例えば、テレビカメラでは、被写体像を結像する撮影光学系を備えたレンズ装置がカメラ本体に着脱可能にマウントにより装着される。撮影光学系のフォーカスやズーム等を電動で操作するレンズ装置では、操作者(カメラマン)がフォーカスやズームの操作を行うための操作部材を備えたレンズ操作装置がケーブルで接続され、又は、撮影光学系の鏡胴本体にドライブユニットとして装着される。そして、レンズ操作装置の操作部材の操作位置が位置センサ(位置検出装置)により電気的に検出され、撮影光学系を構成する所定のレンズ群がその操作位置に対応した設定位置又は動作速度となるように制御されることによって撮影光学系のフォーカスやズーム等が操作部材の操作に従って変更されるようになっている。
このようなレンズ操作装置において、従来では操作部材の操作位置の検出に、ポテンショメータのように絶対位置を検出する絶対位置検出型の位置センサが用いられる場合と、インクリメンタル型ロータリーエンコーダ(以下、単にエンコーダという)のように相対位置を検出する相対位置検出型の位置センサが用いられる場合がある。しかしながら、いずれのタイプの位置センサを用いる場合においても欠点がある。
例えば、回転型の操作部材の操作位置(回転位置)の検出において検出軸(回転軸)の回転位置に応じた電圧を出力するポテンショメータ(絶対位置検出型の位置センサ)を用いた場合、検出軸の回転位置とそれに対する出力値(出力電圧)との関係において直線性(出力の直線性)が良くない。即ち、検出軸の回転位置の一定変化量(一定回転量)に対する出力値の変化量が、検出軸の回転位置に応じて変動する。そのため、操作部材の操作位置の検出に絶対位置検出型の位置センサを用いた場合には、操作部材の操作位置の一定変化量(一定操作量)に対する制御対象の位置変化量(又は速度変化量)が位置センサの特性に依存して操作部材の位置によって相違すると共に、その度合いにも個体差が生じ、操作性が良くないという欠点がある。
一方、回転型の操作部材の操作位置の検出において検出軸の回転量(回転位置の変化量)に応じた数のパルスを出力するエンコーダ(相対位置検出型の位置センサ)を用いた場合、検出軸の一定回転量に対する出力パルス数が検出軸の回転位置に関係なく常に一定となる。従って、操作部材の操作位置の検出に相対位置検出型の位置センサを用いた場合には、その位置センサの出力パルス数を操作部材の操作量(操作位置の変化量)としたときに、操作部材の一定操作量に対する制御対象の位置変化量(又は速度変化量)が、操作部材の操作位置に関係なく、また、個体差もほとんどなく、常に一定となるため、操作性に優れている。
しかしながら、相対位置検出型の位置センサでは、操作部材の操作位置を絶対位置として検出すると共に、その操作位置に対応した位置となるように制御対象のレンズ群を制御するような場合に、レンズ制御の処理動作開始後(電源投入後)の初期設定の作業が必要になるという欠点がある。
例えば、処理動作開始時における操作部材の操作位置とレンズ群の位置とを各々の基準位置として、基準位置からの操作部材の操作量を相対位置として位置センサにより検出し、その操作量に対応する位置変化量分だけレンズ群を基準位置から移動させるようにすると、相対位置検出型の位置センサでも処理動作開始後に迅速にレンズ制御を開始することができる。
一方、制御対象であるレンズ群の可動範囲の両側には可動端がある。この場合に、レンズ群が可動端に到達したことを操作者が認識できるようにするために、レンズ群の可動端に対応して操作部材の可動範囲にも機械的な可動端を設けておき、レンズ群が可動端に到達したときに操作部材をそれ以上の回動操作できないようにしておくことが望ましい。このように操作部材の可動範囲に可動端を設ける場合には、操作部材の両側の可動端とレンズ群の両側の可動端とが一致するように操作部材の操作位置とその操作位置に対して設定されるレンズ群の位置とを対応させる必要がある。もし、上記のように処理動作開始時における操作部材の操作位置とレンズ群の位置とを対応付けてレンズ制御を開始したとすると、操作部材が可動端に到達してもレンズ群が可動端に到達せず、レンズ群の可動範囲が狭くなるという不具合が生じる。
そのため、操作部材の操作位置を絶対位置として検出できるようにし、操作部材の絶対位置に対して可動端が一致するように対応付けられた位置にレンズ群を設定する必要が生じる。そこで、相対位置検出型の位置センサで操作部材の操作位置を絶対位置として検出できるようにするために、まず、操作部材の操作位置が、絶対位置として把握されている予め決められた基準位置、例えば、いずれかの可動端に一致したことをスイッチ手段などで検出できるようにしておく。そして、操作部材の操作位置が所定の基準位置に一致したことを検出した場合に、その後のその基準位置からの操作部材の操作量を相対位置検出型の位置センサで検出する。これによって、任意の操作位置での絶対位置が検出できるようになる。尚、エンコーダの出力には、通常、Z相があり、そのZ相の信号として例えば検出軸の決まった回転位置でパルス信号が出力されるため、そのZ相のパルス信号が出力されるときの操作位置を基準位置とすることもできる。
このように、操作部材の操作位置の検出に相対位置検出型の位置センサを用いた場合には、処理動作開始後において操作者が操作部材を所定の基準位置に設定する必要があるため、その煩わしい作業が必要になると共に、即座にレンズ制御を開始することができないという欠点がある。
以上のような絶対位置検出型の位置センサと相対位置検出型の位置センサの欠点を解消するために特許文献1には、操作部材の操作位置の検出に絶対位置検出型と相対位置検出型の両方の位置センサを用いることが開示されている。これによれば、処理動作開始後において相対位置検出型の位置センサの初期設定が行われていない間は、絶対位置検出型の位置センサによって操作部材の操作位置が絶対位置として検出され、その操作位置に基づいてレンズ制御が行われる。そして、絶対位置検出型の位置センサで操作部材の操作位置の検出が行われている間に、操作部材の操作位置が予め決められた基準位置に一致したことを検出すると、相対位置検出型の位置センサの初期設定が行われる。初期設定が行われた後は、その基準位置からの操作部材の操作量を相対位置検出型の位置センサで検出することによって操作部材の操作位置が絶対位置として検出され、その操作位置に基づいてレンズ制御が行われる。これによれば、相対位置検出型の位置センサの初期設定が行われるまでの間、絶対位置検出型の位置センサによる操作部材の操作位置の検出と、その操作位置に基づくレンズ制御が行われるため、操作部材の操作開始と共にレンズ制御が開始されるようになる。そして、操作者の都合のよいタイミングで、又は、操作者が特別に意識することなく相対位置検出型の位置センサの初期設定が行われ、相対位置検出型の位置センサによる操作部材の操作位置の検出と、その操作位置に基づくレンズ制御に移行することができる。
また、特許文献1に開示されている他の実施の形態では、処理動作開始時において、絶対位置検出型の位置センサにより操作部材の操作位置が絶対位置として検出される。これによって、そのときの操作部材の操作位置が絶対位置として把握されるため、その操作位置を基準位置とすることができ、処理動作開始と共に相対位置検出型の位置センサの初期設定が実行される。そして、その基準位置からの操作量を相対位置検出型の位置センサで検出することによって操作部材の操作位置が絶対位置として検出され、その操作位置に基づいてレンズ制御が行われる。これによれば、相対位置検出型の位置センサの初期設定が処理動作開始と同時に行われ、相対位置検出型の位置センサによる操作部材の操作位置の検出と、その操作位置に基づくレンズ制御が即座に開始されるようになる。
特開平11−271041号公報
以下、添付図面に従って本発明に係る位置検出装置及びそれを用いたレンズ操作装置を実施するための最良の形態について詳説する。
図1は、本発明に係る位置検出装置の内部構造を示した図である。本発明に係る位置検出装置1は、基本的な構造がインクリメンタル型ロータリーエンコーダ(以下、単にエンコーダと称す)と一致しており、同図に示すように回転軸2が図示しないハウジングに回動可能に支持されている。回転軸2には、円盤状のコード板4が固定されており、そのコード板4が回転軸と共に回動するようになっている。
コード板4の正面側には、3つの発光素子6A、6B、6Cが配置され、コード板4の背面側には3つの受光素子8A、8B、8Cが配置されており、コード板4を挟んで3組の発光素子6Aと受光素子8A、発光素子6Bと受光素子8B、発光素子6Cと受光素子8Cが対向して配置されている。これによって、各受光素子8A、8B、8Cからは、対向配置された各発光素子6A、6B、6Cから出射された光のうち、コード板4を透過して各受光素子8A、8B、8Cに入射した光の光量に応じた電圧の信号が出力されるようになっている。
コード板4は、例えば、ガラスやプラスチックのような透明部材を基板としている。尚、この透明部材の基板は、光の透過率が1の特性を有するものとして以下説明するがこれに限らない。そして、その表面に光の透過率を低減させる遮光材料が所望のパターン、又は、濃度でプリントされ、所定のコードが形成されている。
図2にコード板4の正面図を示す。同図に示すようにコード板4は径方向に3つの領域10、12、14に分けられている。領域(A相領域)10と領域(B相領域)12は、従来のエンコーダにおいてA相とB相の信号を出力するためのコードと同一のコードが環状に形成されており、光を完全に透過する透過率1の部分(スリット部分)と光を略完全に遮断する透過率0の部分(遮光部分)とが交互に配列されている。
A相領域10には図1の発光素子6Aと受光素子8Aの組が対向配置され、B相領域12には図1の発光素子6Bと受光素子8Bの組が対向配置されている。従って、受光素子8Aからは、発光素子6Aから出射されてコード板4のA相領域を透過した光の光量に応じた電圧の信号が出力され、従来のエンコーダと同等のA相信号が受光素子8Aから出力される。一方、受光素子8Bからは、発光素子6Bから出射されてコード板4のB相領域12を透過した光の光量に応じた電圧の信号が出力され、従来のエンコーダと同等のB相信号が受光素子8Bから出力される。
図3(A)、(B)には、回転軸2の回転に伴いコード板4が回転した場合に、受光素子8Aと受光素子8Bの各々から出力されるA相信号とB相信号が例示されている。同図に示すように回転軸2が所定方向(正転方向又は逆転方向)に所定角度回転するごとにA相信号、B相信号として1つのパルス信号が出力される。周知のようA相信号とB相信号とは、位相がずれており、その位相関係が回転軸2の回転方向によって相違するようになっている。従って、これらのA相信号及びB相信号に基づいて回転軸2の回転位置の変化量(回転量)を検出することができる。そして、位置検出装置1に接続されたカウンタのカウント値にその回転軸2の回転量分の値が加算又は減算されることによって、回転軸2の回転位置を示すカウント値がカウンタによって得られるようになっている。
尚、詳細を後述するようにカウンタの初期設定を行うことによって、カウンタのカウント値が回転軸2の絶対的な回転位置(絶対位置)を示すようにすることができる。
また、図2のようにA相領域10とB相領域12とで分けて2つのコードを形成するのではなく、1つのコード(例えばA層領域10のコードとB層領域12のうちのいずれか一方のコード)を1つの領域に形成し、その領域にA相信号を出力するための発光素子6Aと受光素子8A、B相信号を出力するための発光素子6Bと受光素子8Bとを配置すると共に、それらの位置をずらして受光素子8A、8Bの各々から出力されるパルス信号が図3のA相信号とB相信号のように位相がずれるようにしてもよい。
図2においてコード板4の領域14は、従来のエンコーダではZ相信号を出力するためのコードが形成される領域である。本発明の位置検出装置1では、その領域14に回転軸2の回転位置を絶対位置として検出するためのグレースケールが形成される。尚、領域14をグレースケール領域14と称す。
グレースケール領域14は、コード板4の光の透過率を、光を完全に透過する透過率1(基板の透過率)から光を略完全に透遮断する透過率0まで徐々に変化させるようにした領域であり、同図では所定の基準位置から左回りに透過率が1から0に徐々に減少するように形成されている。このグレースケール領域14には図1の発光素子6Cと受光素子8Cの組が対向配置されている。従って、受光素子8Cからは、発光素子6Cから出射されてコード板4のグレースケール領域14を透過した光の光量に応じた電圧の信号が出力される。即ち、発光素子6Cから出射されて受光素子8Cに入射する光がコード板4と交差する位置(受光素子8Cの検出部)でのグレースケール領域14の透過率に応じた電圧の信号が受光素子8Cから出力される。尚、グレースケール領域14の透過率は、透明部材の基板にプリントする遮光材料の濃度によって変化させるようにしてもよいし、一定の濃度のドットやラインを透明部材の基板にプリントすると共にそのドットやラインの大きさ又は密度によってグレースケール領域14の透過率を変化させるようにしてもよい。
図3(C)、(D)には、回転軸2の回転に伴いコード板4が回転した場合に、受光素子8Cから出力される信号(以下、絶対位置信号と称す)が示されている。尚、同図(D)は、回転軸2を正転方向に回転し続けた場合の絶対位置信号の変化を示している。これらの図に示すように回転軸2が図2において左回り(図中では左周りを正転としている)に回転すると、コード板4上の基準位置が受光素子8Cの検出部を通過するときに、受光素子8Cから出力される絶対位置信号の値(電圧)が略0となる。そして、その時点から回転軸2(コード板4)が一回転するまでの間、受光素子8Cから出力される絶対位置信号の値が徐々に増加する。例えば、回転軸2の回転量に比例して絶対位置信号の値が増加する。同図(D)のように回転軸2が一回転して基準位置が受光素子8Cの検出部を通過するときには、受光素子8Cから出力される絶対位置信号の値が0に切り替わる。そのまま、回転軸2の左回りの回転が継続すると、一回転するごとに上記のような信号が繰り返し出力される。回転軸2が右回り(逆転方向)に回転した場合には左回り(正転方向)の回転の場合と逆の形態の絶対位置信号が出力される。
これによれば、受光素子8Cから出力される絶対位置信号の値によって、回転軸2の回転位置を絶対位置として検出することが可能となり、絶対位置を検出するポテンショメータと同等の出力信号が上記位置検出装置1から得られるようになる。また、一般的なエンコーダでは回転軸2が所定の回転位置となったことを示すZ相信号の出力を有するが、受光素子8Cから出力される絶対位置信号において値が急激に切り替わる基準位置での立ち上がり又は立ち下がりの信号を、所定の回転位置となったことを示すZ相信号として使用することによって、上記位置検出装置1をZ相信号を出力する通常のエンコーダとして使用することも可能である。
以上の如く構成された位置検出装置1は、回転軸2に連結された検出対象の絶対位置を検出するための絶対位置検出型の位置検出装置と、相対位置を検出するための相対位置検出型の位置検出装置のいずか一方の用途として、又は、両方の用途として使用することができ、どのように用いるかは特に限定されない。また、A相領域10、B相領域12、及び、グレースケール領域14の各々に対して設けられた各受光素子8A、8B、8Cの出力信号(A相信号、B相信号、絶対位置信号)をどのように使用して位置検出を行うかも特に限定されない。
尚、上記実施の形態では、各発光素子から出射されてコード板4の透過した光を各受光素子で受光するようにしたが、発光素子と受光素子とをコード板4に対して同一面側に配置し、発光素子から出射されてコード板4で反射した光を受光素子で受光するような構成にしてもよい。この場合には、コード板4の透過率を変えてコードを形成するのではなく、反射率を変えてコードを形成する。
また、上記実施の形態では、回転軸2と共にコード板4を回転させるようにしたが、回転軸2と共に発光素子6A〜6C及び受光素子8A〜8Cを回転させるようにしてもよく、回転軸2に連結された位置検出対象の位置の変位に対応して、コード板4と、各素子6A〜6C、8A〜8Cとの相対的な位置が変化するように構成すればよい。
また、上記実施の形態では、位置検出対象の位置の変位に対して、コード板4を回転させることによってコード板4と各素子6A〜6C、8A〜8Cの相対的な位置を変化させるようにしたが、位置検出対象の位置の変位に対して、コード板4又は各素子6A〜6C、8A〜8Cを直線的に移動させて、コード板4と各素子6A〜6C、8A〜8C相対的な位置を変化させるようにしてもよい。
次に、上記位置検出装置1を、テレビカメラのレンズ操作装置に適用する場合について説明する。図4には、上記位置検出装置1をテレビカメラのレンズ操作装置に適用した例が示されている。このレンズ操作装置は、主として、操作ノブ102、上記位置検出装置1、カウンタ104、A/D変換器106、中央処理装置(CPU)100及び各種データを格納したROM108等から成る。
操作ノブ102は、レンズ装置(撮影光学系)のフォーカスを操作するための回動可能な操作部材であり、操作ノブ102の操作位置(回転位置)に対応した位置へのフォーカス(撮影光学系の一部を構成するフォーカスレンズ群)の移動を指示するレンズ制御信号がCPU100から図示せぬレンズ装置に送出されてフォーカスの位置がそれに従い電動で変更されるようになっている。
操作ノブ102には、図1に示した位置検出装置1の回転軸2が連結されており、操作ノブ102の回動と共に回転軸2が回動するようになっている。これによって、操作ノブ102の操作位置が位置検出装置1によって検出されるようになっている。尚、本実施の形態では操作ノブ102の回動範囲は、可動端によって1回転の範囲内に制限されている。
位置検出装置1からは、相対位置を検出する通常のエンコーダと同様のA相信号とB相信号が出力されると共に、絶対位置を検出する通常のポテンショメータと同様の絶対位置信号が出力される。
位置検出装置1から出力されるA相信号とB相信号はカウンタ104に入力される。カウンタ104では、A相信号及びB相信号に基づいて操作ノブ102の操作量(操作位置の変化量)に応じた値が、カウント値に加算(又は減算)され、そのカウント値がCPU100に読み込まれる。また、カウンタ104のカウント値は、操作ノブ102の可動範囲内における絶対的な操作位置(絶対位置)を示す値となるように後述のように位置検出装置1から出力される絶対位置信号を利用して初期化される。
尚、カウンタ104のカウント値に加算する操作ノブ102の操作量に応じた値を、A相信号及びB相信号に基づいて取得する具体的な回路構成及び処理は一般的なエンコーダに対するものと同様に行われると共に周知であるため詳細な説明を省略する。また、位置検出装置1からカウンタ104に出力される信号もA相信号とB相信号そのものではなく、A相信号とB相信号を処理して得た信号(例えば、エンコーダとしての分解能の向上を図るためにA相信号とB相信号の排他的論理和によって得られた信号)でもよい。
一方、位置検出装置1から出力される絶対位置信号はA/D変換器106に入力され、アナログ信号からデジタル信号に変換された後、CPU100に読み込まれる。
ここで、絶対位置信号の値は、操作ノブ102の絶対位置を示す値であり、操作ノブ102の可動範囲内における絶対的な操作位置を絶対位置信号の値によって認識することが可能である。しかしながら、絶対位置信号は、アナログ量であるためノイズなどの影響を受け易い。そのため、高精度の制御が要求される場合には、エンコーダを使用することが望ましい。そこで、本実施の形態では、位置検出装置1から出力されるA相信号及びB相信号に基づいてカウンタ104によって得られたカウント値を使用して操作ノブ102の操作位置(絶対位置)を検出し、その操作位置に基づいてフォーカスの位置を制御する。一方、絶対位置信号は、カウンタ104のカウント値により操作ノブ102の絶対位置を検出できる状態となるまでの間に使用する。
そこで、先ず、レンズ操作装置の製造時に、操作ノブ102の可動端(両側の端点をA点、B点とする)において、A/D変換器106を介して読み込まれる絶対位置信号の値を調べ、これらの可動端での値をROM108に記憶しておく。
そして、電源投入時(起動時)に位置検出装置1の絶対位置信号の値を、A/D変換器106を介してCPU100で読み込み、操作ノブ102の現在位置を確認する。絶対位置信号の値が上記A点又はB点の何れかの端点に一致していない場合には、絶対位置信号の値がA点又はB点の何れかに一致するまでの間(操作ノブ102の操作位置がいずれかの可動端に到達するまでの間)、絶対位置信号の値を参照して操作ノブ102の操作位置を検出し、その操作位置に基づいてフォーカスの位置を制御する。即ち、図1及び図2に示したコード板4のグレースケール領域14の透過率(受光素子8Cの検出部における透過率)に基づいて操作ノブ102の操作位置を検出する。尚、絶対位置信号の値はA点とB点の値の範囲にあり、A点の値からB点の値まで、操作ノブ102の操作位置の変化量に比例して絶対位置信号の値が変化するものとして操作ノブ102の操作位置を絶対位置信号の値により検出することができる。また、操作ノブ102の操作位置の一定変化量に対する絶対位置信号の値が変化量が一定でない場合に、操作ノブ102の操作位置の一定変化量に対して操作位置を示す値が一定変化量となるように、絶対位置信号の値を補正するようにしてもよく、その場合に絶対位置信号の各値に対して補正後の値を示すデータを事前に作成してROM108に記憶させておくようにしてもよい。
操作ノブ102の操作中に絶対位置検出信号の値がA点又はB点の何れかの端点の値に一致したことを検出すると、カウンタ104をリセットし、以後、カウンタ104のカウント値を使用して操作ノブ102の操作位置を検出する。
尚、電源投入時において初めから絶対位置信号の値がA点又はB点の何れかの端点に一致していれば、直ちにカウンタ104をリセットし、以後、カウンタ104のカウント値を参照して操作ノブ102の操作位置を検出する。
次に、上記の如く構成された位置検出器を用いたレンズ操作装置の作用について説明する。図5は、図4のレンズ操作装置における処理の流れを示すフローチャートである。電源投入時、先ず、CPU100は位置検出装置1から出力される絶対位置信号の値をA/D変換器106を介して読み込む(ステップS110)。次いで、この読み込んだ値とROM108に記憶してある両端(A点、B点)の値とを比較して、絶対位置信号の値がA点又はB点の何れかの端点の値に一致しているか否かを判別する(ステップS112)。
絶対位置信号の値が端点(A点又はB点)の値に一致してない場合には、絶対位置信号の値をレンズの制御信号として使用することにする(ステップS114)。他方、電源投入時のステップS112の判断において、最初から絶対位置信号の値が端点の値に一致していることが確認された場合には、カウンタ104をリセットして(ステップS116)、位置検出装置1から出力されるA相信号及びB相信号により得られるカウンタ104のカウント値をレンズの制御信号として使用することにする。
続いて、カウンタ104のカウント値に基づいてレンズを制御しているか否かの確認が行われる(ステップS118)。起動時のステップS112の判断で絶対位置信号の値が端点(A点又はB点)に一致していないという状況下では、この確認判別(ステップS118)は「NO」と判定され、ステップS120に進む。そして、ステップS120で再び、絶対位置信号の値がA点、B点何れか一方の端の値に一致したか否かの判別が行われるが、この場合は、かかる判定も「NO」となる。こうして、絶対位置信号の値に応じたレンズ制御が実行される(ステップ S128)。
操作ノブ102の操作に従ってレンズが制御されると(ステップS128)、処理はステップS118に戻り、カウンタ104のカウント値に基づいてレンズを制御しているか否かの確認が行われる(ステップS118)。絶対位置信号の値を使用してレンズ制御を行っている期間中、このステップS118の判断は「NO」となり、続いて、レンズ操作によって絶対位置信号の値が端の値に一致したか否かが確認される(ステップS120)。絶対位置信号の値が端の値に一致していなければ、処理はステップS128に進んで、上述の処理(ステップS118〜128)を繰り返すことになる。
他方、ステップS120において、レンズ操作の結果、絶対位置信号の値が端の値に一致すると、カウンタ104をリセットし(ステップS124)、カウンタ104のカウント値に基づくレンズ制御に切り替える(ステップS126)。そして、カウンタ104のカウント値を制御信号として使用して、レンズの制御を行う(ステップS128)。
その後は、ステップ S118の判別において、カウンタ104のカウント値による制御中であることが「YES」と判定されるので、処理はステップS128に進み、カウンタ104のカウント値に応じたレンズ制御が続けられることになる。なお、電源投入時のステップS112において、最初から絶対位置信号の値が端点の値に一致していることが検出され、ステップS116でカウンタ104のカウント値による制御に設定された場合には、続く、ステップS118の判別でカウンタ104のカウント値による制御中という判定が下され、処理はステップS128に進む。従って、かかるケースでは、電源投入直後から、カウンタ104のカウント値に従ってレンズ制御が行われる。
上述のように、電源投入時から絶対位置信号の値が最初に端点(A点又はB点)に一致するまでの間は、絶対位置信号を使用して操作ノブ102の操作位置を検出し、その後、絶対位置信号の値が端点に一致した時にカウンタ104をリセットして、以後、カウンタ104の値を使用して操作ノブ102の操作位置を検出している。
続いて、他の実施の形態について説明する。操作ノブ102の可動範囲(A点〜B点)の全域に亘って、操作ノブ102の各操作位置における絶対位置信号の値と、これに対応するカウンタ104のカウント値と、を必要とする分解能で予めROM108に記憶しておく。
そして、起動時に先ず、CPU100は絶対位置信号の値を読み込み、その値に対応するカウンタ104のカウント値をROM108から読み出す。 こうしてROM108から読み出したカウント値をカウンタ104の起算値として設定し、このカウント値からカウンタ104でのカウントを開始する。そして、以後、カウンタ104のカウント値を使用してレンズ制御を行う。
ところで、かかる構成を採用した場合、 絶対位置信号に対するノイズが問題となり、絶対位置信号の値が示す操作ノブ102の操作位置と実際の操作位置とにずれがあり、ROM108から読み出すカウンタ104のカウンタ値との対応にずれが生ずる場合がある。
そこで、絶対位置信号の値にバラツキがある場合には、絶対位置信号の値を読み込むと同時に、カウンタ104のカウント値も参照し、絶対位置信号の値が正しいものであるか否かの判断を行って、正しいと思われる情報のみを参照するとよい。
図6には、本実施の形態の処理手順が示されている。電源投入後、先ず、絶対位置信号の値を複数回読み込む(ステップS150)。そして、これら複数個のサンプリングデータを加算平均処理するなどして、各データにばらつきがあるか否かを判別する(ステップS152)。サンプリングデータにばらつきがなければ、絶対位置信号の値に対応するカウンタ104のカウント値をROM108から読み出し(ステップS154)、この読み出したカウント値をカウンタ104の現在のカウント値として設定する(ステップS154)。
その後、このカウント値からカウンタ104のカウントを開始し、カウンタ104のカウント値を参照してレンズ制御を行う(ステップS170)。他方、ステップS152において、サンプリングデータにばらつきがあると判定した場合には、次いで、カウンタ104のカウント値の読み込みを行う(ステップS158)。そして、このときカウンタ104のカウント値に基づいて、操作ノブ102が操作されているか否かを判別する(ステップS160)。
操作ノブ102が操作されたことによって、前記サンプリングデータがばらついたと判断した場合には、絶対位置信号の値を使用して、その操作に応じたレンズ制御を実行し(ステップS162)、処理はステップS150に戻る。一方、ステップS160において、操作ノブ102が操作されていないと判定した場合には、操作ノブ102が操作されていないにもかかわらず、前記サンプリングデータにバラツキがあるということになり、絶対位置信号に無視できないノイズが含まれていることになる。
従って、この場合、ステップS150でサンプリングした絶対位置信号の値のうちから、平均値に近いデータを抽出する等の方法によって、より安定したデータを抽出する(ステップS164)。そして、抽出したデータに対するカウンタ104のカウント値をROM108から読み出し(ステップ S166)、この読み込んだデータをカウンタ104のカウント値として設定する。
以後、このカウント値からカウンタ104のカウントを開始して、カウンタ104のカウント値を使用してレンズ制御を行う(ステップS170)。
上記実施の形態では、本発明に係る位置検出装置をレンズ操作装置に適用し、操作ノブ102の操作位置を検出する場合を例に説明したが、本発明に係る位置検出装置は、レンズ操作装置に適用する以外にも、例えば、光軸に沿って前後に移動するレンズの現在位置を検出する手段にも適用することができる。
2…回転軸、4…コード板、6A〜6C…発光素子、8A〜8C…受光素子、10…A相領域、12…B相領域、14…グレースケール領域、100…CPU、102…操作ノブ、104…カウンタ、106…A/D変換器、108…ROM