JP2008213590A - 排気浄化触媒の活性化促進装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】触媒の活性化促進要求がある間に、Nアイドル回転制御許可条件(Dレンジ、制動状態、アクセル釈放、停車状態)が成立するt1より、発進用摩擦要素を作動圧(締結容量)の低下によりスリップ可能にする。これによりタービン回転数Ntが立ち上がり、Ntが設定値に達するt2以後、つまり、発進用摩擦要素がストローク終了状態であるが締結容量を殆ど持たないスタンバイ状態(自動変速機が中立状態)になるt2以後、発進用摩擦要素の作動油圧(締結容量)をt2における値に保持する。t2より、エンジン回転数Neを触媒活性化促進用アイドル回転数まで上昇させる。
【選択図】図3
Description
一方で自動変速機は、発進用摩擦要素を含む複数の変速用摩擦要素の選択的な締結により対応変速段(変速比)を選択し、これに応じエンジンからの回転を変速して出力する。
そのための技術としては従来、例えば特許文献1に記載のごとく、アクセルペダルを釈放した停車中にエンジンのアイドル回転数を高くするアイドルアップにより、排気浄化触媒の速やかな温度上昇(活性化)を促す排気浄化触媒の活性化促進技術が提案されている。
従って、従来の排気浄化触媒の活性化促進技術では、自動変速機を走行レンジにした停車状態において、エンジンのアイドル回転数を或る程度までしか高くすることができないことから、希望通りの十分な排気浄化触媒の活性化促進を達成することができないという問題がある。
発進用摩擦要素を締結容量低下により、その入出力間に相対回転が生じ得るようになし、かかる発進用摩擦要素の入出力相対回転により、エンジンのアイドル回転数を上記の制限にもかかわらず更に高くし得るようにして、希望通りの排気浄化触媒の活性化促進が達成されるようにすることを目的とする。
先ず前提となるパワートレーンを説明するに、これは、
排気浄化触媒を排気系に具えたエンジンと、発進用摩擦要素の締結により前記エンジンからの動力を発進変速比で変速して出力可能な自動変速機との組み合わせになるものである。
Nアイドル回転制御許可判定手段は、自動変速機を中立状態にしてのエンジンアイドル回転制御が許可されるNアイドル回転制御許可条件が成立したのを判定する。
発進容量低下手段は、発進変速比を選択可能な自動変速機の走行レンジで、Nアイドル回転制御許可判定手段が前記Nアイドル回転制御許可条件の成立を判定し、且つ、触媒活性化要求判定手段が排気浄化触媒の活性化が要求される温度条件であると判定するとき、発進用摩擦要素の締結容量を発進用摩擦要素の入出力間に回転差が生ずるよう低下させる。
発進容量低下手段による発進用摩擦要素の締結容量低下が進んで、発進用摩擦要素の締結容量が所定値まで低下したのを発進容量低下判定手段と判定するとき、エンジン回転上昇手段はエンジンのアイドル回転数を排気浄化触媒の活性化が促進されるような回転数まで上昇させる。
自動変速機が走行レンジにされていて、自動変速機を中立状態にしてのエンジンアイドル回転制御が許可されるNアイドル回転制御許可条件が成立し、且つ、排気浄化触媒の活性化が要求される温度条件であるとき、発進用摩擦要素の締結容量を発進用摩擦要素の入出力間に回転差が生ずるよう低下させ、これにより発進用摩擦要素の締結容量が所定値まで低下した後にエンジンのアイドル回転数を排気浄化触媒の活性化が促進されるような回転数まで上昇させるため、
排気浄化触媒の活性化促進用にエンジンのアイドル回転数を上昇させるとき、自動変速機が発進用摩擦要素の締結容量低下で入出力間に回転差を生ずることとなり、かかる発進用摩擦要素の入出力相対回転差により、エンジンのアイドル回転数をその分高くすることができて、希望通りの排気浄化触媒の活性化促進を達成することができる。
図1は、本発明の一実施例になる排気浄化触媒の活性化促進装置を具えた車両のパワートレーンを示し、このパワートレーンをエンジン1および自動変速機2のタンデム結合により構成する。
また自動変速機2は、エンジン1からの動力を図示せざるトルクコンバータを経て入力され、この入力回転を、発進用摩擦要素2aやその他の複数の変速用摩擦要素の選択的締結により得られた対応変速段(対応変速比)で変速して出力し、駆動車輪(図示せず)に向かわせるものとする。
駐車(P)レンジおよび中立(N)レンジにおいて自動変速機2は、変速用摩擦要素の全てを解放状態にされて動力伝達を行わない中立状態となり、
後退走行(R)レンジにおいて自動変速機2は、変速用摩擦要素のうち後退変速段用の変速摩擦要素を締結されて、入力回転を逆方向にすると共に減速して出力する後退変速段選択状態となる。
自動変速機2は、コントロールバルブボディー2bを介して変速機コントローラ5により、本発明が制御対象とする発進用摩擦要素2aの触媒活性化促進用締結容量や、変速用摩擦要素の選択的締結や、ライン圧や、トルクコンバータのロックアップを制御される。
トルクコンバータのタービン回転数Nt(変速機入力回転数)を検出するタービン回転センサ7からの信号や、
アクセル開度APO(アクセルペダル踏み込み量)を検出するアクセル開度センサ8からの信号や、
車速VSPを検出する車速センサ9からの信号や、
ブレーキペダルの踏み込み時にONになるブレーキスイッチ10からの信号や、
排気浄化触媒の温度TEMPcを検出する触媒温度センサ11からの信号を入力する。
発進用摩擦要素2aの発熱量TEMPsを、発進用摩擦要素2aの伝達トルクと入出力回転差との乗算により求める発進用摩擦要素発熱量演算手段13からの演算結果を入力する。
なおエンジンコントローラ4および変速機コントローラ5との間を通信線で相互に接続し、上記の入力信号はもとより、演算結果をも相互に通信し合うものとする。
ステップS1においては、触媒温度TEMPcが上昇中か否かにより、排気浄化触媒の活性化が要求される温度条件であるか否かをチェックする。
従ってステップS1は、触媒活性化要求判定手段に相当する。
ステップS1で、触媒温度TEMPcが上昇中でなく、排気浄化触媒の活性化が終了していると判定する場合は、排気浄化触媒の活性化が要求される温度条件でないから、制御をそのまま終了する。
自動変速機2を動力伝達不能な中立状態にしてのエンジンアイドル回転制御が許可されるNアイドル回転制御許可条件が成立しているか否かを判定する。
ここでNアイドル回転制御許可条件とは、例えば、前進走行(D)レンジが選択されているが、ブレーキスイッチ10がONの制動状態で、且つ、アクセルペダルを釈放していて(アクセル開度APO=0で)、発進意志のない停車状態(車速VSP=0)を意味し、これら条件の全てが成立した時をもってNアイドル回転制御許可条件が成立しているとする。
しかしステップS2でNアイドル回転制御許可条件が成立していると判定する場合は、制御をステップS3以降に進めて以下のように、本発明が狙いとする排気浄化触媒活性化用のエンジンアイドル回転制御を行う。
従ってステップS3は、発進容量低下手段に相当する。
なお発進用摩擦要素2aが油圧作動される湿式のものである場合、その締結容量制御(発進容量制御)は、発進用摩擦要素2aの作動油圧低下制御であるの勿論である。
なおステップS4での判定は、上記のタービン回転数Nt≧タービン回転数設定値により行う代わりに、エンジン回転数Ne(トルクコンバータ入力回転数)に対するタービン回転数Nt(トルクコンバータ出力回転数)の比で表されるトルクコンバータの速度比(Nt/Ne)が設定値以上になったか否かにより当該判定を行ってもよいのは言うまでもない。
従ってステップS4は、発進用摩擦要素2aの締結容量が所定値まで低下したのを判定する発進容量低下判定手段に相当する。
この継続により、タービン回転数Ntがタービン回転数設定値以上になったら、つまり、発進用摩擦要素2aが上記の締結容量低下(作動油圧の低下)によって締結容量を上記所定の締結容量まで低下されたら(自動変速機2が中立状態にされたら)、ステップS4は制御をステップS5を進めて、ステップS3の実行を終了することにより当該瞬時における発進用摩擦要素2aの締結容量(作動油圧)を保持すると共に、ステップS5でエンジンのアイドル回転数を排気浄化触媒の活性化が促進されるような回転数まで上昇させる。
従ってステップS5は、エンジン回転上昇手段に相当する。
発進用摩擦要素2aの発熱量TEMPsが設定発熱量未満であれば、発進用摩擦要素2aの耐久性に悪影響が及ぶ発熱状態でないから、制御をステップS5に戻して触媒活性化促進用のアイドルアップを継続させる。
しかしステップS6で発進用摩擦要素2aの発熱量TEMPsが設定発熱量以上であると判定する時は、発進用摩擦要素2aの耐久性に悪影響が及ぶ発熱状態であるから、ステップS5での触媒活性化促進用アイドルアップ制御を中止すべく制御をそのまま終了させる。
従ってステップS6は、エンジン回転上昇禁止手段に相当する。
排気浄化触媒の活性化促進が要求されている間に、Nアイドル回転制御許可条件が成立するとき、つまり、前進走行(D)レンジが選択され、ブレーキスイッチ10がONの制動状態にされ、且つ、アクセルペダルを釈放した(アクセル開度APO=0にした)、発進意志のないDレンジ停車状態(車速VSP=0)の諸条件が成立する瞬時t1より、発進用摩擦要素2aの作動油圧を低下することによりその締結容量を低下させる。
そして、タービン回転数Ntがタービン回転数設定値に達する瞬時t2以後、つまり、発進用摩擦要素2aの作動油圧がスタンバイ状態達成圧まで低下して、発進用摩擦要素2aがストローク終了状態であるが締結容量を殆ど持たないスタンバイ状態(自動変速機が走行レンジでありながら中立状態)になる瞬時t2以後、発進用摩擦要素2aの作動油圧(締結容量)を瞬時t2における値に保持する。
このエンジン回転数Neの上昇はトルクコンバータの引きずりを介してタービン回転数Ntを、同様の傾向をもって上昇させる。
よって、点火時期リタード制御のような他の触媒活性化促進制御が不要になると共に、排気浄化触媒に高性能で高価なものを用いる必要がなくなって、コスト的に大いに有利である。
また、発進用摩擦要素2aをスタンバイ状態(自動変速機を中立状態)にしてエンジン1の触媒活性化促進用アイドルアップを行わせるため、発進用摩擦要素2aが殆ど締結容量を持たないことにより、発進用摩擦要素2aの伝達トルクと入出力回転差との乗算値である発熱量が小さく、発進用摩擦要素2aの発熱量を抑制することができてその耐久性を向上させることができる。
ちなみに、発進用摩擦要素2aを締結させて自動変速機2を発進変速段(発進変速比)選択状態にしたまま触媒活性化促進用アイドルアップ制御(フィードバック制御)を行うと、発進用摩擦要素2aの作動油圧が破線αで示すように高くなり、その分タービン回転数Ntが破線βで示すように低くなることから、エンジン回転数Neおよびタービン回転数Nt間の回転差ΔN(トルクコンバータスリップ量)が小さく、その分作動油の発熱が多くなって熱対策が困難になると共に耐久性の点でも不利になるが、本実施例によれば上記のごとくこれらの問題を回避することができる。
発進用摩擦要素2aを必ずしもスタンバイ状態(自動変速機を中立状態)にしなくても、発進用摩擦要素2aの入出力間に僅かに回転差が生ずるよう締結容量低下させるだけでも、程度の差はあれ、かかる発進用摩擦要素2aの入出力相対回転差により、エンジン1の触媒活性化促進用アイドル回転数をその分高くすることができて、排気浄化触媒の活性化促進要求を達成することができる。
このセレクトにより再び図5の瞬時t1にNアイドル回転制御許可条件が成立するようになり、且つ、依然として排気浄化触媒の活性化が要求される温度条件である場合、以下のように触媒活性化促進用アイドルアップ制御を行う。
ステップS13において、発進用摩擦要素2aの作動油圧を図5の瞬時t1以後に見られるごとく、上記Dレンジへのセレクト操作に呼応して立ち上げるが、当初は非走行レンジ(PレンジまたはNレンジ)から走行レンジ(Dレンジ)へのセレクトを感覚的に知らせるための僅かなショックを発生させるべく、発進用摩擦要素2aの作動油圧を図5にハッチングを付して示す分だけスタンバイ状態達成圧よりも若干高めの値にする。
この車両前後加速度Gにより運転者は、Nアイドル回転制御中であっても(Nアイドル回転制御中はセレクトショックが発生しない)、非走行レンジ(PレンジまたはNレンジ)から走行レンジ(Dレンジ)へのセレクトが行われたのを感覚的に知ることができる。
タービン回転数Ntが締結容量発生確認用設定回転数以上である間は、制御をステップS13に戻して発進用摩擦要素2aの作動油圧上昇制御を継続させる。
従ってステップS14は、発進容量制限手段に相当する。
一方でエンジン回転数Neは、触媒活性化促進用のアイドル回転数に引き続き保つ。
かかるセレクト時触媒活性化促進制御によれば、非走行レンジから走行レンジにセレクトした場合においても、エンジン回転数Neを触媒活性化促進用アイドル回転数に保っておくことから、排気浄化触媒を速やかに活性化させることができる。
非走行レンジから走行レンジへのセレクト操作があったのを運転者に感覚的に知らせることができる。
2 自動変速機
2a 発進用摩擦要素
2b コントロールバルブボディー
3 セレクトレバー
4 エンジンコントローラ
5 変速機コントローラ
6 エンジン回転センサ
7 タービン回転センサ
8 アクセル開度センサ
9 車速センサ
10 ブレーキスイッチ
11 触媒温度センサ
12 レンジセンサ
13 発進用摩擦要素発熱量演算手段
Claims (6)
- 排気浄化触媒を排気系に具えたエンジンと、発進用摩擦要素の締結により前記エンジンからの動力を発進変速比で変速して出力可能な自動変速機との組み合わせになるパワートレーンにおいて、
前記排気浄化触媒の活性化が要求される温度条件であるのを判定する触媒活性化要求判定手段と、
前記自動変速機を中立状態にしてのエンジンアイドル回転制御が許可されるNアイドル回転制御許可条件が成立したのを判定するNアイドル回転制御許可判定手段と、
前記発進変速比を選択可能な自動変速機の走行レンジで、該Nアイドル回転制御許可判定手段が前記Nアイドル回転制御許可条件の成立を判定し、且つ、前記触媒活性化要求判定手段が排気浄化触媒の活性化が要求される温度条件であると判定するとき、前記発進用摩擦要素の締結容量を該発進用摩擦要素の入出力間に回転差が生ずるよう低下させる発進容量低下手段と、
該手段により発進用摩擦要素の締結容量が所定値まで低下したのを判定する発進容量低下判定手段と、
該手段により、発進用摩擦要素の締結容量が前記所定値まで低下したと判定するとき、前記エンジンのアイドル回転数を排気浄化触媒の活性化が促進されるような回転数まで上昇させるエンジン回転上昇手段と
を具備することを特徴とする排気浄化触媒の活性化促進装置。 - 請求項1に記載の排気浄化用触媒の活性化促進装置において、
前記発進容量低下判定手段が発進用摩擦要素の前記締結容量低下を判定するときの基準である前記所定値を、発進用摩擦要素がストローク終了状態であっても締結容量を殆ど持たない作動状態である時の発進用摩擦要素の動作物理量としたことを特徴とする排気浄化触媒の活性化促進装置。 - 請求項1または2に記載の排気浄化用触媒の活性化促進装置において、
前記発進容量低下判定手段は、発進用摩擦要素の締結容量が前記所定値まで低下したのを、自動変速機の入力回転変化に基づき判定するものであることを特徴とする排気浄化触媒の活性化促進装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気浄化用触媒の活性化促進装置において、
前記エンジン回転上昇手段によりエンジンのアイドル回転数を、排気浄化触媒の活性化が促進されるような回転数まで上昇させている時における発進用摩擦要素の発熱量が設定発熱量以上である場合、該エンジンアイドル回転数の上昇を禁止する指令を前記エンジン回転上昇手段に発するエンジン回転上昇禁止手段を設けたことを特徴とする排気浄化触媒の活性化促進装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の排気浄化用触媒の活性化促進装置において、
前記エンジン回転上昇手段によりエンジンのアイドル回転数を、排気浄化触媒の活性化が促進されるような回転数まで上昇させている間に自動変速機を非走行レンジから走行レンジにした場合、依然として、前記Nアイドル回転制御許可判定手段が前記Nアイドル回転制御許可条件の成立を判定し、且つ、前記触媒活性化要求判定手段が排気浄化触媒の活性化が要求される温度条件であると判定していれば、前記発進用摩擦要素の締結容量を走行レンジでも最大値未満であって、発進用摩擦要素の入出力間に相対回転が生ずる設定締結容量に制限する発進容量制限手段を設けたことを特徴とする排気浄化触媒の活性化促進装置。 - 請求項5に記載の排気浄化用触媒の活性化促進装置において、
前記発進容量制限手段は、発進用摩擦要素の締結容量を前記設定締結容量に制限するのに先立ち、前記非走行レンジから走行レンジへのレンジ切り替えを運転者に感知させるような発進用摩擦要素の締結ショックが発生するよう発進用摩擦要素の締結容量を一時的に前記設定締結容量よりも大きくすることを特徴とする排気浄化触媒の活性化促進装置。
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