JP2008215328A - ギヤポンプおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 圧痕時のリブ塑性変形量を確保してシール性を向上させたギヤポンプおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 駆動軸により軸支される駆動側歯車と、従動軸により軸支される従動側歯車と、駆動軸及び従動軸の軸方向両側方に設けられた一対の側板と、歯車の歯先をシールするとともに側板との衝合により第1油室を形成するシールブロックと、から構成されたポンプ組立体と、ポンプ組立体を収装し、第2油室を形成するケーシングと、側板上であって、駆動側および従動側歯車に対し平行に設けられたリブとを備え、リブは、側板の表面を駆動軸および従動軸方向に押圧することで形成されるとともに、駆動側および従動側歯車と平行な断面において台形であって、シールブロックによりリブを塑性変形させることにより、側板とシールブロックとのシール面を形成することとした。
【選択図】 図11

Description

本発明は、例えば車両用ブレーキ装置等の油圧源として好適に用いられるギヤポンプに関する。
従来、ギヤポンプとして例えば特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報に記載のギヤポンプは、本体ケース内に、駆動ギヤを軸支する駆動軸と、従動ギヤを軸支する従動軸と、一対の側板と、シールブロックから構成されたポンプ組立体を収装している。
また、この技術にあっては、側板またはシールブロックの一方または両方にリブを設け、このリブに圧力を加えて塑性変形させ、シールブロックシール面の痕をつける(リブ圧痕)させるとともに、シールブロック自体にリブの痕をつける(シールブロック圧痕)ことで、シール性を確保している。
特開2005−337238号公報
しかしながら上記従来技術にあっては、リブが側板表面から直角に立ち上がっているため、リブ根元とリブ先端とが同じ断面積を有することとなる。したがって圧痕時に潰されて塑性変形する面積も根元と先端で同じとなり、リブが潰れにくくなってシール性が悪化するおそれがあった。一方、潰れやすくするためリブ硬度を下げるとリブと一体の側板も硬度を下げなければならないが、側板はギヤと摺動するため摩耗量が大きくなるという問題がある。
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、圧痕時のリブ塑性変形量を確保してシール性を向上させたギヤポンプおよびその製造方法を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本願発明では、駆動軸により軸支される駆動側歯車と、従動軸により軸支される従動側歯車と、前記駆動軸及び従動軸の軸方向両側方に設けられた一対の側板と、前記歯車の歯先をシールするとともに前記側板との衝合により第1油室を形成するシールブロックと、から構成されたポンプ組立体と、前記ポンプ組立体を収装し、第2油室を形成するケーシングと、前記側板上であって、前記駆動側および従動側歯車に対し平行に設けられたリブとを備え、前記リブは、前記側板の表面を前記駆動軸および従動軸方向に押圧することで形成されるとともに、前記駆動側および従動側歯車と平行な断面において台形であって、前記シールブロックにより前記リブを塑性変形させることにより、前記側板と前記シールブロックとのシール面を形成することとした。
よって、圧痕時のリブ塑性変形量を確保してシール性を向上させたギヤポンプおよびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明のギヤポンプを実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づき説明する。
図1はギヤポンプ1のz軸正方向正面図、図2はx軸正方向側面図、図3は図1のI−I断面図である。図1、図2ではポンプハウジング10およびハウジングカバー20のみ断面で示す。
なお、ポンプ組立体100において従動軸120から駆動軸110へ向かう方向をx軸正方向、x軸と直交しポンプ組立体100のシールブロック200方向をy軸正方向、駆動軸110と同軸であってポンプ組立体100に対し図外のモータへ接続する方向をz軸正方向と定義する。また、図4はポンプ組立体100の斜視図、図5、図6はそれぞれy軸正方向正面図、x軸正方向正面図である。
[ハウジング]
ポンプハウジング10には駆動軸支持孔11およびシリンダ孔12が設けられ、ポンプ組立体100は円筒状のシリンダ孔12に収装される。駆動軸110は駆動軸支持孔11により回転可能に支持される。
シリンダ孔12の内周面は、位置決め用の当接面12aと内壁12bとを有する。当接面12aは、シールブロック200と当接してポンプ組立体100の位置決めを行うため、内壁12bよりも高精度に形成されている。また、ポンプハウジング10のx軸正方向側には吐出ポート13が設けられ、シリンダ孔12と外部とを連通している。
ポンプハウジング10のx軸負方向側にはハウジングカバー20が取り付けられ、シリンダ孔12及びハウジングカバー20によりポンプ組立体100を液密に収装する。また、ハウジングカバー20の軸方向にはz軸方向貫通孔である吸入ポート21が設けられ、ポンプ組立体100に作動油を供給する。
[ポンプ組立体の詳細]
ポンプ組立体100は、シールブロック200、駆動軸110、従動軸120、駆動側及び従動側ギヤ130,140(駆動側歯車および従動側歯車)、および第1、第2サイドプレート150,160(一対の側板)を有する。このポンプ組立体100は山型の板ばね300により仮止めされている。また、シールブロック200は第1、第2サイドプレート150,160よりもx軸方向幅を小さく設けられている。
また、第1、第2サイドプレート150,160およびシールブロック200は、径方向平面内(x−y平面内)において駆動軸110と従動軸120の中間線であるII−II直線に対し対称である。さらに、板ばね300もII−II直線に対し対称であって、II−II直線に対し対称な付勢力を有する。駆動軸110と従動軸120の中間線であるため、II−II直線はy軸に平行である。
さらに、ポンプ組立体100と板ばね300とはx−y平面内において点接触し、接点は、シールブロック200のy軸正方向側の点A、および第1、第2サイドプレート150,160のy軸負方向側面151,161であってx軸方向両端部152,162における点B,Cの3点である。
点AはII−II直線上に位置し、このII−II直線は駆動軸110と従動軸120の軸心Op,Osの中点Mを通ってy軸に平行である。点B,Cはそれぞれy軸負方向側から軸心Op,Osを通るIII−III直線よりもy軸負方向側に位置する(図1参照)。
以下、点接触と記載する場合はx−y平面内において点接触することを示す。x−y−z空間で考えた場合、x−y平面内における点接触はz軸方向の直線上での線接触となる。すなわち、板ばね300は接点Aを通りz軸に平行な直線内でシールブロック200と線接触し、接点B,Cを通りz軸に平行な直線内で第1、第2サイドプレート150,160と線接触する。
したがって、ポンプ組立体100は点Aにおいてy軸正方向側を係止され、点B,Cにおいてy軸正方向側に付勢される。この点A,B,Cの3点支持により、板ばね300はシールブロック200をy軸正方向側から第1、第2サイドプレート150,160に押し付け、ポンプ組立体100の仮止めを行っている。
また、第1、第2サイドプレート150,160よりもシールブロック200の方がx軸方向幅は小さいため、シールブロック200のy軸正方向側を点Aによる1点支持、第1、第2サイドプレート150,160のy軸負方向側を点B,Cによる2点支持とすることにより、シールブロック200を安定的にy軸負方向側へ付勢するものである。
(駆動軸および従動軸)
駆動軸及び従動軸110,120はそれぞれ駆動側及び従動側ギヤ130,140と一体回転可能に設けられており、また駆動軸110はz軸正方向端部において図外のモータと接続する。駆動側及び従動側ギヤ130,140は互いに噛合う平歯車であり、この噛合いにより駆動軸110の回転に伴って従動軸120が回転するよう設けられている。なお、図2では従動側ギヤ140のみ図示するが、駆動側ギヤ130も同一形状の平歯車である。
(サイドプレート)
第1、第2サイドプレート150,160は略8の字型の同一形状部材であり、それぞれ駆動軸貫通孔153,163及び従動軸貫通孔154,164が設けられている。y軸正方向面150a,160aはx軸方向中央部においてy軸負方向に凹み、凹部150b,160bを形成する。
この凹部150b,160bとハウジングカバー20の吸入ポート21が連通することで作動油の供給が行われる。凹部150b,160bのx軸正方向両側の曲面は駆動軸側駆動側シール面158a,168aおよび従動側シール面158b,168b、となり、x軸負方向側の曲面は従動軸側シール面158b、168bとなってシールブロック200とのシールを行う。
組み付け時には、z軸正方向側の第1サイドプレート150とz軸負方向側の第2サイドプレート160により駆動側及び従動側ギヤ130,140を挟持し、駆動軸貫通孔153,163及び従動軸貫通孔154,164にそれぞれ駆動軸及び従動軸110,120を貫通させる。組み付け後には、各ギヤ130,140の歯先131,141は駆動側シール面158a,168aおよび従動側シール面158b,168bよりも外径側に位置する。
また、第1サイドプレート150のz軸正方向側面155及び第2サイドプレート160のz軸負方向側面165には、それぞれ第1、第2シールリング170,180が設けられている。この第1、第2シールリング170,180はそれぞれ駆動軸110及び従動軸120を囲繞し、また第1シールリング170はポンプハウジング10と当接し、第2シールリング180はハウジングカバー20と当接する。
これにより駆動及び従動軸110,120と第1、第2サイドプレート150,160との摺動面は各シールリング170,180の内側となって吸入側領域Din(第1油室)を形成し、各シールリング170,180の外側すなわち吐出側領域Dout(第2油室)と液密にシールされる。
また、第1、第2サイドプレート150,160にはそれぞれ第1、第2段部156,166が設けられている。第1段部156はサイドプレート150のx軸方向両側面156のz軸正方向側を切り欠いて設けられる。同様に、第2段部166は第2サイドプレート160のx軸方向両側面166のz軸負方向側を切り欠いて設けられている。
第1、第2段部156,166によって、第1、第2サイドプレート150,160のx軸方向両側面157,167はx軸方向内側に切り欠かれる。したがってx−y平面内においては、第1、第2段部156,166と、第1サイドプレート150のz軸正方向側面151および第2サイドプレート160のz軸負方向側面161とは、互いに異なる曲率を有することとなる。
また、各第1、第2段部156,166のz軸方向幅は、板ばね300を形成する第1、第2金属板301,302のz軸方向幅よりも広く設けられる。
このように、第1、第2段部156,166と、第1サイドプレートz軸正方向側面151および第2サイドプレートz軸負方向側面161とを互いに異なる曲率とし、さらに第1、第2金属板301,302のz軸方向幅よりも広く設けることで、板ばね300を装着した際に板ばね300と第1、第2段部156,166が当接しないよう設けることとする。
したがって、板ばね300は両端部321,322内側の点B,Cにおいてのみ第1、第2サイドプレート150,160と接し、シールブロック200を係止する点Aとともにポンプ組立体100は3点支持される。第1、第2段部156,166によってx軸方向両側面157,167はx軸方向内側に切り欠かれているため、脚部320と第1、第2段部156,166との干渉を回避し、確実に3点支持を行うものである。
なお、第1、第2サイドプレート150,160の形状は、両端部321,322の付勢力が確実にy軸正方向成分を持ち、かつ脚部320とx軸方向両側面157,167との干渉を回避可能なものであればよく特に限定しない。すなわち、板ばね300と点接触してy軸正方向の付勢力を得られる形状であればよい。
(シールブロック)
シールブロック200はy軸正方向においてポンプハウジング10内周の当接面12と当接して位置決めされ、y軸負方向側において第1、第2サイドプレート150,160に当接してシールを行う部材である。y軸負方向側には略8の字型の第1、第2サイドプレート150,160の駆動側シール面158a,168aおよび従動側シール面158b,168bと同じ曲率の円弧面である駆動側、従動側シール面210,220が設けられ、駆動側シール面158a,168aおよび従動側シール面158b,168bと液密に当接する。
上述のように、ポンプ駆動時においては駆動側ギヤ130及び従動側ギヤ140の歯先131,141は第1、第2サイドプレート150,160の駆動側シール面158a,168aおよび従動側シール面158b,168bよりも外径側に位置する。
そのため、この駆動側、従動側シール面210,220には各ギヤ130,140の歯先131,141に沿って歯先131,141の当たりによりシール面210,220が削られ、歯当たり面211,22が形成されることになる。これにより、シール面210,220と歯先131,141との接触を回避しつつ、クリアランスをほぼゼロとしてシール性を確保する。
また、歯当たり面211,221の間の領域は、z軸方向全幅にわたってy軸正方向に凹んで凹部230を形成する。この凹部230は、第1、第2サイドプレート150,160の凹部150b、160bとともに吸入ポート21から駆動側、従動側ギヤ130,140の噛合い部に作動油を導く吸入側領域Dinとして機能する。
一方、シールブロック200のy軸正方向側面240は円弧状に形成され、z軸正、負方向端面201,202には第3、第4段部251,252が設けられる。第3、第4段部251,252はy軸正方向に突出する凸形状を有し、II−II直線(駆動軸110と従動軸120の軸心Op,Osの中点Mを通ってy軸に平行な直線)上に位置するy軸正方向端部253,254において、板ばね300と当接する接点Aを形成する。
また、第3、第4段部251,252によりシールブロック200はz軸正方向側に突出する突出部250を形成することとなる。すなわち、板ばね300の第1、第2金属板301,302は接点Aにおいてシールブロック200と当接する。これにより、板ばね300はシールブロック200の突出部250にはめ込まれて位置決めされるとともに、第3、第4段部251,252と当接してシールブロック200のy軸正方向を係止する。
また、図2及び図3に示すように、第1サイドプレート150のz軸正方向側面155と第2サイドプレート160のz軸負方向側面165の距離は、シールブロック200のz軸方向幅と同一となるよう設けられている。
したがって、各サイドプレート150,160に設けられる第1、第2シールリング170,180もシールブロック200のz軸両端面と当接する。これにより、各サイドプレート150,160の駆動側シール面158a,168aおよび従動側シール面158b,168bと、シールブロック200のシール面210,220は、z軸両端面においても各シールリング170,180によりシールされることとなる。
(液圧差によるシールブロック押し付け)
ポンプ駆動時には、駆動側及び従動側ギヤ130,140の駆動によって吸入通路Dのz軸負方向側から作動油が吸入され、z軸正方向側から吐出される。これによりポンプ組立体100及びシールブロック200の当接面以外の外周側は吐出側となって高圧に、当接面は吸入側となって低圧となるため、ポンプ駆動に伴ってy軸負方向への差圧が発生する。
この差圧によりポンプ組立体100はy軸正方向、シールブロック200はy軸負方向に付勢され、シールブロック200をポンプ組立体100に押し付けることにより、ポンプ組立体100とシールブロック200の当接面のシール性を向上させるものである。
[板ばねの詳細]
図7は板ばね300単体の斜視図である。板ばね300はポンプ組立体100の仮止めを行う部材であって、形状および弾性力はx軸方向の中点A'に対し対称である。板ばね300を用いることで、コイルばねと異なり経時劣化による弾性力低下の影響を回避する。
この板ばね300は、平行に設けられた2つの山型状金属板301,302を接続することにより形成される。また、2つの金属板301,302は、脚部320の両端部321,322およびシールブロック200のx軸方向両脇において接続部303〜306により接続される(図4〜図6参照)。
また、z軸正方向側に設けられる接続部303,304および金属板301,302によって嵌合孔310が形成される。この嵌合孔310にシールブロック200の突出部250を嵌め込むことて、組み付け時の位置決めが容易となる(図10:第3工程参照)。
また、板ばね300はx軸方向中点である点A'を湾曲中心とし、y軸正方向を凸として湾曲する。点A'はII−II直線上に位置し、この点A'に対し対称に変形する。板ばね300のx軸方向中央部310はシールブロック200にまたがり、点A'においてシールブロック200の接点Aと点接触する。組み付け時には両接点A,A'は一致する。
一方、中央部310からx軸両側かつy軸負方向側に延在する脚部320は、y軸負方向に延在して第1、第2サイドプレート150,160に嵌め込まれる。脚部320の両端部321,322におけるx軸方向内側の点B',C'において第1、第2サイドプレート150,160の接点B,Cと点接触する。
[アッセンブリ工程]
(第1工程:図8)
第1工程においては、駆動軸110、従動軸120,第1、第2サイドプレート150,160をそれぞれ組み付け、第1サブアッセンブリ100aとする。
(第2工程:図9)
第2工程では、第1サブアッセンブリ100aにシールブロック200を組み付け、第2サブアッセンブリ100bとする。組み付け時にはシールブロック200を第1、第2サイドプレート150,160の駆動側シール面158a,168aおよび従動側シール面158b,168bに押しつける。
その際、駆動側シール面158a,168aおよび従動側シール面158b,168b上に設けられたリブ500,600を塑性変形させ、シールブロック200のシール面210,220と確実に当接させて液密性を確保する。
(第3工程:図10)
第3工程では、第2サブアッセンブリ100bに板ばね300をy軸正方向側から嵌合させ、ポンプ組立体100を形成する。山型の板ばね300をシールブロック200にまたがらせ、接点Aに当接させたまま第1、第2サイドプレート150,160に対し着脱可能に嵌合させる。
これにより脚部両端部321,322は、第1、第2サイドプレート150,160のy軸負方向面端部152,162に当接する。板ばね300は弾性力により第1、第2サイドプレート150,160をy軸正方向に付勢し、接点Aにおいてシールブロック200のy軸正方向側を係止することで、ポンプ組立体100の仮止めを行う。
また、シールブロック200における各段部251,252はシールブロック200のz軸両方向面に設けられている。同様に第1サイドプレート150の第1段部156は第1サイドプレートz軸正方向側面155に設けられ、第2サイドプレート150の第2段部166は第2サイドプレートz軸負方向側面165に設けられる。
ここで、シールブロック200および第1、第2サイドプレート150,160は安価な焼結成形によることが望ましい。焼結成形する際は、焼結型をz軸方向からはめ込んで成形するが、各段部251,252および156,166がz軸方向端面に開口している。
したがって、焼結型に各段部251,252および156,166の型を設けることで、シールブロック200および第1、第2サイドプレート150,160を焼結成形時に、各段部251,252および156,166を同時に形成し、低コストな焼結成形を用いつつ加工工数を低減し、コスト削減を図る。なお、第1、第2工程において駆動、従動軸110,120および各ギヤ130,140をアッセンブリ用のダミー工具としてもよい。
[リブ成形時の押圧方向と硬化位置の関係]
図11はリブ500成形時の押圧方向と硬化位置の関係を示す図である。A−A断面は駆動軸110と平行(z軸方向)であり、B−B断面は各ギヤ130,140と平行(x軸方向)である。リブ600でも同様である。
なお、説明のため第1サイドプレート150表面と平行な曲面をx'、z'軸で形成されるx'−z'面とし、このx'−z'面の法線であってリブ500の突出方向をy'軸とする。また、本願ではリブ500の幅は0.5mm、高さ0.2mmとするが、数値は適宜変更してもよい。
リブ500はT字型であって、第1サイドプレート150のシール面158の表面の肉を押圧することにより形成される。x'軸方向延在部510はz'軸負方向側から押圧することにより形成され、z'軸方向延在部520はx'軸方向両側から押圧することにより形成される。
(x軸方向延在部)
比較例のように、シール面158表面の肉をシール面158に対し直角に押圧する場合、A−A断面ではリブx軸方向延在部510のz'軸負方向端部511に肉が偏り、密度が上昇して硬化してしまう。そのためx軸方向延在部510では、y軸方向端部512においてz軸方向の密度分布が変化し、z軸負方向に向かうにつれ密度および硬度が高くなる。
したがってy'軸正方向側からシールブロック200を押圧する際、密度分布の存在によってリブx軸方向延在部510はz軸方向に対し均等に塑性変形せず、z軸方向に均等に塑性変形しないためシール性が悪化する。
これに対し本願実施例1では、リブx軸方向延在部510を押圧成形する際、シール面158表面に対する角度30°でz軸負方向に押圧する。このため、リブx軸方向延在部510のA−A断面は台形となり、押圧方向が第1サイドプレート150の中心軸(駆動軸110、従動軸120の軸)方向に傾き、シール面158表面の肉も中心方向へ偏ることとなる。
これにより、リブx軸方向延在部510のz'軸負方向端部511に肉が偏ることがなく、y軸方向端部512の密度・硬度分布は均一に保たれる。よって、y'軸正方向側からシールブロック200を押圧する際、リブx軸方向延在部510はz軸方向に対し均等に塑性変形し、シール性が向上する。
(z軸方向延在部)
z軸方向延在部520においても、基本的にz軸方向延在部510と同様である。z軸方向延在部520においてはx'軸両側から押圧され、シール面158の肉は中心方向に偏る。したがって比較例ではシール面158表面の肉をシール面158に対し直角に押圧するためy軸方向端部522の中心部の密度・硬度が上昇してy軸方向端部522の塑性変形量が非均一となる。
本願ではシール面158表面に対する角度30°でz軸負方向に押圧するため、リブy軸方向延在部520のB−B断面は台形となり、y軸方向端部522の密度・硬度分布は均一となる。これにより塑性変形量も均一となってシール性が向上する。
図12はリブ硬度−リブ塑性変形量、図13はリブ硬度−リブ角度(シール面158,168に対する角度)の関係を示す図である。いずれも斜線部分を許容範囲とする。
図12で示すように、硬度が大きすぎるとシール性確保のための要求塑性変形量が満たされず、図13に示すようにリブ角度が大きすぎると図11で示すように密度分布が生じてリブ硬度が高くなりすぎる。したがって、本願ではリブ角度を15°以上60°以下とする。実施例1では図11に示すように30°とした。
図14は、リブ角度とリブ塑性変形量の関係を示す図である。リブ角度=90°(図11の比較例)の場合と比べ、リブ角度=30°(本願実施例1)では小さい押し付け荷重で大きな塑性変形量が得られている。
[本願実施例の効果]
サイドプレート150,160のシール面158,168の肉を押圧して形成されるリブ500,600の断面を台形とした。したがって、押圧方向が第1、第2サイドプレート150の中心軸(駆動軸110、従動軸120の軸)方向に傾き、シール面158表面の肉も中心方向へ偏る。
これにより、リブ端部511,521に肉が偏ることがなく、y軸方向端部512,522の密度・硬度分布は均一に保たれる。よって、y'軸正方向側からシールブロック200を押圧する際、リブ500,600はz軸方向に対し均等に塑性変形し、シール性を向上させることができる。
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば図15(リブ500のみ図示)に示すように、リブ500,600を押圧成形する際、目的のリブ硬度に合わせてシール面158,168表面に対する角度を15°〜60°の範囲で任意に設定してもよい。
実施例1におけるギヤポンプのz軸正方向正面図である。 実施例1におけるギヤポンプのx軸正方向方向側面図である。 図1のI−I断面図である。 実施例1におけるポンプ組立体の斜視図である。 実施例1におけるポンプ組立体のy軸正方向正面図である。 実施例1におけるポンプ組立体のx軸正方向正面図である。 実施例1における板ばね単体の斜視図である。 実施例1におけるギヤポンプの組立第1工程である。 実施例1におけるギヤポンプの組立第2工程である。 実施例1におけるギヤポンプの組立第3工程である。 リブ500成形時の押圧方向と硬化位置の関係を示す図である。 リブ硬度−リブ塑性変形量の関係を示す図である。 リブ硬度−リブ角度(シール面158,168に対する角度)の関係を示す図である。 リブ角度とリブ塑性変形量の関係を示す図である。 他の実施例を示す図である。
符号の説明
1 ギヤポンプ
10 ポンプハウジング
11 駆動軸支持孔
12 シリンダ孔
12a 当接面
12b 内壁
13 吐出ポート
20 ハウジングカバー
21 吸入ポート
100 ポンプ組立体
130 駆動側ギヤ
140 従動側ギヤ
131,141 歯先
150,160 第1、第2サイドプレート
200 シールブロック
210,220 駆動側、従動側シール面
300 板ばね
500,600 駆動側、従動側リブ
510 x軸方向延在部
511,521 リブ端部
511 z軸負方向端部
512 y軸方向端部
520 z軸方向延在部
521 x軸方向端部
522 y軸方向端部

Claims (4)

  1. 駆動軸により軸支される駆動側歯車と、従動軸により軸支される従動側歯車と、前記駆動軸及び従動軸の軸方向両側方に設けられた一対の側板と、前記歯車の歯先をシールするとともに前記側板との衝合により第1油室を形成するシールブロックと、から構成されたポンプ組立体と、
    前記ポンプ組立体を収装し、第2油室を形成するケーシングと、
    前記側板上であって、前記駆動側および従動側歯車に対し平行に設けられたリブと
    を備え、
    前記リブは、前記側板の表面を前記駆動軸および従動軸方向に押圧することで形成されるとともに、前記駆動側および従動側歯車と平行な断面において台形であって、
    前記シールブロックにより前記リブを塑性変形させることにより、前記側板と前記シールブロックとのシール面を形成すること
    を特徴とするギヤポンプの製造方法。
  2. 駆動軸により軸支される駆動側歯車と、従動軸により軸支される従動側歯車と、前記駆動軸及び従動軸の軸方向両側方に設けられた一対の側板と、前記歯車の歯先をシールするとともに前記側板との衝合により第1油室を形成するシールブロックと、から構成されたポンプ組立体と、
    前記ポンプ組立体を収装し、第2油室を形成するケーシングと、
    前記側板上であって、前記駆動軸および従動軸に対し平行に設けられたリブと
    を備え、
    前記リブは、前記側板の表面を前記駆動側および従動側歯車の回転方向に押圧することで形成されるとともに、前記駆動軸および従動軸と平行な断面において台形であって、
    前記シールブロックにより前記リブを塑性変形させることにより、前記側板と前記シールブロックとのシール面を形成すること
    を特徴とするギヤポンプの製造方法。
  3. 駆動軸により軸支される駆動側歯車と、従動軸により軸支される従動側歯車と、前記駆動軸及び従動軸の軸方向両側方に設けられた一対の側板と、前記歯車の歯先をシールするとともに前記側板との衝合により第1油室を形成するシールブロックと、から構成されたポンプ組立体と、
    前記ポンプ組立体を収装し、第2油室を形成するケーシングと、
    前記側板上であって、前記駆動側および従動側歯車に対し平行に設けられたリブと
    を備え、
    前記リブは、前記側板の表面を前記駆動軸および従動軸方向に押圧することで形成されるとともに、前記駆動側および従動側歯車と平行な断面において台形であって、前記シールブロックにより押圧されて塑性変形すること
    を特徴とするギヤポンプ。
  4. 駆動軸により軸支される駆動側歯車と、従動軸により軸支される従動側歯車と、前記駆動軸及び従動軸の軸方向両側方に設けられた一対の側板と、前記歯車の歯先をシールするとともに前記側板との衝合により第1油室を形成するシールブロックと、から構成されたポンプ組立体と、
    前記ポンプ組立体を収装し、第2油室を形成するケーシングと、
    前記側板上であって、前記駆動軸および従動軸に対し平行に設けられたリブと
    を備え、
    前記リブは、前記側板の表面を前記駆動側および従動側歯車の回転方向に押圧することで形成されるとともに、前記駆動軸および従動軸と平行な断面において台形であって、前記シールブロックにより押圧されて塑性変形すること
    を特徴とするギヤポンプ。
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