JP2008213063A - クランプ装置及びワークの自動調芯把持方法 - Google Patents

クランプ装置及びワークの自動調芯把持方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡素な構造でワークを自動調芯しつつ把持することができ、クランプ時のワーク表面の損傷を抑えることができるクランプ装置及びワーク自動調芯把持方法を提供する。
【解決手段】立型回転装置RのワークWを把持するクランプ装置100であって、立型回転装置Rの上面に固定されるテーブル10と、立型回転装置Rの回転中心C1側に先端部23を向けてテーブル10に対して上下方向に回動自在に設けられ、ワークWを載置する載置部33、及び、この載置部33をワークWによって押し下げられて先端部23を斜め上方に向けた非クランプ姿勢からクランプ姿勢に移行したときにワークWの外径部を押圧し把持する把持部34,35を有する複数のクランプ爪20とを備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、立型回転装置のワークを把持するクランプ装置及びこれを用いたワークの自動調芯把持方法に関する。
円筒形状又は段付円筒形状ワークを把持し芯出しするクランプ装置としてスクロールチャックが知られている(特許文献1等)。スクロールチャックは、複数の爪の内接円が常に同心となるべく複数の爪が同期して動作するように構成される。
特開平7−314218号公報
スクロールチャックは、複数の爪の動作を同期させる複雑な構造を要する他、回転軸が鉛直な回転装置に適用した場合、スクロールチャックへのワーク搭載手順の過程で次のような問題の発生が予想される。
まず、スクロールチャック上の任意位置にワークを載置した後、複数の爪のクランプ力によりワークを芯位置まで摺り動かすことで把持・芯出しする場合、ワークとスクロールチャックの間に作用する静止摩擦力に抗するクランプ力が要求され、強いクランプ力によりワークに爪の圧痕等が残る恐れがある。また、ワークをスクロールチャック上で摺り動かすことで、ワークに擦り傷が付く恐れもある。
次に、スクロールチャック上にワークが載置される前に、クレーン等で吊り下げられた状態のワークをクランプする場合、芯位置までワークを移動させるのにさほど力を要さないが、クレーンのワイヤを外した後、爪のクランプ力でスクロールチャックから浮いた状態のワークを保持しなければならないため、結局のところ大きなクランプ力を要しワークに圧痕が付く恐れも増す。吊り下げたワークを軽くクランプして芯を出した後、スクロールチャック上にワークを下ろすことも考えられるが、この場合には爪で軽くクランプした状態のままワークを下降させるので、ワークを下降させる際に爪と擦れることによる擦り傷がワークに残る恐れが生じる。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、簡素な構造でワークを自動調芯しつつ把持することができ、クランプ時のワーク表面の損傷を抑えることができるクランプ装置及びワーク自動調芯把持方法を提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、立型回転装置のワークを把持するクランプ装置であって、前記立型回転装置の回転中心側に先端を向けて前記テーブルに対して上下方向に回動自在に設けられ、ワークを載置する載置部、及び、この載置部をワークによって押し下げられて先端を斜め上方に向けた非クランプ姿勢からクランプ姿勢に移行したときにワークの外径部を押圧し把持する把持部を有する複数のクランプ爪とを備えたことを特徴とする。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記クランプ爪は、前記テーブルに回動自在に取り付けられたスイングアームと、このスイングアームの先端に取り付けられ前記載置部及び前記把持部を有するフィンガとを備えていることを特徴とする。
(3)上記(2)において、好ましくは、前記フィンガは前記載置部から突出した突出部を有しており、前記クランプ姿勢のときに、前記立型回転装置の回転中心に最も近付く前記フィンガの先端部又は前記突出部の前記回転中心に最も近付く部分が前記把持部として機能することを特徴とする。
(4)上記(2)において、好ましくは、前記スイングアームに対する前記フィンガの突出量を調整する調整手段を備えていることを特徴とする。
(5)上記(1)において、好ましくは、ワークをクランプしていないときに前記クランプ爪が前記非クランプ姿勢を保持するように前記クランプ爪を付勢する付勢手段を備えている。
(6)上記(1)のクランプ装置を用いたワークの自動調芯把持方法であって、前記クランプ姿勢に移行した際に、前記回転装置の回転中心と同心でワークと同径の円柱の外周面に前記複数のクランプ爪の把持部が当接するように予めクランプ爪を調整しておき、前記非クランプ姿勢にある前記複数のクランプ爪の載置部にワークを下ろし、さらにワークを下降させワークで前記載置部を押し下げて前記クランプ姿勢に移行することにより、前記クランプ姿勢に移行すると同時に径方向複数箇所から前記把持部によってワークを押圧し、これによりワークを把持し調芯することを特徴とする。
本発明によれば、簡素な構造でワークを自動調芯しつつ把持することができ、クランプ時のワーク表面の損傷を抑えることができる。
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係るクランプ装置の平面図、図2は図1におけるII−II断面による断面図、図3は図2に対応する図で後述するフィンガ22が起立した状態を示す説明図、図4は図1におけるIV−IV断面による断面図である。
図1〜4に示したクランプ装置100は、回転中心C1が鉛直方向に延びる立型回転装置Rに取り付けられ、後の図6(a)及び図6(b)に示すようにワークWの軸心線C2を立型回転装置Rの回転中心C1に合わせ、同時にワークWを把持し立型回転装置R上に固定するものである。クランプ装置100は、立型回転装置Rの上面に固定されるテーブル10と、テーブル10に設けたワーク把持用の複数(本実施の形態では8本)のクランプ爪20とを備えている。
テーブル10は、貫通した開口11を中央部に有するドーナツ状の部材であり、開口11を囲うようにして配置された複数(本実施の形態では8本)の取り付けネジBにより立型回転装置Rの上面に固定されている。またテーブル10は、上方から見て放射状かつ等間隔に配置した複数(本実施の形態では8つ)の取り付け部12が外周部に突出した形状をしており、それら取り付け部12の外周部には、立型回転装置Rの回転中心C1を中心とする仮想円の接線方向にピン13がそれぞれ挿入される。また、取り付け部12の上面には、後述するスイングアーム21よりも幅及び高さが僅かに(例えば0.2mm程度)大きい溝14が先の仮想円の法線方向にそれぞれ形成されている。また、テーブル10の下面における各溝14の直下で立型回転装置Rの外周側に近接する位置には、バネ40を掛けるための穴を有する留め具15が取り付けられている。留め具15の形状やバネ40を掛ける穴の数は限定されないが、本実施の形態では、留め具15はチャンネル材を用いてL型に形成してあり、バネ40を掛ける穴は2つとしてある。
クランプ爪20は、テーブル10に上記ピン13を介して取り付けられたスイングアーム21、及びスイングアーム21の先端(回転中心C1側)に取り付けられたフィンガ22をそれぞれ備えており、立型回転装置Rの回転中心C1側に先端(フィンガ22の先端部23)を向けてテーブル10に対して上下方向に回動自在に設けられている。
スイングアーム21は、上から見て先端側(回転中心C1側)がU字状に開口しており、スイングアーム21のこれと反対側(反回転中心C1側)にはバネ40を掛けるための穴を有する留め具24が取り付けられている。留め具24の形状やバネ40を掛ける穴の数は限定されないが、本実施の形態では、留め具24は板材で形成してあり、バネ40を掛ける穴は2つとしてある。
テーブル10とスイングアーム21の各留め具15,24は、バネ40を介して連結されている。これにより、ワークWをクランプしていないときには、図3に示したようにバネ40によりスイングアーム21が付勢され、クランプ爪20が、ピン13を支点にフィンガ22の先端部23を斜め上方に向けた姿勢(このクランプ爪20が溝14の底面に当接していない姿勢を“非クランプ姿勢”と記載する)を保持するようになっている。クランプ爪20の回動範囲の上限(クランプ爪20の起立角度)は、スイングアーム21の下部に設けたストッパ25により制限される。つまり、クランプ爪20は、通常の状態ではストッパ25がテーブル10の外周部に当接するところまでバネ40の付勢力で起立し、その状態で姿勢保持される。
前述したスイングアーム21のU字状の開口部は、図4に示すように内側に先端に向かって延びる凸部26を有している。この凸部26は、フィンガ22の対向部に形成された(同じく先端に向かって延びる)凹部27に嵌合し、これによりフィンガ22がスイングアーム21に対して進退可能な構成となっている。また、クランプ爪20には、スイングアーム21に対するフィンガ22の突出量を調整する調整手段30が設けられている。
調整手段30は、フィンガ位置決め用シャフト31と、このフィンガ位置決め用シャフト31に連結された操作手段であるダイヤル32とを備えている。フィンガ位置決め用シャフト31は、スイングアーム21を貫通し、先端の雄ねじ部分がフィンガ22の軸線方向に形成された雌ネジ部に螺合している。ダイヤル32は、スイングアーム21の外周部から突出した端部に固定されており、ダイヤル32を回転操作することによりダイヤル32と一体となってフィンガ位置決め用シャフト31が回転し、それに伴ってフィンガ22がスイングアーム21に対して進退する。なお、ダイヤル32には、フィンガ22の突出量(又はこれに対応するフィンガ位置決め用シャフト31の回転量)が判る目盛りが表示されており、ダイヤル32の目盛りを見てフィンガ22の突出量を精密に調整することができるように配慮されている。
フィンガ22はワークWを載置する載置部33を有している。載置部33は、フィンガ22の上面である。前述した通り、非クランプ姿勢にあるときクランプ爪20は先端部23を斜め上方に向けて起立しているが、クレーン等により吊り下げられたワークWが下降してきた際、ワークWに載置部33(厳密には載置部33の先端側端部)を押し下げられ、徐々に水平姿勢に移行していき、載置部33がクランプ爪20の回動範囲の下限(クランプ爪20が溝14の底部に当接した状態であり、この姿勢を“クランプ姿勢”と記載する)まで押し下げられることで、ワークWは載置部33に載置され、ワークWの全重量が載置部33により支持される。
このとき、フィンガ22には、クランプ爪20が非クランプ姿勢からクランプ姿勢に移行したときにワークWの外径部を押圧し把持する把持部34,35が設けられている。把持部34は、クランプ姿勢に移行した際に立型回転装置Rの回転中心C1に最も近付くフィンガ22の先端部23である。また、フィンガ22は、載置部34から上方に突出部36を突出させたL字型状の部材となっており、クランプ姿勢のときに突出部36における回転中心C1に最も近付く部分(本実施の形態では突出部36の回転中心C1側の面)が把持部35として機能する。
次に図5〜図8を用いて本実施の形態のクランプ装置の動作を説明する。
まず、図5(a)及び図5(b)並びに図6(a)及び図6(b)を用い、ロータ形状のワークWの最大径部を把持する動作の一例を説明する。図5(a)はワークWを搭載する前の状態、図5(b)はワークWがフィンガ22に接した状態、図6(a)は立型回転装置Rの回転中心C1と軸心線C2がずれた状態でワークWを下降させる状態、図6(b)はワークWの自動調芯把持が完了した状態を示している。
ここでは、例えば把持部34(先端部23)よりも回転中心C1から遠い、フィンガ22の突出部36に形成した把持部35でワークWの最大径部を把持する場合を例示する。したがって、ワークWを搭載したとき(つまりクランプ姿勢に移行したとき)、ワークWの最大直径r1と実質同径で立型回転装置Rの回転中心C1を中心とする円柱の外周面にフィンガ22の把持部35が当接する(押圧力は目的に応じて適宜調整)ように、予めダイヤル32によりスイングアーム21に対するフィンガ22の突出量を調整しておく。
この段取りを終えたら、図5(a)に示すようにクレーン(図示せず)等により吊り下げたワークWをクランプ装置100の上方に移動させる。このとき、ワークWの吊り位置は、ワークWを下降させた場合に各フィンガ22の載置部33の先端部23近傍がワークWの最大径部の下側端面s1に接する位置であれば、立型回転装置Rの回転中心C1に対してワークWの軸心線C2がずれていても構わない(例えば図6(a)参照)。
その後ワークWを下降させていくと、図5(b)に示すように載置部33の先端部23近傍部分にワークWの下側端面s1が当接する。こうして非クランプ姿勢にある各クランプ爪20の載置部33にワークWを下ろし、図6(a)に示すように、さらにワークWを下降させると、ワークWの重量によってバネ40の付勢力に抗して載置部33が押し下げられていく。図6(b)に示したように、テーブル10の溝14の底部に当接するまでクランプ爪20が倒れてクランプ姿勢に移行したら、ワークWが載置部33に載置され、その全重量は載置部33により支持される。
このとき、ワークWに押し下げられる過程でクランプ爪20が徐々に水平になっていくと、クランプ爪20の回動に伴って把持部35が徐々に回転中心C1に近付く。そのため、ワークWの軸心線C2が立型回転装置Rの回転中心C1とずれていても、ワークWが吊り下げられている間(クレーンにより支持されている間)に、回転中心C1に対するワークWの偏心側にあるクランプ爪20の把持部35が、回転中心を挟んで反対側のクランプ爪20に先行してワークWの最大径部の外周面に当接し、ワークWがさらに下降するのに伴って把持部35が回転中心C1に向かってワークWを押す。このようにしてワークWに押し下げられる形でクランプ爪20がクランプ姿勢に移行することにより、ワークWの重量が完全に載置部33に受けられるまでにワークWの自動調芯がなされる。したがって、クランプ姿勢への移行と同時に、予め位置調整してあった各フィンガ22の把持部35がワークWの最大径部を径方向複数箇所から押圧し、これによりワークWが把持されると同時に調芯も完了する。
続いて、図7(a)及び図7(b)並びに図8(a)及び図8(b)を用い、ロータ形状のワークWの最大径部に連続するシャフトWaの根元部Wbの外周面を把持する動作の一例を説明する。図7(a)はワークWを搭載する前の状態、図7(b)はワークWがフィンガ22に接した状態、図8(a)は立型回転装置Rの回転中心C1と軸心線C2がずれた状態でワークWを下降させる状態、図8(b)はワークWの自動調芯把持が完了した状態を示している。
ここでは、例えばフィンガ22の突出部36に形成した把持部35よりも回転中心C1に近い把持部34(先端部23)でワークWのシャフト根元部Wbを把持する場合を例示する。したがって、ワークWを搭載したとき(つまりクランプ姿勢に移行したとき)、ワークWのシャフト根元部Wbの直径r2と実質同径で立型回転装置Rの回転中心C1を中心とする円柱の外周面にフィンガ22の把持部34が当接する(押圧力は目的に応じて適宜調整)ように、予めダイヤル32によりスイングアーム21に対するフィンガ22の突出量を調整しておく。
この段取りを終えたら、図7(a)に示すようにクレーン(図示せず)等により吊り下げたワークWをクランプ装置100の上方に移動させる。このとき、ワークWの吊り位置は、ワークWを下降させた場合に各フィンガ22の載置部33の先端部23近傍がワークWの最大径部の下部端面s1に接する位置であれば、立型回転装置Rの回転中心C1に対してワークWの軸心線C2がずれていても構わない(例えば図8(a)参照)。
その後ワークWを下降させていくと、図7(b)に示すように載置部33の先端部23近傍部分にワークWの下側端面s1が当接する。こうして非クランプ姿勢にある各クランプ爪20の載置部33にワークWを下ろし、図8(a)に示すように、さらにワークWを下降させると、ワークWの重量によってバネ40の付勢力に抗して載置部33が押し下げられていく。図8(b)に示したように、テーブル10の溝14の底部に当接するまでクランプ爪20が倒れてクランプ姿勢に移行したら、ワークWが載置部33に載置され、その全重量は載置部33により支持される。
このとき、ワークWに押し下げられる過程でクランプ爪20が徐々に水平になっていくと、クランプ爪20の回動に伴って把持部34が徐々に回転中心C1に近付く。そのため、ワークWの軸心線C2が立型回転装置Rの回転中心C1とずれていても、ワークWが吊り下げられている間(クレーンにより支持されている間)に、回転中心C1に対するワークWの偏心側にあるクランプ爪20の把持部34が、回転中心を挟んで反対側のクランプ爪20に先行してワークWのシャフト根元部Wbの外周面に当接し、ワークWがさらに下降するのに伴って把持部34が回転中心C1に向かってワークWを押す。このようにしてワークWに押し下げられる形でクランプ爪20がクランプ姿勢に移行することにより、ワークWの重量が完全に載置部33に受けられるまでにワークWの自動調芯がなされる。したがって、クランプ姿勢への移行と同時に、予め位置調整してあった各フィンガ22の把持部34がワークWのシャフト根元部Wbを径方向複数箇所から押圧し、これによりワークWが把持されると同時に調芯も完了する。
以上、本実施の形態によれば、ワークWの芯出し・把持がワークWの載置と実質的に同時に行なわれる。つまり、ワークWが載置部33に載置されるまでワークWはクレーンで吊られており、摩擦力による拘束を受けていない状態である。そのため、仮にワークWを載置部33上で摺り動かす場合にはワークWの自重Gに摩擦係数μを乗じた摩擦力μGが発生するが、クランプ爪20が立型回転装置Rの回転中心C1に向かってワークWを押す力はそのような摩擦力μGに抗する必要がないので、小さな力で足りる。
このように、スクロールチャックの如く載置後にクランプ爪のクランプ力でワークを押して調芯する場合に対し、クランプ爪20によるワークWへの圧痕や載置部33との擦れ傷等の発生を抑制することができる。また、載置部33に載置されると同時にクランプ爪20によりワークWがクランプされるので、載置前にワークWをクランプする調芯方法に対し、クランプ爪20によるワークWへの圧痕やクランプ爪20との擦れ傷等の発生を抑制することができる。また、ワークWの自重を芯出し及びクランプの力に変換する構成であるため、スクロールチャックのようにワークの芯出し及びクランプに複雑な構成や動力を必要としない。したがって、簡素な構造でワークWを自動調芯しつつ把持することができ、クランプ時のワークWの表面の損傷を抑えることができる。
また、上記のようにワークWへのダメージを抑制することができるので、製品の信頼性を向上させることができる。
また、フィンガ22の突出量を調整した後は、クレーン等を使用してワークWを載置部33に載置するだけでワークWの芯出し・把持が自然と完了するので、作業時間を短縮することができ作業効率を向上させることができる。
さらに、スクロールチャックは複数の爪の動作を同期させる複雑な構造に制約され、爪の移動ストロークが一般に小さい。そのため、スクロールチャックを立型回転装置に取り付けても爪を大きく退避することができず、スクロールチャック上にワークを降ろす場合にワークを爪にぶつけないように慎重にクレーンを操作しなければならない。それに対し、本実施の形態では、クランプ爪20の長さと起立角度に応じてワークWを受け入れる間口を大きくとることができるので、立型回転装置Rの回転中心C1からのワークWの吊り位置の誤差の許容範囲をスクロールチャックに比して大きくとることができ、ワークWをクランプ装置100に載置する作業者の作業負担を技能的及び心理的に軽減することができる。
なお、以上において、クランプ爪20の非クランプ姿勢(起立姿勢)を保持するのにバネ40の引っ張り力を用いたが、圧縮力をクランプ爪20への付勢力に利用する構成としても良い。また付勢手段としては、コイルバネに限らず、その他の各種スプリング類や、場合によってはゴム等の弾性体も利用可能である。さらには、こうした付勢手段を用いず、例えば重心がピン13よりもテーブル10の径方向外側になるようにクランプ爪20を構成し、ワークWが載せられていないとき自重によりクランプ爪20が非クランプ姿勢を保持するようにすることもできる。
また、上記実施の形態では、フィンガ22に突出部36を設けて2つの把持部34,35を設けたが、把持部の数は1つでも良いし3つ以上設けても良い。例えば、立型回転装置Rのクランプ対象物の種類が少なく、クランプ部分の径もダイヤル32によるフィンガ22の調整代で吸収できる程度しか変わらない場合、例えば突出部36を省略する等して把持部を1箇所にしても良い。また、クランプ対象物の種類が多く径の差もダイヤル32による調整では吸収できない場合には、フィンガ22の上面を3段以上の階段状にして把持部を増設しても良い。しかしフィンガ22に把持部を増設するにしても限度があるため、ダイヤル32の調整代と把持部の数による対応で無理があるようなら、フィンガ22又はクランプ爪20を異なる設計のものに交換するか、取り付けネジBを取り外してクランプ装置100自体を他の設計のものに交換することができる。
また、シャフトWaを有するワークWをクランプ対象物としたため、中央に開口11を有するテーブル10を用いた場合を例に挙げて説明したが、例えば載置部33に載置する端面に突起などなく平坦なワークをクランプ対象物とする場合にはテーブル10の開口11はなくても良い。
また、図1に示したように回転中心C1を中心に等位相でクランプ爪20を配置した(C1を中心とする円周上に等間隔で配置した)が、等位相である必要はない。必要なクランプ力が確保できる範囲で、3本以上のクランプ爪20によってワークWを外周から押すことによりワークWの芯出しができる構成であれば良い。
また、フィンガ22の突出量を調整する調整手段30は必須ではない。例えば、フィンガ22又はクランプ爪20を把持部の位置が異なるものと交換することにより把持部の位置調整をすることも考えられ、この場合には調整手段30は省略できる。
また、回転中心C1が鉛直な立型回転装置Rにクランプ装置100を取り付けた場合を例示に挙げて説明したが、厳密に回転中心が鉛直なものに限らず、鉛直に対して回転中心が多少傾斜した立型回転装置にもクランプ装置100は適用可能である。上記実施の形態で説明したクランプ装置100を取り付ける立型回転装置は、円筒形状・段付円筒形状のワークをクランプして回転可能な立型回転装置の全般であり、例としては、立型旋盤、立型ターニングセンタ、立型マシニングセンタ等が挙げられる。その他、製缶工程における溶接或いは溶接ビードの検査時のワークの割出テーブル、例えばロータのかしめ作業時にロータを固定するターンテーブル等、多分野に適用可能である。本発明のクランプ装置は、多数の同一形状品を繰り返し芯出し把持する必要がある場合に使用すると特に効果的である。
本発明の一実施の形態に係るクランプ装置の平面図である。 図1におけるII−II断面による断面図である。 図2に対応する図でありフィンガが起立した状態を示す説明図である。 図1におけるIV−IV断面による断面図である。 本発明の一実施の形態に係るクランプ装置の動作説明図である。 本発明の一実施の形態に係るクランプ装置の動作説明図である。 本発明の一実施の形態に係るクランプ装置の動作説明図である。 本発明の一実施の形態に係るクランプ装置の動作説明図である。
符号の説明
10 テーブル
20 クランプ爪
21 スイングアーム
22 フィンガ
23 先端部
30 調整手段
31 フィンガ位置決め用シャフト
32 ダイヤル
33 載置部
34 把持部
35 把持部
36 突出部
40 バネ
100 クランプ装置
C1 回転中心
C2 軸心線
R 立型回転装置
W ワーク

Claims (6)

  1. 立型回転装置のワークを把持するクランプ装置であって、
    前記立型回転装置の上面に固定されるテーブルと、
    前記立型回転装置の回転中心側に先端を向けて前記テーブルに対して上下方向に回動自在に設けられ、ワークを載置する載置部、及び、この載置部をワークによって押し下げられて先端を斜め上方に向けた非クランプ姿勢からクランプ姿勢に移行したときにワークの外径部を押圧し把持する把持部を有する複数のクランプ爪と
    を備えたことを特徴とするクランプ装置。
  2. 請求項1のクランプ装置において、前記クランプ爪は、前記テーブルに回動自在に取り付けられたスイングアームと、このスイングアームの先端に取り付けられ前記載置部及び前記把持部を有するフィンガとを備えていることを特徴とするクランプ装置。
  3. 請求項2のクランプ装置において、前記フィンガは前記載置部から突出した突出部を有しており、前記クランプ姿勢のときに、前記立型回転装置の回転中心に最も近付く前記フィンガの先端部又は前記突出部の前記回転中心に最も近付く部分が前記把持部として機能することを特徴とするクランプ装置。
  4. 請求項2のクランプ装置において、前記スイングアームに対する前記フィンガの突出量を調整する調整手段を備えていることを特徴とするクランプ装置。
  5. 請求項1のクランプ装置において、ワークをクランプしていないときに前記クランプ爪が前記非クランプ姿勢を保持するように前記クランプ爪を付勢する付勢手段を備えていることを特徴とするクランプ装置。
  6. 請求項1のクランプ装置を用いたワークの自動調芯把持方法であって、
    前記クランプ姿勢に移行した際に、前記回転装置の回転中心と同心でワークと同径の円柱の外周面に前記複数のクランプ爪の把持部が当接するように予めクランプ爪を調整しておき、
    前記非クランプ姿勢にある前記複数のクランプ爪の載置部にワークを下ろし、さらにワークを下降させワークで前記載置部を押し下げて前記クランプ姿勢に移行することにより、前記クランプ姿勢に移行すると同時に径方向複数箇所から前記把持部によってワークを押圧し、これによりワークを把持し調芯する
    ことを特徴とするワークの自動調芯把持方法。
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