JP2008196121A - 建物の柱脚用グラウト型枠とその設置方法 - Google Patents

建物の柱脚用グラウト型枠とその設置方法 Download PDF

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Abstract

【課題】建物の柱脚用グラウト型枠とその設置方法を提供するものであって、特に型枠材自体に一定の強度を持たせて、長手方向となる水平方向に対する撓み変形を少なくすることができると共に、型枠を基礎コンクリート上へ容易に固定できるようにした。
【解決手段】表裏両面板の間を多数の隔壁片で接合した中空のプラスチック製ダンボール材を帯状型枠材9として用い、定尺に裁断した1又は複数枚の帯状型枠材9の端部を連結して所望の型枠形状で型枠本体10を形成すると共に、型枠本体10の外側適所には帯状型枠材9が重合する型枠取付部11を複数個所に設け、型枠本体10と型枠取付部11は隔壁片で仕切られた各中空部が水平方向に延在する態様で、グラウト型枠6を基礎コンクリート1上に設置できるようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、建物の基礎と鉄骨製柱を接合する柱脚部に対し、グラウト材を充填して連結支持層を形成する際に用いる建物の柱脚用グラウト型枠とその設置方法に関する。
建物の柱脚部は、下記の特許文献などにも開示されているように、鉄骨製柱を介して建物の応力を基礎に伝達するために、基礎コンクリート中に埋設したアンカーボルトの上端側を地上に突出させ、鉄骨製柱の下端側に設けたベースプレートと連結している。また、現場打ちした基礎コンクリートの上面は凹凸のある不陸面になり易いので、ベースプレートの下面との間に予め一定の隙間を設け、この隙間の外周囲にグラウト型枠を設置してグラウト材を充填することにより、ベースプレートの下面を水平レベルに保持し且つ基礎コンクリートの上面と密着させる連結支持層を設けている。
特開2000−17729号公報 特開2000−291018号公報 特開2001−311219号公報 登録実用新案第3029343号公報 特許第2652111号公報
従来のグラウト型枠とその設置方法は、例えば特許文献1の場合には、型枠材として方形枠状に形成した帯状紙材を用い、型枠材には各辺の下側から外向きのフランジ部を折り曲げ加工すると共に、各辺の内側には間隔設定用凸部を設けている。この特許文献1のグラウト型枠とその設置方法では、型枠材に帯状紙材を用いているので、型枠材が安価で且つ施工コストを低減できると共に、間隔設定用凸部によって、鉄骨製柱のベースプレートと型枠の間隔を一定に保持できること、などの効果が期待できる。
特許文献2の場合には、型枠材として平板状の桟木などを用い、断面をU字状に形成した連結部材を四隅に配置し、隣接する連結部材の間に各桟木の両端部を嵌合して方形枠状に連結すると共に、ベースプレートを連結するアンカーボルトの頭部と型枠の角部をバネ部材で係止保持している。この特許文献2のグラウト型枠とその設置方法では、連結部材で平板状の桟木を容易に連結できると共に、グラウト材を注入した際における型枠の撓みを保持バネ部材で防止できること、などの効果が期待できる。
特許文献3の場合には、型枠材として帯状鋼板などを用い、枠外方に膨出した膨出形状部を一部分に設けて方形枠状に形成すると共に、当該グラウト型枠は予め工場などで鉄骨製柱のベースプレートに仮止めしている。この特許文献3のグラウト型枠とその設置方法では、施工現場での組立作業が不要であると共に、ベースプレートに対して型枠を位置ずれしないで設置できること、などの効果が期待できる。
特許文献4の場合には、型枠材として両端側に切欠状の嵌合溝を設けた帯状板材を用い、隣接する各帯状板材は嵌合溝を介して相互に連結して井桁状に形成している。特許文献4のグラウト型枠とその設置方法では、型枠材が安価で且つ組立が容易であること、などの効果が期待できる。
特許文献5の場合には、鉄筋又は鉄筋・鉄骨コンクリート造の角柱を構築する型枠で、特許文献1乃至4などとは目的を異にするが、L字状又はコ字状に折り曲げ加工した型枠材は、透光性で中空のプラスチック製ダンボール材を用いて断面矩形に形成すると共に、型枠材の外周囲を桶のたが状に配置したコラムクランプで拘束している。この特許文献5のグラウト型枠とその設置方法では、中空なので軽量であること、表面が平滑で剥離性が良いこと、繰り返し再使用が可能であること、透光性でグラウト材の充填量を外側から目視できること、などの効果が期待できる。
これら特許文献を含む従来のグラウト型枠とその設置方法では、例えば特許文献1の場合には、型枠材に帯状紙材を用いているので、無収縮モルタルなどのグラウト材を充填した際に、グラウト材中の水分を吸収して脆弱化し、内圧で外側へ撓み変形して型枠としての機能が損なわれる恐れがあること、型枠の内面にグラウト材が付着して脱型を困難にすること、何度も繰り返して再使用ができないこと、特にフランジ部があると型枠を設置する基礎コンクリートの上面に不陸(凹凸)や立ち上がり鉄筋などがあると設置できないこと、などの課題があった。
また特許文献2の場合には、連結部材の形状が複雑で加工が容易ではなく且つ高価であること、型枠材として平板状の桟木などを用いているので、型枠を設置する基礎コンクリートの上面に不陸(凹凸)や立ち上がり鉄筋などがあると設置ができないこと、グラウト材の充填量を外部から確認することが困難であること、などの課題があった。
また特許文献3の場合には、帯状鋼板を用いて膨出形状部を含む方形枠状に一体形成しているので、型枠の加工が容易ではなく且つ高価であること、型枠を設置する基礎コンクリートの上面に大きな不陸(凹凸)あったり、立ち上がり鉄筋などがあると弾性シール部材では対応ができないこと、ベースプレートの外径が異なる他の連結支持層には転用ができないこと、などの課題があった。
また特許文献4の場合には、型枠材として帯状板材を用いているので、型枠を設置する基礎コンクリートの上面に不陸(凹凸)や立ち上がり鉄筋などがあると設置することができないこと、グラウト材の充填量を外部から確認することが困難であること、ベースプレートの外径が異なる他の連結支持層には転用ができないこと、などの課題があった。
さらに特許文献5の場合には、特に隔壁片(補強条)で仕切られた各中空部が垂直方向に延在する態様で並設して配置させ、プラスチック製ダンボール材を型枠材として用いているので、垂直方向である長手方向に対しては撓み変形を少なくすることができるが、水平方向である短手方向に対しては撓み変形が生じ易く、そのために型枠材の外周囲に桶のたが状をした多数のコラムクランプを配置して拘束する必要があり、本件が実施対象とするグラウト型枠には採用することができなかった。
すなわち、本件が実施対象とするグラウト型枠の場合には、アンカーボルトに連結して基礎コンクリート上へ既に立設した鉄骨製柱のベースプレートを囲繞する態様で、基礎コンクリートの上面との間の隙間にグラウト材を充填するために、帯状の型枠材を横長にして使用する必要があるから、たが状をしたコラムクランプを装着することができず、特に長手方向となる水平方向に対する撓み変形を少なくするためには、型枠材自体に一定の強度を持たせるか、型枠を基礎コンクリート上に固定することが要求される。
本発明では、これら従来技術の課題を解決しうる建物の柱脚用グラウト型枠とその設置方法を提供するものであって、特許文献1乃至4などの従来技術に比べると、型枠の構造が簡単で安価に提供でき且つ施工も容易であること、繰り返し再使用することが可能であること、型枠を設置する基礎コンクリートの上面に不陸(凹凸)や立ち上がり鉄筋などがあっても対応できること、などを目的とするものである。
また、ベースプレートの外径や形状が異なる他の連結支持層にも転用したり、厚みが異なる連結支持層に適合させたり、グラウト材の充填量を外部から確認できるようにしたり、グラウト材を注入する前に行われるレベルモルタルの充填用型枠にも転用できるようにすることなど、各種の形態を採ることも可能な建物の柱脚用グラウト型枠とその設置方法を提供する。
さらに、特許文献5などの従来技術に比べると、型枠材自体に一定の強度を持たせて、長手方向となる水平方向に対する撓み変形を少なくすることができると共に、型枠を基礎コンクリート上へ容易に固定できるようにすること、などを目的とするものである。
本発明による建物の柱脚用グラウト型枠は、表裏両面板の間を多数の隔壁片で接合した中空のプラスチック製ダンボール材を帯状型枠材として用い、定尺に裁断した1又は複数枚の帯状型枠材の端部を連結して所望の型枠形状で型枠本体を形成すると共に、型枠本体の外側適所には帯状型枠材が重合する型枠取付部を複数個所に設け、型枠本体と型枠取付部は隔壁片で仕切られた各中空部が水平方向に延在する態様で基礎コンクリート上に設置できるようにした。(請求項1)
請求項1による建物の柱脚用グラウト型枠において、前記型枠本体は方形枠状を含む多角形状又円形状に形成すると共に、型枠取付部は型枠本体の外側に宛がった状態で連結した重合片で形成するか、型枠本体の端部をオーバーラップさせた状態で連結した連結部分の外側片で形成するか、型枠本体の端部を跨った状態で連結した連結部分の架設片で形成するか、の何れかの形態を採ることができる。(請求項2)
本発明による建物の柱脚用グラウト型枠の設置方法は、請求項1又は2に記載した建物の柱脚用グラウト型枠に対する設置方法であって、前記型枠本体を基礎コンクリート上に配置し、前記型枠取付部の外側から隔壁片を斜めに貫通するコンクリート釘などの係止部材を打ち込み、基礎コンクリート上に固定した。(請求項3)
請求項3による建物の柱脚用グラウト型枠において、前記型枠取付部には重合片、外側片、架設片を水平に貫通する係止部材の導入孔を設けた形態を採ることができる。(請求項4)
請求項1の発明による建物の柱脚用グラウト型枠では、型枠を形成する帯状型枠材として、ポリプロピレンなどの中空のプラスチック製ダンボール材を用いるているので、切断や折り曲げ及び接合などの加工が容易で所望の型枠形状にすることが可能であると共に、軽量で保管や運搬及び設置する際における取り扱いが容易である。
また、切断して直角状におけ曲げ加工した角隅部も引張強度が大きくて強靱に連結されるので、打設したグラウト材による側圧に対して十分に耐えることが可能であること、耐水性で打設したグラウト材によって脆弱化することがなく且つ、打設したグラウト材との分離が容易で良好な仕上げ面が得られるので、繰り返して再使用することが可能である。
特に、型枠本体と型枠取付部を形成する帯状型枠材を隔壁片で仕切られた各中空部が水平方向に延在する態様で基礎コンクリート上に設置し、長手方向に対する撓み変形を少なくすると共に、型枠本体の外側に型枠取付部を重合させることによって、グラウト型枠を補強することができる。
請求項2の発明による建物の柱脚用グラウト型枠では、所望に応じて型枠本体は方形枠状を含む多角形状又円形状に型枠本体を形成することが可能であると共に、型枠本体の外側に対して重合状態で取り付ける型枠取付部は、型枠本体の連結部分に制約を受けないで取付け位置を任意に設定できる重合片で形成したり、短尺の帯状型枠材による重合片を省略して連結部分の外側片で兼用したり、連結部分の架設片で形成するなど、各種の形態を採ることができる。
請求項3の本発明による建物の柱脚用グラウト型枠の設置方法では、基礎コンクリート上に設置した請求項1又は2のグラウト型枠に対し、型枠取付部の外側から隔壁片を斜めに貫通するコンクリート釘などの係止部材を打ち込み、容易且つ強固に型枠を基礎コンクリートと固定することができると共に、係止部材を引き抜くと取り外すことができる。
また、基礎コンクリート上に設置したグラウト型枠は、打設したグラウト材の側圧に対する強度が仮に不足する場合には、型枠本体を形成する帯状型枠材の中空部に鉄筋や針金などによる補強用線状材を挿通したり、型枠本体を形成する帯状型枠材とアンカーボルトとの間を結束線で繋着することによって、補強することができる。
また、基礎コンクリート上に突設した立ち上がり鉄筋がグラウト型枠と干渉する際に、立ち上がり鉄筋を避けるように型枠本体の帯状型枠材を湾曲させたり、帯状型枠材の下端側を裁断して切欠部を設けて避けた状態にして設置することが可能である。
さらに、鉄骨製柱のベースプレートと基礎コンクリート上面との間の隙間が大きい場合に、帯状型枠材の上方へもう一枚を継ぎ足して高さ調整を行うことができること、帯状型枠材がコンクリートの性状に悪影響を及ぼすことがないので、型枠を取り外さないで土間コンクリート中に埋め殺しすることもできる。
請求項4の本発明による建物の柱脚用グラウト型枠の設置方法では、型枠取付部には水平に貫通する導入孔を設け、この導入孔を介して型枠取付部にコンクリート釘などによる係止部材を打ち込むようにすると、熟練者でなくても現場での打ち込み作業を容易且つ正確に行うことができる。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、図1は実施対象とする建物の柱脚部を斜視図で示し、図2は同柱脚部の要部を拡大して断面図で示し、図3はグラウト型枠の基材となる帯状型枠材の要部を拡大して斜視図で示すものであり、建物の基礎となる基礎コンクリート1に埋設して上端側を地上に突出させたアンカーボルト2と、地上に立設する鉄骨製柱3の下端側に設けたフランジ状のベースプレート4を、アンカーボルト2に螺合する固定ナット5で連結している。
この柱脚部における鉄骨製柱3は、基礎コンクリート1の上面に凹凸がある不陸の場合は垂直に立設することができないので、基礎コンクリート1の上面とベースプレート4の下面との間に予め一定の隙間を設け、この隙間の外周囲にグラウト型枠6を設置してグラウト材の充填して連結支持層7を形成し、基礎コンクリート1の上面を均してベースプレート4の下面を水平レベルに保持して鉄骨製柱3を垂直に立設すると共に、ベースプレート4を基礎コンクリート1の上面と密着させた状態で鉄骨製柱3と連結している。
柱脚部を施工する手順の概要は、基礎コンクリート1の上面に対して均し用のレベルモルタル8を盛り上げ、レベルモルタル8の上面を水平面にして鉄骨製柱3のベースプレート4を載置し、アンカーボルト2の上端側に固定ナット5で連結した後に、ベースプレート4の外周囲を囲繞する態様でグラウト型枠6を設置し、グラウト型枠6内に無収縮モルタルなどによるグラウト材を充填して連結支持層7を形成する。
なお、グラウト材が固結した後にグラウト型枠6を撤去し、柱脚部を含む広い領域に土間コンクリート用の型枠を設置すると共に、この型枠内には予め基礎コンクリート1中に埋設して基礎コンクリート1上から上端側を突設した立ち上がり鉄筋(図示を省略)と連結する配筋を行い、少なくとも鉄骨製柱3のベースプレート4が埋設される高さまで土間コンクリートを打設する。
グラウト型枠6は、図1で示すようにベースプレート4の外周囲に対して一定の間隔dを保持した状態とし、この間隔dを介してグラウト型枠6内に無収縮モルタルなどによるグラウト材を充填する形態を採ったり、図2で示すようにベースプレート4の外周囲に宛がった状態とし、ベースプレート4に穿設した注入口(図示を省略)からグラウト型枠6内に無収縮モルタルなどによるグラウト材を充填する形態を採ることができる。
特に、本発明によるグラウト型枠6では、中空のプラスチック製ダンボール材を帯状型枠材9として用いているが、この帯状型枠材9は、例えばポリプロピレンやポリカーボネート或いはポリエチレンなどのように、可撓性で引張り強度が強く且つ耐水性などに優れたプラスチックシートで表裏の両面板9a,9bを形成すると共に、両面板の間を多数の各隔壁片9cで接合し、切り口の断面がストロー状の空洞状態に仕切られた各中空部9dが形成されている。
グラウト型枠6は、定尺に裁断した1又は複数枚の帯状型枠材9の端部を連結して所望の型枠形状で型枠本体10を形成すると共に、型枠本体10の外側適所には帯状型枠材9が重合する型枠取付部11を複数個所に設け、型枠本体10と型枠取付部11は隔壁片9c及び中空部9dが長手方向である水平方向に延在する態様で基礎コンクリート1上に設置するようにした。
帯状型枠材9は、必要に応じた折り曲げ加工を施すと共に、端部をステープルや接着剤などの接合手段で連結して所望の型枠形状による型枠本体10を形成するが、この型枠形状は図1の実施形態のように方形枠状に形成したり、三角形や六角形或いは八角形などの多角形状にしたり、真円形や楕円形などの円形状にするなど、必要に応じて後述する実施例を含む適宜な型枠形状にすることが可能である。
特に、中空のプラスチック製ダンボール材を用いた帯状型枠材9は、カッターなどの切断工具で容易に切断することが可能であり、表裏両面板9a,9bの何れか一方を切断すると、直角状に折り曲げて容易に方形枠状に加工ができると共に、残りの他方で形成された折り曲げ部分は引張強度が強い強靱な連結状態を保持し、さらに可撓性によって真円形や楕円形などの円形状に容易に折り曲げ加工することが可能である。
また、中空のプラスチック製ダンボール材を用いた帯状型枠材9は、軽量であることに加えて、積み重ね状態にすることができるので、保管や運搬する際の取り扱いが容易であること、図示の実施形態のように帯状型枠材9の小片で型枠取付部11を形成する場合には、型枠本体10を形成した帯状型枠材9の端材を用いて作ることができるので、極めて経済的である。
グラウト型枠6は、全体を一連にした状態では鉄骨製柱3のベースプレート4と基礎コンクリート1の上面との間の隙間に挿入できないので、連結部分の少なくとも1個所は分離させた状態にし、鉄骨製柱3のベースプレート4を囲繞する態様で基礎コンクリート1の上面に載置させた後に、この分離させた部分をステープルや接着剤などの接合手段で連結するようにする。
また、基礎コンクリート1に載置したグラウト型枠6は、基礎コンクリート1の上面に不陸(凹凸)があると、型枠本体10の底面との間に隙間が生じ、型枠本体10内に充填したグラウト材が漏れる恐れがあるので、型枠本体10の外側から下端縁に沿って例えば早強モルタルなどのコーキング材を充填したり、粘着性のシール部材を貼付するなど、グラウト材の漏れを防止する手段を施す。
また、型枠本体10に充填したグラウト材による側圧に対抗するために、型枠取付部11を用いてコンクリート釘12などの係止部材で基礎コンクリート1上に固定するが、係止部材(コンクリート釘12)は型枠取付部11の外側から隔壁片9cを斜めに貫通する態様で基礎コンクリート1に打ち込むようにしており、型枠取付部11を設ける位置は型枠本体10の構造などに適合させて設定する。
コンクリート釘12は、格別に下穴などを設けなくても裏面板9bを突き破って打ち込むことが可能であるが、現場での打ち込み作業を容易且つ正確にするために、予め位置決めした取付け位置に導入孔13を穿設しておくことが望ましく、この導入孔13は型枠取付部11の帯状型枠材9を水平に貫通する程度で十分に機能を発揮することができ、打ち込まれたコンクリート釘12は隔壁片9cとの摩擦抵抗によって抜け止めされる。
基礎コンクリート1上に設置したグラウト型枠6は、中空のプラスチック製ダンボール材による帯状型枠材9を、隔壁片9c及び中空部9dが長手方向である水平方向に延在する態様で基礎コンクリート1上に設置することによって撓みにくくなり、しかも重合した型枠取付部11が補強板としても機能するので、型枠本体10を側圧に対して補強することができる。
また、型枠本体10を側圧に対してさらに補強する必要がある場合には、中空部9dに対して鉄筋や針金などによる補強用線状材を挿通させて型枠本体を補強することも可能であること、針金などの結束線の一端側を型枠本体10に突き刺して繋着すると共に、結束線の他端側をアンカーボルト2に絡ませて繋着することができる。
また、基礎コンクリート1上には多数の立ち上がり鉄筋が突設されており、この立ち上がり鉄筋がグラウト型枠6を設置する際の妨げとなる場合があるので、立ち上がり鉄筋との干渉を避けるための手段として、型枠本体10の帯状型枠材9を湾曲させたり、帯状型枠材9の下端側を裁断して切欠部を設けたりすることができること、鉄骨製柱3のベースプレート4と基礎コンクリート1の上面との間の隙間が大きい場合には、帯状型枠材9の上方へステープルなどの連結でもう一枚を継ぎ足して高さ調整を行うことができる。
このようにして、基礎コンクリート1上に設置したグラウト型枠6に無収縮モルタルなどによるグラウト材を充填して連結支持層7を形成するが、帯状型枠材9の耐水性で型枠本体10が吸水によって脆弱化することが無く、グラウト材が固結した後にグラウト型枠6を撤去する際には、係止部材であるコンクリート釘12を引き抜くと、連結支持層7との間を容易に分離してグラウト型枠6を取り外すことができる。
また、グラウト型枠6を透光性にしてグラウト材の充填量を目視し、適量のグラウト材を充填すること可能であること、離型面が容易に分離してグラウト型枠6の取り外しが容易であること、離型して形成した連結支持層7の外周囲を良好な仕上げ面にすることができると共に、取り外したグラウト型枠6を繰り返し再使用することが可能である。
但し、土間コンクリートを打設する際にグラウト型枠6を取り外さないで、土間コンクリート中に埋め殺しする形態を採ることも可能であり、その際に中空のプラスチック製ダンボール材を用いた帯状型枠材9によるグラウト型枠6は、コンクリートの性状を劣化させることがない。
さらに、グラウト型枠6は外径寸法を拡縮可能に調整できるようにすると、外径寸法が異なる場合に共用化して品種を少なくし、在庫管理を容易にし且つコストダウンを図ることが可能であると共に、レベルモルタル用の型枠にも流用できる。
以上のグラウト型枠6は、中空のプラスチック製ダンボール材を用いた帯状型枠材9によって型枠本体10及び型枠取付部11を各種の形態にすることが可能であり、その代表的なグラウト型枠6の形態を実施例1〜5として、図4〜11に基づいて説明する。
図4〜7は実施例1によるグラウト型枠6Aであって、図4はグラウト型枠6Aの平面図を示し、図5は同じく正面図を示し、図6は図4のX部分を拡大した平面図(a)と正面図(b)を示し、図7は図4のY部分を拡大した平面図(a)と正面図(b)及び断面図(c)を示す。
グラウト型枠6Aは、長尺の帯状型枠材2を2枚用いて方形枠状による型枠本体10Aを形成したものであって、長尺の帯状型枠材2のほぼ中間部に切込みを設けてL字状に内側へ折り曲げ加工すると共に、一方側端部を外側へ折り曲げ加工して直状に形成した他方側端部を角隅部で重合させ、この重合部分をステープル14や接着材などの接合手段で連結し、方形枠状の型枠本体10Aを形成している。
また、型枠本体10Aの外側には短尺の帯状型枠材2を用いた型枠取付部11Aが4個所に設けられており、各型枠取付部11Aは方形枠状を形成する4辺のほぼ中間部に短尺の帯状型枠材2を重合させ、この重合片を型枠本体10Aに対してステープル14や接着材などの接合手段で一体に連結し、各重合片には水平に貫通する導入孔13を設け、この導入孔13から係止部材であるコンクリート釘12を基礎コンクリート1に打ち込み、グラウト型枠6Aを固定している。
このグラウト型枠6Aの場合には、特に型枠本体10Aの連結部分とは別の位置に型枠取付部11Aを設けているので、連結部分の制約を受けることのない任意の位置に型枠取付部11Aを設け、型枠本体10Aを基礎コンクリート1に固定することができること、型枠取付部11Aは型枠本体10Aの端材を利用して作ることができるので、極めて経済的であること、などの利点がある。
なお、この実施例の変形例として、長尺の帯状型枠材2を1枚用いて方形枠状による型枠本体を形成することも可能であり、その場合には帯状型枠材2の中間部の3個所に切込みを設けてL字状に内側へ折り曲げ加工すると共に、一方端部を外側へ折り曲げ加工して直状に形成した他方側端部を角隅部の1個所で重合させ、この重合部分をステープル14や接着材などの接合手段で連結する。
図8は実施例2によるグラウト型枠6Bの平面図を示し、グラウト型枠6Bは長尺の帯状型枠材2を4枚用いて方形枠状による型枠本体10Bを形成したものであって、長尺の帯状型枠材2のほぼ中間部に切込みを設けてL字状に内側へ折り曲げ加工すると共に、一方側端部を隣接する帯状型枠材2の他方側端部と4辺のほぼ中央で重合させ、この重合部分をステープルや接着材などの接合手段で連結し、方形枠状の型枠本体10Bを形成している。
また、型枠取付部11Bは4辺のほぼ中央で重合させた外側片によって形成しており、この外側片を型枠本体10Bに対してステープルや接着材などの接合手段で一体に連結し、各外側片には水平に貫通する導入孔を設け、この導入孔から係止部材であるコンクリート釘12を基礎コンクリート1に打ち込み、グラウト型枠6Bを固定している。
このグラウト型枠6Bの場合には、特に型枠本体10Bの連結部分によって型枠取付部11Bを形成しているので、実施例1のような短尺の帯状型枠材2を用いないで型枠が形成できること、実施例1の場合より短尺な帯状型枠材2によって型枠が形成できるので、特に施工現場で型枠の組立作業を行う場合には、資材の保管や運搬などの際における取り扱いが容易であること、なとの利点がある。
図9は実施例3によるグラウト型枠6Cの平面図を示し、グラウト型枠6Cは第2実施例におけるグラウト型枠6Bの場合と同様に、長尺の帯状型枠材2を4枚用いて方形枠状による型枠本体10Cを形成しているが、グラウト型枠6Bの場合と相違する点は、隣接する帯状型枠材2の端部を4辺の中央より偏倚した位置で大きくオーバーラップさせた状態で重合させ、この重合部分をステープルや接着材などの接合手段で連結して方形枠状に形成している。
また、型枠本体10Cの外側には実施例1におけるグラウト型枠6Aの場合と同様に、短尺の帯状型枠材2を用いた型枠取付部11Cが4個所に設けられているが、グラウト型枠6Aの場合と相違する点は、重合させた際に内側に位置する型枠本体10Cの帯状型枠材2に型枠取付部11Cが取り付けられている。
このグラウト型枠6Cの場合には、隣接する帯状型枠材2の端部がオーバーラップする範囲内で型枠本体10Cを拡縮させ、所望のサイズに調整した状態で重合部分をステープルや接着材などの接合手段で連結して方形枠状に形成することが可能であり、サイズの異なる型枠を個別に作らず共用化できる利点がある。
なお、この実施例の変形例として、重合させた際に外側に位置する型枠本体10Cの帯状型枠材2に対してスライド操作用の横長孔を設けると共に、この横長孔を介して雌雄一対で着脱可能なファスナーで重合させた内側の帯状型枠材2との間を連結する形態を採ると、隣接する帯状型枠材2の端部がオーバーラップする範囲内でスライドさせ、型枠本体10Cを拡縮させることができる。
図10は実施例4によるグラウト型枠6Dの平面図を示し、グラウト型枠6Dは長尺の帯状型枠材2を3枚用いて円形状による型枠本体10Dを形成したものであって、帯状型枠材2の両端部を外側に折り曲げ加工して連結片を形成すると共に、隣接する各帯状型枠材2の連結片を突き合わせ状態にしてステープルや接着材などの接合手段で連結すると、円弧状に湾曲して円形状の型枠本体10Dを形成する。
また、型枠取付部11Dは型枠本体10Dを形成する各帯状型枠材2のほぼ中央に重合させた短尺の帯状型枠材2によって形成しており、この重合片を型枠本体10Dに対してステープルや接着材などの接合手段で一体に連結すると共に、各重合片には水平に貫通する導入孔を設け、この導入孔から係止部材であるコンクリート釘12を基礎コンクリート1に打ち込み、グラウト型枠6Dを固定している。
このグラウト型枠6Dの場合には、型枠本体10Dを円形状に形成することによって、方形枠状に形成したグラウト型枠に比べて、型枠内にグラウト材を充填した際における側圧に対し、型枠本体10Dの撓み変形を少なくすることができる。
図11は実施例5によるグラウト型枠6Eの平面図を示し、グラウト型枠6Eは長尺の帯状型枠材2を2枚用いて、第4実施例におけるグラウト型枠6Dの場合と同様に円形状による型枠本体10Dを形成したものであって、隣接する各帯状型枠材2の端部を重合状態すると共に、この重合部分をステープルや接着材などの接合手段で連結すると、円弧状に湾曲して円形状の型枠本体10Eを形成する。
また、型枠取付部11Eは型枠本体10Eを形成する各帯状型枠材2に重合させた短尺の帯状型枠材2によって形成しており、この重合片を型枠本体10Eに対してステープルや接着材などの接合手段で一体に連結すると共に、各重合片には水平に貫通する導入孔を設け、この導入孔から係止部材であるコンクリート釘12を基礎コンクリート1に打ち込み、グラウト型枠6Eを固定している。
このグラウト型枠6Eの場合には、実施例3の場合と同様に各帯状型枠材2の端部を大きくオーバーラップさせて型枠サイズを拡縮することが可能であり、また実施例3の変形例の場合と同様に外側に位置する帯状型枠材2に対してスライド操作用の横長孔を設けると共に、雌雄一対で着脱可能なファスナーで内外の帯状型枠材2を連結する形態を採ることも可能である。
従って、この実施例によるグラウト型枠6Eは、実施例3の場合と同様にサイズの異なる型枠を個別に作らず共用化することができると共に、先に述べたレベルモルタルを打設する際の型枠として利用することも可能であること、などの利点がある。
本発明が実施対象とする建物の柱脚部の斜視図である。 図1における柱脚部の要部を拡大した断面図である。 図1の柱脚部で使用するグラウト型枠の基材となる帯状型枠材の要部を拡大した斜視図である。 実施例1のグラウト型枠の平面図である。 実施例1のグラウト型枠の正面図である。 図4のX部分を拡大した図面であって、(a)は平面図で示し、(b)は正面図で示す。 図4のY部分を拡大した図面であって、(a)は平面図で示し、(b)は正面図で示し、(c)は断面図で示す。 実施例2のグラウト型枠の平面図である。 実施例3のグラウト型枠の平面図であって、(a)は縮径状態を示し、(b)は拡径状態を示す。 実施例4のグラウト型枠の平面図である。 実施例5のグラウト型枠の平面図である。
符号の説明
1 基礎コンクリート
2 アンカーボルト
3 鉄骨製柱
4 ベースプレート
5 固定ナット
6,6A,6B,6C,6D,6E グラウト型枠
7 連結支持層
8 レベルモルタル
9 帯状型枠材
10,10A,10B,10C,10D,10E 型枠本体
11,11A,11B,11C,11D,11E 型枠取付部
12 コンクリート釘(係止部材)
13 導入孔
14 ステープル(連結部材)

Claims (4)

  1. 表裏両面板の間を多数の隔壁片で接合した中空のプラスチック製ダンボール材を帯状型枠材として用い、定尺に裁断した1又は複数枚の帯状型枠材の端部を連結して所望の型枠形状で型枠本体を形成すると共に、型枠本体の外側適所には帯状型枠材が重合する型枠取付部を複数個所に設け、前記型枠本体と型枠取付部は隔壁片で仕切られた各中空部が水平方向に延在する態様で基礎コンクリート上に設置できるようにしたこと
    を特徴とする建物の柱脚用グラウト型枠。
  2. 前記型枠本体は方形枠状を含む多角形状又円形状に形成すると共に、型枠取付部は型枠本体の外側に宛がった状態で連結した重合片で形成するか、型枠本体の端部をオーバーラップさせた状態で連結した連結部分の外側片で形成するか、型枠本体の端部を跨った状態で連結した連結部分の架設片で形成するかの何れかである請求項1に記載した建物の柱脚用グラウト型枠。
  3. 請求項1又は2に記載した建物の柱脚用グラウト型枠に対する設置方法であって、前記型枠本体を基礎コンクリート上に配置し、前記型枠取付部の外側から隔壁片を斜めに貫通するコンクリート釘などの係止部材を打ち込み、基礎コンクリート上に固定したことを特徴とする建物の柱脚用グラウト型枠に対する設置方法。
  4. 前記型枠取付部には重合片、外側片、架設片を水平に貫通する係止部材の導入孔を設けた請求項3に記載した建物の柱脚用グラウト型枠に対する設置方法。
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