以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい一実施形態に係るカメラは、デジタルカメラであり、レンズ鏡筒の周りを回動自在なリング部材(MFリング51)が設けられている。レンズ鏡筒の固定部材は撮影距離が表示されており、RFモード設定時には、リング部材の指標を撮影距離に設定すると、その撮影距離にピントが合うようにレンズ鏡筒内の焦点調節レンズを移動させる。
また、リング部材は、レンズ鏡筒の光軸方向にスライド自在であり、第1の位置(RF1モードの位置)にある場合と第2の位置(RF2モードの位置)にある場合では、リング部材の回動角に対する焦点調節レンズの移動の割合を異ならせている(詳しくは図14参照)。また、リング部材がレンズ鏡筒の周りで第1の回動角の範囲内で回動される際と、第1の回動角範囲外の第2の回動角の範囲内で回動される際では、回動角に対する焦点調節レンズの移動の割合を異ならせている(詳しくは図12参照)。
以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカメラの構成を示すブロック図であり、図2は、このカメラにおける電気的構成を示すブロック図である。このカメラは、交換レンズ100とカメラ本体200から構成される。しかし、レンズ鏡筒とカメラ本体を一体に構成しても勿論かまわない。
交換レンズ100内には、レンズ11a〜11cからなる撮影レンズ11を有する。撮影レンズ11によって被写体像が形成される。このうち、フォーカスレンズ11bは焦点調節用のレンズであり、フォーカスレンズ駆動機構25によって光軸方向に移動可能である。フォーカスレンズ駆動機構25は、フォーカスレンズ用アクチュエータとフォーカスレンズ用ドライブ回路を有している。
またフォーカスレンズ基準位置検出部27は、フォーカスレンズ11bが基準位置に達すると検出信号を制御部であるCPU41に出力する。基準位置検出には、フォトインタラプタ(PI)を用いる。なお、本実施形態においては、フォーカスレンズ11bの位置検出は、基準位置を検出すると、その位置を基準にして、フォーカスレンズ用のアクチュエータ(パルスモータ使用)への印加パルス数に基づいて行う。
レンズ11aと11bの間には、絞り13が配置されている。絞り13は、絞り駆動機構21によって開口径が変化し、撮影レンズ11を通過する被写体光量を変化させる。絞り駆動機構21は、絞り用アクチュエータと絞り用ドライバ回路等を有する。アクチュエータとしては、ステッピングモータを使用し、マイクロステップ駆動によって細かい制御を行う。なお、絞り13は、レンズ11aと11bの間以外に配置しても勿論かまわない。
絞り基準位置検出部23は、絞りの開口径が基準位置に達すると、検出信号をCPU41に出力する。絞り位置は、基準位置検出部23によって基準位置を取得し、相対的な位置検出によって絞り位置を管理する。相対的な位置検出はステッピングモータへの印加パルス数によって検出し、基準位置の検出はフォトインタラプタ(PI)によって検出する。
交換レンズ100の外周には、リング部材としてのMFリング51が配置されている。このMFリング51は、交換レンズ100の外周を回動自在であると共に、撮影レンズ11の光軸方向の所定範囲内で、スライド自在である。このMFリング51は、図3に示すように、被写体側にスライドすると、MF(マニュアルフォーカス)位置に設定され、本体側にスライドすると、RF(レンジフォーカス)1位置、RF2位置に順次設定される。MFリング51のスライドにより、RFモードとMFモード(非RFモード)の切り換えを行う。このモードの検出は、RFモード検出部33が行う。
MFリング51のスライドによってMFモードが設定されると、MFリング51の回転により、MFリング51の内側にある遮光羽根53(図5参照)が一体となって回転する。この回転によりPI63a、63bを横切り、このフォトインタラプタ(PI)のカウント値に応じてフォーカスレンズ11bを駆動する。この、検出機構については図5を用いて後述する。
MFリング51のスライドによってRFモード(RF1またはRF2モード)が設定され、MFリング51が回転されると、その回転位置をRF位置検出部31が検出する。すなわち、絶対位置検出を行う。検出された位置に応じた撮影距離にフォーカスレンズ11bを駆動する。
RF位置検出部31は、詳しくは図8を用いて後述するが、MFリング51がRF1またはRF2に設定されている際に、MFリング51の回転位置を検出する。この回転位置に応じた撮影距離に、フォーカスレンズ11bを駆動する。
RFモード検出部33は、RFエンコーダ82の出力に基づいて、MFリング51がMF位置、RF1位置またはRF2位置のいずれかに設定されているかを判定する。またPFPI1(63a),PFPI2(63b),RPFPI85の出力に基づいて、RFモード無効状態またはRFモード有効状態のいずれであるかについても判定する。この判定については、図4および図5を用いて後述する。
MF位置検出部35は、MFリング51がMF位置に設定されている際に、MFリング51の回動方向における位置を検出する。このMF位置検出部35の検出結果に基づいて、マニュアルフォーカスを行う。
制御部であるCPU41は、記憶部37に記憶されているプログラムに従い、カメラ本体200からの制御命令に応じて、交換レンズ100内の制御を行う。CPU41は、絞り位置検出部23、フォーカスレンズ基準位置検出部27、RF位置検出部31、RFモード検出部33、およびMF位置検出部35からの検出信号を入力し、またフォーカスレンズ駆動機構25および絞り駆動機構21に制御信号を出力する。
記憶部37は、フラッシュメモリ37等の書き換え可能な不揮発メモリ等を有し、前述したCPU41用のプログラムの他、交換レンズの光学データ等の各種情報や、各種調整値等を記憶する。
カメラ本体200内には、撮像素子201が配置されている。この撮像素子201は、撮影レンズ11の結像位置付近に配置されており、撮影レンズ11に形成される被写体像を光電変換し、画像データを出力する。また、カメラ本体200内にも制御用のCPUが設けられており、交換レンズ100内のCPU41と通信を行う。
次に、図2を用いて、電気構成の詳細について説明する。CPU41は、前述したように、カメラ本体200と通信が可能である。また、CPU41は、モータドライバ71に接続されており、このモータドライバ71は、FCPI61、LDMT71、AVMT75、およびAVPI77の駆動を行う。
FCPI69は、フォーカスレンズ11bの基準位置検出用のフォトインタラプタであり、このFCPI69の出力はFCPI二値化回路67に接続されている。FCPI69およびFCPI二値化回路67は、前述のフォーカスレンズ基準位置検出部27に対応する。
LDMT73は、LDモータ(レンズ駆動モータ)であり、前述のフォーカスレンズ駆動機構25内のフォーカス用アクチュエータとして機能する。LDモータとしては、本実施形態においては、ステッピングモータを採用するが、他のモータを用いても勿論かまわない。AVMT75は、絞りモータであり、前述の絞り駆動機構21内の絞り用アクチュエータとして機能する。
AVPI77は、絞り13の基準位置検出用のフォトインタラプタであり、このAVPI77の出力はAVPI二値化回路79に接続されている。AVPI77およびAVPI二値化回路79は、前述の絞り基準位置検出部23に対応する。
PFPIドライバ65は、MFリング51の回動を検出するためのPFPI63のドライバである。PFPI63は、図5に示すように遮光羽根53の回動方向に沿って2箇所、設けられている。このPFPI63の出力は、PFPI二値化回路61に接続されており、PFPI二値化回路61によって二値化される。PFPI二値化回路61、PFPI63、PFPIドライバ65は、前述のMF位置検出部35に対応する。
RFPIドライバ87は、RFPI85のドライバである。RFPI85は、図5に示すように遮光羽根53の回動方向に沿って1箇所、設けられている。このRFPI85の出力は、RFPI二値化回路83に接続されており、RFPI二値化回路83によって二値化される。CPU41は、RFPI二値化回路83およびPFPI二値化回路61からの検出出力に基づいて、RFモード有効状態であるかRFモード無効状態(MFモードまたは非RFモード)であるかの判定を行う。したがって、PFPI二値化回路61、PFPI63、PFPIドライバ65、RFPI二値化回路83、RFPI85、RFPIドライバ87は、前述のRFモード検出部33の一部に対応する。
リニアエンコーダ81は、リング51の回動方向に沿って設けられており、リング51の回動方向での絶対位置に応じてアナログ信号を出力する。CPU41内には、A/D変換器43が設けられており、リニアエンコーダ81からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。このリニアエンコーダについては、RF位置検出部31に対応し、詳しくは図8を用いて後述する。
RFエンコーダ82は、グレイコード式エンコーダであり、MFリング51が、MF位置にあるか、RF1位置にあるか、RF2位置にあるかを検出する。このRFエンコーダ82の詳しい構成については、図4を用いて説明する。
次に、図3および図4を用いて、RFエンコーダ82によるMFモード、RF1モード、RF2モードの検出について説明する。図3を用いて説明したように、ユーザは、MFリング51の光軸方向へのスライド操作位置を制御することによって、MFモード、RF1モード、RF2モードの設定を行うことができる。
リング51の光軸方向のスライド位置の検出は、図4に示すグレイコード式エンコーダであるエンコーダ82によって行う。リング51には、このリング51の光軸方向へのスライド操作に連動する回転子が設けられており、回転子に設けられた切片341がエンコーダフレキ(エンコーダ用フレキシブル基板)343のグレイコードパターン343a〜343dとの接触位置が変化することによって、リング51の光軸方向における位置検出を行う。
エンコーダフレキ343の検出パターンは、図4(b)に示すようなグレイコード式エンコーダとなっている。図4(a)に示すCPU41のMODE−ENC1、2は、内部の設定でプルアップ接続されており、入力設定となっている。MODE−ENC1、2およびENC−COMは、CPU41のI/Oポートであり、このI/Oポートは、図4(c)に示すように設定されている。
リング51のスライド操作に伴い、切片341は移動する。切片341がグレイエンコーダパターン343a〜343dに接触した位置ではENC−COMと導通となり、CPU41のMODE−ENC1,2はL入力となる。一方、切片341が接触しない位置では、ENC−COMと非導通となり、CPU41のMODE−ENC1,2は、プルアップ設定となっていることからH入力となる。CPU41のENC−ENC1,2の入力に応じて、図4(d)に示すように、MFモード、RF1モード、RF2モードのいずれであるかを判定する。
なお、RF1モードとRF2モードを区別することなく、RFモード有効状態かRFモード無効状態であるかを単に検出するだけの場合には、図4を用いて説明したエンコーダを設けることなく、図5ないし図7を用いて説明するように、3つのPIの検出信号に基づいて判定すればよい。
次に、3つのPIの検出信号に基づいて、RFモード有効状態か、RFモード無効状態かを判定する方法について、図5ないし図7を用いて説明する。図5は遮光羽根53と3つのPI63a,63b,85の位置関係を示す。前述したように、MFリング51が回転すると、MFリング51の内側にある遮光羽根53は、MFリング51と一体となって回転する。
遮光羽根53は、MFリング51の光軸方向へのスライドに伴って、図面中において左右方向に移動する。一方、PI63a、63b、85の配置位置は、固定されている。図5(a)は、MFリング51がMFモードの位置にスライドされた状態を示し、図5(b)は、MFリング51がRFモードの位置にスライドされた状態を示す。
図5(a)の状態では、MFリング51のスライドによって、PI63a、63b、85の検出範囲内に、遮光羽根53の櫛歯53aが入って来る。このため、MFリング51が交換レンズ100の外周を回動すると、櫛歯53aも回動し、PI63a、63b、85の検出光を透過させたり、遮光したりする。この結果、PI63a、63b、85から、図7(a)に示すようなPFPI1、PFPI2、RFPIのパルス出力がなされる。図7(a)に示すように、PFPI1とPFPI2の位相ずれは90°であり、PFPI1とRFPIの位相ずれは225°である。
一方、図7(b)の状態では、MFリング51のスライドによって、遮光羽根53の櫛歯53aの回動範囲は、PI63a、63b、85の検出範囲の外になる。このため、MFリング51が交換レンズ100の外周を回動し、櫛歯53aが回動しても、PI63a、63b、85の検出光を透過させたり、遮光したりすることがない。この結果、PI63a、63b、85から、図7(b)に示すようなPFPI1、PFPI2、RFPIの出力に変化がない。すなわち、各PIから櫛歯が抜けて全ての出力がLo状態となる。
上述のRFモード有効状態およびRFモード無効状態の検出について、図6を用いて説明する。図6において、RF無効モード(MFモード)の場合には、PFPI1、PFPI2、RFPIのいずれかが遮光状態となり(図5(a)参照)、CPU41の検出値はいずれかがHi状態となる(図7(a)参照)。一方、PF有効モード(PFモード)の場合には、RFPI1、PFPI2、RFPIは全て透過状態であり(図5(b)参照)、CPU41の検出値は全てLo状態となる(図7(b)参照)。
このように、図5ないし図7に示す例では、RFエンコーダを設けなくても、MFリング51の回動方向の動きを検出するPIによって、RFモード有効状態とRFモード無効状態の切り替えを検出することができる。なお、RFモード状態において、RF1モードとRF2モードを区別して検出する場合には、図4に示したエンコーダを設ける。
次に、RFモード設定時におけるMFリング51の回動による撮影距離の設定について、図8を用いて説明する。RFモード設定時における撮影距離の設定は、リニアエンコーダ81(図2)によって読み取る。
図8(a)は、リニアエンコーダ81の展開図を示し、図8(b)に示すように、無限側RFメカ端と至近側メカ端の間のメカ的ストローク範囲STの範囲内において、撮影距離の設定が可能である。本実施形態においては、図8(c)に示すように、メカ的ストローク範囲STを0から63に64分割しており、各範囲はδADである。無限端側のAD値は、Adj_AD_farであり、至近端側のAD値はAdj_AD_nearである。これらのAdj_AD_farと、Adj_AD_nearは、計算ではなく実際に端に当て付けて取得する端のAD値である。
図8(c)に示したAD値は、それぞれのAD範囲を示しており、各範囲の中心値が調整AD値である。調整AD値は、図9(d)に示すように、無限端側のメカ端をAD0とし、このメカ端からδAD/2の位置をAD1とし、以後、δADおきにAD2、AD3、・・・AD62、AD63とし、至近端側のメカ端をAD64とする。AD64は、AD63+δAD/2と等しい値となる。AD0とAD64は、計算ではなく実際に端に当て付けて取得する端のAD値であり(図中では、黒丸で示す)、AD2、AD3、・・・AD62、AD63は、計算で取得する(図中では、白丸で示す)。
図8(e)は、エンコーダ分割を示し、AD1より小さいAD値では、全て0分割位置になり、RF駆動の際には、AD0は使用しない。また、AD63より大きいAD値では、全て63分割位置になる。RF駆動の際にはAD64は使用しない。図8(f)は、分割番号を示しており、それぞれの領域に対して、分割番号として0から63が割り振られている。各分割領域のRF分割番号は、RF_Divで表わす。なお、黒丸および白丸は上述した通りであり、黒四角は、AD値が隣の調整値未満であることを示している。
図8(g)は、光学深度特性を示す。縦軸は光学深度(ピントの合い具合)を取っており、各領域の中心とメカ端がピークとなるようにしている。光学で算出するplsは、分割の中央の位置で持つようにしている。なお、メカ端の分割のみ分割幅が半分になっている。
このように、本実施形態においては、無限側メカ端と至近側メカ端が、光学特性のピークとなるように分割を割り振っている(図8(g)参照)。また、メカ的ストローク範囲STを等分割しているが、両端の0分割面と63分割面は、等分割の半分としている。なお、図8(c)〜(f)に示す関係を基にして、図9(a)に示すRF分割番号とRFエンコーダAD値テーブルが作成され、また図8(f)(g)に示す関係を基にして、図9(c)に示すRF分割番号とLDパルステーブルが作成される。
本実施形態におけるRF分割番号とAD調整値の関係を図9(a)に示す。RF分割番号は図8(f)に示したように、0〜63であり、このRF分割に対応して、図8(d)に示すように調整AD値が割り振られている。図9(a)に示す表において、RF分割番号がRF_Div0におけるRFエンコーダAD値、AD0(Adj_AD_far)は、無限端のメカ端に当て付けAD値が取得されている(調整されている)。また、RF分割番号がRF_Div64におけるRFエンコーダAD値、AD64(Adj_AD_near)も、同様に、至近端のメカ端に当て付けAD値が取得されている(調整されている)。これらの両端の間のAD値は計算で取得される。
図9(a)に示すRF分割番号とAD調整値の関係を示すテーブルの取得手順について説明する。まず、メカ端AD値の取得を行う。メカ端AD値の取得にあたっては、工場等における調整工程において、交換レンズ100の距離環(MFリング51)を無限メカ端と至近メカ端にそれぞれ当て付ける。このときのリニアエンコーダ81からのAD変換値を無限端側メカ端Adj_AD_far、および至近端側メカ端Adj_AD_nearとして取得する。
次に、δAD(図8(c)(d)参照)の算出を行う。δADの算出にあたっては、無限側メカ端AD値と至近側メカ端AD値の差分を求め、無限側端と至近側端の間を63等分割し、1分割あたりのAD値をδADとして算出する。すなわち、δADは下記(1)式より算出できる。
δAD=(Adj_AD_near−Adj_AD_far)÷63 ・・・ (1)
続いて、RF分割番号とAD調整値テーブルの算出を行う。ここでは、光学分割plsに合わせるために、取得したAdj_AD_far、Adj_AD_near、δADより、RF分割番号とAD調整値テーブルを下記(2)−(4)式により算出する。
(n=0、n=64の時)
AD0=Adj_AD_far ・・・ (2)
AD64=Adj_AD_near ・・・ (3)
(n=1の時)
AD1=AD0+δAD/2 ・・・ (4)
(n=2〜63の時)
ADn=ADn−1+δAD/2 ・・・ (5)
したがって、調整工程で取得したメカ端におけるAD値と、式(2)〜(5)によって算出したAD値を一つのテーブルにまとめると、図9(a)となる。
次に、光学無限位置とRF分割位置の関係について説明する。制御無限位置は、光学無限位置とは異なっており、RF分割0番目としている(図8参照)。また、制御至近位置は、光学至近位置とは異なっており、RF分割63番目としている(図8参照)。RFモード設定時に露出するRF距離目盛上の無限、至近端と、レンズ駆動(LD)でコントロールする制御無限と制御至近の位置を合わせる。
前述したように、制御無限位置と光学無限位置は異なっており、同様に制御至近位置と光学至近位置は異なっている。これを一致させるために、RF分割のi番目(i≠0)を光学無限位置とし、RF分割のn番目(n≠63)を光学至近位置とする。i番目を0番目としないことにより、必ず光学無限位置より外側のレンズ駆動(LD)位置まで駆動可能となり、調整時の端点ずれがあっても、光学無限位置にレンズ駆動することができる。すなわち、光学無限を必ず設定できるようにしている。
焦点調節レンズ(フォーカスレンズ)の無限位置調整は、デフォルトのLDPlsに対し、光学無限位置でのずれをAdj_offlsで持たせて、オフセットさせる(図9(b)参照)。すなわち、光学無限位置にレンズを移動させ、称呼LDPlsとの差分を調整オフセットPlsとして持たせる。
また、各RF分割位置にレンズを駆動するためのLDPLS値は、設計の称呼値DefLDPls0〜64として、上述の調整オフセットAdj_offPlsを加算することにより得ることができる(図9(c)参照)。
次に、RFモード設定時に、ユーザが、MFリング51を回動させて、撮影距離を設定した場合における、撮影距離へのレンズ駆動について図10ないし図14を用いて説明する。
本実施形態においては、RFモード時における撮影距離の設定の検出にあたって、リニアエンコーダ81を使用している。リニアエンコーダ81は線形性により制限あり、このため、RFエンコーダを分割できる分割数には制限がある。RFリニアエンコーダの位置と距離指標表示が一致していることが望ましいが、RFリニアエンコーダの操作部はメカ的機構なので、操作にバックラッシュ成分を持っている。分割数をある程度以上持つと、バックラッシュ成分の誤差が無視できなくなる。
図10は、前述したように64分割したRFエンコーダの分割番号(横軸)に対する撮影距離の関係を示すグラフである。図10において、RFエンコーダの分割番号0〜63までは、レンズ駆動範囲内であり(図8のメカ的ストローク範囲STに相当)、光学範囲ORは、無限光学位置から至近光学位置までの範囲に相当する。横軸の上側の−3〜61は、光学無限基準の位置を示す。
また、図10において、黒四角を繋いだラインは、制御無限〜制御至近までのレンズ駆動パルス(LDPls)、すなわち移動量を64分割で均等のパルス(Pls)数になるように分割した特性図であり、均等分割と呼ぶ。また、黒丸を繋いだラインは、レンズ駆動パルス(LDPls、移動量)に重み付けした特性である。RF分割番号が小さいところ(無限側に近い側)では、無限側の1RF分割あたりのパルス(Pls)数を少なくし、一方、至近側ではパルス数を大きくしている。この場合には、無限側の移動量を小さくして分解能を向上しているので、遠方高分解分割と呼ぶ。
また、図10において、同じRF分割位置において、線が引かれた範囲が、そのレンズ駆動パルス(LDPls)の位置にて被写体距離をカバーし合焦して見える範囲となる。例えば、RFエンコーダ位置が6番の均等分割(図中A−Aのライン)では、3.6〜6.5mの範囲がピント合って見える範囲となる。
図11は、図10におけるRFエンコーダ値が小さい部分を拡大した図である。検出したRFの位置に対し、遠方高分解分割では、例えば、図中Bを基準にすると、2つの隣のエンコーダ分割位置であっても、距離が重複している。言い換えると、8mの被写体は、RFエンコーダの分割位置6、7、8の何れの位置でも合焦していることが分かる。一方、均等分割では、図中Cを基準にすると、1つ隣のエンコーダ分割位置までしか、距離が重複しない。
RFモードは、いわゆる置きピン撮影用である。ユーザ操作で距離表示に対して若干ずれたとしても、RFエンコーダの幅で合焦撮影距離が広い方が、ピントが合い易い。また、RFモード時にMFリング51を操作してフォーカスレンズ11bを駆動したときに、異なる複数のエンコーダ分割位置にて合焦距離のラップしている範囲が広いほど、合焦しながら滑らかに動いているように見える。均等分割に比べると、遠方高分解分割は、遠方側において、ピントを合わせやすく、また滑らかに動いて見える。
遠方高分解分割では、至近側に設定可能な距離範囲がより狭くなるので、RFエンコーダ35、合焦距離60cm付近で重み付けを変更している。至近側のエンコーダ値あたりの合焦距離変化が大きくなるが、数cmオーダの距離なので、ユーザが被写体に対する位置を移動すれば容易に調整することができる。一方、遠距離側では、メートルオーダで変化することから、ユーザが簡単には被写体に対する距離を変更することができない。
上述の検討を踏まえ、遠方高分解分割におけるRFエンコーダの分割位置とレンズ駆動パルス(LDPls)の重み付けの関係を、図12に示す。RFエンコーダ35付近において、重み付けを変更しているために、第1の領域Pと第2の領域Qにおいて、傾きが異なっている。無限遠側である第1の領域Pにおいて、無限側の移動Pls数(移動量)を少なくし、分解能を高くしているために、傾きが小さくなっている。
このため、MFリング51が第1の回転角(第1の領域Pに対応)の範囲内で回転される際には、回転角に対する第1の移動量でフォーカスレンズ11bを光軸方向に移動させることができる。また、MFリング51が第2の回転角(第2の領域Qに対応)の範囲内で回転される際には、回転角に対する第2の移動量でフォーカスレンズ11bを光軸方向に移動させることができる。
次に、光学深度とRF分割について、図13を用いて説明する。本実施形態においては、前提条件として、リニアエンコーダの分割数に制限があることから、無限/至近端に当て付け調整した場合に確保できる最大の分割数を使用している。前述の図8(g)と同様に、図13は、横軸を撮影距離とし、縦軸をAF評価値としている。ここで、AF評価値が高い程、像が合って見えるような数値を意味する。フォーカスレンズが、図中の停止位置にある場合に、停止位置を頂点とする二等辺三角形の底辺に相当する距離の範囲内の距離の被写体に、合焦しているとみなせる。
一般にピントが合っている範囲は、Fno*δで表わされ、これを距離に換算して三角形の底辺として示すことができる。RFモードの動作においては、図13に示すように、三角形の底辺を隙間なく繋げることにより撮影距離全域にわたり合焦範囲を確保する。
図10、図11において説明した遠方高分解の場合、至近側は三角形の底辺が丁度隙間なく連なり(図13(a)参照)、無限側は三角形の底辺が重なるように繋がっている(図13(b)参照)。至近側は、数cmの撮影距離であり、カメラを前後させることで微調整可能である。三角形の底辺が連続に繋がっているので、RF操作することで、よりピントが合った位置をマニュアルフォーカス(MF)のように探すことも可能である。一方、遠方側は、撮影距離に換算すると数m以上となり、カメラを前後させることによって調整することができない。したがって、無限側の分解能(調整感度)をあげることで、トータルで安定した描写力を確保することができる。
次に、分割の重み付けについて図14を用いて説明する。前述したように、本実施形態においては、MFリング51の光軸方向へのスライド位置に応じてRF1モードとRF2モードを選択的に設定することができる。
図14(a)は、交換レンズ100のMFリング51を、図3のRF1モードの位置に設定した状態を示す。MFリング51をRF1モード(通常RFモードと称す)の位置にスライドさせると、交換レンズ100に設けられた距離目盛54aが露出する。MFリング51上に設けられた指標を、距離目盛54aの内の撮影距離に合わせると、その位置に対応した撮影距離にフォーカスレンズ11bが駆動制御される。
この通常RFモードの状態では、図10−図12を用いて説明したように、無限側の調整感度を上げるような重み付けを行っている。すなわち、図14(b)に示すように、重み付けなしの場合(図中のライン55a)に比較し、重み付けを行っている(図中ライン55b)。本実施形態においては、撮影距離=0.6mを境に傾きを変え、無限側では回転角に対する移動量(Pls)を小さくしている。
MFリング51をRF1モード(通常RFモード)の位置から撮像側のRF2モード(マクロ対応RFモードと称す)にスライドさせると、交換レンズ100に設けられた距離目盛54aに加えてマクロ対応距離目盛54bが露出し(図14(c)参照)、同時に回転位置に対するレンズ駆動パルス(LDPls)移動量の重み付けが切り換わる(図14(d)参照)。このマクロ対応RFモードでは、マクロ位置の調整が行い易いように、ライン56bに沿った駆動制御を行い、マクロ領域の回転角に対するLDPlsの移動量を小さくしている。すなわち、マクロ領域の調整感度を上げる重み付けを行っている。
このように、本実施形態においては、RF1モード(通常RFモード)が設定されると、MFリング51の回転操作に応じて、図14(b)のライン55bに応じた関係で、フォーカスレンズ11bの移動を行い、RF2モード(マクロ対応RFモード)が設定されると、MFリング51の回転操作に応じて、図14(d)のライン56bに応じた関係で、フォーカスレンズ11bの移動を行う。
次に、分割重み付けの変形例1について、図15を用いて説明する。変形例1では、遠景撮影を考慮し、遠距離側での移動量を小さくしている。具体的には、図15(a)に示すように、MFリング51をRF1モード(通常RFモード)に対応する位置にスライドさせると、本実施形態と同様に、距離目盛54aが露出する。
本変形例では、遠距離側での移動量が小さくなるように、撮影距離=1mを境として遠距離側では移動量の傾きを小さくしている。すなわち、図15(b)に示す例では、重み付けしていないライン55aに対して、撮影距離=1mで傾きを、遠距離領域で移動量が小さくなるようにしたライン57bに沿って、フォーカスレンズ11bの駆動制御を行う。
次に、分割重み付けの変形例2について、図16(a)を用いて説明する。本発明の一実施形態や変形例1においては、距離目盛54aは交換レンズ100に印刷や刻印等によって設けられていた。それに対して、変形例2では、距離目盛を液晶(LCD)58によって表示している。LCD58によって距離目盛を表示することにより、図14に示す例のように、通常RFモードにおける距離目盛54aとマクロ対応RFモードにおけるマクロ対応距離目盛54bを、切り換えて表示することができる。また、被写界深度等の表示を併せて行うようにしてもよい。
次に、分割重み付けの変形例3について、図16(b)を用いて説明する。本発明の一実施形態においては、MFリング51のスライド操作によって、RFモード1、2を切り換え、これに応じて、MFリング51の回転角とフォーカスレンズ11bの移動量の感度が切り換えられていた。これに対して、本変形例においては、本体の撮影モードによって回転角と移動量の感度を切り換えるようにしている。
具体的には、カメラ本体200において設定された撮影モードは、CPU41に送信される。この受信した撮影モードに応じてCPU41は、回転角と移動量の感度を切り換える。カメラ本体200がマクロモードに設定されると、図14(d)に示したように、マクロ領域の感度が低くなるように切り換える。
また、カメラ本体200が遠景撮影モードに設定されると、図15(b)に示したように、遠距離領域の移動量が小さくなるように切り換えられる。また、ポートレートモードが設定されると、図16(b)に示すように、中距離領域の移動量が小さくなるように切り換える。すなわち、重み付けしていないライン55aに対して、中距離領域で移動量が小さくなるようにしたライン59bに沿って、フォーカスレンズ11bの駆動制御を行う。
次に、分割重み付けの変形例4について、図16(c)を用いて説明する。本発明の一実施形態においては、距離目盛の表示を行っていたが、本変形例においては、Fno表示(絞り値表示)と距離目盛の両方を省略(図16(c)の上段)、またはFno表示だけを省略している(図16(c)の下段)。また、交換レンズ100がズームレンズの場合には、Fnoを表示できない。Fnoが表示されない場合には、おきピン機能目的ではなく、絶対位置MF機能が目的となる。
次に、フォトインタラプタ(PI)の点灯消灯制御について、図17を用いて説明する。本実施形態においては、PFPI63およびRFPI85のフォトインタラプタを有している。これらのフォトインタラプタの出力に基づいて、RF有効モード状態とRF無効モード状態の2つの状態を検出し、またMFモード時には、MFリング51の回転方向や回転量を検出する。交換レンズ100がどちらの状態にあるかを検知し、モードを更新するタイミングを更新タイミングRefTimeとする。なお、PI−二値化出力のチャタリングによるモード誤検出防止のため、チャタリング対策を行う。このチャタリング対策として、1回の検出でモードを確定せず、2回検出して出力が同じであれば、モードを確定する。
交換レンズ100の設定がRFモード無効状態であり、カメラ本体200の設定がMFモード(マニュアルモード)の時には、PFPI1(63a)とPFPI2(63b)の出力でレンズ(LD)駆動量が決まるので、PFPI1とPFPI2は常時点灯となる。すなわち、MFモードの時には、MFリング51の回転方向や回転量を常時検出する必要があることから、図17に示すように、PFPIとPFPI2の両方を常時点灯としている。
また、交換レンズ100の設定がRFモード無効状態であり、カメラ本体200の設定がAFモードのときには、図17に示すように、各PIはモード検知にのみ使用するので全PIが任意点灯となる。なお、任意点灯は、更新タイミングRefTimeの際にのみ点灯状態となり、常時点灯は、更新タイミングRefTimeに限らず、いつでも点灯している。
交換レンズ100の設定がRFモード有効状態の時には、カメラ本体200の設定によらず、RFモードになるので、各PIは、モード検知時にのみ使用する。よって、図17に示すように、全PIが任意点灯となる。
このように、動作モードに応じてPIを任意点灯とすることにより、常時点灯に比較して消費電力を低減することができる。
次に、本発明の一実施形態の動作について、図18ないし図21に示すフローチャートを用いて説明する。このフローチャートは、記憶部37に記憶されているプログラムに従ってCPU41によって実行される(後述する図22ないし図24のフローチャートも同様)。なお、フローチャート中のRF_plsはRF現在パルス位置を意味し、RF_base_plsはRF基準パルス位置を意味し、RF_DivはRF現在分割番号を意味し、RF_base_DivはRF基準分割番号を意味する。
カメラ本体200の電源がオンになると電源オンの動作が開始する。まず、モード判断を行う(S1)。ここでは、PFPI1、2(63a,63b)を点灯させ、PFPI二値化回路61からの出力に基づいて、RFモード有効状態かRFモード無効状態かの判定を行う。このモード判断の詳しい動作については、図19を用いて後述する。
ステップS1においてモード判断を行うと、次に、RFモードか否かの判定を行う(S3)。ここでは、ステップS1におけるモード判断における結果に基づいて判定する。
ステップS3における判定の結果、RFモードであった場合には、RF駆動を行う(S5)。ここでは、MFリング51を回動させて合わせた距離目盛の位置に対応する撮影距離にフォーカスレンズ11bを駆動し、そのレンズ位置を記憶する。このRF駆動の詳しい動作については、図20を用いて後述する。
一方、ステップS3における判定の結果、RFモードでなかった場合には、MF(非RF)駆動を行う(S7)。ここでは、MFリング51の回動方向および回動量に応じてマニュアルフォーカスを行う。すなわち、MFリング51の回動方向および回動量をPFPI1、2(63a,63b)によって検出し、PFPI二値化回路61からの出力に基づいて、フォーカスレンズ11bを移動させる。
ステップS5においてRF駆動を行うと、またはステップS7においてMF(非RF)駆動を行うと、メインフローに戻る。
次に、ステップS1におけるモード判断の詳しい動作について、図19に示すフローチャートを用いて説明する。モード判断のフローに入ると、まず、PFPI1(63a)、PFPI2(63b)、RFPI(85)点灯する(S11)。ここでは、PFPI1(63a)、PFPI2(63b)、RFPI(85)点灯し、これらのフォトインタラプタの検出出力を取得する。
続いて、全PI二値化出力がLowか否かを判定する(S13)。図6および図7を用いて説明したように、RFモード有効の場合には全てLowレベルであり、RFモード無効の場合には、いずれかの出力がHiレベルとなる。
ステップS13における判定の結果、全PIの二値化出力がLowの場合にはRFモード有効であり、この場合には、AF/MFスイッチ状態ビットをセットする。(S15)。そして、RFモード有効をセットする(S17)。
一方、ステップS13における判定の結果、全PI二値化出力がLowレベルでなかった場合にはRFモード無効であり、この場合にはAF/MFスイッチ状態ビットをリセットする(S21)。そして、RFモード無効をセットする(S23)。
ステップS17においてRFモード有効をセットすると、またはステップS23においてRFモード無効をセットすると、元のフローに戻る。なお、ここで、セットされたRFモード有効またはRFモード無効は、ステップS3における判定の際に使用される。
次に、ステップS5におけるRF駆動の詳しい動作について、図20に示すフローチャートを用いて説明する。モード判断のフローに入ると、まず、RF位置駆動を行う(S31)。ここでは、MFリング51によって設定された撮影距離に対応したピントとなるようにフォーカスレンズ11bの駆動を行う。このRF位置駆動の詳しい動作については、図21を用いて説明する。
RF位置駆動を行うと、次に、RF現在パルス位置RF_plsをRF基準パルス位置RF_base_plsとして記憶する(S33)。続いて、RF現在分割番号RF_DivをRF基準分割番号RF_base_Divとして記憶する(S35)。これらの値を記憶すると元のフローに戻る。
次に、ステップS31のRF位置駆動の詳しい動作について、図21に示すフローチャートを用いて説明する。RF位置駆動のフローに入ると、まず、RF現在分割番号RF_DivがRF基準分割番号RF_base_Divと同じか否かの判定を行う(S41)。RF分割番号は、図8(f)において説明したように、MFリング51の回動方向の設定位置を検出するためのリニアエンコーダを64分割した場合の分割番号である。RF現在分割番号は、MFリング51によって現在設定されているRF分割番号である。またRF基準分割番号は、前回のRFモードで駆動された撮影距離に対応するRF分割番号であり、ステップS35において記憶されている。したがって、このステップでは、ステップS35において記憶されたRF基準分割番号と、MFリング51によって、現在、設定されている撮影距離に対応するRF分割番号が同じであるか否かを判定する。この判定の結果、同じであった場合には、フォーカスレンズ11bを駆動する必要がないことから、なにもせずにリターンする。
ステップS41における判定の結果、同じでなかった場合には、次に、RF現在パルス位置RF_plsが、RF基準パルス位置RF_base_plsと同じか否かを判定する(S43)。RF現在パルス位置RF_plsは、RFモードでフォーカスレンズ11bを駆動するレンズ駆動(LD)パルスを示しており、RF_plsは、フォーカスレンズの現在位置を表している。また、RF基準パルス位置RF_base_plsは、前回のRFモードで駆動された際のレンズ駆動(LD)パルスを示しており、ステップS33において記憶されている。したがって、このステップでは、ステップS33において記憶されたRF基準パルス位置と、MFリング51によって、現在、設定されている撮影距離に対応するRF基準パルスが同じであるか否かを判定する。この判定の結果、同じであった場合には、フォーカスレンズ11bを駆動する必要がないことから、なにもせずにリターンする。
ステップS43における判定の結果、同じでなかった場合には、ステップS45以下において、RFモードで設定された撮影距離にフォーカスレンズ11bの駆動を行う。まず、目標レンズ位置をテーブルデータより算出する(S45)。記憶部37には、撮影距離に対応するレンズ位置のテーブルが記憶されているので、このテーブルから目標レンズ位置を算出する。なお、撮影距離に対応するレンズ位置は、フォーカスレンズ基準位置からのステッピングモータのステップ数として記憶されている。この目標レンズ位置を算出すると、この位置を、RF位置駆動後に、RF_base_plsとして記憶する(S33参照)。
目標レンズ位置をテーブルデータより算出すると、次に、レンズ駆動量を算出する(S47)。レンズ駆動量は、RF現在パルス位置PF_plsとRF基準パルス位置RF_base_plsとの差分によって算出する。
レンズ駆動量を算出すると、次に、駆動パラメータの設定を行う(S49)。ここでは、フォーカスレンズ駆動機構25(図1参照)のレンズ駆動モータLDMT73(図2参照)を駆動するためのパラメータを設定する。具体的には、レンズ駆動モータLDMT73はステッピングモータであることから、駆動するステップ数等を設定する。
駆動パラメータの設定を行うと、次にフォーカスレンズの駆動を行う(S51)。ここでは、ステップS49において設定した駆動パラメータに従って、レンズ駆動モータLDMT73の駆動制御を行う。目標位置に達すると、RF位置駆動のフローを終了し、元のフローに戻る。
次に、図3に示したRF1モードとRF2モードを設定する場合における動作について、図22ないし図24を用いて説明する。図22は電源オン時の動作を示すフローチャートである。電源オンのフローに入ると、まず、モード判断を行う(S61)。ここでは、図4を用いて説明したRFエンコーダによって、RF1モードかRF2モードかの判定を行う。このモード判断の詳しい動作については、図23を用いて後述する。
モード判断を行うと、次に、RF駆動を行う(S63)。ここでは、MFリング51を回動させて合わせた距離目盛の位置に対応する撮影距離にフォーカスレンズ11bを駆動し、そのレンズ位置を記憶する。このRF駆動の詳しい動作については、前述した図20である。
次に、ステップS61のモード判断の詳しい動作について、図23を用いて説明する。このモード判断のフローに入ると、まず、RFエンコーダ検出を行う(S71)。ここでは、図4を用いて説明したRFエンコーダ82によって、MFリング51が光軸方向のRF1モード、RF2モードのいずれに設定されているかを検出する。
RFエンコーダ検出を行うと、次に、RF1モード(通常モード)か否かを判定する(S73)。ここでは、ステップS71におけるRFエンコーダ検出結果に従って判定する。
ステップS73における判定の結果、RF1モードであった場合には、RF1(通常)モードのRF分割−LDPlsテーブルをセットする(S75)。ここでは、図14(b)に示すような通常RFモードにおけるRF分割−LDPlsテーブルを、記憶部37から読み出しセットする。
一方、ステップS73における判定の結果、RF1モードではなかった場合には、RF2(近距離重視)モードのRF分割−LDPlsテーブルをセットする(S77)。ここでは、図14(d)に示すようなマクロ対応RFモードにおけるRF分割−LDPlsテーブルを、記憶部37から読み出しセットする。このマクロ対応RFモードでは、マクロ位置の調整が行い易いように、マクロ領域の回転角に対するLDPlsの移動量を小さくしている。
ステップS75またはS77においてRF分割−LDPlsテーブルをセットすると、元のフローに戻る。
図23に示したモード判断のフローチャートは、RF1モードとRF2モードを有する場合にであったが、図3に示すにように、RF1モードとRF2モードに加えてMFモードを有する場合のモード判断について図24に示すフローチャートを用いて説明する。
図24に示すモード判断のフローに入ると、まず、RFエンコーダ検出を行う(S71)。ここでは、図23のステップS71と同様にRFエンコーダ検出を行うが、加えてMFモードについても検出する。
RFエンコーダ検出を行うと、次に、MFモードか否かの判定を行う(S72)。ここでは、ステップS71におけるRFエンコーダ検出結果に基づいてMFモードが設定されているか否かを判定する。この判定の結果、MFモードが設定されていた場合には、このフローを終了して元のフローに戻る。MFモードが設定されていた場合には、MFリング51の回動方向および回動量に基づいて、マニュアルフォーカスを行う。
ステップS72における判定の結果、MFモードでなかった場合には、ステップS73以下に進む。ステップS73、S75、S77における動作は図23において説明したので、詳しい説明は省略する。
以上説明したように、本発明における一実施形態においては、レンズ鏡筒(交換レンズ100)内に設けられた光軸方向に移動可能な焦点調節レンズ(フォーカスレンズ11b)と、レンズ鏡筒に対して所定の角度範囲内を回転可能で、かつ第1の位置と第2の位置にスライド自在に配設されるリング部材(MFリング51)と、リング部材を第1の位置(図3のRF1の位置)にスライドした場合には、リング部材の回転操作によりリング部材の回転角と距離の第1の関係に応じた距離に調節距離レンズを移動させ(図14(b)参照、図24のS75)、リング部材が第2の位置にスライドした場合には、リング部材の回転角と距離の第2の関係に応じた距離に焦点調節レンズを移動させる(図14(d)参照、図24のS77)制御部(CPU41)とを有している。このため、レンズ鏡筒に設けられたリング部材を操作することにより、焦点位置を設定する際に、ユーザの好みに応じた操作性を提供すると共に操作性を向上することができる。
また、本発明の一実施形態においては、リング部材が第1の回転角の範囲内で回転される際には、回転角に対する第1の移動量で上記焦点調節レンズを光軸方向に移動させ(図12の第1の領域P参照)、リング部材が第2の回転角の範囲内で回転される際には、回転角に対する第2の移動量で上記焦点調節レンズを光軸方向に移動させている(図12の第2の領域Q参照)。このため、撮影距離を設定してピント合わせを行うRFモードにおいて、狙いとする被写体に応じて、例えば、マクロ領域、中距離領域、遠距離領域等に応じて、ピントが容易に合う撮影を行うことができる。
また、本発明の一実施形態においては、レンズ鏡筒は、回転角と距離の第1の関係に対応する距離を表示する第1の距離表示部(図14の距離目盛54a)と、回転角と距離の第2の関係に対応する距離を表示する第2の距離表示部(図14のマクロ距離対応メモリ54b)を有し、リング部材(MFリング51)を第1の位置にスライドさせた場合には、第1の距離表示部が露出し(図14(a)参照)、リング部材を第2の位置にスライドさせた場合には、第2の距離表示部が露出する(図14(c)参照)。このため、リング部材のスライドに応じて、設定されたモードに適した距離表示がなされる。
また、本発明の一実施形態においては、リング部材(MFリング51)の回転角に対応する距離を表示する距離表示部(図16(a)のLCD58)を有し、制御部(CPU41)は、リング部材を第1の位置にスライドさせた場合には、回転角と距離の第1の関係に対応する距離を、距離表示部(LCD58)により表示させ、リング部材を第2の位置にスライドさせた場合には、回転角と距離の第2の関係に対応する距離を、距離表示部(LCD58)により表示させている。このため、設定されたモードに関係する表示のみを行うことができ、ユーザが誤って別の目盛を読むおそれがない。
また、本発明の一実施形態においては、レンズ鏡筒内に設けられた光軸方向に移動可能な焦点調節レンズ(フォーカスレンズ11b)と、レンズ鏡筒に対して所定の角度範囲を回転可能なリング部材(MFリング51)を有し、リング部材の回転角に応じた距離に焦点調節レンズのピント合わせを行うと共に、回転角に応じた焦点調節レンズの光軸方向の移動量にて移動させている(図20のS31)。また、リング部材が第1の回転角の範囲内で回転される際には、回転角に対する第1の移動量で上記焦点調節レンズを光軸方向に移動させ(図12の第1の領域P参照)、リング部材が第2の回転角の範囲内で回転される際には、回転角に対する第2の移動量で上記焦点調節レンズを光軸方向に移動させている(図12の第2の領域Q参照)。このため、撮影距離を設定してピント合わせを行うRFモードにおいて、狙いとする被写体に応じて、例えば、マクロ領域、中距離領域、遠距離領域等に応じて、ピントが容易に合う撮影を行うことができる。
なお、本発明の一実施形態においては、レンズ鏡筒は交換レンズ100に設けられていた。しかし、これに限らず、カメラ本体200に一体に設けても勿論かまわない。
また、本発明の一実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話、スマートフォーンや携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、撮影距離を設定し、この設定した撮影距離に応じた位置にフォーカスレンズを駆動するモードを有する撮影のための機器であれば、本発明を適用することができる。
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、特に説明していない箇所では、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。