JP2007138792A - 潤滑装置及びオイルパン - Google Patents

潤滑装置及びオイルパン Download PDF

Info

Publication number
JP2007138792A
JP2007138792A JP2005332415A JP2005332415A JP2007138792A JP 2007138792 A JP2007138792 A JP 2007138792A JP 2005332415 A JP2005332415 A JP 2005332415A JP 2005332415 A JP2005332415 A JP 2005332415A JP 2007138792 A JP2007138792 A JP 2007138792A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
chamber
oil pan
float
oil level
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005332415A
Other languages
English (en)
Inventor
Taiichi Mori
泰一 森
Katsuhiko Arisawa
克彦 蟻沢
Kenichi Yamada
賢一 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2005332415A priority Critical patent/JP2007138792A/ja
Publication of JP2007138792A publication Critical patent/JP2007138792A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】良好な暖機性能とオイルの排出作業の迅速性とを兼ね備えつつ、オイルの貯留量の不足が簡易かつ的確に検知され得る、2槽式構造のオイルパン及び潤滑装置を提供する。
【解決手段】オイルパンセパレーター32の底板32a2には、第一室30aの底部と第二室30bの底部とを連通させ得るドレイン孔32a3が形成されている。ドレイン孔32a3には、第一室30a内のオイルレベルに応じて当該ドレイン孔32a3を開閉可能なフロート弁36が装着されている。フロート弁36と略同じ高さには、オイルレベルセンサ39が配置されている。オイルレベルセンサ39は、オイルパンカバー31の側板31bに装着されている。オイルレベルセンサ39は、オイルパンカバー31とオイルパンセパレーター32との間に形成された第二室30b内のオイルレベルに応じた信号を出力し得るように構成・配置されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、被潤滑機構(例えば、エンジンブロックや自動変速機構等)の潤滑のためのオイルを貯留可能なオイルパンに関する。また、本発明は、前記オイルパンを備えていて、当該オイルパン内に貯留された前記オイルを前記被潤滑機構と当該オイルパンとの間で循環させることで当該被潤滑機構にて潤滑が行われ得るように構成された潤滑装置(例えば、エンジンや自動変速装置等)に関する。
一般に、この種の潤滑装置は、前記オイルパン内に貯留されている前記オイルが、オイルポンプによって吸い込まれて、前記被潤滑機構内の各種の被潤滑部材(例えば、ギヤ、カムシャフト、シリンダ、ピストン等)に供給されるように構成されている。また、当該潤滑装置は、上述のように前記被潤滑部材に供給されたオイルが、当該被潤滑部材にて潤滑作用を奏するとともに当該被潤滑部材から摩擦熱等の熱を吸収した後、重力の作用で前記被潤滑機構から前記オイルパン内に還流するよう構成されている。
この種の潤滑装置の従来技術の代表例として、特開2003−222012号公報(特許文献1)に記載されているような、所謂2槽式オイルパン構造を備えたものが広く知られている。
この2槽式オイルパン構造を備えた従来の潤滑装置においては、前記オイルパンの内側の空間を第一室と第二室との2つの区画に仕切るためのオイルパンセパレーターが、当該オイルパンの内側の空間内に配置されている。
前記第一室は、前記被潤滑機構としてのエンジンブロックに向けて開口するように前記オイルパンセパレーターに形成された凹部からなる。この第一室は、前記エンジンブロックと連通して設けられた空間であって、当該エンジンブロックから還流して来る前記オイルを受容し得るように構成されている。この第一室内の底部には、オイルストレーナーが配置されている。このオイルストレーナーは、前記オイルポンプの作動によって当該オイルポンプが当該第一室内の前記オイルを吸い込む際の吸込口を構成する部材であって、前記オイルポンプと接続されている。
前記第二室は、前記第一室と前記オイルパンセパレーターを挟んで隣接する空間である。この第二室は、前記オイルパンセパレーターにおける前記凹部からなる前記第一室の外側に形成されている。
そして、前記オイルパンセパレーターには連通孔が形成されていて、当該連通孔を介して前記第一室と前記第二室との間での前記オイルの交流が可能となっている。この連通孔は、暖機運転中の低温で高粘度の前記オイルの通過が困難である反面、暖機運転終了後の高温で低粘度の前記オイルの通過が容易であるような、所定の大きさ及び形状(例えば、直径数mm程度の円形)に形成されている。
また、前記オイルパンセパレーターにおける底部の最も低い位置には、ドレイン孔が形成されている。このドレイン孔は、当該オイルパンの内部から前記オイルを排出させる際に、前記第一室内の前記オイルを前記第二室側に排出させ得るように構成されている。
上述の構成を有する、特開2003−222012号公報(特許文献1)に記載された従来の装置は、暖機運転中における前記第一室と前記第二室との間の前記連通孔を介しての前記オイルの交流が、暖機運転終了後に比べて制限されるように構成されている。すなわち、当該装置は、暖機運転中においては、前記エンジンブロックと前記第一室との間で前記オイルが循環しつつ、前記第二室から前記第一室への前記オイルの流入が制限されるように構成されている。これにより、暖機運転中の当該装置の内部における前記オイルの循環量が少なくなるので、速やかに前記オイル(及び前記被潤滑部材)の温度が上昇し、当該装置の暖機運転時間が短縮され得る。
特開2003−222012号公報
しかしながら、上述のような従来技術の構成においては、前記オイルパンからの前記オイルの排出作業の迅速性と、暖機性能とが、背反するという問題があった。すなわち、前記オイルパンからの前記オイルの排出作業の迅速性を向上させるために、前記ドレイン孔の径を大きくした場合、暖機運転中に、当該大径のドレイン孔を介して前記第二室内の低温の前記オイルが前記第一室に流入し得ることとなる。よって、この場合、当該第一室内の前記オイルの速やかな昇温が阻害されるため、暖機性能が悪化する。一方、このような暖機性能の悪化を防止すべく、前記ドレイン孔の径を小さくした場合、前記第一室から前記第二室への前記オイルの排出が迅速には行われ得ない。
また、極低温始動時に、前記第一室内から大量の前記オイルが前記オイルポンプによって前記オイルパン内から吸い出されて、当該第一室内のオイルレベルが急激に下降する場合があり得る。かかる場合に、前記従来技術の構成においては、前記第二室内の低温で高粘度のオイルは、当該第一室内に迅速には供給され得ない。
さらに、前記従来技術の構成においては、上述のような、前記オイルパン内(前記第一室内)のオイルレベルの急激な下降による、当該オイルパン内の前記オイルの貯留量の不足が簡易かつ的確に検知され得ない。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、2槽式オイルパン構造を備え、良好な暖機性能と前記オイルの排出作業の迅速性とを兼ね備えつつ、前記オイルの貯留量の不足が簡易かつ的確に検知され得るオイルパン、及び当該オイルパンを備えた潤滑装置を提供することにある。
本発明の対象となるオイルパンは、オイルパンカバーと、オイルパンセパレーターと、連通開口部と、を備えている。また、本発明の対象となる潤滑装置は、前記オイルパンと、オイルポンプと、オイルストレーナーと、を備えている。
前記オイルパンカバーは、被潤滑機構の潤滑のためのオイルを内側の空間内にて貯留可能に構成されている。
前記オイルパンセパレーターは、前記被潤滑機構に向けて開口していて、当該被潤滑機構から還流して来るオイルを受容し得るように構成された凹部を備えている。このオイルパンセパレーターは、前記オイルパンカバーの内側の前記空間を第一室と第二室とに分割し得るように構成されている。
前記第一室は、前記凹部の内側の空間からなる。この第一室は、前記被潤滑機構に向けて開口していて、当該被潤滑機構から還流して来る前記オイルを受容し得るように構成されている。
前記第二室は、前記凹部の外側に形成されていて、当該オイルパンセパレーターを介して前記第一室に隣接する空間からなる。すなわち、前記第二室は、前記オイルパンセパレーターと前記オイルパンカバーとで囲まれた空間により形成されている。
前記オイルポンプは、前記オイルを前記被潤滑機構に向けて送出し得るように構成されている。
前記オイルストレーナーは、前記第一室内における底部に配置されている。このオイルストレーナーは、前記オイルポンプの作動によって当該オイルポンプが当該第一室内の前記オイルを吸い込む際の吸込口を備えている。
前記連通開口部は、前記第一室の底部と前記第二室の底部とを連通させ得るように、前記オイルパンセパレーターにおける前記凹部の底部に形成された貫通孔からなる。
(1)そして、本発明の特徴は、前記オイルパン及び前記潤滑装置が、フロート弁と、オイルレベルセンサと、を備えたことにある。
前記フロート弁は、蓋部材と、フロート部材と、連結部材とからなる。このフロート弁は、前記連通開口部を閉鎖する第一の位置から、前記第一室内のオイルレベルの下降に応じて下方に移動することで、当該連通開口部を開放し得るように構成されている。
前記蓋部材は、前記凹部の外側(下側)である前記第二室側から、前記連通開口部を閉鎖し得るように配置されている。
前記フロート部材は、前記オイルよりも比重が低い材質で構成されている。このフロート部材は、前記連通開口部を挟んで前記蓋部材と対向するように、前記凹部の内側である前記第一室側に配置されている。
前記連結部材は、前記連通開口部を貫通するように配置されていて、前記蓋部材とフロート部材とを連結するように構成されている。
前記オイルレベルセンサは、前記オイルパンカバーに装着されていて、前記第二室内のオイルレベルに応じた出力を発生するように構成されている。
かかる構成を有する本発明のオイルパン及び潤滑装置は、以下のように動作する。
前記被潤滑機構の運転に伴って、前記オイルポンプが運転される。すると、当該オイルポンプは、前記オイルストレーナーにおける前記吸込口を介して、前記第一室内の前記オイルを吸い込む。前記オイルポンプによって吸い込まれた前記オイルは、当該オイルポンプによって、前記被潤滑機構に向けて送出される。当該被潤滑機構に供給されて潤滑作用及び冷却作用を奏した前記オイルは、重力の作用により、当該被潤滑機構から前記オイルパンに向けて還流する。このように前記被潤滑機構から還流して来る前記オイル(還流オイル)は、当該被潤滑機構に向けて開口した前記第一室に受容される(回収される)。
ここで、前記第一室内のオイルレベルが、所定のオイルレベル(フロート弁下降レベル)以上である場合、前記フロート弁は、前記オイル中にて前記フロート部材に対して作用する浮力により、前記第一の位置まで上昇する。この場合、前記蓋部材が前記連通開口部を下側(前記第二室側)から閉鎖することで、前記連通開口部が閉鎖される。
一方、前記第一室内のオイルレベルが低下して、前記フロート弁下降レベルよりも低くなった場合、前記フロート弁が前記第一の位置よりも下方に移動する。すると、前記蓋部材による前記連通開口部の閉鎖が解除される。これにより、前記連通開口部の閉鎖が解除され、前記第一室の底部と前記第二室の底部とが連通する。
例えば、前記第一室内から大量の前記オイルが前記オイルポンプによって前記オイルパン内から吸い出されると、当該第一室内のオイルレベルが急激に下降する。この場合、前記フロート弁が前記第一の位置よりも下方に移動することで、前記第一室の底部と前記第二室の底部とが連通する。これにより、前記第二室の底部に貯留された前記オイルが、前記連通開口部を介して、前記第一室内へ流入し得る。このような、前記第一室内のオイルレベルの低下に伴う、前記第二室の底部から前記第一室の底部への前記オイルの供給によって、当該第二室内のオイルレベルも低下する。
その後、前記被潤滑機構から前記オイルが前記第一室に還流して、当該還流オイルが当該第一室に受容されることで、当該第一室内のオイルレベルが上昇すると、前記フロート弁が上方に移動する。このとき、前記連通開口部が開放されているので、当該第一室内のオイルレベルの上昇に伴って、前記第二室内のオイルレベルも上昇する。そして、前記第一室内のオイルレベルが前記フロート弁下降レベル以上となったとき、前記連通開口部が前記フロート弁(前記蓋部材)によって閉鎖される。
また、前記オイルパンの内部から前記オイルの全量を排出させる際(例えば、オイル交換時)の、前記第一室及び/又は前記第二室内のオイルレベルの低下に伴って、前記フロート弁が下方に移動する。これにより、前記連通開口部が開放される。
以上の通りの構成を有する本発明によれば、2槽式オイルパン構造を有することで良好な暖機性能が達成されつつ、前記オイルの排出作業が迅速に行われ、且つ前記オイルの貯留量の不足が簡易かつ的確に検知され得る、という効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、前記エンジンの運転中に、前記第一室内のオイルレベルが所定の低レベル(前記フロート弁下降レベル)よりも低くなった場合に、前記フロート弁が下方に移動することで、当該第一室の外側に位置する前記第二室内に貯留された前記オイルが前記第一室内に流入する。よって、前記オイルが低温で高粘度である暖機運転中に前記第一室内の前記オイルの貯留量が不足しそうになっても、前記第二室内に貯留された前記オイルが、前記第一室に対して、迅速且つ良好に供給され得る。
また、本発明によれば、前記エンジンの運転中における、前記第一室内のオイルレベルの変動に伴って、前記第二室内のオイルレベルが変動し得る。よって、前記オイルレベルセンサの出力に基づいて、前記第二室内のオイルレベルを検知することで、前記第一室内のオイルレベルの低下が判定され得る。
さらに、本発明によれば、前記オイルパンの内部から前記オイルの全量を排出させる際に、前記連通開口部が開放されることで、前記第一室の底部と前記第二室の底部とが連通される。よって、前記第一室内に貯留されている前記オイルが、当該連通開口部を介して、迅速に前記第二室の底部に流出し得る。
(1’)前記オイルパンカバー及び前記オイルパンセパレーターは、板状部材から形成され得る。
この場合、前記オイルパンカバーの底面を構成するオイルパンカバー底板と、前記オイルパンセパレーターの底面を構成するオイルパンセパレーター底板と、の間には、所定の間隙が形成されている。そして、前記連通開口部は、前記オイルパンセパレーター底板に形成されている。
また、前記第二室は、前記第一室の側方及び下方に形成されている。すなわち、前記第一室を構成する前記凹部は、前記オイルパンセパレーターの、平面視における略中央部に形成されている。そして、当該第二室によって、前記第一室と外気との断熱層が構成されている。
かかる構成によれば、上述のような効果が、より簡略な装置構成によって達成され得る。
(1”)前記オイルパンセパレーターには、前記第一室と前記第二室との間でオイルが交流可能なオイル連通路が、前記連通開口部とは別途に設けられ得る。
このオイル連通路は、前記被潤滑機構における暖機運転の状態に応じて、前記第一室と前記第二室との間の前記オイルの交流状態が変化し得るように構成されている。すなわち、暖機運転中は当該オイル連通路における前記第一室と前記第二室との間の前記オイルの交流が制限(前記オイル連通路が閉鎖)され、暖機運転終了後には当該制限が解除される(前記オイル連通路が開通する)ように、当該オイル連通路が構成されている。
このオイル連通路としては、例えば、前記オイルパンセパレーターに形成された貫通孔が用いられ得る。この貫通孔は、暖機運転中の低温で高粘度の前記オイルの通過が困難である反面、暖機運転終了後の高温で低粘度の前記オイルの通過が容易であるような、所定の大きさ及び形状(例えば、直径数mm程度の円形)に形成されている。
あるいは、前記オイル連通路としては、例えば、前記第一室内の前記オイルの温度に応じて開閉し得るように構成されたサーモスタット弁装置が用いられ得る。このサーモスタット弁装置は、前記オイルの温度に応じて変形し得る感温変形部と、その感温変形部の変形に応じて移動することで、前記第一室と前記第二室との連通状態を変化させ得るように配置された連通路開閉弁とを備えている。
あるいは、前記オイル連通路としては、例えば、電磁弁装置や油圧作動弁装置が用いられ得る。
(2)前記オイルレベルセンサは、前記第一室内のオイルレベルが下降する際に前記フロート弁が前記第一の位置から下方に移動し始めるオイルレベル(前記フロート弁下降レベル)の近傍位置に配置され得る。すなわち、前記オイルレベルセンサは、前記フロート弁下降レベルと、前記オイルストレーナーの前記吸込口の高さとの間のオイルレベルの変動を検知し得るように配置され得る。
具体的には、前記オイルレベルセンサにおけるオイルレベル検知部が配置されている位置が、前記フロート弁下降レベルと前記吸込口の高さとの間の範囲内に含まれるように、前記オイルレベルセンサが構成・配置され得る。
あるいは、前記オイルレベルセンサは、前記フロート弁が前記第一の位置にある場合の前記フロート部材よりも低い位置に配置され得る。この場合、当該オイルレベルセンサは、前記オイルストレーナーにおける前記吸込口よりも高い位置に配置される。
かかる構成においては、前記エンジンの運転中における、前記第一室内のオイルレベルの、前記範囲内における変動に伴って、前記第二室内のオイルレベルが、前記範囲内にて変動し得る。この第二室内のオイルレベルの変動に伴って、前記オイルレベルセンサの出力もまた変動する。よって、このオイルレベルセンサの出力に基づいて、前記第二室内のオイルレベルを検知することで、前記第一室内の前記オイル量の不足の発生が判定され得る。例えば、前記第一室及び前記第二室内のオイルレベルが、前記フロート弁下降レベルと前記吸込口との略中間位置よりも低くなった場合に、前記第一室内の前記オイル量の不足の発生が判定され得る。
かかる構成によれば、前記オイルの貯留量の不足が、より簡略な装置構成によって、簡易かつ的確に検知され得る。
(3)前記連結部材と対向して設けられていて、前記フロート弁の上下動をガイドし得るように構成されたガイド部材がさらに備えられていてもよい。
かかる構成によれば、前記第一室内のオイルレベルに応じて、前記フロート弁がスムーズに上下動し得る。
また、運転中に前記第一の位置にある前記フロート弁の傾きが抑制され得る。これにより、当該フロート弁の傾きによる、前記連通開口部を介しての第一室と第二室との間の不用意なオイルの連通が抑制され得る。
(4)前記蓋部材における、前記連通開口部と対向する表面が、球面状の部分を有していてもよい。
かかる構成によれば、前記オイルパン内の前記オイルに加速度が加えられることで、当該加速度の方向に前記オイルが移動して、前記第一の位置にある前記フロート弁が傾いた場合であっても、前記蓋部材の前記表面における前記球面状の部分が、前記連通開口部と良好に接触している。よって、運転中(特に暖機運転中)における当該連通開口部を介しての第一室と第二室との間の不用意なオイルの連通が抑制され得る。
(5)前記オイルレベルセンサの出力に応じて当該潤滑装置の異常を判定する異常判定部がさらに備えられていてもよい。
かかる構成においては、前記エンジンの運転中における、前記第一室内のオイルレベルの変動に伴って、前記第二室内のオイルレベルが変動し得る。この第二室内のオイルレベルの変動に伴って、前記オイルレベルセンサの出力もまた変動する。よって、前記オイルレベルセンサの出力に基づいて、前記異常判定部が当該潤滑装置の異常を判定する。
かかる構成によれば、前記第一室内の前記オイル量の不足の発生が、より簡略な装置構成によって的確に判定され得る。
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について図面を参照しつつ説明する。
<実施形態に係るエンジンの概略構成>
図1は、本発明の潤滑装置の一実施形態に係るエンジン10の概略構成を示している。このエンジン10は、エンジンブロック20と、オイルパン30と、潤滑系統40とを備えている。
エンジンブロック20は、被潤滑機構としてのシリンダヘッド及びシリンダブロックを備えている。すなわち、エンジンブロック20には、ピストン21、クランクシャフト22、カムシャフト23等の複数の被潤滑部材が配置されている。このエンジンブロック20の下端部には、エンジンブロック20の潤滑のためのオイルを貯留可能な、本発明の一実施形態に係るオイルパン30が接続されている。このオイルパン30の具体的な構成の詳細については後述する。
エンジン10の内部の潤滑のためのオイルを当該エンジン10内で循環させるための潤滑系統40は、エンジンブロック20の内部及び外部に亘って設けられている。この潤滑系統40は、オイルパン30の内側に貯留されているオイルを前記被潤滑部材へ供給し得るように、以下の通り構成されている。
オイルパン30の内側に貯留されているオイルを吸い込むための吸込口41aを有するオイルストレーナー41が、オイルパン30の内側に配置されている。このオイルストレーナー41の上端部には、エンジンブロック20に設けられたオイルポンプ42に向けてオイルを送出するためのストレーナー送出管41bが設けられている。このストレーナー送出管41bは、ストレーナー流路43を介して、オイルポンプ42と接続されている。
オイルポンプ42は、周知のロータリーポンプから構成されており、そのローター42aは、クランクシャフト22と共に回転するように、当該クランクシャフト22と結合されている。このオイルポンプ42は、エンジンブロック20の外部に設けられたオイルフィルター44のオイル入口と、オイル輸送管45を介して接続されている。また、オイルフィルター44のオイル出口は、前記各被潤滑部材に向かうオイル流路として設けられたオイル供給管46と接続されている。
<オイルパンの周辺の詳細な構成>
図2は、図1に示されているエンジン10における、オイルパン30の周辺の側断面図である。このオイルパン30は、オイルパンカバー31と、オイルパンセパレーター32と、これらのオイルパンカバー31及びオイルパンセパレーター32に設けられた各種の部材(詳細は後述する)と、を備えている。
オイルパン30は、シリンダブロック20aの下端部に接続されたロワーケース20bによって支持されている。このロワーケース20bは、クランクシャフト22を下方から覆うように、シリンダブロック20aの下端部に固定されている。
ロワーケース20bは、上下方向に向けて開口する筒状の側壁部20b1と、その側壁部20b1の下端部に接続された還流オイル受容部20b2とから構成されている。還流オイル受容部20b2は、ロワーケース20bにおける図示しないパワートレイン機構と近接する側(図2における右側)の下端部を下方から覆うように設けられた、スロープ状の部分からなる。すなわち、ロワーケース20bの底部であって、前記パワートレイン機構から遠い側(図2における左側)には、大きな貫通孔が形成されていて、この貫通孔を下方から塞ぐように、オイルパン30が装着されている。
この還流オイル受容部20b2は、シリンダブロック20aから重力の作用により落下してくる還流オイルを受容して、オイルパン30に向かって緩やかに送り込み得るように構成されている。
<<オイルパンカバー>>
オイルパンカバー31は、オイルパン30の外側カバーを構成する部材であって、その内側にオイルを貯留可能に構成されている。このオイルパンカバー31は、鋼板をプレス加工することによって一体に成形された、バスタブ状(凹状)の板状部材からなる。具体的には、オイルパンカバー31の底板31aの周縁には、当該底板31aを囲むように、側板31bが設けられている。そして、このオイルパンカバー31は、底板31a及び側板31bによって囲まれた空間内にオイルを貯留可能に構成されている。
底板31aにおける最低位置には、ドレインボルト孔31a1が設けられている(なお、「最低位置」とは、エンジン10を含む所定の装置(例えば自動車等)が水平な地面に置かれた場合の、側面視にて重力作用方向における最も低い位置をいうものとする。この対概念を「最高位置」と称する。以下同様。)。このドレインボルト孔31a1には、ネジ山が形成されていて、M12のボルトであるドレインボルト33が捩じ込まれ得るようになっている。
このオイルパンカバー31は、オイルがドレインプラグ孔31eに向かって重力の作用で淀みなくスムーズに流れ落ち得るような形状に形成されている。すなわち、ドレインボルト孔31a1からドレインボルト33が取り外されることにより、オイルパンカバー31の内側の空間内(後述する第二室30b内)に貯留されたオイルの全量が、重力の作用によって当該ドレインボルト孔31a1を通してオイルパン30の外部に流出し得るようになっている。
オイルパンカバー31の上端部には、外側に向けて略水平に延びるように、フランジ部31b1が形成されている。このフランジ部31b1が、ロワーケース20bの下端部にて外側に向けて略水平に延びるように設けられた外側フランジ部20b3に対して、ボルト及びナットを介して固定されることで、オイルパンカバー31がロワーケース20bの下端部に装着されている。
<<オイルパンセパレーター>>
オイルパンセパレーター32は、熱伝導性の低い合成樹脂の板状部材からなり、射出成形によって一体に形成されている。このオイルパンセパレーター32は、上方のシリンダブロック20aに向けて開口する凹部であるオイル貯留部32aを備えている。このオイル貯留部32aは、オイルパンセパレーター32の(平面視における)略中央部に形成されている。
オイル貯留部32aは、内側の空間内にオイルを貯留し得るとともに、シリンダブロック20aから重力の作用で還流して来るオイルを受容し得るように構成されている。すなわち、オイル貯留部32aの底板32a1の周縁には、当該底板32a1を囲むように、側板32a2が設けられている。そして、このオイル貯留部32aは、底板32a1及び側板32a2によって囲まれた空間からなる第一室30a内にオイルを貯留可能に構成されている。なお、側板32a2は、その上端部が、オイルレベルゲージ50におけるオイルレベル表示「F(Full)」に相当する高さになるように形成されている。
また、オイル貯留部32aの底板32a1における前記最低位置には、本発明の連通開口部を構成するドレイン孔32a3が形成されている。このドレイン孔32a3は、低温(例えば0℃程度)の高粘度のオイルであっても容易に通過し得る程度の充分な大きさ(例えば直径20mm程度)の円形に形成されている。
オイル貯留部32aにおける側板32a2の上端部から外側に向けて略水平に延びるように、フランジ部32bが形成されている。このフランジ部32bが、ロワーケース20bの下端部にて内側に向けて略水平に延びるように設けられた内側フランジ部20b4に対して、ボルト及びナットを介して固定されることで、オイルパンセパレーター32がロワーケース20bの下端部に装着されている。
また、オイル貯留部32aにおける側板32a2の上端部から外側に向けて略水平に延びるように、水平仕切板32cが形成されている。この水平仕切板32cの端縁部は、上述のフランジ部32bと同様に、ロワーケース20bにおける内側フランジ部20b4に対して、ボルト及びナットを介して固定されている。
水平仕切板32cは、上述のロワーケース20bにおける還流オイル受容部20b2と接続することで、当該還流オイル受容部20b2から流れ落ちてきた前記還流オイルを受容し得るように設けられている。この水平仕切板32cから上方に向かって、垂直仕切板32dが立設されている。この垂直仕切板32dと、水平仕切板32cと、ロワーケース20bとによって、所定量の前記還流オイルを貯留し得る空間(後述する還流オイル貯留室30c)が形成されている。
水平仕切板32cにおける、前記パワートレイン機構と近接する側の端部には、オイルレベルゲージ支持孔32fが形成されている。このオイルレベルゲージ支持孔32fは、オイルレベルゲージ50の先端部が挿入され得るように構成されている。また、オイルレベルゲージ支持孔32fは、オイルパン30からオイルの全量を排出する際に、オイルを吸引し得るように構成された市販のオイルチェンジャ装置に備えられたオイル吸引パイプが装着され得るように形成されている。さらに、オイルレベルゲージ支持孔32fは、オイルパン30内に新鮮なオイルを注入するためのオイル注入パイプが装着され得るように形成されている。
水平仕切板32cには、貫通孔32gが形成されている。この貫通孔32gは、上述のような、所定量の前記還流オイルを貯留し得る空間(後述する還流オイル貯留室30c)の外側に設けられている。
<<2槽式オイルパン構造>>
上述の通り、オイル貯留部32aの内側の空間によって、オイルストレーナー41が配置された第一室30aが形成されている。このオイルストレーナー41は、その下端部に形成された吸込口41aが、オイル貯留部32aの底部に位置する底板32a1の内面(上面)から所定の狭い間隔(例えば10mm程度)を隔てるように配置されている。
また、オイルパンカバー31の底板31aと、オイルパンセパレーター32の底板32a1との間には、所定の間隙が設定されている。この間隙を設けることにより、オイルパンセパレーター32のオイル貯留部32aの下方及び側方に、オイルパンカバー31とオイルパンセパレーター32とで囲まれた空間が形成されている。すなわち、当該オイルパンカバー31とオイルパンセパレーター32とで囲まれた空間により、第一室30aに隣接して配置された空間である第二室30bが形成されている。この第二室30bは、第一室30aの側方及び下方を囲むように配置されている。そして、この第二室30b(及び当該第二室30b内に貯留されたオイル)によって、第一室30aと外気との断熱層が形成されている。
<<<第一室と第二室とのオイル連通路の構成>>>
オイルパンセパレーター32のオイル貯留部32aにおける側板32a2の底部には、第一サーモスタット弁装置34が、当該側板32a2を貫通するように設けられている。この第一サーモスタット弁装置34によって、第一室30aと第二室30bとの間でのオイルの交流がオイルの温度に応じて可能となるオイル連通路が構成されている。この第一サーモスタット弁装置34は、オイルレベルゲージ50におけるオイルレベル表示「L」よりも低く、且つオイルストレーナー41の吸込口41aよりも高い位置に配置されている。
図3は、図2に示されている第一サーモスタット弁装置34を拡大した断面図である。この第一サーモスタット弁装置34は、第一室30a内のオイルの温度に感応する感温部であるワックス34aを備えている。この第一サーモスタット弁装置34は、ワックス34aが第一室30a側に位置するように配置されている。
ワックス34aは、金属製の弁体34bの内部に封入されている。この弁体34bは、中心に貫通孔を有する略円板状の連通路開閉弁34b1と、内部にワックス34aが封入された空洞部を有する略円柱形状の本体部34b2と、連通路開閉弁34b1及び本体部34b2を接続する略円筒形状の接続部34b3とから構成されている。
連通路開閉弁34b1に形成された上述の貫通孔は、接続部34b3の円筒の内側の空間と接続するように形成されている。これらの貫通孔及び空間の内側には、ロッド34cが配置されている。このロッド34cは、ワックス34aが封入された前記空洞部内にその一端が露出するように配置されている。また、このロッド34cは、前記一端と反対側の他端が連通路開閉弁34b1から弁体34bの外部に露出するように配置されている。また、連通路開閉弁34b1の前記貫通孔には、シール部材34eが挿入されている。このシール部材34eによって、弁体34b内に封入されているワックス34aが、当該弁体34bの外部に漏出しないようにシールされている。
弁体34bにおける本体部34b2の周囲は、金属製の略円筒状の部材である筐体34dによって囲まれている。この筐体34dには、貫通孔としての第一室側開口部34d1が形成されている。この第一室側開口部34d1は、当該筐体34dの内側の空間と外側の空間(第一室30a)とを連通させ得るように構成されている。
筐体34dの、第一室30a側の端部には、貫通孔34d2が形成されている。この貫通孔34d2は、その内側を弁体34bの本体部34b2が移動(摺動)し得るように構成されている。筐体34dの、第二室30b側の端部には、円板状のフランジ部34fが、外側(図中上下方向)に向かって延びるように形成されている。このフランジ部34fが、オイルパンセパレーター32の側板32a2に対してボルトB及びナットNによって固定されることにより、第一サーモスタット弁装置34が当該側板32a2に装着されている。
フランジ部34fよりも第二室30b側には、当該第二室30b側に露出した板状部材からなる第二室側カバー34gが設けられている。この第二室側カバー34gには、貫通孔である第二室側開口部34g1が形成されている。また、第二室側カバー34gには上述のロッド34cにおける前記他端が固着されている。そして、当該第二室側カバー34gと連通路開閉弁34b1とが当接した場合に、筐体34dの内側の空間と第二室側カバー34gの内側の空間との連通が当該連通路開閉弁34b1によって遮断され得るように、当該第二室側カバー34g(及び連通路開閉弁34b1)の形状が設定されている。
筐体34dの内側の空間には、弁体34bの周囲を囲むように配置されたコイルスプリング34hが配置されている。このコイルスプリング34hは、その一端側が連通路開閉弁34b1に当接し、他端側が筐体34dにおける前記一端側に当接するように配置されている。
かかる構成を有する第一サーモスタット弁装置34は、ワックス34aが封入されている弁体34bの周囲の温度が所定の開弁温度よりも低温の場合、ワックス34aが収縮し、コイルスプリング34hの弾性力によってワックス34aの封入されている空洞部内にロッド34cが押し込まれることで、図3(A)に示されているように、第二室側カバー34gと連通路開閉弁34b1とが当接して、第一室30aと第二室30bとの連通が遮断されるようになっている(閉弁状態)。
また、ワックス34aが封入されている弁体34bの周囲の温度が高温の場合、ワックス34aが溶融されて当該ワックス34aの体積が膨張し、ワックス34aの封入されている空洞部内からロッド34cの前記一端が押し出されることで、図3(B)に示されているように、弁体34bがコイルスプリング34hの押圧力に抗して第一室30a側に押し出され、これにより第二室側カバー34gと連通路開閉弁34b1との間に隙間が生じ、当該隙間を介して第一室側開口部34d1と第二室側開口部34g1との間で筐体34dの内部を通したオイル連通路(以下、単に「オイル連通路」と称する。)が開通するようになっている(開弁状態)。
そして、当該第一サーモスタット弁装置34は、温度上昇に応じて開弁率(前記オイル連通路における最大流路断面積に対する現在の流路断面積の割合)が高くなるようになっている。すなわち、当該第一サーモスタット弁装置34の近傍における第一室30a内のオイル温度に応じて、ワックス34aの膨張によって弁体34bが第一室30a側に押し出される力と、前記コイルスプリング34hによる押圧力とが釣り合うような所定の位置に、当該弁体34bが位置することで、前記オイル連通路におけるオイルの交流状態が前記オイル温度に応じて変化するようになっている。このように、ワックス34a、弁体34b、及びロッド34cにより、第一室30a内のオイルの温度に応じて変形し得る感温変形部が構成されている。
<<オイルパンセパレーターにおけるドレイン孔の周辺の構成>>
再び図2を参照すると、オイルパンセパレーター32には、当該オイルパン30(第一室30a)内のオイルレベルに応じてドレイン孔32a3を開閉するためのフロート弁36が設けられている。このフロート弁36は、蓋部材36aと、フロート部36bと、連結バー36cとから構成されている。
蓋部材36aは、第二室30b側(オイルパンセパレーター32の底板32a1の下側)に配置されている。この蓋部材36aは、オイルパンセパレーター32の底板32a1に形成されたドレイン孔32a3の開口端縁と当接することで、当該ドレイン孔32a3を下方から閉鎖し得るように構成されている。
フロート部36bは、第一室30a内(オイルパンセパレーター32の底板32a1の上側)に配置されていて、オイルよりも比重が低い材質から構成されている。このフロート部36bは、ドレイン孔32a3を挟んで蓋部材36aと対向するように配置されている。
連結バー36cは、蓋部材36aとフロート部36bとを連結する部材であって、略上下方向に沿って配置されている。
本実施形態においては、蓋部材36aの上側表面であって、ドレイン孔32a3と対向するドレイン孔対向面36a1が、外側に凸の球面状に形成されている。そして、第一室30a内に充分な量のオイルが収容されていて、フロート弁36が図2に示されている上昇位置(蓋部材36aがドレイン孔32a3と当接して当該ドレイン孔32a3が閉鎖されている状態に相当するフロート弁36の位置)にある場合に、フロート弁36が傾いても、ドレイン孔対向面36a1がドレイン孔32a3の開口端に良好に密着するように、当該フロート弁36が構成されている。
オイルパンセパレーター32の底板32a1の上側表面(第一室30a側の表面)であって、ドレイン孔32a3の近傍の位置には、フロートガイド部材37が固定されている。このフロートガイド部材37は、フロート弁36における連結バー36cと対向するように配置されている。また、このフロートガイド部材37は、当該連結バー36cを囲むように構成されていて、当該連結バー36cの上下動をガイドすることでフロート弁36の傾きを抑制し得るようになっている。
図4は、図2に示されているフロート弁36及びフロートガイド部材37の周辺の具体的構成の一例を示す図である。ここで、図4(A)は平面図であり、図4(B)は側断面図である。なお、図4(A)においては、フロートガイド部材37の構成を容易に把握し得るように、フロート弁36を構成する各部材が2点鎖線で示されている。
フロートガイド部材37は、フロート弁36における連結バー36cを囲むように構成された板状のガイド部37aと、そのガイド部37aから下方に向けて立設された複数の脚部37bとを備えている。そして、このフロートガイド部材37は、フロート弁36が下方に移動してドレイン孔32a3が開放された場合に、当該ドレイン孔32a3、及び上述のガイド部37aの下方の空間であって複数の脚部37b同士の間の空間を通って、第一室30aと第二室30bとの間でオイルが交流し得るように構成されている。
また、図4(A)及び(B)を参照すると、第一室30a内のオイルレベルに応じたフロート弁36の上下動がスムーズに行われるように、フロートガイド部材37のガイド部37aに形成されたガイド孔37a1と、連結バー36cの外周面とのクリアランスが、比較的大きく(数mm程度に)設定されている。
さらに、図4(B)に示されているように、オイルパンセパレーター32の底板32a1における、ドレイン孔32a3の下端部には、フロート弁接触面32a4が形成されている。このフロート弁接触面32a4は、蓋部材36aのドレイン孔対向面36a1と対向する面であって、球面形状を有するドレイン孔対向面36a1と密着し得るように、当該球面形状に倣った凹状の球面形状に形成されている。
<<還流オイルの循環構造>>
再び図2を参照すると、垂直仕切板32dと、水平仕切板32cと、ロワーケース20bとによって、シリンダブロック20aに向けて開口する凹部が形成されている。この凹部によって、所定量の前記還流オイルを貯留し得る空間である還流オイル貯留室30cが形成されている。この還流オイル貯留室30cは、前記パワートレイン機構と近接する側(図2における右側)における、第二室30bの上方に形成されている。
還流オイル貯留室30cは、シリンダブロック20aにおける、上述の図示しないパワートレイン機構と近接する側から、重力の作用で還流してきた前記還流オイルを、受容して一旦貯留し得るように形成されている。そして、水平仕切板32cは、第二室30bの上部と還流オイル貯留室30cとを仕切るように配置されている。また、垂直仕切板32dは、エンジン長手方向(気筒配列方向、すなわちクランクシャフト22の長手方向:図中左右方向)における還流オイル貯留室30cの一端部を規定するように配置されている。
この還流オイル貯留室30cと、第二室30bの上部とは、水平仕切板32cに設けられたオイルレベルゲージ支持孔32fと、貫通孔32gと、第二サーモスタット弁装置38と、を介して連通するようになっている。
オイルレベルゲージ支持孔32fは、第二室30bにおける最高位置に形成されている。このオイルレベルゲージ支持孔32fは、オイルレベルゲージ50が挿入された状態において、当該オイルレベルゲージ50との間に所定幅の狭い隙間が形成されるような形状に形成されている。ここで、当該「所定幅の狭い隙間」は、暖機運転中の低温で高粘度のオイルの通過が困難となるような狭さである反面、上述の第一サーモスタット弁装置34における開弁温度近傍の比較的高温(例えば60℃程度)で低粘度のオイルの通過が容易となるような程度のクリアランスを有するような幅(数mm程度)である。
すなわち、このオイルレベルゲージ支持孔32fは、暖機運転終了後に相当する高温の前記還流オイルを還流オイル貯留室30cから第二室30bの上部へ還流させ得るように構成されている。
貫通孔32gは、還流オイル貯留室30cによって一旦受け止められた後に垂直仕切板32dを乗り越えて当該還流オイル貯留室30cから溢れ出た前記還流オイルを、第二室30bに還流させ得るように形成されている。
第二サーモスタット弁装置38は、水平仕切板32cを貫通するように装着されている。この第二サーモスタット弁装置38は、水平仕切板32cに形成された第二サーモスタット取り付け用凹部32c1に装着されている。この第二サーモスタット取り付け用凹部32c1は、第二室30b側に突出するように形成されていて、且つシリンダブロック20aに向けて開口する凹部として形成されている。すなわち、第二サーモスタット取り付け用凹部32c1の底部によって、還流オイル貯留室30cの最低位置が構成されている。
この第二サーモスタット弁装置38は、第一サーモスタット弁装置34と同様の構成を備えている。すなわち、第二サーモスタット弁装置38は、還流オイル貯留室30cに一時的に貯留されている前記還流オイルの温度が所定の高温(例えば60℃)に達した場合に開弁することで、当該還流オイルを還流オイル貯留室30cから一気に第二室30b内に流入させ得るように構成されている。
なお、本実施形態においては、第二サーモスタット弁装置38は、第一サーモスタット弁装置34よりも後から開弁するように構成されている。
また、オイルパンセパレーター32の側板32a2の上端部にてシリンダブロック20aに向けて開口する第一室開口部30a1は、シリンダブロック20aから重力の作用により落下してくる前記還流オイルの一部(上述の還流オイル貯留室30cによって受容された部分の残部)が通過して、当該還流オイルが第一室30a内に直接達し得るように形成されている。
すなわち、当該第一室開口部30a1によって、前記還流オイルが第一室30aに直接的に還流する第一オイル還流路が構成されている。また、オイルレベルゲージ支持孔32f、貫通孔32g、及び第二サーモスタット弁装置38によって、前記還流オイルが(一旦還流オイル貯留室30cに受容された後に)第二室30bに還流する第二オイル還流路が構成されている。
ここで、本実施形態のオイルパン30は、シリンダブロック20aの下端の開口部のうちの略50〜70%が、還流オイル受容部20b2及び還流オイル貯留室30cと対向するように構成されている。すなわち、前記還流オイルのうちの略50〜70%が、還流オイル貯留室30cに一旦受容される(このうちの一部は、垂直仕切板32dを乗り越えて第一室30a又は第二室30b内に流入することがあり得る)ように、オイルパンセパレーター32の形状(第一室開口部30a1の形状、水平仕切板32c及び垂直仕切板32dの形状・位置、等)が適宜設定されている。
特に、還流オイル貯留室30cにおける、前記還流オイルの貯留量は、垂直仕切板32dの寸法・形状(特に高さ)に依存する。そこで、本実施形態においては、エンジン10のあらゆる運転状態にて、オイルがシリンダブロック20a及びオイルパン30内にて良好に循環し得るような、前記還流オイルの貯留量となるように、当該垂直仕切板32dの寸法・形状が適宜設定されている。
具体的には、第二サーモスタット弁装置38が開弁した場合に、ある程度多量の前記還流オイルが第二室30bに流入することで、暖機運転終了後に当該オイルパン30内のオイルの循環(還流オイル貯留室30cから第二室30bを介して第一室30aに達するオイルの循環)がより盛んに行われ得るように、垂直仕切板32dの高さが、ある程度高く設定されている。
一方、冷間始動時(特に極低温環境下における始動時)に第一室30a内のオイルの量が不足しないように、垂直仕切板32dの高さは、あまり高くなりすぎないように設定されている。さらに、暖機運転中に適切な量の前記還流オイルが第一室30a内に還流することで、暖機運転が適切に促進され得るように、垂直仕切板32dの高さは、あまり高くなりすぎないように設定されている。
<<オイルレベルセンサ>>
オイルレベルセンサ39は、オイルパンカバー31の側板31bの底部に装着されている。このオイルレベルセンサ39は、第二室30b内のオイルレベルに応じた信号を出力し得るように構成・配置されている。
具体的には、オイルレベルセンサ39は、レベル検知フロート39aと、フロートガイド39bと、を備えている。レベル検知フロート39aは、当該オイルレベルセンサ39におけるオイルレベル検知部を構成する部材であって、オイルよりも比重の低い材質からなる。フロートガイド39bは、検知上限位置SUと検知下限位置SLとの間でのレベル検知フロート39aの上下動をガイドするように構成されている。
そして、オイルレベルセンサ39は、第二室30b内のオイルレベルに応じて上下動する上述のレベル検知フロート39aの高さに応じた信号を出力し得るように構成されている(例えば、特開2001−183434号公報参照)。
ここで、オイルレベルセンサ39の検知上限位置SU及び検知下限位置SLは、オイルレベルゲージ50におけるオイルレベル「L(Low)」よりも充分低い位置に設定されている。
検知上限位置SUは、具体的には、第一室30a内のオイルが減少してフロート弁36が前記上昇位置から下方に移動し始める時点の当該第一室30a内のオイルレベルであるフロート弁下降レベルVDとほぼ同じ位置(より詳細には、VDよりも若干低い位置)に設定されている。また、検知下限位置SLは、具体的には、オイルストレーナー41の吸込口41aよりも高い位置に設定されている。さらに、当該検知下限位置SLは、フロート弁下降レベルVDと吸込口41aとの略中間位置に設定されている。
すなわち、オイルレベルセンサ39は、(前記上昇位置にある)フロート弁36のフロート部36bよりも低く、且つオイルストレーナー41の吸込口41aよりも高い位置に配置されている。
<制御系の構成>
図5は、図1に示されているエンジン10の制御系の概略的な回路構成を示す図である。
クランクポジションセンサ61は、クランクシャフト22と対向するように、当該エンジン10の内部に配置されている。このクランクポジションセンサ61は、クランクシャフト22が10°回転する毎に幅狭のパルスを発するとともに、当該クランクシャフト22が360°回転する毎に幅広のパルスを発するように構成されている。このクランクポジションセンサ61が発生する信号により、エンジン回転速度NEが取得されるようになっている。
水温センサ62は、シリンダブロック20aに装着されている。この水温センサ62は、エンジン10の冷却水の温度に基づいた信号(冷却水温Twを表す信号)を出力するように構成されている。
電気制御装置70は、CPU71と、ROM72と、RAM73と、バックアップRAM74と、インターフェース75と、これらを互いに接続するバス76と、から構成されている。
ROM72には、CPU71により実行されるルーチン(プログラム)、当該ルーチンが実行される際に参照されるテーブル(ルックアッテーブル、マップ)やパラメータ等が、当該CPU71によって読み出し可能に予め格納されている。RAM73には、CPU71により必要に応じてデータが一時的に格納されるようになっている。バックアップRAM74は、当該電気制御装置70の電源オン状態でデータが格納され得るとともに、この格納されたデータがエンジン10の停止中であって当該電気制御装置70の電源オフ中も保持されるようになっている。インターフェース75は、上述の各センサ、及び警告ランプ81と接続されていて、CPU71に当該各センサからの信号を供給するとともに、当該CPU71の指示に応じて、警告ランプ81を点灯させるための信号を当該警告ランプ81に供給し得るように構成されている。
本実施形態においては、電気制御装置70は、第一室30a内のオイルレベルが上述の検知下限位置SL(図2参照)に達した場合に、警告ランプ81を点灯させるように構成されている。
<実施形態の構成による作用・効果>
以下、上述の構成を備えたエンジン10の動作について、各図面(主に図2)を参照しつつ説明する。
エンジン10の暖機運転が終了して、第一サーモスタット弁装置34が開弁されてオイル連通路が開通された後に、エンジン10が所定時間停止していると、当該オイル連通路を介して、第一室30a内のオイルレベルと第二室30b内のオイルレベルとが平均化される。
エンジン10が始動されると、クランクシャフト22の回転駆動によって、オイルポンプ42が作動する。このオイルポンプ42の作動に伴って、第一室30a内のオイルストレーナー41の吸込口41aにて負圧が発生する。この負圧によって、第一室30a内のオイルが、当該吸込口41aから吸い込まれる。このようにして、吸込口41aを介してオイルポンプ42によって吸い込まれたオイルは、当該オイルポンプ42によって、エンジンブロック20内の前記被潤滑部材に向けて送出される。
ここで、エンジン始動直後には、通常(暖機運転終了後にエンジン10が停止され、この停止直後にエンジン10が再始動された場合を除き)、前記被潤滑部材及びオイルの温度が低下しているので、暖機運転が行われる。
<<暖機運転中>>
暖機運転中は、第一室30a内のオイルの温度が、第一サーモスタット弁装置34における前記所定の開弁温度よりも低い。よって、第一サーモスタット弁装置34が図3(A)に示す閉弁状態となっている。これにより、暖機運転中において前記被潤滑部材へ供給されるオイルは、通常、第一室30a内のオイルに限定される。
前記被潤滑部材へ供給されたオイルは、当該被潤滑部材にて潤滑作用を奏すると同時に、当該被潤滑部材から摩擦熱や内燃機関の燃焼による熱等を吸収する。これにより、当該オイルの温度が上昇する。このようにして、前記被潤滑部材における潤滑作用によって昇温したオイルは、重力の作用によって降下することで、オイルパン30に向けて還流する。
この還流オイルの一部は、第一室開口部30a1を通って第一室30aに直接還流し、残部は還流オイル受容部20b2や水平仕切板32cによって一旦受容されて還流オイル貯留室30c内に所定量貯留される。この還流オイル貯留室30c内に貯留された前記還流オイルもまた、暖機運転中は、第二サーモスタット弁装置38における所定の開弁温度よりも低温である。よって、第二サーモスタット弁装置38は閉弁状態となる。したがって、暖機運転中においては、還流オイル貯留室30cから第二室30bへの前記還流オイルの流入は、貫通孔32gを介しての少量の流入以外は、ほとんど生じない。
このように、暖機運転中においては、第一室30aとエンジンブロック20との間で、限定的なオイルの循環が行われる。また、第一室30a内に直接還流する還流オイルによって、当該第一室30a内のオイルの温度が上昇する。これにより、第一室30a内のオイルの温度上昇が促進され、以て暖機運転の進行が促進される。特に、本実施形態の構成によれば、第一室30aの周囲に第二室30bが形成されていて、この第二室30b(及び当該第二室30b内のオイル)が、第一室30aと外気との間の断熱層として機能する。よって、第一室30a内のオイルの保温性が向上し、以て当該第一室30a内のオイルの昇温がより促進される。
このとき、第一室30a内のオイルレベルは、第二室30b内のオイルレベルよりも低くなる。さらに、上述の通り、第二サーモスタット弁装置38の開弁前であっても、少量ながら、貫通孔32gを介しての前記還流オイルの第二室30b内への流入が生じ得る。これにより、第一室30aと第二室30bとのオイルレベルの差が、始動直後よりも拡大し得る。
<<<フロート弁及びオイルレベルセンサの動作>>>
第一室30a内のオイル量が充分である場合、フロート弁36が上昇位置にある。したがって、このフロート弁36の上側表面であるドレイン孔対向面36a1によって、ドレイン孔32a3が塞がれる。
ここで、本実施形態においては、フロート弁36(連結バー36c)と対向するように、フロートガイド部材37が設けられている。これにより、エンジン10を搭載した車両が発進、停止、旋回、登降坂等の際に、当該エンジン10内にてオイルが移動しても、フロート弁36の傾きが抑制される。また、このドレイン孔対向面36a1は、外側に凸の球面状に形成されている。したがって、上述のようにエンジン10内にてオイルが移動することで、フロート弁36が若干傾いても、フロート部36bの浮力により、球面状の当該ドレイン孔対向面36a1が円形のドレイン孔32a3と良好に密着する。これにより、特に暖機運転中における、ドレイン孔32a3でのオイルのシールが良好に行われ得る。
一方、始動前の第一室30a及び第二室30bのオイルレベルがオイルレベルゲージ50におけるオイルレベル表示「L」近辺である場合、特に極低温始動直後に、第一室30a内のオイルレベルの極端な低下が生じやすい。このような第一室30a内のオイルレベルの極端な低下が生じて、第一室30a内のオイルレベルがフロート弁下降レベルVDよりも低くなった場合、フロート弁36が下降する。
このフロート弁下降レベルVDは、オイルストレーナー41の吸込口41aよりも高い位置に設定されている。よって、第二室30b内に十分な量のオイルが貯留されている場合、上述のようにフロート弁36が下降してドレイン孔32a3が開放されると、当該ドレイン孔32a3を介して、第二室30b内のオイルが第一室30a内に供給され得る。これにより、第一室30a内のオイルレベルは、オイルストレーナー41の吸込口41aよりも充分に高いフロート弁下降レベルVD程度にまで回復する。よって、当該吸込口41aからの空気の吸い込みが回避され得る。したがって、前記被潤滑機構におけるオイル供給量の不足の発生が回避され得る。
また、上述のような、第一室30a内のオイルレベルの極端な低下は、オイルレベルセンサ39におけるレベル検知フロート39aの位置が、当該検知上限位置SUよりも低くなることで、電気制御装置70によって検知され得る。
ここで、電気制御装置70は、第一室30a内のオイルレベルが上述の検知下限位置SLに達した場合に、警告ランプ81を点灯させる。すなわち、電気制御装置70は、フロート弁36の下降による第二室30b内のオイルの第一室30aへの供給によって、第一室30a内のオイルレベルが検知下限位置SLよりも高い位置に維持されている間は、警告ランプ81による異常警告を発しない。一方、第一室30a及び第二室30b内のオイル量が非常に少量となって、第一室30a内のオイルレベルが、オイルストレーナー41の吸込口41aよりも若干高い位置(フロート弁下降レベルVDと吸込口41aとの略中間位置)にある検知下限位置SLよりも高い位置に維持され得ない場合に、警告ランプ81による異常警告が発せられる。
このように、本実施形態の構成においては、時間の経過に伴って解消され得る一時的な第一室30a内のオイルレベルの低下ではなく、当該第一室30a内のオイルレベルの変動から遅延して変動する第二室30b内のオイルレベルの低下に応じて、オイルパン30内のオイル量不足による異常が判定される。そして、上述の一時的な第一室30a内のオイルレベルの低下がフロート弁36の動作によって補償されつつ、当該フロート弁36の動作によって補償され得ない程度の第一室30a内のオイルレベルの急激な低下が、異常として判定され、警告ランプ81を介して報知される。すなわち、本実施形態の構成においては、不必要な警告が頻繁に発せられることが防止され、オイルパン30内のオイル量の深刻な不足が発生した場合にのみ、警告ランプ81による警告が発せられる。
よって、本実施形態の構成によれば、オイルパン30内のオイル量の深刻な不足の発生が、より簡略な装置構成によって、簡易かつ的確に検知され得る。
<<暖機運転終了>>
暖機運転が進行して、エンジンブロック20及びオイルの温度が所定温度まで上昇すると、暖機運転が終了する。この暖機運転終了時においては、まず、第一サーモスタット弁装置34が、図3(B)に示す開弁状態となる。よって、第一室30aと第二室30bとのオイルレベルの差、及びオイルストレーナー41の吸込口41aにて発生する負圧によって、第二室30b内のオイルが第一室30a内に流入する。
また、還流オイル貯留室30cに貯留された前記還流オイルの温度が、所定の高温に達した場合、当該還流オイルが、オイルレベルゲージ支持孔32f及び第二サーモスタット弁装置38を介して、第二室30b内に流入する。このように、第一サーモスタット弁装置34の反対側の位置にて、第二室30bの上部にオイルが供給されることで、当該第二室30bのオイルレベルが一時的に上昇する。
特に、第二サーモスタット弁装置38が開弁されると、還流オイル貯留室30cに貯留された比較的多量の前記還流オイルが、当該第二サーモスタット弁装置38を介して、第二室30b内に一気に流入する。
この第二室30bの上部へのオイル供給による、一時的な第二室30bのオイルレベルの上昇によって、当該第二室30bと、オイルストレーナー41を介して常時オイルが吸い出されている第一室30aとの間のオイルレベルの差が増大する。すなわち、当該第二室30bから第一室30aへオイルが勢いよく流入し得るような、油圧の差(差圧)が、第一サーモスタット弁装置34近傍にて生じる。よって、第一サーモスタット弁装置34にて形成された前記オイル連通を介して、第二室30b内のオイルが第一室30a内に勢いよく流入する。これにより、オイルパン30内におけるオイルの全量がいっそう良好に循環され得るようになる。
<<オイル排出・交換時>>
ドレインボルト33を取り外して、オイルパン30内のオイルの全量が外部に排出される場合、まず、第二室30b内のオイルが、ドレインボルト孔31a1を介して外部に排出される。
第二室30b内のオイルレベルが、オイルパンセパレーター32の底板32a1程度にまで下降して、フロート弁36における蓋部材36aの上方からの油圧(第一室30a内のオイルによる油圧)の方が、当該蓋部材36aの下方からの油圧(第二室30b内のオイルによる油圧)よりも高くなると、フロート弁36が下方に移動する。これにより、比較的大径に形成されたドレイン孔32a3が開放されることで、第一室30a内のオイルの全量が速やかに第二室30b側に排出され、オイルパン30の外部に排出され得る。
また、オイルパン30内に新鮮なオイルが注入される際に、第二室30b内の空気が、オイルレベルゲージ支持孔32fを介して上方に抜ける。すなわち、当該オイルレベルゲージ支持孔32fが、第二室30b内の空気を抜くための空気抜き孔として機能する。ここで、本実施形態においては、オイルレベルゲージ支持孔32fが、第二室30bにおける前記最高位置に形成されている。よって、オイルパン30内に新鮮なオイルが注入される際に、第二室30bの上部から空気が確実に抜かれる。したがって、所定量のオイルを確実にオイルパン30内に注入することができる。
<変形例の示唆>
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の実施形態を単に例示したものにすぎないのであって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において種々の変形を施すことができることは当然である。
以下、先願主義の下で本願の出願の際に追記し得る程度で、変形例について幾つか例示するが、変形例とてこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。本願発明を、上述の実施形態・実施例、及び下記変形例の記載に基づき限定解釈することは、先願主義の下で出願を急ぐ出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
また、技術的に矛盾しない範囲において、下記の各変形例のうちの複数のものが適宜組み合わされ得ることは、言うまでもない。
(i)本発明のオイルパン及び潤滑装置の構成は、前記実施形態のようなエンジンの他にも適用可能である。すなわち、本発明の構成は、自動変速機等の、オイルパンを用いたオイル潤滑構造を備えた各種の装置に対して、広く適用可能である。
(ii)シリンダブロック20a、オイルパンカバー31、及びオイルパンセパレーター32の構成及び配置は、上述の実施形態のものに限定されない。
例えば、ロワーケース20bは、シリンダブロック20a、オイルパンカバー31、又はオイルパンセパレーター32と一体化され得る。
また、オイルパンカバー31の内部の空間を水平方向に二分するように、オイルパンセパレーターが構成されていてもよい。この場合、オイルパンセパレーターの下端部に、階段状に略水平な部分を形成し、この略水平な部分にドレイン孔32a3を形成し、この部分にフロート弁36及びフロートガイド部材37が装着されることで、上述の実施形態と同様の作用・効果が奏され得る。
(iii)第一サーモスタット弁装置34に代えて、オイルの温度(粘度)によって通過率が変化し得る小径の貫通孔が用いられてもよい。
また、第一サーモスタット弁装置34及び/又は第二サーモスタット弁装置38に代えて、電磁弁や油圧作動弁等、外部からの電気信号や流体圧力によって開度を制御可能な構造の弁装置が用いられてもよい。これらの弁装置が用いられている場合、運転状態(クランクポジションセンサ61の出力に基づくエンジン回転速度NEや、水温センサ62の出力に基づく冷却水温Tw等)に基づいて、当該弁装置の作動が制御されるように、電気制御装置70が構成される。
(iv)フロート弁36及びフロートガイド部材37の構成も、上述の実施形態のものに限定されない。
また、上述の実施形態のように、フロート弁36の蓋部材36aにおけるドレイン孔対向面36a1が球面形状に形成されている場合、フロートガイド部材37は省略可能である。あるいは、上述の実施形態のように、フロート弁36の上下動をガイドするフロートガイド部材37が備えられている場合、フロート弁36の蓋部材36aにおけるドレイン孔対向面36a1が球面形状を有していなくてもよい。
(v)オイルレベルセンサ39の構造も、上述の実施形態のものに限定されない。例えば、オイルレベルが最低レベル以下か否かをON/OFF的に判定可能な構成のオイルレベルセンサが用いられてもよい。
(vi)前記運転状態に基づいて、警告ランプ81による警告を発するオイルレベルが変化するようにしてもよい。
(vii)その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の範囲内に含まれることは当然である。
例えば、上述の各実施形態の説明において、一体に形成されていた構成要素は、継ぎ目なく一体成形されていてもよいし、複数の別体のパーツを接着・溶着・ネジ止め等により接合することによって形成されていてもよいことは当然である。
(viii)本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。
本発明の潤滑装置の一実施形態に係るエンジンの概略構成図である。 図1に示されているエンジンにおける、オイルパンの周辺の側断面図である。 図2に示されている第一サーモスタット弁装置を拡大した断面図である。 図2に示されているフロート弁及びフロートガイド部材の周辺の具体的構成の一例を示す図である。ここで、図4(A)は平面図であり、図4(B)は側断面図である。 図1に示されているエンジンの制御系の概略的な回路構成を示す図である。
符号の説明
10…エンジン、 20a…シリンダブロック、
30…オイルパン、 30a…第一室、 30b…第二室、
31…オイルパンカバー、 31a…底板、 31b…側板、
32…オイルパンセパレーター、
32a…オイル貯留部、 32a1…底板、 32a2…側板、
32a3…ドレイン孔、 32a4…フロート弁接触面、32c…水平仕切板、
32d…垂直仕切板、 32g…貫通孔、
34…第一サーモスタット弁装置、
36…フロート弁、 36a…蓋部材、 36b…フロート部、
36c…連結バー、 37…フロートガイド部材、
38…第二サーモスタット弁装置、
39…オイルレベルセンサ、39a…レベル検知フロート、39b…フロートガイド、
40…潤滑系統、 41…オイルストレーナー、 41a…吸込口、
70…電気制御装置、 81…警告ランプ、
SU…検知上限位置、 SL…検知下限位置、 VD…フロート弁下降レベル

Claims (11)

  1. 被潤滑機構の潤滑のためのオイルを内側の空間内にて貯留可能なオイルパンカバーと、
    前記被潤滑機構に向けて開口していて当該被潤滑機構から還流して来るオイルを受容し得るように構成された凹部を備え、当該凹部の内側の空間からなる第一室と前記凹部の外側にて前記第一室に隣接する第二室とに前記オイルパンカバーの内側の前記空間を分割し得るように構成されたオイルパンセパレーターと、
    前記オイルを前記被潤滑機構に向けて送出し得るように構成されたオイルポンプと、
    前記第一室内における底部に配置されていて、前記オイルポンプの作動によって当該オイルポンプが当該第一室内の前記オイルを吸い込む際の吸込口を備えたオイルストレーナーと、
    前記第一室の底部と前記第二室の底部とを連通させ得るように、前記オイルパンセパレーターにおける前記凹部の底部に形成された貫通孔からなる連通開口部と、
    前記連通開口部を前記凹部の外側である前記第二室側から閉鎖可能に配置された蓋部材と、前記オイルよりも比重が低い材質で構成され前記連通開口部を挟んで前記蓋部材と対向するように前記凹部の内側である前記第一室側に配置されたフロート部材と、前記連通開口部を貫通するとともに前記蓋部材とフロート部材とを連結する連結部材と、からなり、前記連通開口部を閉鎖する第一の位置から前記第一室内のオイルレベルの下降に応じて下方に移動することで当該連通開口部を開放可能に構成されたフロート弁と、
    前記オイルパンカバーに装着されていて、前記第二室内のオイルレベルに応じた出力を発生するように構成されたオイルレベルセンサと、
    を備えたことを特徴とする潤滑装置。
  2. 請求項1に記載の潤滑装置であって、
    前記オイルレベルセンサは、前記第一室内のオイルレベルが下降する際に前記フロート弁が前記第一の位置から下方に移動し始めるオイルレベルの近傍位置に配置されていることを特徴とする潤滑装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の潤滑装置であって、
    前記オイルレベルセンサは、前記フロート弁が前記第一の位置にある場合の前記フロート部材よりも低く、且つ前記オイルストレーナーにおける前記吸込口よりも高い位置に配置されていることを特徴とする潤滑装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の潤滑装置において、
    前記連結部材と対向して設けられていて、前記フロート弁の上下動をガイドし得るように構成されたガイド部材をさらに備えたことを特徴とする潤滑装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の潤滑装置であって、
    前記蓋部材における、前記連通開口部と対向する表面が、球面状の部分を有することを特徴とする潤滑装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の潤滑装置において、
    前記オイルレベルセンサの出力に応じて当該潤滑装置の異常を判定する異常判定部をさらに備えたことを特徴とする潤滑装置。
  7. 被潤滑機構の潤滑のためのオイルを内側の空間内にて貯留可能なオイルパンカバーと、
    前記被潤滑機構に向けて開口していて当該被潤滑機構から還流して来るオイルを受容し得るように構成された凹部を備え、当該凹部の内側の空間からなる第一室と前記凹部の外側にて前記第一室に隣接する第二室とに前記オイルパンカバーの内側の前記空間を分割し得るように構成されたオイルパンセパレーターと、
    前記第一室の底部と前記第二室の底部とを連通させ得るように、前記オイルパンセパレーターにおける前記凹部の底部に形成された貫通孔からなる連通開口部と、
    前記連通開口部を前記凹部の外側である前記第二室側から閉鎖可能に配置された蓋部材と、前記オイルよりも比重が低い材質で構成され前記連通開口部を挟んで前記蓋部材と対向するように前記凹部の内側である前記第一室側に配置されたフロート部材と、前記連通開口部を貫通するとともに前記蓋部材とフロート部材とを連結する連結部材と、からなり、前記連通開口部を閉鎖する第一の位置から前記第一室内のオイルレベルの下降に応じて下方に移動することで当該連通開口部を開放可能に構成されたフロート弁と、
    前記オイルパンカバーに装着されていて、前記第二室内のオイルレベルに応じた出力を発生するように構成されたオイルレベルセンサと、
    を備えたことを特徴とするオイルパン。
  8. 請求項7に記載のオイルパンであって、
    前記オイルレベルセンサは、前記第一室内のオイルレベルが下降する際に前記フロート弁が前記第一の位置から下方に移動し始めるオイルレベルの近傍位置に配置されていることを特徴とするオイルパン。
  9. 請求項7又は請求項8に記載のオイルパンであって、
    前記オイルレベルセンサは、前記フロート弁が前記第一の位置にある場合の前記フロート部材よりも低い位置に配置されていることを特徴とするオイルパン。
  10. 請求項7ないし請求項9のいずれかに記載のオイルパンにおいて、
    前記連結部材と対向して設けられていて、前記フロート弁の上下動をガイドし得るように構成されたガイド部材をさらに備えたことを特徴とするオイルパン。
  11. 請求項9ないし請求項10のいずれかに記載のオイルパンであって、
    前記蓋部材における、前記連通開口部と対向する表面が、球面状の部分を有することを特徴とするオイルパン。
JP2005332415A 2005-11-17 2005-11-17 潤滑装置及びオイルパン Pending JP2007138792A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005332415A JP2007138792A (ja) 2005-11-17 2005-11-17 潤滑装置及びオイルパン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005332415A JP2007138792A (ja) 2005-11-17 2005-11-17 潤滑装置及びオイルパン

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007138792A true JP2007138792A (ja) 2007-06-07

Family

ID=38201984

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005332415A Pending JP2007138792A (ja) 2005-11-17 2005-11-17 潤滑装置及びオイルパン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007138792A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009044835A1 (ja) * 2007-10-02 2009-04-09 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 潤滑装置、オイル貯留装置、及びオイルパン仕切装置
JP2009079509A (ja) * 2007-09-25 2009-04-16 Toyota Motor Corp 二槽式オイルパンのドレンプラグ、二槽式オイルパンの内槽用プラグ及び二槽式オイルパンのドレン構造
WO2012035426A1 (en) * 2010-09-15 2012-03-22 Pacific Industrial Co., Ltd. Oil pan inner tank valve structure
CN114962098A (zh) * 2022-05-11 2022-08-30 一汽解放汽车有限公司 一种燃油滤清器的放水装置和汽车

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009079509A (ja) * 2007-09-25 2009-04-16 Toyota Motor Corp 二槽式オイルパンのドレンプラグ、二槽式オイルパンの内槽用プラグ及び二槽式オイルパンのドレン構造
WO2009044835A1 (ja) * 2007-10-02 2009-04-09 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 潤滑装置、オイル貯留装置、及びオイルパン仕切装置
JP2009085158A (ja) * 2007-10-02 2009-04-23 Toyota Motor Corp 潤滑装置、オイル貯留装置、及びオイルパン仕切装置
WO2012035426A1 (en) * 2010-09-15 2012-03-22 Pacific Industrial Co., Ltd. Oil pan inner tank valve structure
CN103119256A (zh) * 2010-09-15 2013-05-22 太平洋工业株式会社 油盘内槽阀结构
GB2497445A (en) * 2010-09-15 2013-06-12 Taiheiyo Kogyo Kk Oil pan inner tank valve structure
GB2497445B (en) * 2010-09-15 2016-03-02 Taiheiyo Kogyo Kk Oil pan inner tank valve structure
US9399935B2 (en) 2010-09-15 2016-07-26 Pacific Industrial Co., Ltd. Oil pan inner tank valve structure
CN114962098A (zh) * 2022-05-11 2022-08-30 一汽解放汽车有限公司 一种燃油滤清器的放水装置和汽车

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4420026B2 (ja) オイルパン及び潤滑装置
EP1871995B1 (en) Dual-chamber type oil pan and engine equipped with the same
EP1838954B1 (en) Oil pan apparatus
JP4506513B2 (ja) 潤滑機構付き機械
US20090020366A1 (en) Lubrication apparatus
JP2007138792A (ja) 潤滑装置及びオイルパン
JP6519551B2 (ja) 車両用の冷却装置
JP2008303720A (ja) エンジンのオイル循環装置
JP4582115B2 (ja) オイルパン構造
JP2010096062A (ja) 二槽式オイルパン
JP2006207521A (ja) 潤滑装置
JP5044478B2 (ja) オイル貯留装置
KR100534893B1 (ko) 리저버탱크가 추가된 상용차용 냉각수 순환시스템
JP5360440B2 (ja) オイル貯留装置
JP2007211593A (ja) 潤滑装置
JP6414150B2 (ja) エンジンのオイル供給装置
CN107575282A (zh) 发动机油底壳、电子控制单元、发动机及汽车
JP2008208736A (ja) オイル循環装置
JP5076607B2 (ja) 潤滑装置
JP6413748B2 (ja) 内燃機関
JP2004285974A (ja) 内燃機関の潤滑装置
JP2009203821A (ja) オイル供給システム
JP4998442B2 (ja) 二槽式オイルパン
JP2010106711A (ja) 二槽オイルパン
JP2009079507A (ja) エンジンの冷却装置