JP2008214303A - 二光子吸収材料とその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】スペクトル、屈折率または偏光状態の変化を、高感度に実現する、効率良く二光子を吸収する有機材料、またさらに、それらを用いた二光子吸収三次元光記録材料及び二光子吸収三次元光記録方法及び再生方法を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表わされるラジアレン型化合物からなることを特徴とする二光子吸収材料。
Figure 2008214303

(式中R〜R16はそれぞれ同一または相異なって水素原子、または置換もしくは未置換のアルキル基を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は二光子吸収材料に関し、高い二光子吸収断面積を有する二光子吸収単分子材料もしくは高分子材料に関し、三次元メモリ材料、光制限材料、光造形用光硬化樹脂の硬化材料、光化学療法用材料、二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料などの用途に応用される。
二光子吸収材料に関する従来例として、特許文献1〜9及び非特許文献1開示のものがある。
また、三次元メモリ媒体(材料)に関する従来例として、特許文献10〜12開示のものがあり、三次元記録技術に関する従来例として、特許文献18〜23開示のものがある。
また、光制限素子(材料)に関する従来例として、特許文献13開示のものがある。
また、光造形技術に関する従来例として、特許文献14開示のものがある。
また、二光子特性を利用した(蛍光)顕微鏡に関する従来例として、特許文献15〜17開示のものがある。さらに、本発明で用いる二光子吸収材料の合成に非常に参考になる従来例として、非特許文献2,3開示のものがある。
また、我々は、別に二光子吸収材料に関する技術を開発し提案(特願2006−73792号明細書、特願2006−67067号明細書、特願2006−74156号明細書、特願2006−250292号明細書、特願2006−67089号明細書、特願2006−70305号明細書)している。
二光子吸収現象を利用すると、極めて高い空間分解能を特徴とする種々のデバイス等への応用が可能となるが、現時点で利用可能な二光子吸収化合物では二光子吸収能が低いため、二光子吸収を誘起する励起光源として、高価で非常に高出力のレーザーが必要となる。従って安価で小型(低出力)のレーザーを用いて二光子吸収を利用した実用用途を実現するためには、高効率の二光子吸収材料の開発が必須である。
特開2005−213434号公報 特開2005−82507号公報 特開2004−168690号公報 特表2005−500394号公報 特開2004−16890号公報 特開2004−339435号公報 特開2005−263738号公報 特開2006−178399号公報 特開2006−209059号公報 特開2004−100606号公報 特表2005−517769号公報 特表2004−534849号公報 特開平08−320422号公報 特開2005−134783号公報 特開平09−230246号公報 特開平10−142507号公報 特開2005−165212号公報 特表2001−524245号公報 特表2000−512061号公報 特表2001−522199号公報 特表2001−508221号公報 特開平6−28672号公報 特開平6−118306号公報 Jean-Luc Bredas(Science,281, 1653(1998)) H. Ogawa, N. Shimojo, H. Kato and H. Saikachi, Tetrahedron, 30, 1033-1041(1974) H. Saikachi, H. Ogawa and K. Sato, Chem. Pharm. Bull., 19(1), 97-103(1971)
上記従来技術に鑑みて、本発明の目的は、スペクトル、屈折率または偏光状態の変化を、高感度に実現する、効率良く二光子を吸収する有機材料、すなわち二光子吸収断面積の大きな有機材料を提供することにある。
さらには、それを利用した産業用途に有用な応用システム及びその電子材料を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、二光子吸収断面積が大きい二光子吸収化合物を少なくとも有し、二光子吸収化合物の二光子吸収を利用して書き換えできない方式で記録を行った後、光を記録材料に照射してその発光強度の違いを検出することにより再生することを特徴とする二光子吸収光記録再生方法及びそのような記録再生が可能な二光子吸収光記録材料を提供することにある。
さらに、それらを用いた二光子吸収三次元光記録材料及び二光子吸収三次元光記録方法及び再生方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定のアヌレン誘導体により上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。
すなわち、上記課題は、以下の本発明によって解決される。
(1)「下記一般式(1)で表わされるラジアレン型化合物からなることを特徴とする二光子吸収材料;
Figure 2008214303
(式中R〜R16はそれぞれ同一または相異なって水素原子、または置換もしくは未置換のアルキル基を示す。)」、
(2)「下記一般式(2)で表わされるキノイド型化合物からなることを特徴とする二光子吸収材料;
Figure 2008214303
(式中R〜R12はそれぞれ同一または相異なって水素原子、または置換もしくは未置換のアルキル基を示す。)」、
(3)「下記一般式(3)で表わされる14π系芳香族化合物からなることを特徴とする二光子吸収材料;
Figure 2008214303
(式中R〜Rはそれぞれ同一または相異なって水素原子、または置換もしくは未置換のアルキル基を示す。)」、
(4)「前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の二光子吸収材料を含むことを特徴とする三次元メモリ材料」、
(5)「前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の二光子吸収材料を含むことを特徴とする光制限材料」、
(6)「前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の二光子吸収材料を含むことを特徴とする光造形用光硬化樹脂の硬化材料」、
(7)「前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の二光子吸収材料を含むことを特徴とする二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料」、
(8)「前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の二光子吸収材料を記録層中の少なくとも1種含む入射光に対して深さ方向に記録再生可能なことを特徴とする三次元記録媒体」、
(9)「前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の二光子吸収材料の少なくとも1種を含むことを特徴とする光制限素子」、
(10)「前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の二光子吸収材料の少なくとも1種を含むことを特徴とする光造形システム」、
(11)「前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の二光子吸収材料の少なくとも1種を含むことを特徴とする二光子蛍光顕微鏡装置」。
ここで、前記第(1)項〜(3)項は、本発明の二光子吸収材料の基本構造を示し、前記第(4)項〜(7)項は、その好適な工業的適用材料例を示し、前記第(8)〜(11)項は、本発明の化合物を含むデバイス、装置、システムの応用例を示す。
本発明によれば、第一の特定のアヌレン誘導体として、一般式(1)で表わされるラジアレン型化合物、第二の特定のアヌレン誘導体として、一般式(2)で表わされるキノイド型化合物、第三の特定のアヌレン誘導体として、一般式(3)で表わされる14π系芳香族化合物を二光子吸収材料として用いることにより、効率良く二光子を吸収する有機材料を得ることができる。
また、該有機材料を用いることで、高感度な入射光に対して深さ方向に記録再生可能な三次元メモリ材料、光制限材料、光硬化樹脂の硬化材料、二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料を得ることができ、さらには、より優れた品質の入射光に対して深さ方向に記録再生可能な三次元記録媒体、光制限素子、光硬化システム、二光子蛍光顕微鏡装置が実現できる。
二光子吸収の遷移効率が高い二光子吸収化合物が実現でき、小型で安価なレーザを使った実用用途(三次元メモリ材料、光制限材料、光造形用光硬化樹脂の硬化材料、光化学療法用材料、二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料など)が実現可能となる。
本発明の二光子吸収材料とは、非共鳴領域の波長において分子を励起することが可能な材料で、このとき励起に用いた光子の2倍のエネルギー準位に、実励起状態が存在する材料のことである。
ところで、二光子吸収現象とは、三次の非線形光学効果の一種で、分子が二つのフォトンを同時に吸収して、基底状態から励起状態へ遷移する現象であり、古くから知られていたがJean−Luc Bredas等が1998年に分子構造とメカニズムの関係を解明して以来(非特許文献1のJean-Luc Bredas, Science,281,1653(1998))、近年になって二光子吸収能を有する材料に関する研究が進むようになった。
しかしながらこのような二光子同時吸収の遷移効率は、一光子吸収に較べて極めて低く、極めて大きなパワー密度の光子を必要とするため、通常に使用されるレーザ光強度では殆ど無視され、ピーク光強度(最大発光波長における光強度)が高いモード同期レーザのようなフェムト秒程度の極超短パルスレーザーを用いると、観察されることが確認されている。
二光子吸収の遷移効率は印加する光電場の二乗に比例する(二光子吸収の二乗特性)。このため、レーザを照射した場合、レーザスポット中心部の電界強度の高い位置でのみ二光子の吸収が起こり、周辺部の電界強度の弱い部分では二光子の吸収は全く起こらない。三次元空間においては、レーザ光をレンズで集光した焦点の電界強度の大きな領域でのみ二光子吸収が起こり、焦点から外れた領域では電界強度が弱いために二光子吸収が全く起こらない。印加された光電場の強度に比例してすべての位置で励起が起こる一光子の線形吸収に比べて、二光子吸収は、この二乗特性に由来して空間内部のピンポイントのみでしか励起が起こらないため、空間分解能が著しく向上する。
この特性を利用して、記録媒体の所定の位置に二光子吸収によりスペクトル変化、屈折率変化または偏光変化を生じさせ、ビットデータを記録する三次元メモリの研究が進められている。二光子吸収は、光の強度の二乗に比例して生じるため、二光子吸収を利用したメモリは、一光子吸収を利用したメモリに比べて、スポットサイズを小さくすることができ、超解像記録が可能となる。その他この二乗特性に由来する高い空間分解能の特性から、光制限材料、光造形用光硬化樹脂の硬化材料、二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料などの用途への開発も進められている。
さらに、二光子吸収を誘起する場合には、化合物の線形吸収帯が存在する波長領域よりも長波長でかつ吸収の存在しない、近赤外領域の短パルスレーザーを用いることが可能である。化合物の線形吸収帯が存在しない、いわゆる透明領域の近赤外光を用いるため、励起光が吸収や散乱を受けずに試料内部まで到達でき、かつ二光子吸収の二乗特性のために試料内部のピンポイントを高い空間分解能で励起できるため、二光子吸収及び二光子発光は生体組織の二光子造影や二光子フォトダイナミックセラピー(PDT)などの光化学療法応用面でも期待されている。また、二光子吸収、二光子発光を用いると、入射した光子のエネルギーよりも高いエネルギーの光子を取り出せるため、波長変換デバイスという観点からアップコンバージョンレージングに関する研究も報告されている。
二光子吸収材料としてはこれまでに多数の無機材料が見出されてきた。ところが無機物においては、所望の二光子吸収特性や、素子製造のために必要な諸物性を最適化するためのいわゆる分子設計が困難であることから実用するのは非常に困難であった。一方、有機化合物は分子設計により所望の二光子吸収の最適化が可能であるのみならず、その他の諸物性のコントロールも可能であるため、実用の可能性が高く、有望な二光子吸収材料として注目を集めている。
従来の有機系二光子吸収材料としては、ローダミン、クマリンなどの色素化合物、ジチエノチオフェン誘導体、オリゴフェニレンビニレン誘導体などの化合物が知られている。しかしながら、分子あたりの二光子吸収能を示す二光子吸収断面積が小さく、特にフェムト秒パルスレーザーを用いた場合の二光子吸収断面積は、200(GM:×10-50cm4・s・molecule-1・photon-1)未満のものが殆どで工業的な実用化には至っていない。
<二光子吸収材料を用いた三次元多層光メモリへの応用>
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近にひかえて、民生用途においても50GB以上、好ましくは100GB以上の画像情報を安価簡便に記録するための大容量記録媒体の要求が高まっている。さらにコンピューターバックアップ用途、放送バックアップ用途等、業務用途においては、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる光記録媒体が求められている。そのような中、DVD±Rのような従来の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしてもせいぜい25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
そのような状況の中、究極の高密度、高容量記録媒体として、三次元光記録媒体が俄然、注目されてきている。三次元光記録媒体は、三次元(膜厚)方向に何十、何百層もの記録を重ねることで、従来の二次元記録媒体の何十、何百倍もの超高密度、超高容量記録を達成しようとするものである。三次元光記録媒体を提供するためには、三次元(膜厚)方向の任意の場所にアクセスして書き込みできなければならないが、その手段として、二光子吸収材料を用いる方法とホログラフィ(干渉)を用いる方法とある。二光子吸収材料を用いる三次元光記録媒体では、上記で説明した物理原理に基づいて何十、何百倍にもわたっていわゆるビット記録が可能であって、より高密度記録が可能であり、まさに究極の高密度、高容量光記録媒体であると言える。
二光子吸収材料を用いた3次元光記録媒体としては、記録再生に蛍光性物質を用いて蛍光で読み取る方法(レヴィッチ、ユージーン、ポリス他、特表2001−524245号、パベル、ユージエン他、特表2000−512061号公報)、フォトクロミック化合物を用いて吸収または蛍光で読み取る方法(コロティーフ、ニコライ・アイ他、特表2001−522119号公報、アルセノフ、ヴラディミール他、特表2001−508221号公報)等が提案されているが、いずれも具体的な2光子吸収材料の提示はなく、また抽象的に提示されている二光子吸収化合物の例も2光子吸収効率の極めて小さい二光子吸収化合物を用いている。さらに、これらの特許文献に用いているフォトクロミック化合物は可逆材料であるため、非破壊読み出し、記録の長期保存性、再生のS/N比等に問題があり、光記録媒体として実用性のある方式であるとは言えない。特に非破壊読出し、記録の長期保存性等の点では、不可逆材料を用いて反射率(屈折率または吸収率)または発光強度の変化で再生するのが好ましいが、このような機能を有する2光子吸収材料を具体的に開示している例はなかった。
また、河田聡、川田善正、特開平6−28672号公報、河田聡、川田善正他、特開平6−118306号公報には、屈折率変調により三次元的に記録する記録装置、及び再生装置、読み出し方法等が開示されているが、二光子吸収三次元光記録材料を用いた方法についての記載はない。
上に述べたように、非共鳴二光子吸収により得た励起エネルギーを用いて反応を起こし、その結果レーザー焦点(記録)部と非焦点(非記録)部で光を照射した際の発光強度を書き換えできない方式で変調することができれば、三次元空間の任意の場所に極めて高い空間分解能で発光強度変調を起こすことができ、究極の高密度記録媒体と考えられる三次元光記録媒体への応用が可能となる。さらに、非破壊読み出しが可能で、かつ不可逆材料であるため良好な保存性も期待でき実用的である。
しかし、現時点で利用可能な二光子吸収化合物では、二光子吸収能が低いため、光源として非常に高出力のレーザーが必要であり、かつ記録時間も長くかかる。特に三次元光記録媒体に使用するためには、速い転送レート達成のために、高感度にて発光能の違いによる記録を二光子吸収により行うことができる二光子吸収三次元光記録材料の構築が必須である。そのためには、高効率に二光子を吸収し励起状態を生成することができる二光子吸収化合物と、二光子吸収化合物励起状態を用いて何らかの方法にて二光子吸収光記録材料の発光能の違いを効率的に形成できる記録成分を含む材料が有力であるが、そのような材料は今までほとんど開示されておらず、そのような材料の構築が望まれていた。
本発明の二光子吸収光記録材料は、スピンコーター、ロールコーターまたはバーコーターなどを用いることによって基板上に直接塗布することも、あるいはフィルムとしてキャストしついで通常の方法により基板にラミネートすることもでき、それらにより二光子吸収光記録材料とすることができる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎又は静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。また、この基板にはあらかじめ、トラッキング用の案内溝やアドレス情報が付与されたものであっても良い。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
さらに、二光子吸収光記録材料の上に、酸素遮断や層間クロストーク防止のための保護層(中間層)を形成してもよい。保護層(中間層)は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートまたはセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルムまたは板を静電的な密着、押し出し機を使った積層等により貼合わせるか、前記ポリマーの溶液を塗布してもよい。また、ガラス板を貼合わせてもよい。また、保護層と感光膜の間および/または、基材と感光膜の間に、気密性を高めるために粘着剤または液状物質を存在させてもよい。さらに感光膜間の保護層(中間層)にもあらかじめ、トラッキング用の案内溝やアドレス情報が付与されたものであっても良い。
上述した三次元多層光記録媒体の任意の層に焦点を合わせ、記録再生を実施することで、本発明の三次元記録媒体として機能する。また、層間を保護層(中間層)で区切っていなくとも、二光子吸収色素特性から深さ方向の三次元記録が可能である。
以下、三次元多層光メモリの好ましい実施形態(具体例)を示すが、本発明はこれらの実施形態により何ら限定されず、三次元記録(平面及び膜厚方向に記録)が可能な構造であれば、他にどのような構造であっても構わない。三次元多層光メモリの記録/再生のシステム概略図を図1(a)に、記録媒体の概略断面図を図1(b)に示す。
図中(b)の記録媒体においては、平らな支持体(基板(1))に本発明の二光子吸収化合物を用いた記録層(3)と、クロストーク防止用の中間層(4)(保護層)が交互に50層ずつ積層され、各層はスピンコート法により成膜されている。記録層(3)の厚さは0.01〜0.5μ、中間層(4)の厚さは0.1μ〜5μが好ましく、この構造であれば、現在普及しているCD/DVDと同じディスクサイズで、テラバイト級の超高密度光記録が実現できる。更にデータの再生方法(透過/或いは反射型)により、基板(1)と同様の基板(2)(保護層)、或いは高反射率材料からなる反射層が構成される。
記録時は単一ビーム(5)が使用され、この場合フェムト秒オーダーの超短パルス光を利用することができる。また再生時は、データ記録に使用するビーム(5)とは異なる波長、或いは低出力の同波長の光(6)を用いることもできる。記録及び再生は、ビット単位/ページ単位のいずれにおいても実行可能であり、面光源や二次元検出器(7)等を利用する並行記録/再生は、転送レートの高速化に有効である。
なお、本発明に従い同様に形成される三次元多層光メモリの形態としては、カード状、プレート状、テープ状、ドラム状等が考えられる。
<二光子吸収材料を用いた光制限素子への応用>
光通信や光情報処理では、情報等の信号を光で搬送するためには変調、スイッチング等の光制御が必要になる。この種の光制御には、電気信号を用いた電気−光制御方法が従来採用されている。しかし電気−光制御方法は、電気回路のようなCR時定数による帯域制限、素子自体の応答速度や電気信号と光信号との間の速度の不釣合いで処理速度が制限されることなどの制約があり、光の利点である広帯域性や高速性を十分に生かすためには、光信号によって光信号を制御する光−光制御技術が非常に重要になってくる。この要求に応えるものとして本発明の二光子吸収材料を加工して作製した光学素子は、光を照射することで引き起こされる透過率や屈折率、吸収係数などの光学的変化を利用し、電子回路技術を用いずに光の強度や周波数を変調することで、光通信、光交換、光コンピュータ、光インターコネクション等における光スイッチなどに応用することが可能である。
二光子吸収による光学特性変化を利用する本発明の光制限素子は、通常の半導体材料により形成される光制限素子や、一光子励起によるものに比べ、応答速度にはるかに優れた素子を提供することができる。また高感度ゆえに、S/N比の高い信号特性に優れた光制限素子を提供することができる。
図2は、本発明の二光子吸収材料を、二光子励起し得る波長の制御光により二光子励起させることによって、一光子励起し得る波長の信号光を光スイッチングする光制御素子の一例である。保護層で狭持された二光子吸収材料の形態を示すが、この構成が本発明を限定するものではない。
本発明における光制限素子を理解するのに有益な公知文献として前記特許文献13の特開平8−320422号公報が挙げられる。これによると光照射により屈折率が変化する光屈折率材料に、その屈折率が変化する波長の光を照射してフォーカシングを行い、屈折率分布を形成する光導波路として用いることが開示されている。すなわち、本発明の高い二光子吸収能を有した材料、薄膜、もしくは光硬化性樹脂等に分散させた固体物を光学素子として配置し、ひとつの波長(λ1)の光で励起状態に励起され、さらにその状態から他の波長(λ2)の光で他の状態に励起されることにより波長による屈折率変化分布を利用した光導波路の設計が可能となる。また、二光子吸収材料はその多くが蛍光を有するものが多く、光デバイスの一方の出射端またはその近傍に蛍光物質を配置し、他方から励起光(λ1)を出射させ、励起光(λ1)と蛍光(λ2)で屈折率分布を形成することもできる。この場合、通常蛍光の方が励起光より弱いので、感度は蛍光の波長において大きくすることが望ましい。蛍光物質としては、蛍光色素を光硬化性物質や種々の樹脂等に分散させたものなどが例示される。
<光造形用材料への応用>
二光子光造形法の装置の概略図を図3に示し、以下に説明する。
近赤外パルスレーザ光源(1)からの光をミラースキャナー(5)を通した後、レンズを用いて光硬化性樹脂(9)中に集光させレーザスポットを走査し、二光子吸収を誘起することによって焦点近傍のみにおいて樹脂を硬化させて任意の三次元構造を形成する二光子マイクロ光造形方法である。
パルスレーザ光をレンズで集光して、集光点近傍にフォトンの密度の高い領域を形成する。このときビームの各断面を通過するフォトンの総数は一定なので、焦点面内でビームを二次元的に走査した場合、各断面における光強度の総和は一定である。しかしながら、二光子吸収の発生確率は、光強度の二乗に比例するため、光強度の大きい集光点近傍にのみ、二光子吸収の発生の高い領域が形成される。このように、パルスレーザ光をレンズによって集光させ二光子吸収を誘起することで、集光点近傍に光吸収を限定し、ピンポイント的に樹脂を硬化させることが可能となる。集光点はZステージ(6)とガルバノミラーによって光硬化樹脂液内を自由に移動させることができるため、光硬化性樹脂液内において目的とする三次元加工物を自在に形成することができる。
二光子光造形法の特徴としては、以下の項目が挙げられる。
(1) 回折限界をこえる加工分解能:二光子吸収の光強度に対する非線形性によって、光の回折限界を超えた加工分解能を実現できる。
(2)超高速造形:二光子吸収を利用した場合、焦点以外の領域では、光硬化性樹脂が原理的にも硬化しない。このため照射させる光強度を大きくし、ビームのスキャン速度を速くすることができる。このため、造形速度を約10倍向上することができる。
(3)三次元加工:光硬化性樹脂は、二光子吸収を誘起する近赤外光に対して透明である。したがって焦点光を樹脂の内部へ深く集光した場合でも、内部硬化が可能である。従来のSIHでは、ビームを深く集光した場合、光吸収によって集光点の光強度が小さくなり、内部硬化が困難になる問題点が、本発明ではこうした問題点を確実に解決することができる。
(4)高い歩留り:従来法では樹脂の粘性や表面張力によって造形物が破損、変形するという問題があったが、本手法では、樹脂の内部で造形を行うのでこうした問題は解消される。
(5)大量生産への適用:超高速造形を利用することによって、短時間に、連続的に多数個の部品あるいは可動機構の製造が可能である。
二光子光造形用光硬化性樹脂とは、光を照射することにより二光子重合反応を起こし、液体から固体へと変化するという特性を持った樹脂である。主成分はオリゴマーと反応性希釈剤からなる樹脂成分と光重合開始剤(必要に応じ光増感材料を含む)である。オリゴマーは重合度が2〜20程度の重合体であり、末端に多数の反応基を持つ。さらに、粘度、硬化性等を調整するため、反応性希釈剤が加えられている。光を照射すると、重合開始剤または光増感材料がこれを二光子吸収し、重合開始剤から直接または光増感材料を介して反応種が発生し、オリゴマー、反応性希釈剤の反応基に反応し、重合を開始させる。その後これらの間で連鎖的重合反応を起こし三次元架橋が形成され、短時間のうちに三次元網目構造を持つ固体樹脂へと変化する。
光硬化性樹脂は光硬化インキ、光接着剤、積層式立体造形などの分野で使用されており、様々な特性を持つ樹脂が開発されている。特に、積層式立体造形においては
(1)反応性が良好であること、
(2)硬化時の堆積収縮が小さいこと、
(3)硬化後の機械特性が優れていること、
等が重要である。これらの特性は本手法においても同様に重要であり、そのため、積層式立体造形用に開発された樹脂で二光子吸収特性を有するものは本手法の二光子光造形用光硬化性樹脂としても使用できる。その具体的な例としては、アクリレート系及びエポキシ系の光硬化性樹脂が良く用いられ、特にウレタンアクリレート系の光硬化性樹脂が好ましい。
本発明における光造形を理解するのに有益な公知文献として前記特許文献14の特開2005−134873号公報が挙げられる。これによると感光性高分子膜の表面に、パルスレーザー光を、マスクを介さずに干渉露光させている。前記パルスレーザー光としては、前記感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域のパルスレーザー光であることが重要である。従って、パルスレーザー光としては、感光性高分子の種類、または、感光性高分子における感光性機能を発揮する基又は部位の種類などに応じて、その波長領域を適宜選択することができる。特に、光源から発光されるパルスレーザー光の波長が、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域でなくても、パルスレーザー光の照射に際して、多光子吸収過程を利用することにより、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させることが可能となる。具体的には、光源から発光されるパルスレーザー光を集光して、集光されたパルスレーザー光を照射すると、多光子の吸収(例えば、二光子の吸収、三光子の吸収、四光子の吸収、五光子の吸収など)が生じ、これにより、光源から発光されるパルスレーザー光の波長が、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域でなくても、感光性高分子膜には、実質的に、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域のパルスレーザー光が照射されたことになる。このように、干渉露光するパルスレーザー光は、実質的に、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域となるパルスレーザー光であればよく、照射条件などにより、その波長を適宜選択することができる。たとえば、本発明の高効率二光子吸収材料を光増感材料とし、紫外線硬化樹脂等に分散し、感光物固体としこの感光物固体の二光子吸収能を利用して焦点スポットのみが硬化する特性を利用した超精密三次元造形物を得ることが可能となる。
本発明の二光子吸収材料は、二光子吸収重合開始剤または二光子吸収光増感材料として用いることが出来る。従来の二光子吸収材料(二光子吸収重合開始剤または二光子吸収光増感材料)に比較し、二光子吸収感度が高いため、高速造形が可能で、励起光源としても小型で安価なレーザ光源が使用できるため、大量生産可能な実用用途への展開が可能となる。
<二光子吸収材料を用いた二光子蛍光顕微鏡への応用>
二(多)光子励起レーザ走査顕微鏡とは、近赤外パルスレーザを標本面上に集光し走査させて、そこでの二(多)光子吸収により励起されて発生する蛍光を検出することにより像を得る顕微鏡である。
二光子励起レーザ走査顕微鏡の基本構成の概略図を図4に示す。
近赤外域波長のサブピコ秒の単色コヒーレント光パルスを発するレーザ光源(1)と、レーザ光源からの光束を所望の大きさに変える光束変換光学系(2)と、光束変換光学系で変換された光束を対物レンズの像面に集光し走査させる走査光学系(3)と、集光された上記変換光束を標本面(5)上に投影する対物レンズ系(4)と、光検出器(7)を備えている。
パルスレーザー光(1)をダイクロイックミラー(6)を経て、光束変換光学系、対物レンズ系により集光して、標本面で焦点を結ばせることにより、標本内にある二光子吸収蛍光材料に二光子吸収により誘起された蛍光を生じさせる。標本面をレーザービームで走査し、各場所での蛍光強度を光検出器(7)などの光検出装置で検出して、得られた位置情報に基づいて、コンピュータでプロットすることにより、三次元蛍光像が得られる。走査機構としては、例えば、ガルバノミラーなどの可動ミラーを用いてレーザービームを走査しても良く、或いはステージ上に置かれた二光子吸収材料を含む標本を移動させても良い。
このような構成により、二光子吸収そのものの非線形効果を利用して、光軸方向の高分解能を得ることができる。加えて、共焦点ピンホール板を用いれば、さらなる高分解能(面内、光軸方向共)が得られる。
二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素は、標本を染色、又は標本に分散させることにより使用され、工業用途のみならず、生体系の細胞等の三次元画像マイクロイメージングにも用いることができ、高い二光子吸収断面積を持つ化合物が望まれている。
本発明における光子蛍光顕微鏡を理解するのに有益な公知文献として前記特許文献15の特開平9−230246号公報が挙げられる。たとえば走査型蛍光顕微鏡は、所望の大きさに拡大されたコリメート光を発するレーザ照射光学系と、複数の集光素子が形成された基板とを備え、該集光素子の集光位置が対物レンズ系の像位置に一致するように配され、かつ、前記の集光素子が形成された基板と対物レンズ系との間に、長波長を透過し短波長を反射するビームスプリッタが配され、標本面で多光子吸収による蛍光を発生させることを特徴とするものである。このような構成により、多光子吸収そのものの非線形効果を利用して、光軸方向の高分解能を得ることができる。加えて、共焦点ピンホール板を用いれば、さらなる高分解能(面内、光軸方向共)が得られる。このような二光子光学素子は上述の光制御素子と全く同様に本発明の高い二光子吸収能を有した材料、薄膜、もしくは光硬化性樹脂等に分散させた固体物を光学素子として用いることが可能である。
本発明の二光子吸収材料は二光子励起レーザ走査顕微鏡用の二光子吸収蛍光材料として用いることが出来る。従来の二光子吸収蛍光材料に比較し、大きな二光子吸収断面積を有しているので、低濃度で高い二光子吸収特性を発揮する。従って、本発明によれば、高感度な二光子吸収材料が得られるだけでなく、材料に照射する光の強度を強くする必要がなくなり、材料の劣化、破壊を抑制することができ、材料中の他成分の特性に対する悪影響も低下させることができる。
本発明の二光子吸収材料はそれそのもの単独もしくは各種の樹脂との混合の薄膜、あるいはバルクで種々のデバイスへの応用が可能である。
例えば、光ディスクでは上記薄膜が基板と接しており、その基板材料はポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。また、積層する場合であれば、中間層(仕切層)に該薄膜表面が接している。中間層の具体例としてはポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートまたはセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルムまたは種々の光硬化樹脂等が挙げられる。
次に、各種光学デバイス、光造形デバイスに応用するにしても、各種樹脂に混合されているか、光硬化樹脂に混合され用いる。
従って、本発明の二光子吸収材料の使用要件としては、該材料が各種樹脂、またはガラスに混合されているか、二光子吸収材料層界面が各種樹脂、またはガラスに接していることである。
言い換えれば、本発明の二光子吸収材料はミクロレベル、又はマクロレベルで各種樹脂、又はガラスに接している構成となっている。
本発明のアヌレン誘導体について述べる。
前記一般式(1)〜一般式(3)で表わされるアヌレン誘導体は、ポルフィリンと同様に大きな芳香族環化合物であり、式中の、R〜R16はそれぞれ同一または相異なって水素原子、または置換もしくは未置換のアルキル基を示す。
未置換のアルキル基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、置換アルキル基としては、ヒドロキシ置換アルキル基、カルボキシ置換アルキル基、アミノ置換アルキル基、ハロゲン原子置換アルキル基、フェニル置換アルキル基、アルコキシ置換アルキル基等が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、例えば、次のものが挙げられる。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、n−オクチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等の一級アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルブチル基、1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−プロピル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、1−イソプロピルぺンチル基、1−イソプロピル−2−メチルブチル基、1−イソプロピル−3−メチルブチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルヘキシル基、1−イソブチル−3−メチルブチル基等の二級アルキル基;tert−ブチル基、tert−ヘキシル基、tert−アミル基、tert−オクチル基等の三級アルキル基;シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、アダマンタン基等のシクロアルキル基等が挙げられる。
<合成法>
出発物質として、前記非特許文献2のH. Ogawa, N. Shimojo, H. Kato and H. Saikachi, Tetrahedron, 30, 1033-1041(1974).および前記非特許文献3のH. Saikachi, H. Ogawa and K. Sato, Chem. Pharm. Bull., 19(1), 97-103(1971).に記載される方法、または、これに類似する方法により合成した一般式(3)で表わされる化合物を用いる。
この化合物をピリジン中、過剰のSeOと還流下加熱することにより一般式(1)で表わされる化合物が得られる。
さらに、一般式(1)で表わされる化合物のうちR13〜R16のすべてが水素の化合物に、AlCl存在下ジイソブチルアルミニウムヒドリドで還元し、さらに空気中に放置あるいはジクロロメタン中2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノンと処理するとカルボニル基転位反応が起こり一般式(2)で表わされる化合物が得られる。
以下に、本発明のアヌレン誘導体例を示す。
一般式(1)の例:
Figure 2008214303
Figure 2008214303
Figure 2008214303
Figure 2008214303
Figure 2008214303
Figure 2008214303

一般式(2)の例:
Figure 2008214303
Figure 2008214303
Figure 2008214303
Figure 2008214303

一般式(3)の例:
Figure 2008214303
Figure 2008214303
Figure 2008214303
Figure 2008214303
Figure 2008214303
Figure 2008214303
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これら実施例によって制限されるものではない。
<実施例1>
下記に示す本発明のアヌレン誘導体例のジメチルホルムアミド溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
二光子吸収断面積の測定結果を表1に、その二光子吸収スペクトルを図6に示す。
Figure 2008214303
<実施例2>
下記に示す本発明のアヌレン誘導体例のジメチルホルムアミド溶液を作成し、同様にして、二光子吸収断面積を測定した。
二光子吸収断面積の測定結果を表1に示す。
Figure 2008214303
<実施例3〜5>
下記に示す本発明のアヌレン誘導体例のジメチルホルムアミド溶液を作成し、同様にして、二光子吸収断面積を測定した。
Figure 2008214303
Figure 2008214303
Figure 2008214303

これらも実施例1、2と同様に、Z−scan測定法でレーザの焦点近傍でのみ吸収及び蛍光が見られる二光子吸収特有の現象が観測された。
<比較例1>
以下に示す化合物のテトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
その測定結果を表1に示す。
Figure 2008214303
<比較例2>
同じアヌレン誘導体であるポルフィリン構造である下記に示した化合物のジメチルホルムアミド溶液を作成し、同様にその二光子吸収断面積を測定した。
その測定結果を表1に示す。
Figure 2008214303
[二光子吸収断面積の評価方法]
測定システム概略図を図5示す。
測定光源:フェムト秒チタンサファイアレーザ
波長:720〜920nm
パルス幅:100fs
繰り返し:80MHz
光パワー:800mW
測定方法:Zスキャン法
光源波長:780〜900nm
キュベット内径:1mm
測定光パワー:約500mW
繰り返し周波数:80MHz
集光レンズ:f=75mm
集光径:〜40μm
集光されている光路部分に試料溶液を充填した石英セルを置き、その位置を光路に沿って移動させることによりZ−scan測定を実施した。
透過率を測定し、その結果から理論式(I)により非線形吸収係数を求めた。
T=[ln(1+Iβ)]/Iβ・・・・(I)
(上記式中、Tは透過率(%)、Iは励起光密度[GW/cm]、Lは試料セル長[cm]、βは非線形吸収係数[cm/GW]を示す。)
この非線形吸収係数から、下記式(II)により二光子吸収断面積σ2を求めた。
(σ2の単位は1GM=1×10−50cm・s・photon−1である。)
σ2=1000×hνβ/NACβ・・・・(II)
(上記式中、hはプランク定数[J・s]、νは入射レーザ光の振動数[s−1]、NAはアボガドロ数、Cは溶液濃度[mol/L]を示す。)
Figure 2008214303
二光子吸収の遷移効率が従来材料に比較し、一桁高い二光子吸収化合物が得られた。
通常のポルフィリン構造では二光子吸収能を示さないが、本発明のアヌレン誘導体では大きな二光子吸収断面積が得られる。
本発明の優れた二光子吸収特性を有する化合物を適用すれば、より高品位の三次元メモリ材料、光制限材料、光造形用光硬化樹脂の硬化材料、光化学療法用材料、二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料が実現できる。
(a)は三次元多層光メモリの記録/再生のシステム概略図であり、(b)は記録媒体の概略断面図である。 本発明の二光子吸収材料を、二光子励起し得る波長の制御光により二光子励起させることによって、一光子励起し得る波長の信号光を光スイッチングする光制限素子の一例を示す図である。 二光子光造形法の装置の概略図である。 二光子励起レーザー走査顕微鏡の基本構成を示す概略図である。 二光子吸収断面積の評価方法に使用する測定システムの概略図である。 実施例1で得られた二光子吸収スペクトルを示す図である。
符号の説明
(図1について)
1 支持体(基板)
2 基板(保護層)
3 記録層
4 中間層
5 記録用単一光ビーム
6 再生(読出)用単一光ビーム
7 二次元検出器
(図3について)
1 光源
3 シャッター
4 NDフィルター
5 ミラースキャナー
6 Zステージ
7 レンズ
8 コンピュータ
9 光硬化性樹脂液
10 光造形物
(図4について)
1 レーザー光源
2 光束変換光学系
3 走査光学系
4 対物レンズ系
5 標本面
6 ダイクロイックミラー
7 光検出器

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)で表わされるラジアレン型化合物からなることを特徴とする二光子吸収材料。
    Figure 2008214303
    (式中R〜R16はそれぞれ同一または相異なって水素原子、または置換もしくは未置換のアルキル基を示す。)
  2. 下記一般式(2)で表わされるキノイド型化合物からなることを特徴とする二光子吸収材料。
    Figure 2008214303
    (式中R〜R12はそれぞれ同一または相異なって水素原子、または置換もしくは未置換のアルキル基を示す。)
  3. 下記一般式(3)で表わされる14π系芳香族化合物からなることを特徴とする二光子吸収材料。
    Figure 2008214303
    (式中R〜Rはそれぞれ同一または相異なって水素原子、または置換もしくは未置換のアルキル基を示す。)
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の二光子吸収材料を含むことを特徴とする三次元メモリ材料。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載の二光子吸収材料を含むことを特徴とする光制限材料。
  6. 請求項1乃至3のいずれかに記載の二光子吸収材料を含むことを特徴とする光造形用光硬化樹脂の硬化材料。
  7. 請求項1乃至3のいずれかに記載の二光子吸収材料を含むことを特徴とする二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料。
  8. 請求項1乃至3のいずれかに記載の二光子吸収材料を記録層中の少なくとも1種含む入射光に対して深さ方向に記録再生可能なことを特徴とする三次元記録媒体。
  9. 請求項1乃至3のいずれかに記載の二光子吸収材料の少なくとも1種を含むことを特徴とする光制限素子。
  10. 請求項1乃至3のいずれかに記載の二光子吸収材料の少なくとも1種を含むことを特徴とする光造形システム。
  11. 請求項1乃至3のいずれかに記載の二光子吸収材料の少なくとも1種を含むことを特徴とする二光子蛍光顕微鏡装置。
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