたはナツハゼの多芽体のシュートを挿し木して培養し、実験例5と同様にして、4週間後の発根率(%)を調査した。なお、培養室内は非無菌とし、温度25℃、相対湿度90〜100%、光量子数20〜50μmol/m/sの12時間照明条件下で培養した。
結果を表7に示す。
Figure 2008220242
表7に示すように、ブルーベリー(レッドパール,バークレイ)に関してはピートモス単独で良好な発根率が得られた。また、ピートモスに、ボラ土またはシラス(好ましくはシラス)を適当な割合で配合しても、発根率にあまり悪影響を与えることがないこと、また逆に良好な発根率を促す可能性があることがうかがわれた。一般に、培養土としてピートモス単独を用いると作業がしにくく、これにシラスを適度に混合することでこれが改善され、挿し木しやすくなり、作業効率を向上させることができる。上記の実験結果は、培養土としてピートモスに、ボラ土やシラスなどの成分を添加配合して用いることができることを示している。
実施例1
ハイブッシュブルーベリーのバークレイの新梢から腋芽を採取した。採取した腋芽を流水及び超純水で洗浄した後、最終濃度が約1mL/100mLとなるようにTriton-Xを添加した5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液で15分滅菌処理し、滅菌蒸留水で3回洗浄した。蔗糖(最終濃度 20g/L)、寒天(最終濃度 8g/L)、およびゼアチン(最終濃度5mg/L)を添加したMW培地(pH4.8)に、上記で滅菌した腋芽を置床した。これ25℃で、光量子数10〜15μmol/m/sの24時間連続照明の条件で2ヶ月培養し、多芽体を誘導した。
蔗糖(最終濃度 20g/L)、寒天(最終濃度 8g/L)、およびゼアチン(最終濃度5mg/L)含有MW培地を、無菌の気密性容器内(60mm×60mm×100mm)に収容し、この培地に上記で誘導した多芽体を分割移植して(3〜6分割)、無菌気密状態で増殖した(培養条件25℃、光量子数10〜15μmol/m/sの24時間連続照明下)。同一培地、同一条件で継代培養を2ヶ月間隔で2回くりかえした。
次いで、この気密性容器の蓋に直径約6mmの通気孔を1個設け、この通気孔に無菌通気性ミリシール(日本ミリポア社製;商品名)を貼り、さらにミリシール上に機密性ポリエステルフィルム(ダイヤホイル社製、商品名「ダイヤホイル」)を貼着した。
この容器内に新たに調整し配置した上記培地(蔗糖、寒天およびゼアチン含有MW培地)に、2回目の継代培養後の多芽体を分割移植し、3回目の継代培養を2ヶ月間行った。3回目の継代培養中、多芽体が略容器半分程度を覆うように繁茂した段階で、機密性ポリエステルフィルムを剥離し、換気度を2.4回/時に制御して健苗化を行った。
上記方法により増殖・健苗化したバークレイの多芽体のシュートを、非無菌条件下で20mmに調整して挿し穂とした。ピートモスとシラスを3:7(容量比)で混合し、十分に水を含ませた培養土を調整してセルトレーに充填した。この培養土に121本の挿し穂を直接挿し木し、温度25℃、相対湿度90〜100%、光量子数20〜50μmol/m/sの12時間の照明で、4週間発根処理を行った。その後、ビニル製のポットに移植し、弱光外気環境下で順化した。5週間後、高さ3.5〜6cm程度の苗木121本を得た。全工程の所要日数は343日であった。
本発明は、スノキ属植物、特にブルーベリーの苗木の大量生産に適しており、各地でブルーベリー産地化が進む中、大量のブルーベリーの苗木を安価に供給する苗木生産事業に利用可能である。また、本発明により、スノキ属植物間の交雑新種開発後の普及も容易になる。本発明の方法は、特に、挿し穂の親木の少ない新品種、改良品種を短期間で産地形成する分野で好適に利用可能である。
本発明のスノキ属植物の育苗方法を示す。 健苗化前のブルーベリーの多芽体と健苗化した後の多芽体を示す。 セルトレーに移植し、発根誘導したブルーベリーのセル苗を示す。 シラス添加培養土で発根誘導したブルーベリーの発根状態を示す。 葉の収穫を目的としたブルーベリーの密集栽培を示す。

Claims (9)

  1. (1)スノキ属植物の茎頂部の組織片を閉鎖系内で、糖類、植物成長調節物質、及び支持体を含む培地で組織培養し、多芽体を誘導する工程、
    (2)工程(1)で誘導された多芽体を、糖類、植物成長調節物質、及び支持体を含む培地に分割移植し、無菌または減菌下で、換気を制御しながら培養して、多芽体の増殖と健苗化を行う工程、
    (3)工程(2)で健苗化された多芽体のシュートから挿し穂を採取し、これを培養土に挿し木し、培養室内環境で培養して、発根を誘導する工程、および
    (4)工程(3)で発根した苗を、外気環境で培養して順化する工程、
    を含むスノキ属植物の育苗方法。
  2. スノキ属植物がブルーベリーである請求項1に記載する育苗方法。
  3. 工程(1)において、糖類、植物成長調節物質、支持体および抗生物質を含む培地で組織培養を行うことを特徴とする請求項1または2に記載する育苗方法。
  4. 工程(1)において、組織培養を、糖類として蔗糖を1〜10重量%、植物成長調節物質としてゼアチンを1〜10mg/L、支持体として寒天を0.8〜2重量%、及び抗生物質を0.1〜0.5重量%の割合で含むMW培地を用いて行う、請求項3に記載する育苗方法。
  5. 工程(2)において、培養を、糖類として蔗糖、グルコース、フルクトース、マルトース、ガラクトース、マンニトール、ラクトース、及びソルビトールからなる群から選ばれた少なくとも1種を1〜10重量%、植物成長調節物質としてゼアチン、カイネチン、2−イソペンテニルアデニン、及びベンジルアデニンからなる群から選ばれた少なくとも1種を0.1〜10mg/L、及び支持体として寒天を0.8〜2重量%の割合で含むMW培地を用いて行う、請求項1乃至4のいずれかに記載する育苗方法。
  6. 工程(2)において、換気の制御を、培養容器に通気孔を設け、当該通気孔を介して行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載する育苗方法。
  7. 工程(2)における換気の制御を、培養容器に設けた通気孔に、それを覆うように通気性無菌または滅菌フィルムを貼付することで行う請求項6に記載する育苗方法。
  8. 工程(2)において、換気を換気回数0〜15回/時の範囲で換気回数が段階的または連続的に増加するように制御する、請求項1乃至6のいずれかに記載する育苗方法。
  9. 工程(3)及び工程(4)において、シラスを含む培養土を用いて培養する、請求項1乃至8のいずれかに記載する育苗方法。
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