JP2008208736A - オイル循環装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的単純な装置構造で、オイルを速やかに昇温させることができるオイル循環装置を提供する。
【解決手段】オイルパン20内には、その底面及び側面と所定の間隔をおくように仕切部材40が配置される。オイル低温時には、クランクケース5の内壁を伝って流下する返送オイルが、側面側オイル流路61及び底面側オイル流路62を順に流れ、オイルパイプ30内へ吸入される。オイル高温時には、仕切部材40内のオイルが昇温されてその粘度が低下し、このオイルが小開口46を通じて仕切部材40の外部へ流出し、オイルパイプ30の吸込口33aへ吸入される。
【選択図】図1
【解決手段】オイルパン20内には、その底面及び側面と所定の間隔をおくように仕切部材40が配置される。オイル低温時には、クランクケース5の内壁を伝って流下する返送オイルが、側面側オイル流路61及び底面側オイル流路62を順に流れ、オイルパイプ30内へ吸入される。オイル高温時には、仕切部材40内のオイルが昇温されてその粘度が低下し、このオイルが小開口46を通じて仕切部材40の外部へ流出し、オイルパイプ30の吸込口33aへ吸入される。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンジンの下部に取り付けられて、エンジンの潤滑用のオイルを回収すると共に、回収したオイルを汲み上げてエンジンの各摺動部へ供給するオイル循環装置に関し、特に各摺動部へ供給するオイルの昇温対策に係るものである。
従来より、自動車等の車両用内燃機関に設けられて、潤滑用オイルをエンジンへ循環させるオイル循環装置が知られている。この種のオイル循環装置は、クランクケースの下部に取り付けられるオイルパンと、このオイルパンの内部に開口するオイルパイプとを備えている。オイルパンは、クランクケースの下端にボルトによって締結されている。オイルパイプは、その吸込口がオイルパンの内部に開口している。また、オイルパイプには、オイルパンに回収されたオイルを汲み上げてエンジンの各摺動部へ供給するためのオイルポンプが設けられている。
この種のオイル循環装置では、エンジンの始動に伴いオイルポンプが駆動され、オイルパン内のオイルがオイルパイプを通じてエンジンへ供給される。エンジンへ供給されたオイルは、ピストンやクランク軸等の各摺動部の潤滑に利用され、オイルパン内に再び回収される。なお、各摺動部の潤滑に利用されたオイルは、エンジンから吸熱することで昇温する。
ところで、エンジンの始動時やアイドリング時等には、オイルパン内のオイルが比較的低温の状態となるため、オイルの粘度が大きくなり易い。従って、このような低温状態のオイルをエンジンへ供給すると、各摺動部の潤滑不良を招いてしまう問題が生じる。具体的には、オイルの粘度が大きい状態では、オイルポンプによってエンジンの各摺動部へ供給されるオイルの供給量が不足気味となり易く、加えて各摺動部での摺動抵抗が増大し易い。その結果、エンジンの摩擦馬力が増大し、ひいてはエンジンの燃料消費率が増大してしまうという問題が生じる。また、いわゆる低温スラッジの発生に伴い、各摺動部で摩耗が生じやすくなるという問題も生じる。
そこで、特許文献1に開示されているオイル循環装置では、エンジンの始動時等において、オイルの昇温を速やかに行えるように、オイルパン内に仕切板を設けている。具体的には、特許文献1に開示のオイルパンの内部は、仕切板によって水平方向に2つの油溜めが区画されている。仕切板には、これら2つの油溜めを連通させるための複数の連通口が水平方向に貫通して形成されている。各連通口には、バイメタルから成る開閉弁がそれぞれ設けられている。各開閉弁は、オイルパン内のオイル温度に応じて、各連通口を開放する状態と、閉鎖する状態とに熱変形するように構成されている。また、オイルポンプの吸込口は、2つの油溜めのうちの片方の油溜めに臨んでいる。
特許文献1に開示のオイル循環装置では、エンジンの始動時、つまりオイルポンプ内のオイルが比較的低温である場合に、開閉弁が連通口を閉鎖する状態となる。従って、この状態でオイルポンプが駆動されると、オイルパンからは片方の油溜めに溜まったオイルがエンジンへ供給される一方、残りの油溜めに溜まったオイルは積極的にエンジンへ供給されない。従って、エンジンの始動時にはオイルの循環量が制限されるので、エンジンへ供給されるオイルは速やかに昇温する。その結果、上述の如くオイルの粘度不足に起因して各摺動部で潤滑不良を招いてしまうという問題が回避される。
一方、このようにしてオイルが昇温されて比較的高温になると、開閉弁が熱変形して連通口を開放する状態となる。従って、この状態では2つの油溜めが連通口を介して連通するので、実質的には双方の油溜めのオイルがエンジンへ供給される。つまり、このオイル循環装置では、オイルが高温になると、オイルパン内の全てのオイルが積極的にエンジンへ供給される。ここで、エンジンへ供給されるオイルは高温であり粘度が大きくなっているので、このオイルによって各摺動部の潤滑が良好に行われることになる。
特開2003−278519号公報
上述のように、特許文献1に開示のオイル循環装置では、オイルパンを仕切板によって2つの油溜めに区画し、オイル低温時には開閉弁により各油溜めの連通を禁止することで、オイルを速やかに昇温させて各摺動部の潤滑不良を解消できるようにしている。しかしながら、この構成では、オイルの温度に応じて変形するバイメタル等の開閉弁が必要となるため、その装置構造が複雑となり、製造コストの増大、あるいはメンテナンスの煩雑化を招いてしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的単純な装置構造で、オイルを速やかに昇温させることができるオイル循環装置を提供することである。
第1の発明は、エンジンの下部に設けられてオイルが回収されるオイルパンと、該オイルパン内のオイルを汲み上げてエンジンへ供給するためのオイルパイプとを備えたオイル循環装置を前提としている。そして、このオイル循環装置は、上記オイルパンの底面に沿うように形成された底壁部と、該オイルパンの側面に沿うように形成された側壁部とを有する中空容器状に形成され、上記底壁部及び側壁部がオイルパンの底面及び側面とそれぞれ所定の間隔をおくようにオイルパンの内部に配置される仕切部材を備え、該仕切部材の底壁部及び側壁部のいずれか一方又は両方には、オイルが流通可能な複数の小開口が形成されており、上記オイルパイプの吸込口は、上記仕切部材の底壁部と上記オイルパンの底面との間に開口していることを特徴とするものである。
第1の発明では、オイルを回収するためのオイルパン内に中空容器状の仕切部材が収容される。仕切部材は、オイルパンの底面及び側面との間に所定の間隔をおくように配置される。つまり、仕切部材の外側には、仕切部材の側壁部とオイルパンの側面との間や、仕切部材の底壁部とオイルパンの底面との間にオイルの流路が区画される。また、オイルパイプの吸込口は、仕切部材の底壁部とオイルパンの底面との間のオイルの流路に開口している。
例えばエンジンの始動時において、比較的低温のオイルがオイルパイプを介してエンジンへ供給されると、このオイルはエンジンの各摺動部の潤滑に利用され、同時にエンジンから吸熱して昇温する。潤滑に利用されたオイルは、その多くがクランクケース等の内壁を伝うようにしてオイルパン側へ流下する。つまり、潤滑に利用されたオイルは、そのほとんどがオイルパンの側壁寄りに流入する一方、オイルパンの中央寄りにはあまり流入しない。従って、仕切部材の側壁部とオイルパンの側面との間のオイルの流路には、昇温されて比較的高温となったオイルが積極的に送り込まれることになる。このオイルは、仕切部材の底壁部とオイルパンの底面との間の流路を流れ、オイルパイプに再び吸入される。
ここで、本発明では、仕切部材の底壁部と側壁部の一方又は両方に、オイルが流通可能な小開口を形成している。このため、仕切部材の内部のオイルは、この小開口を通じて仕切部材の外側の流路に流出し得る。しかしながら、エンジンの始動時等においては、仕切部材の内部のオイルが比較的低温であり、そのオイルの粘度も比較的大きくなっている。このため、本発明では、仕切部材の内部の低温のオイルが、小開口を通じて仕切部材の外部へ流出してしまうことが制限される。従って、オイルパイプには、エンジンから返送されて上述したオイルの流路を流れる高温のオイルが積極的に吸入される一方、仕切部材の内部の低温のオイルはほとんど吸入されない。よって、エンジンの始動時等のオイル低温時においては、エンジンから返送された高温のオイルのみが実質的に循環してエンジンへ供給される。その結果、エンジンへ供給されるオイルが速やかに所望の温度まで昇温されるので、エンジンの始動時等における各摺動部の潤滑不良が未然に回避される。
一方、このようにして循環するオイルが昇温して比較的高温になると、仕切部材の内部のオイルは、仕切部材の外部のオイルから吸熱して次第に昇温していく。このため、仕切部材の内部のオイルは、高温となり、その粘度も次第に低くなる。その結果、小開口でのオイルの流通が促進されるので、仕切部材の内部から外部へのオイルの流出量が増大する。つまり、仕切部材の内部のオイルが昇温すると、オイルパイプには、エンジンから返送された高温のオイルと、仕切部材の内部の高温のオイルとの双方が積極的に吸入される。従って、エンジンの始動から所定の時間が経過すると、オイルパン内のオイルの全量が実質的に循環してエンジンへ供給されることになり、オイルの循環量が充分に確保される。
また、本発明では、エンジンから返送されたオイルが、オイルパンの側面及び底面のオイルの流路を順に流通して、オイルパイプに吸入される。このため、オイルパン内に流入したオイルが、オイルパイプに吸入されるまでのオイルの経路を稼ぐことができる。従って、オイルパンに流入したオイル中に含まれる空気を気泡状態として分離させ易くなるので、オイルパイプ内へ空気が吸入されてしまうことを回避できる。その結果、エンジンの各摺動部の潤滑に利用されるオイル中でのいわゆる空気の噛み込みに起因して、オイル供給不足等により、各摺動部の潤滑が損なわれてしまうことが防止される。
第2の発明は、第1の発明のオイル循環装置において、上記仕切部材は、その上側が蓋部によって閉塞されていることを特徴とするものである。
第2の発明では、中空容器状の仕切部材の上側が蓋部によって覆われる。このため、エンジンから返送されるオイルが、仕切部材の上側に滴下しても、このオイルが仕切部材の上側から内部へ侵入してしまうことが、蓋部によって阻止される。一方、蓋部の上側に滴下したオイルは、オイルパンの側面側のオイル流路に回り込み、更に底面側のオイルの流路を通じてオイルパイプへ吸入される。このように、本発明では、オイル低温時において、仕切部材の上側に滴下した高温のオイルもオイルパイプへ送り込まれる。その結果、エンジンへ供給されるオイルが一層速やかに昇温することになる。
第3の発明は、第2の発明のオイル循環装置において、仕切部材には、蓋部及び底壁部に上記オイルパイプが貫通する貫通口がそれぞれ形成されていることを特徴とするものである。
第3の発明では、仕切部材の蓋部及び底壁部に貫通口がそれぞれ形成され、この貫通口にオイルパイプが挿通される。このため、オイル中に浸積される仕切部材の水平方向の変位が、このオイルパイプによって制限される。従って、仕切部材の側壁部とオイルパンの側面との間の間隔が狭くなり過ぎることが抑制され、仕切部材の側壁部の外側には確実にオイルの流路が確保されことになる。
第4の発明は、第3の発明のオイル循環装置において、上記仕切部材には、上記オイルパイプが内嵌する筒部が上記蓋部の貫通口と上記底壁部の貫通口とに跨って形成されており、該筒部とオイルパイプとの間には、上記蓋部及び底壁部の各貫通口を連通させる隙間流路が形成されていることを特徴とするものである。
第4の発明では、仕切部材の蓋部及び底壁部の各貫通口が、筒部の外周面とオイルパイプの内周面との間に隙間流路を介して連通される。つまり、本発明では、仕切部材の底壁部とオイルパンの底面との間のオイルの流路が、隙間流路を介して蓋部の上側と繋がることになる。このため、エンジン側から蓋部の上側に滴下したオイルの一部は、蓋部の貫通口より隙間流路へ流入する。このオイルは、隙間流路を下方に流れ、底壁部の貫通口よりオイルパンの底面側のオイルの流路へ流出し、オイルパイプの吸込口へ吸入される。このように、本発明では、仕切部材の上側に滴下した高温のオイルを隙間通路を通じてオイルパイプへ送り込むことができるので、エンジンへ供給されるオイルが一層速やかに昇温される。
第5の発明では、第4の発明のオイル循環装置において、上記オイルパイプは、鉛直方向に延びて上記蓋部及び底壁部の各貫通口をそれぞれ貫通しており、上記仕切部材には、上記オイルパンの油面高さの変動に応じて仕切部材をオイルパイプに沿って変位させるように仕切部材をオイル中に浮遊させるフロート部が設けられており、上記オイルパイプには、仕切部材の高さが所定高さ以下になると、上記蓋部の貫通口を塞ぐ閉塞部が形成されていることを特徴とするものである。
第5の発明では、仕切部材にフロート部が設けられる。オイルパン内の油面の高さは、エンジンへ供給されるオイル量や、オイルパンから返送されるオイル量等に応じて適宜変化する。フロート部は、このような油面高さの変動に応じて仕切部材を変位させる。つまり、本発明の仕切部材は、オイルパイプに沿って鉛直方向に変位するようにオイル中を浮遊する。
ところで、例えばエンジンからの返油量が減少して、オイルパン内の油面高さが比較的低くなると、仕切部材はこの油面高さに応じて比較的低い位置に変位する。その結果、蓋部の貫通口からオイルパイプの吸込口までの間のオイルの経路の長さも、これに応じて短くなることになる。このような状態で、蓋部の上側のオイルが隙間通路を介してオイルパイプまで吸入される場合、このオイル中に含まれる空気が充分に分離されず、オイルパイプ内に空気が混入し易くなる。その結果、エンジンの各摺動部に利用されるオイル中での空気の噛み込みに起因して、各摺動部の潤滑が損なわれてしまうという問題が生じてしまう。
そこで、本発明では、オイルパンの油面高さの下降に起因して仕切部材の高さが所定高さ以下になると、オイルパイプの閉塞部が蓋部の貫通口を塞ぐようにしている。このため、油面高さが低い状態では、蓋部の上側のオイルが貫通口より隙間通路へ流入することがない。従って、蓋部の上側に滴下したオイルは、オイルパンの側面側及び底面側のオイルの流路を通じてオイルパイプへ吸入される。このようにすると、蓋部の上側のオイルが、オイルパイプへ吸入されるまでの間の経路が長くなるので、この経路を流れるオイル中の空気が確実に分離される。その結果、オイルパンの油面高さが比較的低い条件下において、オイル中の空気の噛み込みに起因して各摺動部の潤滑が損なわれてしまうことが防止される。
第6の発明は、第2乃至第5のいずれか1つの発明のオイル循環装置において、上記仕切部材の蓋部には、該仕切部材の内部の空気を外部へ逃がすための空気抜き孔が形成されていることを特徴とするものである。
第6の発明では、オイルパン内のオイルが含む空気が仕切部材の内部へ侵入した場合に、この空気が蓋部の空気抜き孔を通じて仕切部材の外部へ逃がされる。
第7の発明は、第1乃至第6のいずれか1つの発明のオイル循環装置において、上記オイルパイプの吸込口は、オイルパンの底面の略中央部に臨んでいることを特徴とするものである。
第7の発明では、オイルパイプの吸込口をオイルパンの底面の中央部に位置させることで、オイルパンの側面側からオイルパイプまでの間の距離が均一化される。このため、オイルパンに返送されたオイルがオイルパイプへ吸入されるまでの間の経路が、オイルパイプの全周に亘って均一化され、この経路の長さが局所的に短くなってしまうことが回避される。その結果、オイル中に含まれる空気が更に分離され易くなり、オイルパイプへの空気の混入を確実に防止することができる。
本発明では、オイルパンの側面及び底面と所定の間隔をおくように仕切部材をオイルパン内に配置し、オイルパイプの吸込口を仕切部材の底壁部とオイルパンの底面との間に開口させるようにしている。このため、本発明によれば、エンジンの始動時等のオイル低温時には、クランクケース等の内壁を伝って返送される高温のオイルをオイルパンの側面側及び底面側のオイル流路を経由してオイルパイプに吸入させることができる。従って、オイル低温時には、エンジンに加熱されて返送されるオイルを積極的に循環させることで、このオイルを速やかに所望とする温度まで昇温することができる。その結果、エンジンの始動後に速やかに低粘度のオイルをエンジンの各摺動部へ供給することができ、各摺動部の潤滑を良好に行うことができる。よって、本発明によれば、従来のもののようにバイメタル弁等を用いることなく、比較的単純な構造によって、各摺動部の潤滑不良に起因する燃料消費率の増大や各摺動部での摩耗の発生を防止することができる。
また、本発明では、仕切部材の側壁部と底壁部のうち少なくとも底壁部にオイルが流通可能な小開口を形成するようにしている。このため、本発明によれば、オイル温度の上昇に伴って、仕切部材の内部から小開口を通じてオイルパイプへ送り込むオイル量を徐々に増大させることができる。従って、オイル高温時には、オイルパン内のオイルの全量を循環させることができ、エンジンへ供給するオイルが不足してしまうのを未然に回避することができる。
更に、本発明では、返送されたオイルが、オイルパンの側面側及び底面側のオイル流路を流通する際、オイル中に含まれる空気を気泡として分離させることができる。特に、仕切部材の底壁部に小開口を形成する場合には、上方に分離された気泡を底壁部側の小開口よりオイルパンの内部に流入させることができる。このため、オイルパイプへの空気の混入を確実に防止することができる。従って、その後に各摺動部の潤滑に利用されるオイル中でのいわゆる空気の噛み込みを防止でき、各摺動部の潤滑を良好に行うことができる。
第2の発明では、仕切部材の上側を蓋部によって覆うようにしている。このため、本発明によれば、オイル低温時において、エンジンから仕切部材の上側へ滴下したオイルが仕切部材の内部へ侵入してしまうことを防止できる。従って、このオイルをオイルパンの側面側及び底面側のオイル流路を経由してオイルパイプへ吸入させることができるので、オイル低温時において、一層速やかにオイルを昇温させることができる。
第3の発明によれば、仕切部材の蓋部及び底壁部をオイルパイプが貫通するようにしたので、このオイルパイプによって仕切部材の水平方向の変位を制限することができる。従って、仕切部材の側壁部とオイルパンの側面との間にオイルの流路を確実に確保することができ、このオイルをオイルパンの底面側よりオイルパイプへ吸入させることができる。その結果、オイル低温時において、オイルを速やか且つ確実に昇温させることができる。
第4の発明では、筒部の外周面とオイルパイプの内周面との間に隙間流路を形成し、蓋部及び底壁部の各貫通口を隙間流路によって連通させるようにしている。このため、本発明によれば、蓋部の上側に滴下したオイルを隙間通路を介してオイルパイプへ吸入させることができる。その結果、加熱されたオイルを一層速やかにオイルパイプへ戻すことができ、オイル低温時におけるオイルの昇温効果を更に向上させることができる。
第5の発明では、フロート部によってオイル中に浮遊した状態の仕切部材が所定高さ以下となると、蓋部の貫通口をオイルパイプの閉塞部で塞ぐようにしている。このため、本発明によれば、オイルパン内の油面高さが比較的低い位置となる条件では、蓋部の上側のオイルを仕切部材の側壁部及び底壁部側のオイルの流路よりオイルパン内へ送るこむことができる。その結果、油面高さが低い条件下においても、オイル中に含まれる空気を確実に分離することができ、各摺動部の潤滑に利用されるオイル中の空気の噛み込みを防止できる。従って、各潤滑部の潤滑が空気によって損なわれてしまうのを未然に防止できる。
第6の発明によれば、蓋部に空気逃がし孔を形成するようにしたので、オイル中に含まれている空気が、小開口を通じて仕切部材の内部へ侵入しても、この空気を速やかに外部の気相空間へ排出することができる。その結果、仕切部材の内部の空気がオイルパイプの吸込口へ吸い込まれてしまうことを抑制できるので、潤滑に利用される空気中の空気の噛み込みを一層確実に防止できる。
第7の発明では、オイルパイプの吸込口をオイルパンの底面の略中央部に臨ませるようにしている。このため、本発明によれば、オイルパンの側面側からオイルパイプの吸込口までの間に、オイルパイプの全周に亘って有る程度のオイルの流路の長さを確保することができる。その結果、このオイル流路を流れるオイル中の空気が更に分離され易くなり、潤滑に利用されるオイル中の空気の噛み込みを一層確実に防止できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態に係るオイル循環装置10は、自動車の車両用内燃機関に適用されるものである。このオイル循環装置10は、エンジンのシリンダヘッド、シリンダブロック、ピストン、クランク軸等の各摺動部へ潤滑用のオイルを循環させるものである。図1〜図3に示すように、オイル循環装置10は、オイルパン20及びオイルパイプ30を備えている。
オイルパン20は、エンジンの下部に配置されており、エンジンの潤滑に利用されたオイルを回収するための容器を構成している。オイルパン20は、上側が開放された扁平な箱形に形成されている。オイルパン20は、その上側の開放面がシリンダの軸線と直交するようにやや斜めに傾斜している。オイルパン20の底面は、長方形状に形成されている。一方、オイルパン20の上側の開放縁部は、その縦断面が逆Uの字状となるように外側に曲げられている。そして、オイルパン20は、その上端の平坦な面がクランクケース5の下端面と当接する状態で、クランクケース5に固定されている(図1及び図2参照)。以上のように、このオイル循環装置10は、エンジンの下部にオイルパン20が一体的に取り付けられる、いわゆるウェットサンプ式である。また、オイルパン20は、その内側の側面がクランクケース5の内壁と連続するように形成されている。つまり、クランクケース5の下端開口部とオイルパン20の上端開口部とは略一致する形状をしている。
オイルパイプ30は、オイルパン20内のオイルをエンジンの各摺動部へ供給するためのものである。オイルパイプ30は、その上端側から下端側に向かって順に、細管部31と拡径管部32と吸入管部33とが連続的に形成されている。細管部31は、円筒状に形成され、その上端側が図外のオイル供給通路を介してエンジンの各摺動部と繋がっている。拡径管部32は、細管部31の下端から吸入管部33の上端に向かって、その内径が徐々に拡大した台形円錐筒状に形成されている。吸入管部33は、細管部31よりも大径の円筒状に形成されている。吸入管部33の下端には、オイルパン20内のオイルを吸入するための吸込口33aが形成されている。この吸込口33aは、オイルパン20の底面の略中央部に臨むように下側を向いて開口している。また、吸入管部33の内部には、吸込口33aの全域に跨るように網目状のストレーナ(図示省略)が設けられている。ストレーナは、オイルパイプ30へ吸入されるオイル中に含まれる比較的大きな異物を捕捉する。また、オイルパイプ30には、クランクシャフトの回転力を駆動源とするオイルポンプ(図示省略)が設けられている。このオイルポンプが駆動されることで、オイルパン20内のオイルはオイルパイプ30を通じて上方へ汲み上げられ、エンジンの各摺動部へ供給される。
本実施形態のオイル循環装置10は、オイルパン20内に収容される中空容器状の仕切部材40を備えている。仕切部材40は、上側が開放された箱状の仕切部材本体41と、この仕切部材本体41の上側を閉塞するための蓋部を構成する上蓋50とを備えている。
仕切部材本体41は、樹脂材料により構成されている。仕切部材本体41は、各々が一体的に成形される、底壁部42、側壁部43、フロート部44、及び筒部45を有している。
底壁部42は、仕切部材本体41の下端側に形成されている。底壁部42は、オイルパン20の底面に沿うように形成されている。具体的に、底壁部42は、オイルパン20の底面よりも小さく、且つこの底面と相似する長方形板状に形成されている。また、底壁部42の中央には、上記オイルパイプ30が貫通する底壁側貫通口42aが形成されている。底壁側貫通口42aの内径は、オイルパイプ30の吸入管部33の外径よりも僅かに大径となっている。
側壁部43は、底壁部42の外縁の全周に亘って形成されている。具体的には、仕切部材本体41には、底壁部42の外縁の4辺のうち、その長辺側に対応する一対の長辺側側壁部43aと、その短辺側に対応する一対の短辺側側壁部43bとが形成されている。各側壁部43a,43bは、オイルパン20の各側面に沿うような板状に形成されている。
フロート部44は、仕切部材本体41の上端部の全周を囲むように形成されている。フロート部44は、各側壁部43a,43bの上端の外縁に沿うように延びており、その内部に密閉空間が形成されている。このフロート部44により、仕切部材40はオイルパン20内のオイル中に浮遊する。具体的に、本実施形態のフロート部44は、上蓋50の上端面の高さがオイルパン20内のオイルの油面高さ以上となるように仕切部材40を浮遊させている。
筒部45は、仕切部材本体41の中央部に形成されている。筒部45は、円筒状に形成されており、底壁側貫通口42aから鉛直上方に延びている。筒部45の上端は、各側壁部43a,43bの上端よりも低い位置となっている。また、筒部45の内径は、オイルパイプ30の吸入管部33の外径よりも僅かに大径であり、且つ底壁側貫通口42aの内径よりも僅かに小径となっている。筒部45の周壁には、該筒部45の外側と内側とを連通させるための複数の筒部側連通口45aが形成されている。各筒部側連通口45aは、筒部45の軸周りに等間隔おきに配列されている。
上述の上蓋50は、樹脂材料で構成されている。上蓋50は、上記仕切部材本体41とは別体で成形され、上記仕切部材本体41に固定されている。上蓋50は、互いに一体に成形される、蓋部本体51、空気抜き部52、及び油受け部53を有している。
蓋部本体51は、板状に形成されており、仕切部材本体41の上側の開放面を塞ぐように水平な姿勢で仕切部材本体41に支持されている。蓋部本体51には、4つの空気抜き部52が形成されている。各空気抜き部52は、蓋部本体51から上方に突出する略筒状に形成され、その内部には空気抜き孔52aがそれぞれ形成されている。各空気抜き孔52aは、仕切部材本体41の内部と蓋部本体51の上側の空間とを連通させている。つまり、各空気抜き孔52aは、仕切部材40の内部の空気を外部へ逃がすための開口を構成している。
油受け部53は、上蓋50の中央で、且つオイルパイプ30の軸周りに形成されている。この油受け部53には、オイルが貯留可能なオイル溝53aが形成されている。具体的には、油受け部53は、蓋部本体51からオイルパイプ30側に向かって斜め下方に傾斜する環状の第1傾斜板部53bと、該第1傾斜板部53bから更に内側に向かって斜め上方に傾斜する環状の第2傾斜板部53cとを有している。つまり、油受け部53は、その縦断面がVの字となる環状に形成され、第1傾斜板部53bと第2傾斜板部53cとの間に上記オイル溝53aが形成されている。第2傾斜板部53cは、オイルパイプ30の拡径管部32の外周面に沿うように形成されている。
第1傾斜板部53bと第2傾斜板部53cの連接部位の下端には、上記筒部45の上端が固定されている。また、第2傾斜板部53cの径方向内側には、上記オイルパイプ30が貫通する上蓋側貫通口50aが形成されている。上蓋側貫通口50aは、第2傾斜板部53cの上端から下端側に向かって徐々に内径が拡大する台形円錐状に形成されている。上蓋側貫通口50aは、オイルパイプ30の拡径管部32の外周面が係合するような形状をしている。更に、第2傾斜板部53cには、オイル溝53aの底部と上蓋側貫通口50aとを連通させるための複数の上蓋側連通口53dが形成されている。各上蓋側連通口53dは、オイルパイプ30の軸周りに等間隔おきに配列されている。
上述したオイルパイプ30は、オイルパン20内を鉛直方向に延びており、仕切部材40の上蓋側貫通口50a、筒部45の内部、及び底壁側貫通口42aに挿通されている。これにより、仕切部材40は、オイルパイプ30の伸長方向に変位自在となるようにオイルパイプ30に保持されている。即ち、仕切部材40は、オイルパン20内の油面高さに応じて鉛直方向に変位可能となっている。また、筒部45の内周面とオイルパイプ30の間には、オイルが流通可能な隙間流路60が形成されている。隙間流路60は、上蓋50の上蓋側貫通口50aと底壁部42の底壁側貫通口42aとを連通可能としている。更に、仕切部材40は、水平方向への変位がオイルパイプ30によって制限されている。つまり、オイルパイプ30は、仕切部材40の鉛直方向の変位を許容しながら該仕切部材40の水平方向の変位を規制する規制部材を構成している。
また、上蓋側貫通口50aは、オイルパン20内の油面高さに応じて開閉されるように構成されている。即ち、オイルパン20内の油面高さが所定高さ以上高くなり、仕切部材40も所定高さ以上になると、オイルパイプ30の拡径管部32と第2傾斜板部53cとが離間する。その結果、上蓋側連通口53d及び上蓋側貫通口50aが開放された状態となる(図4(A)参照)。一方、オイルパン20内の油面高さが所定高さ以下になり、仕切部材40も所定高さ以下になると、オイルパイプ30の拡径管部32と第2傾斜板部53cとが当接する。その結果、上蓋側連通口53d及び上蓋側貫通口50aは、オイルパイプ30の拡径管部32によって塞がれた状態となる(図4(B)参照)。以上のように、オイルパイプ30の拡径管部32は、仕切部材40の高さが所定高さ以下になると、上蓋側連通口53d及び上蓋側貫通口50aを塞ぐ閉塞部を構成している。このような開閉動作の詳細は後述するものとする。
以上のような構成の仕切部材40は、オイルパン20の側面及び底面と所定の間隔をおくようにオイルパン20の内部に配置されている。具体的には、仕切部材40の各側壁部43と、各側壁部43に対応するオイルパン20の側面とは、所定間隔離れている。これにより、仕切部材40の長辺側側壁部43aとオイルパン20の側面との間、及び仕切部材40の短辺側側壁部43bとオイルパン20の側面との間には、それぞれ側面側オイル流路61が形成されている。また、仕切部材40の底壁部42とオイルパン20の底面とは、所定間隔離れている。これにより、仕切部材40の底壁部42とオイルパン20の間には、底面側オイル流路62が形成されている。この底面側オイル流路62には、上記オイルパイプ30の吸込口33aが開口している。一方、仕切部材40の内部には、底壁部42と側壁部43と筒部45と上蓋50との間に、オイル貯留部63が形成されている。
また、仕切部材40の底壁部42及び側壁部43には、オイルが流通可能な複数の小開口46が形成されている。なお、図1から図4においては、各小開口46を誇張するために、各小開口46を実際のサイズよりも大きく現すようにしている。各小開口46は、側壁部43に形成される側面側小開口46aと、底壁部42に形成される底面側小開口46bとで構成されている。側面側小開口46aは、オイル貯留部63と側面側オイル流路61とを連通させている。底面側小開口46bは、オイル貯留部63と底面側オイル流路62とを連通させている。各小開口46は、略正方形状に形成されており、底壁部42及び側壁部43にそれぞれパンチング加工によって形成されている。各小開口46は、所定の行数及び列数で等間隔おきに配列されている。
また、各小開口46は、その開口面積が比較的小さくなっており、オイルの流通に対して所定の抵抗を付与している。そして、各小開口46は、オイルの温度に応じて、その内部を流通するオイル量が変化するように構成されている。具体的には、各小開口46は、オイルの温度が高くなるに連れて、即ちオイルの粘度が小さくなるに連れて、オイルの流通が促進されるように構成されている。換言すると、各小開口46は、オイルの温度が小さくなるに連れて、即ちオイルの粘度が大きくなるに連れて、オイルの流通が制限されるように構成されている。
−オイル循環動作−
次に、本実施形態に係るオイル循環装置10によるオイル循環動作について図1〜図3を参照しながら説明する。
次に、本実施形態に係るオイル循環装置10によるオイル循環動作について図1〜図3を参照しながら説明する。
エンジンの始動前においては、オイルパン20内に溜まっているオイルの温度が比較的低温となっている。このようなオイル低温時(冷間時)にエンジンが始動すると、オイルポンプが駆動され、オイルパン20内のオイルがオイルパイプ30の吸込口33aに吸入される。吸込口33aに吸入されたオイルは、オイルパイプ30を上方に流れ、所定のオイル供給通路を介してエンジンの各摺動部へ供給される。その結果、各摺動部がオイルによって潤滑される。潤滑に利用されるオイルは、エンジンから吸熱して昇温された後、オイルパン20側へ流下する。ここで、オイルパン20へ返送されるオイルは、そのほとんどがクランクケース5の内壁を伝って流下する。
クランクケース5の内壁を流下したオイルは、オイルパン20の側面に沿うようにしてオイルパン20内へ流入する。このオイルは、側面側オイル流路61を下方へ流れて底面側オイル流路62へ流入する。底面側オイル流路62では、オイルがオイルパン20の中央側へ誘引され、オイルパイプ30の吸込口33aに吸い込まれる。
ここで、オイルが底面側オイル流路62を流れる際には、オイル中に含まれる空気が気泡の状態で上方へ浮上分離する。この気泡は、底面側小開口46bを介してオイル貯留部63内へ捕捉される。オイル貯留部63内に捕捉された空気は、空気抜き孔52aを通じて上蓋50の上方の空間へ適宜排出される。以上のようにして、オイルパイプ30内へ吸い込まれるオイル中からは空気が分離される。その結果、オイル中の空気の噛みこみに起因する各摺動部の潤滑不良が未然に解消される。
一方、仕切部材40内のオイル貯留部63のオイルは、エンジンからオイルパン20へ返送されたオイルと比較して低温となっている。つまり、オイル貯留部63のオイルは、その粘度が比較的大きい状態となっている。このため、エンジンの始動直後には、各小開口46a,46bを介してオイル貯留部63から各オイル流路61,62へ向かうオイルの流通抵抗が大きくなる。従って、このような冷間時には、オイル貯留部63のオイルが、各小開口46a,46bを通じて側面側オイル流路61や底面側オイル流路62へ流出してしまうことが抑制される。その結果、オイルパイプ30へは、エンジンから返送されたオイルが積極的に吸入される一方、オイル貯留部63内のオイルはほとんど吸入されない。つまり、冷間時のオイル循環装置10は、エンジンから返送されたオイルだけを実質的に循環させてエンジンへ供給する。ここで、エンジンから返送されるオイルは比較的高温となっているので、エンジンへ供給されるオイルは速やかに所望の温度まで昇温することになる。その結果、各摺動部の潤滑に利用されるオイルの粘度も速やかに小さくなるので、各摺動部の潤滑不良が未然に解消される。
ところで、エンジンの潤滑に利用されたオイルは、少量であるものの仕切部材40の上側へ滴下することもある。このオイルは、蓋部本体51の表面を伝って側面側オイル流路61へ流入し、底面側オイル流路62を経由してオイルパイプ30へ吸入される。ここで、このオイルは既にエンジンによって加熱されているので、エンジンへ供給されるオイルの昇温に寄与することになる。
このようなオイル循環動作を継続すると、オイル貯留部63のオイルは、返送されたオイルから吸熱して次第に昇温していく。このため、オイル貯留部63のオイルの粘度も次第に小さくなっていく。その結果、各小開口46a,46bにおけるオイルの流通抵抗も徐々に低下し、オイル貯留部63から各オイル流路61,62へ流出するオイルの量が増大する。従って、オイルパイプ30へは、返送されたオイルと、オイル貯留部63から流出したオイルとの双方が積極的に吸入されることになる。ここで、オイル貯留部63から流出するオイルは、既に比較的高温となっているので、その後にオイルへ供給されるオイルの温度が低下してしまうことがない。
以上のようにして、エンジンを始動してから所定時間が経過すると、オイル貯留部63の高温のオイルがオイルパイプ30へ積極的に送り込まれる。つまり、オイルパン20内のオイルが所望の温度まで昇温すると、オイル循環装置10は、オイルパン20内のオイルの全量を実質的に循環させてエンジンへ供給する。このため、オイルの循環量が充分確保されるので、エンジンへ供給されるオイルが不足してしまうことが未然に回避される。
ところで、上述したようなオイル循環動作においては、返送されたオイルの一部が油受け部53のオイル溝53a内に入り込むこともある。ここで、図4(A)に示すように、オイルパン20内のオイルの貯留量が比較的多く、油面高さが比較的高くなると、油受け部53の上蓋側連通口53d及び上蓋側貫通口50aが開放される状態となる。このため、オイル溝53a内のオイルは、上蓋側連通口53d及び上蓋側貫通口50aを通過して、オイルパイプ30と筒部45との間の隙間流路60を比較的小流量で流通し、最終的にはオイルパイプ30の吸込口33aへ吸入される。この隙間流路60をオイルが流通する際には、オイル中に含まれる空気が気泡の状態で浮上分離する。
また、同図に示すように油面高さが比較的高い状態では、筒部45の筒部側連通口45aの少なくとも一部が隙間流路60に臨む位置となる。このため、隙間流路60で分離した空気は、この筒部側連通口45aを介して仕切部材40内のオイル貯留部63へ流入する。筒部側連通口45aを介してオイル貯留部63内に侵入した空気は、空気抜き孔52aを通じて上蓋50の上方の空間へ適宜排出される。
一方、例えばエンジンの始動時等においては、エンジンへ供給されたオイルの戻り量が減少し易いので、オイルパン20内のオイルの貯留量が減少し、油面高さが低くなる。このようにして油面高さが低くなる状態では、上蓋側貫通口50aからオイルパイプ30の吸込口33aまでの間のオイルの流通経路が比較的短くなるので、上述のようにして隙間流路60を流れるオイル中の空気を充分に分離することが困難となる。その結果、この流路を流れるオイル中の空気がオイルパイプ30へ吸入されてしまい、オイル中の空気の噛み込みに起因して各摺動部の潤滑が損なわれてしまう虞がある。
そこで、本実施形態では、オイルパン20内のオイルの油面高さが所定高さ以下になると、オイル溝53aから隙間流路60側へのオイルの流通を禁止するようにしている。具体的には、図4(B)に示すように、オイルの油面高さが所定高さ以下となり、仕切部材40も所定高さ以下に変位すると、上蓋側連通口53d及び上蓋側貫通口50aがオイルパイプ30の拡径管部32によって閉鎖される。このため、このようにオイルの油面高さが低い条件下においては、オイル溝53aのオイルが隙間流路60を介してオイルパイプ30に吸入されることがない。その結果、オイル中の空気の噛み込みに起因して拡摺動部の潤滑が損なわれてしまうことが未然に回避される。
−実施形態の効果−
上記実施形態では、オイルパン20の側面及び底面と所定の間隔をおくように仕切部材40をオイルパン20内に配置し、オイルパイプ30の吸込口33aを仕切部材40の底壁部42とオイルパン20の底面との間に開口させるようにしている。このため、上記実施形態によれば、エンジンの始動時等のオイル低温時(冷間時)には、クランクケース5の内壁を伝って返送される高温のオイルをオイルパン20の側面側及び底面側の各オイル流路61,62を経由してオイルパイプ30に吸入させることができる。従って、オイル低温時には、エンジンに加熱されて返送されるオイルを積極的に循環させることで、このオイルを速やかに所望とする温度まで昇温することができる。その結果、エンジンの始動後に速やかに低粘度のオイルをエンジンの各摺動部へ供給することができ、各摺動部の潤滑を良好に行うことができる。よって、各摺動部の潤滑不良に起因する燃料消費率の増大や各摺動部での摩耗の発生を防止することができる。
上記実施形態では、オイルパン20の側面及び底面と所定の間隔をおくように仕切部材40をオイルパン20内に配置し、オイルパイプ30の吸込口33aを仕切部材40の底壁部42とオイルパン20の底面との間に開口させるようにしている。このため、上記実施形態によれば、エンジンの始動時等のオイル低温時(冷間時)には、クランクケース5の内壁を伝って返送される高温のオイルをオイルパン20の側面側及び底面側の各オイル流路61,62を経由してオイルパイプ30に吸入させることができる。従って、オイル低温時には、エンジンに加熱されて返送されるオイルを積極的に循環させることで、このオイルを速やかに所望とする温度まで昇温することができる。その結果、エンジンの始動後に速やかに低粘度のオイルをエンジンの各摺動部へ供給することができ、各摺動部の潤滑を良好に行うことができる。よって、各摺動部の潤滑不良に起因する燃料消費率の増大や各摺動部での摩耗の発生を防止することができる。
また、上記実施形態では、仕切部材40の側壁部43と底壁部42とにオイルが流通可能な小開口46a,46bをそれぞれ形成するようにしている。このため、上記実施形態によれば、オイル温度の上昇に伴って、仕切部材40内のオイル貯留部63から小開口46a,46bを通じてオイルパイプ30へ送り込むオイル量を徐々に増大させることができる。従って、オイル高温時には、オイルパン20内のオイルの全量を循環させることができ、エンジンへ供給するオイルが不足してしまうのを未然に回避することができる。
更に、上記実施形態によれば、返送されたオイルがオイルパン20の側面側及び底面側の各オイル流路61,62を流通する際に、このオイル中に含まれる空気を気泡として分離させることができる。ここで、オイルがオイルパン20の底面側のオイル流路62を流れる際には、分離された気泡を仕切部材40の底壁部42の小開口46を通じてオイルパン20の内部に流入させることができる。このため、オイルパイプ30への空気の混入を確実に防止することができる。従って、その後に各摺動部の潤滑に利用されるオイル中でのいわゆる空気の噛み込みを防止でき、各摺動部の潤滑を良好に行うことができる。
また、上記実施形態では、仕切部材40に上蓋50を設けるようにしている。このため、上記実施形態によれば、オイル低温時において、エンジンから仕切部材40の上側へ滴下したオイルが仕切部材40の内部へ侵入してしまうことを防止できる。従って、このオイルをオイルパン20の側面側及び底面側の各オイル流路61,62を経由して、オイルパイプ30へ吸入させることができるので、各摺動部の潤滑に利用されるオイルを一層速やかに昇温させることができる。
更に、上記実施形態では、仕切部材40を貫通するようにオイルパイプ30を設けているので、このオイルパイプ30によって仕切部材40の水平方向の変位を制限することができる。従って、側面側オイル流路61の流路断面が小さくなってしまうことを防止できるので、返送されたオイルを確実に側面側オイル流路61に流通させることができる。
また、上記実施形態では、上蓋50に滴下したオイルの一部を隙間流路60を介してオイルパイプ30へ送り込めるようにしている。その結果、上蓋50の上側のオイルを一層確実にオイルパイプ30へ吸入させることができる。ここで、上記実施形態では、オイルパン20内の油面高さが所定高さ以下になる場合には、オイルパイプ30の拡径管部32で上蓋側貫通口50aを塞ぐようにしている。このため、このようにオイルの油面高さが低い条件下では、オイルが隙間流路60を流通することが禁止されるので、このオイル中に含まれている空気がオイルパイプ30内に吸い込まれてしまうことを未然に防止できる。従って、各摺動部の潤滑に利用されるオイル中でのいわゆる空気の噛み込みを防止でき、各摺動部の潤滑を良好に行うことができる。
更に、上記実施形態では、オイルパイプ30の吸込口33aをオイルパン20の底面の略中央部に臨ませるようにしている。このため、本実施形態では、底面側オイル流路62の流路長さを、オイルパイプ30の全周に亘って均一に確保することができる。その結果、底面側オイル流路62を流れるオイル中の空気が更に分離され易くなり、各摺動部の潤滑に利用されるオイル中の空気の噛み込みを一層確実に防止できる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態では、仕切部材40の底壁部42と側壁部43との双方にそれぞれ小開口46を形成するようにしている。しかしながら、仕切部材40の底壁部42のみ、あるいは側壁部43のみに小開口46を形成してもよい。また、上記実施形態では、パンチング加工により仕切部材40に小開口46を形成するようにしているが、例えば仕切部材40をメッシュ状の部材で構成し、このメッシュ部に複数の小開口46を形成するようにしても良い。
また、上記実施形態では、仕切部材本体41と上蓋50とを別体の樹脂材料により構成しているが、これらを一体成形して仕切部材40を構成するようにしても良い。また、仕切部材本体41や上蓋50を金属材料等の他の材料で構成するようにしても良い。
また、上記実施形態では、上蓋50と底壁部42の各貫通口50a,42aを連通させる隙間流路60を形成し、上蓋50の上側に滴下したオイルの一部を隙間流路60を通じてオイルパイプ30へ吸入させるようにしている。しかしながら、このような隙間流路60を設けず、上蓋50の上側のオイルの全量を側面側オイル流路61及び底面側オイル流路62を通じてオイルパイプ30へ吸入させるよういしても良い。このような場合には、上蓋50の内側から外側へ向かって斜め下方に傾斜面を形成するようにすると、上蓋50の上側のオイルを速やかに側面側オイル流路61へ流入させることができ好適である。
更に、上記実施形態では、筒部45に複数の筒部側連通口45aを形成しているが、この筒部側連通口45aを形成しない構成としても良い。また、筒部側連通口45aを各小開口46と同等の開口面積とする、あるいは各小開口46よりも小さい開口面積とするようにしても良い。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、クランクケースの下部に取り付けられて、エンジンの潤滑用のオイルを回収すると共に、回収したオイルを汲み上げてエンジンの各摺動部へ供給するオイル循環装置に関し有用である。
5 クランクケース
20 オイルパン
30 オイルパイプ
32 拡径管部(閉塞部)
33a 吸込口
40 仕切部材
42 底壁部
42a 底壁側貫通口(貫通口)
43 側壁部
44 フロート部
45 筒部
46 小開口
50 上蓋(蓋部)
50a 上蓋側貫通口(貫通口)
52 空気抜き孔
60 隙間流路
20 オイルパン
30 オイルパイプ
32 拡径管部(閉塞部)
33a 吸込口
40 仕切部材
42 底壁部
42a 底壁側貫通口(貫通口)
43 側壁部
44 フロート部
45 筒部
46 小開口
50 上蓋(蓋部)
50a 上蓋側貫通口(貫通口)
52 空気抜き孔
60 隙間流路
Claims (7)
- エンジンの下部に設けられてオイルが回収されるオイルパンと、該オイルパン内のオイルを汲み上げて上記エンジンへ供給するためのオイルパイプとを備えたオイル循環装置であって、
上記オイルパンの底面に沿うように形成された底壁部と、該オイルパンの側面に沿うように形成された側壁部とを有する中空容器状に形成され、上記底壁部及び側壁部がオイルパンの底面及び側面とそれぞれ所定の間隔をおくようにオイルパンの内部に配置される仕切部材を備え、
上記仕切部材の底壁部及び側壁部のいずれか一方又は両方には、オイルが流通可能な複数の小開口が形成されており、
上記オイルパイプの吸込口は、上記仕切部材の底壁部と上記オイルパンの底面との間に開口していることを特徴とするオイル循環装置。 - 請求項1において、
上記仕切部材は、その上側が蓋部によって閉塞されていることを特徴とするオイル循環装置。 - 請求項2において、
上記仕切部材には、上記蓋部及び底壁部に上記オイルパイプが貫通する貫通口がそれぞれ形成されていることを特徴とするオイル循環装置。 - 請求項3において、
上記仕切部材には、上記オイルパイプが内嵌する筒部が上記蓋部の貫通口と上記底壁部の貫通口とに跨って形成されており、
上記筒部とオイルパイプとの間には、上記蓋部及び底壁部の各貫通口を連通させる隙間流路が形成されていることを特徴とするオイル循環装置。 - 請求項4において、
上記オイルパイプは、鉛直方向に延びて上記蓋部及び底壁部の各貫通口をそれぞれ貫通しており、
上記仕切部材には、上記オイルパンの油面高さの変動に応じて仕切部材をオイルパイプに沿って変位させるように仕切部材をオイル中に浮遊させるフロート部が設けられており、
上記オイルパイプには、仕切部材の高さが所定高さ以下になると、上記蓋部の貫通口を塞ぐ閉塞部が形成されていることを特徴とするオイル循環装置。 - 請求項2乃至5のいずれか1つにおいて、
上記仕切部材の蓋部には、該仕切部材の内部の空気を外部へ逃がすための空気抜き孔が形成されていることを特徴とするオイル循環装置。 - 請求項1乃至6のいずれか1つにおいて、
上記オイルパイプの吸込口は、オイルパンの底面の略中央部に臨んでいることを特徴とするオイル循環装置。
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---|---|---|---|
JP2007044152A JP2008208736A (ja) | 2007-02-23 | 2007-02-23 | オイル循環装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014190275A (ja) * | 2013-03-27 | 2014-10-06 | Toyota Motor Corp | エンジンのオイル循環装置 |
US9856764B2 (en) | 2015-07-14 | 2018-01-02 | Ford Global Technologies, Llc | Crankcase assembly |
-
2007
- 2007-02-23 JP JP2007044152A patent/JP2008208736A/ja active Pending
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