JP2008201795A - 7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業的規模で7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造が可能である、高効率な7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法を提供すること。
【解決手段】カプシウム(Capsicum)属に属する植物を原料とする7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法であって、(i)原料を水及び/又は有機溶媒による抽出に供し、抽出物を得る工程〔ここで、抽出物は主成分として、ルテオリン 7−O−アピオシル−(1−2)−グルコシド(luteolin 7-O-apiosyl-(1-2)-glucoside)を含む〕、(ii)抽出物からアピオースが遊離する条件下に、抽出物を酸加水分解する工程、並びに(iii)抽出物中の7−O−β−D−グルコシルルテオリン以外の成分と7−O−β−D−グルコシルルテオリンとを分離する工程を含む、7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、カプシウム(Capsicum)属に属する植物を原料とする7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法に関する。
海草やパセリには、アピインと呼ばれるフラボノイド配糖体(apigenin 7-O-apiosyl-(1-2)-glucoside)が含まれている。アピオース(apiose)は、アピイン中、その構成糖として、グルコースと結合した二糖類の形で存在している。
しかしながら、海草やパセリ中のアピオース含有量は非常に微量であるので、それらを原料として工業的規模でアピオースを製造することは困難である。また、アピインからアピオースを分離する方法としては、酵素を用いる方法や加熱下に酸加水分解する方法が知られているが(例えば、非特許文献1及び2参照)、アピオースを選択的に遊離させる酵素は工業的には未だ実用化されておらず、一方、酸加水分解による方法では、アピオースと共にグルコースも生じ、両者を分離するためには多大な労力と設備が必要であり、工業的に有効な方法であるとは言えない。
また、有機化学的合成方法によりアピオースを合成することも可能ではあるが、アピオースには不斉炭素が存在しており、その不斉制御には多大なコスト、技術、設備が必要であり、やはり工業的に有効な方法であるとは言えない。
このように、アピオースを工業的規模で製造した例はこれまでにない。アピオースは非常に高価な稀少糖であり、アピオースの利用性を制限する原因となっている。
宮道悦男著、「最新植物成分研究法 改訂版」、廣川書店、1971年発行、第257頁〜第273頁 名取信策ら編、「天然有機化合物実験法」、講談社、1978年発行、第362頁〜第376頁
本発明は、工業的規模でアピオースの製造が可能である、高効率なアピオースの製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
〔1〕 カプシウム(Capsicum)属に属する植物を原料とするアピオースの製造方法であって、
(i)原料を水及び/又は有機溶媒による抽出に供し、抽出物を得る工程、
(ii)抽出物からアピオースが遊離する条件下に、抽出物を酸加水分解する工程、及び
(iii)抽出物中のアピオース以外の成分とアピオースとを分離する工程、
を含む、アピオースの製造方法、
〔2〕 工程(i)の前に原料を脱脂する工程、及び/又は工程(i)の後に抽出物を脱脂する工程をさらに含む前記〔1〕記載のアピオースの製造方法、
〔3〕 カプシウム属に属する植物が、カプシウム・フルテスセンス(C. frutescens)種、カプシウム・アニューム(C. annuum)種、カプシウム・キネンセ(C. chinense)種及びカプシウム・バッカツム(C. baccatum)種からなる群より選ばれる少なくとも1種に属する植物である、前記〔1〕又は〔2〕記載のアピオースの製造方法、
〔4〕 カプシウム・アニューム種に属する植物がピーマン及び/又はトオガラシである前記〔3〕記載のアピオースの製造方法、
〔5〕 ピーマン及び/又はトオガラシの葉及び/又は果実を原料とする前記〔4〕記載のアピオースの製造方法、並びに
〔6〕 酸加水分解を0〜40℃で行う前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載のアピオースの製造方法、
に関する。
本発明によれば、従来、工業的規模で製造することが困難であったアピオースを簡便かつ安価に製造することができる。また、原料として、産業廃棄物として廃棄されている、例えば、ピーマンの葉や果実を利用することができるため、かかる産業廃棄物の有効利用をも図ることができる。
アピオースとは、以下に示すヘミアセタール型〔式(I)〕又は非ヘミアセタール型〔式(II)〕の構造を有する五炭糖である。
Figure 2008201795
前記する通り、アピオースは、アピインと呼ばれるフラボノイド配糖体の構成糖として天然に存在しているが、本発明者らは、これまでに、アピオースを含むフラボノイド配糖体が、カプシウム(Capsicum)属に属する植物、中でもピーマンの葉や果実に極めて高濃度に存在していることを見出している。その量は、およそ12000ppmに及ぶ。
しかしながら、従来のアピオースの製造方法によっては、たとえ前記植物を原料に用いたとしても効率的にアピオースを製造することは非常に困難であった。そこで、鋭意研究を重ねたところ、意外にも、特定の条件下に前記配糖体を酸加水分解することで、目的のアピオースが選択的に遊離してくることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のアピオースの製造方法は、カプシウム属に属する植物を原料とする、
(i)原料を水及び/又は有機溶媒による抽出に供し、抽出物を得る工程、
(ii)抽出物からアピオースが遊離する条件下に、抽出物を酸加水分解する工程、並びに
(iii)抽出物中のアピオース以外の成分とアピオースとを分離する工程、
を含む方法である。
本発明においてアピオースを製造する際の原料となるカプシウム(Capsicum)属に属する植物としては、特に限定されるものではないが、アピインの含有量が比較的高いことから、カプシウム・フルテスセンス(C. frutescens)種、カプシウム・アニューム(C. annuum)種、カプシウム・キネンセ(C. chinense)種及びカプシウム・バッカツム(C. baccatum)種からなる群より選ばれる少なくとも1種に属する植物が好ましい。中でも、カプシウム・アニューム種に属する植物がより好ましく、かかる植物の例である、ピーマン及び/又はトオガラシを原料とするのが特に好ましく、ピーマンを原料とするのがさらに好ましい。
本発明において、原料としては、前記カプシウム属に属する植物の生体全体を使用してもよいが、葉、果実、種子、根などの部位を選択して使用することもできる。アピインの含有量が比較的高いことから、葉及び/又は果実を原料とするのが好ましい。よって、本発明においては、ピーマン及び/又はトオガラシの葉及び/又は果実を原料とするのが特に好ましく、ピーマンの葉及び/又は果実を原料とするのがさらに好ましい。
なお、原料として使用される植物については、その生育期、鮮度、植物体の完全性等は特に限定されるものではない。生育期としては、植物におけるアピオース含量が高いことから、成熟期が好ましい。
例えば、ピーマンを原料として使用する場合、畑から摘みたての成熟期にある新鮮で無傷の果実を用いることができる。一方、産業廃棄物として廃棄される、葉や、見栄えの悪い果実、鮮度の落ちた果実等を用いてもよい。天然資源のムダを無くす観点からは、原料として産業廃棄物を利用するのが好ましい。
工程(i)では、原料を、抽出溶媒として水及び/又は有機溶媒を使用する抽出操作に供し、原料から抽出物(主としてluteolin 7-O-apiosyl-(1-2)- glucoside)を得る。
原料である植物は、そのまま抽出に供してもよいが、抽出効率を向上させる観点から、予め適当な大きさに細断、粉砕等して抽出に供するのが好ましい。植物は、生のまま用いてもよいが、乾燥させたものを用いてもよく、植物からの搾汁液を原料として用いてもよい。
抽出操作は、原料を、室温から抽出溶媒の沸点程度の温度で抽出溶媒により処理することにより行なう。
使用される水としては、特に限定はなく、水道水、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。水のpHは、特に限定されるものではないが、2〜10程度であるのが好ましい。pHの調整には、例えば、塩酸や硫酸、硝酸、炭素水素ナトリウム、炭素ナトリウム、アンモニア水、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用すればよい。有機溶媒としては、特に限定はないが、抽出効率の観点から、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられる。中でも、メタノール及びエタノールが好ましい。また、抽出には、水と極性有機溶媒との混合溶媒を使用してもよい。両者の混合割合は、特に限定されるものではない。有機溶媒としては、極性の低いものを使用することもできる。かかる溶媒としては、例えば、エーテル、酢酸エチル、酢酸メチル、クロロホルム等が挙げられる。
抽出操作は、例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に原料を投入し、好ましくは攪拌下に可溶性成分を溶出させることにより行なう。なお、原料に対する水及び/又は有機溶媒の量は適宜調整すればよく、特に限定はない。その後、濾過して抽出残査を除き、得られた抽出液を所望により濃縮、乾燥等し、有機溶媒を使用した場合には、かかる溶媒を除去して、抽出物を得る。抽出条件は、例えば、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常、0〜40℃で29時間程度である。また、抽出溶媒としてメタノールを用いた場合には、通常、0〜40℃で12時間程度である。抽出溶媒として水とメタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常、0〜40℃で12時間程度である。
なお、抽出操作は、所望により、繰り返し行なってもよい。例えば、抽出残渣に対し抽出溶媒を加え、前記条件下に抽出操作を行ない、得られた抽出液を1まとめにして、そこから抽出物を得ればよい。抽出操作の繰り返しは、抽出物の高い回収率が得られ、好ましい。
通常、原料として使用する植物には、前記抽出操作の際に、目的とする抽出物と共に抽出されてくる脂質成分が含まれている。それゆえ、より精製度の高いアピオースの製造を所望する場合は、アピオースの製造工程のいずれかにおいて脱脂操作を実施するのが好ましい。脱脂操作は、操作の簡便性の観点から、工程(i)を実施する前の原料に対して実施する、及び/又は工程(i)を実施した後に得られる抽出物に対して実施するのが好ましく、脱脂効率を高める観点から、工程(i)を実施した後に得られる抽出物に対して実施するのがより好ましい。よって、本発明のアピオースの製造方法としては、工程(i)の前に原料を脱脂する工程、及び/又は工程(i)の後に抽出物を脱脂する工程をさらに含む方法が好ましく、工程(i)の後に抽出物を脱脂する工程をさらに含む方法がより好ましい。なお、脱脂操作を実施しなくとも、充分に使用可能なアピオースを得ることができる。
脱脂操作は、原料又は抽出物を水に分散又は溶解させ、そこに、エーテル、酢酸エチル、酢酸メチル、クロロホルム、ヘキサン等の無極性有機溶媒を投入し、それらを良く混合した後、又は攪拌下に、通常、0〜40℃で12時間程度維持することにより行なわれる。無極性有機溶媒としては、ヘキサン、エーテルが好ましい。原料を脱脂した場合は、水相に存在する脱脂後の原料を回収して、以後の工程において使用する。また、抽出物を脱脂した場合には、水相を回収し、所望により、濃縮、乾燥して抽出物を得、以後の工程において使用する。脱脂操作は繰り返し行なってもよい。
なお、脱脂操作の際の、原料又は抽出物に対する無極性有機溶媒の量としては、特に限定はないが、原料又は抽出物100重量部に対して、好ましくは30〜100重量部、より好ましくは70〜80重量部である。
工程(ii)では、工程(i)で得られた抽出物を、該抽出物からアピオースが遊離する条件下に、酸加水分解を行なう。
本明細書において「抽出物からアピオースが遊離する条件」とは、特に限定されるものではないが、好ましくは、抽出物の酸加水分解反応が行なわれる酸水溶液のpHが、通常、1〜6程度、好ましくは2〜3であり、反応温度が、通常、0〜40℃程度、好ましくは0〜25℃である条件を挙げることができる。かかる条件の存在すること、及び具体的な条件は、本発明において初めて明らかにされたことである。
酸加水分解の方法は、特に限定されるものではないが、大きく2つの態様により行なうことができる。
第1の態様は、工程(i)で得られた抽出物の水分散液又は水溶液(以下、抽出物の水溶液等という)のpHを所望の値に調整することにより、抽出物の酸加水分解を実施するものである。一方、第2の態様は、抽出物の水溶液等を室温ないし低温に放置して抽出物の結晶を析出させ、それを回収し、該結晶に対し前記条件下に酸加水分解を実施するものである。酸加水分解後に、目的とするアピオースの分離が容易であるという観点から、第2の態様により酸加水分解を行なうのが好ましい。
第1の態様では、抽出物の水溶液等のpHを、酸を用いて所望の値に調整する。酸としては、特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、酢酸、蟻酸等の有機酸が使用される。中でも、無機酸が好ましく、塩酸や硫酸がより好ましい。
酸加水分解は、抽出物からアピオースが遊離する条件のもと、好ましくは攪拌下に、通常、6〜48時間程度、好ましくは12〜48時間維持することにより行なわれる。
なお、酸加水分解時の、抽出物の水溶液等における抽出物の濃度としては、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは3〜6重量%である。
一方、第2の態様では、まず、抽出物の水溶液等から抽出物の結晶を析出させる。結晶の析出は、抽出物の水溶液等を、通常、0〜20℃、好ましくは0〜10℃に維持することにより行なうことができる。その場合、抽出物の水溶液等における抽出物の濃度としては、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは3〜6重量%である。結晶は、通常、黄色みを帯び、沈殿という状態を呈する。
結晶は、ろ過等により、溶媒と分離することにより得られる。次いで、結晶を所望のpHを有する酸水溶液中に投入する。酸水溶液としては、加水分解効率が優れることから、0.1〜10(v/v)%程度の酢酸又は塩酸水溶液が好適に使用される。
酸加水分解は、抽出物からアピオースが遊離する条件のもと、好ましくは攪拌下に、通常、1〜48時間程度、好ましくは6〜12時間維持することにより行なわれる。
なお、酸加水分解の際の、結晶に対する酸水溶液の量としては、特に限定はないが、結晶100重量部に対して、好ましくは10〜10000重量部、より好ましくは100〜1000重量部である。
以上の操作により、酸加水分解反応が行なわれた溶媒中にアピオースが選択的に遊離する。続いて、工程(iii)において、抽出物中のアピオース以外の成分(主としてアグリコン)とアピオースとを分離することにより、目的とするアピオースが得られる。
なお、「抽出物中のアピオース以外の成分とアピオースとを分離する」とは、アピオースを完全に単離することを意図するものではなく、実質的にアピオースを他の成分と分離することをいう。アピオースの分離精度(精製度)は、その用途に応じて適宜調整すればよい。
酸加水分解を第1の態様により行なった場合、抽出物中のアピオース以外の成分とアピオースとがいずれも酸加水分解の反応が行なわれた溶媒中に溶解している場合がある。かかる場合には、一旦、溶質を任意の吸着材に吸着させ、適当な溶媒を用いてアピオースを分離するのが好ましい。
酸加水分解後の反応液を、そのまま吸着材と接触させて溶質を吸着させてもよいが、吸着材への溶質の吸着を高める観点から、反応液を、例えば、水で10〜100倍希釈してもよい。
吸着材としては、通常、逆相系の吸着材(例えば、ODSやNH2残基を有するもの)が好ましく、中でもODSが好適に使用される。
吸着材からのアピオースの分離は、かかる吸着材と、溶媒、例えば、水や、低濃度の酢酸又はギ酸の水溶液とを混合し、溶出することにより行なうことができる。吸着材が、任意のカラムに充填されたものであれば、前記溶媒を移動相として使用する液体クロマトグラフィーの手法によりアピオースを分離することができる。液体クロマトグラフィーの条件は、アピオースが分離される限り、特に限定されるものではない。
なお、酸加水分解を第1の態様により実施した場合にも、酸加水分解の条件によっては、反応中に抽出物が結晶化することがあるため、その場合は、以下に説明する、「酸加水分解を第2の態様により実施した場合」におけるアピオースの分離方法に従って、アピオースを分離すればよい。
酸加水分解を第2の態様により行なった場合、抽出物は結晶化した状態で酸加水分解されており、アピオースが酸水溶液中に選択的に遊離することになる。抽出物中のアピオース以外の成分は、結晶化したまま維持される。従って、この場合は、単に公知のろ過方法等により、酸水溶液と結晶とをろ別し、酸水溶液を回収することで、アピオースを分離することができる。なお、酸加水分解を第2の態様により行なった場合でも、所望により、酸加水分解を第1の態様により行なった場合におけるアピオースの分離方法に従って、アピオースを分離してもよい。
以上により、アピオースが得られるが、所望により、さらに精製、濃縮、乾燥等を行ってもよい。本発明によれば、従来に比し、簡便かつ安価に、大量、高純度のアピオースを得ることができる。なお、アピオースの提供形態は、特に限定されるものではない。その用途に応じて、公知の方法により、分離されたアピオースの形態を調整することで、適宜、固形状、粉末状、液状のいずれの形態のものも提供することができる。
さらに、本発明のアピオースの製造方法においては、抽出物の酸加水分解後に生成するアピオース以外の成分中、主成分として7−O−β−D−グルコシルルテオリンが得られる。また、7−O−β−D−グルコシルルテオリンの酸加水分解や、抽出物の酸加水分解により、ルテオリンをも得ることができる。よって、本発明の別の一態様として、7−O−β−D−グルコシルルテオリン及びルテオリンの製造方法をも提供することができる。7−O−β−D−グルコシルルテオリン及びルテオリンも、アピオース同様、合成が困難であり、稀少な化合物であるため、本発明により提供されうるそれらの化合物の高効率な製造方法は、非常に有用である。
7−O−β−D−グルコシルルテオリンは、アピオースの製造方法における工程(iii)の後に抽出物中のアピオース以外の成分として得られる。例えば、それは、吸着材に吸着された形で存在する。従って、かかる吸着材と、例えば、メタノール、エタノール等の溶媒とを混合し、吸着材から7−O−β−D−グルコシルルテオリンを溶媒中に溶出することができる。吸着材が、任意のカラムに充填されたものであれば、前記溶媒を移動相として使用する液体クロマトグラフィーの手法により7−O−β−D−グルコシルルテオリンを分離することができる。液体クロマトグラフィーの条件は、7−O−β−D−グルコシルルテオリンが分離される限り、特に限定されるものではない。溶媒を適宜除去等することにより、目的の7−O−β−D−グルコシルルテオリンを得ることができる。
一方、抽出物が結晶化した状態で酸加水分解に供された場合には、酸加水分解終了後、単に公知のろ過方法等により、酸水溶液と結晶とをろ別し、結晶を回収することで、7−O−β−D−グルコシルルテオリンを分離することができる。
すなわち、本発明の別の一態様として、
カプシウム(Capsicum)属に属する植物を原料とする7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法であって、
(i)原料を水及び/又は有機溶媒による抽出に供し、抽出物を得る工程、ここで、抽出物は主成分としてルテオリン 7−O−アピオシル−(1−2)−グルコシド(luteolin 7-O-apiosyl-(1-2)-glucoside)を含む、
(ii)抽出物から、アピオースが遊離する条件下に、抽出物を酸加水分解する工程、並びに
(iii)抽出物中の7−O−β−D−グルコシルルテオリン以外の成分と7−O−β−D−グルコシルルテオリンとを分離する工程、
を含む、7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法、
が提供される。使用される原料、溶媒、実施条件等や、好適な態様等については、アピオースの製造方法の場合に準ずればよい。
前記の通り、7−O−β−D−グルコシルルテオリンを酸加水分解することによりルテオリンを得ることができる。酸加水分解の条件は、アピオースの製造方法における場合と同様でよいが、一般的な酸加水分解条件、例えば、pH2〜6の酸水溶液中、60〜80℃で6〜12時間という条件を採用することもできる。酸加水分解後、前記吸着材と反応液とを適宜混合するとルテオリンは吸着材に吸着するため、7−O−β−D−グルコシルルテオリンの場合と同様の方法でルテオリンを吸着材から溶出させればよい。また、酸加水分解後、ルテオリンが沈殿等した場合には、ろ別してルテオリンを得ることもできる。
一方、7−O−β−D−グルコシルルテオリンが吸着材に吸着した状態にあれば、そのまま酸加水分解に供してグルコースのみを遊離させ、次いで吸着材から溶出させてルテオリンを得ることもできる。また、7−O−β−D−グルコシルルテオリンが結晶状態にあれば、そのまま酸加水分解に供し、結晶をろ別するだけでルテオリンを得ることができる。
これらの方法は、7−O−β−D−グルコシルルテオリンの生成を介する方法であるが、ルテオリンそのものの取得を目的とする場合には、抽出物を酸加水分解に供することにより、直接アピオース及びグルコースを遊離させることによりルテオリンを生成させることもできる。
すなわち、本発明の別の一態様として、
カプシウム(Capsicum)属に属する植物を原料とするルテオリンの製造方法であって、
(i)原料を水及び/又は有機溶媒による抽出に供し、抽出物を得る工程、
(ii)抽出物を酸加水分解する工程、並びに
(iii)抽出物中のルテオリン以外の成分とルテオリンとを分離する工程、
を含む、ルテオリンの製造方法、
が提供される。使用される原料、溶媒、実施条件等や、好適な態様等については、アピオースの製造方法の場合に準ずればよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
産業廃棄物として廃棄する対象であったピーマンの成熟葉3kgを適宜細断し、これにメタノールを10L加え、攪拌下、概ね24時間、30℃で維持した。ろ過によりろ液を得た後、再度、残渣に対し同量のメタノールを加え、同様の条件下に維持し、ろ液を得た。
得られたろ液を1まとめにし、減圧濃縮した。濃縮物100gを水1Lに懸濁し、そこにヘキサン1Lを加えて混合した後、12時間程度維持して脱脂を行なった。脱脂操作は、3回繰り返した。
水相を回収し、5℃で維持した。24時間後、黄色みを帯びた結晶が析出したので、それをろ別した。結晶は36g得られた。
結晶を1%塩酸水溶液(pH2)1Lに懸濁し、室温(25℃)条件下、スターラーで攪拌しながら、12時間程度維持した。
酸加水分解後に得られた反応液を逆相系の樹脂(ODSシリカ1kg)を充填したカラムに供した後、カラム内の樹脂を樹脂体積の10倍量の水で洗浄した。洗浄液を回収して濃縮乾固することにより、純度95%以上のアピオース11gを得た。
なお、本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
〔1〕 カプシウム(Capsicum)属に属する植物を原料とするアピオースの製造方法であって、
(i)原料を水及び/又は有機溶媒による抽出に供し、抽出物を得る工程、
(ii)抽出物からアピオースが遊離する条件下に、抽出物を酸加水分解する工程、及び
(iii)抽出物中のアピオース以外の成分とアピオースとを分離する工程、
を含む、アピオースの製造方法
〔2〕 工程(i)の前に原料を脱脂する工程、及び/又は工程(i)の後に抽出物を脱脂する工程をさらに含む前記〔1〕記載のアピオースの製造方法
〔3〕 カプシウム属に属する植物が、カプシウム・フルテスセンス(C. frutescens)種、カプシウム・アニューム(C. annuum)種、カプシウム・キネンセ(C. chinense)種及びカプシウム・バッカツム(C. baccatum)種からなる群より選ばれる少なくとも1種に属する植物である、前記〔1〕又は〔2〕記載のアピオースの製造方法
〔4〕 カプシウム・アニューム種に属する植物がピーマン及び/又はトオガラシである前記〔3〕記載のアピオースの製造方法
〔5〕 ピーマン及び/又はトオガラシの葉及び/又は果実を原料とする前記〔4〕記載のアピオースの製造方法
〔6〕 酸加水分解を0〜40℃で行う前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載のアピオースの製造方法
本発明により、工業的規模でのアピオースの製造が可能となる。これまで、アピオースの製造は困難であったことから、アピオースは高価な稀少糖であった。本発明によりアピオースが大量に供給されることとなれば、その利用性が大いに高まるものと期待される。また、本発明のアピオースの製造方法は、産業廃棄物として廃棄される植物を原料として用いることができるため、天然資源の有効利用の道をも開くものであり、産業の発達への寄与は非常に大きい。

Claims (6)

  1. カプシウム(Capsicum)属に属する植物を原料とする7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法であって、
    (i)原料を水及び/又は有機溶媒による抽出に供し、抽出物を得る工程、
    〔ここで、抽出物は主成分として、ルテオリン 7−O−アピオシル−(1−2)−グルコシド(luteolin 7-O-apiosyl-(1-2)-glucoside)を含む〕
    (ii)抽出物からアピオースが遊離する条件下に、抽出物を酸加水分解する工程、並びに
    (iii)抽出物中の7−O−β−D−グルコシルルテオリン以外の成分と7−O−β−D−グルコシルルテオリンとを分離する工程、
    を含む、7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法。
  2. 工程(i)の前に原料を脱脂する工程、及び/又は工程(i)の後に抽出物を脱脂する工程をさらに含む、請求項1記載の7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法。
  3. カプシウム属に属する植物が、カプシウム・フルテスセンス(C. frutescens)種、カプシウム・アニューム(C. annuum)種、カプシウム・キネンセ(C. chinense)種及びカプシウム・バッカツム(C. baccatum)種からなる群より選ばれる少なくとも1種に属する植物である、請求項1又は2記載の7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法。
  4. カプシウム・アニューム種に属する植物がピーマン及び/又はトオガラシである請求項3記載の7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法。
  5. ピーマン及び/又はトオガラシの葉及び/又は果実を原料とする請求項4記載の7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法。
  6. 酸加水分解を0〜40℃で行う請求項1〜5いずれか記載の7−O−β−D−グルコシルルテオリンの製造方法。
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