JP2008198908A - ヒートシンク付パワーモジュール用基板及びパワーモジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絶縁基板の一方の面に回路層が形成されるとともに、他方の面に金属層が形成され、前記金属層の表面にヒートシンクが接合されたヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、前記金属層の厚さが、前記回路層の厚さよりも厚くされるとともに、前記ヒートシンクは、一方向に向けて延びる貫通孔を備えた筒状部と、この貫通孔内に収容された複数の放熱フィン24と、を有し、放熱フィン24は、前記貫通孔に沿って延びるように、かつ、互いに平行に並列されるとともに、放熱フィン24の延在方向に対して交差する方向にずれるオフセット部25を備えていることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
ここで、ヒートシンクは、例えば特許文献1に記載されているように、一方向に向けて延びる貫通孔を備えた筒状部の内部に、複数の放熱フィンが立設された構造とされている。この貫通孔に冷却媒体を流通することで、ヒートシンク上に載置されたパワーモジュール用基板及び半導体チップ(電子部品)を効率良く冷却するものである。
よって、ヒートシンクと金属層との接合面、又は、金属層と絶縁基板との接合面での剥離を確実に防止でき、このヒートシンク付パワーモジュール基板を用いたパワーモジュールの熱サイクル信頼性を飛躍的に向上させることができる。
この場合、オフセット部の両端面が放熱フィンの延在方向に対して直交する方向に配置されるので、このヒートシンクは、曲げ稜線が放熱フィンの延在方向に直交する曲げに対する剛性と曲げ稜線が前記延在方向に沿う曲げに対する剛性との差が小さくなり、熱応力によるヒートシンクの変形を分散させることが容易となる。
この場合、オフセット部の両端面が前記延在方向に複数配置されることになり、放熱フィンの延在方向に交差する方向の曲げ変形がさらに容易となり、熱応力による変形を確実に分散させることができる。
この場合、オフセット部が、並列された放熱フィンのピッチの中央部に位置することになり、ヒートシンクの内部に放熱フィンが均一に配置される。これにより、このヒートシンクの変形が一箇所に集中することがなくなる。
このパワーモジュール1は、セラミックスによって構成された絶縁基板11の一方の面11Aに回路層12がろう付けされるとともに他方の面11Bに金属層13がろう付けされ、この金属層13の表面にヒートシンク20がろう付けされたヒートシンク付パワーモジュール用基板10と、回路層12の表面にはんだ層14を介して接合された半導体チップ15と、を備えている。なお、金属層13は一度に形成することはなく、例えば2段階で形成され、金属層13の内部に境界が形成されていてもよい。
回路層12及び金属層13はそれぞれ、例えば純Al若しくはAl合金で構成されている。ここで、金属層13は、変形抵抗が小さく熱伝導性に優れた純Al(純度99.99%)で構成することが特に好ましい。
金属層13の厚さTmは、回路層12の厚さTcよりも厚くされており、これらの厚さの比Tm/Tcは、1.16<Tm/Tc<14の範囲内に設定され、本実施形態では、Tm/Tc=2.0とされている。
また、はんだ層14は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。さらに、ヒートシンク20と金属層13とは、例えばAl−Si系のろう材でろう付けされている。
筒状部21は、図2に示すように、底板とこの底板から起立する側板とを備えた本体部21Aと、この本体部21Aの側板に連設される天板部21Bとからなり、これら天板部21Bと本体部21Aとがろう材によって結合されることで、断面矩形状をなす前記貫通孔22が画成されている。なお、本体部21Aの側板の厚さは天板部21Bとの接合面積を確保するために厚くされている。一方、天板部21Bの厚さは伝熱効率を考慮して薄くされている。
まず、Al板を打ち抜いて回路層12及び金属層13を形成する。このうち抜きの際に、回路層12には配線パターンが形成されている。
次に、絶縁基板11の一方の面11Aに回路層12をろう付けにて接合し、セラミックス板11の他方の面11Bに金属層13をろう付けにて接合する。ここで、セラミックス板11と回路層12及び金属層13とは、例えば厚さが2〜70μmのAl系のろう材箔を用いてろう付けされている。このようにしてパワーモジュール用基板が成形される。
以上のようにして、ヒートシンク20を備えたパワーモジュール1が製作される。
よって、このヒートシンク20は、オフセット部25の両端面を起点として、曲げ稜線が放熱フィン24の延在方向に交差する方向の曲げ(図2及び図3においてY−Y方向の曲げ)に対する剛性が低くなって曲げ変形可能となる。ヒートシンク20に熱応力が負荷された場合には、ヒートシンク20には、曲げ稜線が放熱フィン24の延在方向に沿う方向の曲げ変形(図2及び図3においてX−X方向の曲げ変形)と、曲げ稜線が放熱フィン24の延在方向に交差する方向の曲げ変形(図2及び図3においてY−Y方向の曲げ変形)とが発生し、熱応力による変形が分散されることになる。これにより、絶縁基板11と金属層13との界面の破断や亀裂、絶縁基板11のクラックの発生を防止することが可能となる。
よって、ヒートシンク20と金属層13、及び、金属層13と絶縁基板11との剥離を防止でき、このヒートシンク付パワーモジュール基板10を用いたパワーモジュール1の熱サイクル信頼性を飛躍的に向上させることができる。
なお、本実施形態では、金属層13の厚さTmと回路層12の厚さTcとの比Tm/Tcが1.16<Tm/Tc<14の範囲内に設定されているので、金属層13の厚さが確保されてヒートシンク20と絶縁基板11との間に発生する熱応力を確実に吸収して亀裂の発生を防止できるとともに、金属層13の厚さTmと回路層12の厚さTcの差が過度に大きくならずに熱抵抗を小さく抑えることができる。
例えば、筒状部21を本体部21Aと天板部21Bとに分割してこれらの間にフィン部材23を配置した状態で本体部21Aと天板部21Bとをろう付けすることでヒートシンク20を成形するものとして説明したが、これに限定されることはなく、予め筒状に形成された筒状部20に前述のフィン部材23を挿入することでヒートシンク20を成形してもよい。
さらに、オフセット部25のずれ方向、ずれ量、前記延在方向長さL1、前記延在方向におけるオフセット部24同士の間の距離L2は、本実施形態に限定されることはなく、使用状態等を考慮して適宜設定することができる。ただし、本実施形態のように構成することにより、ヒートシンク20の異方性を大幅に改善することが可能となる。
さらに、ヒートシンク20、絶縁基板11、回路層12、金属層13等は、実施形態の材質に限定されることはなく、他の材質で構成されていてもよい。
11 絶縁基板
12 回路層
13 金属層
15 半導体チップ(電子部品)
20 ヒートシンク
Claims (5)
- 絶縁基板の一方の面に回路層が形成されるとともに、他方の面に金属層が形成され、前記金属層の表面にヒートシンクが接合されたヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、
前記金属層の厚さが、前記回路層の厚さよりも厚くされるとともに、
前記ヒートシンクは、一方向に向けて延びる貫通孔を備えた筒状部と、この貫通孔内に収容された複数の放熱フィンと、を有し、
該放熱フィンは、前記貫通孔に沿って延びるように、かつ、互いに平行に並列されるとともに、前記放熱フィンの延在方向に対して交差する方向にずれるオフセット部を備えていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。 - 請求項1に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、
前記オフセット部は、前記放熱フィンの延在方向に対して直交する方向にずれていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。 - 請求項1または請求項2に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、
前記放熱フィンは複数の前記オフセット部を有し、これら複数のオフセット部が、前記放熱フィンの延在方向において等間隔に配設されていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、
前記オフセット部のずれ量が、並列された複数の放熱フィンのピッチの1/2に設定されていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板と、該ヒートシンク付パワーモジュール用基板の前記回路層上に搭載された電子部品と、を備えることを特徴とするパワーモジュール。
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