JP2008196938A - 回転情報算出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】3相の磁気検出信号のサンプリング値a、b、cを取得し、取得したサンプリング値に基づいて、式(3)の第2式〜第4式により、各相に対する回転角度位置を算出する。そして、これら算出した回転角度位置に基づき各相のサンプリング値の異常を検出すると共に、1相のサンプリング値のみに異常が検出されたときは、異常検出フラグを出力すると共に残り2相のサンプリング値で回転角度位置の算出を行う。2相以上のサンプリング値の異常が検出されたときは、回転情報算出装置2の動作を停止する。また、正常な相のサンプリング値に基づき第2式〜第4式で算出した回転角度位置の平均値を出力用の回転角度位置θとして算出する。
【選択図】図10
Description
特許文献1には、磁界を発生するマグネットと、磁界内に設けられた4つの磁気検出器(ホール素子)と、各磁気検出器間に設けられていて、磁気検出器に固定されて一体に回転するように結合された、強磁性材製の磁束案内部材とを備え、マグネットは、磁気検出器および磁束案内部材に関して回転可能に構成された角度センサが開示されている。
また、上記特許文献1の従来技術では、磁束案内部材をマグネットの外周に沿って、当該マグネットを囲むように配置するため、磁束案内部材の円周方向のサイズを小さくすることが困難であった。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、低コストで磁束案内部材の円周方向のサイズを小さくでき、磁気検出器等から構成されるセンサ部分を軸受に組み込むことで取り付けも容易に行うことが可能な回転情報算出装置を提供することを第1の目的としている。
前記回転子の回転時に、前記磁路部材の各磁路と前記磁石との位置関係に応じて位相の変化する、前記3つの磁気検出器からの3相の出力信号に基づき、前記回転子の回転状態を示す情報を算出する回転状態算出手段と、を備えることを特徴とする。
また、回転状態算出手段は、3つの磁気検出器から出力される、3相の磁気検出信号に基づき、回転輪の回転状態を示す情報を算出する。
前記磁石ホルダに支持された磁石と、前記静止輪に支持され、当該静止輪の円周方向にそれぞれ所定間隔で配置された、入力磁束に応じた信号を出力する3つの磁気検出器と、前記静止輪に支持され且つ前記3つの磁気検出器の間に配設された、前記3つの磁気検出器に前記磁石からの磁束を導く3つの磁路を有した磁路部材と、前記回転輪の回転時に、前記磁路部材の各磁路と前記磁石との位置関係に応じて位相の変化する、前記3つの磁気検出器からの3相の出力信号に基づき、前記回転輪の回転状態を示す情報を算出する回転状態算出手段と、を備えることを特徴とする。
また、回転状態算出手段は、3つの磁気検出器から出力される、3相の磁気検出信号に基づき、回転輪の回転状態を示す情報を算出する。
前記異常検出手段は、前記サンプリング値a及びb、前記サンプリング値a及びc、並びに前記サンプリング値b及びcの3つの組み合わせのうち少なくとも2つの組み合わせに基づいて、当該組み合わせ毎に異なる算出方法を用いて、前記磁気検出器の相毎に、少なくとも2つの回転角度位置を算出し、当該算出した各相の回転角度位置に基づき、前記位相の異なる3つの磁気検出信号の異常を検出することを特徴とする。
このような構成であれば、前記異常検出手段によって、前記各相に対する前記回転角度位置同士の差分値に基づき、前記位相の異なる3つの磁気検出信号の異常を検出することが可能である。
このような構成であれば、異常検出手段によって、異常が検出されたときに、当該異常の情報を含む異常検出フラグを出力することが可能である。
〔発明16〕 更に、発明16の回転情報算出装置は、発明1乃至14のいずれか1つの回転情報算出装置において、前記回転情報算出手段は、前記回転状態を示す情報を含むデジタル信号を出力することを特徴とする。
また、発明3の回転情報算出装置によれば、3相の磁気検出器から出力される3つの磁気検出信号の異常を検出することができるので、回転角度位置の信頼性を高めることができるという効果が得られる。
更に、発明5の回転情報算出装置によれば、各相の磁気検出信号の異常を、容易且つ正確に検出することができるという効果が得られる。
更に、発明7の回転情報算出装置によれば、各算出方法で算出した正常な回転角度位置の平均値を、最終的な回転輪の回転角度位置として算出するようにしたので、より高精度な回転角度位置を算出することができるという効果が得られる。
更に、発明9の回転情報算出装置によれば、磁気検出信号に異常があったときに、例えば、異常の発生した相の情報を含む異常検出フラグを出力することができるので、出力先の外部装置等において、異常の発生及び異常の発生箇所を知ることができるという効果が得られる。
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づき説明する。図1〜図7は、本発明に係る回転情報算出装置の第1の実施の形態を示す図である。
まず、本発明の第1の実施の形態に係る回転情報算出装置の構成を図1に基づき説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る回転情報算出装置1の構成を示すブロック図である。
ここで、図2は、磁気センサ付き軸受装置100の斜視図であり、図3は、磁気センサ付き軸受装置100の分解斜視図であり、図4は、磁気センサ付き軸受装置100の軸方向の断面図である。また、図5は、磁気センサ付き軸受装置100の磁気検出器60a〜60cから出力される磁気検出信号を示す図である。また、図6は、磁気検出信号の出力原理を示す図である。
玉軸受は、内輪24と、外輪22と、内輪24及び外輪22との間に介在する転動体としての複数個のボール26とを備えた構成となっている。また、内輪24及び外輪22のうちの一方が静止輪となり、他方が回転輪となる。回転輪は、モータ等の回転軸の回転に連動して、静止輪との間に介在するボール26を転動させながら回転する。
内輪24を回転輪とすると、内輪24には円環状の磁石ホルダ30が支持される。磁石ホルダ30は磁性体として、磁性材料から構成されている。更に、磁石ホルダ30には、円環状の磁石40が支持される。磁石40は、その半周の円周面がS極に着磁され、あとの半周の円周面がN極に着磁されている。つまり、磁石40は、2極に着磁されている。
磁性材料で構成された磁路部材50は、磁石40からの磁束を磁気検出器60a〜60cに導くための3つの磁路を形成する。この3つの磁路は、磁束の通る空隙52と、この空隙52を通る磁束を案内する軸方向に突設された壁50aから形成される。つまり、突設された壁50aと壁50aとを空隙52を挟んで対向させることで磁路を形成する。
上記のような構成の磁気センサ付き軸受装置100は、図3に示すように、磁気センサ部を構成する、磁気検出器60a〜60c、磁路部材50、磁石40、及び磁石ホルダ30がそれぞれ軸方向に積層された構造となる。
また、内輪24が回転すると、それに伴って磁石ホルダ30及び磁石40が回転する。この回転によって、磁石40と磁路部材50の磁路との位置関係(重なり具合)が周期的に変化する。この変化によって、磁気検出器60a〜60cを通る磁束の量及び磁極がそれぞれ変化し、磁気検出信号は、図5に示すように、それぞれが120°ずつ位相のずれた3つの正弦波として出力される。つまり、象限判別が可能となるので、磁気検出器60a〜60cから出力される磁気検出信号に基づいて回転角度位置θなどを算出することができる。
図1に戻って、回転情報算出器200は、磁気センサ付き軸受装置100から出力される3つの磁気検出信号に基づき、絶対回転角度位置θ、回転角速度ω、回転方向などの回転輪(回転軸)の回転状態を示す回転情報を周期的に算出する。そして、算出した回転情報は、不図示の出力対象へと出力される。
また、回転情報算出器200は、回転方向を算出するために、算出した絶対回転角度位置θをRAMに保持するようになっている。
そして、ROMに予め記憶された専用のコンピュータプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムに記述された命令に従って演算処理装置が各種ハードウェアの制御および各種演算処理を行うことで前述した回転情報の算出処理を実現するようになっている。
回転情報算出処理は、回転情報算出器200で実行されると、図7に示すように、まずステップS100に移行し、回転情報算出器200において、磁気検出器60a〜60cから、磁気検出信号のサンプリング値を取得したか否かを判定し、取得したと判定された場合(Yes)は、ステップS102に移行し、そうでない場合(No)は、取得するまで待機する。
ステップS104では、回転情報算出器200において、ステップS102で算出した絶対回転角度位置θと、不図示のパルスカウンタでカウントした、内輪24の回転に応じたパルス信号数とに基づき回転角速度ωを算出して、ステップS106に移行する。
ステップS108では、回転情報算出器200において、ステップS102〜S106の算出結果の信号を出力し、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。
ここでは、磁気センサ付き軸受装置100を、モータの回転軸の軸受に適用した場合の動作を説明する。
不図示のドライバからの駆動信号に応じてモータが駆動すると、モータの回転軸が回転し、この回転に連動して磁気センサ付き軸受装置100の内輪24が回転する。内輪24には磁石40が支持されているので、内輪24と共に磁石40も回転する。そして、磁石40が回転することにより、磁路部材50の各磁路と磁石40との位置関係も周期的に変化する。
磁気検出器60a〜60cから出力される3つの磁気検出信号は、先述したように、磁気検出器60a〜60cが電気角120°の位相を有するように配置されているため、磁気検出信号cosθ、cos(θ-2π/3)、cos(θ-4π/3)となって出力される。ここで、磁気検出器60aをA相、磁気検出器60bをB相、磁気検出器60cをC相とする。
例えば、1周を10ビット(1024)に分割し、パルス発生器から、内輪24の回転に応じてパルス信号を出力する。このパルス信号をパルスカウンタでカウントし、このカウント値から回転に応じた時間tを算出する。そして、この時間tと、絶対回転角度位置θとにより、回転角速度ωを算出する。
回転方向が算出されると、これと、上記算出した、絶対回転角度位置θと、回転角速度ωとの情報を含む信号を、不図示の出力対象に出力する(ステップS108)。
上記第1の実施の形態において、回転情報算出装置1は、発明1又は2の回転情報算出装置に対応し、外輪22及び内輪24は、発明2の静止輪及び回転輪に対応し、回転情報算出器200及びステップS100〜S108は、発明1及び2並びに発明15乃至18のいずれか1の回転情報算出手段に対応する。
また、上記第1の実施の形態において、回転角度位置を、3相−2相変換で2相に変換し、その比(アークタンジェント)から求めたが、これに限らず、他の方法を用いて求める構成としても良い。
次に、本発明の第2の実施の形態を図面に基づき説明する。図8〜図11は、本発明に係る回転情報算出装置の第2の実施の形態を示す図である。
回転情報算出装置2は、図8に示すように、モータ等の回転軸に回転自在に取り付けられた磁気センサ付き軸受装置100からの磁気検出信号に基づいて回転軸の回転状態を示す情報である回転情報を算出する回転情報算出装置2を有して構成されている。なお、図8に示す、磁気センサ付き軸受装置100は、径方向の断面図である。
更に、図9に基づき、回転情報算出装置2の詳細な構成を説明する。
ここで、図9は、回転情報算出装置2の詳細な構成を示すブロック図である。
回転情報算出装置2は、図9に示すように、磁気センサ付き軸受装置100からの、3相のアナログの磁気検出信号cosθ、cos(θ-2π/3)、cos(θ-4π/3)の異常を検出する異常検出部2aと、回転輪(内輪24)の回転情報を算出する回転情報算出部2bとを有して構成されている。以下、上記第1の実施の形態と同様に、磁気検出器60a〜60cの構成する各相をそれぞれA相〜C相とする。
具体的に、異常検出部2aは、A相、B相、C相の各相毎に、サンプリング値a、b、cを用いて絶対回転角度位置を算出する第1式を、サンプリング値a、b、cの数学的関係を用いて変形した第2〜第4式を用いて、前記各相の絶対回転角度位置を算出する。
一方、サンプリング値a、b、cのうち2つ以上に異常が発生している場合は、動作停止用の異常検出フラグを、回転情報算出装置2内部の不図示の動作制御部及び外部装置に出力する。
回転情報算出部2bは、異常検出部2aから入力された絶対回転角度位置を平均して、外部出力用の絶対回転角度位置θとして算出し、更に、回転角速度ω、回転方向を回転情報として算出する。そして、当該算出した回転情報を、不図示の出力対象に出力する。
また、回転情報算出装置2は、回転方向を算出するために、算出した絶対回転角度位置θをRAMに保持するようになっている。
更に、図10に基づき、異常検出部2aにおける異常検出処理の流れを説明する。
異常検出処理は、専用のソフトウェアを演算処理装置に実行させることで行われる処理であって、回転情報算出装置2の演算処理装置において実行されると、図10に示すように、まずステップS200に移行する。
ステップS200では、異常検出部2aにおいて、磁気検出器60a〜60cからの3相の磁気検出信号の各相のサンプリング値a、b、cを同時に取得して、ステップS202に移行する。
ステップS204では、異常検出部2aにおいて、第2式で算出した3つの絶対回転角度位置は、3つとも等しいか否かを判定し、3つとも等しいと判定された場合(Yes)は、ステップS206に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS216に移行する。
ここで、θA2、θB2、θC2は、A相、B相、C相に対する第2式を用いて算出した絶対回転角度位置である。同様に、θA3、θB3、θC3は、A相、B相、C相に対する第3式を用いて算出した絶対回転角度位置であり、θA4、θB4、θC4は、A相、B相、C相に対する第4式を用いて算出した絶対回転角度位置である。つまり、下付き文字のアルファベットが磁気検出器60a〜60cの相の種類を表し、数字が算出式の種類を表している。
ステップS208では、異常検出部2aにおいて、第3式で算出した3つの絶対回転角度位置は、3つとも等しいか否かを判定し、3つとも等しいと判定された場合(Yes)は、ステップS210に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS214に移行する。
ステップS212では、異常検出部2aにおいて、第2〜第4式で算出した9つの絶対回転角度位置を、回転情報算出部2bに出力し、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。
ステップS218では、異常検出部2aにおいて、第3式で算出した3つの絶対回転角度位置は、3つとも等しいか否かを判定し、3つとも等しいと判定された場合(Yes)は、ステップS220に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS222に移行する。
また、ステップS218において、第3式で算出した絶対回転角度位置が3つとも等しくなく、ステップS222に移行した場合は、異常検出部2aにおいて、ステップS200で取得したサンプリング値b及びcと、A相、B相、C相の各相に対応する第4式とを用いて絶対回転角度位置θA4、θB4、θC4を算出して、ステップS224に移行する。
ステップS226に移行した場合は、異常検出部2aにおいて、第4式で算出した3つの絶対回転角度位置θA4、θB4、θC4を回転情報算出部2bに出力すると共に、磁気検出器60a〜60cにおけるA相の磁気検出信号に異常が発生していることを示すA相信号異常検出フラグを外部装置に出力し、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。
更に、図11に基づき、回転情報算出部2bの回転情報算出処理の流れを説明する。
ここで、図11は、回転情報算出部2bの回転情報算出処理を示すフローチャートである。
ステップS300では、回転情報算出部2bにおいて、異常検出部2aから絶対回転角度位置を取得したか否かを判定し、取得したと判定された場合(Yes)は、ステップS302に移行し、そうでない場合(No)は、取得するまで待機する。
ステップS304では、回転情報算出部2bにおいて、ステップS302で算出した絶対回転角度位置θと、不図示のパルスカウンタでカウントした、内輪24の回転に応じたパルス信号数とに基づき回転角速度ωを算出して、ステップS306に移行する。
ステップS308では、回転情報算出部2bにおいて、ステップS302〜S306の算出結果の信号を出力し、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。
まず、異常検出部2aにおいて、磁気検出器60a〜60cのA相、B相、C相の各相に対する回転角度位置の算出に用いられる算出式について説明する。
磁気検出器60a〜60cのA相〜C相からの磁気検出信号のサンプリング値a、b、cは、下式(1)で表すことができる。
A相:a=cosθ
B相:b=cos(θ-2π/3) ・・・(1)
C相:c=cos(θ-4π/3)
上式(1)より、サンプリング値a、b、cの数学的関係を利用して、異常検出用の回転角度位置の算出式(上述した第1式〜第4式)を求めるための異常検出パラメータとして、下式(2)を求める。
ここでは、磁気センサ付き軸受装置100を、モータの回転軸の軸受に適用した場合の動作を説明する。
回転情報算出装置2は、サンプリングタイミングになると、異常検出部2aにおいて、磁気検出器60a〜60cから出力される3相の磁気検出信号のサンプリング値a、b、cを取得する(ステップS200)。
次に、異常検出部2aは、第2式で算出したθA2、θB2、θC2に対して、各2つの差分値「θA2-θB2」、「θA2-θC2」、「θB2-θC2」を算出する。そして、これら差分値と、予め設定されている閾値Et=±0.1[°]とを比較し、差分値が3つとも閾値Etの範囲内にあるときは、3つの絶対回転角度位置は等しいと判定する(ステップS204の「Yes」の分岐)。また、差分値が1つでも閾値Etの範囲外にあるときは、3つの絶対回転角度位置は等しくないと判定する(ステップS204の「No」の分岐)。
以下、第2式で算出した絶対回転角度位置が3つとも等しかった場合の動作を説明する。
この場合、異常検出部2aは、サンプリング値a及びcと、上式(3)に示す、A相、B相、C相にそれぞれ対応する第3式とを用いて、絶対回転角度位置θA3、θB3、θC3を算出する(ステップS206)。
従って、異常検出部2aは、第2式で算出した絶対回転角度位置θA2、θB2、θC2を回転情報算出部2bに出力すると共に、C相の信号に異常が発生していることを示すC相信号異常検出フラグを外部装置等に出力する(ステップS214)。
また、異常検出部2aは、C相に異常があるという情報を保持し、以降は、A相及びB相からのサンプリング値a及びbのみを用いて、第2式から3つの絶対回転角度位置θA2、θB2、θC2を算出し、これらを回転情報算出部2bに出力する。つまり、磁気検出器60a〜60cにおけるC相(磁気検出器60c)に異常があっても、残りのA相及びB相(磁気検出器60a及び60b)が正常であれば、回転角度位置の算出処理を継続して行い、算出結果を回転情報算出部2bに出力する。
一方、回転情報算出部2bは、異常検出部2aから、絶対回転角度位置θA2、θB2、θC2を取得すると(ステップS300)、まず、3つの絶対回転角度位置の平均値「(θA2+θB2+θC2)/3」を出力用の絶対回転角度位置θとして算出する(ステップS302)。
更に、回転角速度ωが算出されると、回転情報算出部2bは、次に、回転位置を算出する(ステップS306)。回転位置の算出方法は、上記第1の実施の形態と同様となるので具体的な説明を省略する。
次に、上式(3)に示す、第2式及び第3式で算出した絶対回転角度位置が正常である場合(ステップS208の「Yes」の分岐)の動作について説明する。
そして、この絶対回転角度位置θを用いて回転角速度ωを算出する(ステップS304)。一方、上記算出した絶対回転角度位置θと、1回前に算出した絶対回転角度位置θとに基づき、回転方向を算出する(ステップS306)。
次に、上式(3)に示す、第2式で算出した回転角度位置が異常と判定された場合(ステップS104の「No」の分岐)の動作について説明する。
そして、上記第2式のときと同様に、第3式で算出したθA3、θB3、θC3に対して、各2つの差分値「θA3-θB3」、「θA3-θC3」、「θB3-θC3」を算出する。更に、これら差分値と閾値Etとを比較し、差分値が3つとも閾値Etの範囲内にあるときは、3つの絶対回転角度位置は等しいと判定する(ステップS218の「Yes」の分岐)。また、差分値が1つでも閾値Etの範囲外にあるときは、3つの絶対回転角度位置は等しくないと判定する(ステップS218の「No」の分岐)。
更に、この絶対回転角度位置θを用いて回転角速度ωを算出する(ステップS304)。一方、上記算出した絶対回転角度位置θと、1回前に算出した絶対回転角度位置θとに基づき、回転方向を算出する(ステップS306)。
次に、第2式及び第3式で算出した回転角度位置が異常と判定された場合(ステップS218の「No」の分岐)の動作について説明する。
この場合は、サンプリング値a及びbのいずれか一方、及びサンプリング値a及びcのいずれか一方に異常があることが解る。しかし、これだけでは、サンプリング値aのみに異常があるのか、サンプリング値b及びcに異常があるのかが正確に解らない。従って、異常検出部2aは、更に、サンプリング値b及びcと、上式(3)に示す、A相、B相、C相にそれぞれ対応する第4式とを用いて、絶対回転角度位置θA4、θB4、θC4を算出する(ステップS222)。
更に、この絶対回転角度位置θを用いて回転角速度ωを算出する(ステップS304)。一方、上記算出した絶対回転角度位置θと、1回前に算出した絶対回転角度位置θとに基づき、回転方向を算出する(ステップS306)。
次に、第2式〜第4式で算出した回転角度位置が全て異常と判定された場合(ステップS224の「No」の分岐)の動作について説明する。
この場合は、サンプリング値a、b、cのうち2つ以上に異常があることが解るので、異常検出部2aは、回転情報の算出処理を正常に機能させることは不可能であると判断し、動作停止用の異常検出フラグを、内部の動作制御部及び外部装置に出力する(ステップS228)。
上記したように、本実施の形態の回転情報算出装置2は、回転情報算出装置2の異常検出部2aにおいて、3相の磁気検出信号のサンプリング値のうちA相及びB相の値a、b、A相及びC相の値a、c、並びにB相及びC相の値b、cと、上式(3)の第2式〜第4式とに基づき、絶対回転角度位置θA2〜θC2、θA3〜θC3、θA4〜θC4を算出することが可能である。また、各算出式で算出した各3つの絶対回転角度位置の差分値と閾値Etとの比較結果に基づき、サンプリング値の異常を検出することが可能である。また、異常があったときに、該当するサンプリング値の相に対する異常検出フラグや、動作停止用の異常検出フラグを出力することが可能である。
これにより、1相だけに異常が発生した場合でも回転情報の算出処理を継続し、出力対象の正常な動作を維持できるので、誤動作による出力対象の破損や危険の発生等を防ぐことが可能である。
これにより、信頼性の高い高精度な回転角度位置の算出が可能である。
上記第2の実施の形態において、磁気検出器60a〜60cは、発明3の3つの磁気検出器に対応し、ステップS200は、発明3又は5のサンプリング値取得手段に対応し、異常検出部2a及びステップS202〜S228は、発明2並びに発明4乃至9のいずれか1の異常検出手段に対応し、回転情報算出部2b及びステップS300〜S308は、発明3、7、8、並びに発明15乃至18のいずれか1の回転情報算出手段に対応する。
また、上記第2の実施の形態においては、事前に異常検出パラメータから、上式(3)を求めておき、異常検出部2aはこの算出式を用いて、異常検出処理を実行する構成としたが、これに限らず、例えば、電源投入毎、又は出荷後の最初の電源投入時などに、異常検出パラメータの算出処理及び上式(3)に示す回転角度位置の算出式の生成処理を行う構成としても良い。また、一度生成した算出式は、電源が落ちるまで保持するか又は電源が落ちた後も保持し続けるようにすることで、上式(3)に示す算出式の生成処理負荷を軽減することが可能である。
また、上記第2の実施の形態において、回転角度位置θを、上記第2式〜第4式のいずれかで算出したA相〜C相に対する回転角度位置の平均値により求める構成としたが、これに限らず、回転角度位置を、3相−2相変換で2相に変換し、その比(アークタンジェント)から求める構成やその他の構成としても良い。
また、上記第1及び第2の実施の形態において、磁気センサ付き軸受装置100に、回転情報算出装置2を適用したが、これに限らず、軸受装置以外の回転子を有する装置に適用してもよい。
また、上記第1及び第2の実施の形態において、磁気検出器60a〜60cがアナログホールICである構成を説明したが、これに限らず、他のアナログ素子であっても良い。
また、上記第1及び第2の実施の形態において、磁路部材50は薄い板状の構造としたが、これに限らず、壁50aの高さと同じ厚みの円弧形状の部材でもよい。しかし、板状にすることにより、軽量化及び材料コストの削減を実現できるので、板状のほうが望ましい。
200 回転情報算出器
1,2 回転情報算出装置
22 外輪
24 内輪
30 磁石ホルダ
40 磁石
50 磁路部材
60a〜60c 磁気検出器
2a 異常検出部
2b 回転情報算出部
Claims (18)
- 回転子に支持された磁石ホルダと、前記磁石ホルダに支持された磁石と、固定子に支持され、当該固定子の円周方向にそれぞれ所定間隔で配置された、入力磁束に応じた信号を出力する3つの磁気検出器と、前記固定子に支持され且つ前記3つの磁気検出器の間に配設された、前記3つの磁気検出器に前記磁石からの磁束を導く3つの磁路を有した磁路部材と、
前記回転子の回転時に、前記磁路部材の各磁路と前記磁石との位置関係に応じて位相の変化する、前記3つの磁気検出器からの3相の出力信号に基づき、前記回転子の回転状態を示す情報を算出する回転状態算出手段と、を備えることを特徴とする回転情報算出装置。 - 静止輪と回転輪との間に複数の転動体が配設された軸受と、前記回転輪に支持された磁石ホルダと、前記磁石ホルダに支持された磁石と、前記静止輪に支持され、当該静止輪の円周方向にそれぞれ所定間隔で配置された、入力磁束に応じた信号を出力する3つの磁気検出器と、前記静止輪に支持され且つ前記3つの磁気検出器の間に配設された、前記3つの磁気検出器に前記磁石からの磁束を導く3つの磁路を有した磁路部材と、
前記回転輪の回転時に、前記磁路部材の各磁路と前記磁石との位置関係に応じて位相の変化する、前記3つの磁気検出器からの3相の出力信号に基づき、前記回転輪の回転状態を示す情報を算出する回転状態算出手段と、を備えることを特徴とする回転情報算出装置。 - 静止輪及び回転輪の一方に支持された磁石と、前記静止輪及び前記回転輪の他方の円周方向に所定の間隔をもって配設され、前記磁石からの入力磁束に応じた磁気検出信号を出力する3つの磁気検出器とを有するセンサ付き軸受装置における、前記3つの磁気検出器から出力される、位相の異なる3つの磁気検出信号を入力し、入力した前記磁気検出信号に基づき、前記回転輪の回転状態を示す情報を算出する回転情報算出装置であって、
前記3つの磁気検出信号について、サンプリング値を取得するサンプリング値取得手段と、
前記サンプリング値に基づき、前記回転輪の回転状態を示す情報を算出する回転情報算出手段と、
前記サンプリング値に基づき、前記3つの磁気検出信号の異常を検出する異常検出手段と、を備えることを特徴とする回転情報算出装置。 - 前記異常検出手段は、前記位相の異なる3つの磁気検出信号のサンプリング値に基づいて、前記磁気検出器の構成する3つの相の各相毎に、少なくとも2通りの算出方法で、前記回転情報の1つである回転角度位置を算出し、当該算出した回転角度位置に基づいて、前記3つの磁気検出信号の異常を検出することを特徴とする請求項3に記載の回転情報算出装置。
- 前記磁気検出器の3つの相をA相、B相、C相とし、A相、B相、C相の各相に対応する磁気検出信号のサンプリング値をそれぞれa、b、cとし、
前記異常検出手段は、前記サンプリング値a及びb、前記サンプリング値a及びc、並びに前記サンプリング値b及びcの3つの組み合わせのうち少なくとも2つの組み合わせに基づいて、当該組み合わせ毎に異なる算出方法を用いて、前記磁気検出器の相毎に、少なくとも2つの回転角度位置を算出し、当該算出した各相の回転角度位置に基づき、前記位相の異なる3つの磁気検出信号の異常を検出することを特徴とする請求項4に記載の回転情報算出装置。 - 前記異常検出手段は、前記各相に対する前記回転角度位置同士の差分値に基づき、前記位相の異なる3つの磁気検出信号の異常を検出することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の回転情報算出装置。
- 前記回転情報算出手段は、前記3つの磁気検出信号のうち、前記異常検出手段によって異常が検出された磁気検出信号以外の磁気検出信号の各相に対する、当該異常の検出に用いた前記回転角度位置の平均値を、前記回転輪の回転角度位置として算出することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の回転情報算出装置。
- 前記回転情報算出手段は、前記異常検出手段によって、前記3つの磁気検出信号のうちいずれか1つに異常が検出されたときに、当該異常の検出された磁気検出信号の相を除く、残り2つの相の磁気検出信号に対するサンプリング値に基づき前記回転状態を示す情報を算出することを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれか1項に記載の回転情報算出装置。
- 前記異常検出手段は、異常が検出されたときに、当該異常の情報を含む異常検出フラグを出力することを特徴とする請求項3乃至請求項8のいずれか1項に記載の回転情報算出装置。
- 前記3つの磁気検出器を、電気角120°の位相を持たせて配置することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の回転情報算出装置。
- 前記磁石は、円周方向にS極とN極の2極に着磁した円環状の永久磁石であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の回転情報算出装置。
- 前記磁石は、円周方向にS極とN極を交互に4極以上着磁した円環状の永久磁石であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の回転情報算出装置。
- 前記磁気検出器は、アナログホールICであることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の回転情報算出装置。
- 前記アナログホールICは、温度変化に伴う出力変動を補正することができるプログラマブルICであることを特徴とする請求項13に記載の回転情報算出装置。
- 前記回転情報算出手段は、前記回転状態を示す情報をアナログ信号として出力することを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の回転情報算出装置。
- 前記回転情報算出手段は、前記回転状態を示す情報をデジタル信号として出力することを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の回転情報算出装置。
- 前記回転情報算出手段は、前記回転状態を示す情報をパルス信号として出力することを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の回転情報算出装置。
- 前記回転情報算出手段は、前記回転状態を示す情報として、相対回転角度、絶対回転角度、回転角速度及び回転方向の少なくとも1つを算出することを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載の回転情報算出装置。
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