JP4191236B2 - 植物苗の生産方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体培地を用いた組織培養による大量増殖法を改善することによって増殖率及び作業効率を高め、従来法に比してより効率的且つ低コストで植物苗を生産する方法を提供する。より詳しく言えば、植物体増殖時の暗所または弱光条件と言う、明所条件に比して投入資源(照明・温度制御設備、ランニングコストなど)を大幅に減少させ得る環境にて植物体を急速且つ大量に増殖し、続く工程にて、それら植物体を無作為切断(以下、「ランダムカット」とも称する)し、それらから選別することなく芽を誘導する方法を言う。全工程において(増殖率および作業効率の)高効率、低コスト、大量生産の容易化などを追及した方法である。本発明の方法は、花卉、野菜、穀物等の幅広い植物体の大量増殖場面(但し、塊茎、球根、などの貯蔵組織の増殖は含まない)に適用が可能である。特に節間が伸長する植物に有効である。
組織培養法は様々な植物において有効な増殖法として長年用いられている。しかし、この方法は、通常、固体培地(寒天やゲルライト等で固化された培地)を用いる方法であり増殖率が低いため、手工業的手法以外では大量の増殖が困難である。また、増殖を繰り返す際には、増殖された組織を芽を含む組織に1つずつ切り分け、更にそれらを1つずつ固体培地に移植する作業となる為、作業効率が低い。それらの理由により組織培養を用いた植物苗は高コストとなる。
上記の課題を解決する1つの手段として、液体培地を含む培養槽を用いた培養法(液体培養法)が試みられている(Paekら,In Vitro Cell.Dev.Biol.−Plant37,p149,2001(非特許文献1))。この方法は、液体培地と大型容器の培養槽が用いられる為、従来の固体培養法に比して増殖率が高く且つ増殖終了時の容器からの回収が容易であるという長所を持ち、大量増殖法として優れている。しかしこの手法においても、回収後に1個ずつ芽を含む茎片等の組織を認識しながらカットする作業は従来の固体培養法と変わらない(Paekら,In Vitro Cell.Dev.Biol.−Plant 37,p149,2001)。また、液体培養では固体培養に比して植物体自体が大型となり、葉、根など移植に不必要な部位も大型、多量となるため、移植用の芽を含む組織に分割する作業は、通常の固体培養法よりも作業効率が劣る。さらにまた、無菌作業が望まれる場合は、大型の植物を扱うことになるため、雑菌による汚染のリスクも高くなる。加えて、培養は通常固体培養法と同じく光条件下で行われるため、設備(照明設備、空調設備など)、ランニングコストなどの面では投入資源の削減にはつながりにくく、場合によっては設備面では従来の固体培養法に比して多額の初期投資が必要とさえなる。
一方、暗黒(すなわち、暗所)下で特定の種類の植物組織または植物体を培養し増殖したのち、植物体を分割(切断)、培養し、植物を再生する方法が知られている。例えば日本国特開2000−93031号公報には、サトイモ科植物の組織または植物体を暗黒下で培養し増殖させて多芽苗を得ること、地上部と根を除き基部(V字型もしくはY字型)を得るように多芽苗を分割すること、および明条件下で健苗化させることを含むサトイモ科植物の増殖方法が開示されている。また、日本国特開2005−137291号公報には、カンゾウ属植物の腋芽組織を暗黒下で液体培養してストロン様組織を誘導すること、ストロン様組織を腋芽を含むように切断すること、ストロン様組織を暗黒下で液体培養し増殖すること、ストロン様組織を明所で培養してカンゾウ属植物を再生することを含むカンゾウ属植物の再生方法が開示されている。さらに、日本国特開2000−4702号公報には、暗黒下でシュートを増殖させることを含むムラサキ科植物の大量増殖方法が開示されている。しかし、これらに開示される方法によれば、多芽苗またはストロン様組織の分割(すなわち、切断)は、基部(成長点を含むV字型もしくはY字型形状)のみかまたは腋芽を含むように行わねばならないため、従来法と同様に作業効率は劣る。
さらにまた、低光度下での植物組織の培養方法も知られている。例えば、日本国特許第2638768号公報には、植物成長調節物質の存在下、低光度下で生長点を含む組織を培養することを含むフトモモ科植物の増殖または発根苗化方法が記載されている。また、日本国特開平8−23807号公報には、組織培養での不定芽分化および/または伸長の際に2000ルックス以下の青色光を照射することを特徴とするチューリップの植物体組織または培養細胞の培養方法が記載されている。
明所にて培養した植物は、生育が良いほど葉や茎が大型化し、その茎葉は、1芽ずつにカットする従来法では勿論のこと、またランダムなカットにおいても、作業効率を低下させる。また、ランダムカットの場合に芽を含まない残渣が多くなる。更にそれらの残渣は次工程にて枯死しやすく、芽の伸長が阻害されることが多い。また、明所にて増殖した材料では節間が詰まっている為、次工程にて1つの切片から複数の芽が得られる場合もあり、馴化時の作業効率が低下する。従来の固体培地を用いた培養法と同様に液体培地を用いた大量培養法においても、塊茎、球根などの貯蔵組織そのものを誘導するとき以外は光は必須条件とされており(高山真策、クローン増殖と人工種子、p119、1989年、オーム社、東京、日本国)、光強度を増す条件が液体大量培養の重要検討要因とされている(Paekら,In Vitro Cell Dev.Biol.−Plant 37,p149,2001)。植物の増殖に伴い培養槽内部には光が届きにくくなる為、内部に照明を設置するなどによって改善さえも試みられている(日本国特開平07−008263号公報)。
暗所条件での植物の生育は、明所に比して顕著に劣ることが報告されている(Hasegawaら,J.Amer.Soc.98(2),p143,1973;KikutaとOkazawa,Physiol.Plant.,61,p8,1984)。光は植物の生育に必須、又は暗所条件が生育に適さない為、光のない暗所条件で増殖を行う検討は、上記の開示以外殆ど行われてこなかった。例外的に球根、塊茎などの貯蔵組織そのものの誘導においては暗所培養が用いられるケースがあるが、それらは自然条件下でも土中という暗所条件で生じる現象である。一方、貯蔵組織の肥大には植物自体の生育・増殖は伴わない例も多く知られている(日本国特許第3405838号公報、Paekら,In Vitro Cell Dev.Biol.−Plant 37,p149,2001、Vasil,I.K.,Scale−up and automation in plant propagation,p111,1991,Academic press Inc.)。また、貯蔵組織を用いた培養では誘導される組織は貯蔵組織そのものであるか又は節部を殆ど有しない多芽組織であり、本発明に望ましい節間が伸長した生育形態とはならない(高山真策、クローン増殖と人工種子、p129、1989年、オーム社、東京、日本国)。
このような状況において、本発明者らは、植物、特に節間が伸長する植物の増殖、再生において、従来の液体培養法による問題点を解消し、高効率、低コストおよび大量生産が容易な植物苗の大量増殖法について検討した。
本発明者らは鋭意検討の結果、(1)液体培養で大量に増殖した植物体を、芽を個別に確認することなくランダムカットし、それら切り分けた組織を選別することなく次工程にて効率的に芽を誘導しうることを見出した。更に、(2)そのランダムカットするに適した植物体の形態が、ある一定期間、暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下での培養を経ることによって実現可能であること、(3)このような光条件下での培養にても明所培養と同様に高い効率の増殖が可能であること、(4)植物によっては、ランダムカットした組織を明所培養に先立ってある一定期間暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下にて培養することによって、馴化により適した形態の苗(以下、「良苗」ともいう)が得られること、(5)植物によっては、液体での大量増殖時に、一般に用いられるよりも高濃度のショ糖濃度、基本培地濃度が適していること、を見出し、本発明の完成に至った。
発明の概要
本発明は、以下の特徴を有する。
本発明は、暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下で植物体を培養増殖した後に、該植物体を無作為切断し、それによって得られた組織片を培養することを含む、植物苗の生産方法を提供する。
本明細書中で使用される「無作為切断」(「ランダムカット」ともいう)という用語は、芽を個別に確認することなく無作為に組織片や植物体を切断することを意味する。それゆえ、植物片は芽を含んでいなくてもよく、この場合、切片から不定芽も誘導されうる場合もある。また、本発明の方法では、切り分けた組織を選別する必要もなく、切断後のすべての組織片を培養に供することができる。
本発明の実施形態により、植物は、節間伸長する植物が好ましい。
本明細書中で使用する「節間伸長する」という用語は、茎がロゼット化せずに生育することを意味する。このような節間伸長する植物には、例えばサツマイモ、ダリア、ジャガイモ、トマト、メロン、カーネーションなどが含まれる。又、明所下では、節間が伸長しない植物であっても本発明の暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下では節間が伸長する植物もある。例えばカスミソウ、プリムラ、スターチス、ガーベラ等である。それらの植物も本発明の方法に適用できる。特に好ましい植物は、サツマイモ、ダリア、ジャガイモ、カーネーションである。しかし、本発明の上記方法によって従来法に比べて効率的に植物苗の生産が可能となる限り、いかなる植物も本発明に含まれるものとする。
本発明の別の実施形態により、上記の暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下での培養において、通常より高い濃度の糖ならびに/あるいは通常より高い濃度の窒素およびカリウム成分を含む培地が使用される。
培地としては、植物の組織培養のために通常使用される培地であればいかなる培地も使用できる。好ましい培地はムラシゲ・スクーグ(MS)培地(MurashigeとSkoog,PHYSIOLOGIA PLANTRUM,15,p.473−479,1962)である。本明細書中で使用する「通常より高い」という用語は、植物組織培養において一般的に使用される培地中の糖や窒素およびカリウム成分の通常濃度より高い濃度を意味する。これらの一般的濃度は、糖について2〜3%(W/Vまたは重量/体積)、窒素成分(硝酸態窒素、アンモニア態窒素)について約0.3%(W/V)、カリウム成分について約0.07%(W/V)である。本発明では、好ましくは、糖の濃度が約4〜約8%(W/V)である。また、窒素およびカリウム成分の濃度は、好ましくは通常濃度より高く約3倍以下、より好ましくは1.2〜3倍、最も好ましくは1.5〜2倍である。
本発明の別の実施形態により、上記無作為切断後の組織片の培養において、一定期間、暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下で定芽の伸長を促進ならびに/あるいは不定芽の誘導および伸長を促進することができる。この条件下での培養は、二酸化炭素ガス処理の前処理として行われる。このような前処理によって、良苗割合が約40〜約50%増加する。この方法は特にサツマイモなどの植物において有効である。
本発明の別の実施形態により、上記無作為切断後の組織片の培養において、上記前処理の後で、あるいは上記前処理なしで、二酸化炭素ガス富化下で定芽の伸長を促進ならびに/あるいは不定芽の誘導および伸長を促進することができる。上記前処理をしない例として、例えばダリアなどの植物は、暗所または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下での前処理なしに、明所下で二酸化炭素ガス富化下の培養に供することができる。
本明細書中で使用される「二酸化炭素ガス富化下」という用語は、培養の空間におけるCO濃度が0.1〜10ppm、望ましくは0.5〜5ppmであることを意味する。
二酸化炭素ガス富化下での培養は、通常、明所下で行われる。これによって光合成を活発にし植物苗の生長を促進することができる。
本発明により、ランダムカット作業にて大量培養後の作業効率が大幅に向上し、また暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下でのランダムカットに適した形態の大量増殖が可能になり、したがってその増殖、作業効率が更に改善され、また、投入資源が著しく軽減されるなどの利点が得られる。
さらに、暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下での培養法は明所での手法に比して必要となる投入資源が大幅に少なくて済む。例えば照明設備が不要であり、そのため空調設備も小規模でよい。即ち、暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下の培養は設備条件の制約が小さく、需要の大幅な変動にも容易に対応が可能である。一般的な空調とエアー供給設備があれば容易に増産ができ、大きな利点の1つである。
さらにまた、暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下の培養から得られた植物体の次工程での苗生産効率は、明所培養で得られた植物体に比してより高い場合さえある。
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願2005−228349号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図1は、サツマイモにおいて二酸化炭素ガス富化前の暗処理の有無がもたらす良苗(左図、暗処理有り)と通常苗(右図、暗処理無し)の親組織からの分離状態を示す写真である。良苗の場合、親組織から容易に分離可能であるが、通常苗の場合、親組織からの分離が困難、馴化は可能である。
本発明は、上記のとおり、暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下、好ましくは光合成光量子束密度1.2μmole/m/sec以下の極弱光下で、植物体を培養増殖した後に、該植物体の無作為切断によって得られた組織片を培養することを含む、植物苗の生産方法を提供する。
(植物体の増殖)
無作為切断(「ランダムカット」ともいう)に用いる植物は液体培地で増殖するのが望ましい。固体培地に比して増殖率が高く旺盛に生育する。培養を終了する前に、3日以上、望ましくは7日以上、より望ましくは液体培養での全培養期間を暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下で培養する。このような光条件で培養することにより、明所培養に比して節間が伸長し、茎が細くなり、葉のサイズが小型化してランダムカットに適した形態となる。
通常の植物組織培養から得られる母株を用意し、この母株を上記暗所または弱光条件下で培養するか、あるいは生長の遅い植物であれば予め明所にて器官培養を行った後で上記暗所または弱光条件下で培養する。
液体培養工程に用いる培地は、上記暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下での増殖を促進し、かつ葉や茎のサイズが小型化する培地を選択する。基本培地はMS培地など通常組織培養で用いられる培地でよい。糖源としてショ糖1〜10%、望ましくは2〜8%、および/または、ソルビトール若しくはマンニトール等の糖アルコール類を0.1〜3%、望ましくは0.5〜2%、植物生長調節物質としてサイトカイニン類、望ましくは6−ベンジルアデニン(BA)を0〜5ppm、望ましく0.03〜1ppm、その他のサイトカイニン類としてゼアチン(ZEA)、カイネチン(KN)、6−(ベンジルアミノ)−9−(2−テトラヒドロピラニル)−9H−プリン(PBA)、2−イソペンテニルアデニン(2ip)、チジアズロン(TDZ)等を用いることができる。また、オーキシン類として2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、インドール−3−酢酸(IAA)、インドール−3−酪酸(IBA)、1−ナフタレン酢酸(NAA)、4−クロロフェノキシ酢酸(CPA)、クロロメチルフェノキシ酢酸(MCPA)、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5−T)、ジクロロメトキシ安息香酸(DICAMBA)、トリクロロアシノピコリン酸(PICLORAM)等を用いることができる。更に他の植物生長調節物質としてジベレリン酸(GA)、アブシジン酸(ABA)、ブラシノステロイド(BS)、アンシミドール(Anc)などを同様の濃度でそれぞれ単独または適宜組み合わせて添加してもよい。適宜上記培地成分を選択することにより、暗所または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下で増殖が良好且つ茎葉が一層小型化する条件を両立できる。
なお、上記の各種成分を含む培地は、混合調製後、オートクレーブ前に塩酸等の酸や水酸化ナトリウム等のアルカリを用いてpHを通常5.2〜6.4に調整する。また生長点からの培養苗(母株)の誘導や維持に用いる培地は固体培地が望ましく、通常上記pH調整を行った後に固化剤として寒天、或いはゲルライト(和光純薬工業(日本国))をそれぞれ0.7〜1.0%、或いは0.1〜0.3%、添加してからオートクレーブすることで、それぞれ無菌の培地調製を行うことができる。
サツマイモ等の一部植物においては、ショ糖などの糖の濃度及び基本培地組成(特に、窒素及びカリウム成分)の濃度を通常の増殖場面で用いられているよりも高めることによって液体培養工程における増殖率が著しく改善される。糖濃度は、約2〜約8%(W/V)、好ましくは約4〜約8%(W/V)、より好ましくは約5〜約7%(W/V)、窒素及びカリウム成分(例えば硝酸カリウム、硝酸アンモニウムなど)は、植物組織培養で使用される通常培地(例えばMS培地など)の1.2〜3倍、望ましくは1.5〜2倍とする。固体培地及び液体培地に関わらず、植物培養物の増殖には通常2〜3%のショ糖が用いられており(クローン植物大量生産の実際技術、p26、1985年、シーエムシー社、東京、日本国)、それより高い濃度の糖は芽の増殖や植物の生育には適さないとの報告がなされている(AkitaとTakayama,Acta Horticulturae,230,p55,1988;HaradaとYakuwa,J.Fac.Agr.Hokkaido Univ,.vol.61,pt.3,p307,1983)。例外的に、塊茎や球根と言う貯蔵組織を誘導する際にのみ高濃度のショ糖条件は限定的に用いられてきた。上記高濃度のショ糖濃度が増殖を促進する例はこれまでに殆ど知られていない。また、組織培養に通常用いられるMS培地は、無機塩含量が高いので(クローン植物大量生産の実際技術、p25、1985年、シーエムシー社、東京、日本国)、窒素成分などを減らす培養条件の改良はこれまで種々の例があるが(YamamotoとOda,Acta Horticulturae,319,p143,1988)、通常以上の上記成分の濃度は阻害的な報告はあるが(Scale−up and automation in plant propagation,p111,1991,Academic press Inc.)積極的に増殖に用いた例は少ない。
容器については市販されている多くの植物組織培養用の培養槽(例えば柴田科学社(日本国)等からの販売品)を用いることができる。
通気量は、0.005〜0.3vvm、望ましくは0.02〜0.15vvmとする。
暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下の培養期間は、上述の通り、培養終了前に暗所培養を行う場合は3〜21日、望ましくは5〜14日とする。全培養期間を暗所で行う場合は14〜70日、望ましくは25〜50日とする。暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下での培養に先立って明所培養を行う際には、光量子束密度5.7〜57μmole/m/sec、望ましくは11.4〜34.2μmole/m/secとする。明所の培養期間は14〜70日、望ましくは25〜50日とする。また、本植物体の増殖に用いる培養苗(上記母株)の調製工程、暗所または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下での培養に先立つ明所培養、更には本植物体の増殖工程での明期の期間としては、通常12〜24時間/日、望ましくは14〜18時間/日である。
同各種培養工程及び暗所液体培養工程での温度としては、通常15〜35℃、望ましくは20〜30℃である。
植物の種類によって好適な諸条件を設定することができる。例えばダリアの場合は、ランダムカットに用いる植物体は上記暗所または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下にて、培地にショ糖、ソルビトール及び6−ベンジルアデニン(BA)を加えた培地で培養するのがよい。サツマイモの場合、ランダムカットに用いる植物体は、明所で4〜7週間培養した後に暗所で1〜2週間培養するのがよい。培地中のショ糖は6%程度とし、培地中のNHNO及びKNOの濃度は通常より高くするのがよい。また、より高い増殖率を求める場合及び全期間を暗所とする場合には、培地にBAやジベレリン酸(GA)を添加するのがよい。温度は27〜30℃程度がよい。
(無作為切断(「ランダムカット」))
ランダムカットする茎片等の組織の長さは0.5〜5cm、望ましくは1〜3cmである。例えばダリアの場合、ランダムカットするサイズは1cm程度とし、またサツマイモの場合、ランダムカットのサイズは2cm程度とするのが好ましい。
ランダムカットされた茎片等の組織が定芽(腋芽等)を含む場合は、その定芽が伸長して植物となるが、本定芽を含まない茎片等の組織の場合でもその切片等から不定芽が誘導されることがあるため、本組織に芽が含まれていなくてもよい。
従来法では、腋芽または生長点を含むように非無作為に切断し移植が行われていたため、この工程に多大の時間を要していたのに対して、本発明方法では、約400〜約2,000本の植物体を約20分で切断し移植することができる。本発明のこのような上記暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下での植物体の増殖と植物体のランダムカットの組み合わせは、本願出願前に開示がないことから明らかなように、当業者が容易に想起しえたことではなかった。
ランダムカットの作業を非無菌環境下で行う場合には、培地に静菌剤を添加する。静菌剤としては市販されておりオートクレーブによっても分解されないものが望ましいが、もし分解する場合にはフィルター滅菌によって、オートクレーブ後に十分に培地温度が下がってから添加すればよい。特に固体培地の場合は、固化する直前に添加することが望ましい。
(植物苗の作製)
ランダムカットした組織片を培養する場合、移植する培地は固体培地でもよいが、作業効率をより高めるためには液体培地が望ましい。また、容器については、オートクレーブ(120℃、1気圧、15分)に耐え得るものであれば無菌の培養時に用いる容器は特定されない。容器に液体培地を例えば100〜500ml添加し、これに、ランダムカットした組織片を選別することなく生重量で10〜100gずつばら撒き、1〜5週間明所条件下で培養する。その期間にランダムカットした組織に含まれる芽が伸長、発根し、容易に土(プラグ、ポットなどの容器中)に移植し得る苗となる。サツマイモのように植物の種類によっては、容器にランダムカットした組織片をばらまいた後、すぐに明所培養を行うのではなく、その前に1〜10日、望ましくは3〜7日、暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m/sec以下の弱光下で培養してから明所培養することによって、更に節間が伸長し馴化により適した形態の苗(「良苗」ともいう)が得られる。
この工程に用いられる培地は、MS培地(MurashigeとSkoog,Physiol.Plant.,15,p.143,1962)など通常組織培養に用いられる培地でよい。通常の明所条件ではショ糖は1〜8%、望ましくは2〜5%添加する。植物種によっては、6−ベンジルアデニン(BA)、ジベレリン酸(GA)、アンシミドールなどの植物生長調節剤を0.01〜5ppm、望ましくは0.1〜3ppmで単独又は適宜組み合わせて添加する。なお、二酸化炭素ガスを富化した環境条件下(二酸化炭素ガス富化下)ではショ糖を低濃度で添加するか、若しくは添加しなくてもよい。二酸化炭素ガスの濃度は、培養空間におけるCO濃度が0.1〜10ppm、望ましくは0.5〜5ppmである。またショ糖濃度は通常上記濃度で用いるが、ショ糖を低濃度で添加する場合とは1%以下で用いることを指す。
光条件は、光合成光量子束密度5.7〜57μmole/m/sec、望ましくは11.4〜34.2μmole/m/secとする。日長は、12〜24時間日長(12〜0時間暗所)が望ましい。光源としては市販されている各種蛍光灯であればどのようなものを用いてもよい。
苗は、温室などの開放系に若干の遮光のみの条件下で直接移植することができる。
得られた植物体の栽培の条件を調節することにより、更に利用目的に適した形態の植物体を誘導することも可能である。例えば、ジャガイモにおいては、作出した苗からミニチューバーを誘導できる(The Potato Crop,The scientific basis for improvement,Paul M.Harris編,CHAPMAN & HALL,London,1992,特に図6.12参照)。誘導されたチューバーは長期の貯蔵が可能であり、圃場に植え付けることが可能である。またサツマイモについては、ジャガイモ同様に小さな貯蔵組織である塊根が誘導可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何ら制限するものではない。
<実施例1>
ダリア(品種カロリナレッド、リサホワイト、またはリサダークピンク(いずれも、キリン・グリーンアンドフラワー(株)、日本国))の培養苗を用いて以下の実験を行った。同培養苗は、MS培地にショ糖3%、ゲルライト(和光純薬社、日本国)0.2%を添加しpHを5.8に調整した固体培地上にて、明所(光合成光量子束密度22.8μmole/m/sec、16時間日長)、25±2℃の条件下にて維持された苗の1芽を含む茎片を切り分けて5週間ごとに継代培養しているものである。培養容器には内容積約300mlのものを用いた(プラントボックス、旭テクノグラス社製、日本国)。培養4週目の培養苗16本(草丈約6cm、供試材料)を、MS培地にショ糖1.5%、ソルビトール1.0%、BA0.02ppmを添加した5Lの液体培地(pH5.8)を含む円筒型の培養容器(底面積約190cm、高さ約45cm、内容積約6L)に植え付け、0.06vvmの通気を底面部から行いながら、以下の2種類の光条件にて培養を行った(ともに温度は25±2℃とした)。1)明所区:光合成光量子束密度22.8μmole/m/sec、16時間日長。2)暗所区。5週間培養後には両区とも植物が増殖して培養槽上部まで達し、培養槽は植物で満たされた。それら植物体を取り出しそれぞれの区の葉の大きさ(縦長、幅)を計測した。両区ともに植物の上部から下部までの着生葉につき計測した。その結果を表1に示す。
Figure 0004191236
明所区の葉のサイズは暗所区に比して2倍程度又はそれ以上大きく、ランダムカットを行った際の葉や根といった植物残渣が暗所区に比して著しく多く、また作業効率が著しく悪かったため、次工程に移行するには不適当であった。また、暗所区の植物について1芽ずつを含む茎片に切り分ける作業を試みたが、ランダムなカットが2〜3分の所要時間で作業を終了できたのに比して、数倍〜十数倍の時間を要することが判明し作業を中断した。
次に暗所区の植物を、完全には無菌ではない環境(作業はクリーンベンチ内、植物の回収及びカットに用いる資材は無菌でない)にて、包丁を用いて芽の場所(または有無)を確認することなく約1cmの長さにランダムカットした。それらのカットした組織片を選別することなく、ショ糖3%、BA0.02ppm、静菌剤であるPPM剤(PhytoTechnology Laboratories社、米国)を0.5ml添加したMS液体培地(pH5.8)250mlを入れた透明なプラスティック製の箱型容器(22cm×17cm×7cm、底部にペーパータオルを敷いてある)に50g置床した。その容器を、二酸化炭素ガス濃度を2%に高めた雰囲気中(富化下)にて、25±2℃、明所(光合成光量子束密度22.8μmole/m/sec、16時間日長)の条件下で2週間培養した。培養終了後、得られた植物(1対2葉以上に生育した苗)の数量を計測し、培養槽あたりの苗生産本数を集計した。結果を表2に示す。
Figure 0004191236
二酸化炭素ガス富化下にて最終的に得られた上記の苗は、温室環境下で遮光や加湿等の付加的な環境を無くしても100%に近い生存率を示した。暗所の液体培地で増殖された植物体をランダムカットし、二酸化炭素ガス富化下で苗化する培養法の有効性が明確に示された。
<比較例1>
実施例1と同じ培養4週目の培養苗(供試材料)16本を1芽ずつ含む茎片にカットした後、4週間同じ条件で培養した。得られた植物を更に1芽ずつを含む茎片にカットしたものを同条件にて4週間培養することで、実施例1と形態的にはほぼ類似の発根苗を得た。この方法(従来技術)での苗生産本数は144本(植付け苗数当りの増殖率は9倍)であった。しかも、得られた発根苗が温室条件にて生存するには、強度の遮光及び十分な加湿等の付加的な条件が必要であった。
<実施例2>
容器は実施例1と同じプラントボックスを用い、MS培地にショ糖3%、ゲルライト0.2%を添加した培地(pH5.8)で28±2℃、明所(光合成光量子束密度22.8μmole/m/sec、16時間日長)の条件下で5週間ごとに継代培養したサツマイモ(品種 紅東((株)ベルディ、日本国))の培養苗(草丈約5cm、供試材料)を用いて次の試験を行った。MS培地にショ糖を6%加えた液体培地4Lを入れた実施例1と同じ培養槽に培養苗6本を置床し、明所(光合成光量子束密度11.4μmole/m/sec、16時間日長)、28±2℃で7週間培養を行った。増殖した培養槽から得られた植物に含まれる総節数を計測した。対照には、液体培地のショ糖濃度を3%にした区を用いた。
Figure 0004191236
通常組織培養に用いられるショ糖濃度(2〜3%)より、倍の高濃度の条件がサツマイモ増殖に適していることが確認できた。
<実施例3>
サツマイモ(品種 紅東)の培養苗につき、実施例2の培養槽での培地条件を更に以下の様に変更して検討を行った。
(1)MS培地、ショ糖6%
(2)MS培地でKNO及びNHNOを1.5倍量とした培地、ショ糖6%
(3)MS培地でKNO及びNHNOを2倍量とした培地、ショ糖6%
(4)MS培地でKNO及びNHNOを1.5倍量とした培地、ショ糖3%
(5)MS培地でKNO及びNHNOを2倍量とした培地、ショ糖3%
明所条件で液体培養を5週間行った後、暗所条件にて更に2週間培養を行った。この暗所培養中に、明所培養にて展開した葉は減耗し、また多くの節から葉を殆ど有せず且つ節間が伸長した茎が多数伸長した。培養槽の上部にまで生長したそれら植物を無菌条件下にて取り出し、包丁にて約2cmの長さにランダムカットした(比較例として、明所培養から直接回収した植物を用いたが、葉が暗所培養で得られた植物に比して著しく大きく作業効率が著しく低下したので作業を中断した)。実施例1と同じ箱型容器にMS培地に6%のショ糖を添加した液体培地(pH5.8)を200ml入れ、そこにランダムカットした組織を50g置床した。それらを5日間暗所、28±2℃にて培養した後に実施例1と同じ二酸化炭素ガス富化培養条件にて3週間培養した。暗所培養中にランダムカットした組織に含まれる芽が伸長し、二酸化炭素ガス富化培養後に節間が適度な長さに伸長した馴化に適した形態の苗が多く得られた。上記(1)〜(5)の夫々の条件について、培養槽あたりに生産された苗数を表4に示す。
Figure 0004191236
ショ糖濃度を6%とした上、更に窒素及びカリウム成分を通常の培地よりも1.5倍に高めた条件(上記(2))が明らかに増殖率の向上に最も有効であった。比較例として、供試材料を上記試験と同じ期間にて増殖した区を設け(5週間毎に2回継代培養を実施)、得られる培養苗数を計測したところ、6本の供試材料から54本の苗が得られたにすぎなかった。
<実施例4>
サツマイモ(品種 紅東)の培養苗につき、実施例3と同じ条件で試験を行い(培地はMS+ショ糖6%、pH5.8)、ランダムカットするサイズ(1cmと2cm)及び、二酸化炭素ガス処理前の暗所前処理の有無が、得られる苗数(総苗数)及び馴化により適した形態の苗(「良苗」という)の割合に及ぼす影響を検討した。良苗とは、ランダムカットした組織から次工程中に節間が伸長し、同組織から分離可能なサイズとなった苗を示し、馴化作業が容易になり活着後の苗形態も改善される(図1参照)。結果を表5及び表6に示す。
Figure 0004191236
Figure 0004191236
二酸化炭素ガス富化前の暗処理により、明らかに良苗の割合が向上した。また、ランダムカットのサイズについては、1cmよりも2cmの条件にてより苗数及び良苗率が顕著に向上し、本発明の工程の有効性が証明された。
<実施例5>
実施例4から得られた苗を、温室にて、培養土を充填した128穴のプラグトレイに馴化して植物を得た。それらを昼温約20〜30℃、夜温15〜20℃で追肥を行うことなく栽培したところ、地上部の生育は緩慢であり3ヶ月後には生育が認められなくなった。苗を掘り取ったところ、約6割の苗から生重量で0.1〜0.9gの塊根(ミニチューバー)が得られた。それら塊根は、同様の条件に植え付けたところ萌芽し苗となった。塊根は長期貯蔵が容易であるため、本法は増殖、貯蔵法の有効な手段と確認された。
<実施例6>
サツマイモ(品種:紅東)の培養槽での苗の増殖を、光条件を変えること以外は実施例2と同じ条件にて行い、培養終了時に茎葉重量(生重)及び葉の縦長と幅長を計測した(表7)。その結果、明所では大型の葉が形成されたのでランダムカットが適用できなかった。一方、暗所条件では明所条件に比して葉のサイズは大幅に小さくなったが、茎葉増殖重量の減少も大であった。極弱光条件では、上記2条件の中間的な生育、即ちランダムカットに適した小型の葉を有し且つ茎葉重量も暗所条件より良好な生育が認められ、光合成光量子束密度1.2μmole/m/secという極弱光条件が、ランダムカットに適した増殖に有効であることが確認された。
Figure 0004191236
<実施例7>
サツマイモ(品種:紅東)の培養槽での植物体増殖を、光合成光量子束密度1.2μmole/m/secという極弱光条件にて行ったのち、得られた1培養槽あたりの植物体(約800本)を、芽の存在を意識せず約2cmの長さにランダムカットし、実施例1と同じ二酸化炭素ガス富化処理用の箱型容器に移植する本発明の方法に要する時間は、約20分/培養槽であった。これに対し、明所で増殖した苗から葉や根を除去したのち、必ず芽を含むように1芽カットし、次いでプラントボックスへ植付ける従来の方法でのカットに要する時間は、6時間15分/培養槽であった。
<実施例8>
実施例1と同じ手法にてダリア培養苗(品種リサホワイト)を暗所にて増殖し、ランダムカットの後に透明プラスティック容器に50gずつ置床した。作業時間を計測したところ、ランダムカット及び透明容器への置床に要した時間は、夫々、3分及び18分であった。比較例として、増殖した植物体を1芽ずつに分割し、プラントボックスへ9本ずつ置床するのに必要な作業時間を計測したところ、各々210分、32分であった。前者作業は本発明の70倍、後者作業は同1.8倍の時間が必要であり、本発明の作業効率の高さが示された。
<実施例9>
実施例1と同じ条件にてダリア培養苗(品種カロリナレッド)を増殖させた。暗所区から得られた植物体を、定芽を含む節部を除去し、節間部のみを無菌環境下にて0.5〜1cmのサイズに切り分けた。それら切片を、MS培地にショ糖3%、NAA0.01ppm、BA1.0ppm、ゲルライト0.2%を添加し、かつpHを5.8に調整した固体培地(50ml/プラントボックス)に5個ずつ置床した。それらを明所(光量子束密度32.8μmole/m/sec、16時間日長)、25±2℃の条件下にて6週間培養したところ、切片から不定芽が誘導され、プラントボックスあたり平均17.5個の芽が得られた。本発明が、定芽以外の組織からの増殖にも有効であることが示された。
本発明により植物苗を高効率的に大量生産することが可能になり、このことは産業上有用である。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。さらにまた、当業者は、本発明に関する上記説明に基づいて本発明の種々の変更および改変が可能であることを理解するであろう。そのような均等物は、添付の請求の範囲に記載された発明を逸脱しない限り、本発明の範囲に包含されるものである。

Claims (4)

  1. 暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m2/sec以下の弱光下で植物体を培養増殖した後に、該植物体を無作為切断し、それによって得られた組織片を暗所下または光合成光量子束密度5.7μmole/m2/sec以下の弱光下で培養した後、明所下で培養することを特徴とする、節間伸長する植物苗の生産方法。
  2. 節間伸長する植物がサツマイモまたはダリアであることを特徴とする請求項に記載の方法。
  3. 暗所または弱光下での培養において、4〜8%(W/V)の濃度の糖ならびに/あるいは植物組織培養で使用されるMS培地中濃度の1.2〜3倍高い濃度の窒素およびカリウム成分を含む培地を使用することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 無作為切断後の明所下での組織片の培養、二酸化炭素ガス富化下で行うことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
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