JP2008195593A - 硫化亜鉛の焼結体および硫化亜鉛の焼結体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面の色調を黒色化し、遠赤外光の高い透過率および可視光から近赤外光の高い遮光性を維持し、はく離を防止する、硫化亜鉛の焼結体および硫化亜鉛の焼結体の製造方法を提供する。
【解決手段】硫化亜鉛の焼結体10は、少なくとも1の表面10aに炭素元素を含有している。硫化亜鉛の焼結体10は、表面10aからの厚みが0.1μm以上1000μm以下である表面層12を有し、表面層12は、0.001wt%以上10.0wt%以下の炭素元素を含有していることを特徴としている。
【選択図】図1
【解決手段】硫化亜鉛の焼結体10は、少なくとも1の表面10aに炭素元素を含有している。硫化亜鉛の焼結体10は、表面10aからの厚みが0.1μm以上1000μm以下である表面層12を有し、表面層12は、0.001wt%以上10.0wt%以下の炭素元素を含有していることを特徴としている。
【選択図】図1
Description
本発明は、硫化亜鉛の焼結体および硫化亜鉛の焼結体の製造方法に関する。
ナイトビジョンおよび車室内センサ等に用いられる遠赤外線レンズや、赤外線センサ窓材等に用いられるレンズとして、ZnSレンズが用いられている。このようなZnSレンズとして、たとえば特開2005−275434号公報(特許文献1)に記載の赤外線透過構造体や、特開2002−234774号公報(特許文献2)に記載のセラミックス光学部品が挙げられる。
上記特許文献1には、ZnS基板と、該ZnS基板上に形成した弾性率が100GPa以上の材料からなる衝撃緩和層と、該衝撃緩和層上に形成したダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素からなる最外層とを備える赤外線透過構造体が開示されている。該最外層は、プラズマCVD法により形成することが開示されている。なお、該赤外線透過構造体は、ZnS基板と衝撃緩和層との間にY2O3またはMgF2からなる中間層をさらに備えていても良いことも開示されている。また、衝撃緩和層を構成する弾性率が100GPa以上の材料は、Ge、Si、GaP、BP、Y2O3、Al2O3、TiO2、YF3、LaF3、またはCeF3であることが好ましいことも開示されている。
上記特許文献2には、ZnS、ZnSe、あるいはGeなどのセラミックスに可視光から近赤外光の光を遮断する添加剤を1種類もしくは2種類以上含有させれば、可視光から近赤外光までの光を部分的あるいは全体的に遮断し、遠赤外光の光を良好に透過させる光学部品材料が得られることが開示されている。上記特許文献2に開示のセラミックス光学部品は、ノイズとなる可視光から近赤外光の光をカットできるので、高機能な赤外光利用装置に用いられる窓材やレンズ材等の光学部品として、その目的や用途に最適な材料を提供することができる。
特開2005−275434号公報
特開2002−234774号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の赤外線透過構造体は、表面の特性は向上し表面は黒色を呈するものの、ダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素からなる最外層を備えているので、最外層を形成するためにコストがかかるという問題がある。また、熱膨張係数の差や化学的な結合が充分でない(ダイヤモンドのZnSに対する密着力は非常に低い)ので、最外層がはく離しやすいという問題もある。さらに、中間層を形成すると、コーティング費用がかかるという問題がある。
また、上記特許文献2に開示のセラミックス光学部品は、添加剤を加えることにより部分的に光を遮断する効果を有しているものの、焼結体全体に添加剤を分散させているため、その波長の吸収が焼結体の厚みに比例し、厚みが増加するに従い遠赤外線波長域(8〜12μm)の透過特性が極端に低下するという問題がある。また、添加剤の粒子を均一に分散することが困難であり、セラミックス光学部品は色ムラ等の色調に問題がある。
本発明の目的は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、表面の色調を黒色化し、遠赤外光の高い透過率および可視光から近赤外光の高い遮光性を維持し、表面のはく離を防止する、硫化亜鉛の焼結体および硫化亜鉛の焼結体の製造方法を提供することである。
本発明の硫化亜鉛(ZnS)の焼結体は、少なくとも1の表面からの厚みが0.05μm以上1000μm以下である表面層を有し、表面層は、0.001wt%以上10.0wt%以下の炭素元素を含有していることを特徴としている。
本発明の一の局面における硫化亜鉛の焼結体の製造方法は、上記硫化亜鉛の焼結体の製造方法であって、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程と、炭素元素を含む粉体または液体を、成形体の少なくとも1の表面に塗布して被塗布成形体を得る工程と、被塗布成形体を加圧焼結する工程とを備えている。
本発明の他の局面における硫化亜鉛の焼結体の製造方法は、上記硫化亜鉛の焼結体の製造方法であって、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程と、炭素元素を含む粉体または液体を、型における成形体と接触する面のうち少なくとも1の面に塗布する工程と、型を用いて成形体を加圧焼結する工程とを備えている。
本発明のさらに他の局面における硫化亜鉛の焼結体の製造方法は、上記硫化亜鉛の焼結体の製造方法であって、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程と、成形体を加圧焼結して、焼結体を得る工程と、焼結体の少なくとも1の表面に炭素元素を含む粉体または液体を塗布して、被塗布焼結体を得る工程と、被塗布焼結体を熱処理する工程とを備えている。
本発明の硫化亜鉛の焼結体および硫化亜鉛の焼結体の製造方法によれば、炭素元素を含有している表面の色調は黒色化される。また、硫化亜鉛は遠赤外光の透過率に優れており、硫化亜鉛の焼結体は表面に炭素元素を含有しているので、遠赤外光の高い透過率および可視光から近赤外光の高い遮光性を維持できる。さらに、炭素元素を含む粉体または液体を成形体の表面または型に塗布して加圧焼結することにより、表面に炭素元素を含有させることができるので、炭素元素を含有する部分のはく離を防止できる。
上記硫化亜鉛の焼結体において好ましくは、表面層は、表面から深さ方向に向けて炭素元素の含有量が減少していることを特徴としている。これにより、色ムラをより防止できる。
上記硫化亜鉛の焼結体において好ましくは、表面の色調は、JIS 8729で規定されるCIE L*a*b*について、L*が80以下であり、かつa*が−10以上20以下であり、かつb*が0以上80以下であることを特徴としている。これにより、表面の色調を利用しやすい黒色にできる。
上記硫化亜鉛の焼結体において好ましくは、0.4μm以上3μm以下の波長域での透過率が50%以下であり、かつ8μm以上12μm以下の波長域での透過率が50%以上であることを特徴としている。
これにより、高機能な赤外光を利用する装置に用いられる窓材やレンズ材等の光学部品にできる。
上記硫化亜鉛の焼結体の製造方法において好ましくは、加圧焼結する工程は、800℃以上1100℃以下の温度で行なうことを特徴としている。これにより、硫化亜鉛が良好に焼結する。
上記一の局面および他の局面における硫化亜鉛の焼結体の製造方法において好ましくは、炭素元素を含む粉体または液体を、加圧焼結する工程で得られる焼結体の炭素元素を含有している表面に塗布して被塗布焼結体を得る工程と、被塗布焼結体を熱処理する工程とをさらに備えている。
これにより、加圧焼結する工程後においても、表面に炭素元素を含有させることができる。
上記硫化亜鉛の焼結体の製造方法において好ましくは、熱処理する工程は、200℃以上1100℃以下の温度で行なうことを特徴としている。これにより、炭素元素を表面に良好に含有させることができる。
本発明の硫化亜鉛の焼結体および硫化亜鉛の焼結体の製造方法によれば、表面の色調を黒色化し、遠赤外光の高い透過率および可視光から近赤外光の高い遮光性を維持し、はく離を防止することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態および実施例を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付してその説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体を示す概略断面図である。図1を参照して、本発明の実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体を説明する。図1に示すように、実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体10は、少なくとも1の表面10aに炭素元素を含有している。
図1は、本発明の実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体を示す概略断面図である。図1を参照して、本発明の実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体を説明する。図1に示すように、実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体10は、少なくとも1の表面10aに炭素元素を含有している。
具体的には、図1に示すように、硫化亜鉛の焼結体10は、基材11と、表面層12とを備えている。なお、図1においては、説明の便宜のために基材11と表面層12との間に境界線を引いているが、実際にこのような境界線は存在せず、硫化亜鉛の焼結体10の表面10aに炭素元素が含有されている。
基材11は、硫化亜鉛を主成分とし、残部は不可避的不純物からなる。硫化亜鉛は、安価であるとともに、屈折率が2.2と高く、たとえば基材11の厚みが5mmのときの直線透過率は、最大70%程度を有している。
表面層12は、基材11の一方の表面上に形成されており、表面層12の表面は硫化亜鉛の焼結体10の表面10aである。表面層12は、ZnSと炭素元素とを含有し、残部が不可避的不純物からなる。炭素元素により、表面層12の色調は黒色化される。また、炭素元素を含有することによって、可視光から近赤外光の遮蔽性能が向上し、遠赤外光の透過率は低下する。そのため、表面層12の厚みD12および含有させる炭素原子の量を制御することによって、色調、遠赤外光の透過性、および可視光から近赤外光の遮光性を所望の状態に制御できる。
なお、本明細書において、遠赤外光とは8μm以上12μm以下の波長域を有する波長を意味する。また、可視光から近赤外光とは、0.4μm以上3μm以下の波長域を有する波長を意味する。
表面層12は、表面10aからの厚みD12が0.05μm以上1000μm以下であり、0.1μm以上80μm以下であることが好ましい。厚みD12を0.05μm以上とすることによって、色調、遠赤外光の透過性、および可視光から近赤外光の遮光性を容易に制御できる。厚みD12を0.1μm以上とすることによって、色調、遠赤外光の透過性、および可視光から近赤外光の遮光性をより容易に制御できる。一方、厚みD12を1000μm以下とすることによって、炭素原子が多くなりすぎないので、遠赤外光の透過率を向上できる。厚みD12を80μm以下とすることによって、遠赤外光の透過率をより向上できる。なお、表面層12は、炭素元素を含有している表面10aから所定の厚みに達するまでの炭素を含有している領域であり、炭素元素を含有している表面が複数ある場合には、該表面の数の表面層が存在してもよい。
また、表面層12は、0.001wt%以上10.0wt%以下の炭素元素を含有しており、0.01wt%以上1wt%以下の炭素元素を含有していることが好ましい。0.001wt%以上とすることによって、色調、遠赤外光の透過性、および可視光から近赤外光の遮光性を容易に制御できる。0.01wt%以上とすることによって、色調、遠赤外光の透過性、および可視光から近赤外光の遮光性をより容易に制御できる。一方、10.0wt%以下とすることによって、炭素原子が多くなりすぎないので、遠赤外光の透過率を向上できる。1wt%以下とすることによって、遠赤外光の透過率をより向上できる。
表面層12は表面10aから深さ方向(図1において下)に向けて炭素元素の含有量が減少していることが好ましい。表面層12は、特許文献1に開示のダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素からなるコーティング層と異なり、硫化亜鉛の焼結体中に炭素元素を含有させているので、表面層12内においても炭素元素の含有量を制御できる。
表面10a(実施の形態1では、表面層12の表面)の色調は、JIS 8729で規定されるCIE L*a*b*について、L*が80以下であり、かつa*が−10以上20以下であり、かつb*が0以上80以下である。この範囲内とすることによって、表面10aの色調を黒色化でき、美観を損ねないとともに、赤外光の透過率を50%以上にできるため、種々の用途に利用できる。
また、表面層12の色調が上記CIE L*a*b*について、L*が80以下であり、かつa*が−10以上20以下であり、かつb*が0以上80以下である。この範囲内とすることによって、表面層12の色調を黒色化でき、種々の用途に利用できる。
実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体10は、表面10aおよび表面層12が上記色調であれば、全体として色調のばらつきをよくせきでき、視覚的にも安定した製品となる。
なお、上記CIE L*a*b*において、L*は明度(色の明るさ(0〜100)を、a*は色調(色相と彩度:赤色方向(+)、緑色方向(−)表示)を、b*は色度(色相と彩度:黄色方向(+)、青色方向(−)表示)を示す。
硫化亜鉛の焼結体10は、0.4μm以上3μm以下の波長域での透過率が50%以下であり、かつ8μm以上12μm以下の波長域での透過率が50%以上であることが好ましく、0.4μm以上3μm以下の波長域での透過率が50%以下であり、かつ8μm以上12μm以下の波長域での透過率が70%以上であることがより好ましい。これにより、可視光から近赤外光を部分的あるいは全体的に遮断し、遠赤外光の透過率を高めることができるので、高機能な赤外光利用装置に用いられる窓材やレンズ材等の光学部品に利用できる。
硫化亜鉛の焼結体10の形状は特に限定されないが、実施の形態1では形状をシート状とし、延びる方向の一方の表面に炭素元素を含有している。硫化亜鉛の焼結体10の形状をシート状とすると、種々の用途に用いることができるので好ましい。また。たとえば、硫化亜鉛の焼結体10の両面に炭素元素を含有していても良い。さらに、硫化亜鉛の焼結体10の全表面に炭素元素を含有していても良い。なお、1の表面に炭素元素を含有している硫化亜鉛の焼結体を硫化亜鉛レンズなどに用いる場合には、該表面を外側に配置することが好ましい。
次に、図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体の製造方法について説明する。なお、図2は、本発明の実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体の製造方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、まず、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程(S10)を実施する。準備する工程(S10)では、たとえば、硫化亜鉛の粉末を準備する工程(S11)と、成形体に加工する工程(S12)とを実施する。
具体的には、まず、たとえば硫化亜鉛の粉末を準備する(S11)。準備する粉末は、硫化亜鉛の純度を99.5%以上とすることが好ましく、99.9%以上とすることがより好ましい。純度を高くすることによって、遠赤外線の透過率を向上できる。また、粉末の粒径は、0.4μm以下とすることが好ましい。0.4μm以下とすることによって、高密度の成形体を得られる。
そして、硫化亜鉛の粉末を所定の形状に加工する(S12)。加工する方法は任意の方法を採用でき、たとえば、準備した粉末を、シート状にプレス成形して、仮焼して、成形体にする。
なお、成形体の緻密化を促進するために、準備した硫化亜鉛の粉末に焼結助剤を添加してもよい。焼結助剤を添加する場合には、粉末全体の1wt%以下とすることが好ましい。
次に、炭素元素を含む粉体または液体を、成形体の少なくとも1の表面に塗布して、被塗布成形体を得る工程(S20)を実施する。実施の形態1では、成形体の一方の表面に炭素元素を含む液体を塗布している。
炭素元素を含む粉体または液体は、炭素元素を含んでいれば特に限定されない。炭素元素を含む粉体または液体は、炭素濃度が1wt%以上5wt%以下とすることが好ましい。この範囲内の濃度にすることによって、硫化亜鉛の焼結体10の表面10a(または表面層12)の炭素量を適切な量にできるので、色調を黒色化できる。炭素元素を含む粉体は、たとえば、適度な高分子を含有させた粉体を用いることができる。炭素元素を含む液体は、たとえば、所定の濃度のダイヤモンドを含むスラリーを用いることができる。なお、所定の濃度とは、たとえば、0.05wt%以上10wt%以下のダイヤモンドを含むスラリーを、0.01cc/cm2以上0.1cc/cm2以下とした量である。
次に、被塗布成形体を加圧焼結する工程(S30)を実施する。これにより、成形体の表面に、炭素元素を含む硫化亜鉛が形成される。
加圧焼結する工程(S30)は、800℃以上1100℃以下の温度で行なうことが好ましく、900℃以上1050℃以下の温度で行なうことがより好ましい。800℃以上とすることによって、硫化亜鉛を焼結できる。900℃以上とすることによって、硫化亜鉛を良好に焼結できる。一方、1100℃以下とすることによって、硫化亜鉛の焼結体10の構成相を変化させず、赤外光の透過率の低下を防止できる。1050℃以下とすることによって、硫化亜鉛の焼結体10の構成相をより変化させない。
また、加圧焼結する工程(S30)は、10MPa以上60MPa以下の圧力で行なうことが好ましい。上記範囲内とすることによって、硫化亜鉛を良好に焼結できる。
また、加圧焼結する工程(S30)は、5分以上60分以下行なうことが好ましい。上記範囲内とすることによって、硫化亜鉛を良好に焼結できる。
以上の工程(S10〜S30)を実施することにより、図1に示す硫化亜鉛の焼結体10を製造できる。硫化亜鉛の焼結体10は表面10aに炭素元素を含んでいるので、表面10aは黒色化されている。
また、表面10aの色調をさらに黒色化させる場合や、可視光から近赤外光の遮光性を向上させる場合には、炭素元素を含む粉体または液体を、加圧焼結する工程で得られる焼結体の炭素元素を含有している表面に塗布して被塗布焼結体を得る工程(S40)と、被塗布焼結体を熱処理する工程(S50)をさらに実施しても良い。
被塗布焼結体を得る工程(S40)では、塗布する工程(S20)と同様に実施する。さらに表面に含ませたい炭素元素を考慮して、炭素元素を含む粉体または液体を炭素を含有している表面に塗布する。
被塗布焼結体を熱処理する工程(S50)では、200℃以上1100℃以下の温度で加熱を行なうことが好ましく、800℃以上1000℃以下の温度で加熱を行なうことがより好ましい。200℃以上とすることによって、塗布した炭素元素が成形体の内部に向けて拡散する。800℃以上とすることによって、塗布した炭素元素が成形体の内部に向けてより拡散する。一方、1100℃以下とすることによって、焼結体の構成相を変化させず、赤外光の透過率の低下を防止できる。1000℃以下とすることによって、焼結体の構成相をより変化させない。
以上説明したように、本発明の実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体10によれば、少なくとも1の表面1aからの厚みが0.05μm以上1000μm以下である表面層12を有し、表面層12は、0.001wt%以上10.0wt%以下の炭素元素を含有していることを特徴としている。これにより、炭素元素を含有している表面10aの色調は黒色化される。そのため、硫化亜鉛の色調により美観を損なうことを防止できる。また、硫化亜鉛は遠赤外光の透過率に優れており、硫化亜鉛の焼結体10は表面10aに炭素元素を含有しているので、遠赤外光の高い透過率および可視光から近赤外光の高い遮光性を維持できる。そのため、硫化亜鉛の焼結体10を赤外光を利用する装置に用いると、可視光から近赤外光による誤動作を防止できる。さらに、表面に炭素元素を含有させることができるので、炭素元素を含有する部分のはく離を防止できる。
また、表面層12の厚みを0.05μ以上とすることによって、表面層12に含有させる炭素元素の量の調整が容易であるので、遠赤外光の透過率の制御が容易となる。表面層12の厚みを1000μm以下とすることによって、遠赤外光の透過率の低下を防止できる。また、0.001wt%以上の炭素元素を含有することによって、表面層12の色調を所望の黒色化にできる。10.0wt%以下の炭素元素を含有することによって、遠赤外光の透過率を向上できる。
上記硫化亜鉛の焼結体10において好ましくは、表面層12は、表面10aから深さ方向に向けて炭素元素の含有量が減少していることを特徴としている。これにより、表面層12において表面10aから内部に向けて除々に黒色化を低くできるので、色ムラをより防止できる。
上記硫化亜鉛の焼結体10において好ましくは、表面の色調は、JIS 8729で規定されるCIE L*a*b*について、L*が80以下であり、かつa*が−10以上20以下であり、かつb*が0以上80以下であることを特徴としている。これにより、美観を損ねずに表面10aの色調を利用しやすい黒色にできるとともに、赤外光の透過率を50%以上にできる。
上記硫化亜鉛の焼結体10において好ましくは、0.4μm以上3μm以下の波長域での透過率が50%以下であり、かつ8μm以上12μm以下の波長域での透過率が50%以上であることを特徴としている。これにより、高機能な赤外光を利用する装置に用いられる窓材やレンズ材等の光学部品にできる。
本発明の実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体10の製造方法によれば、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程(S10)と、炭素元素を含む粉体または液体を、成形体の少なくとも1の表面に塗布して、被塗布成形体を得る工程(S20)と、被塗布成形体を加圧焼結する工程(S30)とを備えている。これにより、少なくとも1の表面10aに炭素元素を含有している硫化亜鉛の焼結体10を得ることができる。得られる硫化亜鉛の焼結体10は、表面10aに炭素元素を含有しているので、表面10aの色調は黒色化される。そのため、硫化亜鉛の色調により美観を損なうことを防止できる。また、硫化亜鉛は遠赤外光の透過率に優れており、得られる硫化亜鉛の焼結体10は表面10aに炭素元素を含有しているので、遠赤外光の高い透過率および可視光から近赤外光の高い遮光性を維持できる。そのため、硫化亜鉛の焼結体10を赤外光を利用する装置に用いると、可視光から近赤外光の光による誤動作を防止できる。さらに、塗布する工程(S20)により塗布された炭素元素を、加圧焼結する工程(S30)により表面10aに炭素元素を含有させることができる。そのため、炭素元素を含有する部分のはく離を防止できる。
また、実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体10の製造方法により表面10aに炭素を含有させることは、上記特許文献1に開示されたダイヤモンドまたはダイヤモンド上炭素からなる最外層(コーティング層)を形成する場合と異なり、プラズマCVD装置などの特段の設備を必要としない。そのため、硫化亜鉛の焼結体10を容易に製造できる。さらに、塗布する工程(S20)および加圧焼結する工程(S30)を実施することにより、容易に表面10aを黒色化することが可能である。さらには、塗布する工程(S20)で均一に塗布することにより、表面10aに炭素元素を均一に含有させることもできるので、色ムラなどを防止することもできる。
上記硫化亜鉛の焼結体10の製造方法において好ましくは、加圧焼結する工程(S30)は、800℃以上1100℃以下の温度で行なうことを特徴としている。800℃以上とすることによって、硫化亜鉛を焼結できる。一方、1100℃以下とすることによって、硫化亜鉛の焼結体10の構成相を変化させず、赤外光の透過率の低下を防止できる。
上記硫化亜鉛の焼結体10の製造方法において好ましくは、炭素元素を含む粉体または液体を、加圧焼結する工程(S30)で得られる焼結体の炭素元素を含有している表面に塗布して被塗布焼結体を得る工程(S40)と、被塗布焼結体を熱処理する工程(S50)とをさらに備えている。これにより、加圧焼結する工程(S30)後に、表面に炭素元素をさらに含有させることができる。
上記硫化亜鉛の焼結体10の製造方法において好ましくは、熱処理する工程(S50)は、200℃以上1100℃以下の温度で行なうことを特徴としている。これにより、炭素元素を表面に良好に含有させることができる。
(実施の形態2)
図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態2における硫化亜鉛の焼結体の製造方法について説明する。なお、図3は、本発明の実施の形態2における硫化亜鉛の焼結体の製造方法を説明するための図である。
図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態2における硫化亜鉛の焼結体の製造方法について説明する。なお、図3は、本発明の実施の形態2における硫化亜鉛の焼結体の製造方法を説明するための図である。
実施の形態2における硫化亜鉛の焼結体は、図1に示す実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体10と同様であるのでその説明は繰り返さない。
実施の形態2における硫化亜鉛の焼結体の製造方法は、基本的には実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体10の製造方法と同様であるが、塗布する工程(S20)および加圧焼結する工程(S30)においてのみ異なる。
具体的には、まず、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程(S10)を実施する。準備する工程(S10)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
次に、図3に示すように、炭素元素を含む粉体または液体を、型20における成形体と接触する面のうち少なくとも1の面に塗布する工程(S20)を実施する。塗布する粉体または液体は、実施の形態1と同様である。
具体的には、図3に示すように、たとえば黒鉛からなり、上下方向に移動する上パンチ21と下パンチ22とを備える一軸加圧方式の型20を用いることができる。そして、たとえば上パンチ21の成形体31と接触する面に炭素元素を含む粉体または液体を塗布する。
なお、実施の形態2における塗布する工程(S20)では、型20の上パンチ21の面にのみ炭素元素を含む粉体または液体を塗布しているが、特にこれに限定されない。上パンチ21および下パンチ22の成形体と接触する面に炭素元素を含む粉体または液体を塗布しても良い。この場合は、加圧焼結する工程(S30)を実施することにより、硫化亜鉛の焼結体10の両方の表面に炭素元素を含有させることができる。
次に、型20を用いて成形体31を加圧焼結する工程(S30)を実施する。具体的には、加圧焼結する工程(S30)では、たとえば、成形体を準備する工程(S10)で準備した成形体31を、型20を用いてモールド成形する。これにより、モールド成形する際に表面10aに炭素を含有させることができる。
以上の工程(S10〜S30)を実施することにより、図1に示す実施の形態2における硫化亜鉛の焼結体10を製造できる。また、実施の形態1と同様に、炭素元素を含む粉体または液体を、加圧焼結する工程(S30)で得られる焼結体の炭素元素を含有している表面に塗布して被塗布焼結体を得る工程(S40)と、被塗布焼結体を熱処理する工程(S50)とをさらに実施しても良い。
以上説明したように、本発明の実施の形態2における硫化亜鉛の焼結体10の製造方法によれば、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程(S10)と、炭素元素を含む粉体または液体を、型20における成形体31と接触する面のうち少なくとも1の面に塗布する工程(S20)と、型20を用いて成形体31を加圧焼結する工程(S30)とを備えている。これにより、少なくとも1の表面10aに炭素元素を含有している硫化亜鉛の焼結体10を得ることができる。得られる硫化亜鉛の焼結体10は、表面10aに炭素元素を含有しているので、表面10aの色調は黒色化される。そのため、硫化亜鉛の色調により美観を損なうことを防止できる。また、硫化亜鉛は遠赤外光の透過率に優れており、得られる硫化亜鉛の焼結体10は表面10aに炭素元素を含有しているので、遠赤外光の高い透過率および可視光から近赤外光の高い遮光性を維持できる。そのため、赤外光を利用する装置に用いることにより、可視光から近赤外光の光による誤動作を防止できる。さらに、塗布する工程(S20)により塗布された炭素元素を、加圧焼結する工程(S30)により表面10aに炭素元素を含有させることができる。そのため、炭素元素を含有する部分のはく離を防止できる。
また、実施の形態2における硫化亜鉛の焼結体の製造方法では、加圧焼結する工程(S30)でモールド成形中に、硫化亜鉛の焼結体10を容易に製造できる。さらに、塗布する工程(S20)および加圧焼結する工程(S30)を実施することにより、容易に表面10aを黒色化することが可能である。さらには、塗布する工程(S20)で型20に均一に炭素元素を含む粉体または液体を塗布することにより、表面10aに炭素元素を均一に含有させることもできるので、色ムラなどを防止することもできる。
(実施の形態3)
図1および図4を参照して、本発明の実施の形態3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法について説明する。なお、図4は、本発明の実施の形態3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法を示すフローチャートである。
図1および図4を参照して、本発明の実施の形態3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法について説明する。なお、図4は、本発明の実施の形態3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法を示すフローチャートである。
実施の形態3における硫化亜鉛の焼結体は、図1に示す実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体10と同様であるので、その説明は繰り返さない。
実施の形態3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法は、基本的には実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体10の製造方法と同様であるが、塗布する工程(S20)を実施せずに、被塗布焼結体を得る工程(S40)および熱処理する工程(S50)を実施する点においてのみ異なる。
具体的には、図4に示すように、まず、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程(S10)を実施する。次に、加圧焼結する工程(S30)を実施する。準備する工程(S10)および加圧焼結する工程(S30)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
次に、焼結体の少なくとも1の表面に炭素元素を含む粉体または液体を塗布して、被塗布焼結体を得る工程(S40)を実施する。被塗布焼結体を得る工程(S40)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
次に、被塗布焼結体を熱処理する工程(S50)を実施する。熱処理する工程(S50)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。なお、熱処理する工程(S50)は、200℃以上1100℃以下の温度で行なうことが好ましいことは実施の形態1と同様である。
以上の工程(S10、S30〜S50)を実施することにより、図1に示す実施の形態3における硫化亜鉛の焼結体10を製造できる。
以上説明したように、本発明の実施の形態3における硫化亜鉛の焼結体10の製造方法によれば、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程(S10)と、成形体を加圧焼結して、焼結体を得る工程(S20)と、焼結体の少なくとも1の表面10aに炭素元素を含む粉体または液体を塗布して、被塗布焼結体を得る工程(S40)と、被塗布焼結体を熱処理する工程(S50)とを備えている。これにより、加圧焼結する工程(S30)で焼結体を形成した後に、少なくとも1の表面10aに炭素元素を含有している硫化亜鉛の焼結体10を製造することができる。得られる硫化亜鉛の焼結体10は、表面10aの色調は黒色化される。また、硫化亜鉛は遠赤外光の透過率に優れており、得られる硫化亜鉛の焼結体10は表面10aに炭素元素を含有しているので、遠赤外光の高い透過率および可視光から近赤外光の高い遮光性を維持できる。さらに、被塗布焼結体を得る工程(S40)により塗布された炭素元素を、熱処理する工程(S50)により表面10aに炭素元素を含有させることができる。そのため、炭素元素を含有する部分のはく離を防止できる。
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1における硫化亜鉛の焼結体は、実施の形態2における硫化亜鉛の焼結体の製造方法に従って製造した。
実施例1における硫化亜鉛の焼結体は、実施の形態2における硫化亜鉛の焼結体の製造方法に従って製造した。
詳細には、まず、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程(S10)を実施した。具体的には、硫化亜鉛の粉末を準備する工程(S11)では、粒径が0.4μmで、純度が99.5%の硫化亜鉛の粉末を準備した。成形体に加工する工程(S12)では、硫化亜鉛の粉末をプレス成形で平板形状にプレス成形した後に、800℃で5時間、真空中で仮焼し、成形体を得た。
次に、炭素元素を含む粉体または液体を、型における成形体と接触する面のうち少なくとも1の面に塗布する工程(S20)を実施した。具体的には、GC(グラッシーカーボン)の平板に2wt%のダイヤモンドを含むスラリーを、塗布量は0.01cc/cm2で塗布し、乾燥させたものを、型として用いた。
次に、被塗布成形体を加圧焼結する工程(S30)を実施した。具体的には、温度を950℃、圧力を40MPa、保持時間を5分の条件で硫化亜鉛を焼結させた。
以上の工程(S10〜S30)を実施することにより、実施例1における硫化亜鉛の焼結体を得た。実施例1における硫化亜鉛の焼結体の厚みは、3mmであった。
(実施例2)
実施例2における硫化亜鉛の焼結体は、実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体の製造方法に従って製造した。
実施例2における硫化亜鉛の焼結体は、実施の形態1における硫化亜鉛の焼結体の製造方法に従って製造した。
詳細には、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程(S10)を実施例1と同様に実施した。
次に、炭素元素を含む粉体または液体を、成形体の少なくとも1の表面に塗布して、被塗布成形体を得る工程(S20)を実施した。具体的には、成形体の表面に2wt%のダイヤモンドを含むスラリーを塗布した。
次に、被塗布成形体を加圧焼結する工程(S30)を実施例1と同様に実施した。以上の工程(S10〜S30)を実施することにより、実施例3における硫化亜鉛の焼結体を得た。
(実施例3)
実施例3における硫化亜鉛は、基本的には実施例1の硫化亜鉛の製造方法と同様に製造したが、実施の形態3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法に従って製造した。
実施例3における硫化亜鉛は、基本的には実施例1の硫化亜鉛の製造方法と同様に製造したが、実施の形態3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法に従って製造した。
詳細には、まず、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程(S10)および成形体を加圧焼結して、焼結体を得る工程(S30)を実施例1と同様に実施した。
次に、焼結体の少なくとも1の表面に炭素元素を含む粉体または液体を塗布して、被塗布焼結体を得る工程(S40)を実施した。具体的には、焼結体の表面に2wt%のダイヤモンドを含むスラリーを、塗布量は0.01cc/cm2で塗布した。
次に、被塗布焼結体を熱処理する工程(S50)を実施した。具体的には、温度を800℃、時間を10分の条件で熱処理を行なった。
以上の工程(S10、S30〜S50)を実施することにより、実施例3における硫化亜鉛の焼結体を得た。
(実施例4)
実施例4における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例1における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、加圧焼結する工程(S30)において1100℃で行なった点においてのみ異なる。
実施例4における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例1における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、加圧焼結する工程(S30)において1100℃で行なった点においてのみ異なる。
(実施例5)
実施例5における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、熱処理する工程(S50)において1100℃で行なった点においてのみ異なる。
実施例5における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、熱処理する工程(S50)において1100℃で行なった点においてのみ異なる。
(実施例6)
実施例6における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、熱処理する工程(S50)において500℃で行なった点においてのみ異なる。
実施例6における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、熱処理する工程(S50)において500℃で行なった点においてのみ異なる。
(実施例7)
実施例7における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例1における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、スラリーのダイヤモンド濃度を10wt%とした点においてのみ異なる。
実施例7における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例1における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、スラリーのダイヤモンド濃度を10wt%とした点においてのみ異なる。
(実施例8)
実施例8における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、熱処理する工程(S50)において500℃で行なった点および保持時間を3時間にした点においてのみ異なる。
実施例8における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、熱処理する工程(S50)において500℃で行なった点および保持時間を3時間にした点においてのみ異なる。
(実施例9)
実施例9における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例1における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、スラリーのダイヤモンド濃度を10wt%とした点および保持時間を30分にした点においてのみ異なる。
実施例9における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例1における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、スラリーのダイヤモンド濃度を10wt%とした点および保持時間を30分にした点においてのみ異なる。
(実施例10)
実施例10における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例1における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、保持時間を2時間にした点においてのみ異なる。
実施例10における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例1における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、保持時間を2時間にした点においてのみ異なる。
(実施例11)
実施例11における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例6における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、熱処理する工程(S50)において900℃で行なった点においてのみ異なる。
実施例11における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例6における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、熱処理する工程(S50)において900℃で行なった点においてのみ異なる。
(実施例12)
実施例12における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例6における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、熱処理する工程(S50)において400℃で行なった点においてのみ異なる。
実施例12における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例6における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、熱処理する工程(S50)において400℃で行なった点においてのみ異なる。
(実施例13)
実施例13における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例10における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、スラリー濃度を10wt%とした点においてのみ異なる。
実施例13における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例10における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、スラリー濃度を10wt%とした点においてのみ異なる。
(比較例1)
比較例1における硫化亜鉛の焼結体は、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程(S10)のみを実施例1と同様に実施した。
比較例1における硫化亜鉛の焼結体は、粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程(S10)のみを実施例1と同様に実施した。
(比較例2)
比較例2における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、熱処理する工程(S50)において180℃で行なった点においてのみ異なる。
比較例2における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、熱処理する工程(S50)において180℃で行なった点においてのみ異なる。
(比較例3)
比較例3における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例10における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、加圧焼結する工程(S30)において1200℃で行なった点においてのみ異なる。
比較例3における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例10における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、加圧焼結する工程(S30)において1200℃で行なった点においてのみ異なる。
(比較例4)
比較例4における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、スラリー濃度を0.1wt%とした点においてのみ異なる。
比較例4における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例3における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、スラリー濃度を0.1wt%とした点においてのみ異なる。
(比較例5)
比較例5における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例9における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、スラリー濃度を20wt%とした点においてのみ異なる。
比較例5における硫化亜鉛の焼結体は、基本的には実施例9における硫化亜鉛の焼結体の製造方法と同様に製造したが、スラリー濃度を20wt%とした点においてのみ異なる。
(評価方法)
実施例1〜13および比較例1〜5における硫化亜鉛の焼結体について、表面の炭素元素の有無、表面層の厚み、表面層の炭素濃度、色調、0.4μm以上3μm以下の波長域での透過率、および8μm以上12μm以下の波長域での透過率について測定した。
実施例1〜13および比較例1〜5における硫化亜鉛の焼結体について、表面の炭素元素の有無、表面層の厚み、表面層の炭素濃度、色調、0.4μm以上3μm以下の波長域での透過率、および8μm以上12μm以下の波長域での透過率について測定した。
まず、実施例1〜13および比較例1〜5における硫化亜鉛の焼結体の表面と直交する方向に切断した。そして、断面を観察し、炭素元素による黒色化の有無、炭素元素により黒色化された表面層の厚みを測定した。また、断面をオージェ電子分光装置(日本分光社製の「JAMP−9500F」)を用いて炭素濃度を測定した。
また、0.4μm以上3μm以下の波長域として2μmでの透過率、および8μm以上12μm以下の波長域として10μmでの透過率を、日本分光製の「FT−IR(FT−IR4000)」を用いて測定した。
また、表面の色調について、JIS 8729で規定されるCIE L*a*b*について測定した。これらの結果を表1に示す。
また、実施例1における硫化亜鉛の焼結体については、X線光電子分析装置(ESCA:島津製作所社製の「ESCA K1」)を用いて、表面層の断面を分析した。
(測定結果)
表1に示すように、実施例1〜13における硫化亜鉛の焼結体は、厚みが0.05μm以上1000μm以下で、0.001wt%以上10.0wt%以下の炭素元素を含有する表面層を備えていたので、黒色を呈してした。また、実施例1における硫化亜鉛の焼結体の表面層について、ESCAを用いて分析した結果、表面から深さ方向に向けて炭素元素の含有量が減少していたことが確認できた。また、表面に炭素元素を含有している実施例1〜13の硫化亜鉛の焼結体は、0.4μm以上3μm以下の波長域での透過率が50%以下と低く、8μm以上12μm以下の波長域での透過率が50%以上と高かった。さらに、実施例1〜13の硫化亜鉛の焼結体は、CIE L*a*b*について、L*が80以下であり、かつa*が−10以上20以下であり、かつb*が0以上80以下であった。
表1に示すように、実施例1〜13における硫化亜鉛の焼結体は、厚みが0.05μm以上1000μm以下で、0.001wt%以上10.0wt%以下の炭素元素を含有する表面層を備えていたので、黒色を呈してした。また、実施例1における硫化亜鉛の焼結体の表面層について、ESCAを用いて分析した結果、表面から深さ方向に向けて炭素元素の含有量が減少していたことが確認できた。また、表面に炭素元素を含有している実施例1〜13の硫化亜鉛の焼結体は、0.4μm以上3μm以下の波長域での透過率が50%以下と低く、8μm以上12μm以下の波長域での透過率が50%以上と高かった。さらに、実施例1〜13の硫化亜鉛の焼結体は、CIE L*a*b*について、L*が80以下であり、かつa*が−10以上20以下であり、かつb*が0以上80以下であった。
一方、比較例1の硫化亜鉛の焼結体は、表面に炭素元素を含んでいなかったので、0.4μm以上3μm以下の波長域での透過率が高いとともに、a*が−21と悪かった。また、表面層の厚みが小さすぎる比較例2の硫化亜鉛の焼結体は、0.4μm以上3μm以下の波長域での透過率が高かった。また、表面層の厚みが大きすぎる比較例3の硫化亜鉛の焼結体は、8μm以上12μm以下の波長域での透過率が低いとともに、a*が−16と悪かった。また、表面層の炭素濃度が低すぎる比較例4の硫化亜鉛の焼結体は、0.4μm以上3μm以下の波長域での透過率が高かった。また、表面層の炭素濃度が高すぎる比較例5の硫化亜鉛の焼結体は、8μm以上12μm以下の波長域での透過率が低かった。
なお、実施例1〜13の硫化亜鉛の焼結体は、表面層に炭素元素を所定濃度含有していたので、黒色化され、色調のばらつきが抑えられ、視覚的にも安定していた。一方、比較例1〜5の硫化亜鉛の焼結体は、明度および色調にばらつきがあり、視覚的に安定した製品とならなかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の硫化亜鉛の焼結体は、コストを低減して製造できるとともに、美観を損なわないので、ナイトビジョン、車室内センサ等の遠赤外線レンズや窓材等に用いられる硫化亜鉛レンズに好適に用いることができる。
10 硫化亜鉛の焼結体、10a 表面、11 基材、12 表面層、20 型、21 上パンチ、22 下パンチ、31 成形体。
Claims (10)
- 少なくとも1の表面からの厚みが0.05μm以上1000μm以下である表面層を有し、
前記表面層は、0.001wt%以上10.0wt%以下の炭素元素を含有していることを特徴とする、硫化亜鉛の焼結体。 - 前記表面層は、前記表面から深さ方向に向けて前記炭素元素の含有量が減少していることを特徴とする、請求項1に記載の硫化亜鉛の焼結体。
- 前記表面の色調は、JIS 8729で規定されるCIE L*a*b*について、L*が80以下であり、かつa*が−10以上20以下であり、かつb*が0以上80以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の硫化亜鉛の焼結体。
- 0.4μm以上3μm以下の波長域での透過率が50%以下であり、かつ8μm以上12μm以下の波長域での透過率が50%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の硫化亜鉛の焼結体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の硫化亜鉛の焼結体の製造方法であって、
粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程と、
炭素元素を含む粉体または液体を、前記成形体の少なくとも1の表面に塗布して、被塗布成形体を得る工程と、
前記被塗布成形体を加圧焼結する工程とを備える、硫化亜鉛の焼結体の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の硫化亜鉛の焼結体の製造方法であって、
粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程と、
炭素元素を含む粉体または液体を、型における前記成形体と接触する面のうち少なくとも1の面に塗布する工程と、
前記型を用いて前記成形体を加圧焼結する工程とを備える、硫化亜鉛の焼結体の製造方法。 - 前記加圧焼結する工程は、800℃以上1100℃以下の温度で行なうことを特徴とする、請求項5または6に記載の硫化亜鉛の焼結体の製造方法。
- 炭素元素を含む粉体または液体を、前記加圧焼結する工程で得られる焼結体の炭素元素を含有している表面に塗布して被塗布焼結体を得る工程と、
前記被塗布焼結体を熱処理する工程とをさらに備える、請求項5〜7のいずれかに記載の硫化亜鉛の焼結体の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の硫化亜鉛の焼結体の製造方法であって、
粉末の硫化亜鉛からなる成形体を準備する工程と、
前記成形体を加圧焼結して、焼結体を得る工程と、
前記焼結体の少なくとも1の表面に炭素元素を含む粉体または液体を塗布して、被塗布焼結体を得る工程と、
前記被塗布焼結体を熱処理する工程とを備える、硫化亜鉛の焼結体の製造方法。 - 前記熱処理する工程は、200℃以上1100℃以下の温度で行なうことを特徴とする、請求項8または9に記載の硫化亜鉛の焼結体の製造方法。
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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