JP2008207564A - レンズ、及びレンズ製造に用いる射出成形用金型、並びにレンズの製造方法 - Google Patents

レンズ、及びレンズ製造に用いる射出成形用金型、並びにレンズの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エジェクターピンを用いることなく、また、レンズの光学面に突き出し跡を付けることなく、液状樹脂材料を射出成形して製造するレンズを離型することが可能な射出成形用金型、及びレンズの製造方法、並びにレンズを提供する。
【解決手段】本発明の射出成形用金型30は、キャビティ3に、型開き方向とは異なる方向に傾斜した傾斜面21a・22aを有する突起部形成用凹部10a・10bが形成されている。このキャビティ3に射出成形されるプラスチックレンズ19には、その光学有効面の外に、突起部形成用凹部10a・10bによって射出成形された突起部14が形成される。型開き時、この突起部14は傾斜面21a・22aに沿って型開き方向とは異なる方向に離型されるため、光学有効面11・12が傾斜するようにプラスチックレンズ19が回動して、射出成形用金型30から離型する。
【選択図】図4

Description

本発明は、レンズ、及びレンズ製造に用いる射出成形用金型、並びにレンズの製造方法に関し、詳細には、射出成形時の離型工程において離型用のエジェクターピンを用いずに離型を可能とするレンズとその製造に用いる射出成形用金型、並びにレンズ製造方法に関する。
従来、射出成形にてプラスチックレンズを製造するには、まず金型のキャビティに溶融樹脂を流し込んで冷却固化させた後、金型から成形品(プラスチックレンズ)を取り出すために型開きをし、型開き軸と平行な方向にエジェクターピンにて成形品を突き出すことが行われている。しかしながら、エジェクターピンにて突き出す際に、光学性能上、成形品の光学的有効径内の光学面に局部的な突き出し跡が残らないように、成形品を突き出して離型する手法をとる必要がある。
図9に、このような手法によって成形品を離型する構成を示す。図9に示す構成では、成形品120の光学的有効径の外側に形成したツバ部101にエジェクターピン100を配置していた。ここで、図9中の102は固定入子であり、103は可動入子である。
また、図10も、図9と同様の手法で成形品を離型する構成であり、光学面を形成する可動入子104をエジェクターピンと兼用にして可動入子104の全成形面にて成形品120を突き出す構成である。ここで、図10中の102は固定入子であり、105は可動側型板である。
ところで、図9及び図10において形成されるツバ部101は、レンズを鏡筒に組み込む際にレンズを径方向あるいは軸方向に位置決めしたり、鏡筒に保持させたりするために用いられるほか、エジェクターピンと当接させるために用いられるため、その幅を広くすることが好ましい。しかしながら、ツバ部101の幅を広くすると、その分だけレンズの外形が大きくなり不都合が生じる。
ツバ部の幅が小さいレンズを離型する構成としては、特許文献1の射出成形用金型がある。この射出成形用金型の構成を、図11(a)・(b)を用いて説明する。図11(a)は、型開き面の一方の側に略半球状のプラスチックレンズの成形面を形成した射出成形用金型の断面図であり、図11(b)は射出成形用金型の作用を説明するための図である。図11(a)に示すように、まず射出成形用金型にて通常通りにギャビティ203にプラスチックレンズ217を射出成形する。次に固定型216を可動型250から分離、即ち、型開きをし、可動側型板208の型開き面208aを露出させることにより、キャビティ203内にて成形したプラスチックレンズ217、及びプラスチックレンズ217に連結したゲート218、ランナ219、スプル220が現れる。そして、成形されたプラスチックレンズ217は略半球状の光学面207を形成してキャビティ203に密着した状態となっている。次に、プラスチックレンズ217を可動入子202のキャビティ203から離型させるために、図示しない射出成形機の突き出しロッドにて、突き出し板上211及び突き出し板下212を押圧し、エジェクターピン214を動かしてその先端にてコールドスラグ部231ととともにスプル220を突き出す。この場合、プラスチックレンズ217、ゲート218、ランナ219にはエジェクターピン214が配置されていないために、プラスチックレンズ217のゲート218と反対側のツバ部111、即ち、可動入子2のキャビティ形成面におる型開き面202aとの縁部の1箇所を支点217aとしてプラスチックレンズ217が回転することによりこれらが一体となって可動入子202および可動側型板208から離型する。離型した状態にあるプラスチックレンズ217は、図示しない取り出しロボット等にてスプル220の部分をつまんで取り出し、その後にプラスチックレンズ217に一体になっているゲート218を切断し、ランナ219とスプル220を除去する。この方法であれば、成形体121にエジェクターピンによる突き出し跡を残すことなく、レンズ外径を小径化することが可能である。
また、特許文献2には、上記したようなツバ部の代わりに、光学面の周囲に余肉部であるタグ部を設けた構成が開示されている。図12は、特許文献2に開示された金型によって成形されたプラスチックレンズの構成を示した平面図である。尚、図12中の(a)は、金型によって射出された時点のプラスチックレンズの構成であり、図12中の(b)は、(a)のプラスチックレンズを加工して得られる成形品(製品)の状態のプラスチックレンズの構成である。図12中の(a)のプラスチックレンズには、光学面312の周囲に形成したランナ部310及びタグ部311が設けられている。このランナ部310及びタグ部311をエジェクターピンにより押圧して金型からの離型を行い、離型後に、ランナ部10及びタグ部11を切断して成型品が得られる。このように、タグ部311を設けたことによって、ツバ部全体を押圧する必要がなく、レンズを小径化することができる。
特開平10−329176号公報(1998年12月15日公開) 特開平2002−200647号公報(2002年7月16日公開)
しかしながら、特許文献1及び2の構成の場合、熱可塑樹脂を加熱溶融させて射出成形する従来のプラスチックレンズの成形とは異なり、熱硬化樹脂のように硬化前の状態が液状の材料を射出成形する場合においては、エジェクターピンのクリアランス部分から樹脂漏れが生じる虞がある。また、このクリアランスを小さくし、樹脂漏れを抑制した場合においても、少量の樹脂漏れの蓄積によりエジェクターピンの摺動性が悪化することが懸念される。
また、特許文献2の構成の場合、離型後にランナ部310の切除工程に加えて、タグ部の切除が必要であり、工程数が増え、スループットが低下することが懸念される。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エジェクターピンを用いることなく、また、レンズの光学面に突き出し跡を付けることなく、液状樹脂材料を射出成形して製造するレンズを離型することが可能な射出成形用金型、及びレンズの製造方法、並びにレンズを提供するものである。
本発明に係る第1の射出成形用金型は、上述した課題を解決するために、レンズの光学有効面を成形するための成形面を有した固定部材及び可動部材を備えており、上記可動部材は、上記固定部材と当接したり、該当接を解除したりできるように、所定の方向に移動する構成となっており、上記固定部材と可動部材とを互いの上記成形面を対向させて当接させることによって得られる、壁面に該成形面を有するキャビティに、同じく上記固定部材と可動部材とを当接させることによって得られる、該キャビティと連通するゲート部と、該ゲート部と連通するランナとを介して、重合性材料を射出してレンズを成形することができる射出成形用金型であって、上記固定部材または上記可動部材に、上記ランナに連通するスプルが設けられており、上記固定部材または上記可動部材には、上記キャビティの壁面であって、且つ上記成形面とは異なる位置に、上記可動部材の移動方向に対して所定の角度を有して傾斜する傾斜面を有した凹部が形成されていることを特徴としている。また、具体的には、上記所定の角度は、0°を超え、90°未満である。
上記の構成によれば、液状樹脂材料を射出成形してレンズを製造する場合であっても、エジェクターピンを用いる必要がないことから、上記したような樹脂漏れを引き起こす虞がない。また、エジェクターピンをツバ部に当接させることなく、光学有効面に突き出し跡が付かないようにしてレンズを離型することができるため、エジェクターピンを当接させることを考慮してツバ部の幅を大きくする必要がなく、ツバ部の幅を小さく形成することが可能である。よって、レンズの小型化を実現することができる。
具体的には、本発明の構成によれば、通常通り、固定部材と可動部材とによって形成されたキャビティに重合性材料を充填して射出した後、可動部材を移動させることによって固定部材と可動部材との当接を解除するが、本発明の金型を用いれば、この可動部材の移動と同時に、該移動方向に対して所定の角度を有して傾斜する傾斜面を有した凹部によって成形された部分が、該傾斜面に沿って該移動方向とは異なる方向に離型されることになる。
これにより、キャビティの主要部である、成形面を有する部分で形成された光学有効面を有するレンズ主要部は、該主要部の外に設けられた凹部で成形された部分(以下、レンズの突起部とする)と、上記スプルにて重合した部分とを支点として回動するので、固定部材及び可動部材の成形面から、成形面によって形成されたレンズの光学有効面が離型し、結果として、従来のようにエジェクターピンを用いることなく、レンズの突起部を含めてレンズ全体を離型することができる。ここで、「回動する」とは、成形面によって形成されたレンズの光学有効面が、成形面に対して傾斜するように、レンズ主要部が動くことを示す。
また、当然のことながら、エジェクターピンを用いる必要がないので、射出中の樹脂がエジェクターピンに付着することがなく、該ピンの摺動性を懸念する必要もない。
そして、従来は、レンズのツバ部をエジェクターピンの当接動作に支障をきたさないようにある程度幅広く形成できるように構成していたが、本発明の構成によれば、エジェクターピンを用いる必要がないので、小型化したレンズを製造することが可能である。
また、エジェクターピンを用いる必要がないので、従来構成の射出成形用金型と比較して、金型を小型化することができる。
また、射出成形の過程でキャビティ内の特に成形面部分に何らかの理由で気泡が生じてしまった場合であっても、本発明の構成によれば、キャビティの上記主要部の外に凹部が形成されていることから、上記のような気泡を、凹部に退避させることができる。従って、本発明の構成によれば、光学性能に関して高い信頼性を有するレンズを提供することが可能となる。
本発明に係る第2の射出成形用金型は、上述した課題を解決するために、レンズの光学有効面を成形するための成形面を有した固定部材及び可動部材を備えており、上記可動部材は、上記固定部材と当接したり、該当接を解除したりできるように、所定の方向に移動する構成となっており、上記固定部材と可動部材とを互いの上記成形面を対向させて当接させることによって得られる、壁面に該成形面を有するキャビティに、重合性材料を射出してレンズを成形することができる射出成形用金型であって、上記固定部材及び上記可動部材には、上記キャビティの壁面であって、且つ上記成形面とは異なる位置に、上記可動部材の移動方向に対して所定の角度を有して傾斜する傾斜面を有した凹部が形成されていることを特徴としている。また、具体的には、上記所定の角度は、0°を超え、90°未満である。
上記の構成によれば、液状樹脂材料を射出成形してレンズを製造する場合であっても、エジェクターピンを用いる必要がないことから、上記したような樹脂漏れを引き起こす虞がない。また、エジェクターピンをツバ部に当接させることなく、光学有効面に突き出し跡が付かないようにしてレンズを離型することができるため、エジェクターピンを当接させることを考慮してツバ部の幅を大きくする必要がなく、ツバ部の幅を小さく形成することが可能である。よって、レンズの小型化を実現することができる。
具体的には、本発明の構成によれば、通常通り、固定部材と可動部材とによって形成されたキャビティに重合性材料を充填して射出した後、可動部材を移動させることによって固定部材と可動部材との当接を解除するが、本発明の金型を用いれば、この可動部材の移動と同時に、該移動方向に対して所定の角度を有して傾斜する傾斜面を有した凹部によって成形された部分が、該傾斜面に沿って該移動方向とは異なる方向に離型されることになる。
これにより、キャビティの主要部である、成形面を有する部分で形成された光学有効面を有するレンズ主要部は、該主要部の外に設けられた凹部で成形された部分(以下、レンズの突起部とする)を支点として回動するので、固定部材及び可動部材の成形面から、成形面によって形成されたレンズの光学有効面が離型し、結果として、従来のようにエジェクターピンを用いることなく、レンズの突起部を含めてレンズ全体を離型することができる。ここで、「回動する」とは、成形面によって形成されたレンズの光学有効面が、成形面に対して傾斜するように、レンズ主要部が動くことを示す。
また、当然のことながら、エジェクターピンを用いる必要がないので、射出中の樹脂がエジェクターピンに付着することがなく、該ピンの摺動性を懸念する必要もない。
そして、従来は、レンズのツバ部をエジェクターピンの当接動作に支障をきたさないようにある程度幅広く形成できるように構成していたが、本発明の構成によれば、エジェクターピンを用いる必要がないので、小型化したレンズを製造することが可能である。
また、エジェクターピンを用いる必要がないので、従来構成の射出成形用金型と比較して、金型を小型化することができる。
また、射出成形の過程でキャビティ内の特に成形面部分に何らかの理由で気泡が生じてしまった場合であっても、本発明の構成によれば、キャビティの上記主要部の外に凹部が形成されていることから、上記のような気泡を、凹部に退避させることができる。従って、本発明の構成によれば、光学性能に関して高い信頼性を有するレンズを提供することが可能となる。
また、本発明に係る第2の射出成形用金型は、上記凹部が、上記キャビティの固定部材側及び可動部材側の上記壁面にそれぞれ1つずつ設けられており、この2つの凹部は、上記キャビティを上記成形面に対して垂直となる方向からみて、互いに、上記成形面を挟んで対向する位置に配設されていることが好ましい。
上記の構成によれば、レンズの離型をより効率的に実施することができる。
すなわち、本発明のように、固定部材側に設けられた凹部と、可動部材側に設けられた凹部とが、上記キャビティを上記成形面に対して垂直となる方向からみて、互いに、上記成形面を挟んで対向する位置にあれば、固定部材と可動部材との当接を解除する際の可動部材の移動時に、固定部材側に設けられた上記凹部と、可動部材側に設けられた上記凹部との双方が支点となるため、成形面からのレンズ光学有効面の離型を、精度良く実現することができる。
また、本発明に係る射出成形用金型は、上記キャビティの壁面であって、且つ上記成形面とは異なる位置に、上記可動部材の移動方向に対して垂直方向に延びるツバ部形成部を設けてもよく、上記凹部を、このツバ部形成部に設けてもよい。
上記のようにツバ部形成部を設けることにより、製造されたレンズは、光学有効面とは異なる位置にツバ部が形成されることになり、レンズを配設する鏡筒に位置決めする際に、このツバ部を用いることが可能である。
また、本発明に係る第1のレンズ製造方法は、上記した第1の射出成形用金型を用いて、上記重合性材料の重合体であるレンズを製造するレンズ製造方法であって、上述した課題を解決するために、上記固定部材と上記可動部材とを当接させることによって形成された上記キャビティに、重合性材料を射出して充填する射出工程と、上記射出工程後、上記可動部材を移動させることによって、上記固定部材と上記可動部材との当接を解除する当接解除工程とを含み、上記当接解除工程では、可動部材の上記移動に応じて、上記凹部にて重合した部分と、上記スプルにて重合した部分とを支点にして、上記光学有効面が傾斜するように上記レンズが回動して、上記固定部材及び上記可動部材から離型することを特徴としている。
上記の構成によれば、エジェクターピンを用いことなく、且つ光学有効面に突き出し跡が付けることなく、レンズを上記固定部材及び上記可動部材から離型することができる。
すなわち、本発明の製造方法によれば、可動部材の移動に応じて、凹部にて重合した部分と、上記スプルにて重合した部分とを支点にして上記光学有効面が傾斜するように、上記レンズが回動するので、エジェクターピンを用いることなく、固定部材及び可動部材からレンズを離型させることができる。
また、射出成形の過程でキャビティ内の特に成形面部分に何らかの理由で気泡が生じてしまった場合であっても、本発明の構成によれば、キャビティの上記主要部の外に凹部が形成されていることから、上記のような気泡を、凹部に退避させることができる。従って、本発明の構成によれば、光学性能に関して高い信頼性を有するレンズを提供することが可能となる。
また、本発明に係る第2のレンズ製造方法は、上記した第2の射出成形用金型を用いて、上記重合性材料の重合体であるレンズを製造するレンズ製造方法であって、上記固定部材と上記可動部材とを当接させることによって形成された上記キャビティに、重合性材料を射出して充填する射出工程と、上記射出工程後、上記可動部材を移動させることによって、上記固定部材と上記可動部材との当接を解除する当接解除工程とを含み、上記当接解除工程では、可動部材の上記移動に応じて、上記凹部にて重合した部分を支点にして、上記光学有効面が傾斜するように上記レンズが回動して、上記固定部材及び上記可動部材から離型することを特徴としている。
上記の構成によれば、エジェクターピンを用いことなく、且つ光学有効面に突き出し跡が付けることなく、レンズを上記固定部材及び上記可動部材から離型することができる。
すなわち、本発明の製造方法によれば、可動部材の移動に応じて、凹部にて重合した部分を支点にして上記光学有効面が傾斜するように、上記レンズが回動するので、エジェクターピンを用いることなく、固定部材及び可動部材からレンズを離型させることができる。
また、射出成形の過程でキャビティ内の特に成形面部分に何らかの理由で気泡が生じてしまった場合であっても、本発明の構成によれば、キャビティの上記主要部の外に凹部が形成されていることから、上記のような気泡を、凹部に退避させることができる。従って、本発明の構成によれば、光学性能に関して高い信頼性を有するレンズを提供することが可能となる。
具体的には、上記当接解除工程では、上記凹部にて重合した部分が、上記傾斜面に沿って上記可動部材の移動方向とは異なる方向に離型する。このように上記凹部にて重合した部分が移動することによって、該部分と一体的に構成されたレンズの主要部(光学有効面を有する部分)が傾斜して、上記レンズを回動させることができる。
また、本発明に係る第1及び第2のレンズ製造方法は、上記重合性材料として、熱硬化性樹脂を用いることができる。
本発明のレンズ製造方法は、上記した構成の射出成形用金型を用いているので、熱硬化させる前は液状である熱硬化性樹脂を用いても、射出成形用金型のキャビティ以外の部分に該樹脂が漏れ出ることはなく、正確な射出成形を実施することができるので、信頼性の高いレンズを提供することができる。
また、本発明に係るレンズは、上述した課題を解決するために、光学有効部を有するレンズであって、上記光学有効部の外に突起部を備えており、上記光学有効部の光軸上の中心点を含む位置で、上記レンズの厚さ方向に該レンズを切断した切断面をみたときに、上記突起部には、上記光軸に対して、0°を超え、90°未満の角度で傾斜している傾斜面が設けられていることを特徴としている。具体的には、上記レンズは、プラスチックレンズであることが好ましい。
上記の構成とすれば、0°を超え、90°未満の角度で傾斜している傾斜面を有する突起部を、光学有効部の外に備えていることによって、従来構成のようにツバ部を形成する場合であっても、ツバ部のサイズを従来よりも小さく構成することができるため、レンズサイズの小型化を実現することができる。
また、本発明のレンズに設けられた突起部は、レンズを他の装置(例えば鏡筒)などに配設する際の、位置決め部材として用いることができる。
具体的には、本発明に係るレンズは、上記突起部が、上記切断面をみたときに、上記中心点を挟んで対向する位置に配設されており、対向する上記突起部に設けられた各上記傾斜面は互いに平行に構成されている。
このように構成することによって、対向する2つの突起部の各傾斜面を利用すれば、レンズを容易に、その光学有効面を傾斜させるようにして回動させることが可能である。
また、本発明に係るレンズは、上記光学有効部の外に、ツバ部を備えていてもよく、上記突起部が、このツバ部に配設されていてもよい。
また、本発明に係るレンズは、上記突起部が、上記切断面をみたときに、突起端の角度が鋭角である三角形を有していることが好ましい。
本発明に係る第1及び第2の射出成形用金型、及び、本発明に係る第1及び第2のレンズ製造方法、並びに本発明に係るレンズの構成とすれば、エジェクターピンを用いることなく、射出成形用金型からレンズを離型することができる。そのため、従来構成において懸念されていた樹脂漏れを生じさせることない。また、光学有効面に突き出し跡が付かないようにしてレンズを離型することができる。また、エジェクターピンを当接させることを考慮してツバ部の幅を大きくする必要がなく、ツバ部の幅を小さく形成することが可能であり、レンズの小型化を実現することができる。
本発明の一実施形態を図1ないし図8に基づいて説明する。尚、以下の説明では、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲が以下の実施形態および図面に限定されるものではない。
以下の説明では、まず、本発明に係るレンズの一実施形態を説明し、続いて、該レンズの製造方法と併せて、レンズの製造に用いる射出成形用金型について説明する。
図1(a)・(b)は、本実施形態におけるプラスチックレンズ(レンズ)の構成を示した図である。図1(a)は、プラスチックレンズの側面図であり、図1(b)は、プラスチックレンズの平面図である。尚、本明細書においては、プラスチックレンズの光軸をX軸と規定するとともに、プラスチックレンズの径方向をY軸と規定し、X−Y平面に垂直な軸をZ軸と規定する。これらの軸は、図1(a)・(b)にも示している。また、図1(a)・(b)には、これらの軸と併せて、後述するプラスチックレンズの製造時において、プラスチックレンズを射出成形用金型から離型させる工程での可動型(可動部材)の移動方向(この方向を、型開き方向とする)も示している。この型開き方向は、X軸と一致する。
本実施形態におけるプラスチックレンズ19は、図1(a)・(b)に示すように、光学有効面11・12(光学有効部)と、ツバ部13と、突起部14とから構成されている。
上記光学有効面11,12は、図1(a)に示すように凸面である。しかしながら、本発明はこの形状に限定されるものではなく、凹面又は平面を適宜に選択して形成することができる。また、光学有効面11、12の形状は球面に限らず、非球面形状であってもよい。
上記ツバ部13は、図1(b)に示すように、プラスチックレンズ19の光学有効面11・12の外周に設けられており、光学有効面11・12の外周から更に外側に拡がるように、換言すれば、プラスチックレンズ19における光学有効面11・12部分の径よりも、径が大きくなるような構成となっている。
本実施形態のツバ部13は、従来構成のように射出成形用金型のエジェクターピンを当接させる構成ではない。従来のように、エジェクターピンをツバ部に当接させることによってプラスチックレンズを突き出して離型する場合は、エジェクターピンが当接できるように、且つ、突き出し動作に耐え得るように、ツバ部のZ軸方向の長さ(幅)であったり、X軸方向の長さ(厚さ)であったりを、ある程度大きくとる必要があった。しかしながら、本実施形態では、そのような必要はないことから、従来のプラスチックレンズに設けられたツバ部と比較して、その大きさを小さく形成することができる。換言すれば、本実施形態のツバ部13は、エジェクターピンを当接させるためには幅が小さすぎる。
上記突起部14は、図1(a)・(b)に示すように、ツバ部13に形成されており、ツバ部13における、光軸S上にあるレンズ中心点Pを挟んで対向する位置に1つずつ設けられている。また、各突起部14は、突起部14とレンズの光軸Sの中心点Pとを含む位置にて、プラスチックレンズ19の厚さ方向(X軸方向)にプラスチックレンズ19を切断した切断面(図1(a)を断面図としたときと同じ)をみたときに、ツバ部13から略X軸方向に突起しており、且つ、X軸に対して0°を超えて90°未満の角度で光軸Sから離れる方向に傾斜している傾斜面14aを有している。
また、レンズ中心点Pを挟んで対向する位置にある突起部14の各傾斜面14aは互いに平行となっている。
各突起部14のサイズは、大きすぎると、プラスチックレンズの組立時に該突起部が組み込み用の筐体(例えば、鏡筒)や他のレンズと干渉したり、レンズ組み込み時の基準出しに弊害を生じることがある。一方、小さすぎると、後に説明するように、このプラスチックレンズの成形時の離型工程において、十分な離型効果を得ることができなくなる。このような理由から、この突起部14は適度な大きさを有することが好ましい。具体的には、成形するプラスチックレンズの大きさにも依るが、突起部の幅(Z軸方向の長さ)、高さ(X軸方向の長さ)、奥行き(Y軸方向の長さ)のそれぞれの寸法は、最小寸法が各0.1mmより大きく、最大寸法がプラスチックレンズの光軸方向(X軸方向)の最大厚みより小さい範囲で構成されることが好ましい。
X軸に対する傾斜面14aの傾斜角度は、上記した範囲であれば後述するプラスチックレンズの回動動作(離型効果)を実行させることができる。一方、傾斜面が、X軸に対して0°である(すなわちX軸と平行である)場合や、X軸に対して90°である(すなわち、傾斜面がY−Z平面と平行である)場合は、該回動動作を実現することができないため、好ましくない。尚、回動動作をより良好に実現するためには、上記範囲のうち、5°以上で、且つ75°以下であることが好ましく、15°以上で、且つ45°以下であることがより好ましい。
上記した構造を有するプラスチックレンズは、射出成形用金型を用いた射出成形によって製造される。そこで、次に、図2及び図3を参照して、本実施形態のプラスチックレンズ19を製造する方法について説明する。
図2(a)・(b)は、本実施形態における射出成形用金型の断面図であり、図2(a)はその全体図であり、図2(b)はキャビティを中心とした部分を拡大した図である。また、図3は、射出成形用金型の一部の構成を示す側面図である。
図2(a)に示すように、本実施形態の射出成形用金型30は、固定型15(固定部材)と可動型16とから構成されている。また上記固定型15は、固定入子1、スプルブッシュ4、ロケートリング5、固定側取り付け板11、固定側型板6、スラグ部31、ランナ23、ゲート部32、スプル20及び断熱板8を備えている。また、上記可動型16は、可動側取り付け板12、可動側型板7、可動入子2、及び断熱板9を備えている。尚、これらの構成部材のうち、スプルブッシュ4、ロケートリング5、固定側取り付け板11、固定側型板6、可動側型板7、可動側取り付け板12については、一般的な射出成形用金型に配設されたものと同様であるので、詳細な説明は省略する。
固定型15の固定側型板6と、可動型16の可動側型板7とは、当接面によって互いに当接できるように構成されている。各々の当接面側には、固定入子1と可動入子2とが設けられており、固定入子1、可動入子2同士も当接するように構成されている。ここで、固定型15(固定入子1)と可動型16(可動入子2と)との当接(型閉め)、及び当接の解除(型開き)は、図示しない駆動手段によって、可動型16を移動させることによって実施することができる。そこで、図2(a)・(b)では、可動型16の移動軸を図1(a)・(b)と同じく、X軸で示している。すなわち、図1(a)・(b)に示したX軸と、図2(a)・(b)に示したX軸とは合致し、Y・Z軸についても、図1(a)・(b)のY・Z軸と、図2(a)・(b)のY・Z軸とはそれぞれ合致する。
固定入子1と可動入子2とには、図2(a)・(b)に示すように、互いが当接したときにキャビティ3となる窪みが形成されている。各窪みは、固定入子1及び可動入子2の各当接面において、プラスチックレンズ19の直径に相当する大きさほど開口している。また、各窪みには、プラスチックレンズ19の光学有効面11・12を転写する転写面(成形面)が形成されていて、各窪みの転写面は、キャビティ3内において対向する位置にある。
各窪みには、プラスチックレンズ19のツバ部13が成形されるツバ部形成用溝10’が設けられている。
さらに、各窪みには、本実施形態における射出成形用金型の特徴的な構成である突起部形成用凹部10a・10b(凹部)が設けられている。突起部形成用凹部10a・10bについて、図2(b)を用いて詳述する。
突起部形成用凹部10a・10bは、図2(b)に示すように、各窪みの一部を構成しており、固定入子1と可動入子2とが当接されると、キャビティ3の一部を構成することになる。
突起部形成用凹部10aは、可動入子2側の窪みの上記ツバ部形成用溝10’の壁の一部が更に陥没したことによって形成されている。また、突起部形成用凹部10bは、固定入子1側の窪みの上記ツバ部形成用溝10’の壁の一部が更に陥没したことによって形成されている。
そして、突起部形成用凹部10aと突起部形成用凹部10bとは、図2(b)に示すように、プラスチックレンズ19の上記主要部が成形されることになるキャビティ3の上記転写面同士が対向する部分を挟んで対向する位置に配置されている。すなわち、突起部形成用凹部10a及び突起部形成用凹部10bの位置は、図1(a)・(b)に示した本実施形態のプラスチックレンズ19の突起部14の位置と一致している。
以下に、図2(b)を用いて、突起部形成用凹部10a・10bを更に説明するが、説明の便宜上、図2(b)のキャビティ3には、既にプラスチックレンズ19が射出されているものとして、プラスチックレンズ19の光軸Sと、光軸S上のレンズ中心点Pを示す。
突起部形成用凹部10aは、可動入子2側の窪みの上記ツバ部形成用溝10’の壁から、略X軸方向に、且つ固定入子1から離れる方向に更に陥没した形状であり、図2(b)の断面図でみたときに、X軸に対して、0°を超え、90°未満の角度で光軸Sから離れる方向に傾斜している傾斜面21aを有している。そして、突起部形成用凹部10aは、上記ツバ部形成用溝10’との連通部分から、陥没端に至るまで、Y−Z平面での断面積が順次小さくなるように構成されている。すなわち、図2(b)の断面図でみたときに、突起部形成用凹部10aは、上記ツバ部形成用溝10’との連通部分から、陥没端に向けて先細りしたテーパー形状の構造を有している。
突起部形成用凹部10bも、固定入子1側の窪みの上記ツバ部形成用溝10’の壁から、略X軸方向に、且つ可動入子2から離れる方向に更に陥没した形状であり、図2(b)の断面図でみたときに、X軸に対して、0°を超え、90°未満の角度で光軸Sから離れる方向に傾斜している傾斜面22aを有している。そして、突起部形成用凹部10bは、上記ツバ部形成用溝10’との連通部分から、陥没端に至るまで、Y−Z平面の断面積が順次小さくなるように構成されている。すなわち、図2(b)の断面図でみたときに、突起部形成用凹部10bは、上記ツバ部形成用溝10’との連通部分から、陥没端に向けて先細りしたテーパー形状の構造を有している。
上記スプルブッシュ4内には、X軸方向に延びるスプル20が設けられている。スプル20は、図2(a)に示すように、固定側取り付け板11から可動型16に向かって拡径するテーパー形状を有した空洞である。そして、可動側型板7には、可動側型板7が固定側型板6と当接したときにスプル20と連通するスラグ部31として構成される溝部が形成されている。更に可動側型板7には、スラグ部31として構成される上記溝部と同じく、可動側型板7が固定側型板6と当接したときにスラグ部31と連通するランナ23及びゲート部32として構成される溝部が形成されている。ゲート部32は、キャビティ3と連通している。これにより、可動側型板7と固定側型板6とが当接すると、スプル20の開口端から、スラグ部31、ランナ23、ゲート部32と通じてキャビティ3に至る中空経路が形成されることになる。この中空経路は、プラスチックレンズ材料(樹脂)の充填経路となる。すなわち、キャビティ3にプラスチックレンズ材料(樹脂)が充填されると同時に、スプル20、スラグ部31、ランナ23、ゲート部32にも該材料が充填されることになる。
次に、上記した構成を備えた射出成形用金型を用いた、図1(a)・(b)に示したプラスチックレンズ19の作製方法を、図4(a)・(b)に基づいて説明する。図4(a)は、射出成形用金型30の型閉じ時であって、プラスチックレンズ19の成形中の状態を示した断面図であり、図4(b)は射出成形用金型30の型開き時のプラスチックレンズ19の状態を示した断面図である。
まず、図4(a)に示すように、射出成形用金型30にて通常通りにプラスチックレンズ19を射出成形する。図示しない、射出ノズルより、所望の熱硬化樹脂をキャビティ3に所望の量を射出する。この状態で、図示しない加熱ヒータにて金型を過熱し、キャビティ内の熱硬化樹脂の加熱硬化を行う。この時、成型品が所望の形状となるように樹脂の硬化収縮や金型加熱による樹脂の熱膨張を考慮して、キャビティ内の樹脂に所望の保圧をかけておくことが望ましい。
次に、図4(b)に示すように固定型15を可動型16から分離、すなわち、図示しない駆動手段を用いて可動型16を移動させることによって型開きを行い、可動側型板7の当接面7aを露出させることにより、キャビティ3内にて成形したプラスチックレンズ19及びレンズ19に連結したゲート32、及び、ランナ23、及び、スプル20が現れる。そして、この型開き時に射出成形用金型30の離型動作も同時に行われる。
ここで本発明によるプラスチックレンズの離型の原理について説明する。プラスチックレンズ19の突起部14は、射出成形用金型30から離型され、傾斜面21a、22aに沿って抜ける。この時、突起部形成用凹部10a・10bにおいて成形された突起部14は、突起部形成用凹部10a・10bの形状と同じくテーパー形状であるため、型開き方向(X軸方向)とは異なる方向に突起部14が傾いたときに離型抵抗が小さくなり、離型方向が一致して初めて金型から抜けることができる。このため、プラスチックレンズ19は、図4(b)に示すように、光学有効面11・12を傾斜する方向に力を受ける。この結果、プラスチックレンズ19はこの力により窪み1a、2aから離型される。このとき、硬化した樹脂材料は弾性を有するため、プラスチックレンズ19に割れを生じさせずに離型を行うことができる。
離型したプラスチックレンズ19は、図示しない取り出しロボット等にてスプル20の部分をつまんで取り出し、その後にプラスチックレンズ19に一体になっているゲート13を切断し、ランナ23とスプル20を除去する。
以上のように、プラスチックレンズ19の光学有効面11・12を成形するための成形面を有した固定入子1及び可動入子2を備えており、固定入子1と可動入子2とを互いの上記成形面を対向させて当接させることによって得られる、壁面に該成形面を有するキャビティ3に、重合性材料を射出してプラスチックレンズ19を成形することができる本実施形態の射出成形用金型によれば、端部がキャビティ3に露出するように構成されたゲート部32が、ランナ23を介して、固定型15に配設されたスプル20に接続されており、固定入子1及び可動入子2には、キャビティ3の壁面であって、且つ上記成形面とは異なる位置に、可動型16の移動方向に対して0°を超え、90°未満の角度を有して傾斜する傾斜面21a・22aを有した突起部形成用凹部10a・10bが形成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、液状樹脂材料を射出成形してレンズを製造する場合であっても、エジェクターピンを用いる必要がないことから、上記したような樹脂漏れを引き起こす虞がない。また、エジェクターピンをツバ部に当接させることなく、光学有効面に突き出し跡が付かないようにしてレンズを離型することができるため、エジェクターピンを当接させることを考慮してレンズのツバ部の幅を大きくする必要がなく、ツバ部13の幅を小さく形成することが可能である。よって、レンズの小型化を実現することができる。
具体的には、本実施形態の射出成形用金型の構成によれば、突起部形成用凹部10a・10bによって成形された突起部14が、傾斜面21a・22aに沿って可動型16の移動方向とは異なる方向に離型されることになる。
これにより、キャビティ3の主要部である、成形面を有する部分で形成された光学有効面を有するレンズの主要部は、該主要部の外に設けられた支点として回動するので、固定入子1及び可動入子2の成形面から、成形面によって形成されたレンズの光学有効面11・12が離型し、結果として、従来のようにエジェクターピンを用いることなく、レンズの突起部を含めてレンズ全体を離型することができる。ここで、「回動する」とは、成形面によって形成されたレンズの光学有効面11・12が、固定入子1及び可動入子2に形成された成形面に対して傾斜するようにレンズの主要部が動くことを示す。
また、当然のことながら、エジェクターピンを用いる必要がないので、射出中の樹脂がエジェクターピンに付着することがなく、該ピンの摺動性を懸念する必要もない。
そして、従来は、レンズのツバ部をエジェクターピンの当接動作に支障をきたさないようにある程度幅広く形成できるように構成していたが、本発明の構成によれば、エジェクターピンを用いる必要がないので、レンズを小型化することが可能である。
また、射出成形の過程でキャビティ内の特に成形面部分に何らかの理由で気泡が生じてしまった場合であっても、本発明の構成によれば、キャビティの上記主要部の外に突起部形成用凹部10a・10bが形成されていることから、上記のような気泡を、突起部形成用凹部10a・10bに退避させることができる。従って、本発明の構成によれば、光学性能に関して高い信頼性を有するレンズを提供することが可能となる。
また、本実施形態の射出成形用金型によれば、突起部形成用凹部10a・10bが、固定入子1及び可動入子2にそれぞれ1つずつ設けられており、この2つの突起部形成用凹部10a・10bは、上記可動部材の移動方向にみて、互いに、上記成形面を挟んで対向する位置に配設されている。これにより、型開き時に、固定入子1に設けられた突起部形成用凹部10bと、可動入子2に設けられた突起部形成用凹部10aとの双方が支点となるため、成形面からのレンズ光学有効面の離型を、精度良く実現することができる。
また、図12に示した従来技術のように、ツバ部が小さいプラスチックレンズに余肉部を形成して離型する場合に比べて、本実施の形態ではタグ部311が不要であるため、これを切除する必要がなく、より低コストにてプラスチックレンズ19を得ることが可能となる。
尚、本発明のプラスチックレンズのツバ部に設ける突起部は、図1(a)・(b)に示すようにレンズ光軸に対して、レンズ外側へいくにつれて広がる形状に限らない。例えば、図5に示すように、レンズ光軸に対してテーパー形状の突起部の先端部が内側に向くような形状であってもよい。
また、本実施形態では、固定入子1及び可動入子2にそれぞれ1つずつ突起部形成用凹部が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図6、図7に示すように突起部形成用凹部は1つだけであっても構わない。図6、図7に示す構成の場合であっても、図示しない駆動手段を用いて可動型16を移動させることによって型開きを行い、可動側型板7の当接面7aを露出させると同時に、突起部形成用凹部と、スプルにて重合した部分とを支点として、図4(b)に示したように光学有効面11・12を傾斜する方向に力を受け、プラスチックレンズ19はこの力により窪み1a、2aから離型される。
離型効果を十分に得るには突起部を2つ設ける方が効果的である。これらの突起部の形状においても、前述の実施例と同様の効果であるため説明は省略する。また、実施例では、側方図、及び、上方図のいずれからも三角形状をしているが、例えば、上方から見た時の形状が台形であってもよく、離型時に抜け易いテーパー構造を有することが重要である。
また、以下に、本発明のプラスチックレンズの変形例について説明する。
〔変形例〕
図8のプラスチックレンズ19’は、略球状の光学有効面と外周の一部がカットされたツバ部13’を有し、カットされた部分に突起部14が設けられている。この突起部14は、ツバ部13’の外周径内に設けられている。
このような形態であれば、プラスチックレンズ19’の製造において、離型時の型開き工程で突起部14の回動動作によるせん断力によりスムーズな離型を行うことができる。また、撮像系などの組み込みレンズの組立時に、ツバ部13’の上面及び側面を位置合わせ部位として通常のレンズと同様に取り扱うことができる。
尚、本発明に係るレンズ製造方法は、以下の構成を特徴としていると換言することができる。
すなわち、本発明に係るレンズ製造方法は、金型のキャビティに重合性樹脂を充填し、固化させた後、キャビティより離型して得られるプラスチックレンズの製造方法において、前記プラスチックレンズはプラスチックレンズの光学有効面外に設けられた微小突起を支点にした回転動作によりプラスチックレンズの離型を行うことを特徴としていると換言することができる。また、上記の構成において、上記微小突起の離型方向は金型の型開き方向とは異なること好ましい。また、上記の構成において、重合性樹脂は、液状の熱硬化性樹脂であることが好ましい。
また、本発明に係るレンズは、以下の構成を特徴としていると換言することができる。
すなわち、本発明に係るレンズは、金型のキャビティに重合性樹脂を充填し、固化させた後、上記キャビティより離型して得られるプラスチックレンズにおいて、上記プラスチックレンズは前記プラスチックレンズの光学有効面外に微小突起を有することを特徴としていると換言することができる。また、次のようにも換言することができる。すなわち、本発明に係る別のレンズは、金型のキャビティに重合性樹脂を充填し、固化させた後、上記キャビティより離型して得られるプラスチックレンズにおいて、上記プラスチックレンズは上記プラスチックレンズの光学有効面外の少なくとも一部が光軸方向にカットされた形状を有し、上記カットされた光学有効面外の側面に微小突起を有することを特徴としていると換言することができる。また、上記の構成において、上記微小突起は少なくとも1つ以上設けられていることが好ましい。また、上記の構成において、上記微小突起は上記プラスチックレンズの光学有効面外の略平面に向かって拡径するテーパー状であることが好ましい。また、上記の構成において、上記微小突起は上記プラスチックレンズの光軸方向に対して傾斜するように設けられていることが好ましい。また、上記の構成であって、2つ以上の上記微小突起を有する上記プラスチックレンズにおいて、上記2つ以上の微小突起は光軸を中心に対向する位置に配置されていることが好ましい。また、上記の構成であって、2つ以上の上記微小突起を有する上記プラスチックレンズにおいて、上記対向する位置に配置された微小突起の離型方向は互いに平行であることが好ましい。また、上記の構成において、上記カットされた光学有効面外の側面に設けられた微小突起は、上記プラスチックレンズの光学有効面外のカット前の形状寸法内に設けられていることが好ましい。また、上記の構成において、上記微小突起は、上記微小突起の幅、高さ、奥行き寸法のそれぞれの寸法は、最小寸法が0.1mmより大きく、最大寸法は上記プラスチックレンズの光軸方向の最大厚さより小さい範囲で構成されることが好ましい。
本発明の射出成形用金型、該金型を用いたレンズの製造方法、及びレンズは、従来技術のようにエジェクターピンを用いることなく、レンズの離型を実行することができ、また、金型内へのレンズ材料(樹脂)漏れを引き起こすことがなく、信頼性の高いレンズを提供することができる。
従って、射出成形により製造される種々のレンズに適用することができる。
(a)・(b)はともに、本発明に係るレンズの一実施形態であるプラスチックレンズの構成を示した図であり、(a)はプラスチックレンズの側面図であり、(b)はプラスチックレンズの平面図である。 (a)・(b)はともに、本発明に係る射出成形用金型の一実施形態を示した断面図であり、(a)はその全体図であり、(b)は射出成形用金型の主要部であるキャビティの構造を示した断面図である。 図2に示した射出成形用金型の一部の構成を示す側面図である。 図2に示した射出成形用金型を用いて、図1に示したレンズを製造している状態を示したものであり、(a)は、射出成形用金型の型閉じ時であって、レンズの成形中の状態を示した断面図であり、(b)は射出成形用金型の型開き時のレンズの状態を示した断面図である。 (a)・(b)はともに、本発明に係るレンズの他の実施形態であるプラスチックレンズの構成を示した図であり、(a)はプラスチックレンズの側面図であり、(b)はプラスチックレンズの平面図である。 (a)・(b)はともに、本発明に係るレンズの他の実施形態であるプラスチックレンズの構成を示した図であり、(a)はプラスチックレンズの側面図であり、(b)はプラスチックレンズの平面図である。 (a)・(b)はともに、本発明に係るレンズの他の実施形態であるプラスチックレンズの構成を示した図であり、(a)はプラスチックレンズの側面図であり、(b)はプラスチックレンズの平面図である。 (a)・(b)はともに、本発明に係るレンズの他の実施形態であるプラスチックレンズの構成を示した図であり、(a)はプラスチックレンズの側面図であり、(b)はプラスチックレンズの平面図である。 従来技術を示した図である。 従来技術を示した図である。 従来技術を示した図である。 従来技術を示した図である。
符号の説明
1 固定入子(固定部材)
2 可動入子(可動部材)
3 キャビティ
4 スプルブッシュ
5 ロケートリング
6 固定側型板
7 可動側型板
7a 当接面
8 断熱板
9 断熱板
10’ ツバ部形成用溝
10a・10b 突起部形成用凹部(凹部)
11・12 光学有効面
13 ツバ部
14 突起部
14a 傾斜面
15 固定型(固定部材)
16 可動型(可動部材)
19 プラスチックレンズ
20 スプル
21a・22a 傾斜面
23 ランナ
30 射出成形用金型
31 スラグ部
32 ゲート部

Claims (11)

  1. レンズの光学有効面を成形するための成形面を有した固定部材及び可動部材を備えており、
    上記可動部材は、上記固定部材と当接したり、該当接を解除したりできるように、所定の方向に移動する構成となっており、
    上記固定部材と可動部材とを互いの上記成形面を対向させて当接させることによって得られる、壁面に該成形面を有するキャビティに、重合性材料を射出してレンズを成形することができる射出成形用金型であって、
    上記固定部材及び上記可動部材には、上記キャビティの壁面であって、且つ上記成形面とは異なる位置に、上記可動部材の移動方向に対して所定の角度を有して傾斜する傾斜面を有した凹部が形成されており、
    上記凹部は、上記キャビティの固定部材側及び可動部材側の上記壁面にそれぞれ1つずつ設けられており、この2つの凹部は、上記キャビティを上記成形面に対して垂直となる方向からみて、互いに、上記成形面を挟んで対向する位置に配設されていることを特徴とする射出成形用金型。
  2. 上記所定の角度は、0°を超え、90°未満であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形用金型。
  3. 上記キャビティの壁面における、上記成形面とは異なる位置に、上記可動部材の移動方向に対して垂直方向に延びるツバ部形成部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形用金型。
  4. 上記凹部は、ツバ部形成部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の射出成形用金型。
  5. レンズにおける光学有効部の外に突起部を備えており、
    上記光学有効部の光軸上の中心点を含む位置で、上記レンズの厚さ方向に該レンズを切断した切断面をみたときに、上記突起部は、上記中心点を挟んで対向する位置に配設されていることを特徴とするレンズ。
  6. 上記突起部には、上記光軸に対して、0°を超え、90°未満の角度で傾斜している傾斜面が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のレンズ。
  7. 上記突起部に設けられた各上記傾斜面は、互いに平行であることを特徴とする請求項6に記載のレンズ。
  8. 上記光学有効部の外に、ツバ部を備えていることを特徴とする請求項5から7までの何れか1項に記載のレンズ。
  9. 上記突起部は、上記ツバ部に配設されていることを特徴とする請求項8に記載のレンズ。
  10. 上記突起部は、上記切断面をみたときに、突起端の角度が鋭角である三角形を有していることを特徴とする請求項5から9までの何れか1項に記載のレンズ。
  11. 上記レンズは、プラスチックレンズであることを特徴とする請求項5から10の何れか1項に記載のレンズ。
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