JP2008215527A - 一方向クラッチ - Google Patents
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Abstract
【課題】保持器との干渉によるスプラグの滑りを防止し、一方向クラッチの耐久性を高める。
【解決手段】外輪1と内輪2とを支持する軸受部5と、複数のスプラグ3と、前記各スプラグ3を保持する保持器4と、前記各スプラグ3を係合方向に付勢する弾性部材6とから成る一方向クラッチにおいて、前記保持器4の軸方向一端に外径側に向かうにつれて徐々に軸方向一端側に傾斜するテーパ面4dを設け、前記テーパ面4dと前記内輪2との間に球体12を収納する。その球体12が一方向クラッチの回転に伴う遠心力の作用により前記テーパ面4dを介して前記保持器4を軸方向他端側へ押圧して保持器4と内輪2とを結合させる。比較的回転変動の大きい低回転時には保持器4が内輪2に固定されず、その保持器4がスプラグ3の傾動を妨げない。また、高回転時には保持器4が内輪2に固定され、外輪1とスプラグ3とは比較的良好な潤滑状態のもとで摩耗が抑制され耐久性を向上できる。
【選択図】図1
【解決手段】外輪1と内輪2とを支持する軸受部5と、複数のスプラグ3と、前記各スプラグ3を保持する保持器4と、前記各スプラグ3を係合方向に付勢する弾性部材6とから成る一方向クラッチにおいて、前記保持器4の軸方向一端に外径側に向かうにつれて徐々に軸方向一端側に傾斜するテーパ面4dを設け、前記テーパ面4dと前記内輪2との間に球体12を収納する。その球体12が一方向クラッチの回転に伴う遠心力の作用により前記テーパ面4dを介して前記保持器4を軸方向他端側へ押圧して保持器4と内輪2とを結合させる。比較的回転変動の大きい低回転時には保持器4が内輪2に固定されず、その保持器4がスプラグ3の傾動を妨げない。また、高回転時には保持器4が内輪2に固定され、外輪1とスプラグ3とは比較的良好な潤滑状態のもとで摩耗が抑制され耐久性を向上できる。
【選択図】図1
Description
この発明は、回転トルクの伝達と遮断とを行なう一方向クラッチに関するものである。
一般に、自動車等のエンジンのクランクシャフトの回転をベルトを介して各種補機類に伝達する補機駆動装置において、その補機類、例えば、パワーステアリング装置の油圧ポンプやエアコンディショナの圧縮機、あるいはオルタネータ等の回転軸と、その回転軸に設けられたプーリとの間に一方向クラッチが組込まれる。
この一方向クラッチは、例えば、クランクシャフトの回転の角速度が増加する時に、回転軸とプーリとを結合させて前記クランクシャフトの回転を回転軸に伝え、また、角速度が減少する時に、クランクシャフトから回転軸への回転トルクの伝達を遮断し、ベルトの滑りを防止するように機能する。
この種の補機駆動装置に採用される一方向クラッチとして、例えば、図5に示すように、外輪の内周面と内輪の外周面との間の空間に、多数のスプラグ3を係合子として組み込んだスプラグタイプの一方向クラッチを内蔵した一方向クラッチが知られている。
この一方向クラッチの構成は、外輪1と内輪2とが一方向クラッチの軸方向両端において、それぞれ周方向に沿って配置された複数の転動体5aを有する玉軸受(軸受部)5を介して、軸周り相対回転可能に支持されている。
また、その外輪1の内周面1aと内輪2の外周面2aとの間の空間には、隣り合うスプラグ3,3同士の周方向距離を一定に保つ環状の保持器4が設けられている。
その保持器4は内輪(軸)2に固定されて一体に回転するようになっており、スプラグ3と内輪2とが摺動しないようになっている。
このため、空転時において遠心力により潤滑剤が外径側(外輪1の内周面1aに近い側)へ移動し、その潤滑剤の分布が外径側に偏った場合においても、スプラグ3と内輪2との偏摩耗を防止することができる(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−282856号公報
その保持器4は内輪(軸)2に固定されて一体に回転するようになっており、スプラグ3と内輪2とが摺動しないようになっている。
このため、空転時において遠心力により潤滑剤が外径側(外輪1の内周面1aに近い側)へ移動し、その潤滑剤の分布が外径側に偏った場合においても、スプラグ3と内輪2との偏摩耗を防止することができる(例えば、特許文献1参照)。
上述のように、特許文献1に示す一方向クラッチは、スプラグ3を周方向に沿って保持する保持器4を内輪2に固定しているため、一方向クラッチの空転時には、スプラグ3と外輪1との間で相対回転が発生し、スプラグ3と内輪2との間では相対回転が発生しない。
しかし、保持器を内輪2に固定してるので、トルク負荷により、図4(a)に示す空転状態(図中の内径側カム面3dと外径側カム面3uとが、それぞれ内外輪2,1に噛み合わず、内外輪2,1が相対回転する状態)から、図4(b)に示す係合状態(図中の内径側カム面3dと外径側カム面3uとがそれぞれ内外輪2,1に噛み合って、その内外輪2,1を結合させ一体に回転可能とした状態)へとスプラグ3が傾動した際に、保持器4のポケット部4aの周方向端面4cに、スプラグ3のあご部3sが干渉することがある(図4(b)参照)。
この干渉が生じるとスプラグ3の傾動が妨げられ、前記スプラグ3の外径側カム面3uと外輪1の内周面1aとの間に微小な滑りが発生しやすくなる。
このような滑りの発生はクラッチの寿命を低下させるので、滑りはできるだけ生じないようにすることが望ましい。
このような滑りの発生はクラッチの寿命を低下させるので、滑りはできるだけ生じないようにすることが望ましい。
そこで、この発明は、スプラグの保持器との干渉によるスプラグの滑りを防止し、一方向クラッチの耐久性を高めることを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、同軸上に配置された外輪及び内輪と、前記外輪及び内輪の間に配置されその外輪及び内輪を相対的に軸周り回転可能に支持する軸受部と、前記外輪及び内輪の間に周方向に沿って配置され、前記外輪及び内輪とが一方向に相対回転すると前記外輪の内周面及び前記内輪の外周面に係合して両輪を結合し、他方向に相対回転すると前記係合が解除される複数のスプラグと、前記各スプラグを周方向に沿って保持する保持器と、前記各スプラグを前記外輪の内周面及び前記内輪の外周面に係合する方向に付勢する弾性部材とから成る一方向クラッチにおいて、前記一方向クラッチの高回転時において前記保持器を前記内輪と結合させてその保持器と内輪とを一体に回転可能とし、前記一方向クラッチの低回転時において前記結合を解除させる切換手段を備えた構成を採用した。
上記構成により、比較的回転変動の大きい(トルク負荷回数が多い)低回転時には、保持器が内輪に固定されないので、その保持器がスプラグの傾動を妨げることがない。
また、比較的回転変動の少ない高回転時には、保持器が内輪に一体回転可能に固定されるとともに遠心力で潤滑剤が比較的外径側に偏った状態になるので、外輪の内周面とスプラグとは比較的良好な潤滑状態のもとで滑りを生じさせて摩耗が抑制され、一方向クラッチの耐久性を向上させることができる。
また、比較的回転変動の少ない高回転時には、保持器が内輪に一体回転可能に固定されるとともに遠心力で潤滑剤が比較的外径側に偏った状態になるので、外輪の内周面とスプラグとは比較的良好な潤滑状態のもとで滑りを生じさせて摩耗が抑制され、一方向クラッチの耐久性を向上させることができる。
なお、保持器が内輪に結合する又はその結合を解除する一方向クラッチの回転速度は、その一方向クラッチの用途やその用途に応じて求められる特性、すなわち、スプラグが内外輪に係合及び係合解除する際の一方向クラッチの回転速度や、前記回転変動の頻度、耐久性などによって適宜設定されるものである。
このため、前記「高回転時」「低回転時」が示す回転速度の範囲は、その一方向クラッチの用途やその用途に応じて求められる特性に応じて適宜決定されるものである。
このため、前記「高回転時」「低回転時」が示す回転速度の範囲は、その一方向クラッチの用途やその用途に応じて求められる特性に応じて適宜決定されるものである。
前記の構成において、前記切換手段としては、一方向クラッチが予め決められた一定の回転速度を境に「低回転時」から「高回転時」へと移行すると、保持器と内輪とを結合して一体回転可能とし、その逆の場合、すなわち前記一定の回転速度を境に「高回転時」から「低回転時」へと移行すると、前記結合した保持器と内輪とを分離して相対回転可能な状態にする機能を備えていればよい。
その手段として、一方向クラッチの回転に伴う遠心力を活用することができる。遠心力を活用する場合、例えば、前記切換手段として、その一方向クラッチの回転に伴う遠心力の作用により前記保持器を軸方向へ押圧する付勢体を有するものとし、その付勢体により保持器が押圧されることにより、一方向クラッチが一定の回転速度を超えれば、前記保持器と前記内輪とが結合する構成を採用することができる。
例えば、一方向クラッチの前記一定の回転速度を検知する手段として、その回転速度を電気的に検知する手段等を用い、その検知に基づいて前記保持器と内輪との結合及び結合の解除を動作させることも可能であるが、上記遠心力を活用した構成によれば、そのような回転速度を検知する手段が不要となり、一方向クラッチの構成を簡素化することができる。
例えば、一方向クラッチの前記一定の回転速度を検知する手段として、その回転速度を電気的に検知する手段等を用い、その検知に基づいて前記保持器と内輪との結合及び結合の解除を動作させることも可能であるが、上記遠心力を活用した構成によれば、そのような回転速度を検知する手段が不要となり、一方向クラッチの構成を簡素化することができる。
なお、保持器を内輪に対して直接押し付けて両者を結合させる場合には、その内輪には、軸方向へ押圧された前記保持器の軸方向に向く面が圧力を持って接触し得る係合面(前記保持器の軸方向に向く面に対向する面)が備えられていると、その保持器が軸方向へ押圧されることにより、前記軸方向に向く面が前記係合面に圧力をもって接触して、両者の結合が安定する。
また、その内輪の係合面は、例えば、内輪の外周に設けた突起、あるいは内輪の外周に圧入された環状の部材等により形成してもよい。
さらに、内輪の外周面に凹部を設け、保持器の内径側に設けた突起がその凹部に入り込む構成として、保持器が軸方向へ押圧されることにより、その突起の外面が凹部の内面に圧力をもって接触することにより両者を結合させてもよい。
さらに、それらの構成において、保持器の軸方向端面と内輪の係合面との接触は、面接触であることが望ましい。
さらに、内輪の外周面に凹部を設け、保持器の内径側に設けた突起がその凹部に入り込む構成として、保持器が軸方向へ押圧されることにより、その突起の外面が凹部の内面に圧力をもって接触することにより両者を結合させてもよい。
さらに、それらの構成において、保持器の軸方向端面と内輪の係合面との接触は、面接触であることが望ましい。
さらに、前記保持器を内輪に対して直接押し付けて両者を結合させるのではなく、軸受部を構成する軸受内輪を介して内輪と結合させることもできる。
具体的には、前記軸受部が、前記内輪と一体に回転する軸受内輪、前記外輪と一体に回転する軸受外輪、及びその軸受内輪と軸受外輪との間に収納される転動体とを備えたものである場合において、前記付勢体は、前記保持器を前記軸受内輪の軸方向内側端面に向かって軸方向へ押圧することによりその保持器と軸受内輪とを一体に回転可能とするものであり、前記保持器は、前記軸受内輪を介して前記内輪と結合する構成である。
軸受内輪は、通常、内輪の外周に圧入されるので、その軸受内輪を内輪の外周面よりも外径側に突出して設けることが容易である。このため、その軸受内輪の軸方向内側端面と保持器の軸方向端面とが対向するように両者を軸方向に並列に配置しやすく、保持器と軸受内輪とが軸方向に並列にすれば、保持器の押圧により両者を結合させることが容易である。
軸受内輪は、通常、内輪の外周に圧入されるので、その軸受内輪を内輪の外周面よりも外径側に突出して設けることが容易である。このため、その軸受内輪の軸方向内側端面と保持器の軸方向端面とが対向するように両者を軸方向に並列に配置しやすく、保持器と軸受内輪とが軸方向に並列にすれば、保持器の押圧により両者を結合させることが容易である。
さらに、前記保持器に、外径側に向かうにつれて徐々に軸方向一端側に傾斜するテーパ面を設け、前記テーパ面と前記内輪の外周面との間に前記付勢体を収納し、その付勢体は、前記テーパ面を介して前記保持器を軸方向他端側へ向かって押圧することによりその保持器と内輪とを結合させる構成を採用することができる。
付勢体に遠心力が作用した際に、その付勢体がテーパ面を介して保持器を軸方向へ付勢する構成とすれば、付勢体の形状や大きさ、あるいはテーパ面の傾斜角度、付勢体とテーパ面との当接の向きにより、その保持器に作用する付勢力の大小を調整することができる。
なお、付勢体は一方向クラッチの周方向に沿って複数並列にして収納してもよい。また、保持器のテーパ面は一方向クラッチの全周に亘って連続的に設けることが望ましい。さらに、その保持器のテーパ面は周方向全長に亘って同一の傾斜角(勾配)で設けることが望ましい。
付勢体に遠心力が作用した際に、その付勢体がテーパ面を介して保持器を軸方向へ付勢する構成とすれば、付勢体の形状や大きさ、あるいはテーパ面の傾斜角度、付勢体とテーパ面との当接の向きにより、その保持器に作用する付勢力の大小を調整することができる。
なお、付勢体は一方向クラッチの周方向に沿って複数並列にして収納してもよい。また、保持器のテーパ面は一方向クラッチの全周に亘って連続的に設けることが望ましい。さらに、その保持器のテーパ面は周方向全長に亘って同一の傾斜角(勾配)で設けることが望ましい。
また、テーパ面は前記保持器の軸方向一端に設けることができる。このとき、前記付勢体は、前記保持器の軸方向一端側において前記テーパ面に対向して設けられた側板との間に収納される構成を採用することができる。
テーパ面を保持器の軸方向いずれかの側の端部に設ければ、そのテーパ面の形成が容易である。また、側板は、保持器の軸方向移動を規制するとともに、付勢体の軸方向移動を規制することもできる。
テーパ面を保持器の軸方向いずれかの側の端部に設ければ、そのテーパ面の形成が容易である。また、側板は、保持器の軸方向移動を規制するとともに、付勢体の軸方向移動を規制することもできる。
なお、前記付勢体としては、球体を採用することができる。また、その付勢体が球体である場合には、その付勢体を、一方向クラッチの周方向に沿って転動可能に設けることができる。
この発明は、スプラグの保持器との干渉によるスプラグの滑りを防止し、一方向クラッチの耐久性を高めることができる。
この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態は、プーリ7内に一方向クラッチを組込んだ一方向クラッチ内蔵プーリユニットである。
図1及び図2に示すように、プーリ7の内径部に外輪1が圧入されて一体に回転可能となっており、その外輪1の内側に内輪(軸)2が同軸上に組込まれている。
図1及び図2に示すように、プーリ7の内径部に外輪1が圧入されて一体に回転可能となっており、その外輪1の内側に内輪(軸)2が同軸上に組込まれている。
前記外輪1の内周には、内周円筒面(内周面)1aが形成され、内輪2の外周には、前記外輪1の内周円筒面1aと径方向で対向する外周円筒面(外周面)2aが形成されている。
また、そのプーリ7の内周及び内輪2の外周には、前記各円筒面1a,2aの軸方向両側に軸受嵌合面1b,2bが形成され、その各軸受嵌合面1b,2b間に軸受部5が嵌められている。この実施形態では、前記軸受嵌合面2bは、外周円筒面2aと同径に形成されている。
また、そのプーリ7の内周及び内輪2の外周には、前記各円筒面1a,2aの軸方向両側に軸受嵌合面1b,2bが形成され、その各軸受嵌合面1b,2b間に軸受部5が嵌められている。この実施形態では、前記軸受嵌合面2bは、外周円筒面2aと同径に形成されている。
軸受部5は、片シール付き玉軸受から成る。この軸受部5は、シール8が軸方向外側に位置するように組付けされ、外輪1と一体に回転する軸受外輪5bと、内輪2と一体に回転する軸受内輪5c、及び、その軸受外輪5b及び軸受内輪5cにそれぞれ形成された全周に亘る断面弧状の軌道溝間に収納されたボール(転動体)5aを備える。この軸受部5を介して、外輪1と内輪2とが、相対的に軸周り回転自在とされている。
前記両軸受部5,5間には、図2に示すように、内外両輪1,2間に組込まれたスプラグ3と、このスプラグ3を保持する保持器4と、前記スプラグ3を係合方向に付勢する弾性部材6とが配置されている。弾性部材6としては、例えば、図中に示すコイルバネ等の周知の手段を採用し得る。
各スプラグ3は、外輪1の内周円筒面1aと内輪2の外周円筒面2a間において、周方向に所定の間隔をおいて等間隔に配置され、その外輪1の内周円筒面1aと内輪2の外周円筒面2a間において、前記各スプラグ3を周方向に位置決めする保持器4が設けられている。
保持器4は、円筒状の合成樹脂の成形品から成り、図1に示す左側(軸方向一端側)の端部が、前記軸受部5の軸方向内側に沿って設けられた側板11に接している。
この側板11は、前記内外輪2,1間の空間に収納される環状の板材であり、図中左側の軸受部5の軸受内輪5cにおける軸方向内側端面15に接するように配置されている。この状態で、側板11の軸方向両側の端面の面方向は、いずれも一方向クラッチの軸方向に対して直交する面となっている。
なお、この側板11は、保持器4と同じく合成樹脂の成型品である。
この側板11は、前記内外輪2,1間の空間に収納される環状の板材であり、図中左側の軸受部5の軸受内輪5cにおける軸方向内側端面15に接するように配置されている。この状態で、側板11の軸方向両側の端面の面方向は、いずれも一方向クラッチの軸方向に対して直交する面となっている。
なお、この側板11は、保持器4と同じく合成樹脂の成型品である。
また、保持器4の図1に示す右側(軸方向他端側)の端部は、その図中右側の軸受部5の軸受内輪5cにおける軸方向内側端面13に接している。その保持器4の軸方向他端側の端面には、その内径寄りの部分に周方向全周に亘って連続的に凹部14が形成されている。その凹部14の底面に、軸受内輪5cの軸方向内側端面13が密着するようになっている。
このため、保持器4は、図中右側の軸受部5と図中左側の側板11との間で軸方向へ大きく移動することが規制される。
なお、この軸方向両側の軸受部5,5間の空間には、潤滑剤としてグリースが封入されている。
なお、この軸方向両側の軸受部5,5間の空間には、潤滑剤としてグリースが封入されている。
また、保持器4には、スプラグ3を保持できるよう、その周方向に沿って内外を貫通する複数のポケット部(収納部)4aが等間隔で形成されている。この実施形態では、保持器4の周方向に沿って合計10箇所のポケット部4aが形成されている。スプラグ3は、各ポケット部4aに個別に収容されており、すべてのスプラグ3が周方向に位置決めされている。
また、そのスプラグ3を収容した各ポケット部4aには、弾性部材収容孔4bが設けられ、その弾性部材収容孔4b内に上記弾性部材6が組込まれている。その弾性部材6は、各スプラグ3に形成された外径側カム面及び内径側カム面が、それぞれ、外輪1の内周円筒面1a及び内輪2の外周円筒面2aに係合する方向にそのスプラグ3を付勢している。
保持器4の軸方向一端側の端面には、図1に示すように、外径側に向かうにつれて徐々に軸方向外側(図中に示す左側)に傾斜するテーパ面4dが設けられている。
そのテーパ面4dと前記内輪2の外周面2aとの間に、周方向に並列して多数の球体(付勢体)12が収納されており、その球体12は、前記テーパ面4dと前記側板11の内側面に当接するとともに転動可能な状態である。すなわち、その転動とともに周方向に沿って移動可能な状態に収納されている。この球体12は、合成樹脂成形品であってもよいし、金属製として重量を大きくしてもよい。
そのテーパ面4dと前記内輪2の外周面2aとの間に、周方向に並列して多数の球体(付勢体)12が収納されており、その球体12は、前記テーパ面4dと前記側板11の内側面に当接するとともに転動可能な状態である。すなわち、その転動とともに周方向に沿って移動可能な状態に収納されている。この球体12は、合成樹脂成形品であってもよいし、金属製として重量を大きくしてもよい。
このクラッチ内蔵プーリ装置では、プーリ7と一体の外輪1が駆動側、内輪2が従動側であり、前記各スプラグ3は、そのプーリ7と共に外輪1が、内輪2に対して図2のf1に示す矢印方向に相対回転したとき、前記内外各円筒面1a,2aに係合して、外輪1の回転トルクを内輪2に伝達する。
また、各スプラグ3は、外輪1が内輪2に対して前記矢印の逆方向に相対回転したり、あるいは、前記矢印方向に回転する外輪1に対して同方向に回転する内輪2の回転速度が外輪1の回転速度を上回った場合に、前記内外各円筒面1a,2aに対する係合を解除して、外輪1から内輪2への回転伝達を遮断するようになっている。
また、各スプラグ3は、外輪1が内輪2に対して前記矢印の逆方向に相対回転したり、あるいは、前記矢印方向に回転する外輪1に対して同方向に回転する内輪2の回転速度が外輪1の回転速度を上回った場合に、前記内外各円筒面1a,2aに対する係合を解除して、外輪1から内輪2への回転伝達を遮断するようになっている。
したがって、図2に示すように、プーリ7(外輪1)を矢印f1方向に回転すると、スプラグ3が図中矢印s1に示す方向へその姿勢を変え、そのスプラグ3の内外各カム面が、外輪1の内周円筒面1aおよび内輪2の外周円筒面2aに係合する。この係合により、プーリ7の回転が内輪2に伝達される。
内輪2の回転速度が外輪1の回転速度を上回ると、内輪2に対しプーリ7は図中矢印f2の方向へ相対回転するので、スプラグ3は矢印s2方向にその姿勢を変え、内外各円筒面1a,2aに対するスプラグ3の係合が解除され、外輪1から内輪2への回転伝達が遮断される。
内輪2の回転速度が外輪1の回転速度を上回ると、内輪2に対しプーリ7は図中矢印f2の方向へ相対回転するので、スプラグ3は矢印s2方向にその姿勢を変え、内外各円筒面1a,2aに対するスプラグ3の係合が解除され、外輪1から内輪2への回転伝達が遮断される。
このため、このようなクラッチ内蔵プーリユニットを、例えばオルタネータの回転軸に取付けてクランクシャフトに取付けられたプーリと上記回転軸上のプーリ間にベルトをかけ渡してオルタネータを駆動すると、クランクシャフトの角速度増加時、一方向クラッチが係合状態となり、クランクシャフトの回転がオルタネータの回転軸に伝達される。また、クランクシャフトの角速度減少時、一方向クラッチが空転状態となって、クランクシャフトからオルタネータの回転軸への回転伝達が遮断されることになる。
このため、プーリ7とこれにかかるベルトの相互間で滑りが生じるのが防止され、ベルトの摩耗を抑制することができる。
なお、この実施形態は、外輪1が駆動側、内輪2が従動側としているが、他の実施形態として、内輪2を駆動側、外輪1を従動側とした各種用途のプーリユニットにも適用可能である。
このため、プーリ7とこれにかかるベルトの相互間で滑りが生じるのが防止され、ベルトの摩耗を抑制することができる。
なお、この実施形態は、外輪1が駆動側、内輪2が従動側としているが、他の実施形態として、内輪2を駆動側、外輪1を従動側とした各種用途のプーリユニットにも適用可能である。
一方向クラッチが回転すると、図3に示すように、球体12に遠心力が作用し、その遠心力により球体12は、側板11とテーパ面4dとの間における外径側に向かうに従って徐々に狭まる隙間に矢印Aの方向へ入り込んでいこうとする。すなわち、球体12は、テーパ面4dを矢印Aの方向へ押し上げようとする。この矢印Aの方向への力は、保持器4に対して矢印Bの方向への軸方向推力(付勢力)となって、保持器4の軸方向端面が図中右側の軸受内輪5cの軸方向内側端面13に対し矢印Cの方向へ押圧され、その保持器4の軸方向端面と軸受内輪5cの軸方向内側端面13とが圧力を持って接触する。
したがって、外輪1と内輪2との結合状態において、一方向クラッチが一定の回転速度を超えると、前記軸方向推力によって保持器4と軸受内輪5cとが結合し、一体に回転する状態に固定される。軸受内輪5cは内輪2と一体に回転するので、保持器4と内輪2とが結合して一体に回転することとなる。
したがって、外輪1と内輪2との結合状態において、一方向クラッチが一定の回転速度を超えると、前記軸方向推力によって保持器4と軸受内輪5cとが結合し、一体に回転する状態に固定される。軸受内輪5cは内輪2と一体に回転するので、保持器4と内輪2とが結合して一体に回転することとなる。
また、外輪1と内輪2との結合状態において、一方向クラッチが一定の回転速度を下回ると、前記軸方向推力も減少し、保持器4と軸受内輪5cとの結合が解除される。結合の解除により、保持器4と内輪2とは相対回転可能な状態となる。
このため、比較的回転変動の大きい(トルク負荷回数が多い)低回転時には保持器4が内輪2に固定されないので、その保持器4がスプラグ3の係合方向への傾動を妨げることがない。
また、比較的回転変動の少ない高回転時には保持器4が内輪2に固定され、このとき、遠心力の作用により潤滑剤は比較的外径側に偏った状態になるので、外輪1の内周円筒面1aとスプラグ3とは比較的良好な潤滑状態のもとで滑りを生じさせて摩耗が抑制され、一方向クラッチの耐久性を向上させることができる。
また、比較的回転変動の少ない高回転時には保持器4が内輪2に固定され、このとき、遠心力の作用により潤滑剤は比較的外径側に偏った状態になるので、外輪1の内周円筒面1aとスプラグ3とは比較的良好な潤滑状態のもとで滑りを生じさせて摩耗が抑制され、一方向クラッチの耐久性を向上させることができる。
なお、保持器4を内輪2に結合する又はその結合を解除する一方向クラッチの回転速度は、その一方向クラッチの用途やその用途に応じて求められる特性に応じて適宜決定されるものであるが、前記球体12の重量を増減させれば、その結合する又は結合解除の特性を調整することができる。また、その球体12の径と、テーパ面4dの軸方向位置、軸方向に対する傾斜角(勾配)をそれぞれ増減させて、それらを適宜組合わせることにより所望の特性を有する一方向クラッチを得ることができる。
1 外輪
1a 内周面
2 内輪(軸)
2b 外周面
3 スプラグ
4 保持器
4a ポケット部(収納部)
4d テーパ面
5 軸受部
5a 転動体(ボール)
5b 軸受外輪
5c 軸受内輪
6 弾性部材
7 プーリ
8 シール
11 側板
12 付勢体(球体)
13,15 軸方向内側端面
14 凹部
1a 内周面
2 内輪(軸)
2b 外周面
3 スプラグ
4 保持器
4a ポケット部(収納部)
4d テーパ面
5 軸受部
5a 転動体(ボール)
5b 軸受外輪
5c 軸受内輪
6 弾性部材
7 プーリ
8 シール
11 側板
12 付勢体(球体)
13,15 軸方向内側端面
14 凹部
Claims (6)
- 同軸上に配置された外輪1及び内輪2と、前記外輪1及び内輪2の間に配置されその外輪1及び内輪2を相対的に軸周り回転可能に支持する軸受部5と、前記外輪1及び内輪2の間に周方向に沿って配置され、前記外輪1及び内輪2とが一方向に相対回転すると前記外輪1の内周面1a及び前記内輪2の外周面2aに係合して両輪1,2を結合し他方向に相対回転すると前記係合が解除される複数のスプラグ3と、前記各スプラグ3を周方向に沿って保持する保持器4と、前記各スプラグ3を前記外輪1の内周面1a及び前記内輪2の外周面2aに係合する方向に付勢する弾性部材6とから成る一方向クラッチにおいて、
前記一方向クラッチの高回転時において前記保持器4を前記内輪2と結合させてその保持器4と内輪2とを一体に回転可能とし、前記一方向クラッチの低回転時において前記結合を解除させる切換手段を備えたことを特徴とする一方向クラッチ。 - 前記切換手段は、前記一方向クラッチの回転に伴う遠心力の作用により前記保持器4を軸方向へ押圧する付勢体12を有しており、その付勢体12の押圧により、前記保持器4と前記内輪2とが結合することを特徴とする請求項1に記載の一方向クラッチ。
- 前記軸受部5は、前記内輪2と一体に回転する軸受内輪5c、前記外輪1と一体に回転する軸受外輪5b、及びその軸受内輪5cと軸受外輪5bとの間に収納される転動体5aとを備え、前記付勢体12は、前記保持器4を前記軸受内輪5cの軸方向内側端面13に向かって軸方向へ押圧することによりその保持器4と軸受内輪5cとを一体に回転可能とするものであり、前記保持器4は、前記軸受内輪5cを介して前記内輪2と結合することを特徴とする請求項2に記載の一方向クラッチ。
- 前記保持器4に、外径側に向かうにつれて徐々に軸方向一端側に傾斜するテーパ面4dを設け、前記テーパ面4dと前記内輪2の外周面2aとの間に前記付勢体12を収納し、その付勢体12は、前記テーパ面4dを介して前記保持器4を軸方向他端側へ向かって押圧することによりその保持器4と内輪2とを結合させることを特徴とする請求項2又は3に記載の一方向クラッチ。
- 前記テーパ面4dは前記保持器4の軸方向一端に設けられ、前記付勢体12は、前記保持器4の軸方向一端側において前記テーパ面4dに対向して設けられた側板11との間に収納されることを特徴とする請求項4に記載の一方向クラッチ。
- 前記付勢体12は、球体であることを特徴とする請求項4又は5に記載の一方向クラッチ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007055230A JP2008215527A (ja) | 2007-03-06 | 2007-03-06 | 一方向クラッチ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007055230A JP2008215527A (ja) | 2007-03-06 | 2007-03-06 | 一方向クラッチ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008215527A true JP2008215527A (ja) | 2008-09-18 |
Family
ID=39835801
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007055230A Pending JP2008215527A (ja) | 2007-03-06 | 2007-03-06 | 一方向クラッチ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008215527A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013007489A (ja) * | 2012-10-03 | 2013-01-10 | Nsk Ltd | 回転速度感応型一方向クラッチ |
JP2018053921A (ja) * | 2016-09-26 | 2018-04-05 | Ntn株式会社 | クラッチユニット |
-
2007
- 2007-03-06 JP JP2007055230A patent/JP2008215527A/ja active Pending
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JP2018053921A (ja) * | 2016-09-26 | 2018-04-05 | Ntn株式会社 | クラッチユニット |
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