JP2008214223A - 経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物 - Google Patents

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Masayoshi Takayanagi
雅義 高柳
Kinji Ishida
均司 石田
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Abstract

【課題】安全性が高く、手軽に入手することができ、ストレス由来の皮膚血流低下の改善に優れた経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物を提供する。
【解決手段】柑橘類から得られる物質を有効成分として含有する経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物とする。前記柑橘類から得られる物質が、柑橘類の果実、柑橘類のじょうのう膜、柑橘類の果皮及びこれらの加工物から選ばれる1種以上であることが好ましく、柑橘類のじょうのう膜及び/又は柑橘類の果実の搾汁残渣の乾燥粉末であることがより好ましい。また、前記柑橘類は、温州蜜柑であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、柑橘類から得られる物質を有効成分として含有する経口摂取用ストレス由来の皮膚血流低下改善組成物に関する。
生活環境、職場環境の多様化、人間関係の複雑化により、現代に暮らすものは多かれ少なかれ、社会的ストレス、心理的ストレスなど様々なタイプのストレスに曝されながら生活している。
このようなストレスに曝され続けると、身体機能に悪影響をおよぼすと言われている。例えば、肩・背筋の凝り、手足のしびれ、腰痛、冷え性などの血行不良に伴って発生する症状や、肌荒れ等の肌トラブルを引き起こしやすい過敏症の人が近年増加傾向にあるが、これらの原因の一部として、ストレスが大きく作用しているのではないかと言われている。
そこで、ストレスに起因する疾病を予防ないし改善する試みが種々検討されており、下記特許文献1には、乳中に、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリスFC(Lactococcus lactis subsp. cremoris FC,FERM AP−20185)が含有され、発酵させてなる乳発酵物を、有効成分として含有することを特徴とするストレス由来の皮膚血流低下改善用組成物が開示されている。
特許第3715640号公報
上記特許文献1に開示された組成物は、経口摂取により、ストレス由来の皮膚血流の低下を改善しうるものであるが、特定の乳酸菌による乳酸発酵物を主成分としたものであるため、手軽に入手しうるものではなく、原料コストがかかる問題があった。
したがって、本発明の目的は、安全性が高く、手軽に入手することができ、ストレス由来の皮膚血流低下の改善に優れた経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく種々の検討を重ねた結果、意外にも、柑橘類から得られる物質を経口摂取することにより、ストレス由来の皮膚血流低下を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、柑橘類から得られる物質を有効成分として含有することを特徴とする経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物を提供することである。
本発明の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物によれば、柑橘類から得られる物質を有効成分として経口摂取することで、ストレス由来の皮膚血流低下を改善し、皮膚血流低下によって発症した、血行不良に伴う肩・腰の凝り、手足のしびれ、腰痛、冷え性、肌荒れなどの症状を改善することができる。
本発明の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物は、前記柑橘類から得られる物質が、柑橘類の果実、柑橘類のじょうのう膜、柑橘類の果皮及びこれらの加工物から選ばれる1種以上であることが好ましい。柑橘類のこれらの部位を経口摂取することで、ストレス由来の皮膚血流低下を特に効果的に抑制することができる。
本発明の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物は、前記加工物が、圧搾処理物、粉末処理物及び溶媒抽出物から選ばれるものであることが好ましい。
本発明の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物は、前記柑橘類から得られる物質が、柑橘類のじょうのう膜及び/又は柑橘類の果実の搾汁残渣の乾燥粉末であることが好ましい。この態様によれば、従来廃棄処理されていたじょうのう膜や、搾汁残渣を有効利用することができる。
本発明の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物は、前記柑橘類が、温州蜜柑であることが好ましい。
本発明によれば、柑橘類から得られる物質を経口摂取することにより、ストレス由来の皮膚血流低下を改善し、皮膚血流低下によって発症した、血行不良に伴う肩・腰の凝り、手足のしびれ、腰痛、冷え性、肌荒れなどの症状を改善することができる。
本発明の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物は、柑橘類から得られる物質を有効成分として含有する組成物であり、柑橘類の果実、柑橘類のじょうのう膜、柑橘類の果皮及びこれらの加工物から選ばれる1種以上を含有する組成物が好ましい。なお、柑橘類の果肉とは、果皮、じょうのう膜及び種子を除いた、いわゆる、砂じょう全体であり、柑橘類のじょうのう膜とは、果実の砂じょう部分を被覆する薄皮部分であり、柑橘類の果皮とは、フラベド(外果皮)及びアルベド(中果皮)をあわせた果皮部全体である。
また、柑橘類の加工物としては、柑橘類の圧搾処理物、粉末処理物、溶媒抽出物が好ましく挙げられる。
上記柑橘類の圧搾処理物としては、柑橘類から果皮を剥皮し、果肉部分を圧搾し、圧搾物をろ過して得られる搾汁液(ジュース)や、この搾汁液を更に濃縮処理して得られる濃縮液などが好ましく挙げられる。
上記柑橘類の粉末処理物としては、柑橘類の果実や、柑橘類のじょうのう膜や、柑橘類の果皮や、上記圧搾処理物や、柑橘類を搾汁した後に残る、繊維質やペクチンなどを多量に含む圧搾処理残渣を、乾燥し、その後粉末処理して得られる乾燥粉末などが好ましく挙げられる。また、必要に応じて、粉末処理の前後において、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼなどの酵素で処理してもよい。酵素処理を施すことで水への溶解度が向上し、様々な飲食品に添加して用いることができる。乾燥方法としては、特に限定はなく、凍結乾燥、噴霧乾燥、熱風乾燥、天日乾燥、通風乾燥など任意の方法を採用することができる。
上記柑橘類の溶媒抽出物としては、柑橘類の果実、柑橘類のじょうのう膜及び柑橘類の果皮を、エタノール、1、3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、水などの食用に適した溶媒を用いて抽出した抽出物が好ましく挙げられる。抽出方法としては、特に限定はなく、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出、超臨界抽出など任意の方法を採用することができる。
本発明において用いることのできる柑橘類としては、温州蜜柑、バレンシアオレンジ、ネーブルオレンジ、キンカン、ポンカン、夏蜜柑、甘夏蜜柑、伊予かん、グレープフルーツ、レモン、柚子、スダチ、スルガオレンジ、デコポン、ザボン、文旦等が好ましく挙げられる。中でも、経済的に優れている温州蜜柑が特に好ましい。
そして、本発明において、柑橘類から得られる物質としては、柑橘類のじょうのう膜、柑橘類の果実の搾汁残渣の乾燥粉末が好ましく、温州蜜柑のじょうのう膜、温州蜜柑の果実の搾汁残渣の乾燥粉末が特に好ましい。
柑橘類のじょうのう膜や、柑橘類の果実の搾汁残渣は、特に有用な用途が無いため、現在ではその殆どが廃棄処理されていることから、従来不要とされていたものの有効利用の観点から好ましい。そして、温州蜜柑のじょうのう膜や、温州蜜柑の果実の搾汁残渣は、より優れたストレス由来の皮膚血流低下の改善作用を有し、血行不良に伴って発症する、肩・腰の凝り、手足のしびれ、腰痛、冷え性、肌荒れをより効果的に改善することができる。
本発明の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物は、柑橘類から得られる物質の他に、更に、GABA(γ‐アミノ酪酸)やテアニンを含有してもよい。GABAやテアニンを更に含有することで、柑橘類から得られる物質と相乗的に作用して、ストレス由来の皮膚血流の低下をより改善することができる。そして、GABA及びテアニンは、経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物100g中に、1〜1000mg含有させることが好ましく、10〜50mg含有させることがより好ましい。
本発明の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物は、上記基本成分の他に、糖質、ビタミン類、ミネラル類、賦形剤、甘味剤、塩味剤、香辛料、酸味料、うま味料などの調味料、乳化・分散剤、抗酸化剤、防腐剤、増粘剤、結合剤、香料などの添加物を含有してもよい。
本発明の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物の使用形態は、経口摂取に適した形態であれば特に限定はない。例えば、錠剤、丸剤、顆粒、粉末、カプセル、ドリンクなど様々な形態で用いることができる。
また、本発明の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物は、飲食品に添加して用いてもよい。このような飲食品としては、例えば、清涼飲料水、お茶、ゼリー、ヨーグルト、プリン、アイスクリーム、アイスキャンデー、アメ、チョコレート、パン,ケーキ,ハム,ミートソース,カレー,シチュー,チーズ,バター,ドレッシング等が挙げられる。また、飲食品への添加量は、飲食品の固形中に0.1〜50質量%添加することが好ましく、2〜10質量%添加することがより好ましい。
そして、本発明の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物の有効摂取量は、柑橘類から得られる物質を、固形分換算で、1日あたり0.1〜600g/1人摂取することが好ましく、1〜100g/1人摂取することがより好ましい。
また、本発明の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物は、人のみならず、ペットや家畜等の動物においても、効果が発揮されることから、ペットや家畜等の飼料に添加して用いることもできる。
飼料として用いる場合には、魚粉、澱粉、小麦粉、魚油、ふすま、米糠、おから、大豆油粕、ミネラル類、ビタミン類等の一部又は全部を混合した、従来公知の飼料に添加して用いることが好ましい。また、飼料への添加量は、飼料の固形中に0.1〜50質量%添加することが好ましく、2〜10質量%添加することがより好ましい。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(試験例1)
実験用マウスとして、HOS:HR−1ヘアレスマウス(雌、10〜12週齢)を準備した。このマウスは、6週齢前後で、26.5cm×15.5cm×高さ12.5cmの飼育器に移し、1飼育器あたり5匹の環境密度(標準環境)で6週間馴化させたものである。なお、実験前までは、いずれのマウスも、基本飼料(CLEA精製飼料)のみにより飼育が行われた。
次に、先の実験用マウスを、過密環境に移し(過密ストレス負荷)、実施例1、2および比較例の各飼料を、それぞれ自由摂取させながら、7日間飼育した。なお、過密環境とは、26.5cm×15.5cm×高さ12.5cmの飼育器に十字型の敷居を設け、飼育器内を四等分に分割し、その1枠当たりに5匹(1飼育器当たり20匹)の実験用マウスを入れて飼育を行ったものをいう。また、対照群では、標準環境(1飼育器当たり5匹)のまま、基本飼料を自由摂取させ続け、引き続き、7日間飼育した。
・実施例1:温州蜜柑ジュースの凍結乾燥粉末を、基本飼料中に3質量%混合した飼料
・実施例2:温州蜜柑の果実の搾汁残渣の凍結乾燥粉末を、基本飼料中に3質量%混合した飼料
・比較例1:基本飼料
このようにして飼育した実験用マウスに関し、下記の基準に従い実験をし、その評価を行った。そして、この結果を後記の表1、2に併せて示す。表1は、皮膚血流量の試験結果であり、表2は、水分蒸散量の障害前に対する回復率(%)として換算した試験結果である。
〔血流量〕
マウスの表皮血流量を、レーザードップラー血流計(Laser Doppler Perfusion ImagerPIM II、Lisca社製)により測定した。この測定は、実験開始初日(各々個別の飼料を与えはじめた初日)を0日とし、4日後、7日後と経時的に行った。なお、この測定値は、対照群の血流量を100.0としたときの、この量との対比により求めた割合(%)で示す。
〔表皮水分蒸散量〕
実験開始7日後のマウスに対し、その背中(腰の辺り)の表皮をセロハンテープで剥がす作業(テープストリッピング)を、10回繰り返し行った。そして、表皮を剥がした部分(炎症部分)の水分蒸散量(g/m/h)を、蒸散量測定器(Tewameter TM210、Courage&Khaza社製)により、経時的に測定した。なお、この測定値は、水分蒸散量の障害前の水分蒸散量を100.0としたときの、この量との対比により求めた割合(%)で示す。
Figure 2008214223
Figure 2008214223
上記血流量の結果から、比較例のマウスは、過密環境での飼育を行いストレスを負荷させたことから、ストレス負荷4日後・7日後と、初期に比べ、確かな血流量の低下がみられたが、温州蜜柑ジュースを含む飼料を摂食させた実施例1のマウス、及び温州蜜柑の果実の搾汁残渣を含む飼料食べさせた実施例2のマウスは、その改善効果が有意に得られることが確認された。このことから、温州蜜柑ジュース及び搾汁残渣は、ストレス由来の皮膚血流低下を改善する効果を有するものと判断できる。
また、上記表皮水分蒸散量の結果から、温州蜜柑ジュースを含む飼料を摂食させた実施例1のマウス、及び温州蜜柑の果実の搾汁残渣を含む飼料を食べさせた実施例2のマウスは、基本飼料のみを摂食させ続けた比較例のマウスに比べ、皮膚再生能が高く、テープストリッピングによる表皮水分蒸散量の増大が有意に早く抑えられた(回復が早かった)。このことから、温州蜜柑ジュース及び搾汁残渣は、ストレス由来の皮膚血流低下に起因して生じた皮膚機能の低下を改善する効果を有するものと判断できる。
(試験例2)
試験例1で用いたマウスと同様のマウスを用い、実施例3の飼料及び比較例2の飼料をそれぞれ自由摂取させながら、7日間飼育した以外は試験例1と同様にして飼育し、試験例1と同様にして表皮水分蒸散量を測定した。結果を表3に示す。
・実施例3:温州蜜柑の果皮の乾燥物(陳皮)を、基本飼料中に3質量%混合した飼料
・比較例2:基本飼料
Figure 2008214223
上記表皮水分蒸散量の結果から、温州蜜柑の果皮を含む飼料を摂食させた実施例3のマウスは、基本飼料のみを摂食させ続けた比較例2のマウスに比べ、皮膚再生能が高く、テープストリッピングによる表皮水分蒸散量の増大が有意に早く抑えられた(回復が早かった)。このことから、温州蜜柑の果皮は、ストレス由来の皮膚血流低下に起因して生じた皮膚機能の低下を改善する効果を有するものと判断できる。
(試験例3)
試験例1で用いたマウスと同様のマウスを用い、実施例4の飼料及び比較例3の飼料をそれぞれ自由摂取させながら、7日間飼育した以外は試験例1と同様にして飼育し、試験例1と同様にして表皮水分蒸散量を測定した。結果を表3に示す。
・実施例4:温州蜜柑の果実の搾汁残渣に、10〜20質量%の澱粉を添加して乾燥した蜜柑パウダー(商品名:「温州ミカンパウダーV」 日東富士製粉製)を、基本飼料中に3質量%混合した飼料
・比較例3:基本飼料
Figure 2008214223
上記表皮水分蒸散量の結果から、蜜柑パウダーを含む飼料を摂食させた実施例4のマウスは、基本飼料のみを摂食させ続けた比較例3のマウスに比べ、皮膚再生能が高く、テープストリッピングによる表皮水分蒸散量の増大が有意に早く抑えられた(回復が早かった)。このことから、蜜柑パウダーは、ストレス由来の皮膚血流低下に起因して生じた皮膚機能の低下を改善する効果を有するものと判断できる。

Claims (5)

  1. 柑橘類から得られる物質を有効成分として含有することを特徴とする経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物。
  2. 前記柑橘類から得られる物質が、柑橘類の果実、柑橘類のじょうのう膜、柑橘類の果皮及びこれらの加工物から選ばれる1種以上である請求項1に記載の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物。
  3. 前記加工物が、圧搾処理物、粉末処理物及び溶媒抽出物から選ばれるものである請求項1又は2に記載の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物。
  4. 前記柑橘類から得られる物質が、柑橘類のじょうのう膜及び/又は柑橘類の果実の搾汁残渣の乾燥粉末である請求項1〜3のいずれか一つに記載の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物。
  5. 前記柑橘類が、温州蜜柑である請求項1〜4のいずれか一つに記載の経口摂取用ストレス由来皮膚血流低下改善組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010252640A (ja) * 2009-04-21 2010-11-11 Suntory Holdings Ltd 柑橘果実の自然な香味を向上させる柑橘果実混合物及びそのアルコール抽出液
JP2012051833A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Toyo Shinyaku Co Ltd 血流改善用組成物
JP2012070726A (ja) * 2010-08-31 2012-04-12 Toyo Shinyaku Co Ltd バイオアベイラビリティを高めた美容食品用組成物
JP2020130056A (ja) * 2019-02-20 2020-08-31 株式会社ダイセル 皮膚バリア機能改善用経口組成物

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