JP2008218405A - プラズマディスプレイパネルおよびその低温製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルおよびその低温製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマディスプレイパネルの上板の誘電体層、下板の誘電体層を含む隔壁、また、上板と下板を封着するシール材に鉛を使用することなしに、300℃以下で重合して硬化させることによって得ることができるプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法。薄い低温ガラス基板の使用を可能にし、工程中の基板変形を抑制して大型パネルの作製を可能にし、製造の工程が簡単・容易になって、低コスト、高収率で信頼性のあるプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法。
【解決手段】300℃以下の低温工程により製造されるプラズマディスプレイパネル。上板の誘電体層、下板の誘電体層を含む隔壁、および上板と下板を封着するシール材の中、少なくとも1つが、有機単量体、有機オリゴマーまたは重合可能な官能基を有するシロキサン系オリゴマーを硬化させて得られた3次元網目構造の化合物でなるプラズマディスプレイパネルとその製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する)およびその製造方法に関する。より詳細には、300℃以下の低温焼成でパネルを作製することによって、工程中における基板の変形を抑制して大型パネルの作製を可能とする。さらに、本発明は、作製工程が簡単化かつ容易化されるとともに、低コスト、高収率で信頼性の高いPDPおよびその製造方法に関する。
一般的に従来のPDPは、画像をディスプレイする表示面である上板と下板が一定の距離を有しながら平行状に結合されている(図1参照)。
前記の上板上には、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)などのような物質で形成された透明電極と、この透明電極上に銀(Ag)のような金属材質で作製されたバス電極が配列された複数のサステイン電極が並列で配設されている。前記サステイン電極は、放電電流を制限し、電極対の間を絶縁させる誘電体層によって被覆され、その上面には放電条件を容易にするべく、酸化マグネシウム(MgO)を蒸着した保護層が形成される。
一方、前記上板に対向する下板上に、複数個の放電空間、すなわち、セルを形成させるためのストライプ型(またはウェル型)の隔壁が平行を維持しながら配列される。前記サステイン電極と交差する位置においてアドレス放電を行なって真空紫外線を発生させる多数の(Ag)アドレス電極が前記隔壁に対して平行に配置される。前記隔壁を形成する前に下側のアドレス電極の上側には、まず誘電体層が焼成によって形成され、また前記下板の上側面の両隔壁内には画像を表示するための可視光線を放出するR.G.Bの三色蛍光層が塗布される。
前記のような構成で作製された上・下基板をシール材によって封着した後、真空加熱排気によって放電空間内の残余物質を除去し、プラズマを発生させるためのガスを充填することによってPDPを製造していた。
しかし、前述のような従来のPDP製造方法においては、誘電体(造成)物質、隔壁(造成)物質、シール材物質などにペーストまたはスラリー状のガラスフリットを使用することになるが、前記の物質などを硬化させるためには500〜600℃の高い焼成温度が必要となる。また、代表的な軟化物質であるPb(鉛)の添加なしに製造する場合には、前記の温度よりさらに高い温度で焼成しなければならない。ここで、このような高温の熱履歴工程は、基板ガラスの寸法を変化させるとともに、パターンにずれを来たして表示パネルの不良を発生させる。またパネルを大型の画面にすることに困難性が生じるなどの問題もある。このような理由のために、一般的に隔壁を支持するPDP基板もやはり高温において軟化の生じない特殊ガラスを使用しなければならない。
また、PDP用透明誘電体の場合、ガラスペーストは、PbOが過量包含されたPbO‐B2O3−SiO2系組成のガラス粉末とフィラー、有機溶剤、高分子樹脂が混合されており、ガラス基板上にスクリーン印刷法で厚膜を形成した後、500〜600℃で高温焼成する。このとき、誘電体層の高い透光性を得るためには、層内に包含されている気泡を除去する過程が非常に重要であり、ガラス粉末の組成、粒径、製造条件、焼成条件などに対する精密な調整が要求される。
誘電体の耐電圧特性は、PDPが駆動される際、非常に重要な要素であり、ガラスペーストを使用する誘電体の場合、焼成条件やガラス粉末の表面状態によって発生される気泡により耐電圧特性に劣化が発生する。なお、焼成後、膜内に残る金属性Pbも誘電体層の耐電圧特性が劣化して誘電体の性能を低下せしめる結果になる。
低融点ガラスを主成分とするフリットを使用する場合にも、過量のPbを添加することなしに、低温焼成型の透明誘電体素材を得ることは難しい問題がある実情であり、低融点のガラスフリットの場合にも550〜580℃の高温焼成が要求される。このような500℃以上の高温の熱履歴工程は、基板ガラスの寸法を変化させるなど、前記のような高い焼成温度に伴ういろいろな問題を有している。
また、Pb成分を主成分とする低融点ガラスは、放電の時高い電流を発生させ素子の消費電力を増大させる問題がある。なお、Pbは環境汚染物質であり、殊に、下板の隔壁形成におけるように廃棄物が多量発生する場合に、環境汚染および廃棄物処理費用の増加を発生させる。特許文献1と特許文献2には、軟化点が500〜600℃のNa2O-B2O3-SiO2系ガラス、Na2O-B2O3-ZnO系ガラスをPb成分のないガラス組成として提示している。これらのガラスには、軟化点を低下させるNa2O(酸化ナトリウム)、K2O(酸化カリウム)、Li2O(酸化リチウム)などのアルカリ金属酸化物からなり、軟化点を低下させる成分が添加されており、誘電体層の焼成を比較的低い温度で行うことができる。しかし、このような軟化点を低下させる成分が添加されたガラスを誘電体層の形成に利用する場合には、誘電体層や前面ガラス基板が黄色に変化する黄変の可能性があり、焼成温度も比較的に高い500℃以上を要するので、低コストのソーダ石灰ガラス基板や薄い金属基板のような一般的な基板を使用するには制限がある。
また、特許文献3においては、Na2O-B2O3-SiO2系ガラス、Na2O-B2O3-ZnO系ガラスの場合に発生する前記黄変を減らすための方法として、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、酸化銅、酸化銀、酸化マンガン(IV)、酸化セリウム(IV)、酸化スズ(IV)、酸化アンチモン(IV)などを誘電体の組成成分として提示しているが、これもやはり焼成温度が500℃以上を要する物質である。
低融点のガラスペーストを利用する誘電体層の形成において、一般的にスクリーン印刷法が代表的に使用されているが、2回以上の繰り返し印刷を通じて厚膜を形成するためその工程が非常に複雑である。殊に、下板の隔壁は、誘電体層と比べて厚い膜が要求されるので8回程度の繰り返し印刷を通じて得ることができる。しかし、ガラスペーストを利用する厚膜の形成においては、焼成条件にしたがって膜表面の平滑度が変化するため、工程に細心な注意が求められる。このようなスクリーン印刷法の問題を解決するために、特許文献4では、ガラス基板の表面に誘電体層を形成する工程(ドライフィルム法)を含むPDPの製造方法を提示している。該工程は、ガラスペースト組成物を支持フィルム上に塗布した後、塗膜を乾燥して厚膜形成用の材料層を形成し、支持フィルム上に形成された厚膜形成用の材料層を、電極が固定されたガラス基板の表面に転写し、前記転写された厚膜形成用材料層を焼成することによって、行われる。しかし、ドライフィルム法を利用する転写方式も工程を単純化することはできるが、従来の低融点ガラスペーストを利用することになるため、焼成条件による誘電体形成における問題は依然として存在する。
特許文献5と特許文献6においては、シリコン樹脂と無機‐有機混成物質を使用することによって従来のPbが包含された低融点ガラスペーストの場合と比べて、有意に低い温度で焼成の可能な誘電体および隔壁の組成を提示している。そして、既存のスクリーン印刷法の他にスピンコーティング法、バーコーティング法、塗布法など多様な誘電体形成方法を提案している。また、上述したドライフィルム法による転写方式への応用性も高く、焼成時の気泡による耐電圧特性の劣化を減らすことができるメリットを有する。シリコン系樹脂や無機‐有機混成物質を誘電体の組成に使用した場合、既存の問題として残存するPb成分による環境汚染、誘電体の機能低下、高い誘電常数による高電力消費、高い焼成温度による精密を要する寸法の変形やずれなどや、基板の制限性などを解決することができる。殊に、低温焼成は、低温基板と薄い基板を使用することができるようになるとともに、基板変形の抑制による大型パネルの作製が可能になり、工程が簡単・容易になるので、結論的には高収率でかつ高信頼性を有する低コストのPDPを製造することができる。
PDP下板に使用される隔壁の形成材料は、一般的に前面基板に使用される誘電体の組成に白色および黒色系顔料を添加して作製され、その組成によって多様な模様の隔壁の製造方法が提示されている。42インチパネルの場合、スクリーン印刷法によって隔壁全体の高さの誘電体層を作製し、サンドブラスティング(sandblasting)法によって隔壁構造を形成することが一般的である。60インチ以上HDTV級PDPの製造においては、構造物間のさらなる小ピッチと平滑性が要求されるため、多層印刷でなるスクリーン印刷法や、サンドブラスティング法等では、精確な寸法を要するとともに、複雑な構造物であるPDPの製造には適当とは云えない。ここで、多層スクリーン印刷によって複雑化された工程と、パネル全体に均一な隔壁と誘電体を形成するときに発生する問題を解決するために、特許文献7と特許文献8では、上述のドライフィルム法(ガラスペースト組成物と支持フィルムから得られる厚膜形成材料層と、この厚膜形成材料層の表面に容易に剥離されるように設けられたカバーフィルムを積層させてなる複合フィルム)によって一度の工程で隔壁層を形成することを提案している。しかし、このような方法も工程の単純化は可能であるものの、焼成された低融点ガラスが有する基板特性の制限性、微細構造パターン形成の困難性、表面の平滑度、多量の環境汚染廃棄物の発生等といった問題は避け難い。したがって、一度の工程で高いレベルの厚さを得ることができ、微細パターンの形成に容易な材料の開発と、隔壁の低温焼成が可能な低価基板の使用可能性を実現させることは、大面積高画質のPDP製造には必須的課題である。
一般的なPDPの製造工程において、対向する上板と下板を重ねてその縁をガラスペーストのシール材によって封着させることになるが、このとき使用されるガラスペースト状の封着材がPDPのシール材である。このようなシール材によって、前記上板と下板の結合縁をシールするとき、既に形成されている隔壁、蛍光層、誘電体層などの特性に損傷を与えないためには、前記PDPのシール材は基本的に可能の限り低焼成点でなければならない。
しかし、従来技術による前記PDPシール材用ガラス組成物は、主に、PbO-B2O3系や、PbO-ZnO‐B2O3系によって組成される。一例として日本NEG社のLS-0118、LS-0206、GA-0951、LS-7201、LS-7105などがこれに属し、その焼成点は、略340〜400℃と知られている。しかし、前記のような従来技術によるPDPシール材用ガラス組成物などは、人体に有害なPbO成分を含有しているので、前述のように製品廃棄の際に起る、環境汚染、自然生態系の破壊などを発生させる悪影響を及ぼすことは不可避である。
日本国公開特許公報第9-199037号 日本国公開特許公報第9-278482号 国際特許出願第PCT/JP2002/006666号 日本国公開特許公報第97-102273号 国際特許出願第PCT/JP2001/002289号 韓国特許出願第2002-46902号 日本国公開特許公報第9-102273号 日本国特許出願第9-101653号
本発明は、上述のような従来技術に有する諸問題を解決するために提案された発明である。
本発明の目的は、PDP上板の誘電体層、下板の誘電体層を含む隔壁、対向する上板と下板をシールするときにPbを使用せずに、しかも300℃以下の低焼成温度で結合・硬化させることによって作製することのできるPDPおよびその低温製造方法を提供する。その結果、薄い低温ガラス基板の使用を可能にし、従来の高温焼成工程中に生じる基板の変形を抑制して大型パネルの作製を可能にする。その作製工程が簡単・容易になるので、低コスト、高収率で信頼性のあるPDPおよびその製造方法を提供する。
前記の目的を達成するために、上板および下板の結合によって作製するPDPにおいて、
上板の誘電体層、下板の誘電体層を含む隔壁、および上板と下板を結合させるシール材の中、少なくともいずれか1つが、有機単量体、有機オリゴマーまたは重合の可能な官能基を有するシロキサン系オリゴマーを重合および硬化させて得られた化合物で製造されることを特徴とするPDPを提供する。
好ましくは、前記シロキサン系オリゴマーに重合可能な官能基を有する有機単量体またはオリゴマーを添加して硬化させて得られる3次元網目構造の化合物によって製造されることを特徴とするPDPである。
また、前記上板および下板の結合により作製するPDPの製造方法において、
前記有機単量体、有機オリゴマーまたは重合の可能な官能基を有するシロキサン系オリゴマーを重合・硬化させて3次元網目構造を形成し、前記上板の誘電体層、下板の誘電体層を含む隔壁と、および前記上板と下板を結合させるシール材の中、少なくともいずれか1つを形成することを特徴とするPDPの製造方法を提供する。
好ましくは、前記シロキサン系オリゴマーに重合の可能な官能基を有する有機単量体またはオリゴマーを添加・硬化させて3次元網目構造を形成し、前記上板の誘電体層、下板の誘電体層を含む隔壁と、および前記上板と下板を結合させるシール材の中、少なくともいずれか1つを形成することを特徴とするPDPの製造方法を提供する。
上述のように、PDPを作製する全工程を300℃以下の温度で実施することにより、薄い低温ガラス基板の使用を可能にし、従来技術における工程中に生じる基板の変形を抑制して大型パネルの製造を可能にし、その製造工程が簡単・容易になるので、低コスト、高収率で信頼性のあるPDPを製造することができる。
以下、本発明の内容を先ず図1を参照の上、より詳細に説明する。
本発明のPDPは、大別して上板11と下板21に分けて作製することができ、上板の誘電体層14、下板の誘電体層23および隔壁24と、また、上板と下板を結合させるシール材を、有機単量体、有機オリゴマーまたは重合の可能な官能基を有するシロキサン系オリゴマーを1つの単位体にして300℃以下、好ましくは25℃〜300℃の温度で重合・硬化させることによって製造することができる。
前記の有機モノマーまたは有機オリゴマーは、重合の可能な官能基を有する化合物であり、このとき重合の可能な官能基は、その構造内に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、グリシドキシ基、アミン基、ビニル基、エポキシ基、(メト)アクリル基、アミノ基およびメルカプト基、シアノ基、置換されたアミノ基、ニトロ基およびイミド基などの官能基を含むことができる。これらの有機モノマーは重合されてポリマーになる。
本発明に使用することのできるシロキサン系オリゴマーは、分子量が10,000以下、好ましくは100〜10,000で、重合の可能な官能基として修飾されたものが好ましく、これらは300℃以下、好ましくは25℃〜300℃の温度で重合および硬化させることにより3次元網目構造を形成することができる。
より具体的には、前記の有機オリゴマーは、分子量が10,000以下、好ましくは100〜10,000で、例えば、ノボラック型エポキシオリゴマー(例えば、製品名KBPN-115(Kukdo Chemical Co., Korea)を挙げることができ、シロキサン系オリゴマーとしては、例えば、サイクロエポキシオリゴシロキサン(Hybrimer ED, Kaist, 韓国)、メタクリルオリゴシロキサン(Hybrimer MD, Kaist, 韓国)、エポキシ・アミン混合オリゴシロキサン(Hybrimer GAD, Kaist, 韓国)などの有機修飾シロキサン系オリゴマーを挙げることができる。
これらの原料物質を重合するために必要に応じて、開始剤、硬化剤などの添加剤を一緒に添加することができ、硬化剤は例えば、フェノール・ノボラック型オリゴマー、ビスフェノール‐A・ノボラック型オリゴマー、クレゾール・ノボラック型オリゴマー、さらに、ジシアンジアミドまたはアミン系の硬化剤あるいは無水フタル酸(phthalic acid anhydride)などの酸無水物系モノマー硬化剤などを挙げることができ、これらはエポキシと当量比0.5〜2の比率で使用することができる。開始剤は、例えば、2‐フェニルイミダゾール、メチルイミダゾール、トリフェニルホスファン、ヒドロキシ‐サイクロへキシルフェニルケトン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノンおよびフェニル‐2‐ヒドロキシ‐2‐プロピルケトンなどを挙げることができ、これらはエポキシおよびアクリルと重量比0.5〜5wt%の比率で使用することができる。
これらの混合物質は、硬化工程を通じて3次元網目構造を形成することができる。重合の可能な有機官能基によって修飾されたシロキサン系オリゴマーを硬化させる場合は、好ましくは、前記物質の硬化をさらに促進するために、有機単量体またはオリゴマーを全体溶液の重量比0〜50wt%で添加することもできる。
本発明に使用可能なガラス単量体またはオリゴマーとしては、例えば、ビスフェノール‐A、ビスフェノール‐F、ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2‐エポキシ‐3‐フェノキシプロパン、ブチルグリシジルエーテル、ペンタジエンジエポキシド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールエタン、トリグリシジルエーテル、1,2,7,8‐ジエポキシエタン、シネンダイオキサイド(cynene dioxide)、ビス(3‐グリシジオクシ)テトラメチルジシロキサン(tetramethyl disiloxane)、2,3‐エポキシプロピル‐4‐(2,3‐エポキシプロポキシ)ベンゾエート、1,4‐ビス(2’3’‐エポキシプロピル)オクタフルオロ‐N‐ブタン、および、ビス[4‐(2,3‐エポキシ‐プロピルダイオ)フェニル]‐スルフィドと1.6‐ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、および、ヒドロキシブチルメチルクリレートなどを挙げることができる。
また、隔壁24の場合は反射率を高めるために、白色顔料が混合された材料を使用することができる。
前記上・下板11・21は、低コストで軟化点の低いソーダ石灰ガラス基板を使用することが好ましい。また、下板21の場合、プラズマ放電の時発生する熱の放出を容易にするため、熱伝導の良い金属基板を使用することも可能である。
前記のソーダ石灰ガラス基板でなる上板は、その平面上に複数の表示電極の対(バス電極とサステイン電極)がストライプ状に形成され、また、これらの電極群を被覆するように上部誘電体層14および保護層15が積層されている。前記誘電体層14は前述の材料を塗布した後、300℃以下の温度で硬化することによって形成される。
一方、前記のソーダ石灰ガラス基板または金属基板でなる下板は、その平面上に、複数のアドレス電極22がストライプ形状に形成され、また、アドレス電極を被覆するように下部誘電体層23が積層されている。前記下部誘電体層23の上には、アドレス電極とアドレス電極との間に隔壁24が形成され、また、下部誘電体層の表面上および隔壁24の側面上に蛍光層25が塗布されている。前記下部誘電体層23は、前述の材料を塗布した後、300℃以下の温度で硬化することにより形成される。また、隔壁24は放電空間を形成しながらやはり、300℃以下の温度で硬化させて作製される。
前記のように作製された上板と下板は、隔壁を介して互いに間隔を有して平行に配置され、表示電極対とアドレス電極22が立体で交差する位置に放電セルが形成されている。前記上・下板のシールは、上板または下板にシール材料をディスペンスさせた後、300℃以下の温度で硬化させた後、未反応有機物などを排気する手順で遂行される。
本発明によるPDPは、駆動の時、点灯しようとする放電セルによって、バス電極13とアドレス電極22に電圧を印加して書き込み放電を発生させて壁電荷の蓄積が行われる。その後、バス電極とサステイン電極に対して交互に維持パルスを印加する。これによって、書き込み放電が発生されたセルで選択的に維持放電が発生して発光し、画像が表示されることになっている。
以下、本発明の内容を好適な実施例を通じてより詳細に説明する。ただ、これらの実施例は、本発明の内容を理解するために提示されるだけであり、本発明がこれらの実施例に限定されることと解釈されてはならない。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係るPDPの構造を示す断面概略図であって、本図面においてはPDPを構成している表示セルを部分的に示している。
このPDPは、先ず大別して上板と下板に分けて作製することができ、それぞれのパネルを作製した後、両パネルを封着することによってPDPを作製する。
上板は、ソーダ石灰ガラス電極基板11でなり、前記上板の平面上に複数の表示電極対(バス電極とサステイン電極)がストライプ状に形成され、また、これらの電極群を被覆するように上部誘電体層14および保護層15を積層して構成されている。
一方、下板は、ソーダ石灰ガラス基板21から成り、前記下板の表面上に複数のAgアドレス電極22がストライプ状に形成される。また、Agアドレス電極22を被覆するように下部誘電体層23が積層されている。前記下部誘電体層23上には、Agアドレス電極22とAgアドレス電極22との間に隔壁24が形成され、また、下部誘電体層23の表面上および隔壁24の側面上に蛍光層25を塗布している。
前記のように作製された上板と下板は、隔壁24を介して互いに間隔を有して平行状に配置され、表示電極対とAgアドレス電極22が立体で交差する位置に放電セルが形成されている。
このPDPは、駆動の時に点灯しようとする放電セルによって、Agバス電極13とAgアドレス電極22に電圧を印加して書き込み放電を発生させて壁電荷の蓄積を行なう。その後、Agバス電極13とサステイン電極に対して交互に維持パルスを印加する。これによって、書き込み放電が発生されたセルで選択的に維持放電が発生して発光し、画像が表示されるようになっている。
次いで、前記PDPの製造方法に対して説明する。
前記上板は、下記の手順で作製される。ITO透明電極12とAgバス電極13がパターニングされたソーダ石灰ガラス電極基板11の表面上に誘電体物質を塗布した後、150〜300℃の加熱で硬化することによって上部誘電体層14を形成してなる。前記誘電体層を形成する物質は、ノボラック型エポキシオリゴマーであるKBPN-115(Kukdo Chemical Co., Korea)にノボラック型オリゴマー硬化剤であるKBE-F4113(Kolon Chemical Co., Korea)をエポキシと当量比1.0の比率で混合するとともに、開始剤である2‐フェニルイミダゾール(Aldrich, USA)をエポキシと重量比1.0wt%の比率で混合した物質で3次元網目構造を形成している。
次いで、上部誘電体層14にMgOでなる保護層15をスパッタリング法を利用して形成する。
前記下板は次の手順によって作製される。アドレス電極22がパターニングされたソーダ石灰ガラス電極基板21の表面上に誘電体物質を塗布した後、200℃の加熱で硬化することによって下部誘電体層23を形成する。前記誘電体を形成する物質は、ノボラック型エポキシオリゴマーであるKBPN-115(Kukdo Chemical Co., Korea)にノボラック型オリゴマー硬化剤であるKBE-F4113(Kolon Chemical Co., Korea)をエポキシと当量比1.0の比率で混合するとともに、開始剤である2‐フェニルイミダゾール(Aldrich, USA)をエポキシと重量比1.0wt%の比率で混合した前記上部誘電体層の形成物質に無機顔料であるチタニアCOTIOX R‐730(Cosmo Chemical Co., Korea)をさらに重量比30wt%で添加・混合してなる物質である。
次いで、下部誘電体層23に隣接するそれぞれのAgアドレス電極22の間にモールディング法を利用して一度で隔壁24を形成する。この隔壁24は、前記下部誘電体層23の形成に添加・混合した同様のチタニアが包含されたエポキシ物質を隔壁の形成材料とし、前記隔壁材料を250℃の加熱で硬化させることによってモールディングする。
次いで、隔壁24の間の空間に蛍光層25が形成される。前記蛍光層を形成する蛍光体は赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を順次的に配列してスクリーン印刷法によって塗布し、300℃で乾燥および焼成することによって形成することができる。また、前記の蛍光体は有機バインダーとアクリル樹脂を使用することによりバーンアウトの温度を低めることができる。
前記のように作製された上板と下板を封着させることによって、本発明のPDPを作製することになるが、この上板と下板の外縁にシール材であるDuralco TM (登録商標)4703(Cotronics Co., USA)をディスペンシングして、上板と下板を封着させた後、300℃の温度で硬化させることによってシールする。
次いで、両パネル間の内部に残存する物質を高真空(〜10-3 Pa)によって排気・除去し、続いて適当な圧力で混合放電ガスを封入することによって、本実施例のPDPを完成することができる。
(実施例2)
本実施例におけるPDPの構成は前記実施例1のPDP構成と同様であるため、重複の説明は省略し、次いで、前記PDPの製造方法に対し、図1と同様に参照しながら第2の実施例として説明する。
上板は、ITO透明電極12とAgバス電極13がパターニングされたソーダ石灰ガラス電極基板11の表面上に誘電体物質を塗布した後、180〜250℃の加熱で硬化することによって上部誘電体層14を形成してなる。前記誘電体層を形成する物質は、エポキシオリゴシロキサンオリゴマーであるHybrimer GD(KAIST, Korea)にノボラック型オリゴマー硬化剤であるKBE‐F4113(Kolon Chemical Co., Korea)をエポキシと当量比1.0の比率で混合するとともに、開始剤である2‐フェニルイミダゾール(Aldrich, USA)をエポキシと重量比1.0wt%の比率で混合した物質で、3次元の有・無機網目構造を形成している。さらに前記物質には、硬化を促進するためにエポキシモノマーであるブタンジオールジグリシジルエーテルを全体溶液に対し重量比30wt%で添加した。
次いで、上部誘電体層14にMgOでなる保護層15をスパッタリング法を利用して形成する。
下板はアドレス電極22がパターニングされたソーダ石灰ガラス電極基板21の表面上に誘電体物質を塗布した後、UV(Hg lamp)によって2000mJ照射して仮硬化する。
その後、200℃の加熱で硬化することによって下部誘電体層23を形成する。前記誘電体層を形成する物質は、サイクロエポキシオリゴシロキサンであるHybrimer ED(KAIST, Korea)に開始剤であるUV‐6976(Dow Chem. USA)をエポキシと重量比2.0wt%の比率で混合した前記上部誘電体層の形成物質に無機顔料であるチタニアCOTIOX R-730(Cosmo Chemical Co., Korea)をさらに重量比30wt%で添加・混合してなる物質である。
次いで、下部誘電体層23に隣接するそれぞれのAgアドレス電極22の間にモールディング法を利用して一度で隔壁24の形状をモールディングし、UV(Hg lamp)によって2000mJ照射して仮硬化した後、250℃の加熱で硬化することによって、隔壁24を形成する。前記隔壁24は、前記下部誘電体層23の形成に利用したものと同様のチタニアが包含されたジフェニルサイクロエポキシ物質を隔壁の形成材料とし、前記隔壁材料を250℃の加熱で硬化させることによってモールディングする。
次いで、隔壁24の間の空間に蛍光層25を形成される。前記蛍光層を形成する蛍光体は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を順次的に配列してスクリーン印刷法によって塗布し、300℃で乾燥および焼成することによって形成することができる。また、前記の蛍光体は、有機バインダーとアクリル樹脂を使用することによりバーンアウトの温度を低めることができる。
前記のように作製された上板と下板を封着することによって、本実施例のPDPを作製することになるが、この上板と下板の外縁にシール材であるDuralco TM (登録商標)4703(Cotronics Co., USA)をディスペンシングして、上板と下板を封着させた後、300℃の温度で硬化させることによってシールする。
次いで、両パネル間の内部に残存する物質を高真空(〜10-3 Pa)によって排気・除去し、続いて適当な圧力で混合放電ガスを封入することによって、本発明のPDPを完成することができる。
(実施例3)
本実施例におけるPDPの構成は、前記実施例1のPDP構成と同様であるが、図2に示すように、下板をソーダ石灰ガラス電極基板21の代わりにステンレススチール電極基板31を使用することにより放熱板の効能の極大化を図っている。次いで前記PDPの製造方法に対して図2を参照しながら説明する。
本実施例における上板の作製は、前記実施例2の材料および手順とが同一である。
ただ、下板は、次のような材料と手順で作製される。先ずステンレススチール電極基板31の表面上に誘電体物質を塗布した後、UV(Hg lamp)によって2000mJ照射して仮硬化した後、200℃の加熱で硬化することによって、下部誘電体層32を形成する。前記誘電体層を形成する物質は、サイクロエポキシオリゴシロキサンオリゴマーであるHybrimer ED(KAIST, Korea)に開始剤であるUV‐6976(Dow Chem. USA)をエポキシと重量比2.0wt%の比率で混合してこれを第1誘電体物質とし、これに無機顔料であるチタニアCOTIOX R-730(Cosmo Chemical Co., Korea)を重量比30wt%で添加・混合してなる物質である。
次いで、下部誘電体層32の上面にアドレス電極33を形成する。前記Agアドレス電極33は、シルバ・ゾルをインクゼット法を利用してストライプ形状にコーティングし、これを300℃の加熱によってシルバ・ゾルを焼成することによってAgアドレス電極33を形成する。
次いで、Agアドレス電極33が形成された下板上に隣接するAgアドレス電極33の間にモールディング法を利用して一度で隔壁34の形状をモールディングし、UV(Hg lamp)によって2000mJ照射して仮硬化した後、250℃の加熱で硬化することによって隔壁34を形成する。前記隔壁34を作製するときに、隔壁34の一部を残して誘電体層を同時に形成する。したがって、隔壁34は誘電体層を含めてなる。前記誘電体層を含む隔壁34は、前記下部誘電体層32の形成に利用したものと同一のチタニアが包含されたジフェニルサイクロエポキシ物質を隔壁の形成材料とし、前記隔壁材料を250℃の加熱で硬化させることによってモールディングする。
次いで、隔壁34の間の空間に蛍光層35が形成される。前記蛍光層を形成する蛍光体は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を順次的に配列してスクリーン印刷法によって塗布し、300℃で乾燥および焼成することによって形成することができる。また、前記の蛍光体は、有機バインダーとアクリル樹脂を使用することによりバーンアウトの温度を低めることができる。
前記のように作製された上板と下板を封着することによって、本実施例のPDPを作製することになるが、この上板と下板の外縁にシール材であるDuralco TM 4703(Cotronics Co., USA)をディスペンシングして、上板と下板を封着させた後、300℃の温度で硬化させることによってシールする。
次いで、両パネル間の内部に残存する物質を高真空(〜10-3 Pa)によって排気・除去し、続いて適当な圧力で混合放電ガスを封入することによって、本実施例のPDPを完成することができる。
以上、前記各実施例を通じてPDPを対象とする駆動実験を実施した結果は下記表1の通りである。
Figure 2008218405
上・下板の全体にソーダ石灰ガラス電極基板を使用して作製したPDPの構造を示した拡大断面概略図である。 上板はソーダ石灰ガラス電極基板を使用し、下板はステンレススチールを使用して作製したPDPの構造を示す拡大断面概略図である。
符号の説明
11:ソーダ石灰ガラス電極基板(上板)
12:ITO透明電極
13:Agバス電極
14:上部誘電体層
15:MgO保護層
21:ソーダ石灰ガラス電極基板(下板)
22:Agアドレス電極
23:下部誘電体層
24:隔壁
25:(R、G、B)蛍光層
31:ステンレススチール電極基板(下板)
32:下部誘電体層
33:Agアドレス電極
34:隔壁(誘電体層を含む)
35:(R、G、B)蛍光層

Claims (18)

  1. 上板および下板の結合によって製造されるプラズマディスプレイパネル(PDP)において、
    上板の誘電体層、下板の誘電体層を含む隔壁、および上板と下板を結合させるシール材の中、少なくてもいずれか1つが有機単量体、有機オリゴマーまたは重合の可能な官能基を有するシロキサン系オリゴマーを重合・硬化させて得られた3次元網目構造の化合物によって製造されることを特徴とする、プラズマディスプレイパネル。
  2. 前記シロキサン系オリゴマーに重合可能の官能基を有する有機単量体または有機オリゴマーを添加・硬化させて得られた3次元網目構造の化合物によって製造されることを特徴とする、請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記3次元網目構造は、300℃以下の温度で硬化されて得られたものであることを特徴とする、請求項1または2記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 前記官能基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、グリシドキシ基、アミン基、ビニル基、エポキシ基、(メト)アクリル基、アミノ基およびメルカプト基、シアノ基、置換されたアミノ基、ニトロ基およびイミド基の群から選択される少なくとも1種を含む請求項1または2記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 前記オリゴマーは、分子量10,000以下であることを特徴とする請求項2記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 前記隔壁は、白色顔料を含むことを特徴とする請求項1または2記載のプラズマディスプレイパネル。
  7. 前記上板または下板は、ソーダ石灰ガラスを含む低温ガラス基板または金属基板でなることを特徴とする請求項1または2記載のプラズマディスプレイパネル。
  8. 上板および下板の結合によって製造されるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
    有機単量体、有機オリゴマーまたは重合の可能な官能基を有するシロキサン系オリゴマーを重合・硬化させて、3次元網目構造を形成し、前記上板の誘電体層、下板の誘電体層を含む隔壁、および上板と下板を結合させるシール材の中、少なくともいずれか1つを形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  9. 前記シロキサン系オリゴマーに重合可能の官能基を有する有機単量体または有機オリゴマーを添加・硬化させ、3次元網目構造を形成して、前記上板の誘電体層、下板の誘電体層を含む隔壁、および上板と下板を結合させるシール材の中、少なくともいずれか1つを形成することを特徴とする請求項8記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  10. 前記の硬化工程は、300℃以下の温度で行われることを特徴とする請求項8または9記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  11. 前記官能基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、グリシドキシ基、アミン基、ビニル基、エポキシ基、(メト)アクリル基、アミノ基およびメルカプト基、シアノ基、置換されたアミノ基、ニトロ基およびイミド基の群から選択される少なくとも1種を含む請求項8または9記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  12. 前記オリゴマーは、分子量10,000以下であることを特徴とする請求項9に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  13. 前記誘電体層は、誘電体物質を塗布する段階と300℃以下の温度で硬化する段階を含むことを特徴とする請求項8または9記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  14. 前記隔壁は、放電空間を形成する段階と300℃以下の温度で硬化する段階を含むことを特徴とする請求項8または9記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  15. 前記隔壁は、白色顔料を含むことを特徴とする請求項8または9記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  16. 前記シール材は、上板と下板の外縁に材料をディスペンシングして、300℃以下の温度で硬化することを特徴とする請求項8または9記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  17. 前記硬化段階の後、未重合単量体またはオリゴマーを除去する段階を含むことを特徴とする請求項8または9記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  18. 前記上板または下板は、ソーダ石灰ガラスを含む低温ガラス基板または金属基板でなることを特徴とする請求項8または9記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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