JP3616950B2 - 柑橘系由来の栄養組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、すぐれた生理活性、健康保健作用を有する組成物に関するものであり、更に詳細には、柑橘系由来の医薬品タイプ及び/又は飲食品タイプの組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、動脈硬化発症のメカニズムが明らかにされつつあり、高血圧、耐糖能異常、脂質代謝異常が危険因子として重要視されてきている。高血圧症、糖尿病、高脂血症などの脂質代謝異常症や肥満はそれぞれ独立した疾患として認識されていたが、最近になってこれらの因子が独立した疾患というよりも、高い確率で個人に集積する症例が多く存在し、虚血性心疾患など動脈硬化発症に密接に関わりのあることが明らかになってきた。
【0003】
1988年Reavenら(Diabetes, 37; 1595−1607, 1988)は、非肥満正常耐糖能男性100人を対象に行った検討で、その約25%にインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)と同程度のインスリン感受性の低下が認められることを示し、インスリン抵抗、耐糖能低下、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、低高比重リポタンパク質(HDL)コレステロール血症、高血圧症の合併する状態を動脈硬化危険因子の集積する状態としてsyndrome Xと呼称した。翌年、1989年にKaplanら(Arch. Intern Med. 149; 1514−1520, 1989)も、インスリン抵抗性を介した同様の病態において、上半身肥満、耐糖能異常、高トリグリセリド血症、高血圧症とを合わせ、”the deadly quarted” と称し、これらは、動脈硬化の危険因子が集積した状態、つまりマルチプルリスクファクターと総称されるようになった。
【0004】
その成因について、1991年にDe Fronzoら(Diacetes Care 14; 173−194, 1991)によってインスリン抵抗性症候群と呼称された。このようなインスリンの感受性は遺伝的要因が大部分を占めると考えられているが、1994年にNakamuraら(Atherosclerosis 107; 239, 1994)によって、腹腔内に蓄積する内臓脂肪もまた同様に動脈硬化に対して多数の危険因子を集積する病態の成因になっているという内臓脂肪症候群という概念が提唱された。内臓脂肪の蓄積は、遺伝的素因のみならず、加齢、運動不足、蔗糖や脂質の過剰摂取、さらにはストレスなど、食生活や身体活動の低下などの環境要因により修飾され、いわゆる生活習慣病とも言われる所以である。
【0005】
このような高血圧症や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病はもとより、生活習慣病の病態のより上流に存在する内臓脂肪の蓄積は、動脈硬化のみならず、心臓や腎臓疾患など他の重大な成因にもつながるという認識も高まっており、将来の高齢化社会に鑑みるとさらに患者数の増加が予想される。このような現状にあって、当業界においては、内臓脂肪蓄積の抑制や高トリグリセリド血症の症状低減や発症を予防する作用を有する組成物、医薬品、食品の開発が望まれている。
【0006】
一方、オレンジジュース等柑橘系果汁の消費の増大に伴い、その製造工程において果皮等を含む搾汁粕が多量に副生するが、搾汁粕には格別な用途もないため、通常は廃棄されている。しかしながら、搾汁粕は腐敗しやすく、公害防止上からも、その有効な処理策が強く求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した当業界における要望に応える目的でなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであって、本発明者らは、各方面から検討の結果、最近、高血圧自然発症ラット(SHR)の原因遺伝子が解明され(Aitman, T.J. et. al.; Nature Genet., 21; 76−83, 1999)、インスリン抵抗性を示すことが明らかとなった点に着目した。そしてさらに、SHRはヒトのインスリン抵抗性症候群/内臓脂肪症候群と同様な病態を示しており、これらの病態モデル動物としても認識されるようになった(戸辺ら、医学のあゆみ、189(9); 571−582、1999)点にも着目し、本発明者らは、ここに新たに着目したヒトのインスリン抵抗性症候群/内臓脂肪症候群モデル動物であるSHRに、温州みかん搾汁残渣抽出液を与えたところ、温州みかん搾汁残渣抽出液にこれらの病態の症状軽減または発症予防効果があることを発見した。
【0009】
本発明は、この新規知見に基づき更に研究の結果完成されたものである。以下、本発明について詳しく述べる。
【0010】
本発明に係る組成物を製造するには、柑橘系原料を極性溶媒で抽出する。柑橘系原料としては、柑橘系果実、搾汁粕(果汁搾汁残渣)、果皮、中果皮、じょうのう膜の少なくともひとつが使用され、これらの2種以上の混合物も使用することができる。該原料は、必要に応じて、切断、破砕、細砕、粉砕、濃縮、乾燥等の処理を行った処理物としてもよい。
【0011】
本発明に使用する柑橘系果実には制限はなく、市販されているオレンジ、グレープフルーツ、レモン、夏みかん、甘夏みかん、ダイダイ、ネーブル、ボンタン、ザボン、バンペイユ、キンカン、ユズ、カボスなどはもとより、温州みかんなど全ての柑橘系果実を含む。
【0012】
柑橘系原料は、極性溶媒で抽出する。抽出は0℃〜室温〜沸点、通常は常温で行い、抽出時間は5分〜24時間とする。これよりも長時間抽出を行っても害作用は認められない。抽出は、静置、攪拌のいずれでもよい。
【0013】
極性溶媒としては、水、エタノール等のアルコール類;グリセリン;氷酢酸;ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類;アセトニトリル等のニトリル類;塩化メチレンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等が例示できる。これらの溶媒はただ1種を用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。極性溶剤として好ましいものは安全性の高い水及びエタノールが例示される。
【0014】
極性溶媒抽出液は、酸又はアルカリを用いてそのpHを5.5〜8.5、好ましくは6〜8に調整する。極性溶媒として水を用いた場合、抽出液は少し酸性側にかたむくので、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等通常使用されるアルカリを用いてpHの調整を行う。なお、例えばこれらのアルカリを添加した水を用いて柑橘原料の抽出処理を行えば、抽出とpH調整を同時に行うことができる。
【0015】
次いで、極性溶媒抽出液のpH調整液から可溶性画分を分画する。分画は常法によればよく、遠心分離、(加圧又は減圧)濾過、デカンテーションその他の可溶性画分を分画する方法が1種又は2種以上適宜採用される。
【0016】
このようにして得た可溶性画分は、そのまま又はその処理物として本発明に係る組成物の有効成分として使用される。該処理物としては、濃縮物、ペースト化物、乾燥物、乳化物、希釈物の少なくともひとつとすることができ、必要あれば、更に溶媒抽出したりクロマトグラフィー処理したりして精製分画したものを使用してもよい。
【0017】
この可溶性画分(処理物)は、後記する実施例からも明らかなように、抗高トリグリセリド血症作用、抗内臓脂肪蓄積作用、抗肝機能低下作用を有するので、本発明に係る組成物は、これらの作用を利用した飲食品、特定保健用飲食品、健康飲料、健康食品、栄養食品、機能性食品、ダイエット食品のほか、高トリグリセリド血症または内臓脂肪蓄積または肝機能低下患者用あるいはそのおそれのある人のための栄養組成物その他各種タイプの飲食品として用いることができる。また、こ(れら)の疾病、症状、病態を予防、改善、治療する薬剤等医薬品としても用いることができる。
【0018】
有効成分の配合量は、任意でよいが、使用目的(予防、保健、又は治療)、患者の年齢、投与方法、剤形等に応じて適宜定めればよく、後記する可溶画分濃縮物を使用する場合、通常、0.0001〜10%の範囲が適当である。しかしながら、長期間に亘って保健上ないし健康維持の目的で摂取する場合には、上記範囲よりも少量であってもよいし、また本有効成分は、安全性について問題がないので、上記範囲よりも多量に使用しても一向にさしつかえない。現にマウスを用いた10日間の急性毒性試験の結果、1000mg/kgの経口投与でも死亡例は認められなかった。
【0019】
飲食品タイプの組成物として使用する場合には、本有効成分をそのまま、使用したり、他の食品ないし食品成分と併用したりして適宜常法にしたがって使用できる。本有効成分を用いる本発明に係る組成物は、固体状(粉末、顆粒状その他)、ペースト状、液状ないし懸濁状のいずれでもよいが、甘味料、酸味料、ビタミン剤その他ドリンク剤製造に常用される各種成分を用いて、健康ドリンクに製剤化すると好適である。
【0020】
医薬品タイプの組成物として使用する場合、本有効成分は、種々の形態で投与される。その投与形態としては例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、トローチ剤等による経口投与のほか、輸液、腸溶剤、経直腸剤等による投与をあげることができる。これらの各種製剤は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。その使用量は症状、年齢、体重、投与方法および剤形等によって異なるが、通常は、成人に対して、1日当り、経口投与の場合、0.1〜2000mgを1〜4回に分けて投与するのが適当である。
以下、本発明の実施例について述べる。
【0021】
【実施例1】
温州みかん果実1トンを搾汁した後の粕(500kg)に、50kgの水と2kgの水酸化カルシウムを加えてpHを6〜8に調整した後、圧搾して搾汁液250kgを得た。その搾汁液を遠心分離(7500G)して可溶性画分を分画し、さらにこれを減圧加熱濃縮した濃縮物50kgを温州みかん搾汁残渣抽出液とした。
【0022】
【実施例2】
温州みかん果実1トンを搾汁した後の粕(500kg)に、50kgの水と2kgの水酸化カルシウムを加えてpHを6〜8に調整した後、圧搾して得た搾汁液250kgを温州みかん搾汁残渣抽出液として得た。すなわち本抽出液は実施例1で製造した温州みかん搾汁残渣抽出液の1/5の濃度に相当するものである。
【0023】
【実施例3】
ショ糖エネルギー比50%の精製飼料を摂取した自然発症高血圧ラット(SHR)の血中脂質濃度、内臓脂肪蓄積量および肝機能におよぼす柑橘系果実搾汁残渣抽出濃縮液摂取の影響
【0024】
(1)実験動物の飼育
市販固型飼料(クレア、CRF−1)で予備飼育し、環境に馴化させた17週齢の雄性自然発症高血圧ラット(SHR/Hos、星野試験動物飼育所)17匹および同週齢の雄性正常血圧ラット(WKY/Hos、星野試験動物飼育所)11匹を体重と血圧の平均値が等しくなるようにそれぞれ2群に分けた。
【0025】
一方には表1に示したショ糖エネルギーが約50%の基本食そのもの(以下、比較群)、もう一方には、基本食100gに対し実施例1で得た温州みかん搾汁残渣抽出液40gを混合した試験食(以下、実験群)を与え、5週間飼育した。
【0026】
【0027】
試験食で5週間飼育後の09:00〜11:00の間に門脈および腹大動脈から採血し、血漿を得た。さらに内臓脂肪として、腸間膜脂肪、副睾丸脂肪および腎周囲脂肪の3部位の脂肪組識を摘出し重量を測定した。
【0028】
(2)試験結果
試験期間中の体重増加はSHRに比べてWKYラットで大きかったが、それぞれ同系統内で温州みかん搾汁残渣抽出液無添加群(比較群)と添加群(実験群)の間に差はなかった。
【0029】
図1に空体重あたりの内臓脂肪総組織重量を示した。内臓脂肪総組織重量は腸間膜脂肪、副睾丸脂肪および腎周囲脂肪の各組織重量の総和で示した。図に示すように、SHRの内臓脂肪重量は温州みかん搾汁残渣抽出液の摂取で軽減した。
【0030】
血漿トリグリセリド濃度を図2に、高比重リポタンパク質(HDL)コレステロール濃度を図3に、血漿コレステロールのHDLに占める割合を図4に示した。これらの結果から次のことが明らかとなった。自然発症高血圧ラット(SHR)は正常血圧のWKYに比べて、血漿トリグリセリド濃度が高く、HDL−コレステロール濃度が低い。このようにSHRの血漿脂質はインスリン抵抗性症候群または内臓脂肪蓄積症候群と称されているマルチプルリスクファクター症候群の動態を示した。
【0031】
温州みかん搾汁残渣抽出液の摂取によって、インスリン抵抗性症候群/内臓脂肪症候群のモデル動物であるSHRの血漿トリグリセライド濃度が低下し、HDL−コレステロール濃度が上昇した。さらに総コレステロールのHDLに占める割合は正常なWKYにおいても温州みかん搾汁残渣抽出液の摂取によって高くなった。
【0032】
また、肝臓機能の評価指標となるグルタミン酸・ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)活性もWKYに比べてSHRで高く(図5)、SHRの肝機能低下が伺われる。このSHRのGPT活性もまた温州みかん搾汁残渣抽出液の摂取によって回復がみられた。
【0033】
【実施例4】
自然発症高血圧ラット(SHR)の高トリグリセリド血症におよぼす柑橘系果実搾汁残渣抽出濃縮液摂取の効果発現期間の検討
【0034】
(1)実験動物の飼育
10週齢の雄性自然発症高血圧ラット(SHR/Hos、星野試験動物飼育所)15匹および同週齢の雄性正常血圧ラット(WKY/Hos、星野試験動物飼育所)10匹を市販固型飼料(クレア、CRF−1)で予備飼育し環境に馴化させた後、さらに1週間表2に示した半精製飼料(基本食)で飼育した。尾静脈より採血し、血漿トリグリセリド(TG)濃度を測定し、血漿TG濃度と体重の平均が同じになるようにそれぞれ2群に分けた。
【0035】
一方には表2に示した基本食そのもの(以下、比較群)、もう一方には、基本食100gに対し実施例1で製造した温州みかん搾汁残渣抽出液20gを混合した試験食(以下、実験群)を与えた。
【0036】
【0037】
実験食による飼育前、および実験食による飼育を開始してから10日目と17日目に尾静脈より採血し、温州みかん搾汁残渣抽出液摂取後の血漿TG濃度の経日的な変化を検討した。
【0038】
(2)試験結果
11週齢から13週齢にかけて実験に供したSHRおよびWKYの血漿TG濃度の経日的変化を図6に示した。正常血圧のWKYの血漿TG濃度は、実験期間中、終始、変動がなく、温州みかん搾汁残渣抽出液の摂取による影響はなかった。一方、SHRは加齢に伴って血漿TG濃度が上昇したが、温州みかん搾汁残渣抽出液の摂取によって血漿TG濃度の上昇が抑制された。これらの試験結果により、温州みかん搾汁残渣抽出液による高TG濃度の抑制作用は、温州みかん搾汁残渣抽出液摂取の10日目には有効に発現していることが明らかとなった。
【0039】
【実施例5】
自然発症高血圧ラット(SHR)の高トリグリセリド血症におよぼす柑橘系果実搾汁残渣抽出濃縮液摂取の影響
【0040】
(1)実験動物の飼育
10週齢の雄性自然発症高血圧ラット(SHR/Hos、星野試験動物飼育所)15匹および同週齢の雄性正常血圧ラット(WKY/Hos、星野試験動物飼育所)10匹を市販固型飼料(クレア、CRF−1)で予備飼育し環境に馴化させた後、さらに1週間、表2に示した半精製飼料(基本食)で飼育した。体重の平均が同じになるようにそれぞれ2群に分けた。
【0041】
一方には表2に示した基本食そのもの(以下、比較群)、もう一方には、基本食100gに対して実施例2で製造した温州みかん搾汁残渣抽出液20gを混合した試験食で1週間、温州みかん搾汁残渣抽出液40gを混合した試験食(以下、実験群)でさらに1週間、計2週間飼育した。
【0042】
(2)試験結果
温州みかん搾汁残渣抽出液中の有効成分の摂取量は、実施例3、実施例4の約1/10〜1/5となるが、血漿TG濃度を図7に、グルタミン酸・ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)活性を図8に示したように、この摂取量においても温州みかん搾汁残渣抽出液摂取による高TG血症の軽減作用および肝機能の回復作用は有効に発現した。
【0043】
【実施例6】
実施例1で得た温州みかん搾汁残渣抽出液100g、糖類150g、蜂蜜15g、アスコルビン酸1g、クエン酸0.5g、香料適量に水を加えて1kgとし、これを95℃で20分間殺菌し、100mlずつ無菌的にビンに充填して、飲食品タイプの健康ドリンクを製造した。
【0044】
【実施例7】
実施例1で得た温州みかん搾汁残渣抽出液200g、酢酸トコフェロール5g、硝酸チアミン10g、ニコチン酸アミド20g、無水カフェイン50g、安息香酸塩及び香料適量に脱イオン水を加えて30Lとし、殺菌した後30mlずつ無菌的にビンに充填して、医薬品としての健康ドリンクを製造した。
【0045】
【実施例8】
実施例1で得た温州みかん搾汁残渣抽出液の凍結乾燥粉末(1)を用い、次の配合にて錠剤を製造した。
(配合)
(1)凍結乾燥粉末 50g
(2)ラクトース 90g
(3)コーンスターチ 29g
(4)ステアリン酸マグネシウム 1g
【0046】
(1)、(2)及び(3)(但し17g)を混合し、(3)(但し7g)から調製したペーストとともに顆粒化した。得られた顆粒に(3)(但し5g)と(4)を加えてよく混合し、この混合物を圧縮錠剤機により圧縮して、1錠あたり有効成分(1)を50mg含有する錠剤1000個を製造した。
【0047】
【発明の効果】
既述したように、本発明によれば、インスリン抵抗性症候群/内臓脂肪症候群のモデル動物である自然発症高血圧ラットでの試験の結果、この温州みかん搾汁残渣抽出液の高トリグリセリド血症の軽減効果は、摂取10日目で既に認められ、その効果は1ケ月以上の長期に渡って持続した。また、加齢に伴う高脂血症の進行にも予防的効果を発揮した。さらに、高蔗糖摂取のように内臓脂肪が蓄積しやすく、高脂血症の症状もさらに進むような食事条件においても、温州みかん搾汁残渣抽出液の抑制効果を確認することができた。また、温州みかん搾汁残渣抽出液の固形物量として1%の添加で自然発症高血圧ラットの高トリグリセリド血症の軽減に有効であった。
【0048】
本発明に係る組成物は、柑橘系果実、その搾汁残渣等の果実原料由来のものであって、内臓脂肪蓄積を抑制し、また、高トリグリセリド血症の軽減、低HDL−コレステロール血症の回復、または肝機能低下の改善効果を有するものである。この食品を栄養補助食品として常用することによって、加齢や運動不足、過剰摂取などの食生活などに起因する生活習慣病の症状軽減または発症予防が期待できる。
【0049】
本発明は、柑橘系果実の搾汁の際の産業廃棄物を有効利用することにより、加齢や生活環境要因に起因する内臓脂肪の蓄積や高脂血症などから誘因される生活習慣病の発症予防や症状の軽減を期待できる栄養組成物であり、健常人から経腸栄養剤等による栄養治療の必要な病態者まで広く適用できる。また、天然物素材であるため、安全性も高く、長期摂取も可能である。
【0050】
本発明においては、原料として柑橘系果実自体のほか、果皮、中果皮、じょうのう膜、搾汁残渣等を使用することができるが、これらは果汁などを搾汁する際に発生する二次産物で、その大半は通常廃棄される部分である。この廃棄物を再度利用して有効成分を抽出することは、産業上、天然物廃棄物の有効利用の面からも非常に有効な発明と言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】ショ糖エネルギー比50%の食餌条件下の自然発症高血圧ラットの内臓脂肪蓄積量におよぼす温州みかん搾汁残渣抽出液摂取の影響を示す。
【図2】ショ糖エネルギー比50%の食餌条件下の自然発症高血圧ラットの血漿トリグリセリド濃度におよぼす温州みかん搾汁残渣抽出液摂取の影響を示す。
【図3】ショ糖エネルギー比50%の食餌条件下の自然発症高血圧ラットの高比重リポタンパク質(HDL)コレステロール濃度におよぼす温州みかん搾汁残渣抽出液摂取の影響を示す。
【図4】ショ糖エネルギー比50%の食餌条件下の自然発症高血圧ラットの血漿コレステロールの高比重リポタンパク質(HDL)分布比におよぼす温州みかん搾汁残渣抽出液摂取の影響を示す。
【図5】ショ糖エネルギー比50%の食餌条件下の自然発症高血圧ラットの肝機能(グルタミン酸・ピルビン酸トランスアミナーゼ活性(GPT活性))におよぼす温州みかん搾汁残渣抽出液摂取の影響を示す。
【図6】自然発症高血圧ラットの血漿トリグリセリド濃度におよぼす温州みかん搾汁残渣抽出液摂取の経日的影響を示す。
【図7】自然発症高血圧ラットの血漿トリグリセリド濃度低下に有効な温州みかん搾汁残渣抽出液摂取量の検討結果を示す。
【図8】自然発症高血圧ラットの肝機能(グルタミン酸・ピルビン酸トランスアミナーゼ活性(GPT活性)回復のために有効な温州みかん搾汁残渣抽出液摂取量の検討結果を示す。
Claims (2)
- 柑橘系果実の搾汁残渣を極性溶媒で抽出し、該極性溶媒抽出液をpH6〜8に調整した後の可溶性画分又はその処理物を含有し、高トリグリセリド血症の軽減、内臓脂肪蓄積の抑制、又は肝機能低下の改善効果を有するものであることを特徴とし、高トリグリセリド血症改善、内臓脂肪蓄積改善、又は肝機能低下改善のために、用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
- その処理物が、濃縮物、ペースト化物、乾燥物、乳化物、希釈物の少なくともひとつであること、を特徴とする請求項1に記載の飲食品。
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