JP2008196644A - 車輪用回転支持装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コスト、作業コスト、部品コストを低減できる構造を実現する。
【解決手段】転がり軸受用ハウジング16の円筒状保持部14の内周面の軸方向外端部に、この内周面の軸方向残部よりも径方向内方に突出した内向鍔部11aを設ける。ハブ4と共に車輪支持用転がり軸受を構成する外輪9を、上記内向鍔部11aと、上記転がり軸受用ハウジング16を結合固定するナックル2の軸方向外側面との間で挟持する。そして、上記外輪9を、軸方向の位置決めを図った状態で、上記転がり軸受用ハウジング16を介して、上記ナックル2に固定する。これにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1
【解決手段】転がり軸受用ハウジング16の円筒状保持部14の内周面の軸方向外端部に、この内周面の軸方向残部よりも径方向内方に突出した内向鍔部11aを設ける。ハブ4と共に車輪支持用転がり軸受を構成する外輪9を、上記内向鍔部11aと、上記転がり軸受用ハウジング16を結合固定するナックル2の軸方向外側面との間で挟持する。そして、上記外輪9を、軸方向の位置決めを図った状態で、上記転がり軸受用ハウジング16を介して、上記ナックル2に固定する。これにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
この発明は、自動車の懸架装置に対して車輪を回転自在に支持する、車輪用回転支持装置の改良に関する。
自動車の車輪は、車輪用回転支持装置により懸架装置に支持する。この様な車輪用回転支持装置は、懸架装置を構成するばねよりも路面側に設けられる、所謂ばね下荷重である為、乗り心地や走行安定性を中心とする走行性能を向上させる為には、少しでも軽量化する事が望まれる部分である。この為、部品点数の削減による小型・軽量化とコスト低減とを目的として、多くの発明が成されている。
又、上記車輪用回転支持装置の使用時に於いては、組み付け易さ、取り外し易さ等による工数削減及びコスト低減を目的とした構造の発明が望まれている。更に、部品コスト面では、部品の再利用が可能な構造である事が好ましい。
又、上記車輪用回転支持装置の使用時に於いては、組み付け易さ、取り外し易さ等による工数削減及びコスト低減を目的とした構造の発明が望まれている。更に、部品コスト面では、部品の再利用が可能な構造である事が好ましい。
例えば、図6は、従来構造の第1例として、特許文献1に記載された車輪用回転支持装置1の構造を示している。静止輪である外輪9は、懸架装置を構成するナックル2により内嵌保持されて、使用時にも回転しない。この様な外輪9の内径側には、回転輪であるハブ4を、この外輪9と同心に設け、使用時にこのハブ4が回転する様にしている。このハブ4は、ハブ本体5とこのハブ本体5の外周面の中間部乃至内端部に外嵌されている一対の内輪6、6とから成る。
このうちのハブ本体5の外周面の軸方向外(軸方向に関して「外」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向外側を言い、図1〜図6の左側、図7の左奥側。反対に、車両の幅方向中央側となる、図1〜図6の右側、図7の右手前側を、軸方向に関して「内」と言う。本明細書及び特許請求の範囲の全体で同じ。)端部には、車輪を支持固定する為の回転側支持フランジ3を形成している。
又、上記外輪9の内周面には複列の外輪軌道8、8を、上記両内輪6、6の外周面には内輪軌道7、7を、それぞれ形成している。そして、これら両外輪軌道8、8と内輪軌道7、7との間に玉10、10を、それぞれ複数個ずつ設けて、上記外輪9の内側での上記ハブ4の回転を自在としている。尚、上記各玉10、10は、それぞれ図示しない保持器により、転動自在に保持している。又、図示の例では転動体として玉を使用しているが、重量が嵩む車両用の軸受の場合には、転動体としてテーパころを使用する場合もある。更に、外側の内輪軌道7は、上記ハブ4の外周面の中間部乃至内端部に直接形成する場合もある。この場合は、外側の内輪6は必要ない。
又、前記ナックル2の内周面の軸方向内端寄り部分には、この内周面の軸方向残部よりも径方向内方に突出した内向鍔部11を形成している。更に、このナックル2の内周面の軸方向外端には係合凹溝12を、全周に亙り形成している。そして、円周方向の一部が欠けている欠円環状の止め輪13を、この係合凹溝12に径方向内方に突出する様に係合している。そして、上記内向鍔部11と上記止め輪13との間に、上記外輪9を挟持している。この様にして、この外輪9の軸方向の位置決めを図っている。
この様な構造の場合、上記ナックル2に上記係合凹溝12を設ける加工作業が必要となり、加工コストが嵩むだけでなく、上記ナックル2の強度が、部分的に低くなる。又、上記止め輪13を使用する分、部品点数が増加してしまう。この為、製造コストが嵩んでしまう。
又、上記外輪9を上記ナックル2に組み付ける作業は、先ず、この外輪9を上記ナックル2の内周面に設けた内向鍔部11の軸方向外端面に当接するまで圧入する。その後、上記止め輪13を上記係合凹溝12に係合する。この様な、上記止め輪13を上記係合凹溝12に係合する作業には、特殊な工具及び専門的知識を備えた作業者が必要になる。又、分解作業も同様である。この為、作業コストが嵩んでしまう。又、これらの作業を行なえる環境が整っていない場合、故障等に対して、適切な処置を施す事ができず、危険な状態での使用を続けなければならない可能性がある。
その一方で、一度分解した場合でも、上記外輪9を含む車輪支持用転がり軸受、上記ナックル2、上記止め輪13に問題がなければ、再利用して組み付ける事が可能な構造である為、修理の際に部品コストを低く抑える面では優れた構造である。
又、上記外輪9を上記ナックル2に組み付ける作業は、先ず、この外輪9を上記ナックル2の内周面に設けた内向鍔部11の軸方向外端面に当接するまで圧入する。その後、上記止め輪13を上記係合凹溝12に係合する。この様な、上記止め輪13を上記係合凹溝12に係合する作業には、特殊な工具及び専門的知識を備えた作業者が必要になる。又、分解作業も同様である。この為、作業コストが嵩んでしまう。又、これらの作業を行なえる環境が整っていない場合、故障等に対して、適切な処置を施す事ができず、危険な状態での使用を続けなければならない可能性がある。
その一方で、一度分解した場合でも、上記外輪9を含む車輪支持用転がり軸受、上記ナックル2、上記止め輪13に問題がなければ、再利用して組み付ける事が可能な構造である為、修理の際に部品コストを低く抑える面では優れた構造である。
又、図7は、従来構造の第2例として、特許文献2に記載された車輪用回転支持装置1aの構造を示している。静止輪である外輪9は、転がり軸受用ハウジング16に内嵌保持されて、使用時にも回転しない。この様な外輪9の内径側には、回転輪であるハブ4を、この外輪9と同心に設け、使用時にこのハブ4が回転する様にしている。このハブ4は、ハブ本体5とこのハブ本体5の外周面の中間部乃至内端部に外嵌されている一対の内輪6、6とから成る。
このうち、転がり軸受用ハウジング16は、上記外輪9を内嵌保持する為の円筒状保持部14を備え、この円筒状保持部14の外周面に、図示しないナックルに結合固定する為の結合フランジ15を形成している。
又、上記ハブ本体5の外周面の軸方向外端部には、車輪を支持固定する為の回転側支持フランジ3を形成している。
又、上記外輪9の内周面に形成した複列の外輪軌道8、8と、上記ハブ4を構成する一対の内輪6、6の外周面に形成した内輪軌道7、7との間に玉10、10を、両列毎にそれぞれ複数個ずつ設けて、上記外輪9の内側での上記ハブ4の回転を自在としている。
又、上記外輪9の両端部で、上記転がり軸受用ハウジング16の円筒状保持部14よりも軸方向両側に突出した部分を直径方向外方にかしめ広げた、かしめ部17、17により上記外輪9を直接抑え付ける事で、この外輪9を上記転がり軸受用ハウジング16に固定している。
又、上記ハブ本体5の外周面の軸方向外端部には、車輪を支持固定する為の回転側支持フランジ3を形成している。
又、上記外輪9の内周面に形成した複列の外輪軌道8、8と、上記ハブ4を構成する一対の内輪6、6の外周面に形成した内輪軌道7、7との間に玉10、10を、両列毎にそれぞれ複数個ずつ設けて、上記外輪9の内側での上記ハブ4の回転を自在としている。
又、上記外輪9の両端部で、上記転がり軸受用ハウジング16の円筒状保持部14よりも軸方向両側に突出した部分を直径方向外方にかしめ広げた、かしめ部17、17により上記外輪9を直接抑え付ける事で、この外輪9を上記転がり軸受用ハウジング16に固定している。
上述の様な従来構造の第2例の場合、一般的な車輪用回転支持装置の構成部材である上記外輪9の形状に工夫している為、部品点数の増加により製造コストが嵩む事はない。
但し、上記外輪9を上記円筒状保持部14に組み付け固定する為、上記外輪9の内端部をかしめ広げる作業には、特殊な工具及び専門的知識を備えた作業者が必要であり、実際には専門の工場でしか行なえない。又、分解作業の際も同様である。この為、作業コストが嵩んでしまう。又、これらの作業を行なえる環境が整っていない場合、故障等に対して、適切な処置を施す事ができず、危険な状態での使用を続けなければならない可能性がある。
又、上記円筒状保持部14と上記外輪9とを分解した後、再び組み付けようとしても、上記かしめ部17、17は加工硬化により脆くなっており、元に戻そうとしても破損する可能性が高い。又、仮に元に戻せたとしても、繰り返し塑性変形する事による金属疲労により強度が低下しており、再びかしめ部17、17を形成する事は殆ど不可能である。この為、実際上は、上記外輪9を再利用する事はできない。
但し、上記外輪9を上記円筒状保持部14に組み付け固定する為、上記外輪9の内端部をかしめ広げる作業には、特殊な工具及び専門的知識を備えた作業者が必要であり、実際には専門の工場でしか行なえない。又、分解作業の際も同様である。この為、作業コストが嵩んでしまう。又、これらの作業を行なえる環境が整っていない場合、故障等に対して、適切な処置を施す事ができず、危険な状態での使用を続けなければならない可能性がある。
又、上記円筒状保持部14と上記外輪9とを分解した後、再び組み付けようとしても、上記かしめ部17、17は加工硬化により脆くなっており、元に戻そうとしても破損する可能性が高い。又、仮に元に戻せたとしても、繰り返し塑性変形する事による金属疲労により強度が低下しており、再びかしめ部17、17を形成する事は殆ど不可能である。この為、実際上は、上記外輪9を再利用する事はできない。
上述した様に、従来構造の第1〜2例の場合、作業環境が整っていないと、適切な組み付け、分解作業を行なう事が困難である。又、従来構造の第2例の様に、殆どの部品の再利用が困難な構造の場合、新しい部品と交換する為の部品コストが増大してしまう。
近年、自動車は世界中に広く普及しており、上記の様な環境が整っていない国や地域の人々、又、新しい部品と交換する為のコストを負担する事が、経済的に困難な人々も自動車を利用している。この様な人々は、自動車が故障した場合に、適切な処置を行なう事ができないままに、自動車を使用し続けなければならない。この為、この様な人々が安全、且つ適切な状態で自動車を利用し続ける為に、より簡単に組み付け、分解作業が行なえて、より低コストで修理、維持できる様な構造の車輪用回転支持装置の実現が望まれている。
近年、自動車は世界中に広く普及しており、上記の様な環境が整っていない国や地域の人々、又、新しい部品と交換する為のコストを負担する事が、経済的に困難な人々も自動車を利用している。この様な人々は、自動車が故障した場合に、適切な処置を行なう事ができないままに、自動車を使用し続けなければならない。この為、この様な人々が安全、且つ適切な状態で自動車を利用し続ける為に、より簡単に組み付け、分解作業が行なえて、より低コストで修理、維持できる様な構造の車輪用回転支持装置の実現が望まれている。
本発明は、上述の様な事情に鑑み、製造コスト、作業コスト、部品コストを低減できる車輪用回転支持装置を実現すべく発明したものである。
本発明の対象となる車輪用回転支持装置は、ナックルと、転がり軸受用ハウジングと、ハブと、複数個の転動体とを備える。
このうちのナックルは、懸架装置を構成する。
又、転がり軸受用ハウジングは、外周面が単一円筒面状で内周面に複列の外輪軌道を設けた転がり軸受の外輪を内嵌保持する為の円筒状保持部の外周面に、上記ナックルに結合固定する為の結合フランジを設けている。
又、上記ハブは、外周面の軸方向外端部に車輪を支持固定する為の回転側支持フランジを、同じく軸方向に関する中間部乃至内端部に複列の内輪軌道をそれぞれ備え、使用時に上記車輪と共に回転する。
更に、上記各転動体は、これら両内輪軌道と上記両外輪軌道との間に、両列毎にそれぞれ複数個ずつ設けられている。
このうちのナックルは、懸架装置を構成する。
又、転がり軸受用ハウジングは、外周面が単一円筒面状で内周面に複列の外輪軌道を設けた転がり軸受の外輪を内嵌保持する為の円筒状保持部の外周面に、上記ナックルに結合固定する為の結合フランジを設けている。
又、上記ハブは、外周面の軸方向外端部に車輪を支持固定する為の回転側支持フランジを、同じく軸方向に関する中間部乃至内端部に複列の内輪軌道をそれぞれ備え、使用時に上記車輪と共に回転する。
更に、上記各転動体は、これら両内輪軌道と上記両外輪軌道との間に、両列毎にそれぞれ複数個ずつ設けられている。
特に、本発明の車輪用回転支持装置に於いては、上記転がり軸受用ハウジングの円筒状保持部の内周面の軸方向外端部にこの内周面の軸方向残部よりも径方向内方に突出した内向鍔部を設け、上記外輪を、この内向鍔部と上記ナックルの軸方向外側面との間で挟持している。
この様な本発明を実施する場合に、好ましくは、請求項2に記載した様に、上記転がり軸受用ハウジングにより上記外輪を、軸方向内側の上記外輪軌道の溝底位置よりも軸方向内側位置まで内嵌保持する。
又、好ましくは、請求項3に記載した様に、上記外輪の軸方向内端面と上記ナックルの軸方向外側面との間に弾性部材を挟持する。
又、この様な請求項3に記載した発明を実施する場合に、具体的には、上記弾性部材を皿ばねとする。
この様な本発明を実施する場合に、好ましくは、請求項2に記載した様に、上記転がり軸受用ハウジングにより上記外輪を、軸方向内側の上記外輪軌道の溝底位置よりも軸方向内側位置まで内嵌保持する。
又、好ましくは、請求項3に記載した様に、上記外輪の軸方向内端面と上記ナックルの軸方向外側面との間に弾性部材を挟持する。
又、この様な請求項3に記載した発明を実施する場合に、具体的には、上記弾性部材を皿ばねとする。
上述の様に本発明の車輪用回転支持装置の場合には、外輪を、転がり軸受用ハウジングの円筒状保持部の内周面の軸方向外端部から径方向内方に突出した内向鍔部とナックルとの間に挟持する事で、このナックルに対し上記外輪を保持固定しているので、少ない部品点数で、このナックルに対しこの外輪を、軸方向の位置決めを図った状態で保持固定できる。この為、製造コストが嵩む事を抑えられる。
又、組み付け、分解作業に特殊な作業及び工具が必要ない。この為、作業コストが嵩む事を抑える事ができる。
更に、上記外輪と上記転がり軸受用ハウジングの組み付け、分解作業では、金属疲労を招く原因となる様な(繰り返しの)塑性加工を行なわない。この為、部品を再利用し易く、修理の際に要する部品コストが嵩む事を抑えられる。
これらの為、本発明の車輪用回転支持装置の構造は、専門的な知識を持った作業者及び特殊な工具が整っていない国や地域の人々、又、新しい部品と交換する為のコストを負担する事が、経済的に困難な人々にとって、適切な状態で使用し続け易い構造である。
又、組み付け、分解作業に特殊な作業及び工具が必要ない。この為、作業コストが嵩む事を抑える事ができる。
更に、上記外輪と上記転がり軸受用ハウジングの組み付け、分解作業では、金属疲労を招く原因となる様な(繰り返しの)塑性加工を行なわない。この為、部品を再利用し易く、修理の際に要する部品コストが嵩む事を抑えられる。
これらの為、本発明の車輪用回転支持装置の構造は、専門的な知識を持った作業者及び特殊な工具が整っていない国や地域の人々、又、新しい部品と交換する為のコストを負担する事が、経済的に困難な人々にとって、適切な状態で使用し続け易い構造である。
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。
尚、本例の特徴は、ナックル2に対し、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する外輪9を保持固定する部分の構造にある。この特徴部分以外の構造及び作用は、前述の図6〜7に示した車輪用回転支持装置1、1aの場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
図1〜2は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。
尚、本例の特徴は、ナックル2に対し、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する外輪9を保持固定する部分の構造にある。この特徴部分以外の構造及び作用は、前述の図6〜7に示した車輪用回転支持装置1、1aの場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の車輪用回転支持装置1bの場合、転がり軸受用ハウジング16を構成する円筒状保持部14の内周面の軸方向外端部に内向鍔部11aを、この内周面の軸方向残部よりも径方向内方に突出する状態で設けている。そして、上記円筒状保持部14の外周面に設けた結合フランジ15を上記ナックル2に対し、図示しないボルトにより結合固定した状態で、上記外輪9を、上記内向鍔部11aとこのナックル2の軸方向外側面との間で挟持している。この様な構造とする事で、上記外輪9の軸方向に関する位置決めを図っている。図示の例では、上記ナックル2の軸方向外側面の一部で、支持孔19の開口周縁部分に、保持段部20を形成している。そして、上記結合フランジ15を上記ナックル2に結合固定した状態で、上記円筒状保持部材14の軸方向内端部を、上記保持段部20に内嵌している。
尚、上記外輪9の軸方向の幅L9 は、上記内向鍔部11aの軸方向内端面とこのナックル2の軸方向外端面(上記保持段部20の奥面)との距離Lと同じか、この距離Lよりも僅かに小さく(L9 ≦L)している。この理由は、上記結合フランジ15を上記ナックル2に結合固定する為のボルトに、荷大な負荷が加わるのを防止する為である。又、上記外輪9のうち、軸方向内側の外輪軌道8(のうちで、荷重が作用する溝底部分)よりも軸方向外寄り部分(図示の例では外輪9の軸方向全体)を、上記円筒状保持部14に内嵌している。これにより、軸方向内側列の玉10から上記軸方向内側の外輪軌道8に加わる荷重乃至は力(ラジアル荷重乃至はモーメント)を、上記外輪9だけでなく上記円筒状保持部14によっても支承する様にして、この外輪9の耐久性確保を図っている。
上述の様に構成する本例の車輪用支持装置1bを構成する、上記転がり軸受用ハウジング16や上記ナックル2は、車輪用回転支持装置を構成する為に従来からも必要とされていた構成部品の形状を工夫したものである。即ち、本例の構造は、新しく部品を増やす事なく、これらの構成部品の形状や組み付け位置を工夫して、上記ナックル2に対し上記外輪9を保持固定する様に構成している。この為、製造コストを抑える事ができる。
又、組み付け、分解作業の際に、特殊な作業や装置等は必要ない。この為、作業コストを抑える事ができる。
又、上記外輪9と上記転がり軸受用ハウジング16の組み付け、分解作業の際に、金属疲労の原因となる様な(繰り返しの)塑性加工を行なわない。この為、これらの部品の再利用がし易く、修理の際の部品コストを抑える事ができる。
又、組み付け、分解作業の際に、特殊な作業や装置等は必要ない。この為、作業コストを抑える事ができる。
又、上記外輪9と上記転がり軸受用ハウジング16の組み付け、分解作業の際に、金属疲労の原因となる様な(繰り返しの)塑性加工を行なわない。この為、これらの部品の再利用がし易く、修理の際の部品コストを抑える事ができる。
[実施の形態の第2例]
図3は、やはり請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の車輪用回転支持装置1cの場合、転がり軸受用ハウジング16が外輪9の外周面を、軸方向内側の外輪軌道8の溝底位置よりも軸方向内側位置まで内嵌保持している。そして、上記外輪9の外周面の軸方向残部をナックル2の保持部(支持孔19aの開口周縁部に形成した保持段部20a)に内嵌保持している。
尚、上記外輪9の外周面の軸方向残部は、上記ナックル2の保持段部20aに対し、締り嵌めによる内嵌保持ではなく、隙間嵌め状態で保持しても良い。
図3は、やはり請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の車輪用回転支持装置1cの場合、転がり軸受用ハウジング16が外輪9の外周面を、軸方向内側の外輪軌道8の溝底位置よりも軸方向内側位置まで内嵌保持している。そして、上記外輪9の外周面の軸方向残部をナックル2の保持部(支持孔19aの開口周縁部に形成した保持段部20a)に内嵌保持している。
尚、上記外輪9の外周面の軸方向残部は、上記ナックル2の保持段部20aに対し、締り嵌めによる内嵌保持ではなく、隙間嵌め状態で保持しても良い。
この様な本例の構造を採用する場合、車輪用回転支持装置を構成する転がり軸受に作用するラジアル荷重及びモーメントを、上記外輪9と上記転がり軸受用ハウジング16との嵌合部のみで負荷する事になる。上記荷重及びモーメントが作用する方向及び大きさは状況により変動する為、上記外輪9を含む転がり軸受では、軌道面と転動体との接触角が、この軌道面の範囲内で変化する。上記転がり軸受用ハウジング16は、この様な転がり軸受の外輪9を、その外周面全体を内嵌保持する必要はない。但し、この内嵌保持する範囲が少な過ぎる(内側の内輪軌道8に作用する荷重乃至は力に関して、円筒状保持部14がバックアップしない)場合、上記外輪9が上記荷重乃至は力を過剰に負荷する事になり、この外輪9の耐久性を確保する事が難しくなる。そこで、本例の場合には、上記転がり軸受用ハウジングが上記外輪9を内嵌保持する範囲を、軸方向内側の外輪軌道8の溝底位置よりも軸方向内側位置にする事で、上記問題を解決している。
この様な本例の構造の場合、上記転がり軸受用ハウジング16の軸方向寸法を、前述した第1例よりも短縮して、この転がり軸受用ハウジング16を軽量化できる。この為、懸架装置を構成するばねよりも路面側に設けられる、所謂ばね下荷重を減らす事ができて、乗り心地や走行安定性を中心とする走行性能の向上を図る事ができる。
その他の部分の構成及び作用に就いては、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
この様な本例の構造の場合、上記転がり軸受用ハウジング16の軸方向寸法を、前述した第1例よりも短縮して、この転がり軸受用ハウジング16を軽量化できる。この為、懸架装置を構成するばねよりも路面側に設けられる、所謂ばね下荷重を減らす事ができて、乗り心地や走行安定性を中心とする走行性能の向上を図る事ができる。
その他の部分の構成及び作用に就いては、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図4〜5は、請求項1、3、4に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。
前述した様な、本発明の実施の形態の第1〜2例では、外輪9の軸方向の幅L9 は、転がり軸受用ハウジング16の円筒状保持部14の内周面に設けている内向鍔部11aの軸方向内端面とこのナックル2の軸方向外側面の距離Lと同じか、僅かに小さく(L9 ≦L)規制している(図2参照)。
これに対して本例の車輪用回転支持装置1dの場合、外輪9の軸方向幅を内向鍔部11aとナックル2の軸方向外側面との距離よりも小さくする程度を、上記第1〜2例の場合よりも著しくしている。そして、上記外輪9の軸方向内端面と上記ナックル2の軸方向外側面との間に弾性部材である皿ばね18を、軸方向に弾性的に圧縮した状態で挟持する事により、上記外輪9に対して軸方向の固定圧力を付与している。この為、上記幅L9 と、上記皿ばね18の弾性変形状態での軸方向厚さL18と、上記距離Lとの関係は、L9 +L18=Lになる。
図4〜5は、請求項1、3、4に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。
前述した様な、本発明の実施の形態の第1〜2例では、外輪9の軸方向の幅L9 は、転がり軸受用ハウジング16の円筒状保持部14の内周面に設けている内向鍔部11aの軸方向内端面とこのナックル2の軸方向外側面の距離Lと同じか、僅かに小さく(L9 ≦L)規制している(図2参照)。
これに対して本例の車輪用回転支持装置1dの場合、外輪9の軸方向幅を内向鍔部11aとナックル2の軸方向外側面との距離よりも小さくする程度を、上記第1〜2例の場合よりも著しくしている。そして、上記外輪9の軸方向内端面と上記ナックル2の軸方向外側面との間に弾性部材である皿ばね18を、軸方向に弾性的に圧縮した状態で挟持する事により、上記外輪9に対して軸方向の固定圧力を付与している。この為、上記幅L9 と、上記皿ばね18の弾性変形状態での軸方向厚さL18と、上記距離Lとの関係は、L9 +L18=Lになる。
本例の様な構造を採用する場合、上記外輪9が上記転がり軸受用ハウジング16の内周面に対して軸方向に滑る事を防止できる。この為、この外輪の軸方向内端面と上記ナックル2の軸方向外側面との接触、又は、この外輪9の軸方向外端面と上記内向鍔部11aの軸方向内端面との接触による、異音やフレッチングの発生を防止できる。
その他の部分の構成及び作用に就いては、上述した実施の形態の第2例と同様であるから、重複する説明は省略する。
その他の部分の構成及び作用に就いては、上述した実施の形態の第2例と同様であるから、重複する説明は省略する。
1、1a、1b、1c、1d 車輪用回転支持装置
2 ナックル
3 回転側支持フランジ
4 ハブ
5 ハブ本体
6 内輪
7 内輪軌道
8 外輪軌道
9 外輪
10 玉
11、11a 内向鍔部
12 係合凹溝
13 止め輪
14 円筒状保持部
15 結合フランジ
16 転がり軸受用ハウジング
17 かしめ部
18 皿ばね
19、19a 支持孔
20、20a 保持段部
2 ナックル
3 回転側支持フランジ
4 ハブ
5 ハブ本体
6 内輪
7 内輪軌道
8 外輪軌道
9 外輪
10 玉
11、11a 内向鍔部
12 係合凹溝
13 止め輪
14 円筒状保持部
15 結合フランジ
16 転がり軸受用ハウジング
17 かしめ部
18 皿ばね
19、19a 支持孔
20、20a 保持段部
Claims (4)
- 懸架装置を構成するナックルと、外周面が単一円筒面状で内周面に複列の外輪軌道を設けた転がり軸受の外輪を内嵌保持する為の円筒状保持部の外周面に上記ナックルに結合固定する為の結合フランジを設けた転がり軸受用ハウジングと、外周面の軸方向外端部に車輪を支持固定する為の回転側支持フランジを、同じく軸方向に関する中間部乃至内端部に複列の内輪軌道をそれぞれ備え、使用時に上記車輪と共に回転するハブと、これら両内輪軌道と上記両外輪軌道との間に、両列毎にそれぞれ複数個ずつ設けられた転動体とを備えた車輪用回転支持装置に於いて、上記転がり軸受用ハウジングの円筒状保持部の内周面の軸方向外端部にこの内周面の軸方向残部よりも径方向内方に突出した内向鍔部を設け、上記外輪を、この内向鍔部と上記ナックルの軸方向外側面との間で挟持して成る車輪用回転支持装置。
- 転がり軸受用ハウジングが外輪を、軸方向内側の外輪軌道の溝底位置よりも軸方向内側位置まで内嵌保持している、請求項1に記載した車輪用回転支持装置。
- 外輪の軸方向内端面とナックルの軸方向外側面との間に弾性部材を挟持している、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した車輪用回転支持装置。
- 弾性部材が皿ばねである、請求項3に記載した車輪用回転支持装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007034349A JP2008196644A (ja) | 2007-02-15 | 2007-02-15 | 車輪用回転支持装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007034349A JP2008196644A (ja) | 2007-02-15 | 2007-02-15 | 車輪用回転支持装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008196644A true JP2008196644A (ja) | 2008-08-28 |
Family
ID=39755774
Family Applications (1)
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JP2007034349A Pending JP2008196644A (ja) | 2007-02-15 | 2007-02-15 | 車輪用回転支持装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008196644A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010167875A (ja) * | 2009-01-22 | 2010-08-05 | Jtekt Corp | 転がり軸受装置 |
JP2021062690A (ja) * | 2019-10-11 | 2021-04-22 | ヤマハ発動機株式会社 | 駆動ユニットおよび電動補助自転車 |
-
2007
- 2007-02-15 JP JP2007034349A patent/JP2008196644A/ja active Pending
Cited By (3)
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JP2021062690A (ja) * | 2019-10-11 | 2021-04-22 | ヤマハ発動機株式会社 | 駆動ユニットおよび電動補助自転車 |
US12017729B2 (en) | 2019-10-11 | 2024-06-25 | Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha | Drive unit and electrically assisted bicycle |
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