JP2008197899A - 電動パワーステアリングシステムの設計システム及び電動パワーステアリングシステム - Google Patents

電動パワーステアリングシステムの設計システム及び電動パワーステアリングシステム Download PDF

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Abstract

【課題】設計工程において簡便な操作性を実現すると共に予測・評価の結果を効率的に反映して、開発周期短縮、試作コスト削減、迅速な最適設計が可能な設計システムおよびこの設計システムによって設計された電動パワーステアリングシステムを提供する。
【解決手段】電動パワーステアリングシステムの設計システムにおいて、少なくとも、ステアリングコラム2、トーションバー7、減速ギヤ3、シャフト4、モータ20及びラック機構5の動的特性をモデル化した上で、電動パワーステアリングシステムの系全体の周波数特性を予測及び評価をしながら設計を進める。
【選択図】図2

Description

本発明は、電動パワーステアリングシステムの設計システムに関し、特に電動パワーステアリングシステムの設計におけるシミュレーション技術を活用した設計システム、及び当該設計システムにより設計・開発された電動パワーステアリングシステムに関する。
従来の車両に使用される電動パワーステアリングシステム(EPS:Electric Power Steering)は、操舵者によって入力された操舵トルクをトルクセンサで検出し、この操舵トルクに応じた補助トルクをモータにより得てステアリング装置に操舵補助トルクを付与し、操舵者が入力するステアリング装置の操舵力を軽減するように構成されている。なお、当該電動パワーステアリングシステムでは、前記モータの出力トルクを、減速器等の伝達機構を介して操向ハンドル、あるいはラック軸に伝達していることによりステアリング装置に操舵補助力を付与している。
このような電動パワーステアリングシステムは、近年、軽自動車および小型自動車から中型自動車へと適応が拡大している。そのため、電動パワーステアリングシステムに対し、操舵者の操舵を補助する前記モータの高出力化・高効率化への対応、多様な操舵性能への対応、および燃費向上などが強く求められている。
それに伴って、電動パワーステアリングシステムにおける開発では、設計パラメータのより一層の最適化が求められる一方、電動パワーステアリングシステムの安全性および操舵性の一層の向上、環境負荷への低減に対する社会的要求により、益々設計の効率化が重要視されてきている。また、電動パワーステアリングシステムのモデルチェンジに合せた開発周期短縮への対応、試作コストの削減、開発品質の向上などにも応える必要があるため、開発工程のさらなる高度化が不可避な状態となっている。これら社会的な要望に応えるべく、ソフトウェア支援を受けて電動パワーステアリングシステムの各要素を仮想空間でモデル化し、その仮想空間内で予測・評価しながら設計工程を進めることが行われている(例えば、特許文献1)。
図7及び図8は、こうした電動パワーステアリングシステムの設計工程において、効率化されたソフトウェア支援を受けて行われる設計システムのフローチャートである。なお、制御系の設計においては、例えば、Matlab/Simulink(商標名)、モータ関連のJMAG(商標名)といった支援ソフトが適宜使用される。
図7に示すように、先ず、制御系の設計の場合は、トルク指令(電流指令)を与えて(即ち、S101)、モータ制御を行い(即ち、S102)。モータからの電流出力を検出して(即ち、S103)、その出力に基づいてモータ解析を行う(即ち、S104)。モータ解析によってトルク、電圧を算出し(即ち、S105)、これらトルク、電圧をモータ制御にフィードバックして、この挙動の予測・評価を行う。この場合、上記S104、S105は例えば、JMAG(商標名)で計算し、その他のステップはMatlab/Simulink(商標名)で計算し、その間のデータのやり取りはインターフェース(例えば、S−Functionなど)を経由して行う。このようなソフト支援によってモータ制御の設計が容易になっている。
また、さらに機械系の設計では、例えばADAMS(商標名)といった支援ソフトが使用される。図8に示すように、操舵角又は操舵トルクを与えて(即ち、S201)、電動パワーステアリングシステムの制御を行い(即ち、S202)、電動パワーステアリングの機械系を駆動して(即ち、S203)、その出力に基づいて車を走行させる(即ち、S204)。車の走行によって得られる特性を、電動パワーステアリングの制御にフィードバックして、この挙動の予測・評価を行う。
このような一連の予測・評価を適宜行い、その結果に基づいて設計工程が進められている。
特開2004−175249号公報(図3、6、7)
ここで、特許文献1などのような、支援ソフトを用いる電動パワーステアリングシステムの設計においては、制御系、機械系それぞれの支援ソフトを用いて設計・開発を迅速化することができるが、これらの支援ソフトの使用にあたっては入力条件項目に制限がある、データの入力にあたっては膨大な入力データが必要である、一部でも入力項目が足りないと動作しない、さらには支援ソフト間を統合するインターフェースの自由度が少ない、そして電動パワーステアリングシステムの各要素のモデル設定に要するのに時間がかかる、など設計現場では実用的でない場合があり、この場合には逆に設計の不効率化に繋がるという嫌いがあり、改善の余地があった。
さらに、このような設計においては、電動パワーステアリングシステムの各要素のモデル化を行うに際して、特に摩擦特性のモデル化ついては、予測及び評価の結果を出力するための演算処理の収束性と所要時間に多大に影響を与えしまうことが知られている。ここで、例えば、クーロン摩擦をモデル化しようとした場合には、摩擦のみをモデル化すると、図9に示すように、力が反転する際の速度が0となる時点が理論上2点存在するため、予測・評価の演算処理では線形化した上で限り無く大きな傾きを与えて演算処理することが行われる。しかしながら、この演算結果はマクロ的に実機での試験結果に合っていたとしても、微小変化、例えば振動を加えた場合、ミクロ的なところでは、この傾きが演算結果の精度を左右してしまうことがあった。
さらに、この摩擦特性のモデル化に、電動パワーステアリングシステムの制御を加えて予測・評価を実施すると、これら予測・評価の結果の精度は益々悪化することとなり、単に傾きを持たせてモデル化する方式では、特に応答性を検討する場合には、演算結果が大きく変動してしまうという問題があった。
また、従来の設計においては、仕様により各部品の設計を行い、試作、評価を経てシステムとして組上げた後でないと系全体の予測・評価を行うことができず、このため部品単品毎に問題はなくても、系全体としてはじめて評価した場合に予期せぬ問題が発生する、或いは目標スペックに適合しないなどの不具合が発生する場合があり、この場合には設計工程と試作工程の繰返しを行う必要があり非効率となる場合があった。
本発明は上述した事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、設計工程において簡便な操作性を実現すると共に予測・評価の結果を効率的に反映して、開発周期短縮、試作コスト削減、迅速な最適設計が可能な設計システム及びこの設計システムによって設計された電動パワーステアリングシステムを提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 操向ハンドルの軸が装着されるステアリングコラムと、当該ステアリングコラムにトーションバーを介して結合されると共に、操向車輪に連結されたラック機構に駆動力を伝達するシャフトと、減速器を介して前記ステアリングコラムに結合されて前記操向ハンドルに操舵補助力を付与するモータと、前記操向ハンドルに発生する操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルクに基づいて操舵補助指令値を演算して前記モータを制御するモータ制御手段と、を備えた電動パワーステアリングシステムの設計システムにおいて、
少なくとも、前記ステアリングコラム、前記トーションバー、前記減速器、前記シャフト、前記モータ及び前記ラック機構の動的特性をモデル化した上で、
前記電動パワーステアリングシステムの系全体の周波数特性を予測及び評価をしながら設計し得るようにしたことを特徴とした電動パワーステアリングシステムの設計システム。
(2) 前記系全体の周波数特性は、前記車輪からの入力に対する前記操向ハンドルの運動加速度における応答特性であり、且つ
前記ステアリングコラムについては、前記操向ハンドルの回転速度に対する摩擦特性と、前記操舵トルクの伝達効率と、をモデル化し、
前記トーションバーについては、前記トーションバー自体の剛性と、減衰特性と、をモデル化し、
前記減速器については、前記減速器自体の剛性をモデル化し、
前記シャフトについては、前記シャフト自体の剛性と減衰特性、前記操舵トルクの伝達効率と、をモデル化し、
前記モータについては、前記モータ自体の慣性をモデル化し、
前記ラック機構は、前記ラック機構の速度に対する摩擦特性と、前記操舵トルクの伝達効率と、をモデル化し、
これらモデルを用いた予測及び評価の結果に基づいて、前記ステアリングコラムの摩擦特性、前記ラック機構の摩擦特性、前記トーションバーの剛性及び前記モータの慣性の少なくともいずれかが調整或いは選択されて設計し得るようにしたことを特徴とした上記(1)に記載の電動パワーステアリングシステムの設計システム。
(3) 前記摩擦特性は、前記ステアリングコラム、前記減速器、ラック機構に各々対応するガタを含んで線形化されて定義付けられることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の電動パワーステアリングシステムの設計システム。
(4) 上記(1)から(3)のいずれかの電動パワーステアリングシステムの設計システムにより設計・開発された、電動パワーステアリングシステム。
上記(1)又は(2)の構成によれば、モデルを用いた従来の設計システムでは、モデルの設定が複雑である上演算処理に多大な時間を要し、さらに入力項目が多く、また使用者の習熟度を要求して使い勝手が悪かったが、系全体の予測・評価に対して必要最低限度なモデル化で済むので、試作工程と再設計との時間を抑制するなど、設計の効率化と迅速化を実現することができる。
また、上記(3)の構成によれば、摩擦特性を線形化した上で機械的なシャフトの回転ガタや減速器のガタなどを考慮されているので、従来困難とされていた摩擦特性のモデル化を容易にすることができる。
さらに、上記(4)の構成によれば、電動パワーステアリングシステムの開発において、効率的に設計を進めることができるので、開発された電動パワーステアリングシステム自体の製品品質の向上とともに製造コストの抑制が期待できる。
本発明によれば、設計工程において簡便な操作性を実現すると共に予測・評価の結果を効率的に反映して、開発周期短縮、試作コスト削減、迅速な最適設計が可能となる。
以下に、図面を参照しながら本発明に係る実施形態について説明する。
まずは、電動パワーステアリングシステムの代表的な構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、電動パワーステアリング装置の全構成を示す概略図である。なお、本実施形態の構成はこれにより何ら制限を受けるものではなく、適宜様々な構成が適用できる。
本発明に係る電動パワーステアリングシステムでは、操向ハンドル1が装着されるステアリングコラム2の軸(不図示)は減速ギヤ(減速器)3、ユニバーサルジョイント4a,4bを含むシャフト4(例えば、インターミディエイトシャフト等)にトーションバー7を介して結合されている。そして、当該シャフト4は、ラック機構5に駆動力を伝達し、タイロッド6を介して操向車輪の転舵を行う。ステアリングコラム2には、操向ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ(操舵トルク検出手段)10が設けられており、操向ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギヤ3(例えば、ウォームギヤ等)を介して結合されている。また、車両の走行速度を検出する車速センサ12が、例えば操向車輪に付設されている。そして、電動パワーステアリングシステムを制御するコントロールユニット(モータ制御手段)30には、バッテリ14からイグニションキー11およびリレー13を経て電力が供給される。これによりコントロールユニット30は、外部情報検出手段である、トルクセンサ10、車速センサ12のそれぞれで検出された操舵トルク信号Tと車速信号Vとの外部情報信号に基づいてアシスト指令の操舵補助指令値の演算を行い、演算された操舵補助指令値に基づいてモータ20に供給する電流(アシスト電流)を制御することによりアシスト(操舵補助)制御を行っている。
なお、本実施形態では制御手段が操舵トルク信号Tと車速信号Vとの入力に基づいて操舵指令値を演算する態様で説明したが、これに限らず、少なくとも操舵トルク信号が入力されていれば操舵指令値Iは算出可能である。
コントロールユニット30は主としてMPUから構成される。当該MPU内部において、ROMなどに格納されている制御プログラムが読み込みこまれて、前記アシスト制御が実施される。また、前記アシスト制御を正確に行うため、コントロールユニット30は、モータ10に印加すべき電流の電流制御値と、モータ電流検出値との偏差が零となるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ電圧の調整は一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデューティ比の調整で行っている。
次に、図2を参照して、このような電動パワーステアリングシステムの設計システムにおいて使用されるモデルについて説明する。なお、当該設計システムを用いてモデルを仮想空間で設定し、この仮想空間内で予測・評価を実施しながら、電動パワーステアリングシステムの設計工程を進める。
図2は、上述したような電動パワーステアリングシステムの系全体における入出力周波数特性を予測・評価、即ちシミュレーションして設計・開発するための電動パワーステアリングシステムの動的特性のモデル化を示す図である。
このモデル化については、本発明の発明者の鋭意検討の結果、電動パワーステアリングシステムの構成要素全部に対して行うのではなく、系全体に対する影響度合が大きい要素の動特性のみを抽出してモデル化を行うことにより適切な予測・評価を実施し得ることを見出した。即ち、本発明では、図2に示すように、前記ステアリングコラム2、前記トーションバー7、前記減速ギヤ3、前記シャフト4、前記モータ20、前記ラック機構5を最小基本構成として抽出してモデル化を実施し、このモデルを用いて予測・評価を実施している。
また、これら構成要素の動特性のモデル化にあっては、ステアリングコラム2のモデルは操向ハンドル1の回転速度に対する摩擦特性52と操舵トルクの伝達効率(不図示)とで、またトーションバー7のモデルはトーションバー7自体の剛性51と減衰特性53とで、減速ギヤ3のモデルは減速ギヤ3自体の剛性51で、さらにシャフト4のモデルはシャフト4自体の剛性51と減衰特性53、操舵トルクの伝達効率(不図示)とで、モータ20のモデルはモータ20自体の慣性54で、ラック機構5のモデルはラック機構5の速度に対する摩擦特性62と操舵トルクの伝達効率(不図示)とで、各々定義付けられて設定される。
なお、前記操舵トルクの伝達効率、トーションバー7の剛性51や減衰特性53、減速ギヤ3の剛性51、シャフト4の剛性51と減衰特性53、モータ20の慣性54などは、例えばこれら要素個別毎に実施される実験結果、または予め入手することのできる仕様リストなどにより定めることができる。
また、図2では、ラック機構以外の部品、即ちステアリングコラム2、減速ギヤ3、トーションバー7、シャフト4の剛性、減衰特性、操舵トルクの伝達効率などの特性をまとめて合成した形で表記している。
ここで、シャフト4に関しては図5の回転剛性曲線に示すように通常、シャフトと言えば振動や伸縮を抑制するためガタを含んだ構造であり、また同じく減速ギヤ8或いはラック機構5も噛合部でガタを含んで組立てられる。したがって、摩擦特性52,62のモデル化については、このガタを利用し、このガタと摩擦特性とを合わせて取り扱う。即ち、摩擦特性52,62のモデルは、ガタと摩擦特性を含んだ一つのパラメータ(例えば、伝達関数など)に置き換えられて、線形化されて定義付けられる。
このように必要最低限のモデル化、そして設定が施されるので、設計システムの操作者の入力項目を減らして簡便に取り扱うことができる。
次に、図3及び図4を参照しながら摩擦特性52,62のモデル生成処理についてより具体的に説明する。
図3はガタとクーロン摩擦特性とを合わせたモデル化を行う際のブロック構成図であり、例えば、加振時のステアリングコラム2の摩擦特性52の場合には、操向ハンドルの回転速度に対するクーロン摩擦と、機械的ガタとを合わせた一つのパラメータ(例えば、伝達関数など)としてモデル化される。
このモデル生成処理については、図3に示すように、クーロン摩擦22は操向ハンドルの回転速度に対応した、ステップ波形を示す関数で規定され線形化されている。一方、機械的ガタ24は、方形波形を示す関数として取り扱われ、補正器25に入力される。補正器25は、この関数を平均化した上で線形補間し、ノコギリ波形を有する補正値26として出力する。
その後、減算器23は前記クーロン摩擦22から前記補正値26を減算処理する。この減算処理により、機械的ガタが発生する領域(ガタ領域)内で所定の傾斜角αを有する階段状波形を示す関数(図4参照)として、摩擦特性52のモデル27が生成される。そして、当該モデル27は、操向ハンドルに付設された回転速度センサなどで検出された回転速度信号ωに対応した摩擦力を出力する。
このように摩擦特性52は、図4に示すように、クーロン摩擦に補正された機械的ガタを含んで生成されることとなるので、傾斜角αが鋭角を有することとなり、クーロン摩擦のみの場合と対比して、スロープはより緩やかになる。なお、ラック機構5の摩擦特性62も同様な処理で生成することができる。
したがって、従来はクーロン摩擦をベースに粘性項やStick−Slipを取り込んだ詳細なモデルであり設計システムの演算処理に対して負担をかけていたが、本発明の摩擦特性52,62のモデルを用いることで、設計システムにおける予測・結果の演算処理の収束性及び安定性を向上することができる。
なお、これら摩擦特性52,62のモデル生成処理にあたっては、適用条件に応じて、ガタ領域の範囲を、実際のガタ領域、回転速度、周波数などから推定し、例えば傾斜αと相関を持つようにするか、あるいは非線形関数として規定してもよい。また、傾斜角αはクーロン摩擦と補正された機械的ガタとを含んだ、実際のクーロン摩擦などを考慮しながら適宜設定されるが、前記傾斜角αが鋭角の範囲となるように行う必要がある。
このようにモデル化された電動パワーステアリングシステムを、支援ソフトを含んだ設計システムの仮想空間内に構築して、予測・評価を繰り返して設計工程を進める。
即ち、電動パワーステアリングシステムの構成要素のうちステアリングコラム2、トーションバー7、減速ギヤ8、シャフト4、モータ10、ラック機構5を最小基本構成としてモデルを作成し、さらにステアリングコラム2、ラック機構5のモデル作成にあたっては摩擦特性を、各々のガタを含んで定義し、系全体の周波数特性を予測・評価する。この予測・評価は、コンピュータなどの数値演算処理装置を用いて、これらモデルを支援ソフト(例えば、Matlab/Simulink(商標名)、JMAG(商標名)等)で設定した後、モータ20を制御モデル(制御プログラム)とリンクし、また操向ハンドル1を保舵・操舵・フリー状態などに設定し、さらに操向車輪を加振・固定・反力などに設定して、電動パワーステアリングシステムの挙動(周波数特性)の応答を見ながら行われる。そして、この予測・評価の結果に基づいて、ステアリングコラム2の摩擦特性、ラック機構5の摩擦特性、トーションバー7の剛性及びモータ10の慣性の少なくともいずれかを調整或いは選定して設計工程を進める。
なお、ステアリングコラム2の摩擦特性の調整にあたっては、例えばステアリングコラム2に嵌合されるウォームホイールを有している構造の場合には、このウォームホイールの仕様変更などにより行うことができる。
そして、前記入出力周波数特性は、操向車輪からの入力に対する操向ハンドルの運動加速度とされるのが好適であるが、特にこれに限定されるものではなく、入力を車両のヨーレート、或いは路面状態(平坦路、凹凸路、低摩擦路など)とされてもよく、適宜必要に応じて選択される。
さらにここで、図6を参照しながら、予測・評価を繰り返し行った際の結果について示す。曲線Aは当初のモデルでの結果を示し、この結果に基づいて摩擦を調整或いは選定し直し(曲線B)、さらに摩擦と剛性とを各々調整或いは選定し直し(曲線C)を実施して、設計を進めている。これら曲線Aから曲線Cへの応答の変化からわかるように、応答波形の共振周波数のピーク値が減少している。
このように、設計システムでは適切な最小構成要素のみを抽出したモデルを設定し、このモデルを用いて予測・評価を行って、その構成要素を調整或いは選定することにより、設計システムの簡便な操作性を実現すると共に予測・評価の結果を効率的に反映して、開発周期短縮、試作コスト削減、迅速な最適設計が可能となる。
また、本実施形態の設計システムを用いることで、平坦路、凹凸路、低摩擦路など各種路面状態に応じて操舵フィーリング向上を図ることができ、操舵者に対してロードノイズを押えつつ且つ路面状態を伝えることのできる、品質のよい安価な電動パワーステアリングシステムを開発することができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の様態はこれら実施形態に限られるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。
本発明に係る電動パワーステアリングシステムの構成図である。 本発明に係る電動パワーステアリングシステムのモデル化を示す図である。 図2に示す電動パワーステアリングシステムの摩擦特性に係るモデル生成処理を示すブロック図である。 本発明に係るモデル化された摩擦特性を示す特性図である。 図2に示す電動パワーステアリングシステムの回転剛性の特性を示す図である。 図2に示す電動パワーステアリングシステムのモデルを用いて予測・評価を行ったときの結果を示すボード線図である。 従来の電動パワーステアリングシステムの制御系の開発処理のフローチャートである。 従来の電動パワーステアリングシステムの機械系の開発処理のフローチャートである。 従来のモデル化された摩擦特性を示す特性図である。
符号の説明
1 操向ハンドル
2 ステアリングコラム
3 減速ギヤ(減速器)
4 シャフト
5 ラック機構
7 トーションバー
10 トルクセンサ(操舵トルク検出手段)
20 モータ
22 クーロン摩擦
23 減算器
24 機械的ガタ
25 補正器
30 コントロールユニット(モータ制御手段)
51 剛性
52,62 摩擦特性
53,63 減衰特性
54 慣性

Claims (4)

  1. 操向ハンドルの軸が装着されるステアリングコラムと、当該ステアリングコラムにトーションバーを介して結合されると共に、操向車輪に連結されたラック機構に駆動力を伝達するシャフトと、減速器を介して前記ステアリングコラムに結合されて前記操向ハンドルに操舵補助力を付与するモータと、前記操向ハンドルに発生する操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルクに基づいて操舵補助指令値を演算して前記モータを制御するモータ制御手段と、を備えた電動パワーステアリングシステムの設計システムにおいて、
    少なくとも、前記ステアリングコラム、前記トーションバー、前記減速器、前記シャフト、前記モータ及び前記ラック機構の動的特性をモデル化した上で、
    前記電動パワーステアリングシステムの系全体の周波数特性を予測及び評価をしながら設計し得るようにしたことを特徴とした電動パワーステアリングシステムの設計システム。
  2. 前記系全体の周波数特性は、前記車輪からの入力に対する前記操向ハンドルの運動加速度における応答特性であり、且つ
    前記ステアリングコラムについては、前記操向ハンドルの回転速度に対する摩擦特性と、前記操舵トルクの伝達効率と、をモデル化し、
    前記トーションバーについては、前記トーションバー自体の剛性と、減衰特性と、をモデル化し、
    前記減速器については、前記減速器自体の剛性をモデル化し、
    前記シャフトについては、前記シャフト自体の剛性と減衰特性、前記操舵トルクの伝達効率と、をモデル化し、
    前記モータについては、前記モータ自体の慣性をモデル化し、
    前記ラック機構は、前記ラック機構の速度に対する摩擦特性と、前記操舵トルクの伝達効率と、をモデル化し、
    これらモデルを用いた予測及び評価の結果に基づいて、前記ステアリングコラムの摩擦特性、前記ラック機構の摩擦特性、前記トーションバーの剛性及び前記モータの慣性の少なくともいずれかが調整或いは選択されて設計し得るようにしたことを特徴とした請求項1に記載の電動パワーステアリングシステムの設計システム。
  3. 前記摩擦特性は、前記ステアリングコラム、前記減速器、ラック機構に各々対応するガタを含んで線形化されて定義付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリングシステムの設計システム。
  4. 請求項1から3のいずれかの電動パワーステアリングシステムの設計システムにより設計・開発された、電動パワーステアリングシステム。
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