JP2008215296A - 潤滑装置及びオイル貯留装置 - Google Patents

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日出夫 小林
Katsuhiko Arisawa
克彦 蟻沢
Yoshio Yamashita
芳雄 山下
Kenichi Yamada
賢一 山田
Kunihiko Hayashi
邦彦 林
Akira Michikawauchi
亮 道川内
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Abstract

【課題】 オイル貯留装置及び潤滑装置において、オイル交換時や運転時等の状況に応じて、可動弁機構がより適切に作動すること。
【解決手段】 フロート弁180は、第一室131内のオイルレベルが第一のレベル(オイルレベルL1)以上である場合にドレイン孔161dを常時閉塞するように構成されている。また、フロート弁180は、第一室131内のオイルレベルが第一のレベルよりも低い第二のレベル(オイルレベルL2)以下となった場合に、第一室131と第二室132とのオイルレベルの差による差圧に抗してフロート弁180を下降させることでドレイン孔161dを開放するように構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被潤滑機構(例えば、エンジンブロックや自動変速機構等)の潤滑のためのオイルを貯留可能なオイル貯留装置に関する。また、本発明は、当該オイル貯留装置を備えていて、前記オイルを前記被潤滑機構に向けて供給し得るように構成された潤滑装置(例えば、エンジンや自動変速装置等)に関する。
一般に、この種の潤滑装置は、前記オイル貯留装置内に貯留されている前記オイルをオイルポンプによって吸い出して、当該オイルを前記被潤滑機構内の被潤滑部材(例えば、ギヤ、カムシャフト、シリンダ、ピストン等)に供給し得るように構成されている。また、この潤滑装置は、当該被潤滑部材にて潤滑作用を奏するとともに当該被潤滑部材から摩擦熱等の熱を吸収したオイルが、重力の作用で前記被潤滑機構から前記オイル貯留装置内に還流(リターン)するように構成されている。
前記オイル貯留装置として、前記オイルの昇温を促進することで暖機運転の進行を促進し得るような、所謂2槽式オイルパンが広く知られている(例えば、特開2003−222012号公報等)。
この2槽式オイルパンにおいては、その内部の空間が、主室(第一室や内室と称されることもある)と副室(第二室や外室と称されることもある)との2槽に区画されている。そして、この2槽式オイルパンを備えた前記潤滑装置は、前記主室内の前記オイルを前記被潤滑機構に供給するように構成されている。
かかる構成によれば、特に暖機運転中において、前記主室内の前記オイルが優先的に、前記被潤滑部材に供給される。すなわち、前記主室内の前記オイルが優先的に、前記被潤滑機構内にて循環する。これによれば、前記オイル貯留装置内に貯留されている前記オイルの全量が前記被潤滑機構内にて循環する場合よりも、前記オイルの温度、及び当該被潤滑部材の温度が、速やかに上昇する。したがって、かかる構成によれば、暖機運転の進行が促進され、フリクションロスの低減による燃費低減の効果が得られる。
また、この種のオイル貯留装置において、前記オイルの貯留状態や流動状態に応じて可動な可動弁機構を備えたものが知られている(例えば、特開平6−66121号公報、特開2005−48695号公報、国際公開番号WO2006/04641A1、等)。
例えば、特開平6−66121号公報に記載の構成においては、オイルパン内のオイルレベルに応じてサブタンクとの通路をメカニカルに開閉するフロート弁が設けられている。このフロート弁は、前記オイルの抜き取りに伴って前記オイルパン内のオイルレベルがある程度低下すると前記通路を開き、当該オイルパン内への新規な前記オイルの注入に伴ってオイルレベルが上昇してくると途中で通路を閉じるように構成されている。
かかる構成によれば、オイル交換時における前記オイルのサブタンク内への流入量がメカニカルに規制される。また、前記オイルパン内の前記オイルの量が過度に減少した場合に、前記フロート弁によって前記通路が開かれる。
特開2005−48695号公報に記載の構成においては、内部容器の底部に、当該内部容器の内外を連通する内側ドレイン孔が形成されている。この内側ドレイン孔は、可動弁によって開閉されるようになっている。この可動弁は、自重やバネ等によって下降することで前記内側ドレイン孔を開放するとともに、オイルポンプの吸引力によって浮上することで前記内側ドレイン孔を閉塞するように構成されている。
かかる構成によれば、前記オイルの抜き取り時には、前記オイルポンプが停止しているので、前記可動弁の下降により、前記内側ドレイン孔が開放される。一方、前記オイルポンプの駆動時には、当該オイルポンプの吸引力によって前記可動弁が浮上し、前記内側ドレイン孔が閉塞される。これにより、前記オイルが効率よく温度上昇する。
特開2003−222012号公報 特開平6−66121号公報 特開2005−48695号公報 国際公開番号WO2006/04641A1 特開平6−263195号公報 特開2006−177169号公報
例えば、特開平6−66121号公報に開示されている構成において、前記サブタンクから前記オイルの排出が行われた場合、当該サブタンクが空になっても前記フロート弁は下降しない。よって、前記サブタンクから前記オイルパン内の前記オイルの全量を排出することはできない。
したがって、かかる構成においては、公知のオイル交換装置(特開平6−263195号公報等参照)のノズルを前記サブタンク内に(オイルレベルゲージ挿入孔を通して)挿入してオイル交換を行うこと(特開2006−177169号公報等参照)ができない。
特開2005−48695号公報に開示されている構成においては、前記オイルポンプの吸引力が変動すると、前記可動弁の浮上状態も不安定となる。よって、暖機運転時における内外室のオイル混合の抑制が不充分となり、オイル温度の効率よい上昇が妨げられることがあり得る。
このように、この種のオイル貯留装置及び潤滑装置において、オイル交換時や運転時等の状況に応じて、前記可動弁機構がより適切に作動することが求められている。
本発明のオイル貯留装置は、被潤滑機構の潤滑のためのオイルを貯留し得るように構成されている。本発明の潤滑装置は、前記オイルを前記被潤滑機構に向けて供給し得るように構成されている。この潤滑装置は、オイルストレーナーと、前記オイル貯留装置と、を備えている。前記オイルストレーナーは、前記オイル貯留装置内に配置されている。このオイルストレーナーは、前記オイル貯留装置内に貯留された前記オイルを吸い込むように構成されている。
前記オイル貯留装置は、内側オイルパンと、外側オイルパンと、フロート弁と、を備えている。
前記内側オイルパンは、凹部を備えている。この凹部によって、第一室が形成されている。この第一室は、前記被潤滑機構に向けて開口している。この第一室には、前記オイルストレーナーが配置されている。また、前記内側オイルパンにおける前記凹部の底部には、貫通孔が形成されている。
前記外側オイルパンは、前記内側オイルパンを下方から覆うように配置されている。この外側オイルパンと前記内側オイルパンとの間には、第二室が形成されている。この第二室は、前記オイルを貯留する空間であって、前記貫通孔を介して前記第一室と連通している。そして、前記外側オイルパンは、前記内側オイルパンの下方及び側方に前記第二室が形成されるように配置されている。
前記フロート弁は、前記第一室内のオイルレベルに応じて上下動することで前記貫通孔を開閉するように構成されている。具体的には、前記フロート弁は、フロートと、弁体と、を備えている。
前記フロートは、前記第一室側に配置されている。このフロートは、単位体積あたりの平均重量が前記オイルよりも小さくなる(当該フロート単独では前記オイル中で浮上する)ように構成されている。
ここで、前記フロートの「単位体積あたりの平均重量」とは、以下の意味である:前記フロートが単純な構造、すなわち、ある1種類の材質の塊(中空ではない)からなる場合は、当該材質の比重である。前記フロートが中空構造、複合構造等の、複雑な構造を有する場合は、当該フロートの重量を当該フロートの体積で除したものである。「単位体積あたりの平均重量」の意義は、前記フロート以外の部材についても同様である。
前記弁体は、前記第二室側に配置されている。この弁体は、前記フロートの浮上によって、前記貫通孔を前記第二室側から閉塞し得るように構成されている。
本発明の特徴は、前記フロート弁が、以下の構成を備えたことにある。
本フロート弁は、前記第一室内のオイルレベルが第一のレベル以上である場合に、前記貫通孔を常時閉塞するように構成されている。また、本フロート弁は、前記第一室内のオイルレベルが前記第一のレベルよりも低い第二のレベル以下となった場合に、前記第一室と前記第二室とのオイルレベルの差による差圧に抗して前記弁体が下降するように構成されている。
具体的には、本フロート弁は、弁体下降機構を備えた構成とされ得る。この弁体下降機構は、前記第一室内のオイルレベルが前記第二のレベル以下となった場合に、前記差圧に抗して前記弁体を下降させることで前記貫通孔を開放するように構成されている。
ここで、前記第一のレベルは、例えば、オイルレベルゲージのオイル量表示「L」に相当するオイルレベルに設定され得る。また、前記第二のレベルは、例えば、前記オイルストレーナーのオイル吸入口の高さよりも高いレベルであって、前記被潤滑機構への前記オイルの供給不良が生じない程度の最低限度のレベルに設定され得る。
かかる構成においては、前記第一室内のオイルレベルが前記第一のレベル以上である場合には、前記フロート弁に作用する浮力によって、前記貫通孔が前記弁体により常時閉塞される。一方、前記第一室内のオイルレベルが前記第一のレベルよりも低下した場合、前記弁体は下降しようとする。
例えば、空の(オイル全量が予め排出された)前記オイル貯留装置における前記第二室内に、新鮮な前記オイルが注入される際、前記第一室内のオイルレベルが前記第一のレベルよりも低い間は、前記弁体は下降していて、前記貫通孔は開放されている。よって、少なくとも前記第一室内のオイルレベルが、前記第二のレベルよりも高い前記第一のレベルに達するまでは、前記第一室と前記第二室とのオイルレベルが一致しながら、両室のオイルレベルが上昇する。これにより、前記第一室内への新鮮な前記オイルの注入量が所定量(少なくとも前記被潤滑機構の始動に必要な最低限の量)確保され得る。
もっとも、例えば前記被潤滑機構が運転中であって前記第一室内から前記オイルが前記オイルストレーナーによって吸い出された場合等において、前記第一室と前記第二室とのオイルレベルの差が生じることがある。この場合、前記第一室と前記第二室との間に差圧が生じる。この差圧が前記弁体の底面に作用することにより、当該弁体が上方に(前記貫通孔を閉塞する方向に)付勢され得る。
このとき、前記第一室内のオイルレベルが前記第一のレベルと前記第二のレベルとの間である間は、前記弁体の下降が抑制され得る。これにより、前記被潤滑機構の運転に支障を来たすおそれがない間は、前記貫通孔が閉塞され得る。よって、特に暖機運転中における前記オイルの温度上昇が効果的に促進され得る。
但し、前記第一室内のオイルレベルが前記第二のレベル以下となった場合には、前記弁体が、上述の差圧に抗して下降する。これにより、前記第一室内のオイルレベルが極端に低下した際に、前記第二室から前記オイルが前記第一室に補充される。
このように、本発明によれば、オイル交換時や運転時等の状況に応じて、前記フロート弁がより適切に作動する。
(A)前記フロート弁は、以下の構成を備えていてもよい。
本フロート弁は、前記第一のレベルと前記第二のレベルとの間での、前記第一室内のオイルレベルの上下動に伴って、前記フロートと前記弁体とが上下方向に沿って相対的に移動するように構成されている。
また、前記フロート弁は、ガイドバーと、フロート上昇ストッパーと、フロート下降ストッパーと、を備えている。
前記ガイドバーは、前記フロートの上下動をガイドするように構成されている。このガイドバーの下端部には、前記弁体が固定されている。
前記フロート上昇ストッパーは、前記ガイドバーに固定されている。このフロート上昇ストッパーは、前記フロートの上昇位置を規制するように構成されている。具体的には、このフロート上昇ストッパーは、前記第一室内のオイルレベルの上昇に応じて、前記フロートの上端部と当接することで、当該フロートの浮力により前記弁体を上昇させるように構成されている。
前記フロート下降ストッパーは、前記ガイドバーに固定されている。このフロート下降ストッパーは、前記弁体と前記フロートとの間に配置されている。具体的には、このフロート下降ストッパーは、前記第一室内のオイルレベルが前記第二のレベル以下となった場合に前記フロートの下端部と当接するような位置に設けられている。
すなわち、本フロート弁においては、前記弁体下降機構は、前記フロートと前記フロート下降ストッパーとから構成されている。
ここで、前記弁体と前記ガイドバーと前記フロート上昇ストッパーと前記フロート下降ストッパーとの結合体は、単位体積あたりの平均重量が前記オイルよりも大きくなるように構成され得る。すなわち、前記結合体は、それ単独で、且つ前記差圧が作用しない条件で、前記オイル中を沈降するように構成され得る。
かかる構成においては、前記第一室内のオイルレベルが前記第二のレベル以下となった場合には、前記フロート弁が、前記フロート下降ストッパーに当接する。これにより、前記弁体が、上述の差圧に抗して下降する。よって、前記第一室内のオイルレベルが極端に低下した際に、前記第二室から前記オイルが前記第一室に補充される。
前記弁体の底面(前記差圧の作用を受ける面)と前記差圧との積が、前記結合体の質量と前記オイル中での浮力との差よりも大きくなるように、前記フロート弁が構成され得る。
かかる構成においては、前記第一室内のオイルレベルが前記第一のレベルよりも低くなった場合であっても、前記第二のレベルにまで低下するまでの間は、前記貫通孔が前記弁体によって閉塞され得る。これにより、特に暖機運転中における前記オイルの温度上昇が効果的に促進され得る。
(B)前記フロート弁は、以下の構成を備えていてもよい。
前記フロート弁は、前記弁体と前記フロートとを連結する連結バーを備えている。この連結バーの下端部には、前記弁体が固定されている。また、前記連結バーにおける前記弁体よりも上方の位置には、前記フロートが固定されている。
また、前記フロート弁(前記弁体下降機構)は、前記連結バーに装着された錘を備えている。この錘は、前記第一室内のオイルレベルに応じて前記第一室内の前記オイル中に浸漬され又は前記第一室内にて油面の上に露出するような位置に設けられている。
具体的には、この錘は、前記フロートよりも、単位体積あたりの平均重量が大きくなるように構成され得る。すなわち、油面上に露出した状態にて前記錘に作用する重力が、前記フロートの浮力よりも大きくなるように、前記フロート弁が構成され得る。前記錘の単位体積あたりの平均重量は、前記オイルとほぼ同一か、前記オイルよりも若干重いことが好適である。
かかる構成においては、前記第一室内のオイルレベルの低下により、前記錘が前記油面の上に露出すると、当該露出分だけ、前記フロート弁(前記弁体)を下降させようとする力が増大する。これにより、前記第一室内のオイルレベルが前記第二のレベル以下となった場合における、前記フロート弁(前記弁体)を上述の差圧に抗して下降させる力が得られる。
前記錘は、前記フロートよりも上方に配置されていてもよい。この場合、前記第一室内のオイルレベルが前記第二のレベル以上である場合に、前記フロートが前記オイル中にて浮力を受けるように、本フロート弁が構成されている。また、前記第一室内のオイルレベルが前記第一のレベルと前記第二のレベルとの間である場合に、前記錘の一部が油面上に露出した状態で、重力と浮力とがつりあうように、前記フロート弁が構成され得る。
前記弁体と前記連結バーとの結合体の、単位体積あたりの平均重量は、前記オイルとほぼ同一か、前記オイルよりも若干重いことが好適である。これにより、前記フロート及び前記錘の単位体積あたりの平均重量や形状等を調整することで、前記フロート弁の上下動が簡易且つ適切に調整され得る。
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について図面を参照しつつ説明する。
<エンジンの概略構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る多気筒のエンジン100をエンジン長手方向(気筒配列方向)に沿った方向から見た場合の一部側断面図である。
被潤滑機構としてのシリンダヘッド110の本体部は、アルミニウム合金を所定の形状に鋳造することによって形成されている。このシリンダヘッド110の本体部の内部には、被潤滑部材としてのカムシャフト111が、回転可能に収容されている。このシリンダヘッド110の下端面には、シリンダブロック120が接合されている。
被潤滑機構としてのシリンダブロック120の本体部は、アルミニウム合金を所定の形状に鋳造することによって形成されている。このシリンダブロック120の本体部の内部には、被潤滑部材としての略円筒形状のシリンダライナー121が収容されている。このシリンダライナー121の内側には、被潤滑部材としてのピストン122が、図中上下方向に往復移動可能に収容されている。このピストン122の下方には、被潤滑部材としてのクランクシャフト123が、前記エンジン長手方向と平行に配置されている。ピストン122と、クランクシャフト123とは、被潤滑部材としてのコネクティングロッド124を介して互いに接続されている。
シリンダブロック120の下端部には、ブロックフランジ125が設けられている。このブロックフランジ125の下方には、オイルストレーナー126が配置されている。オイルストレーナー126は、シリンダブロック120に備えられた図示しないオイルポンプと接続されている。このオイルストレーナー126の下端部には、上述のオイルポンプが作動している際にオイルをオイルストレーナー126内に吸い込むためのオイル吸入口126aが形成されている。すなわち、オイルストレーナー126は、オイル貯留装置130内に貯留されたオイルを吸い込むように構成されている。
本実施形態のオイル貯留装置130は、その内側の空間に、シリンダヘッド110及びシリンダブロック120の内部の潤滑のためのオイルを貯留可能に構成されている。すなわち、本発明の潤滑装置の一実施形態としてのエンジン100は、オイル貯留装置130内のオイルをオイルストレーナー126によって吸い込んで、シリンダヘッド110及びシリンダブロック120に向けて供給し得るように構成されている。このオイル貯留装置130内には、第一室131と、第二室132と、の2つの空間が形成されている。
第一室131は、オイルストレーナー126が収容される空間であって、オイル貯留装置130の最も内側に形成されている。第二室132は、第一室131と隣接する空間であって、第一室131の下方及び側方を囲むように設けられている。
<実施形態のオイル貯留装置の構成>
本実施形態のオイル貯留装置130は、アッパーオイルパン140と、アウターオイルパン150と、インナープレート160と、を備えている。
アッパーオイルパン140は、シリンダブロック120の前記本体部と同様に、アルミニウム合金を所定の形状に鋳造することによって形成されている。このアッパーオイルパン140は、筒状部141と、上側フランジ142と、下側フランジ143と、を備えている。
筒状部141の上端には、上側フランジ142が形成されている。この上側フランジ142は、ブロックフランジ125と接合されている。筒状部141の下端には、下側フランジ143が形成されている。この下側フランジ143には、アウターオイルパン150及びインナープレート160が、ボルトによって固定されている。
<<アウターオイルパン>>
本発明の外側オイルパンとしてのアウターオイルパン150は、上方のシリンダブロック120に向かって開口するように、バスタブ状に形成されている。具体的には、アウターオイルパン150は、アウター底板151と、アウター側板152と、アウターフランジ153と、から構成されている。このアウターオイルパン150は、鋼板をプレス加工することによって、一体に成形されている。
アウター底板151の周縁には、当該アウター底板151を外側から囲むように、アウター側板152が設けられている。そして、このアウターオイルパン150は、アウター底板151とアウター側板152とによって囲まれた空間内に、オイルが貯留される空間である上述の第一室131及び第二室132が形成され得るように構成されている。
アウター底板151の最低位置には、ドレインボルト孔154が設けられている。このドレインボルト孔154の内縁部には、ドレインボルト155が捩じ込まれ得るように、ネジ山が形成されている。なお、「最低位置」とは、エンジン100を含む所定の装置(例えば自動車等)が水平な地面に置かれた場合の、重力作用方向における最も低い位置をいうものとする。一方、エンジン100を含む所定の装置(例えば自動車等)が水平な地面に置かれた場合の、重力作用方向における最も高い位置を、以下、「最高位置」と称する。
このアウターオイルパン150は、アウター底板151及びアウター側板152の上を、オイルがドレインボルト孔154に向かって重力の作用で淀みなくスムーズに流れ落ち得るような形状に構成されている。すなわち、ドレインボルト孔154からドレインボルト155を取り外すことにより、アウターオイルパン150の内側の空間(特に第二室132)内に貯留されたオイルの全量が、重力の作用によって当該ドレインボルト孔154を通してオイル貯留装置130の外部に流出し得るようになっている。
アウター側板152の上端側における周縁部には、アウターフランジ153が形成されている。アウターフランジ153は、アウター側板152の上端から外側に延びるように立設されている。このアウターフランジ153は、アッパーオイルパン140の下端部の下側フランジ143と接合されている。
アウターオイルパン150は、アウターフランジ153が下側フランジ143と接合されることで、本発明の内側オイルパンとしてのインナープレート160を下方から覆うように配置されている。
<<インナープレート>>
インナープレート160は、アッパーオイルパン140及びアウターオイルパン150の内側に形成された空間内に配置されている。このインナープレート160は、当該空間を、上述の第一室131と第二室132とに分割し得るように構成されている。具体的には、インナープレート160は、オイルパンセパレーター161と、水平仕切板162と、から構成されている。
インナープレート160は、熱伝導性の低い合成樹脂製の板材によって一体に形成されている。本実施形態においては、インナープレート160は、耐油性及び耐熱性が高い、ガラス繊維を重量%で30%含有することで強化された6ナイロン樹脂の、厚さ2〜3mmの薄板から構成されている。
<<<オイルパンセパレーター>>>
オイルパンセパレーター161は、インナー底板161aと、インナー側板161bと、を備えている。インナー底板161aの周縁には、当該インナー底板161aを外側から囲むように、インナー側板161bが設けられている。
このオイルパンセパレーター161は、アウターオイルパン150の内側の空間を第一室131と第二室132とに分割し得るように構成されている。すなわち、インナー底板161aとインナー側板161bとによって形成された凹部の内側の空間によって、上述の第一室131が形成されている。また、第一室131の下方及び側方の空間であって、アウターオイルパン150とオイルパンセパレーター161とで挟まれた空間によって、上述の第二室132が形成されている。
この第一室131は、シリンダブロック120に向けて開口するように形成されている。すなわち、シリンダブロック120から重力の作用により落下してきた還流オイル(の一部)が、直接第一室131に還流し得るように、当該第一室131が形成されている。
インナー側板161bの上端における周縁部には、インナーフランジ161cが形成されている。インナーフランジ161cは、インナー側板161bの上端から外側に向かって延びるように立設されている。このインナーフランジ161cは、下側フランジ143と接合されていて、当該下側フランジ143に対してボルトによって固定されている。
インナー側板161bは、その上端が所定のオイルレベル「F」よりも若干高くなるように形成されている。ここで、オイルレベル「F」は、本発明の第一のレベルとしての所定のオイルレベル「L1」よりも所定量高いオイルレベルに設定されている。また、このオイルレベル「L1」は、本発明の第二のレベルとしての所定のオイルレベル「L2」よりも所定量高いオイルレベルに設定されている。
本実施形態においては、オイルレベル「L2」は、オイルストレーナー126のオイル吸入口126aからオイルが良好に吸い込まれる最低限のオイルレベルに相当する高さに設定されている。すなわち、本実施形態におけるオイルレベル「L2」は、オイルストレーナー126のオイル吸入口126aの高さよりも高いレベルであって、シリンダヘッド110やシリンダブロック120へのオイルの供給不良が生じない程度の最低限度のレベルに設定されている。具体的には、第一室131内のオイルレベルが「L2」の場合の、当該第一室131内のオイルの貯留量が、略1.5リットルに設定されている。
また、オイルレベル「L1」は、極低温(例えば−30℃程度)における始動時にて、オイルストレーナー126のオイル吸入口126aから空気が吸入されないような始動前の最低限のオイルレベルに設定されている。具体的には、第一室131内のオイルレベルが「L1」の場合の、当該第一室131内のオイルの貯留量が、略2.0リットルに設定されている。さらに、オイルレベル「F」は、オイルレベル「L1」よりも数十ミリ高く設定されている。
インナー底板161aには、本発明の貫通孔としてのドレイン孔161dが形成されている。ドレイン孔161dは、インナー底板161aの最低位置(第一室131の最低位置)であって、オイルストレーナー126の近傍位置に設けられている。
ドレイン孔161dは、第一室131の底部と、その下方の第二室132とを連通させるように設けられている。このドレイン孔161dは、低温(例えば0℃程度)の高粘度のオイルであっても第一室131の外部(第二室132側)に流出させ得る程度の充分な大きさ(例えば直径20mm程度の円形)に形成されている。
インナー側板161bにおける、オイルレベル「F」よりも若干低い位置(オイルレベル「F」とオイルレベル「L1」との間であってオイルレベル「F」に近接した位置)には、上部連通孔161fが形成されている。この上部連通孔161fは、第一室131の頂部と、その側方に位置する第二室132の頂部と、を連通させるように設けられている。
<<<水平仕切板>>>
水平仕切板162は、第二室132の上端を画定するように設けられている。この水平仕切板162は、オイルパンセパレーター161と同材質の合成樹脂によって構成されていて、当該オイルパンセパレーター161と一体に形成されている。すなわち、水平仕切板162の一端部は、インナー側板161bの上端と結合されている。また、水平仕切板162の他端部は、下側フランジ143と接合されていて、当該下側フランジ143に対してボルトによって固定されている。
水平仕切板162には、レベルゲージ挿入孔162aが設けられている。レベルゲージ挿入孔162aは、第二室132における最高位置に形成されている。このレベルゲージ挿入孔162aにおける、第二室132側の開口端部は、第二室132内の空気が上方にスムーズに抜け得るような形状に形成されている。
レベルゲージ挿入孔162aを外側から囲むように、筒状部材からなるレベルゲージガイド162bが、上方に向かって突出するように設けられている。レベルゲージガイド162bは、その下端が第二室132内に突出しないように形成されている。
水平仕切板162には、第二室132の頂部から空気を上方に抜くための空気排出孔162cが設けられている。空気排出孔162cは、直径略20mmの円形の貫通孔として形成されている。この空気排出孔162cは、レベルゲージガイド162bから離隔した位置に設けられている。
レベルゲージ挿入孔162a及びレベルゲージガイド162bは、棒状のオイルレベルゲージ171が挿通され得るように形成されている。すなわち、レベルゲージ挿入孔162a及びレベルゲージガイド162bは、オイルレベルゲージ171を収容することで、当該オイルレベルゲージ171を支持し得るように構成されている。
オイルレベルゲージ171は、エンジン100に装着された状態で、下端部の「L」目盛がオイルレベル「L1」に相当する高さとなり、「F」目盛がオイルレベル「F」に相当するような高さとなるように構成されている。
<<フロート弁>>
ドレイン孔161dには、フロート弁180が装着されている。このフロート弁180は、第一室131内のオイルレベルに応じて上下動することで、ドレイン孔161dを開閉し得るように構成されている。
すなわち、フロート弁180は、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」以上である場合に、ドレイン孔161dを常時閉塞するように構成されている。また、フロート弁180は、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L2」以下となった場合に、第一室131と第二室132とのオイルレベルの差による差圧に抗して開弁するように構成されている。
図2は、図1に示されているフロート弁180の周辺を拡大した側断面図である。以下、図2を参照しつつ、本実施形態のフロート弁180の具体的な構成について説明する。
弁体181は、第二室132側(インナー底板161aの下側)に配置されている。この弁体181は、その上面である閉塞面181aがドレイン孔161dの開口端縁と当接することで、当該ドレイン孔161dを下方から閉鎖し得るように構成されている。
本実施形態においては、弁体181の上側表面であって、ドレイン孔161dと対向する面である、上述の閉塞面181aが、外側(上側)に凸の球面状に形成されている。すなわち、第一室131内に充分な量のオイルが収容されていて、フロート弁180が図2に示されているような上昇位置(閉塞面181aによってドレイン孔161dを下方から閉鎖する位置)にある場合に、フロート弁180が傾いても、閉塞面181aがドレイン孔161dの開口端に良好に密着するように、当該閉塞面181aが形成されている。一方、弁体181の下側表面である底面181bは、平面状に形成されている。
弁体181の上端部(閉塞面181aの頂部)には、棒状部材であるガイドバー182が接続されている。すなわち、ガイドバー182の下端部に、弁体181が固定されている。本実施形態においては、ガイドバー182は、弁体181と同一材質によって、弁体181と一体に形成されている。このガイドバー182は、可動フロート183の上下動をガイドするように構成されている。
弁体181は、以下に説明するとおり、可動フロート183の浮上によって、ドレイン孔161dを第二室132側から(下方から)閉塞し得るように構成されている。
本発明のフロートとしての可動フロート183は、第一室131内(インナー底板161aの上側)に配置されている。すなわち、可動フロート183は、ドレイン孔161dを挟んで弁体181と対向するように配置されている。
可動フロート183は、単位体積あたりの平均重量がオイルよりも小さくなる(当該可動フロート183単独ではオイル中で浮上する)ように構成されている。すなわち、可動フロート183は、オイル内にて浮力により上昇し得るような材質及び/又は構造に形成されている。具体的には、可動フロート183は、オイルの比重(0.8〜0.9程度)よりも低い比重(オイルの半分程度の比重)の材質から構成されている。
本実施形態の可動フロート183は、略円筒形状に形成されている。この可動フロート183の中心軸の周りには、ガイド孔183aが形成されている。このガイド孔183aは、ガイドバー182の外径よりも大きな内径に形成されている。そして、ガイド孔183aには、ガイドバー182が挿通されている。すなわち、可動フロート183は、ガイドバー182に沿って上下動し得るように構成されている。
ガイドバー182の上端部には、フロート上昇ストッパー184が固定されている。フロート上昇ストッパー184は、第一室131内のオイルレベルの上昇に応じて、可動フロート183の上端部と当接することで、当該可動フロート183の浮力により弁体181を上昇させるように構成されている。また、フロート上昇ストッパー184は、可動フロート183の上昇位置をオイルレベル「L1」(図1参照)に規制するとともに、可動フロート183のガイドバー182からの脱落を防止するように構成されている。
ガイドバー182の中腹部には、フロート下降ストッパー185が固定されている。フロート下降ストッパー185は、弁体181と可動フロート183との間に配置されている。このフロート下降ストッパー185は、第一室131内のオイルレベルが低下してオイルレベル「L2」(図1参照)以下となった場合に、可動フロート183の下端部と当接するような位置に設けられている。
本実施形態のフロート弁180においては、可動フロート183とフロート下降ストッパー185とによって、本発明の弁体下降機構が構成されている。すなわち、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L2」以下となった場合に、第一室131と第二室132との間に生じる差圧に抗して弁体181を下降させることで、ドレイン孔161dを開放するように、可動フロート183及びフロート下降ストッパー185が構成されている。
ここで、弁体181とガイドバー182とフロート上昇ストッパー184とフロート下降ストッパー185との結合体は、単位体積あたりの平均重量がオイルOよりも大きくなるように構成され得る。すなわち、当該結合体は、それ単独で、且つ上述の差圧が作用しない条件で、オイルO中を沈降するように構成されている。
このように、本実施形態のフロート弁180は、オイルレベル「L1」とオイルレベル「L2」との間での、第一室131内のオイルレベルの上下動に伴って、弁体181と可動フロート183とが上下方向に沿って相対的に移動するように構成されている。
<実施形態の装置構成による動作・効果の説明>
以下、本実施形態の装置構成による動作について、各図面を参照しつつ説明する。
<<エンジン運転動作>>
まず図1を参照すると、本実施形態におけるエンジン100が始動されると、クランクシャフト123が回転駆動される。このクランクシャフト123の回転によって、図示しないオイルポンプが作動する。このオイルポンプの作動により、第一室131の底部に配置されたオイルストレーナー126のオイル吸入口126aを介して、当該第一室131の底部からオイルが吸い出される。そして、このオイルは、ピストン122やクランクシャフト123等の被潤滑部材に供給される。
ピストン122やクランクシャフト123等の被潤滑部材に供給されたオイルは、当該被潤滑部材にて潤滑作用を奏するとともに、当該被潤滑部材から摩擦熱等の熱を吸収する。その後、当該オイルは、重力の作用で、オイル貯留装置130(第一室131)に向かって還流する。
このように、本実施形態の構成においては、第一室131内のオイルが優先的に、ピストン122やクランクシャフト123等の被潤滑部材に供給される。また、当該被潤滑部材にて熱を吸収した前記還流オイルによって、第一室131内のオイルが昇温する。よって、第一室131内のオイルが効率的に昇温する。これにより、暖機運転の進行が促進され、フリクションロスの低減・燃費向上の効果が得られる。
<<オイル注入時>>
次に、本実施形態のオイル貯留装置130にオイルを注入する際の、フロート弁180の動作の様子について、図3の概略図に基づいて説明する。
まず図3を参照すると、オイル貯留装置130内が空である場合、弁体181がアウターオイルパン150(図1におけるアウター底板151)と接触する位置まで、フロート弁180の全体が下降している。すなわち、ドレイン孔161dは開放されている。このとき、可動フロート183も、フロート下降ストッパー185寄りの位置まで(オイルパンセパレーター161(図1におけるインナー底板161a)と接触する位置まで)下降している。
ここで、図1におけるオイルレベルゲージ171がエンジン100から取り外されて、公知のオイル交換装置のノズルがレベルゲージ挿入孔162a及びレベルゲージガイド162bに挿入される。すなわち、第二室132内に、前記ノズルの先端部が挿入される。そして、当該先端部から、新鮮なオイルOが、第二室132内に注入される(図4参照)。
図4を参照すると、オイル注入の初期段階においては、ドレイン孔161dは開放されている。よって、このドレイン孔161dを通じて、第一室131内にも、新鮮なオイルOが注入される。そして、第一室131内のオイルレベルの上昇に応じて、可動フロート183が上昇していく。
可動フロート183の上端がフロート上昇ストッパー184に当接するまで、可動フロート183が上昇すると、可動フロート183の上昇に伴って弁体181も上昇を開始する。そして、図5に示されているように、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」に達したとき、弁体181がドレイン孔161dと当接する。これにより、ドレイン孔161dが閉塞される。
ドレイン孔161dが閉塞された後、第二室132内のオイルレベルが上部連通孔161fに達するまでは、図6に示されているように、オイルOの第二室132内への注入に伴って、第二室132内のオイルレベルのみが上昇する。このとき、第一室131内のオイルレベルはオイルレベル「L1」のままである。
その後、第二室132内のオイルレベルが上部連通孔161fに達すると、図7に示されているように、上部連通孔161fを介して、第一室131内に、オイルOが再度注入される。これにより、第一室131内のオイルレベルが、オイルレベル「L1」よりも高くなる。もっとも、弁体181がドレイン孔161dと当接しているため、フロート弁180はそれ以上の上昇はしない。
このように、本実施形態の構成においては、第二室132側からオイルOを注入した場合であっても、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」に達するまでは、第一室131内のオイルレベルと第二室132内のオイルレベルとがほぼ一致する。
したがって、本実施形態の構成によれば、第二室132側からのオイル注入の際に、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」に達するまで、第一室131内にオイルOが確実に注入される。
また、本実施形態の構成においては、第二室132側からのオイル注入の際に、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」に達した後も、上部連通孔161fにより、第一室131内にオイルOが注入され得る。よって、第一室131及び第二室132のオイルレベルがともにオイルレベル「F」に達するまで、第一室131及び第二室132に確実にオイルOが注入され得る。
なお、本実施形態の構成においては、オイルOの注入を第一室131側から行った場合も、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」に達するまでは、第一室131内のオイルレベルと第二室132内のオイルレベルとがほぼ一致する。その後のオイル注入に伴い、第一室131内のオイルレベルのみ上昇した後、上部連通孔161fを介して、第二室132内へもオイルOが注入される。
このように、本実施形態の構成によれば、オイル注入方法にかかわらず、第一室131内へのオイル注入量が良好に確保され得る。
<<エンジン運転中(1)>>
ここで、始動前に、第一室131内のオイルレベルと第二室132内のオイルレベルとがほぼ一致していて、これらがオイルレベル「L1」よりもわずかに高い場合(図8参照)の、始動後の動作について説明する。
この場合、始動直前においては、図8に示されているように、可動フロート183の浮力により、弁体181がドレイン孔161dに密着している。したがって、ドレイン孔161dは、弁体181によって閉塞されている。
始動直後においては、第一室131内のオイルOが吸い出される。これにより、第一室131内のオイルレベルのみが低下する。そして、第一室131と第二室132との間にオイルレベルの差が生じる。このオイルレベルの差によって、第一室131と第二室132との間に差圧が生じる。この差圧によって、弁体181の底面181b(図2参照)に、当該弁体181を押し上げるような圧力が加わる。
第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」より低くなると、可動フロート183が、ガイドバー182によってガイドされつつ、第一室131内のオイルレベルの低下に応じて下降する。もっとも、上述のような、第一室131と第二室132との間の差圧により、弁体181が押し上げられている。
よって、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」より低くなっても、オイルレベル「L2」より高い間は、図9に示されているように、可動フロート183のみが下降する。すなわち、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」とオイルレベル「L2」との間である場合は、弁体181と可動フロート183とが上下方向に相対移動する。
第一室131内のオイルレベルがさらに低下して、オイルレベル「L2」以下に達すると、可動フロート183が、フロート下降ストッパー185に当接する。すると、可動フロート183の自重が、フロート下降ストッパー185に作用する。これにより、図10に示されているように、弁体181とガイドバー182とフロート上昇ストッパー184とフロート下降ストッパー185との結合体が、可動フロート183の自重の作用によって押し下げられる。そして、ドレイン孔161dが開放される。
ドレイン孔161dが開放されると、第二室132内のオイルOが第一室131内に流入する。これにより、図11に示されているように、第一室131内のオイルレベルと第二室132内のオイルレベルとが一致する。これとともに、弁体181とガイドバー182とフロート上昇ストッパー184とフロート下降ストッパー185との結合体は、その自重の作用によって、弁体181がアウターオイルパン150(図1におけるアウター底板151)と接触する位置まで下降する。
このように、本実施形態の構成においては、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」よりも低くなった場合であっても、オイルレベル「L2」にまで低下するまでの間は、ドレイン孔161dが弁体181によって閉塞される。これにより、特に暖機運転中におけるオイルOの温度上昇が効果的に促進され得る。
また、本実施形態の構成においては、第一室131内のオイルレベルが急激に低下して、第一室131内のオイルレベルが不意にオイルレベル「L2」以下になった場合に、弁体181が上述の差圧に抗して下降することで、ドレイン孔161dが開放される。これにより、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L2」以上となるように、第二室132からオイルOが第一室131に良好に補充される。
<<エンジン運転中(2)>>
次に、始動前に、第一室131内のオイルレベルと第二室132内のオイルレベルとがほぼ一致していて、これらがオイルレベル「L1」よりも若干低い場合(図12参照)の、始動後の動作について説明する。
この場合、始動直前においては、図12に示されているように、フロート弁180は、可動フロート183の浮力により、アウターオイルパン150の底板(図1におけるアウター底板151)から浮上した位置にある。また、弁体181は、オイルパンセパレーター161の底板(図1におけるインナー底板161a)よりも若干下方に位置している。すなわち、ドレイン孔161dと弁体181との間には、若干の隙間が形成されている。換言すれば、ドレイン孔161dは、不完全ながら開放されている。
始動直後において、第一室131内のオイルOが吸い出され、第一室131内のオイルレベルが低下する。このとき、ドレイン孔161dの開放が不完全であるし、オイルOが低温で高粘度である。よって、第二室132から第一室131内へのオイルOの流入量が、両室のオイルレベルを均一化するまでの量に達しないことにより、図13に示されているように、第一室131と第二室132との間に若干小さ目のオイルレベルの差が生じることがある。
この場合、弁体181とガイドバー182とフロート上昇ストッパー184とフロート下降ストッパー185との結合体の、その自重の作用による下降が抑制される。よって、この場合、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L2」より高い間は、アウターオイルパン150の底板とオイルパンセパレーター161の底板との間で弁体181が浮上した状態が維持される。
第一室131内のオイルレベルがさらに低下して、図14に示されているように、オイルレベル「L2」以下に達すると、可動フロート183が、フロート下降ストッパー185に当接する。すると、図15に示されているように、弁体181とガイドバー182とフロート上昇ストッパー184とフロート下降ストッパー185との結合体が、可動フロート183の自重の作用によって押し下げられる。そして、ドレイン孔161dが開放される。
ドレイン孔161dが開放されると、第二室132内のオイルOが第一室131内に流入する。これにより、図15に示されているように、第一室131内のオイルレベルと第二室132内のオイルレベルとが一致する。これとともに、弁体181とガイドバー182とフロート上昇ストッパー184とフロート下降ストッパー185との結合体は、その自重の作用によって、弁体181がアウターオイルパン150(図1におけるアウター底板151)と接触する位置まで下降する。
このように、本実施形態の構成においては、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L2」以下に低下した場合に、弁体181が上述の差圧に抗して下降することで、ドレイン孔161dが開放される。これにより、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L2」以上となるように、第二室132からオイルOが第一室131に良好に補充される。
なお、図17に示されているように、始動前に、第一室131内のオイルレベルと第二室132内のオイルレベルとがほぼ一致していて、これらがオイルレベル「L1」よりも充分低い場合、ドレイン孔161dが充分開放されている。
よって、この場合、始動直後の第一室131内のオイルレベルの低下に応じて、第二室132からオイルOが第一室131に順次補充される。また、第一室131内のオイルレベルの低下に応じて、図18に示されているように、フロート弁180の全体が下降する。
このように、本実施形態の構成においては、始動時のオイル残量が少ない場合に、第一室131及び第二室132内のオイルOの全量が被潤滑機構の潤滑に供され得るようになる。したがって、このような場合における、被潤滑機構の運転に支障を来たすことが、効果的に抑制され得る。
<フロート弁の他の実施形態>
図19は、図3に示されているフロート弁180の他の実施形態の構成を示す概略図である。以下の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が付されているものとする。また、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
図19を参照すると、本実施形態のフロート弁180は、連結バー186と、固定フロート187と、本発明の弁体下降機構を構成する錘188と、を備えている。
連結バー186は、弁体181と固定フロート187とを連結する部材である。すなわち、連結バー186の下端部には、弁体181が固定されている。本実施形態においては、弁体181と連結バー186との結合体は、その単位体積あたりの平均重量が、オイルとほぼ同一となるように構成されている。
連結バー186における弁体181よりも上方の位置には、固定フロート187が固定されている。すなわち、本実施形態においては、上述の第1の実施形態とは異なり、固定フロート187は、弁体181との高さ方向について相対移動しないように(固定フロート187の上下動と弁体181の上下動とが一致するように)構成されている。この固定フロート187は、上述の第1の実施形態における可動フロート183と同様の材質によって構成されている。
さらに、連結バー186には、錘188が装着されている。錘188は、第一室131内のオイルレベルに応じて当該第一室131内のオイル中に浸漬され又は第一室131内にて油面の上に露出するような位置に設けられている。具体的には、本実施形態においては、錘188は、連結バー186の上端部、すなわち、固定フロート187よりも高い位置に、固定されている。
錘188は、固定フロート187よりも、単位体積あたりの平均重量が大きくなるように構成されている。すなわち、油面上に露出した状態にて錘188に作用する重力が、固定フロート187の浮力よりも大きくなるように、本実施形態のフロート弁180が構成されている。具体的には、錘188は、オイルの比重(0.8〜0.9程度)よりも若干高い比重の合成樹脂(ポリエチレン[比重0.94]、ポリアミド[比重1.1]等)によって一体に形成されている。
また、本実施形態においては、錘188の水平面による断面積(連結バー186の軸方向と垂直な断面による断面積)が、弁体181の底面181b(図2参照)の面積よりも小さくなるように、フロート弁180が構成されている。
<<オイル注入時>>
次に、本実施形態のオイル貯留装置130にオイルを注入する際の、フロート弁180の動作の様子について、図19の概略図に基づいて説明する。
まず図20を参照すると、オイル貯留装置130内が空である場合、弁体181がアウターオイルパン150(図1におけるアウター底板151)と接触する位置まで、フロート弁180及び弁体181が下降している。すなわち、ドレイン孔161dは開放されている。
ここで、上述の第1の実施形態と同様に、第二室132内に、前記オイル交換装置における前記ノズルの先端部が挿入される。そして、当該先端部から、新鮮なオイルOが、第二室132内に注入される(図21参照)。
図21を参照すると、オイル注入の初期段階においては、ドレイン孔161dは開放されている。よって、このドレイン孔161dを通じて、第一室131内にも、新鮮なオイルOが注入される。すなわち、第一室131及び第二室132のオイルレベルがほぼ一致した状態で、オイルOが第一室131及び第二室132に注入される。
ここで、第一室131内のオイルレベルが固定フロート187より高くなっても、第一室131内のオイルレベルが錘188に達するまでは、錘188の自重の作用により、フロート弁180は浮上しない。よって、第一室131内のオイルレベルが錘188に達するまでは、第一室131及び第二室132のオイルレベルがほぼ一致した状態で、オイルOの注入が進行する。
図21に示されているように、第一室131内のオイルレベルが錘188に達して、錘188の一部が油面上に露出した状態となると、フロート弁180に作用する重力と浮力とがつりあう。すると、図22に示されているように、第一室131内のオイルレベルの上昇に応じて、フロート弁180の上昇が開始する。そして、図23に示されているように、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」に達したとき、弁体181がドレイン孔161dと当接する。これにより、ドレイン孔161dが閉塞される。
ドレイン孔161dが閉塞された後、第二室132内のオイルレベルが上部連通孔161fに達するまでは、図24に示されているように、オイルOの第二室132内への注入に伴って、第二室132内のオイルレベルのみが上昇する。その後、第二室132内のオイルレベルが上部連通孔161fに達すると、図25に示されているように、上部連通孔161fを介して、第一室131内に、オイルOが再度注入される。
このように、本実施形態の構成においても、第二室132側からのオイル注入の際に、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」に達するまでは、第一室131内のオイルレベルと第二室132内のオイルレベルとがほぼ一致する。したがって、本実施形態の構成によれば、第一室131内に所定量のオイルOが確実に注入される。なお、第一室131側からのオイルOの注入も良好に行われる。
また、本実施形態の構成においても、上部連通孔161fを介して、第一室131及び第二室132のオイルレベルがともにオイルレベル「F」に達するまで、第一室131及び第二室132に確実にオイルOが注入され得る。
<<エンジン運転中(1)>>
ここで、始動前に、第一室131内のオイルレベルと第二室132内のオイルレベルとがほぼ一致していて、これらがオイルレベル「L1」よりもわずかに高い場合(図26参照)の、始動後の動作について説明する。
この場合、始動直前においては、図26に示されているように、浮力により、弁体181がドレイン孔161dに密着している。したがって、ドレイン孔161dは、弁体181によって閉塞されている。
始動直後においては、第一室131内のオイルOが吸い出される。これにより、第一室131内のオイルレベルのみが低下する。これにより、第一室131と第二室132との間に差圧が生じる。この差圧によって、弁体181の底面181b(図2参照)に、当該弁体181を押し上げるような圧力が加わる。
ここで、図23に示されているような、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」であってフロート弁180に作用する重力と浮力とがつりあっている状態から、第一室131内のオイルレベルが微小量ΔLだけ低下し、これにより、第一室131と第二室132との間にΔLだけオイルレベルの差が生じた状態を仮定する。
このとき、錘188の比重をγw、錘188の水平面による断面積をAw、弁体181の底面181b(図2参照)の面積をAv、オイルOの比重をγoとすると、錘188の浮力減少分によってフロート弁180に作用する下方への力Fwと、ΔLのオイルレベル差に基づく差圧により弁体181を上方に押し上げようとする力Fvは、以下のようになる。
Fw=γoAwΔL
Fv=γoAvΔL
ここで、上述のように、Av>Awであるので、
Fv>Fw
となる。
すなわち、図23に示されている状態から、第一室131内のオイルレベルが微小量ΔLだけ低下し、錘188が油面上への露出量が増大すると、第一室131と第二室132との差圧によって、フロート弁180(弁体181)を上昇させようとする力が増大する。これにより、フロート弁180の下降が抑制される。よって、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」より低くなっても、ドレイン孔161dが弁体181によって閉塞された状態が維持される。
したがって、図26に示されている始動前の状態から、始動直後に第一室131内のオイルOが吸い出され、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」より低くなっても、図27に示されているように、第一室131内のオイルレベルのみが低下する。そして、第一室131と第二室132との間の差圧によって、フロート弁180が押し上げられ、ドレイン孔161dが弁体181によって閉塞される。
このように、本実施形態の構成においては、始動時に第一室131内にある程度の量のオイルOが貯留されている場合には、始動後に第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」よりも低くなっても、ドレイン孔161dが弁体181によって閉塞された状態が維持される。これにより、特に暖機運転中におけるオイルOの温度上昇が効果的に促進され得る。
<<エンジン運転中(2)>>
次に、始動前に、第一室131内のオイルレベルと第二室132内のオイルレベルとがほぼ一致していて、これらがオイルレベル「L1」よりも低い場合(図28参照)の、始動後の動作について説明する。
この場合、始動直前においては、図28に示されているように、フロート弁180は、その浮力により、アウターオイルパン150の底板(図1におけるアウター底板151)から浮上した位置にある。また、弁体181は、オイルパンセパレーター161の底板(図1におけるインナー底板161a)よりも下方に位置している。すなわち、ドレイン孔161dと弁体181との間には隙間が形成されていて、ドレイン孔161dは開放されている。
始動直後において、第一室131内のオイルOが吸い出され、第一室131内のオイルレベルが低下する。すると、第一室131内のオイルレベルの低下に応じて、第二室132からオイルOが第一室131に順次補充される。また、第一室131内のオイルレベルの低下に応じて、図29に示されているように、フロート弁180が下降する。
このように、本実施形態の構成においては、始動時のオイル残量が少ない場合に、第一室131及び第二室132内のオイルOの全量が被潤滑機構の潤滑に供され得るようになる。したがって、このような場合における、被潤滑機構の運転に支障を来たすことが、効果的に抑制され得る。
<フロート弁のさらに他の実施形態>
図30は、図3に示されているフロート弁180の他の実施形態の構成を示す概略図である。図30を参照すると、本実施形態のフロート弁180は、固定フロート187と錘188との上下関係が上述の第2の実施形態(図19等参照)とは逆になっている他は、上述の第2の実施形態における構成と同様の構成を備えている。
<<オイル注入時>>
次に、本実施形態のオイル貯留装置130にオイルを注入する際の、フロート弁180の動作の様子について、図30の概略図に基づいて説明する。
まず図31を参照すると、オイル貯留装置130内が空である場合、弁体181がアウターオイルパン150(図1におけるアウター底板151)と接触する位置まで、フロート弁180が下降している。すなわち、ドレイン孔161dは開放されている。
ここで、上述の第1の実施形態と同様に、第二室132内に、前記オイル交換装置における前記ノズルの先端部が挿入される。そして、当該先端部から、新鮮なオイルOが、第二室132内に注入される(図32参照)。
図32を参照すると、オイル注入の初期段階においては、ドレイン孔161dは開放されている。よって、このドレイン孔161dを通じて、第一室131内にも、新鮮なオイルOが注入される。すなわち、第一室131及び第二室132のオイルレベルがほぼ一致した状態で、オイルOが第一室131及び第二室132に注入される。
ここで、第一室131内のオイルレベルが錘188より高くなっても、第一室131内のオイルレベルが固定フロート187に達するまでは、フロート弁180は浮上しない。よって、第一室131内のオイルレベルが固定フロート187に達するまでは、第一室131及び第二室132のオイルレベルがほぼ一致した状態で、オイルOの注入が進行する。
図33に示されているように、第一室131内のオイルレベルが固定フロート187に達すると、第一室131内のオイルレベルの上昇に応じて、フロート弁180の上昇が開始する。そして、図34に示されているように、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」に達したとき、弁体181がドレイン孔161dと当接する。これにより、ドレイン孔161dが閉塞される。
ドレイン孔161dが閉塞された後、第二室132内のオイルレベルが上部連通孔161fに達するまでは、図34に示されているように、オイルOの第二室132内への注入に伴って、第二室132内のオイルレベルのみが上昇する。その後、第二室132内のオイルレベルが上部連通孔161fに達すると、上部連通孔161fを介して、第一室131内に、オイルOが再度注入される。
このように、本実施形態の構成においても、第二室132側からのオイル注入の際に、第一室131内に所定量のオイルOが確実に注入される。なお、第一室131側からのオイルOの注入も良好に行われる。また、上部連通孔161fを介して、第一室131及び第二室132のオイルレベルがともにオイルレベル「F」に達するまで、第一室131及び第二室132に確実にオイルOが注入され得る。
<<エンジン運転中>>
ここで、始動前に、第一室131内のオイルレベルと第二室132内のオイルレベルとがほぼ一致していて、これらがオイルレベル「L1」よりもわずかに高い場合(図35参照)の、始動後の動作について説明する。
この場合、始動直前においては、図35に示されているように、浮力により、弁体181がドレイン孔161dに密着している。したがって、ドレイン孔161dは、弁体181によって閉塞されている。
始動直後においては、第一室131内のオイルOが吸い出される。これにより、第一室131内のオイルレベルのみが低下する。これにより、第一室131と第二室132との間に差圧が生じる。この差圧によって、弁体181の底面181b(図2参照)に、当該弁体181を押し上げるような圧力が加わる。
よって、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」より低くなり、固定フロート187が油面上に露出して、フロート弁180に対する浮力の作用が減少しても、オイルレベル「L2」より高い間は、図36に示されているように、第一室131内のオイルレベルのみが低下する。そして、ドレイン孔161dは弁体181によって閉塞されたままである。
第一室131内のオイルレベルがさらに低下して、オイルレベル「L2」以下に達すると、錘188の油面上の露出量が半分以上となる。すると、弁体181とガイドバー182とフロート上昇ストッパー184とフロート下降ストッパー185との結合体及び錘188の自重の作用で、フロート弁180が、比較的大きな力で押し下げられる。これにより、図38に示されているように、ドレイン孔161dが開放される。
ドレイン孔161dが開放されると、第二室132内のオイルOが第一室131内に流入する。これにより、図39に示されているように、第一室131内のオイルレベルと第二室132内のオイルレベルとが一致する。これとともに、フロート弁180は、その自重の作用によって、弁体181がアウターオイルパン150(図1におけるアウター底板151)と接触する位置まで下降する。
このように、本実施形態の構成においては、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L1」よりも低くなった場合であっても、オイルレベル「L2」にまで低下するまでの間は、ドレイン孔161dが弁体181によって閉塞される。これにより、特に暖機運転中におけるオイルOの温度上昇が効果的に促進され得る。
また、本実施形態の構成においては、第一室131内のオイルレベルが急激に低下して、第一室131内のオイルレベルが不意にオイルレベル「L2」以下になった場合に、フロート弁180を押し下げる力が急激に働く。これにより、弁体181が上述の差圧に抗して下降することで、ドレイン孔161dが開放される。そして、第一室131内のオイルレベルがオイルレベル「L2」以上となるように、第二室132からオイルOが第一室131に良好に補充される。
なお、始動前に、第一室131内のオイルレベルと第二室132内のオイルレベルとがほぼ一致していて、これらがオイルレベル「L1」よりも低い場合の動作は、上述の第2の実施形態と同様である。
<変形例の例示列挙>
なお、上述の各実施形態及び具体例は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態等を単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態等に何ら限定されるものではない。
したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態等に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態や、下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
(1)本発明は、上述の実施形態にて開示されたエンジンの他、例えば、自動変速機等、オイルパンを備えた各種の装置にも適用可能である。
(2)フロート弁180の構成や配置も、上述の各実施形態や具体例で開示されているものに限定されない。
また、上述の各実施形態や具体例に示された構成が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わされ得る。
(3)上部連通孔161fの有無や位置・個数についても、特に限定はない。例えば、上部連通孔161fは、オイルレベル「F」とほぼ同じ高さに設けられていてもよい。あるいは、上部連通孔161fは、無くてもよい。
(4)その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の範囲内に含まれることは当然である。
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態・実施例や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能な、いかなる構造をも含む。
本発明の一実施形態に係る多気筒のエンジンをエンジン長手方向(気筒配列方向)に沿った方向から見た場合の一部側断面図である。 図1に示されているフロート弁の周辺を拡大した側断面図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図2に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図3に示されているフロート弁の他の実施形態の構成を示す概略図である。 図19に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図19に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図19に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図19に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図19に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図19に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図19に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図19に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図19に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図19に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図3に示されているフロート弁の他の実施形態の構成を示す概略図である。 図30に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図30に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図30に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図30に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図30に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図30に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図30に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図30に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。 図30に示されている本実施形態のフロート弁の動作を説明するための概略図である。
符号の説明
100…エンジン 110…シリンダヘッド 120…シリンダブロック
126…オイルストレーナー 126a…オイル吸入口 130…オイル貯留装置
131…第一室 132…第二室 150…アウターオイルパン
151…アウター底板 160…インナープレート
161…オイルパンセパレーター 161a…インナー底板
161d…ドレイン孔 171…オイルレベルゲージ
180…フロート弁 181…弁体 181a…閉塞面
181b…底面 182…ガイドバー 183…可動フロート
183a…ガイド孔 184…フロート上昇ストッパー
185…フロート下降ストッパー 186…連結バー
187…固定フロート 188…錘

Claims (6)

  1. 被潤滑機構の潤滑のためのオイルを当該被潤滑機構に向けて供給し得るように構成された潤滑装置において、
    前記オイルを貯留し得るように構成されたオイル貯留装置と、
    前記オイル貯留装置内に配置されていて、当該オイル貯留装置内に貯留された前記オイルを吸い込むオイルストレーナーと、
    を備え、
    前記オイル貯留装置は、
    前記被潤滑機構に向けて開口するとともに前記オイルストレーナーが配置される第一室を形成する凹部を備え、当該凹部の底部に貫通孔が形成された、内側オイルパンと、
    前記内側オイルパンを下方から覆うことで、前記内側オイルパンの下方及び側方に、前記貫通孔を介して連通し且つ前記オイルを貯留する空間である第二室を形成するように配置された、外側オイルパンと、
    前記第一室側に配置されたフロートと、前記第二室側に配置された弁体と、を備え、前記第一室内のオイルレベルに応じて前記弁体が上下動することで前記貫通孔を開閉するように構成された、フロート弁と、
    を備え、
    前記フロート弁は、
    前記第一室内のオイルレベルが第一のレベル以上である場合に前記貫通孔を常時閉塞するように構成されているとともに、
    前記第一室内のオイルレベルが前記第一のレベルよりも低い第二のレベル以下となった場合に、前記第一室と前記第二室とのオイルレベルの差による差圧に抗して前記弁体を下降させることで前記貫通孔を開放する、弁体下降機構を備えたことを特徴とする潤滑装置。
  2. 請求項1に記載の潤滑装置であって、
    前記フロート弁は、前記第一のレベルと前記第二のレベルとの間での、前記第一室内のオイルレベルの上下動に伴って、前記フロートと前記弁体とが上下方向に沿って相対的に移動するように構成されていて、
    前記弁体下降機構は、
    下端部に前記弁体が固定されていて、前記フロートの上下動をガイドするガイドバーと、
    前記ガイドバーに固定されていて、前記フロートの上昇位置を規制するように構成されたフロート上昇ストッパーと、
    前記弁体と前記フロートとの間であって、前記第一室内のオイルレベルが前記第二のレベル以下となった場合に前記フロートの下端部と当接するような位置にて、前記ガイドバーに固定されたフロート下降ストッパーと、
    を備えたことを特徴とする潤滑装置。
  3. 請求項1に記載の潤滑装置であって、
    前記フロート弁は、前記弁体と前記フロートとを連結する連結バーを備え、
    前記連結バーの下端部には前記弁体が固定されているとともに、前記連結バーにおける前記弁体よりも上方の位置には前記フロートが固定されていて、
    前記弁体下降機構は、
    前記第一室内のオイルレベルに応じて前記第一室内の前記オイル中に浸漬され又は前記第一室内にて油面の上に露出するように、前記連結バーに装着された錘を備えたことを特徴とする潤滑装置。
  4. 被潤滑機構の潤滑のためのオイルを貯留し得るように構成されたオイル貯留装置において、
    前記被潤滑機構に向けて開口するとともにオイルストレーナーが配置される第一室を形成する凹部を備え、当該凹部の底部に貫通孔が形成された、内側オイルパンと、
    前記内側オイルパンを下方から覆うことで、前記内側オイルパンの下方及び側方に、前記貫通孔を介して前記第一室と連通し且つ前記オイルを貯留する空間である第二室を形成するように配置された、外側オイルパンと、
    前記第一室側に配置されたフロートと、前記第二室側に配置された弁体と、を備え、前記第一室内のオイルレベルに応じて前記弁体が上下動することで前記貫通孔を開閉するように構成された、フロート弁と、
    を備え、
    前記フロート弁は、
    前記第一室内のオイルレベルが第一のレベル以上である場合に前記貫通孔を常時閉塞するように構成されているとともに、
    前記第一室内のオイルレベルが前記第一のレベルよりも低い第二のレベル以下となった場合に、前記第一室と前記第二室とのオイルレベルの差による差圧に抗して前記弁体を下降させることで前記貫通孔を開放する、弁体下降機構を備えたことを特徴とするオイル貯留装置。
  5. 請求項4に記載のオイル貯留装置であって、
    前記フロート弁は、前記第一のレベルと前記第二のレベルとの間での、前記第一室内のオイルレベルの上下動に伴って、前記フロートと前記弁体とが上下方向に沿って相対的に移動するように構成されていて、
    前記弁体下降機構は、
    下端部に前記弁体が固定されていて、前記フロートの上下動をガイドするガイドバーと、
    前記ガイドバーに固定されていて、前記フロートの上昇位置を規制するように構成されたフロート上昇ストッパーと、
    前記弁体と前記フロートとの間であって、前記第一室内のオイルレベルが前記第二のレベル以下となった場合に前記フロートの下端部と当接するような位置にて、前記ガイドバーに固定されたフロート下降ストッパーと、
    を備えたことを特徴とするオイル貯留装置。
  6. 請求項4に記載のオイル貯留装置であって、
    前記フロート弁は、前記弁体と前記フロートとを連結する連結バーを備え、
    前記連結バーの下端部には前記弁体が固定されているとともに、前記連結バーにおける前記弁体よりも上方の位置には前記フロートが固定されていて、
    前記弁体下降機構は、
    前記第一室内のオイルレベルに応じて前記第一室内の前記オイル中に浸漬され又は前記第一室内にて油面の上に露出するように、前記連結バーに装着された錘を備えたことを特徴とするオイル貯留装置。
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